説明

レベルアジャスタ

【課題】レベルアジャスタのスクリューの着脱を迅速に行うことができ、このスクリューを安定して抜け止めすることができること。
【解決手段】台座20に着脱自在に装着されるスクリュー30は台座20の窪み22に挿入され、スクリュー30を抜け止めする抜け止めピン42は、相互に間隔をあけて並んでいる2つのピン部分42A、42Bとそれに一体の把手部42Gとを有し、台座20は窪み22に部分的にオーバーラップするように設けられ2つのピン部分42A、42Bが差し込まれる相互に間隔をあけて並ぶ2つのピン差し込み孔44を有し、スクリュー30はピン差し込み孔44が窪み22にオーバーラップする部分でピン部分42A、42Bが係止する鍔30Fを有し、2つのピン部分42A、42Bはピン差し込み孔44の肩部50Sによって所定の差し込み位置で係止され、2つのピン部分42A、42Bはピン差し込み孔44の内面に摩擦的に係合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、テーブル、机の如き種々の据付物体の脚又は底に取り付けられてその高さ(レベル)を調節するレベルアジャスタの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テーブル、机の如き据付物体を水平に据え付けるのに用いられるレベルアジャスタは、台座とこの台座に着脱自在に装着されるスクリューとから成っている。スクリューは、台座の窪みに挿入され、台座に係入してスクリューを抜け止めする抜け止め手段によって着脱自在に装着される(特許文献1及び2参照)。
【0003】
特許文献1によるレベルアジャスタにおいては、抜け止め手段は、この文献の図3に示すように、台座aの側面から台座aに螺入してスクリューdが係入する窪みb内に突出させてスクリューdの鍔fに係わるようにした抜け止めねじから成っている。
【0004】
しかし、この従来技術によるレベルアジャスタは、スクリューを抜け止めねじのねじ込みで着脱するので、スクリューの装着や取り外しに時間がかかり、取り扱いに不便であった。
【0005】
一方、特許文献2によるレベルアジャスタにおいては、抜け止め手段は、この文献の図3に示すように、台座1の頂面に設けられた2つの係止突起12とスクリュー2の下端付近に設けられた係止溝とに係止する溝付き板状抜け止め片3から成っているか、この文献の図4に示すように、台座1の頂面に設けられた2つの突起のピン挿入孔14とスクリュー2の相応するピン挿通孔24とに差し込むピン4から成っている。
【0006】
特許文献2によるレベルアジャスタの抜け止め手段は、特許文献1のねじ式抜け止め手段とは異なって差し込みによってスクリューを抜け止めするので、特許文献1によるレベルアジャスタに比べて取り扱いが容易であるが、単に差し込みでスクリューを装着するので、抜け止め片3又はピン4が台座やスクリューから抜け出し易く、抜け止め状態を安定に維持することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平6−61144号公報
【特許文献2】特開2009−270708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、スクリューの着脱を迅速に行うことができ、且つスクリューを安定して抜け止めすることができるレベルアジャスタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の課題解決手段は、台座と前記台座に着脱自在に装着されるスクリューとから成り、前記スクリューは、前記台座の窪みに挿入され、前記台座に設けられて前記スクリューを抜け止めするスクリュー抜け止め手段によって着脱自在に装着されているレベルアジャスタにおいて、前記スクリュー抜け止め手段は、相互に間隔をあけて並んでいる2つのピン部分と前記2つのピン部分に一体に取り付けられた把手部とを有する抜け止めピンと、前記台座の前記窪みに部分的にオーバーラップするように前記台座に設けられ前記2つのピン部分が係入する相互に間隔をあけて並んでいる2つのピン差し込み孔とから成り、前記スクリューは、前記台座のピン差し込み孔が前記窪みにオーバーラップする部分で前記2つのピン部分が係止する鍔を有し、前記抜け止めピンと前記台座とは、前記2つのピン部分が所定の差し込み位置で係止するように相互に位置決めする位置決め手段を備えていることを特徴とするレベルアジャスタを提供することにある。
【0010】
本発明の第2の課題解決手段は、台座と前記台座に着脱自在に装着されるスクリューとから成り、前記スクリューは、前記台座の窪みに挿入され、前記台座に設けられて前記スクリューを抜け止めするスクリュー抜け止め手段によって着脱自在に装着されているレベルアジャスタにおいて、前記スクリュー抜け止め手段は、相互に間隔をあけて並んでいる2つのピン部分と前記2つのピン部分に一体に取り付けられた把手部とを有する抜け止めピンと、前記台座の前記窪みに部分的にオーバーラップするように前記台座に設けられ前記2つのピン部分が係入する相互に間隔をあけて並んでいる2つのピン差し込み孔とから成り、前記スクリューは、前記台座のピン差し込み孔が前記窪みにオーバーラップする部分で前記2つのピン部分が係止する鍔を有し、前記抜け止めピンと前記台座とは、前記2つのピン部分が所定の差し込み位置で係止するように相互に位置決めする位置決め手段と前記2つのピン部分が前記台座のピン差し込み孔の内面に摩擦的に係合するピン弾性抜け止め手段とを備えていることを特徴とするレベルアジャスタを提供することにある。
【0011】
本発明の課題解決手段において、所定の差し込み位置は、抜け止めピンの把手部が2つのピン部分が差し込まれた状態でも手が掛けられ易い位置であるのが好ましい。
【0012】
本発明の課題解決手段において、位置決め手段は、(a)2つのピン部分に設けられた膨らみ部と前記台座のピン差し込み孔内でその端部付近に設けられた肩部とから成っているか、(b)2つのピン部分に設けられた膨らみ部と前記台座のピン差し込み孔の入口付近にある前記台座の壁面とから成っているかのいずいれかとするか、(c)前記2つのピン部分には膨らみ部を有しないで台座のピン差し込み孔の奥部に設けられて2つのピン部分の前端面が係止する壁面から成っているものとすることができる。
【0013】
また、本発明の課題解決手段において、ピン弾性抜け止め手段は、抜け止めピンの2つのピン部分が先端に向けて広がるようにしてばねが付与されるか、台座のピン差し込み孔の内面がテーパ状であって2つのピン部分が弾性的に係入されるかのいずれかとすることができる。
【0014】
本発明の課題解決手段において、前記台座のピン差し込み孔は、前記抜け止めピンがいずれかの方向からも係入することができるように形成され、前記位置決め手段は、前記双方向のピン差し込み孔の両端に設けることができる。
【0015】
本発明の課題解決手段において、前記台座は、その下面に取り付けられた耐震部材を含むのが好ましく、また、前記抜け止めピンのピン部分は、前記スクリューの鍔に対して隙間を有して差し込まれているが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、抜け止めピンを台座のピン差し込み孔に差し込むだけでスクリューを抜け止めすることができるので、スクリューの着脱を迅速に行うことができ、また、抜け止めピンの2つのピン部分が台座のピン差し込み孔の内面に摩擦的に係合するので、スクリューは、台座に安定して抜け止めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるレベルアジャスタの組立状態の斜視図である。
【図2】図1のレベルアジャスタの上面図である。
【図3】図1のレベルアジャスタの正面図である。
【図4】図1のレベルアジャスタ分解状態の斜視図である。
【図5】図2の5−5線断面図である。
【図6】図3の6−6線断面図である。
【図7】図6の一部の拡大断面図である。
【図8】図1のレベルアジャスタの台座の好ましい例の図6に相応する水平断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態によるレベルアジャスタの組立状態の斜視図である。
【図10】図9のレベルアジャスタの上面図である。
【図11】図9のレベルアジャスタの正面図である。
【図12】図9のレベルアジャスタ分解状態の斜視図である。
【図13】図10の12−12線断面図である。
【図14】図11の13−13線断面図である。
【図15】図9のレベルアジャスタの台座の好ましい例の図14に相応する水平断面図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態によるレベルアジャスタの組立状態の斜視図である。
【図17】図16のレベルアジャスタの上面図である。
【図18】図16のレベルアジャスタの正面図である。
【図19】図16のレベルアジャスタ分解状態の斜視図である。
【図20】図17の20−20線断面図である。
【図21】図18の21−21線断面図である。
【図22】図9のレベルアジャスタの台座の好ましい例の図21に相応する水平断面図である。
【図23】本発明に用いることができる幾つかの形態の抜け止めピンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のレベルアジャスタ10は、例えば、複写機、テーブルのすべての脚の下端にねじ込まれてねじ込み量を調節してテーブルの天板を水平に保つのに用いられる。
【0019】
本発明の第1の実施の形態によるレベルアジャスタ10が図1乃至図8に示されており、この実施の形態によるレベルアジャスタ10は、裁頭円錐状の台座20とこの台座20に着脱自在に装着されるスクリュー30とから成っている。スクリュー30は、テーブルの如き水平状態を維持して据え付けられるべきテーブルの如き図示しない据付物体の脚にねじ込まれて、そのねじ込み量に応じて脚、即ちテーブルを水平に調節するのに用いられる。
【0020】
台座20は、図5に示すように、耐震手段70を備え、この耐震手段70は、台座本体20Bの下面の凹部20BRに台座本体20Bの下面が床から浮き上がるように取り付けられた粘着性を有するゲルシートの如き耐震マット72から成っている。この耐震手段70は、地震によって発生する床の振動がスクリュー30を介してテーブル等の据付物体に伝わるのを防止するが、その詳細は、スクリュー30と後に述べる抜け止めピンとの位置関係に関連して後述する。
【0021】
スクリュー30は、台座20の窪み22に挿入され、台座20に設けられてスクリュー30を抜け止めしてスクリュー30を台座20に着脱自在に装着するスクリュー抜け止め手段40を備えている。
【0022】
スクリュー抜け止め手段40は、相互に間隔をあけて並んでいる2つのピン部分42A、42Bとこれらの2つのピン部分42A、42Bに一体に設けられた把手部42Gとを有する抜け止めピン42と、台座20に設けられ、抜け止めピン42の2つのピン部分42A、42Bが差し込まれ、且つ窪み22に部分的にオーバーラップするように互いに間隔をあけて並んで延びる2つのピン差し込み孔44とから成っている。スクリュー30は、台座20のピン差し込み孔44が窪み22にオーバーラップする部分で2つのピン部分42A、42Bが係止する鍔30Fを有するので、スクリュー30は、抜け止めピン42の2つのピン部分42A、42Bによって抜け止めされる。
【0023】
レベルアジャスタ10は、抜け止めピン42の2つのピン部分42A、42Bが所定の差し込み位置で係止するように相互に位置決めする位置決め手段50と、抜け止めピン42の2つのピン部分42A、42Bが台座20のピン差込み孔44の内面に摩擦的に係合するピン弾性抜け止め手段60とを更に備えている。
【0024】
位置決め手段50によって位置決めされて得られる所定の差し込み位置Pは、抜け止めピン42の把手部42Gが2つのピン部分42A、42Bの差し込み状態でも手が掛けられ易いように台座20から離反している位置である。図1乃至図3の形態では、台座20は、ピン差込み孔44の出入口が台座の周面よりも内側にへこんで形成される把手収納空間20Sを有するので、所定の差し込み位置は、把手部42Gが台座20の周面から突出することがなく、且つ把手部42Gに指を絡めることができるように把手収納空間20Sの奥の壁面から間隔Sをあけた位置である。
【0025】
位置決め手段50は、抜け止めピン42の2つのピン部分42A、42Bに設けられた膨らみ部50A、50Bと、台座20のピン差し込み孔44の端部に設けられた肩部50Sとから成っている。第1の実施の形態では、肩部50Sは、台座20のピン差し込み孔44の入口(拡大孔)44Hの奥部の壁面から成っている。
【0026】
ピン弾性抜け止め手段60は、ピン差し込み孔44を直線状とし(図6参照)、図4及び図23(A)に示すように、抜け止めピン42の2つのピン部分42A、42Bが先端に向けて広がる末広がり状にして抜け止めピン42にばね性を付与するように形成されているが、図23(B)に示すように、抜け止めピン42の2つのピン部分42A、42Bは、全く平行にし、図8に示すように、台座20のピン差し込み孔44の内面をテーパ状にして2つのピン部分42A、42Bが弾性的に係入されるようにしてもよい。
【0027】
第1の実施の形態では、ピン差し込み孔44は、貫通孔の形態とし、また把手収納空間20Sを反対側にも対称的に設けて、抜け止めピン42がいずれかの方向からも差し込むことができるようになっている。この場合、位置決め手段50は、双方向のピン差し込み孔44の両端に設ける(図6の紙面の上側参照)。
【0028】
図1乃至図8の第1の実施の形態によるレベルアジャスタ10は、抜け止めピン42を台座20のピン差し込み孔44に差し込むだけでスクリュー30を抜け止めすることができるので、スクリュー30の着脱を迅速に行うことができ、また、抜け止めピン42の2つのピン部分42A、42Bは、ピン自体のばね性によってピン差し込み孔44の内面に摩擦的に係合するので、スクリュー30は、台座20に安定して抜け止めすることができる。
【0029】
本発明の第2の実施の形態によるレベルアジャスタ10が図9乃至図15に示されており、この実施の形態によるレベルアジャスタ10においては、台座20は、平板状の基台20Bとこの基台20Bの中央付近に設けられた台座本体20Mとから成り、スクリュー30は、台座本体20Mの窪み22に挿入し、第1の実施の形態と同様に、抜け止めピン42の2つのピン部分42A、42Bが台座本体20Mのピン差し込み孔44に差し込まれスクリュー30の鍔30Fを抜け止めしている。
【0030】
この第2の実施の形態では、位置決め手段50の肩部50Sは、台座本体20Mのピン差し込み孔44の入口付近にある台座の壁面から成っているが、この壁面は、台座本体20Mの周面をピン差し込み孔44がある部分で切欠いて形成されている。従って、台座本体20Mは、この肩面50Sの間に残された周面部分が突出する形態となり、抜け止めピン42の把手部42Gは、この突出部分20MPを跨いで配置されるが、位置決め手段50は、この把手部42Gが突出部分20MPから間隔をあけて把手部42Gに指を掛けることができるように抜け止めピン42を位置決めする。
【0031】
図15は、第2の実施の形態によるレベルアジャスタ10のピン差し込み孔44に両側から対称的に奥向きに幅狭となるようにテ―パを設けてピン弾性抜け止め手段60を形成し、第1の実施の形態によるレベルアジャスタ10の図8の構造と同じ構造であることを示すものである。
【0032】
第2の実施の形態によるレベルアジャスタ10は、上記の構造以外は、第1の実施の形態によるレベルアジャスタ10と同じ構造を有し、またその機能及び効果は、第1の実施の形態によるレベルアジャスタの機能及び効果と同じであるので、その説明を省略する。
【0033】
本発明の第3の実施の形態によるレベルアジャスタ10が図16乃至図22に示されており、この実施の形態によるレベルアジャスタ10においては、台座20は、平板状の基台20Bとこの基台20Bの中央付近からその周面付近まで延びるように設けられた略矩形状の台座本体20Mとから成り、スクリュー30は、基台20Bの中央付近に相応する位置で台座本体20Mに設けられた窪み22に挿入し、第1及び第2の実施の形態と同様に、抜け止めピン42の2つのピン部分42A、42Bが台座本体20Mのピン差し込み孔44に差し込まれスクリュー30の鍔30Fを抜け止めして台座20に組み付けられている。
【0034】
この第3の実施の形態では、位置決め手段50は、抜け止めピン42の2つのピン部分42A、42Bに膨らみ部を有しないで台座本体20Mのピン差し込み孔44の奥部に設けられて2つのピン部分42A、42Bの前端面が係止する壁面から成っている(図21参照)。
【0035】
このように、第3の実施の形態の位置決め手段50がピン差し込み孔44の奥部の壁から成っていると、図21から解るように、ピン差し込み孔44は双方向とすることができないが、抜け止めピン42のピン部分42A、42Bの前端部がピン差し込み孔44の奥部の壁面に衝合するので、第1及び第2の実施の形態のようにピン部分42A、42Bは、膨らみ部50A42A,50Bを必要としないことが解る。
【0036】
また、図示の第3の実施の形態では、台座本体20Mが基台20Bの周面まで延びているため、抜け止めピン42の把手部42Gは、基台20Bから突き出ているが(図17、図21参照)、台座本体20Mが基台20Bの周面まで延びていないでその手前で終わっていれば、把手部42Gが台座20から突き出ることがない。後者の場合、把手部42Gが基台20Bの上面に位置するので、把手部42Gに指を掛け難くなるが、これを回避するために、図23(C)に示すように、把手部42Gをピン部分42A、42Bから直角方向に向きを変えて指を掛け易くすることができる。
【0037】
第3の実施の形態によるレベルアジャスタ10は、上記の構造以外は、第1及び第2の実施の形態によるレベルアジャスタ10と同じ構造を有し、またその機能及び効果は、第1及び第2の実施の形態によるレベルアジャスタの機能及び効果と同じであるので、その説明を省略する。
【0038】
本発明の第1乃至第3の実施の形態のいずれでも、スクリュー30の鍔30Fと窪み22の周壁との間には隙間Gがあってスクリュー30が窪み22内で首振りすることができるようになっている(図5、図18、図20参照)。この首振りは、台座20が載置される床が傾斜していたり、床に凹凸があったりした場合に、それに追随することができるのに役立つものである。
【0039】
また、同様に、第1乃至第3の実施の形態のいずれでも、抜け止めピン42のピン部分42A、42Bとスクリュー30の鍔30Fとは若干の間隔Dをあけているのが好ましい(図5、図13、図20の符号D参照)。この間隔Dは、地震の発生で床が水平面に対して傾きが生じた場合に、台座20も同様に傾くが、台座20に差し込まれている抜け止めピン42のピン部分42A、42Bの一方が他方に対して上昇してもスクリュー30の鍔30Fを押し上げることがなく、床の傾きが据付物体に伝わるのを防止することができる。これは、台座20が耐震手段70のマット状耐震部材72を有することと相俟って据付物体への震動の伝達を有効に防止するのに役立つ。
【0040】
これも、同様に、第1乃至第3の実施の形態に共通することであるが、図示の実施例では、いずれも、抜け止めピン42のピン部分42A、42Bがその末広がりによってばね性が付与されているので、ピン部分42A、42Bの前記窪みにオーバーラップする部分の外側の外周面は、2つのピン差し込み孔44の外側の内周面(例えば、図6の右側のピン差し込み孔44の右側の内周面、左側のピン差し込み孔44の左側の内周面、図14、図21も同様の内周面)に面接触しており、ピン部分42A、42Bの前記窪みにオーバーラップする部分が広がることなく、抜け止めピン42のピン部分42A、42Bの抜け止めを一層確実にしている。
【0041】
本発明のレベルアジャスタは、上記の第1乃至第3の実施の形態による構造に限定されるものではなく、例えば、位置決め手段50は、抜け止めピン42のピン部分42A、42Bと台座との間で形成されるだけではなく、抜け止めピン42の把手部42Gと台座との間で形成されていてもよい。また、ピン弾性抜け止め手段60は、ピン部分42A、42Bに弾性層を有してこれらのピン部分42A、42Bを手で容易に抜き差しすることができるが、外部から力を加えなければ、ピン部分42A、42Bがピン差し込み孔44から不本意に抜け出すことがなく、抜け止めされるようにしてもよい。
【0042】
なお、抜け止めピン42の把手部42Gは、図23(D)に示すように、2つのピン部分42A、42Bの間隔よりも大きな幅を有するように拡大して抜け止めピン42の抜き差しを一層容易に行うことができるようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のレベルアジャスタは、抜け止めピンの差し込みでスクリューを抜け止めすることができるので、スクリューの着脱を迅速に行うことができ、また、抜け止めピンの2つのピン部分が台座のピン差し込み孔の内面に摩擦的に係合するので、スクリューは、台座に安定して抜け止めすることができ、産業上の利用性を有する。
【符号の説明】
【0044】
10 レベルアジャスタ
20 台座
20B 基板
20M 台座本体
20MP 突出部分
20S 把手収納空間
22 窪み
30 スクリュー
30F 鍔
40 スクリュー抜け止め手段
42 抜け止めピン
42A、42B ピン部分
42G 把手部
44 ピン差し込み孔
44H 入口(拡大孔)
50 位置決め手段
50A、50B 膨らみ部
50S 肩部
60 ピン弾性抜け止め手段
70 耐震手段
72 マット状耐震部材
D 間隔
G 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座と前記台座に着脱自在に装着されるスクリューとから成り、前記スクリューは、前記台座の窪みに挿入され、前記台座に設けられて前記スクリューを抜け止めするスクリュー抜け止め手段によって着脱自在に装着されているレベルアジャスタにおいて、前記スクリュー抜け止め手段は、相互に並列する2つのピン部分と前記2つのピン部分に一体に取り付けられた把手部とを有する抜け止めピンと、前記台座の前記窪みに部分的にオーバーラップするように前記台座に設けられ前記2つのピン部分が係入する2つの相互に並列するピン差し込み孔とから成り、前記スクリューは、前記台座のピン差し込み孔が前記窪みにオーバーラップする部分で前記2つのピン部分が係止する鍔を有し、前記抜け止めピンと前記台座とは、前記2つのピン部分が所定の差し込み位置で係止するように相互に位置決めする位置決め手段を備えていることを特徴とするレベルアジャスタ。
【請求項2】
台座と前記台座に着脱自在に装着されるスクリューとから成り、前記スクリューは、前記台座の窪みに挿入され、前記台座に設けられて前記スクリューを抜け止めするスクリュー抜け止め手段によって着脱自在に装着されているレベルアジャスタにおいて、前記スクリュー抜け止め手段は、相互に並列する2つのピン部分と前記2つのピン部分に一体に取り付けられた把手部とを有する抜け止めピンと、前記台座の前記窪みに部分的にオーバーラップするように前記台座に設けられ前記2つのピン部分が係入する2つの相互に並列するピン差し込み孔とから成り、前記スクリューは、前記台座のピン差し込み孔が前記窪みにオーバーラップする部分で前記2つのピン部分が係止する鍔を有し、前記抜け止めピンと前記台座とは、前記2つのピン部分が所定の差し込み位置で係止するように相互に位置決めする位置決め手段と前記2つのピン部分が前記台座のピン差し込み孔の内面に摩擦的に係合するピン弾性抜け止め手段とを備えていることを特徴とするレベルアジャスタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のレベルアジャスタであって、前記所定の差し込み位置は、抜け止めピンの把手部が2つのピン部分が差し込まれた状態でも手が掛けられ易い位置であることを特徴とするレベルアジャスタ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずいれかに記載のレベルアジャスタであって、前記位置決め手段は、前記抜け止めピンの2つのピン部分に設けられた膨らみ部と前記台座のピン差し込み孔内でその端部付近に設けられた肩部とから成っていることを特徴とするレベルアジャスタ。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載のレベルアジャスタであって、前記位置決め手段は、前記抜け止めピンの2つのピン部分に設けられた膨らみ部と前記台座のピン差し込み孔の入口付近にある前記台座の壁面とから成っていることを特徴とするレベルアジャスタ。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれかに記載のレベルアジャスタであって、前記位置決め手段は、前記台座のピン差し込み孔の奥部に設けられて前記抜け止めピンの2つのピン部分の前端面が係止する壁面から成っていることを特徴とするレベルアジャスタ。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれかに記載のレベルアジャスタであって、前記ピン弾性抜け止め手段は、前記抜け止めピンの2つのピン部分が先端に向けて広がるようにして前記ピン差し込み孔に摩擦的に係合するものであることを特徴とするレベルアジャスタ。
【請求項8】
請求項2乃至6のいずれかに記載のレベルアジャスタであって、前記ピン弾性抜け止め手段は、前記台座のピン差し込み孔の内面がテーパ状であって前記抜け止めピンの2つのピン部分が弾性的に係入されるものであることを特徴とするレベルアジャスタ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のレベルアジャスタであって、前記台座のピン差し込み孔は、前記抜け止めピンがいずれかの方向からも係入することができるように形成され、前記位置決め手段は、前記双方向のピン差し込み孔の両端に設けられていることを特徴とするレベルアジャスタ。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載のレベルアジャスタであって、前記台座は、その下面に取り付けられた耐震部材を含むことを特徴とするレベルアジャスタ。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載のレベルアジャスタであって、前記抜け止めピンのピン部分は、前記スクリューの鍔に対して隙間を有して差し込まれていることを特徴とするレベルアジャスタ。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載のレベルアジャスタであって、前記抜け止めピンの前記窪みにオーバーラップする部分の外側の外周面は、前記ピン差し込み孔の外側の内周面に接触していることを特徴とするレベルアジャスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−203335(P2012−203335A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70252(P2011−70252)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000242231)北川工業株式会社 (268)
【出願人】(000107572)スガツネ工業株式会社 (153)
【Fターム(参考)】