説明

レトルト装置

【課題】被処理物を所定温度まで昇温させるために要する時間を短縮化して確実な殺菌効果が得られるレトルト装置を提供する。
【解決手段】制御手段30は、加熱処理工程の初期段階で、第1の蒸気噴射ノズル16から処理槽12の内部に高温蒸気を噴射させることにより、処理槽12内部の温度を第1の目標温度Tまで加熱させ、処理槽12内部の温度が第1の目標温度Tに到達したならば、第2の蒸気噴射ノズル18から処理槽12に貯留されている熱媒体32に高温蒸気を噴射することにより熱媒体32を第2の目標温度Tまで加熱させる。熱媒体温度T2が第2の目標温度Tに到達したならば、熱媒体噴射ノズル14から熱媒体32を噴射させつつ第1、第2の蒸気噴射ノズル16、18の一方または双方から高温蒸気を噴射させることにより、処理槽温度T1を第3の目標温度TCまで加熱させ、その状態を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レトルト食品や医薬品などの被処理物を加圧下で加熱殺菌する際に使用されて好適なレトルト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レトルト食品などの被処理物を処理槽内で加熱殺菌処理するレトルト装置として、処理槽内に貯留された加熱水を被処理物に噴射する、加熱水用の噴射スプレーと、加熱水用の噴射スプレーから噴射される加熱水に高温蒸気を噴射して加熱水を加熱する、蒸気用の噴射スプレーとを備えるものが提案されている(特許文献1参照)。
また、被処理物を加熱水で加熱する初期段階で、処理槽内に貯留された常温の加熱水に高温蒸気を噴射して加熱水を80℃程度まで予熱しておき、加熱水の予熱が終了したのち、上記と同様に加熱水用の噴射スプレーと、蒸気用の噴射スプレーと、を用いて加熱水を加熱するものが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−12001号公報
【特許文献2】特開平7−184615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前者の技術では、被処理物を加熱する初期段階では、処理槽に貯留されている加熱水が常温であるため、加熱水に蒸気を噴射しても直ぐには温度が上がらず、したがって、被処理物には当初は常温の水が噴射されることになり、被処理物の温度を予め定められた温度まで昇温させるために時間がかかるといった課題がある。
また、後者の技術では、加熱水の予熱処理を行っている間、被処理物が加熱されないため、前者の技術と同じような課題を有している。
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、被処理物を所定温度まで昇温させるために要する時間を短縮し、被処理物の殺菌を確実に行うことができるレトルト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、処理槽に収容された被処理物に、前記処理槽の底部に貯留された熱媒体を噴射させる熱媒体噴射ノズルと、前記処理槽の内部に高温蒸気を噴射させる第1の蒸気噴射ノズルと、前記処理槽の底部に貯留された前記熱媒体に高温蒸気を噴射する第2の蒸気噴射ノズルと、前記熱媒体の前記熱媒体噴射ノズルへの供給と、前記第1、第2の蒸気噴射ノズルへの前記高温蒸気の供給とを制御する制御手段とを備えるレトルト装置であって、前記制御手段は前記被処理物を加熱する加熱処理工程において、初期段階で、前記第1の蒸気噴射ノズルから前記処理槽の内部に高温蒸気を噴射させることにより前記処理槽内部の温度を予め定められた第1の目標温度まで加熱させ、前記処理槽内部の温度が前記第1の目標温度に到達したならば、前記第2の蒸気噴射ノズルから前記処理槽に貯留されている熱媒体に高温蒸気を噴射することにより前記熱媒体の温度を予め定められた第2の目標温度まで加熱させ、前記熱媒体が第2の目標温度に到達したならば、前記熱媒体噴射ノズルから前記熱媒体を噴射させることを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、加熱処理工程の初期段階で処理槽内に噴射された高温蒸気によって、被処理物が直ちに加熱され、次いで、高温蒸気によって、加熱された熱媒体が被処理物に噴射されることで被処理物が加熱されるため、被処理物を所定温度まで昇温させるために要する時間の短縮化を図ることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御手段は、前記処理槽内の温度が前記第1の目標温度に到達した以降、前記熱媒体の温度が前記第2の目標温度に到達するまでの期間、前記第1の蒸気噴射ノズルへの高温蒸気の供給を制御することにより前記処理槽内の温度を前記第1の目標温度に維持させることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、処理槽内の温度と熱媒体の温度との安定化を図れ、被処理物の加熱を安定して効率よく行うことができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記被処理物の加熱処理工程において、前記熱媒体の温度が第2の目標温度に到達したならば、前記熱媒体噴射ノズルから前記熱媒体を噴射させつつ、前記第1、第2の蒸気噴射ノズルの一方または双方から高温蒸気を噴射させることにより、前記処理槽の内部の温度を前記第1、第2の目標温度よりも高い予め定められた第3の目標温度まで加熱させ、前記加熱させた状態を維持することがなされることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、被処理物を昇温された状態で確実に維持して、被処理物の殺菌を確実に行うことができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の発明において、前記第1の目標温度および前記第2の目標温度が等しいことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、処理槽内の温度と熱媒体の温度との安定化を図れ、被処理物の加熱を安定して効率よく行うことができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の発明において、前記第2の蒸気噴射ノズルによる前記熱媒体への高温蒸気の噴射は、前記高温蒸気を前記熱媒体に浸漬された箇所から前記熱媒体中に吹き込むことによってなされることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、熱媒体中に高温蒸気を吹き込んでいるので、処理槽内の温度をほぼ一定に保ったままで処理槽の底部に貯留された熱媒体を加熱することができ、被処理物の温度を維持しながら、熱媒体の昇温時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被処理物を所定温度まで昇温させるために要する時間の短縮することができ、被処理物の殺菌を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態におけるレトルト装置10の全体の構成を示す構成図である。
【図2】レトルト装置10における全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】予備加熱工程、加熱工程、殺菌工程を示すフローチャートである。
【図4】被処理物の殺菌加熱処理を実施した場合における槽内温度、被処理物の中心温度およびこの温度から求められるF値の計測値を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明にかかるレトルト装置の実施の形態について、図1を参照して説明する。
本実施の形態では、被処理物がレトルト食品(レトルトパウチ食品)である場合について説明する。レトルト食品は、プラスチックフィルム若しくは金属箔又はこれらを多層に合わせたものを袋状その他の形に成形した容器(レトルトパウチ)に調製した食品を詰め、熱溶融により密封し、加圧加熱殺菌したものである。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態のレトルト装置10は、処理槽12と、熱媒体噴射ノズル14と、第1の蒸気噴射ノズル16と、第2の蒸気噴射ノズル18と、熱媒体供給回路20と、熱媒体排出回路22と、熱媒体循環回路24と、蒸気供給回路26と、圧力調整手段28と、制御手段30とを含んで構成されている。
【0019】
処理槽12は、貯留部1202と、収容部1204とを含んで構成されている。
本実施の形態では、処理槽12は、水平方向に延在する円筒壁と、円筒壁の延在方向の一端に設けられた開口と、円筒壁の他端を閉塞する閉塞壁と、開口を開閉する密閉扉とを備えている。
貯留部1202は、処理槽12の底部に設けられ、熱媒体供給回路20から供給された熱媒体32を貯留するものである。本実施の形態では、熱媒体32は水である。
収容部1204は、被処理物が収容される部分である。
より詳細には、収容部1204には、台車が出し入れ可能に設けられている。
台車には、被処理物が載置されるトレイが上下方向に積み重ねられて挿脱可能に複数段配置されている。
本実施の形態では、各段においてトレイは、円筒壁の延在方向である前後方向に並べられて複数配置されている。
これらのトレイは、被処理物が載置された複数段のトレイを搭載した台車を処理槽12の開口部まで移動させて、台車上のトレイ部分だけを処理槽12の収容部1204に移動させて収容部1204に収容する。搬出時は、台車を処理槽12の開口部まで移動させて、収容部1204からトレイを引き出して、台車上に移動させる。
また、各トレイの底部には、被処理物に噴射された熱媒体32が下方に流れ落ちるための多数の孔が貫通形成されている。
【0020】
処理槽12には、水位計1206と、第1の温度センサ1208と、第2の温度センサ1210が設けられている。水位計1206は、貯留部1202に貯留された熱媒体32の液面の位置(水位)を検出するものであり、水位の検出方法には公知の技術である電極式水位検出方式を用いている。
より詳細には、水位計1206は、処理槽12に配管を介して連通する金属製の容器と、水位検出用の3本の電極棒とを含んで構成されている。
3本の電極棒は、容器に挿入されて配設され、下端部の高さ位置が高位、中位、低位の3段階に異なる高水位用電極棒、中水位用電極棒、低水位用電極棒で構成されている。
各電極棒には電源の一方が接続され、容器には電源の他方が接続されており、水位計1206は、各電極棒と容器との導通状態の変化に応じて検出信号を制御手段30に供給する。
すなわち、水位計1206は、容器内の水位が高水位用電極棒、中水位用電極棒、低水位用電極棒にそれぞれ達することにより、容器の水位、すなわち、処理槽12の水位に応じた検出信号を制御手段30に供給する。より詳細には、高水位用電極棒で検出される水位は高水位、中水位用電極棒で検出される水位は中水位、低水位用電極棒で検出される水位は低水位となる。
第1の温度センサ1208は、収容部1204内の温度である槽内温度T1を検出するものである。
第2の温度センサ1210は、貯留部1202に貯留されている熱媒体32の温度である熱媒体温度T2を検出するものである。
【0021】
熱媒体噴射ノズル14は、処理槽12内に収容された各トレイの前後方向の中間に位置して、収容部1204の左右方向の両側方に複数配置されている。そして、この複数の熱媒体噴射ノズル14は、それぞれ多段に積み重ねられた上下のトレイの間で作られる空間の高さ方向略中央に位置し、収容部1204に収容された被処理物に向けて設けられている。
熱媒体噴射ノズル14は、貯留部1202に貯留された熱媒体32の液面よりも上方の箇所に配設されている。
【0022】
第1の蒸気噴射ノズル16は、処理槽12中において、収容部1204の上方に向けて高温蒸気を噴射するものである。
第1の噴射ノズル16は、貯留部1202に貯留された熱媒体32の液面よりも上方の箇所に配設されている。
【0023】
第2の蒸気噴射ノズル18は、貯留部1202に貯留された熱媒体32の中に高温蒸気を噴射するものである。
本実施の形態では、第2の蒸気噴射ノズル18は、熱媒体32に浸漬されており、高温蒸気を熱媒体32に浸漬された箇所から熱媒体32中に吹き込むことによって熱媒体を加熱する。したがって、熱媒体32中に高温蒸気を吹き込んでいるので、槽内温度T1をほぼ一定に保ったままで、貯留部1202に貯留された熱媒体32を加熱することができ、被処理物の温度を維持しながら、熱媒体の昇温時間を短縮することができる。
【0024】
熱媒体供給回路20は、貯留部1202に熱媒体32を供給するものである。
熱媒体供給回路20は、熱媒体タンク2002と、給水用配管2004と、給水ポンプ2006と、給水弁2008とを含んで構成されている。
熱媒体タンク2002は、熱媒体32を収容するものである。
熱媒体タンク2002には、給水源から熱媒体タンク2002に貯留される水量を一定のレベルに制御するボールタップ2010が設けられている。
給水用配管2004は、熱媒体タンク2002と貯留部1202との間を接続するものである。
給水ポンプ2006は、給水用配管2004に設けられ、熱媒体タンク2002に収容された熱媒体32を貯留部1202に供給するものである。
給水弁2008は、給水ポンプ2006と貯留部1202との間の給水用配管2004の箇所に設けられている。
【0025】
熱媒体排出回路22は、貯留部1202に貯留されている使用済みの熱媒体32を排出するものである。
熱媒体排出回路22は、配管2202と、排水弁2204とを含んで構成されている。
配管2202は、貯留部1202と外部(下水溝)とを接続するものである。
排水弁2204は、配管2202に介設されている。
【0026】
熱媒体循環回路24は、貯留部1202に貯留されている熱媒体32を熱媒体噴射ノズル14に供給して、熱媒体32を熱媒体噴射ノズル14から収容部1204に収容された被処理物に噴射させることにより、熱媒体32により被処理物を加熱あるいは冷却するものである。
熱媒体循環回路24は、配管2402と、熱媒体循環ポンプ2404とを含んで構成されている。
配管2402は、貯留部1202と熱媒体噴射ノズル14とを接続するものである。
熱媒体循環ポンプ2404は、配管2402に介設され、貯留部1202の熱媒体32を熱媒体噴射ノズル14に向けて移送するものである。
したがって、熱媒体循環回路24は、熱媒体32を、貯留部1202、配管2402、熱媒体循環ポンプ2404、配管2402、熱媒体噴射ノズル14、貯留部1202という経路で循環させることになる。
【0027】
蒸気供給回路26は、第1の蒸気噴射ノズル16および第2の蒸気噴射ノズル18に高温蒸気を供給するものである。
蒸気供給回路26は、第1の蒸気供給用配管2602と、第2の蒸気供給用配管2604と、第1の給蒸弁2606と、第2の給蒸弁2608とを含んで構成されている。
第1の蒸気供給用配管2602は、不図示の蒸気供給源(ボイラ)と第1の蒸気噴射ノズル16とを接続する。
第2の蒸気供給用配管2604は、前記の蒸気供給源と第2の蒸気噴射ノズル18とを接続する。
第1の給蒸弁2606は、第1の蒸気供給用配管2602に介設されている。
第2の給蒸弁2608は、第2の蒸気供給用配管2604に介設されている。
【0028】
圧力調整手段28は、処理槽12内の圧力を調整するものである。
本実施の形態では、圧力調整手段28は、圧縮空気供給弁2802と、排気弁2804と、逆止弁2806と、真空弁2810と、エア供給弁2812と、開放弁2814と、逆止弁2816と、フィルタ2818とを含んで構成されている。
【0029】
圧縮空気供給弁2802は、不図示の圧縮空気供給源と処理槽12との間に接続されており、圧縮空気供給弁2802が開動作されることにより圧縮空気が処理槽12内に供給される。
【0030】
排気弁2804は、その上流側が処理槽12に接続され、下流側が逆止弁2806を介して処理槽12の外部に接続されており、排気弁2804が開動作すると、処理槽12内の加圧空気が排気弁2804、逆止弁2806を介して処理槽12外へ放出される。
【0031】
減圧手段2808は、真空弁2810を介して処理槽12に接続されている。真空弁2810が開動作した状態で減圧手段2808が動作することにより、処理槽12内が減圧される。
また、減圧手段2808は、エア供給弁2812および圧縮空気供給弁2802を介して、前記の圧縮空気供給源に接続されている。エア供給弁2812および圧縮空気供給弁2802が開動作することでエゼクタ駆動用としてのエアが減圧手段2808に供給される。
減圧手段2808としては、エアエゼクタが好適であるが、水封式真空ポンプなどのポンプを使用するなど、従来公知のさまざまな装置が使用可能である。
【0032】
開放弁2814は、下流側が逆止弁2816を介して処理槽12に接続され、上流側がフィルタ2818を介して処理槽12外部に接続されている。
処理槽12内が負圧となった状態で、開放弁2814が開動作すると、処理槽12外部の空気(大気)がフィルタ2818、開放弁2814、逆止弁2816を介して処理槽12内に供給され、これにより、処理槽12内が大気圧に戻る。この際、フィルタ2818により、処理槽12内に吸入される空気中の塵埃等は除去される。
【0033】
制御手段30は、水位計1206、第1、第2の温度センサ1208、1210からの検出信号を受け付けると共に、給水ポンプ2006、熱媒体循環ポンプ2404、給水弁2008、排水弁2204、第1、第2の給蒸弁2608、2606、圧縮空気供給弁2802、排気弁2804、真空弁2810、エア供給弁2812、開放弁2814を被処理物の加熱殺菌処理手順に従って制御するものである。
また、制御手段30は、予め、以下に示す各時間を計時するタイマ3002を備えており、タイマ3002の計時動作により、以下の各時間が、それぞれ予め定められた設定時間に到達したか否か(設定時間を経過したか否か)を判定するように構成されている。
1)加熱殺菌処理時間(後述する加熱殺菌工程で使用)
2)冷却処理時間(後述する冷却工程で使用)
【0034】
このような制御手段30は、マイクロコンピュータによって構成することができる。
すなわち、マイクロコンピュータは、CPUと、バスラインを介して接続されたROM、RAM、インタフェースなどを含んで構成されている。ROMはCPUが実行する加熱殺菌処理用の制御プログラムなどを格納し、RAMはワーキングエリアを提供する。
そして、CPUが前記の制御プログラムを実行することにより、制御手段30が実現される。
【0035】
次に、本実施の形態におけるレトルト装置10の処理手順について、図2を参照して説明する。
図2に示すように、レトルト装置によるレトルト食品などの被処理物の加熱殺菌処理は、以下に示す各工程を順次実行することでなされる。
1)処理槽12への給水工程(S10)。
2)熱媒体32の予備加熱工程(S12)。
3)熱媒体30の加熱工程(S14)。
4)熱媒体30の殺菌工程(S16)。
5)被処理物を加圧下で冷却する冷却工程(S18)。
6)処理槽12内の熱媒体32を排出する排水工程(S20)。
7)処理槽12内の加圧空気を排出して大気圧にする排気工程(S22)。
8)処理槽12内を一旦負圧にした後、大気圧に戻す終了工程(S24)。
以下、上記各工程について説明する。
【0036】
1)給水工程(S10)
処理槽12内に被処理物を収容し、密閉扉(不図示)を閉止する。
給水弁2008、排水弁2204、第1、第2の給蒸弁2606、2608、圧縮空気供給弁2802、真空弁2810、エア供給弁2812、開放弁2814は閉状態とし、排気弁2804は開状態として給水工程を実行する。
制御手段30は、給水弁2008を開動作させ、給水ポンプ2006を起動して、給水タンク2002から処理槽12の貯留部1202に熱媒体32を供給し、水位計1206の検出結果に基づいて、貯留部1202の給水レベルが予め定められた所定の水位に到達したと判定したならば、給水ポンプ2006を停止し、給水弁2008を閉動作させ、排気弁2804を閉動作させる。本実施の形態では、制御手段30は、高水位用電極棒によって高位の水位が検出されると、貯留部1202への給水を停止する。なお、給水タンク2002から貯留部1202に供給される熱媒体32は常温である。
【0037】
2)予備加熱工程(S12)
図3のフローチャートを参照して説明する。
なお、本実施の形態では、予備加熱工程(S12)と加熱工程(S14)と殺菌工程(S16)とが被処理物を加熱する加熱処理工程を構成している。
制御手段30は、第1の給蒸弁2606を開動作させることにより、蒸気供給回路26から第1の蒸気噴射ノズル16に高温蒸気を供給させ、第1の蒸気噴射ノズル16から処理槽12の内部に高温蒸気を噴射させ、処理槽12内を加熱する(S102)。
ここで、第1の蒸気噴射ノズル16から噴射された高温蒸気により処理槽12内が加熱されることにより被処理物も同時に加熱される。
制御手段30は、第1の温度センサ1208で検出される槽内温度T1が、予め定められた第1の目標温度Tに到達したか否かを判定する(S104)。制御手段30は、槽内温度T1が、第1の目標温度Tに到達していなければ、第1の蒸気噴射ノズル16からの高温蒸気の噴射を維持する。
【0038】
制御手段30は、槽内温度T1が第1の目標温度Tに到達すれば、槽内温度T1が、第1の目標温度Tを維持するように第1の給蒸弁2606の開度を調整すると共に(S106)、第2の給蒸弁2608を開動作させることにより、蒸気供給回路26から第2の蒸気噴射ノズル18に高温蒸気を供給させ、第2の蒸気噴射ノズル18から貯留部1202の熱媒体32に高温蒸気を噴射させ、熱媒体32を加熱する(S108)。
制御手段30は、第2の温度センサ1210で検出される熱媒体温度T2が、予め定められた第2の目標温度Tに到達したか否かを判定する(S110)。制御手段30は、熱媒体温度T2が第2の目標温度Tに到達していなければ、第2の蒸気噴射ノズル18からの高温蒸気の噴射を継続させる。
制御手段30は、熱媒体温度T2が第2の目標温度Tに到達すれば、予備加熱工程(S12)を終了して、加熱工程(S14)に移行する。
また、制御手段30は、処理槽12内の温度が第1の目標温度Tに到達して以降、熱媒体32の温度が第2の目標温度Tに到達するまでの期間、第1の蒸気噴射ノズル16への高温蒸気の供給を制御することにより、処理槽12内の温度を第1の目標温度Tに維持させる。
なお、本実施の形態では、第1、第2の目標温度T、Tは等しい温度であり、90℃〜120℃程度である。第1、第2の目標温度T、Tは厳密に同一の温度である必要はないが、第1、第2の目標温度T、Tが等しい温度であると、槽内温度T1と熱媒体温度T2との安定化を図れることから、被処理物の加熱を安定して効率よく行うことができる。
【0039】
3)加熱工程(S14)
制御手段30は、熱媒体循環ポンプ2404を動作させることにより、熱媒体噴射ノズル14から熱媒体32を被処理物に噴射させる(S112)。同時に、制御手段30は、第1、第2の給蒸弁2606、2608の一方を開動作させ、他方を閉動作させ、第1、第2の蒸気噴射ノズル16、18の一方から高温蒸気を噴射させる(S114)。あるいは、第1、第2の給蒸弁2606、2608の双方を開動作させ、第1、第2の蒸気噴射ノズル16、18の双方から高温蒸気を噴射させてもよい。
ここで、第1の蒸気噴射ノズル16から高温蒸気を噴射させた場合、噴射された高温蒸気は、熱媒体噴射ノズル14から噴射される熱媒体32を加熱し、また、処理槽12内部および被処理物を加熱する。
第2の蒸気噴射ノズル18から高温蒸気を噴射させた場合には、噴射された高温蒸気は、貯留部1202に貯留されている熱媒体32のみを加熱することになるが、第2の蒸気噴射ノズル18からの高温蒸気の噴射により加熱された熱媒体30が、熱媒体噴射ノズル14から噴射されるので、間接的に、処理槽12内部および被処理物を加熱することになる。
このように、第1、第2の給蒸弁2606、2608の一方、あるいは、双方から高温蒸気を噴射させることにより、熱媒体32および処理槽12内部を加熱することができる。
加熱工程(S14)では、第1の蒸気噴射ノズル16から噴射された高温蒸気は熱媒体噴射ノズル14から噴射される熱媒体32に接触してドレンとなり、また、第2の蒸気噴射ノズル18から熱媒体32に噴射された高温蒸気は熱媒体32に接触してドレンとなり、それらドレンが熱媒体32と混合して貯留部1202に貯留されるので、貯留部1202における熱媒体32の水位は徐々に上昇する。したがって、制御手段30は、貯留部1202に貯留される熱媒体32の水位が予め定められた水位となるように、排水弁2204の開閉動作を制御する。本実施の形態では、制御手段30は、水位計1206で高水位用電極棒および中水位用電極棒の間に水位が検出されるように排水を制御する。
【0040】
制御手段30は、第1の温度センサ1208で検出される槽内温度T1が、予め定められた第3の目標温度Tに到達したか否かを判定する(S116)。第3の目標温度Tは、被処理物を加熱殺菌するために必要な高温であって、第1、第2の目標温度T、Tよりも高い温度であり、本実施の形態では、110℃〜120℃程度である。
【0041】
4)殺菌工程(S16)
制御手段30は、槽内温度T1が第3の目標温度Tに到達したならば、タイマ3002を起動させ計時動作を開始する(S118)。
制御手段30は、タイマ3002の計時動作に基づき、第3の目標温度Tでの加熱殺菌処理時間が予め定められた設定時間に到達したか否かを判定する(S120)。
制御手段30は、第3の目標温度Tでの加熱殺菌処理時間が設定時間に到達していなければ、S120の動作を維持し、第3の目標温度Tでの加熱殺菌処理時間が設定時間に到達していれば、熱媒体循環ポンプ2404の運転を継続させたまま、第1、第2の給蒸弁2606、2608のうち開動作していたものを閉動作させて高温蒸気の供給を停止させる(S122)。これにより、被処理物の加熱殺菌処理が終了する。
【0042】
なお、加熱工程から殺菌工程における処理槽12内の圧力は大気圧より高く設定されている。
例えば、制御手段30は、処理槽12内に設けられた圧力センサ(不図示)の検出結果に基づいて、圧縮吸気供給弁2802および排気弁2804を開閉動作させることにより処理槽12内の圧力を大気圧より高い予め定められた目標圧力P1に制御する。
また、加熱殺菌工程においては、処理槽12に不図示の配管を介して圧縮空気を供給することにより、第1、第2の蒸気噴射ノズル16、18から噴射される高温蒸気の温度を調整する。そして、高温蒸気を温度調整することによって、第1、第2の蒸気噴射ノズル16、18近傍箇所に位置する被処理物が、それ以外の箇所に位置する被処理物よりも高温となるなど、被処理物が局所的に高温となることを抑制するようにしてもよい。
【0043】
4)冷却工程(S18)
冷却工程は以下の(a)〜(e)の手順で行われる。
(a)制御手段30は、給水弁2008を開動作させると共に給水ポンプ2006を動作させ、水位計1206で中水位が検出されるまで熱媒体32の処理槽12への供給を行う。
(b)制御手段30は、中水位が検出されたならば、熱媒体32の処理槽12への供給を維持しつつ、水位計1206の検出結果に基づき、中水位を維持するように排水弁2204の開閉動作を制御し、熱媒体循環ポンプ2404を動作させて、熱媒体噴射ノズル14から熱媒体32を被処理物に向けて噴射させる。
噴射された熱媒体32は、被処理物を伝わって下方に流れ落ち貯留部1202に至り貯留される。貯留部1202に貯留された熱媒体32は、配管2402および熱媒体循環ポンプ2404を介して熱媒体噴射ノズル14から噴射される。このようにして熱媒体32は循環しながら被処理物に噴射され、被処理物の温度が徐々に低下する。
(c)制御手段30は、第1の温度センサ1208によって検出される槽内温度T1が90℃〜100℃に低下したら、熱媒体循環ポンプ2404を停止し、給水弁2008を閉動作させ、給水ポンプ2006を停止し、(d)に移行する。
(d)設定回数(0回〜5回)だけ、以下の(1)、(2)を繰り返す。
(1)制御手段30は、排水弁2204を開動作させ、水位計1206で低水位が検出されなくなったならば、排水弁2204を閉動作させ、給水弁2008を開動作させ、給水ポンプ2006を動作させて、水位計1206で高水位が検出されるまで常温の熱媒体32を処理槽12に供給する。
(2)制御手段30は、水位計1206で高水位が検出されたならば、給水弁2008を閉動作させ、給水ポンプ2006を停止させ、タイマ3002を起動し、熱媒体循環ポンプ2404を動作させて、熱媒体噴射ノズル14から熱媒体32を被処理物に向けて噴射させる。これにより被処理物の冷却がなされる。タイマ3002の計時時間が予め定められた第1の冷却処理時間に到達したならば、熱媒体循環ポンプ2404を停止させる。
(e)(d)の設定回数が最後の運転では、制御手段30は、上記(1)、(2)の代わりに、タイマ3002を起動し、熱媒体循環ポンプ2404を動作させて熱媒体噴射ノズル14から熱媒体32を被処理物に向けて噴射させる。これにより被処理物の冷却がなされる。制御手段30は、熱媒体循環ポンプ2404の動作を維持した状態で、給水弁2008を開動作させ、給水ポンプ2006を動作させて、水位計1206で中水位が検出される状態を維持するように、排水弁2204を開閉動作させる。タイマ3002の計時時間が予め定められた第2の冷却処理時間に到達したならば、熱媒体循環ポンプ2404、給水ポンプ2006を停止させ、給水弁2008、排水弁2204を閉動作させる。
【0044】
6)排水工程(S20)
制御手段30は、給水ポンプ2006、熱媒体循環ポンプ2404の停止および給水弁2008の閉動作を維持し、排水弁2204を開動作させ処理槽12内の熱媒体32を全て排出させる。
制御手段30は、水位計1206の検出結果に基づいて、処理槽12内の熱媒体32が全て排出されたと判定したならば、給水ポンプ2006、熱媒体循環ポンプ2404の停止を維持し、給水弁2008の閉動作を維持し、排水弁2204の開動作を維持した状態で排水工程を終了する。
【0045】
7)排気工程(S22)
制御手段30は、排水弁2204の開動作を維持しつつ、排気弁2804を開動作させることにより、処理槽12内の加圧空気を排出する。
制御手段30は、前記の圧力センサにより処理槽12内の圧力が大気圧となったことが検出されたならば、排水弁2204および排気弁2804を閉動作させ、排気工程を終了する。
【0046】
8)終了工程(S24)
制御手段30は、真空弁2810、エア供給弁2812、圧縮空気供給弁2802を開動作させて、減圧手段2808を動作させ、処理槽12内を大気圧に対して僅かに負圧となるようにする。前記の圧力計により処理槽12内が負圧であることが検出されたならば、真空弁2810、エア供給弁2812、圧縮空気供給弁2802を閉動作させることによって、減圧手段2408を停止させ、開放弁2814を開動作させる。
その後、前記の圧力計により処理槽12内が大気圧となったことが検出されたならば、終了工程を終了し、これにより1バッチ分の処理(運転)が完了する。
【0047】
本実施の形態によれば、被処理物を加熱する加熱処理工程において、初期段階で、第1の蒸気噴射ノズル16から高温蒸気を噴射させることにより、処理槽温度T1を第1の目標温度T、Tまで加熱させたのち、第2の蒸気噴射ノズル18から熱媒体32に高温蒸気を噴射することにより、熱媒体32の温度を予め定められた第2の目標温度Tまで加熱させ、熱媒体噴射ノズル14から熱媒体32を噴射させるようにした。
したがって、加熱処理工程の初期段階で処理槽12内に噴射された高温蒸気によって、被処理物が直ちに加熱され、次いで、高温蒸気によって加熱された熱媒体32が、被処理物に噴射されることで被処理物が加熱されるため、被処理物を所定温度まで昇温させるために要する時間の短縮化を図ることができ、被処理物の加熱殺菌を確実に行うことができる。
【0048】
また、本実施の形態においては、制御手段30は、槽内温度T1が第1の目標温度Tに到達した以降、熱媒体温度T2が第2の目標温度Tに到達するまでの期間、槽内温度T1を第1の目標温度Tに維持させるので、槽内温度T1と熱媒体温度T2との安定化を図れることから、被処理物の加熱を安定して効率よく行うことができる。
【0049】
また、本実施の形態においては、被処理物の加熱処理工程では、熱媒体温度T2が第2の目標温度Tに到達したならば、熱媒体噴射ノズル14から熱媒体32を噴射させつつ第1、第2の蒸気噴射ノズル16、18の一方または双方から高温蒸気を噴射させることにより、処理槽温度T1を第1、第2の目標温度T、Tよりも高い第3の目標温度Tまで加熱させ、その状態を維持するようにした。したがって、被処理物を昇温された状態で確実に維持して、被処理物の加熱殺菌を確実に行うことができる。
【0050】
次に、本実施の形態のレトルト装置10と、比較例のレトルト装置とを用いて被処理物の加熱殺菌を実施した実験結果について説明する。
比較例のレトルト装置は、予め処理槽に貯留された常温の熱媒体に高温蒸気を噴射して加熱しつつ、その熱媒体を処理槽内に設けた熱媒体噴射スプレーから被処理物に循環して噴射するようにしたものである。
【0051】
図4は、被処理物の殺菌加熱処理を実施した場合における槽内温度、被処理物の中心温度、および、この温度から求められるF値の計測値を示す線図である。
図中、符号は以下の数値を示しており、横軸は時間(min)、縦軸は温度(℃)およびF値(min)を示す。
T1:本実施の形態の槽内温度
T1:比較例の槽内温度
T3:本実施の形態の被処理物の中心温度
T3:比較例の被処理物の中心温度
:本実施の形態の被処理物のF値
:比較例の被処理物のF値
なお、横軸の時間0(min)は、加熱処理工程の開始時点(予備加熱工程(S12)の開始時点)となっている。
また、本例では、第1、第2の目標温度T、Tが共に100℃であり、第3の目標温度Tが120℃である場合を示す。
【0052】
図4の温度上昇曲線T1、T3に見られるように、比較例として用いた従来のレトルト装置では、本願発明と比較して、温度上昇に長く時間がかかっていることがわかる。これは、被処理物を加熱する初期段階では、熱媒体が常温であるため、熱媒体に蒸気を噴射してもすぐには温度が上昇せず、被処理物に対しても常温の熱媒体が噴射されることに起因する。
これに対して、本実施の形態の槽内温度T1、中心温度T3は、比較例の槽内温度T1B、中心温度T3に比較して、温度が上昇するまでに要する時間が短くなっている。このことは、F値=5(min)で比較すると、本実施の形態が、従来のレトルト装置に比較して、0.5(min)程度短い時間でF値が5に到達していることからも理解できる。
以上の結果から、本実施の形態のレトルト装置は、槽内温度T1を短時間で昇温させることによって、被処理物を所定温度まで昇温させるために要する時間の短縮化を図ることができ、被処理物の加熱殺菌を確実に行うことのできる効果が得られていることがわかる。
【0053】
なお、実施の形態では、被処理物がレトルト食品である場合について説明したが、被処理物は缶詰や医薬品など任意である。
また、実施の形態では、加熱処理工程によって被処理物の殺菌を行う場合について説明したが、加熱処理工程によって被処理物の調理、あるいは、調理および殺菌の双方を行うなど任意である。
【符号の説明】
【0054】
10……レトルト装置
12……処理槽
14……熱媒体噴射ノズル
16……第1の蒸気噴射ノズル
18……第2の蒸気噴射ノズル
30……制御手段
32……熱媒体
T1……槽内温度
T2……熱媒体温度
……第1の目標温度
……第2の目標温度
……第3の目標温度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理槽に収容された被処理物に、前記処理槽の底部に貯留された熱媒体を噴射させる熱媒体噴射ノズルと、
前記処理槽の内部に高温蒸気を噴射させる第1の蒸気噴射ノズルと、
前記処理槽の底部に貯留された前記熱媒体に高温蒸気を噴射する第2の蒸気噴射ノズルと、
前記熱媒体の前記熱媒体噴射ノズルへの供給と、前記第1、第2の蒸気噴射ノズルへの前記高温蒸気の供給とを制御する制御手段とを備えるレトルト装置であって、
前記制御手段は前記被処理物を加熱する加熱処理工程において、
初期段階で、前記第1の蒸気噴射ノズルから前記処理槽の内部に高温蒸気を噴射させることにより前記処理槽内部の温度を予め定められた第1の目標温度まで加熱させ、
前記処理槽内部の温度が前記第1の目標温度に到達したならば、前記第2の蒸気噴射ノズルから前記処理槽に貯留されている熱媒体に高温蒸気を噴射することにより前記熱媒体の温度を予め定められた第2の目標温度まで加熱させ、
前記熱媒体が第2の目標温度に到達したならば、前記熱媒体噴射ノズルから前記熱媒体を噴射させる、
ことを特徴とするレトルト装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記処理槽内の温度が前記第1の目標温度に到達した以降、前記熱媒体の温度が前記第2の目標温度に到達するまでの期間、前記第1の蒸気噴射ノズルへの高温蒸気の供給を制御することにより前記処理槽内の温度を前記第1の目標温度に維持させることを特徴とする、
請求項1に記載のレトルト装置。
【請求項3】
前記被処理物の加熱処理工程において、
前記熱媒体の温度が第2の目標温度に到達したならば、前記熱媒体噴射ノズルから前記熱媒体を噴射させつつ、前記第1、第2の蒸気噴射ノズルの一方または双方から高温蒸気を噴射させることにより、前記処理槽の内部の温度を前記第1、第2の目標温度よりも高い予め定められた第3の目標温度まで加熱させ、前記加熱させた状態を維持することがなされることを特徴とする、
請求項1または2に記載のレトルト装置。
【請求項4】
前記第1の目標温度および前記第2の目標温度が等しいことを特徴とする、
請求項1乃至3の何れか1項に記載のレトルト装置。
【請求項5】
前記第2の蒸気噴射ノズルによる前記熱媒体への高温蒸気の噴射は、前記高温蒸気を前記熱媒体に浸漬された箇所から前記熱媒体中に吹き込むことによってなされることを特徴とする、
請求項1乃至4の何れか1項に記載のレトルト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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