説明

レナリドマイドの結晶形およびその調製方法

本発明は、式(I)を有し、化学的に3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンとして知られているレナリドマイドの新規な結晶形に関する。さらに、本発明は、当該新規な結晶形の調製方法、ならびに自己免疫疾患、炎症、炎症性疾患および、癌、特に多発性骨髄腫の管理等の疾患の治療のための医薬の調製における、その結晶形の使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)を有し、化学的に3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンとして知られているレナリドマイドの新規な結晶形に関する。さらに、本発明は、当該新規な結晶形の調製方法、ならびに自己免疫疾患、炎症、炎症性疾患および、癌、特に多発性骨髄腫の管理等の疾患の治療のための医薬の調製における、その結晶形の使用に関する。
【0002】
【化1】

【背景技術】
【0003】
レナリドマイドは、自己免疫疾患、炎症、炎症性疾患および癌を含む、広い範囲の疾患の治療に用いられている。構造的に、サリドマイドと密接に関係している。
【0004】
US5635517およびUS6281230には、レナリドマイドおよび構造類似物の調製が記載されている。US5635517は、腫瘍壊死因子α(TNFα)の望ましくないレベルを低下させるためのレナリドマイドの使用に関する。レナリドマイドは、1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−ニトロ−イソインドリンを、50psiの水素雰囲気下、1,4−ジオキサンに懸濁した10%Pd/Cを用いて接触水素添加することによって製造される。還元された化合物をろ過して、溶媒を取除き、残渣を酢酸エチルから結晶化することで、オレンジ色の化合物が得られる。この開示された製造方法の収率は69%である。さらなる精製として、ジオキサンと酢酸エチルの混合物からこの固体をさらに再結晶する。上記の特許の双方とも、レナリドマイドの純度を上げるための合成方法、単離方法および結晶化方法が記載されている。しかし、これら特許には、いかなる多型も、またいかなる特徴的なデータも開示されていない。
【0005】
共にセルジーン社に譲渡されているWO2005/023192およびUS2005/0096351には、レナリドマイドの様々な結晶形が開示されている。これら特許出願には、結晶形の調製が記載され、またXRPD、ラマン分光、およびDSC、TGA等の熱重量分析を用いて、それら結晶形を特徴付けしている。水和物、溶媒和物、無水物を含む、全部で8つの結晶形(A型〜H型)が報告されている。当該特許権者が特許請求したように、1/2水和物のB型結晶が、医薬製品に製剤化するために選択される最も望ましい多型と考えられている。実際、B型が臨床試験のための組成物の製剤化に用いられた。様々な結晶形およびそれらの特性のいくつかを、表1に要約する。
【0006】
【表1】

【0007】
WO2005/023192に記載の結晶形は水溶解性が非常に悪い。1/2水和物のB型は多型混合物の水懸濁液から調製された。レナリドマイドの懸濁液を10体積倍の水と共に75℃の温度で6〜24時間加熱して、ほぼ同じ温度でろ過した。この取扱いから明らかなように、出発物質も得られるB型も共に水溶解性が非常に悪い。
【0008】
APIの悪い溶解度はバイオアベイラビリティおよび医薬製剤の1回服用量にも影響を与えうることが、よく知られている。その1回服用量に関係して、より溶解度の高いAPIは、より溶解度の低いAPIと比較して、同じ治療効果を与えるために必要とされるAPIの量は少量である。これは、もちろん、APIで生じうる副作用を減少させるファクターの1つとなりうる。1回服用量を減らし、より多い一回服用量によって生じうる副作用を最小化し、さらに優れたバイオアベイラビリティを有する組成物を提供するために、可能な最良の溶解度を有するAPIの形態を用いることを、製剤研究者は目的とする。開発段階において、APIの良い溶解度は一回服用量を減らすのに役立つ。
【0009】
WO2005/023192には、水またはその他の溶媒の系の存在下で、すべての記載されている結晶形の中でB型が、最も安定であることがはっきりと開示されている。しかし、B型であっても他の結晶形に変換しやすい。水性環境の中で変換が進行する結晶形は非常に望ましくない。実際、医薬組成物中のAPIが満足すべき多型安定性を示すことが、世界中の保険医療当局の要件となっている。
【0010】
従って、製剤研究者のオプションのレパートリーとして種々の結晶形が提供されても、そのいずれもが、水性環境で他の結晶形への変換という点で安定ではなく、適当な保存安定性がないということが、理解されるであろう。例えば、A型は熱力学的に最も安定であると記述されているが、水または他の水性溶媒の系の存在下でE型に変換される。B型は医薬組成物における使用に選択された結晶形であると記載されているが、水性溶媒系でE型に変換することが示されている。従って、B型を含有する医薬組成物は、保存および製造において水の移入がないことを確実にしなければならない。このことは、高価なパッケージ、または保護コーティング等の賦形剤の追加によって達成できる。これらは、製造コストを増やし、さらに製造プロセスに複雑さを増す。
【0011】
WO2005/023192は、E型が水または水性溶媒の系の存在下で最も安定であると記載しているが、その記載はやや混乱を巻き起こす。この同じ主張が適用するかはともかく、E型は水または水性溶媒の系の存在下で最も安定な結晶形の1つである一方、保存時に最も大きな重量損失を示す。この重量損失はAPIが分解していることを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
先行技術の上記問題を考慮すると、保存中、製造の間、水および他の水性溶媒の系の存在下での多型安定性、ならびに望ましい水溶解性の優れた特性をすべて有するレナリドマイドの結晶形が必要であることが、理解されるであろう。
【0013】
加えて、新しく報告される多型を、バイオアベイラビリティが証明されている既存の多型に、特にWO2005/023192の出願人が医薬開発のために選択した結晶形として選定したB型に、変換する効率的な方法を開発することは、有益であろう。
【0014】
本発明の第一の目的は、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオン(レナリドマイド)の無水で結晶性の新規な多型である。
【0015】
本発明の第二の目的は、レナリドマイドの新規な結晶形の調製方法であり、その方法は本発明の新規な結晶形を良い収率で与える。
【0016】
本発明の第三の目的は、本発明のレナリドマイドの新規な結晶形を中間体として用いて、WO2005/023192に報告された既存のB型を調製する新たな方法である。
【0017】
本発明の第四の目的は、本発明のレナリドマイドの新規な結晶形を含有する医薬組成物である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このように、本発明の第一の側面に従って、約46.6または46.7±0.2°の2θに特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有するレナリドマイドの無水の結晶形が提供される。好ましい態様によって、約4.5、22.7および32.4±0.2°の2θにさらなる特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する本発明の無水の結晶形が提供される。さらに好ましい態様によって、図1に実質的に示される粉末X線回折パターンを有する本発明の無水の結晶形が提供される。
【0019】
他の態様において、熱重量分析(TGA)で50〜225℃の間でほとんどもしくは全く重量損失を示さないことでさらに特徴付けられる、または代替的に、示差走査熱量測定(DSC)による測定で約275℃または276℃±5℃に融点を有することでさらに特徴付けられる、レナリドマイドの無水の結晶形が提供される。
【0020】
本発明の第二の側面において、以下の工程:
(a)直鎖または分岐鎖のC−Cアルコール、脂肪族ケトンおよび環状エーテルまたはこれらの混合物を含む群から選択される溶媒に、レナリドマイドを溶解もしくは懸濁させる工程;
(b)望む結晶形を沈殿させる工程;および
(c)工程(b)で得られた結晶性固体を単離する工程を含む、
本発明の第一の側面のレナリドマイドの無水の結晶形の調製方法が提供される。
【0021】
工程(a)で用いるレナリドマイドは、不純であってもよい。好ましくは、工程(a)において、レナリドマイドは溶解される。
【0022】
好ましくは、工程(a)で用いられる溶媒は、直鎖または分岐鎖のC−Cアルコール、直鎖または分岐鎖のC−C脂肪族ケトンおよびC−C環状エーテルまたはこれらの混合物である。好ましくは、アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールまたはこれらの混合物である。好ましくは、ケトンは、アセトン、ブタノン、メチルイソプロピルケトンまたはこれらの混合物である。好ましくは、環状エーテルは、ジオキサン(1,4−ジオキサン等)、THFまたはこれらの混合物である。
【0023】
好ましくは、C−Cアルコールはエタノールであり、または代替的に脂肪族ケトンはブタノンまたはアセトンであり、または他の代わる態様において環状エーテルはジオキサンである。
【0024】
オプションとして、1つの態様において工程(a)で用いられる溶媒はメタノールではない。オプションとして、1つの態様において工程(a)で用いられる溶媒はエタノールではない。オプションとして、1つの態様において工程(a)で用いられる溶媒はn−ブタノールではない。オプションとして、1つの態様において工程(a)で用いられる溶媒はアセトンではない。オプションとして、1つの態様において工程(a)で用いられる溶媒はメチルエチルケトンではない。オプションとして、1つの態様において工程(a)で用いられる溶媒はTHFではない。オプションとして、1つの態様において工程(a)で用いられる溶媒は1,4−ジオキサンではない。
【0025】
本発明の第二の側面の方法の他の代替的な態様において、透明な溶液が得られるまで、工程(a)からの混合物を加熱してレナリドマイドを溶解させる。
【0026】
さらに好ましい態様において、工程(a)からの溶液または懸濁液を冷却することで、望む結晶形を沈殿させる。有利には、溶液または懸濁液を約0〜10℃の間に冷却する。
【0027】
他の好ましい態様において、工程(b)から得られた結晶性固体をろ過で単離する。
好ましくは、単離した固体を、さらに工程(a)で用いた溶媒で洗浄する。
【0028】
さらに他の態様において、重量が一定になるまで、単離した固体を乾燥する。有利には、約40〜60℃の間、最も好ましくは約40〜50℃の間でその固体を乾燥する。さらなる態様において、約50〜55℃の間で、約3〜4時間、減圧条件下、その固体を乾燥する。
【0029】
本発明の第三の側面において、以下の工程:
(a)極性有機溶媒および水の混合物に、本発明の第一の側面のレナリドマイドの無水の結晶形を溶解または懸濁させる工程;
(b)工程(a)における溶液または懸濁液から望むB型を沈殿させる工程;および
(c)固体のB型結晶を単離する工程を含む、
本発明の第一の側面の無水の結晶形を、先行技術のレナリドマイドのB型結晶に変換する方法が提供される。
【0030】
好ましくは、工程(a)において、レナリドマイドの無水の結晶形は溶解される。
好ましくは、水と溶媒の比は、約5:95〜約30:70である。最も好ましくは、比は約20:80である。
【0031】
好ましい態様において、極性有機溶媒は水混和性溶媒、好ましくは水混和性脂肪族アルコールである。好ましいアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールまたはこれらの混合物である。特に有利な態様において、混合物は、メタノール:水またはイソプロパノール:水の一方である。
【0032】
本発明の第三の側面の方法の他の代替的な態様において、透明な溶液が得られるまで、工程(a)からの混合物を加熱してレナリドマイドを溶解させる。レナリドマイドを完全に溶解させるか、部分的に溶解させるか、または懸濁にもすることができ、そのような方法は依然として本発明の範囲に含まれることが、もちろん理解されるであろう。従って、特に有利な態様において、混合物を約45〜55℃の間に加熱する。
【0033】
さらに好ましい態様において、工程(a)からの溶液または懸濁液を冷却することで、B型結晶を沈殿させる。有利には、溶液または懸濁液を約0〜10℃の間に冷却する。
【0034】
他の好ましい態様において、工程(b)から得られた結晶性固体をろ過で単離する。
好ましくは、単離した固体をさらに冷メタノールで洗浄する。
【0035】
さらに他の態様において、重量が一定になるまで、単離した固体を乾燥する。有利には、約50〜60℃の間、最も好ましくは約55〜60℃の間でその固体を乾燥する。さらなる態様において、約40〜50℃の間で、約3時間、約100mmHgの圧力で、その固体を乾燥する。
【0036】
好ましい態様において、本発明の第一の側面の、または本発明の第二の側面の方法で調製される、レナリドマイドの無水の結晶形は、レナリドマイドの他の多型、特にレナリドマイドのB型を調製するのに適している。
【0037】
好ましい態様において、本発明の第一の側面の、もしくは本発明の第二の側面の方法で調製される、レナリドマイドの無水の結晶形、または本発明の第三の側面の方法で調製されるB型結晶は、化学純度および/または多型純度がそれぞれ約90%を超え、好ましくは約95%を超え、好ましくは約99%を超え、最も好ましくは約99.5%を超える。化学純度は好ましくはHPLCで測定される。多型純度は好ましくはXRPD、DSCおよび/またはTGAで測定される。
【0038】
好ましい態様において、本発明の第一の側面の、もしくは本発明の第二の側面の方法で調製される、レナリドマイドの無水の結晶形、または本発明の第三の側面の方法で調製されるB型結晶は、医薬における使用、特に炎症、炎症性疾患、自己免疫疾患または癌の治療に適している。
【0039】
本発明の第四の側面によって、本発明の第一の側面の、もしくは本発明の第二の側面の方法で調製される、レナリドマイドの無水の結晶形、または本発明の第三の側面の方法で調製されるB型結晶と、1またはそれ以上の薬学上許容される賦形剤とを含有する医薬組成物が提供される。特に好ましい態様において、この医薬組成物は、炎症、炎症性疾患、自己免疫疾患または癌の治療に適している。
【0040】
本発明の第五の側面によって、炎症、炎症性疾患、自己免疫疾患または癌の治療のための医薬の製造における、本発明の第一の側面の、もしくは本発明の第二の側面の方法で調製される、レナリドマイドの無水の結晶形の使用、または本発明の第三の側面の方法で調製されるB型結晶の使用が提供される。
【0041】
本発明の第六の側面によって、本発明の第一の側面の、もしくは本発明の第二の側面の方法で調製される、レナリドマイドの無水の結晶形、または本発明の第三の側面の方法で調製されるB型結晶を治療上有効な量、それを必要とする患者に投与することを含む、炎症、炎症性疾患、自己免疫疾患または癌の治療方法が提供される。好ましくは、患者は保有動物、好ましくはヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第一の側面のレナリドマイドの新規な無水の結晶形のXRPDの図である。
【図2】本発明の第一の側面のレナリドマイドの新規な無水の結晶形の示差走査熱量測定(DSC)の図である。
【図3】本発明の第一の側面のレナリドマイドの新規な無水の結晶形の熱重量分析(TGA)の図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本明細書で用いられている「多型(polymorph)」、「多型(polymorphic form)」、および「結晶形(crystalline form)」は互換的に用いられている。
【0044】
レナリドマイドは不整中心を1つ有し、従って2つの異性体、R異性体とS異性体が存在する。本発明には、レナリドマイドの鏡像異性的に富んだ異性体、レナリドマイドの実質的に鏡像異性的に純粋な異性体と共に、レナリドマイドの2つの異性体のラセミ混合物が、包含される。本発明の目的のために、レナリドマイドの「実質的に鏡像異性的に純粋な」異性体とは、レナリドマイドの他の異性体を5%未満しか含まないものを言う。
【0045】
本発明によって、レナリドマイドの新規で固体の無水の結晶形およびその調製方法が提供される。開示されている方法は、単純であり、スケールアップが受け入れられ、化学純度および多型純度がそれぞれ95%を超え、好ましくは96%を超え、より好ましくは97%を超える多型を提供する。特に好ましくは、調製のスケールに関わらずに、純度が98%を超え、また最も好ましくは、純度が99%を超える。
【0046】
さらに、本発明の第一の側面の、または本発明の第二の側面の方法で調製される、無水の結晶形は、以前に先行技術に記載されたことがない特性を有利に組合せた新規な多型を提供する。これらの特性は:
(1)水および水性溶媒の系の存在下の多型安定性。
(2)例えば、約20〜30℃の間、好ましくは約25〜28℃の間の室温での保存等の、通常の保存条件下での安定性。
(3)対応する医薬組成物における向上する優れたバイオアベイラビリティおよび優先的な1回服用量に関係する、水性媒体中の高い溶解度。WO2005/023192に開示のB型およびB型を得る原料である多型混合物は、発明者らによって調製され、双方とも水溶解性が低いことが見出された。従って、本発明の第一の側面で提供されるような、より高い水溶解性を有するレナリドマイドの多型を提供することは、実に有利である。
【0047】
本発明の第一の側面の多型の調製方法は、以下の工程:
(a)直鎖または分岐鎖のC−Cであるアルコール、脂肪族ケトンおよび環状エーテルまたはこれらの混合物を含む群から選択される溶媒に、不純なレナリドマイドを溶解もしくは懸濁させる工程;
(b)望む結晶形を沈殿させる工程;および
(c)得られた結晶性固体を単離する工程を含む。
【0048】
不純なレナリドマイドは先行技術に開示のものを含む、いかなる結晶形であってもよいことは、もちろん理解されるであろう。本発明の好ましい態様において、透明な溶液が得られるまで、工程(a)からの混合物を加熱してレナリドマイドを溶解する。これによって、不純なレナリドマイドのすべてが溶解して、より純度の高い最終物が一般的に得られることが確実になる。不純なレナリドマイドを完全に溶解させるか、部分的に溶解させるか、または懸濁にもすることができ、そのような方法は依然として本発明の範囲に含まれることが、もちろん理解されるであろう。溶解はまた、超音波、激しく攪拌または単なる攪拌等の当該技術分野で知られている他の技術を用いても良い。
【0049】
その後、望む結晶形を沈殿させるために、好ましい態様において混合物を冷却するか、または代替的態様において、反溶媒を添加してもよい。好ましい態様において、混合物を、約0〜10℃の間に、最も好ましくは約0〜5℃の間に冷却する。得られた沈殿した固体をさらに工程(a)で用いた溶媒と同じ溶媒で洗浄することができる。乾燥した固体をいずれかの手段、好ましくは真空ろ過で単離する。
【0050】
特に好ましい態様において、単離した固体を乾燥してもよく、好ましくは単離した固体の変換または分解を引き起こさない条件で乾燥する。減圧条件下での乾燥、好ましくは真空オーブン中で約40〜60℃の間、好ましくは約50〜55℃の間で、約100mmHgの圧力で約4時間または重量が一定になるまでの乾燥が、特に有利であることを、本発明者らは見出した。
【0051】
上記のレナリドマイドの望む結晶形の調製によって、99%を超える高い結晶/多型純度を有するレナリドマイドが得られることを、本発明者らは見出した。さらなる態様において、エタノール等の溶媒から結晶化することで、99%を超える高い結晶/多型純度を有するレナリドマイドを得ることができる。
【0052】
本発明の他の側面によって、他の結晶形、特に医薬組成物を調製するのに選択された結晶形のようであるB型に、この多型が変換できることを提供する。
【0053】
本発明の第三の側面において、以下の工程:
(a)極性有機溶媒および水の混合物に、本発明の第一の側面のレナリドマイドの無水の結晶形を溶解または懸濁させる工程;
(b)工程(a)における溶液または懸濁液から、望むB型を沈殿させる工程;および
(c)固体のB型結晶を単離する工程を含む、
本発明の無水の結晶形を先行技術のB型結晶に変換する方法が提供される。
【0054】
好ましくは、極性有機溶媒は、水混和性脂肪族アルコールを含む群から選択され、典型的にはC−Cアルコール等の低級脂肪族アルコール、最も好ましくはメタノールである。
【0055】
特に好ましい態様において、混合物は、好ましくはメタノール:水または代替的にイソプロパノール:水である。
【0056】
好ましい態様において、溶媒混合物における水の量は10〜30%の間であり、しかし最も好ましくは約20%である。
【0057】
本発明の第三の側面の好ましい態様において、透明な溶液が得られるまで、工程(a)からの混合物を加熱してレナリドマイドを溶解させる。約45〜55℃の間、最も好ましくは約50〜55℃の間で加熱することが、最も有利であることを、本発明者らは見出した。これによって、不純なレナリドマイドのすべてが溶解して、より純度の高い最終物が一般的に得られることが確実になる。不純なレナリドマイドを完全に溶解させるか、部分的に溶解させるか、または懸濁にもすることができ、そのような方法は依然として本発明の範囲に含まれることが、もちろん理解されるであろう。溶解はまた、超音波、激しく攪拌または単なる攪拌等の当該技術分野で知られている他の技術を用いても良い。
【0058】
その後、望むB型結晶を沈殿させるために、混合物を冷却するか、または代替的態様において、反溶媒を添加してもよい。工程(a)からの混合物を加熱して溶解させる場合の好ましい態様において、混合物を、最初に約25〜30℃の間までゆっくりと冷却してもよい。さらに冷却して、最も好ましくは約0〜5℃の間まで冷却してもよい。好ましい態様において、得られたB型をさらに冷メタノールで洗浄してもよい。
【0059】
乾燥した固体は、いかなる手段で、好ましくは真空ろ過で単離することができる。特に好ましい態様において、単離した固体を乾燥してもよく、好ましくは単離した固体の変換または分解を引き起こさない条件で乾燥する。真空オーブン中で約45〜55℃の間、好ましくは約50〜55℃の間で、約100mmHgの圧力で約4時間または重量が一定になるまでの乾燥が、特に有利であることを、本発明者らは見出した。
【0060】
活性成分に加えて、本発明の医薬組成物は、1またはそれ以上の賦形剤を含んでもよい。賦形剤は、いろんな目的で組成物に添加される。希釈剤は、固形医薬組成物の体積を増やし、患者および治療奉仕者にとってその組成物を含む医薬投与形態を取り扱いやすくする。固形組成物のための希釈剤には、例えば微結晶セルロース(アビセル(登録商標)等)、超微粒セルロース、乳糖、デンプン、アルファ化デンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、砂糖、デキストレーツ(dextrates)、デキストリン、ブドウ糖、二塩基性リン酸カルシウム2水和物、三塩基性リン酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、ポリメタクリレート(オイドラギット(登録商標)等)、塩化カリウム、粉末セルロース、塩化ナトリウム、ソルビトールおよびタルクが含まれる。
【0061】
錠剤等の投与形態の中に圧縮成形される固形医薬組成物は、圧縮後に活性成分と他の賦形剤との結合を促進する機能を有している賦形剤を含有してもよい。固形医薬組成物のための結合剤としては、アラビアゴム、アルギン酸、カルボマー(カルボポール(Carbopol,登録商標)等)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアルゴム、水素化植物油、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(クルーセル(Klucel,登録商標)等)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトセル(Methocel,登録商標)等)、液体グルコース、マグネシウムアルミニウムシリケート、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポビドン(コリドン(Kollidon,登録商標)、プラスドン(Plasdone,登録商標)等)、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウムおよびデンプンが含まれる。
【0062】
患者の胃の中での圧縮成形された医薬組成物の溶解速度は、崩壊剤をその組成物に添加することで速めることができる。崩壊剤としては、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(アクジゾル(Ac−Di−Sol,登録商標)、プリメロース(Primellose,登録商標)等)、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(コリドン(Kollidon,登録商標)、ポリプラスドン(Polyplasdone,登録商標)等)、グアルゴム、マグネシウムアルミニウムシリケート、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポラクリリン(polacrilin)カリウム、粉末セルロース、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム(エクスプロタブ(Explotab,登録商標)等)およびデンプンが含まれる。
【0063】
圧縮成形されていない医薬組成物の流動性を改善し、また投与の正確性を改善するために、流動促進剤(glidant)を添加することができる。流動促進剤として機能しうる賦形剤としては、コロイド状二酸化ケイ素、マグネシウムトリシリケート、粉末セルロース、デンプン、タルクおよび三塩基性リン酸カルシウムが含まれる。
【0064】
粉末の組成物を圧縮成形することで錠剤等の投与形態を製造する場合、その組成物はポンチとダイス(punch and dye)で圧縮される。いつかの賦形剤および活性成分は、ポンチとダイスの表面に付着する傾向があり、その付着によって製品に穴が開いたり、その他の異常な表面となることがある。滑沢剤をその組成物に添加することで、付着が減り、製品のダイスからの放出が容易になる。滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、パルミトステアリン酸グリセロール、水素化キャスター油、水素化植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルクおよびステアリン酸亜鉛が含まれる。
【0065】
香味剤および香味強化剤によって、投与形態は患者にとってより口にあうようになる。本発明の組成物に含めることができる、医薬製品のための一般的な香味剤および香味強化剤としては、マルトール、バニリン、エチルバニリン、メントール、クエン酸、フマル酸、エチルマルトールおよび酒石酸が含まれる。
【0066】
固形組成物および液体組成物はまた、薬学上許容される着色剤のいずれかを用いて着色することもでき、それによってその外観が改良され、ならびに/または製品および単位投与レベルの患者の認識を容易にすることになる。
【0067】
本発明の液体医薬組成物において、本発明のレナリドマイドの結晶形または代替的に本発明で調製されるレナリドマイドのB型、およびいかなる他の固体賦形剤を、水、植物油、アルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールまたはグリセリン等の液体に、溶解または懸濁させる。
【0068】
液体医薬組成物は、液体キャリアーに溶解しない活性成分および他の賦形剤を組成物を通して均一に分散させるために、さらに乳化剤を含んでも良い。本発明の液体組成物に有用である乳化剤には、例えば、ゼラチン、卵黄、カゼイン、コレステロール、アラビアゴム、トラガント、ツノマタ、ペクチン、メチルセルロース、カルボマー、セトステアリルアルコールまたはセチルアルコールが含まれる。
【0069】
本発明の液体医薬組成物はまた、製品の食感または感覚受容性の特質を改善するために、および/または胃腸管の内側をコートするために、粘性増強剤を含んでも良い。そのような粘性増強剤には、アラビアゴム、アルギン酸、ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウムまたはナトリウム、セトステアリルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、炭酸プロピレン、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、デンプントラガントおよびキサンタンガムが含まれる。
【0070】
味を改善するために、ソルビトール、サッカリン、サッカリンナトリウム、ショ糖、アスパルテーム、果糖、マンニトールおよび転化糖等の甘味剤を加えることができる。
【0071】
保存安定性を改善するために、アルコール、安息香酸ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールおよびエチレンジアミンテトラ酢酸等の保存剤およびキレート剤を、安全な摂取量で、加えることができる。
【0072】
本発明に従って、液体組成物は、グルコン酸、乳酸、クエン酸または酢酸、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウム等の緩衝剤も含んでも良い。
【0073】
用いる賦形剤の選択および量は、当該分野における通常の手続きおよび参考業務の経験と考慮に基づいて製剤研究者によって容易に決定できる。
【0074】
本発明の固形組成物としては、粉末、顆粒、凝集および圧縮組成物が含まれる。投与形態としては、経口、口腔内、経直腸、非経口(皮下、筋肉中および静脈内を含む)、吸入および経眼の投与に相応しい投与形態を含む。対象となる症例に対する最も適切な投与は、治療される症状の性質および厳しさに依存するが、本発明の最も好ましい投与経路は経口である。投与形態としては単位投与形態で好適に提供され、医薬の技術分野で周知の方法のいずれかで製造することができる。投与形態には、錠剤、粉剤、カプセル剤、坐剤、サッシェ、トローチ剤およびトローチ剤等の固形投与形態、液体シロップ、懸濁剤およびエリキシル剤が含まれる。
【0075】
本発明の投与形態として、組成物、好ましくは粉末または顆粒の本発明の固形組成物を、硬いまたは軟らかい皮膜の中に含有するカプセルとすることができる。そのカプセル皮膜はゼラチンで作られ、グリセリンおよびソルビトール等の可塑剤ならびに不透明剤または着色剤を含めてもよい。活性成分および賦形剤は、本技術分野で知られた方法に従って、組成物および投与形態に製剤化することができる。
【0076】
錠剤化またはカプセル充填のための組成物は、湿式造粒で製造することができる。湿式造粒では、粉末状の活性成分および賦形剤のいくつかまたは全てを混合し、その後、液体、典型的には水の存在下でさらに混合することで、粉末を顆粒へと凝集させる。顆粒は、選別および/または粉砕して、乾燥し、その後、所望の粒子サイズまで選別および/または粉砕する。その後、顆粒はそのまま錠剤化するか、または流動促進剤および/または滑沢剤等の他の賦形剤を添加した後、錠剤化することができる。
【0077】
錠剤化する組成物は、従来通り、乾式造粒によって製造することができる。たとえば、活性成分と賦形剤とを混合した組成物を、棒状(slug)又はシート状に圧縮成形して、その後、細かく砕くことで、圧縮成形された顆粒が得られる。引き続いて、その圧縮成形された顆粒を圧縮することで、錠剤を得ることができる。
【0078】
乾式造粒の代わりに、直接圧縮技術を用いて混合組成物を圧縮することで、直接、圧縮成形された投与形態を得ることができる。直接圧縮によって、顆粒を含まない均一の錠剤が製造される。直接圧縮による錠剤化に特に適している賦形剤としては、微結晶性セルロース、スプレードライで粉末化した乳糖、二塩基性リン酸カルシウム2水和物およびコロイド状シリカが含まれる。直接圧縮による錠剤化において特別な製剤上の問題が生じた場合、これらおよび他の賦形剤を直接圧縮による錠剤化で適切に使用することは、本技術分野における経験と知識を有する者に良く知られている。
【0079】
本発明のカプセル充填は、錠剤化に関連して記述された(しかし、最終の錠剤化工程はあたらない)前述の混合物および顆粒のいづれをも含むことができる。
【0080】
さらなる態様において、本発明の組成物は、さらに1またはそれ以上の活性成分を追加的に含有することができる。
【0081】
本発明、その目的および利点の詳細を、非限定的な実施例により、以下でより詳細に説明する。
【実施例】
【0082】
実施例1:1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−ニトロ−イソインドールからの、本発明の第一の側面の無水のレナリドマイドの調製
1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−ニトロ−イソインドール(10.0g,0.035モル)をエタノール(120ml)に懸濁させて、そこに鉄粉(9.6g,0.175モル)を加えた。塩酸(18.5ml)を当量の水で希釈したものを、この混合物に加えた。反応混合物を約65〜70℃の間に加熱し、約1時間半〜2時間の間、この温度で維持した。反応混合物を冷却して、セライト(登録商標)パッドを通してろ過し、得られた透明のろ液を濃縮した。ろ液のpHをアンモニア水で7〜8に調整して、濃縮したろ液をさらに、セライト(登録商標)パッドを通してろ過した。ろ液を再度、減圧下、濃縮した。生成物を最終的にエタノール(50ml)に溶解して、透明な溶液が形成されるまで、45〜50℃に加熱した。溶液を約5℃まで冷却して、再度ろ過した。ろ取した固体を減圧下、50〜55℃で3〜4時間、生成物の重量が一定になるまで乾燥した。本方法によって、本発明のレナリドマイドの新規な無水の結晶形6.7g(収率75%)を灰白色〜淡黄色の粉末として得た。
【0083】
生成されたレナリドマイドの新規な結晶形の化学純度は、HPLC測定によれば99.6%であった。水含量、DSCおよびTGAの分析によって、新規な結晶形は無水であり、すなわち、溶媒和物でも水和物でもないことが確かめられた。新規な結晶形のXRPDによって、新規な結晶形が他の多型を含まないことが示された。
【0084】
【表2】

【0085】
実施例2:本発明の第一の側面のレナリドマイドの無水の結晶形の、先行技術のレナリノマイドのB型への変換
実施例1で調製された無水の結晶性レナリドマイド(1.5g)をメタノール:水(80:20)の混合物(22.5ml)に、透明な溶液が生成されるまで45〜50℃に反応混合物を加熱することで溶解させた。この溶液を約25〜30℃までゆっくりと冷却した。溶液が濁り始めた時に、約0〜5℃の間に冷却して、2〜3時間、攪拌しながら、この温度を維持した。結晶化した生成物をろ過して、冷メタノール(3ml)で洗浄し、真空ろ過して乾燥した。生成物を最後に45〜50℃で100mgHgの圧力で約3時間乾燥した。得られた乾燥した固体について、XRPD、DSCおよびTGAの分析を行い、WO2005/023192に開示されたB型が調製されたことが確かめられた。
【0086】
生成されたレナリドマイドのB型の化学純度はHPLC測定によれば99.65%であった。生成されたB型のXRPDによって、B型は他の多型を含まないことが示された。
【0087】
TGAおよびDSCの特徴的なデータの比較を表3に示す。先行技術のF型およびG型のTGA結果がないものの、それらのDSCの結果は、本発明の第一の側面の結晶形の結果とは明確に異なり、これによって特許請求する結晶形は実際に新規であることが示される。
【0088】
【表3】

【0089】
各々の参考文献が個別に明確に参照として組入れられると表し、その全体が本明細書中に明らかにしたかと同程度に、本明細書に引用された、文献、特許出願および特許を含むすべての参考文献は、参照として本明細書に組入れられる。
【0090】
本発明の好ましい態様が、本発明者が知っている本発明を実施するための最良の形態を含んで、本明細書に記載されている。前述の明細書を読めば、当業者には、その好ましい態様の変更物が明らかになるであろう。発明者らは、当業者が適切なものとしてそのような変更物を用いるであろうことを予期しており、本発明者らは、明細書に明確に記載したもの以外にも本発明が実施されることを意図している。従って、本発明には、適用される法律が許容する限り、添付される請求項に記載の主題のすべての改変物および均等物が含まれる。さらに、本明細書にそれに反して表され、または明確に内容に矛盾していない限り、上述の要素のすべての可能な変更物へのあらゆる組合せは、本発明に包含される。
【0091】
以上、本発明について説明してきたが、これは例示でしかないことが理解されるであろう。実施例は本発明の範囲を限定することを意図したものではない。さまざまな改変および態様は、以下の請求項のみによって規定される本発明の範囲および精神から逸脱せずに実現できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約46.6±0.2°の2θに特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有するレナリドマイドの無水の結晶形。
【請求項2】
約4.5、22.7および32.4±0.2°の2θにさらなる特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項1記載の無水の結晶形。
【請求項3】
図1に実質的に示される粉末X線回折パターンを有する、請求項1または2記載の無水の結晶形。
【請求項4】
TGAで50〜225℃の間でほとんどまたは全く重量損失を示さないことでさらに特徴付けられる、先行する請求項のいずれか記載の無水の結晶形。
【請求項5】
DSCによる測定で約275℃±5℃に融点を有することでさらに特徴付けられる、先行する請求項のいずれか記載の無水の結晶形。
【請求項6】
以下の工程:
(a)直鎖または分岐鎖のC−Cアルコール、脂肪族ケトンおよび環状エーテルまたはこれらの混合物を含む群から選択される溶媒に、レナリドマイドを溶解もしくは懸濁させる工程;
(b)望む結晶形を沈殿させる工程;および
(c)工程(b)で得られた結晶性固体を単離する工程を含む、
請求項1〜5のいずれか記載のレナリドマイドの無水の結晶形の調製方法。
【請求項7】
(a)C−Cアルコールがエタノールであり;および/または
(b)脂肪族ケトンがブタノンもしくはアセトンであり;および/または
(c)環状エーテルがジオキサンである、
請求項6記載の方法。
【請求項8】
透明な溶液が得られるまで、工程(a)からの混合物を加熱してレナリドマイドを溶解させる、請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
(a)工程(a)からの溶液または懸濁液を冷却する;および/または
(b)工程(a)からの溶液または懸濁液を約0〜10℃の間に冷却する、
請求項6〜8のいずれか記載の方法。
【請求項10】
工程(b)から得られた結晶性固体をろ過で単離する、請求項6〜9のいずれか記載の方法。
【請求項11】
(a)工程(a)で用いた溶媒で洗浄する;および/または
(b)重量が一定になるまで乾燥する;および/または
(c)約40〜60℃の間で乾燥する;および/または
(d)約50〜55℃の間で、約3〜4時間、減圧条件下、乾燥する、
請求項6〜10のいずれか記載の方法。
【請求項12】
以下の工程:
(a)極性有機溶媒および水の混合物に、請求項1〜5のいずれか記載の無水の結晶形を溶解または懸濁させる工程;
(b)工程(a)における溶液または懸濁液から望むB型を沈殿させる工程;および
(c)固体のB型結晶を単離する工程を含む、
請求項1〜5のいずれか記載の無水の結晶形を、レナリドマイドのB型結晶に変換する方法。
【請求項13】
水の極性溶媒に対する比が、
(a)約5:95〜約30:70である;および/または
(b)約20:80である、
請求項12記載の方法。
【請求項14】
(a)極性有機溶媒が水混和性脂肪族アルコールである;および/または
(b)溶媒混合物が、メタノール:水またはイソプロパノール:水の一方である、
請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
(a)透明な溶液が得られるまで;および/または
(b)約45〜55℃の間に、
工程(a)からの混合物を加熱して、結晶形を溶解させる、請求項12〜14のいずれか記載の方法。
【請求項16】
(a)工程(a)からの溶液または懸濁液を冷却する;および/または
(b)工程(a)からの溶液または懸濁液を約0〜10℃の間に冷却する、
ことによって望むB型を沈殿させる、
請求項12〜15のいずれか記載の方法。
【請求項17】
工程(b)から得られた結晶性固体をろ過で単離する、請求項12〜16のいずれか記載の方法。
【請求項18】
単離した固体を
(a)冷メタノールで洗浄する;および/または
(b)重量が一定になるまで乾燥する;および/または
(c)約50〜60℃の間で乾燥する;および/または
(d)約40〜50℃の間で、約3時間、約100mmHgの圧力で、乾燥する、
請求項12〜17のいずれか記載の方法。
【請求項19】
化学純度および/または多型純度が
(a)約90%を超える;および/または
(b)約95%を超える;および/または
(c)約99%を超える;および/または
(d)約99.5%を超える、
請求項1〜5のいずれか記載の、もしくは請求項6〜11のいずれか記載の方法で調製される、レナリドマイドの無水の結晶形、または請求項12〜18のいずれか記載の方法で調製されるB型結晶。
【請求項20】
医薬における使用のための、請求項1〜5のいずれか記載の、もしくは請求項6〜11のいずれか記載の方法で調製される、レナリドマイドの無水の結晶形、または請求項12〜18のいずれか記載の方法で調製されるレナリドマイドのB型結晶。
【請求項21】
炎症、炎症性疾患、自己免疫疾患または癌の治療のための、請求項20記載のレナリドマイドの結晶形。
【請求項22】
請求項1〜5のいずれか記載の、もしくは請求項6〜11のいずれか記載の方法で調製される、レナリドマイドの無水の結晶形、または請求項12〜18のいずれか記載の方法で調製されるB型結晶と、1またはそれ以上の薬学上許容される賦形剤とを含有する医薬組成物。
【請求項23】
炎症、炎症性疾患、自己免疫疾患または癌の治療のための、請求項22記載の医薬組成物。
【請求項24】
炎症、炎症性疾患、自己免疫疾患または癌の治療のための医薬の製造における、請求項1〜5のいずれか記載の、もしくは請求項6〜11のいずれか記載の方法で調製される、レナリドマイドの無水の結晶形の使用、または請求項12〜18のいずれか記載の方法で調製されるレナリドマイドのB型結晶の使用。
【請求項25】
請求項1〜5のいずれか記載の、もしくは請求項6〜11のいずれか記載の方法で調製される、レナリドマイドの無水の結晶形、または請求項12〜18のいずれか記載の方法で調製されるレナリドマイドのB型結晶を治療上有効な量、それを必要とする患者に投与することを含む、炎症、炎症性疾患、自己免疫疾患または癌の治療方法。
【請求項26】
患者が哺乳動物である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
患者がヒトである、請求項25または26記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−507496(P2012−507496A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533832(P2011−533832)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【国際出願番号】PCT/GB2009/051473
【国際公開番号】WO2010/061209
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(508116469)ジェネリクス・(ユーケー)・リミテッド (34)
【Fターム(参考)】