説明

レバースイッチ

【課題】回動リングの操作に対して、プッシュボタンの配置を固定することにより操作性の向上を実現したレバースイッチを提供すること。
【解決手段】操作者が制御リング6を回動させてワイパ動作の操作が行われても、プッシュボタン7a、7bはスイッチベース8を介して固定リング5、第1のシャフト12に固定支持されており、制御リング6の内周面は、プッシュボタン7a、7bと非一体的に回動自在となっているため、プッシュボタン7a、7bは固定されたまま回動することなく、制御リング6のみが回動操作される。制御リング6の回動操作を行っても、各プッシュボタン7a、7bの位置は変わらないため、操作者は、この回動操作後も同様に予め把握している各プッシュボタン7a、7bの位置に指先等を当てて適切な押圧操作をすることができ操作性の向上を実現することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の移動体のステアリングコラム等から突出して設けられたシャフトとシャフトの先端側に設けられたプッシュボタンとシャフトの中間部位に設けられた回動スイッチとを備えたレバースイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車等の移動体の操作手段であるハンドルが取り付けられたステアリングコラム等から突出して設けられ、ワイパ機能やウォッシャ機能等を制御するための円筒体のシャフトと、このシャフトの先端に設けられたプッシュボタンとシャフトの中間部位に設けられた回動スイッチとを備えたレバースイッチにおいては、より様々な機能を制御できるようにして利便性の向上を図るために回動スイッチの個数を増やしたり、シャフト自体を回動させて各々に対応した機能を制御可能とされている。
【0003】
様々な機能を制御でき利便性を向上させたレバースイッチとして、以下の特許文献1に記載された発明では、回動ノブと、一端にこの回動ノブを固定し、他端に操作杆を有する第3レバーと、第3レバーの軸棒を挿通した軸筒部を有する第2レバーと、この第2レバーを挿通した第1レバーと、第1レバーに固定した固定体と、回動ノブの先端側に設置した固定ノブとを備えている。そして、固定ノブの外周部に窓穴が穿設され、この窓穴からつまみを突出させてレバースイッチの軸方向にスライド移動自在に設けることにより、スライドスイッチの設置を実現して、スイッチの個数を増やし利便性を向上させている。
【特許文献1】特開2000−57906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような特許文献1に記載された発明では、スライドスイッチの設置を実現して、スイッチの個数を増やすことにより、利便性の向上を図っているが、レバースイッチの先端に設けられた押釦スイッチが、固定ノブのノブ配設穴にスライド移動自在に嵌合され、復帰ばねを介して弾性係止片を固定ノブ内の段差部に係止して一体的に固定されているため、固定ノブを回動させて操作すると、押釦スイッチも共に同一回転することとなっていた。
【0005】
このため、押釦スイッチが例えばその円形形状を複数に分割すること等により複数個備えて、複数の押釦スイッチから成っている場合には、押釦スイッチを操作しなくても固定ノブを回動させて操作すると、共に同一回転することにより、各押釦スイッチの配置が変わってしまい操作者が、各押釦スイッチの場所を正確に把握して操作することができないという問題があった。
【0006】
押釦スイッチを操作する度に、レバースイッチの先端部分を目で見て確認し、各押釦スイッチの配置を確かめてから操作した場合には、操作者が自動車等の運転者の場合に事故を引き起こす惧れが生じるという問題があった。
【0007】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、回動リングの操作に対して、プッシュボタンの配置を固定することにより操作性の向上を実現したレバースイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、移動体の操縦手段の基部から突出して設けられた第1のシャフトと、前記第1のシャフトの先端側に設けられた複数のプッシュボタンと、前記第1のシャフトに対して相対的に前記複数のプッシュボタンを回動不能に固定支持する固定支持部と、前記第1のシャフトの中間部位に設けられ、前記複数のプッシュボタンと非一体的に回動自在の回動リングとを備え、前記回動リングを操作すると、前記複数のプッシュボタンが回動不能に固定支持されたまま当該回動リングが前記第1のシャフトの周囲に回動されることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のレバースイッチにおいて、前記固定支持部は、
前記第1のシャフトに対し回動不能に固定支持された固定リングと、前記複数のプッシュボタンの基端側に設けられ、これらのプッシュボタンを保持するスイッチベースと、前記固定リングおよびスイッチベースを係合させる係合部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載のレバースイッチにおいて、前記第1のシャフトの前記回動リングよりも基端側に設けられ、前記第2のシャフトに回動不能に固定支持された固定リングと、前記固定リングの先端側の端部から突出して形成された係合部と、前記複数のプッシュボタンの基端側に設けられ、これらのプッシュボタンを保持すると共に、基端側の端部が前記第2のシャフトに固定されたスイッチベースと、前記スイッチベースに設けられ、前記固定リングに形成された係合部と係合する係合孔とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載のレバースイッチにおいて、前記複数のプッシュボタンは、それぞれのプッシュボタンの種類に応じて、ウォッシャ機能を制御するためのボタンであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るレバースイッチによれば、回動リングの操作に対して、プッシュボタンの配置を固定することにより操作性の向上を実現することが可能となる。
【0013】
請求項1に記載のレバースイッチによれば、固定支持部により複数のプッシュボタンが回動不能に固定支持されているので、回動リングの操作に対して、各プッシュボタンが共に回動せず配置が固定される。このため、操作者が各プッシュボタンの場所が回動して変わってしまうことにより把握できなくなることがなくなり、操作性の向上を実現することができる。
【0014】
請求項2に記載のレバースイッチによれば、固定支持部が第1のシャフトに対して回動不能に固定支持された固定リングおよびスイッチベースを係合させる係合部とにより、ロック機構で固定支持されているので、回動不能に固定支持することが可能となる。
【0015】
請求項3に記載のレバースイッチによれば、固定支持部が第1のシャフトおよび第2のシャフトを嵌合させる嵌合部と、固定リングおよびスイッチベースを係合させる係合部とにより、2重のロック機構で固定支持されているので、回動不能に固定支持することが可能となる。
【0016】
請求項4に記載のレバースイッチによれば、複数のプッシュボタンは、それぞれのプッシュボタンの種類に応じてウォッシャ機能を制御するので、ウォッシャ機能を制御する複数のプッシュボタンでの操作性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係るレバースイッチを実施するための最良の形態について、図面を用いて詳細に説明する。図1、図3は、本実施の形態におけるレバースイッチの構成を示す説明図である。図1はこのレバースイッチ1の構成を示す全体断面図、図3はレバースイッチ1の構成を示す斜視図である。
【0018】
このレバースイッチ1は、例えば自動車等の移動体のハンドル等の操作手段が取り付けられた基部であるステアリングコラムから突出して設けられたものである。レバースイッチ1は、ステアリングコラムから突出して設けられたレバースイッチ1の以下の操作部分を構成する軸体のレバー部11と、基端側の端部がステアリングコラム内部に固定されて先端側の端部がステアリングコラムから突出して設けられた細長円筒体の第1のシャフト12と、この第1のシャフト12の内部を挿通し後述するプッシュボタン7a、7bを回動不能に固定支持するための第2のシャフト2と、レバー部11の中間部位のうちスイッチやリング等の操作手段が設けられていない基端側の部分を覆うカバー部3と、レバー部11の中間部位のうちカバー部3から先端側に隣接して回動自在に設けられた操作リング4と、レバー部11の中間部位のうち操作リング4から先端側に隣接して回動不能に固定支持された固定リング5と、レバー部11の中間部位のうち固定リング5から先端側に隣接して設けられ後述するプッシュボタン7a、7bと非一体的に回動自在の回動リングである制御リング6と、第1のシャフト12の先端側に設けられたプッシュボタン7a、7bと、プッシュボタン7a、7bの基端側に設けられこれらのプッシュボタン7a、7bを保持するスイッチベース8とを備えている。
【0019】
これらのうち、後述するように、凸部が形成された第1のシャフト12、凹部が形成された第2のシャフト2、突出部材21および係合部22が形成された固定リング5、突出部材81および係合孔82が形成されたスイッチベース8は、固定支持部を構成し、プッシュボタン7a、7bを回動不能に固定支持するようになっている。
【0020】
第2のシャフト2は、基端側の端部がステアリングコラム内部において第1のシャフト12の内部に固定され、先端側の端部がステアリングコラムから突出して、第1のシャフト12の内部を挿通して設けられて例えば棒状の部材である。この第2のシャフト2の基端側の端部は、図示しないこの端部の外周面上に形成された所定の深さの凹部と、第1のシャフト12の内周面上に形成された細長円筒体の内側に弾性力により前後に進退可能に突出する凸部とが嵌合してロックする嵌合部としてのロック機構により第1のシャフト12内部に固定されている。
【0021】
第2のシャフト2の基端側の端部を、凹部と凸部の位置を合わせるように第1のシャフト12内部の挿入部に挿入すると、凸部が弾性力により第2のシャフト2の凹部以外の外周面を押圧しながら後方に後退して、第2のシャフト2の基端側の端部が挿入されていき、第1のシャフト12の基端側の端部近傍のステアリングコラム内部において、第2のシャフト2の凹部が凸部の位置に到達すると、凸部が弾性力により前方に進出して凹部と嵌合し、ロックされるようになっている。
【0022】
カバー部3は、操作リング4、固定リング5、制御リング6等が設けられていない第1のシャフト12の基端部分を覆う部材であり、例えば第1のシャフト12の周囲に接着剤やネジ止め等により回動不能に固定されて取り付けられている。カバー部3は、先端側に隣接する操作リング4の外周面と同じ外径を有する肉厚の部材であり、操作リング4の外周面からそのまま延在してレバー部11全体の外周面が滑らかな平滑面となるように形成されている。
【0023】
操作リング4は、カバー部3よりも先端側に隣接し、第1のシャフト12に対して回動自在に設けられた例えば自動車等の照明機能を操作するためのスイッチである。この操作リング4は、第1のシャフト12の外周面に回動自在に設けられた肉厚の環状部材であり、その内周面が第1のシャフト12の外周面に摺接して回動自在となっている。また、図示しないスイッチ構造により第1のシャフト12の外周面の円周方向を回動する回動量を調整して、この回動量に応じた照明機能のオフ、車幅灯のオン、ヘッドライトのオン等の操作を行うことが可能となっている。
【0024】
図2は、レバー部11の先端部分の構成を示す拡大断面図である。固定リング5は、操作リング4および制御リング6の間に介在して、第1のシャフト12の周囲に固定して設けられた環状部材であり、例えば第1のシャフト12の周囲に接着剤やネジ止め等により回動不能に固定支持されて取り付けられている。この環状部材の先端側の端部には、第1のシャフト12の外周面と制御リング6の内周面の間に介在して突出する突出部材21が連設されており、この突出部材21の一部には、後述するスイッチベース8側の突出部材81に形成された係合孔82と係合する係合部22が形成されている。これらの固定リング5側の突出部材21、係合部22と、スイッチベース8側の突出部材81、係合孔82とにより固定リング5およびスイッチベース8を係合させる係合部が構成される。
【0025】
固定リング5は、操作リング4および制御リング6の外周面と同じ外径を有する環状部材であり、操作リング4の外周面をそのまま延在して制御リング6の外周面まで連続した平滑面を成し、レバー部11全体の外周面が滑らかな平滑面となるように形成されている。また、固定リング5の外周面上には、制御リング6の回動量を調整するための目印となる操作印51が形成されている。
【0026】
制御リング6は、固定リング5よりも先端側に隣接し、第1のシャフト12に対して回動自在に設けられた例えば自動車等のワイパ機能を操作するためのスイッチである。この制御リング6は、第1のシャフト12の外周面に対して、突出部材21および後述する突出部材81を介して回動自在に設けられた筒状部材であり、先端側の円形状の開口部62内側には、スイッチベース8およびプッシュボタン7a、7bがこの順番で嵌め込まれている。
【0027】
この筒状部材の内周面は、第1のシャフト12、スイッチベース8、プッシュボタン7a、7bの外周面に摺接して、これらの第1のシャフト12、スイッチベース8、プッシュボタン7a、7bとは一体的にならずに非一体的に回動自在となっている。即ち、制御リング6が回動してもこれらのスイッチベース8、プッシュボタン7a、7bは回動せずに第2のシャフト2に回動不能に固定支持されたままで第1のシャフト12の周囲を摺接して回動するようになっている。
【0028】
また、制御リング6の外周面上には、図3に示すように、制御リング6の回動量を調整してワイパ機能のワイパ動作の段階を調整するための目印となる複数の絵柄61が形成されている。操作者が、図示しないスイッチ構造により第1のシャフト12の外周面の円周方向を回動する回動量を調整して、いずれかの絵柄61を操作印51に位置を合わせるように制御リング6を回動させると、この回動量に応じた段階でのワイパ動作の操作を行うことが可能となっている。
【0029】
図6(a)、(b)、(c)は固定リング5にスイッチベース8を固定して取り付けた状態を示す説明図、図8はスイッチベース8の構成を示す説明図である。スイッチベース8は、制御リング6の開口部62内側のプッシュボタン7a、7bよりも奥側に嵌め込まれると共に、プッシュボタン7a、7bの基端側の端部を保持する部材である。スイッチベース8は、円筒部材とこの円筒部材の基端側の端部を円板状の壁面で塞いで構成されており、この円筒部材の内側にプッシュボタン7a、7bを一体的に嵌め込んで保持している。
【0030】
円筒部材の内側には、内側断面が四角形状に形成された小径筒部の第1のシャフト12の軸方向に並行な嵌合孔部83が設けられており、プッシュボタン7a、7bに形成された後述する突出嵌合部72と嵌合して、プッシュボタン7a、7bを位置決めすると共に、固定保持するようになっている。また、円筒部材の円筒面上には、小径に開口された嵌合開口部84が設けられており、プッシュボタン7a、7bに形成された後述する突出嵌合部71と嵌合して、プッシュボタン7a、7bをより確実に固定保持するようになっている。
【0031】
円筒部材の内側には、第1のシャフト12の軸方向に並行な四角柱状の突出部85が設けられており、その側面85aがプッシュボタン7a、7bに形成された後述する各ガイド部73のガイド面73aに当接して、プッシュボタン7a、7bを案内して位置決めするようになっている。
【0032】
スイッチベース8の円板状の壁面の基端側には、第1のシャフト12の外周面と制御リング6の内周面の間に介在して突出する突出部材81が連設されており、この突出部材81の一部には、係合孔82が設けられており、突出部材81が、突出部材21と制御リング6の内周面の間に進入して固定リング5側の突出部材21の係合部22が係合孔82と係合し、スイッチベース8が固定リング5、第1のシャフト12に固定支持されるようになっている。また、スイッチベース8の円板状の壁面の基端側は、第1のシャフト12の内部を挿通して第1のシャフト12の先端から露出して突出した第2のシャフト2の先端側の表面に接着剤または嵌め合わせ等により固定支持されている。
【0033】
また、スイッチベース8の円板状の壁面の先端側には、操作者により操作されたプッシュボタン7a、7bにより押圧されてウォッシャ機能を操作するためのスイッチ素子9が、各プッシュボタン7a、7bの基端側に接触する位置に取り付けられている。プッシュボタン7a、7bが操作者により押圧されて操作され、プッシュボタン7a、7bを介してスイッチ素子9が押圧されると、それぞれのプッシュボタンの種類に応じて、ウォッシャ機能が制御され操作することが可能となっている。
【0034】
図5(a)、(b)、(c)は固定リング5にスイッチベース8、プッシュボタン7a、7bを固定して取り付けた状態を示す説明図、図7はプッシュボタン7a、7bの構成を示す説明図である。プッシュボタン7a、7bは、制御リング6の開口部62の開口面をプッシュボタンの個数に応じて分割した形状、即ち肉厚の半円板形状を有する部材であり、これらのプッシュボタン7a、7bを開口部62の開口面に合致するように組み合わせた状態で、スイッチベース8に保持され開口部62内側に嵌め込まれている。プッシュボタン7a、7bの先端側の端面の外縁部分は、操作者の操作性向上のため面取りが成されている。
【0035】
プッシュボタン7a、7bの基端側の端面には、嵌合孔部83の内側断面形状に合致する断面で四角形状の基端側に突出した突出嵌合部72が形成されており、突出嵌合部83と嵌合して、プッシュボタン7a、7bを位置決めすると共に、スイッチベース8に固定保持するようになっている。突出嵌合部72の先端部分は、突出嵌合部83との嵌合を容易に行えるように、尖形状となっている。
【0036】
プッシュボタン7a、7bの基端側の端面には、突出部85に当接するガイド部73が形成されている。ガイド部73は、プッシュボタン7a、7bを組み合わせたときに、突出部85の断面形状に合致する断面L字状に形成されており、突出部85と当接する側面がガイド面73aとなっている。即ち、プッシュボタン7a、7bの各ガイド部73が突出部85に当接することで、プッシュボタン7a、7bはスイッチベース8に対して位置決めされる。
【0037】
また、プッシュボタン7a、7bの基端側の端面の外縁部分には、基端側に突出した細板形状に形成された部材と、この部材先端からプッシュボタン7a、7b外縁の外側方向に突出した凸部とから成る突出嵌合部71が設けられている。プッシュボタン7a、7bをスイッチベース8に保持させる際には、突出嵌合部71の凸部が若干内側に撓んでスイッチベース8の円筒部材内側を摺動し、嵌合開口部84と嵌合して、プッシュボタン7a、7bをより確実に固定保持するようになっている。
【0038】
続いて、以上のような構成を有するレバースイッチ1の作用効果について詳細に説明する。レバースイッチ1の先端部分には、制御リング6の開口部62の開口面を分割して設けられたプッシュボタン7a、7bがあり、操作者が各プッシュボタン7a、7bの位置を確認して、または、操作経験を経て予め把握している各プッシュボタン7a、7bの位置に指先等を当てて押圧操作すると、この押圧操作に応じたスイッチベース8のスイッチ素子9が押圧されてウォッシャ機能が制御される。
【0039】
ここで、図4に示すように、操作者が制御リング6を回動させてワイパ動作の操作が行われても、プッシュボタン7a、7bはスイッチベース8に固定保持され、スイッチベース8が固定リング5、第1のシャフト12に固定支持されており、制御リング6の内周面は、プッシュボタン7a、7bの外周面に摺接して非一体的に回動自在となっているため、プッシュボタン7a、7bは固定されたまま回動することなく、制御リング6のみが回動操作される。
【0040】
このため、制御リング6の回動操作を行っても、各プッシュボタン7a、7bの位置は変わらないため、操作者は、この回動操作後も同様に予め把握している各プッシュボタン7a、7bの位置に指先等を当てて適切な押圧操作をすることができ操作性の向上を実現することが可能である。
【0041】
制御リング6の回動操作を行う度に、各プッシュボタン7a、7bの位置を操作者が目で見ること等により確認してから押圧操作することがなくなり、運転手等が事故を引き起こす惧れが生じることを防止でき、安全性の向上を実現できる。
【0042】
従来技術において、押釦スイッチが、固定ノブのノブ配設穴にスライド移動自在に嵌合され、復帰ばねを介して弾性係止片を固定ノブ内の段差部に係止して一体的に固定されていることにより、押釦スイッチが複数個設けられた場合にこれらの押釦スイッチの位置が固定ノブの回動操作後に変わってしまう問題点が解消され、操作者が記憶により予め把握している位置で適切な押圧操作をすることができる。
【0043】
また、スイッチベース8が固定された第2のシャフト2が、基端側の端部の凹部と第1のシャフト12内部の凸部とによるロック機構によりステアリングコラムの内部において第1のシャフト12に固定されていると共に、更にスイッチベース8が突出部材81の係合孔82と突出部材21の係合部22とが係合して固定リング5、第1のシャフト12に固定支持されて各プッシュボタン7a、7bがスイッチベース8を介して、2重のロック機構によってレバー部11に固定支持されている。
【0044】
このため、第2のシャフト2のロック機構が外れてもスイッチベース8が固定リング5、第1のシャフト12に固定支持され、逆に、突出部材81と突出部材21の係合部分が外れてもスイッチベース8が第2のシャフト2のロック機構に固定保持されることになり、各プッシュボタン7a、7bのレバースイッチ1の先端からの抜け落ち等のトラブルが2重に防止され、安全性の向上を実現することが可能である。
【0045】
また、上述したレバースイッチ1において、制御リング6は、第1のシャフト12の周囲の回動量の調整に応じて、ワイパ機能を制御するための手段であることから、制御リング6は、第1のシャフト12の周囲の回動量の調整に応じてワイパ機能を制御するので、ワイパ機能を制御する制御リング6を備えたレバースイッチ1での操作性を向上できる。
【0046】
(他の実施の形態)
上述の実施の形態においては、各プッシュボタン7a、7bをスイッチベース8が保持し、このスイッチベース8が第2のシャフト2に固定されると共に、固定リング5、第1のシャフト12に固定支持されていたが、これに限られず、各プッシュボタン7a、7bの基端側の突出嵌合部71、突出嵌合部72の代わりに、スイッチベース8の突出部材81、係合孔82と同様の構成を設け、各プッシュボタン7a、7bをスイッチベース8を介さず直接に、第2のシャフト2に固定し、固定リング5、第1のシャフト12に固定支持されるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施の形態におけるレバースイッチの全体構成を示す説明図である。
【図2】本実施の形態におけるレバースイッチの先端部分の構成を示す拡大断面図である。
【図3】本実施の形態におけるレバースイッチの外観の全体構成を示す斜視図である。
【図4】本実施の形態におけるレバースイッチの使用状態の外観の全体構成を示す斜視図である。
【図5】本実施の形態におけるレバースイッチの固定リングにプッシュボタンを取り付けた状態を示す説明図である。
【図6】本実施の形態におけるレバースイッチの固定リングにスイッチベースを取り付けた状態を示す説明図である。
【図7】本実施の形態におけるレバースイッチのプッシュボタンの構成を示す説明図である。
【図8】本実施の形態におけるレバースイッチのスイッチベースの構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0048】
1 レバースイッチ
2 第2のシャフト
3 カバー部
4 操作リング
5 固定リング
6 制御リング(回動リング)
7a、7b プッシュボタン
8 スイッチベース
11 レバー部
12 第1のシャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の操縦手段の基部から突出して設けられた第1のシャフトと、
前記第1のシャフトの先端側に設けられた複数のプッシュボタンと、
前記第1のシャフトに対して相対的に前記複数のプッシュボタンを回動不能に固定支持する固定支持部と、
前記第1のシャフトの中間部位に設けられ、前記複数のプッシュボタンと非一体的に回動自在の回動リングとを備え、
前記回動リングを操作すると、前記複数のプッシュボタンが回動不能に固定支持されたまま当該回動リングが前記第1のシャフトの周囲に回動されることを特徴とするレバースイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載のレバースイッチにおいて、
前記固定支持部は、
前記第1のシャフトに対し回動不能に固定支持された固定リングと、
前記複数のプッシュボタンの基端側に設けられ、これらのプッシュボタンを保持するスイッチベースと、
前記固定リングおよびスイッチベースを係合させる係合部と、
を備えたことを特徴とするレバースイッチ。
【請求項3】
請求項1に記載のレバースイッチにおいて、
前記固定支持部は、
前記第1のシャフトの内部を挿通して設けられた第2のシャフトと、
前記第1のシャフトおよび第2のシャフトを嵌合させる嵌合部と、
前記第1のシャフトの前記回動リングよりも基端側に設けられ、前記第2のシャフトに回動不能に固定支持された固定リングと、
前記複数のプッシュボタンの基端側に設けられ、これらのプッシュボタンを保持すると共に、基端側の端部が前記第2のシャフトに固定されたスイッチベースと、
前記固定リングおよびスイッチベースを係合させる係合部と、
を備えたことを特徴とするレバースイッチ。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載のレバースイッチにおいて、
前記複数のプッシュボタンは、それぞれのプッシュボタンの種類に応じて、ウォッシャ機能を制御するためのボタンであることを特徴とするレバースイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−324035(P2007−324035A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154656(P2006−154656)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】