説明

レボドパ及びカルビドパの投与

レボドパ及び/又はカルビドパを含んでなる物質、組成物、投薬形態物及び方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、レボドパ(levodopa)及び/又はカルビドパ(carbidopa)を含んでなる物質、組成物、投薬形態物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
パーキンソン病は、骨格筋系の運動性及び調節に影響する錐体外路神経系の進行性神経変性障害である。その特徴的な側面には、安静時振せん(resting tremor)、硬直及び運動緩徐性運動(bradykinetic movements)が含まれる。
【0003】
パーキンソン病のための現在の治療の絶好の標準(gold standard)は、薬剤レボドパ(L−ドパ(L−dopa)とも呼ばれる)である。芳香族アミノ酸であるレボドパは白色の結晶性化合物であり、水中にわずかに可溶性であり、197.2の分子量を有する。それは化学的に(−)−L−(アルファ)−アミノ−(ベータ)−(3,4−ジヒドロキシベンゼン)プロパン酸と称される。その実験式はC11NOであり、その構造式は:
【0004】
【化1】

【0005】
である。
【0006】
パーキンソン病の症状は線条体におけるドパミンの枯渇に関連することを、現在の証拠が示している。明らかにドパミンは血液−脳関門を横切らない故に、ドパミンの投与はパーキンソン病の処置に無効である。しかしながらレボドパは、大きな中性アミノ酸担体輸送系により、血液−脳関門を横切ることができる。おそらくレボドパは、脳内でドパミンに転換されると思われる。これが、レボドパがパーキンソン病の症状を軽減する機構であると思われる。
【0007】
通常レボドパは、カルビドパと組み合わされて与えられる。芳香族アミノ酸脱カルボキシル化の防止剤であるカルビドパは白色の結晶性化合物であり、水中にわずかに可溶性であり、244.3の分子量を有する。それは化学的に(−)−L−((アルファ)−ヒドラジノ−((アルファ)−メチル−(ベータ)−(3,4−ジヒドロキシベンゼン)プロパン酸一水和物と称される。その実験式はC1014・HOであり、その構造式は
【0008】
【化2】

【0009】
である。
【0010】
レボドパが経口的に投与されると、それは大脳外組織中で急速にドパミンに脱カルボキシル化され、与えられる用量の小さい割合しか中枢神経系に変化せずに輸送されない。カルビドパは末梢レボドパの脱カルボキシル化を防止し、より多くのレボドパを脳への輸送のために利用できるようにする。カルビドパは、レボドパと共投与されると、レボドパの血漿レベルを向上させ、一定の応答を生むのに必要なレボドパの量を約75%減少させる。カルビドパは、レボドパの血漿半減期を50分から1.5時間に延長し、血漿及び尿ドパミンならびにその主要な代謝物であるホモバニリン酸を減少させる。
【0011】
上記の化合物は多様な即時放出経口用投薬形態物、例えばSinemetTM(カルビドパ及びレボドパ)中に導入された。SinemetTM CRのような、これらの経口用投薬形態物のいくつかの通常の制御放出型(controlled release versions)も開発された。
【0012】
これらの通常の経口用投薬形態物に伴う問題は、それらが他の治療と比較してパーキンソン病の特に優れた抑制を与えないことである。例えばレボドパ/カルビドパ溶液の十二指腸内輸液の長期間研究は、パーキンソン症候群患者における運動変動(motor fluctuations)が顕著に減少し得ることを見出した。これらの輸液法は、4〜7年の継続的十二指腸輸液の後でさえ、正の効果を示す。非特許文献1。
【0013】
そのような十二指腸内輸液は、通常の経口用制御放出投薬形態物を用いるレボドパ及びカルビドパの経口的投薬より優れていることさえ示された。非特許文献2。経口的治療後の血漿レボドパ濃度に関する平均個体内変動係数(average intraindividual coefficient of variation)は34%であり、継続的輸液の間にはそれより有意に低かった(14%,p<0.01)。毎時のビデオ評価は、輸液の間のON時間における有意な増加(特定の運動の仕事を行なう正常なもしくは正常に近い能力により証明される)ならびにOFF時間(重症のパーキンソン症候群)及びジスキネジーにおける有意な減少を示した。ピーク−効果ジスキネジーはなくなり、それはレボドパ及び中枢ドパミン濃度のピークの除去から生ずる。
【0014】
そのような長期間輸液戦略の優れた治療的性能にかかわらず、それらは実行するのが困難且つ不便なままであり、それは、患者が彼らの覚醒時間中ずっとポンプにつながれていることをそれが必要とするからである。さらに、ポンプの機能障害が起こり得、パーキンソン患者にとって重大な問題を生ずる。
【0015】
従って、上記の問題に向けられた物質、組成物、投薬形態物及び方法が必要である。
【非特許文献1】D.Nilsson et al.著,“Duodenal levodopa infusion in Perkinson’s disease−long term experience”,Acta Neuronal Scan 104:2001年,343−348
【非特許文献2】D.Nyholm et al.著,“Optimizing Levodopa Pharmacokinetics:Intestinal infusion Versus Oral Sustained−Release Tablets”,Clin.Neuropharmacology 26(3):2003年,156−163
【発明の開示】
【0016】
発明の概略
1つの側面において、本発明は:レボドパ及び輸送部分を含んでなる錯体を含んでなる物質に関する。
【0017】
1つの側面において、本発明は:アルキルサルフェート塩を準備し;アルキルサルフェート塩をアルキルサルフェートの酸形態に転換し;レボドパをアルキルサルフェートの酸形態と接触させてレボドパ−アルキルサルフェート錯体を形成せしめ;そして錯体を単離することを含んでなる方法に関する。
【0018】
1つの側面において、本発明は:カルビドパ及び輸送部分を含んでなる錯体を含んでなる物質に関する。
【0019】
1つの側面において、本発明は:アルキルサルフェート塩を準備し;アルキルサルフェート塩をアルキルサルフェートの酸形態に転換し;カルビドパをアルキルサルフェートの酸形態と接触させてレボドパ−アルキルサルフェート錯体を形成せしめ;そして錯体を単離することを含んでなる方法に関する。
【0020】
1つの側面において、本発明は:(i)レボドパを含んでなる物質及びカルビドパを含んでなる物質を制御可能的に送達する構造を含んでなる経口用制御送達投薬構造を含んでなる経口用投薬形態物に関し;ここで制御送達投薬構造はレボドパを含んでなる物質の少なくとも一部及びカルビドパを含んでなる物質の少なくとも一部を含有し;且つここで制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部及びカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に:
a.約236〜約988ng/mLの範囲のレボドパCmaxを与え、
b.約3676〜約15808h・ng/mLのレボドパAUCを与え、且つ
c.少なくとも約10時間の持続時間のウィンドウを通じてCmaxの少なくとも約15パーセントであるレボドパ血漿薬剤濃度を保持し、
d.約1〜約500ng/ml μモル/Lの範囲のカルビドパCmaxを与え、
e.約20000〜約200000h・ng/mLのカルビドパAUCを与え、且つ
f.少なくとも約10時間の持続時間のウィンドウを通じてCmaxの少なくとも約15パーセントであるカルビドパ血漿薬剤濃度を保持する
のに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる。
【0021】
1つの側面において、本発明はレボドパを含んでなる物質を制御可能的に送達する構造を含んでなる経口用制御送達投薬構造を含んでなる経口用制御送達投薬形態物に関し;ここで制御送達投薬構造はレボドパを含んでなる物質の少なくとも一部を含有し;且つここで制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を
、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約6時間の持続時間のウィンドウの間、実質的にゼロ次(zero order)のレボドパ血漿分布(levodopa
plasma profile)を与えるのに有効な上昇放出速度で制御可能的に送達するように適応させられる。
【0022】
1つの側面において、本発明は:レボドパ;アルキルサルフェート塩;及び製薬学的に許容され得る担体を含んでなる組成物に関する。
【0023】
図の簡単な記述
以下の図は一定の比率に従って描かれておらず、本発明の種々の態様を例示するために示される。
【0024】
図1は、胃腸管の上皮の図であり、G.I.管の上皮を介する薬剤の2つの輸送経路を示す。
【0025】
図2は、液体の浸透性投薬形態物の図を示す。
【0026】
図3は、液体の浸透性投薬形態物の図を示す。
【0027】
図4は、浸透性投薬形態物の図を示す。
【0028】
図5は、3−層浸透性投薬形態物の図を示す。
【0029】
図6は、要素浸透性ポンプ投薬形態物(elementary osmotic pump dosage form)の図を示す。
【0030】
図7A〜7Cは、制御放出投薬形態物の図を示す。
【0031】
図8は、本発明に従う投薬形態物の放出分布を示す;
【0032】
図9は、本発明に従うレボドパ及びレボドパ錯体に関する血漿濃度のプロットを示す;
【0033】
図10は、本発明に従うレボドパ及びレボドパ錯体に関する血漿濃度のプロットを示す。
【0034】
詳細な記述
定義
本発明は、本明細書に示される以下の定義、図面及び代表的な開示を参照することにより、最も良く理解される。
【0035】
「上昇放出速度」により、時間の関数としての放出される薬剤の量がある時間に及んで、好ましくは継続的に、且つ漸進的に増加する放出速度を意味する。好ましくは、時間の関数としての薬剤放出速度は一定の(段階的ではなく)やり方で増加する。より好ましくは、上昇放出速度を以下の通りに特性化することができる。ある投薬形態物に関する時間の関数としての放出速度を測定し、%薬剤放出対時間あるいは放出される薬剤のミリグラム/時対時間としてプロットする。上昇放出速度は、約2時間〜約12時間、好ましくは約2時間〜約18時間、より好ましくは約4時間〜約12時間、さらにもっと好ましくは約4時間〜約18時間の時間に及んで、与えられる2つの時間間隔内の速度が前の2つの時間間隔と比較して高いような平均速度(時間当たりの薬剤のmgで表される)により特徴付けられる。好ましくは、平均速度における上昇は漸進的であり、いずれの2時間間隔の間に送達される投薬量も約30%未満であり、より好ましくは、いずれの2時間間隔の間に送達される投薬量も約25%未満である。好ましくは、上昇放出速度は投薬形態物中の薬剤の少なくとも約50%が放出されるまで、より好ましくは少なくとも約75%が送達されるまで保持される。
【0036】
「曲線下の面積」又は「AUC」により、血漿薬剤(レボドパ又はカルビドパ)濃度曲線下の合計面積を意味する。それは、投与の時間から最後の測定可能な血漿薬剤濃度の時点まで、台形法プラス血漿薬剤濃度分布の最後の測定可能な血漿薬剤濃度対末端(自然)対数線状部分の見掛けの傾斜の比率に従う無限への外挿を用いて計算される。
【0037】
「C」により、患者の血漿又は血清中の薬剤の濃度を意味し、一般に単位体積当たりの質量、典型的にはミリリットル当たりのナノグラムとして表される。便宜的に、本明細書でこの濃度は「薬剤血漿濃度」、「血漿薬剤濃度」又は「血漿濃度」と呼ばれ得、それはいずれの適宜の体液又は体組織において測定される薬剤濃度をも包含することが意図されている。薬剤投与の後のいずれかの時間における血漿薬剤濃度は、C9h又はC24hなどにおけるようにCtimeとして言及される。
【0038】
「組成物」により、追加の活性な製薬学的成分と組み合された、且つ場合により不活性な成分、例えば製薬学的に許容され得る担体、賦形剤、懸濁化剤、界面活性剤、崩壊剤、結合剤、希釈剤、滑沢剤、安定剤、酸化防止剤、浸透剤、着色剤、可塑剤などと組み合された薬剤を意味する。
【0039】
「錯体」により、薬剤部分及び堅いイオン対結合により会合した輸送部分を含んでなる物質を意味する。薬剤−部分−輸送部分錯体は、オクタノール/水分配挙動における差により薬剤部分と輸送部分のゆるいイオン対と区別され得、以下の関係:
ΔLogD=LogD(錯体)−LogD(ゆるいイオン対)≧0.15(式1)
により特徴付けられ、ここで:
D、分布係数(distribution coefficient)(見掛けの分配係数)は、25度摂氏におけるオクタノール中の薬剤部分及び輸送部分のすべての種の平衡濃度対ある設定pH(典型的には大体pH=5.0〜大体pH=7.0)における水(脱イオン水)中の同じ種の平衡濃度の比率である。LogD(錯体)は、本明細書中の記述に従って調製される薬剤部分と輸送部分の錯体に関して決定される。LogD(ゆるいイオン対)は、脱イオン水中の薬剤部分と輸送部分の物理的混合物に関して決定される。LogDは実験的に決定することができるか、あるいは商業的に入手可能なソフトウェアパッケージ(例えばChemSilico,Inc.,Advanced Chemistry Development Inc)を用いてゆるいイオン対に関して推定することができる。
【0040】
例えば推定錯体のオクタノール/水の見掛けの分配係数(D=Coctanol/Cwater)を決定し(25度摂氏における脱イオン水中)、25度摂氏における脱イオン水中の輸送部分と薬剤部分の1:1(モル/モル)物理的混合物と比較することができる。推定錯体(D+T−)に関するLogDと1:1(モル/モル)物理的混合物、D‖Tに関するLogDの間の差が0.15より大きいかもしくはそれに等しい場合、推定錯体は本発明に従う錯体であることが確証される。
【0041】
好ましい態様において、ΔLogD≧0.20、そしてより好ましくはΔLogD≧0.25、さらにもっと好ましくはΔLogD≧0.35である。
【0042】
「制御送達」又は「制御可能な送達」により、長時間に及ぶ継続的もしくは断続的な薬剤の放出を意味し、ここで薬剤は(b)制御された時間に及んで(a)制御された速度で
、且つ(c)上部(upper)G.I.及び下部(lower)G.I.管送達、好ましくは下部G.I.管送達を与えるような方法で放出され、即時放出投薬形態物における薬剤の吸収と比較して向上した薬剤吸収と結びつけられる。
【0043】
制御送達法は、レボドパ及び/又はカルビドパの上部G.I.管及び下部G.I.管吸収、好ましくはレボドパ及び/又はカルビドパの下部G.I.管吸収を向上させる方法を含んでなる。レボドパ及び/又はカルビドパの上部G.I.管及び下部G.I.管吸収、好ましくはレボドパ及び/又はカルビドパの下部G.I.管吸収を向上させる方法は、(i)レボドパ及び/又はカルビドパの形態の輸送部分との錯体化ならびに/あるいは上部及び下部G.I.管、好ましくは下部G.I.管へのそのような錯体の送達;ならびに(ii)上部及び下部G.I.管、好ましくは下部G.I.管吸収が向上した形態のレボドパ及び/又はカルビドパのプロドラッグの形成ならびに/あるいはそのようなプロドラッグの上部及び下部G.I.管、好ましくは下部G.I.管への送達を含むが、これらに限られない。好ましい態様において、レボドパ及びカルビドパは、アルキルサルフェート塩とのレボドパ及びカルビドパの錯体化により制御可能的に送達され、上部及び下部G.I.管へのそのような錯体の送達と結び付けられる。
【0044】
「投薬形態物」により、必要のある患者への投与に適した媒体、担体、ビヒクル又は装置中の製薬学的組成物を意味する。
【0045】
「薬剤」又は「薬剤部分」により、患者に投与されると何らかの薬理学的効果を与える薬剤、化合物又は薬剤(agent)あるいはそのような薬剤、化合物又は薬剤の残基を意味する。錯体の形成における使用のために、薬剤は酸性、塩基性又は両性イオン性構造要素あるいは酸性、塩基性又は両性イオン性残留(residual)構造要素を含んでなる。本発明に従う態様において、酸性構造要素又は酸性残留構造要素を含んでなる薬剤部分を、塩基性構造要素又は塩基性残留構造要素を含んでなる輸送部分と錯体化させる。本発明に従う態様において、塩基性構造要素又は塩基性残留構造要素を含んでなる薬剤部分を、酸性構造要素又は酸性残留構造要素を含んでなる輸送部分と錯体化させる。本発明に従う態様において、両性イオン性構造要素又は両性イオン性残留構造要素を含んでなる薬剤部分を、酸性もしくは塩基性構造要素又は酸性もしくは塩基性残留構造要素を含んでなる輸送部分と錯体化させる。1つの態様において、酸性構造要素又は酸性残留構造要素のpKaは約7.0未満、好ましくは約6.0未満である。1つの態様において、塩基性構造要素又は塩基性残留構造要素のpKaは約7.0より高く、好ましくは約8.0より高い。両性イオン性構造要素又は両性イオン性残留構造要素は、輸送部分との錯体がいかにして形成されるべきかに依存して、それらの個々の塩基性構造要素又は塩基性残留構造要素あるいはそれらの酸性構造要素又は酸性残留構造要素に関して分析される。
【0046】
「オリフィス」又は「出口オリフィス」により、投薬形態物からの活性薬剤の放出に適した手段を意味する。該表現は開口部、穴(hole)、穴(bore)、孔、多孔質要素、多孔質上張り(porous overlay)、多孔質挿入物、中空繊維、毛細管、微孔質挿入物、微孔質上張りなどを含む。
【0047】
「脂肪酸」により、一般式CH(C)COOHの有機酸の群のいずれかを意味し、ここで炭化水素鎖は飽和(x=2n、例えばパルミチン酸、CH1428COOH)又は不飽和(モノ不飽和の場合、x=2n−2、例えばオレイン酸、CH1630COOH)のいずれかである。
【0048】
「即時−放出」により、約1時間もしくはそれ未満、好ましくは約30分もしくはそれ未満の時間内に投薬形態物から実質的に完全に放出される薬剤の投薬を意味する。ある種の制御送達投薬形態物は、薬剤を放出し始めるために投与に続いて短い時間を必要とし得
る。初期薬剤放出におけるわずかな遅れが望ましくない態様において、即時−放出皮膜(overcoat)を制御送達投薬形態物の表面に適用することができる。投薬形態物の表面上にコーティングとして適用される薬剤の即時−放出投薬は、投与されると迅速に溶解し、それにより薬剤の即時−放出投薬を与えるコーティング溶液の形成に適した製薬学的に許容され得る担体中で調製される薬剤の投薬を指す。当該技術分野において既知の通り、そのような即時放出薬剤皮膜は、下層の投薬形態物内に含有される単数種もしくは複数種の薬剤と同じかもしくは異なる薬剤を含有することができる。
【0049】
「腸」又は「胃腸(G.I.)管」により、胃の下部開口部から肛門まで延びる消化管の部分を意味し、小腸(十二指腸、空腸及び回腸)及び大腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸及び直腸)から成る。
【0050】
「ゆるいイオン−対」により、生理学的pHで、且つ水性環境中で、ゆるいイオン対の環境中に存在し得る他のゆるく対合したかもしくは遊離のイオンと容易に交換可能なイオンの対を意味する。ゆるいイオン−対は、同位体標識及びNMR又は質量分析を用い、生理学的pHで、且つ水性環境中で、ゆるいイオン対のメンバーと他のイオンとの交換を記録する(noting)ことにより、実験的に見出され得る。逆相HPLCを用い、生理学的pHで、且つ水性環境中でイオン−対の分離を記録することによっても、ゆるいイオン−対を実験的に見出すことができる。ゆるいイオン−対を「物理的混合物」と呼ぶこともでき、それは媒体中でイオン−対を一緒に物理的に混合することにより形成される。
【0051】
「下部胃腸管」又は「下部G.I.管」により、大腸を意味する。
【0052】
「患者」により、治療的介在を必要とする動物、好ましくは哺乳類、より好ましくは人間を意味する。
【0053】
「製薬学的に許容され得る塩」により、低溶解度及び/又は低溶解速度の遊離の酸の製薬学的薬剤の塩を意味し、そのカチオンは塩の毒性又は薬理学的活性に有意に寄与せず、且つ従ってそれらは低溶解度及び/又は低溶解速度の遊離の酸の製薬学的薬剤の薬理学的同等物である。適した製薬学的に許容され得る塩には、アルカリ金属塩、例えばナトリウムもしくはカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムもしくはマグネシウム塩;ならびに適した遊離リガンドと形成される塩、例えば第4級アンモニウム塩を含む塩基付加塩が含まれ、それらは類似して薬剤化合物を適した製薬学的に許容され得る塩基と反応させることにより製造され得る。
【0054】
「製薬学的組成物」により、必要のある患者への投与に適した組成物を意味する。
【0055】
「長時間」により、約1時間より長い、好ましくは約4時間より長い、より好ましくは約8時間より長い、より好ましくは約10時間より長い、さらにもっと好ましくは約14時間より長い、最も好ましくは約14時間より長く且つ最高で約24時間の連続した時間を意味する。
【0056】
本明細書で用いられる場合、他にことわらなければ、薬剤の「放出速度(rate of release)」又は「放出速度(release rate)」は、単位時間当たりに投薬形態物から放出される薬剤の量、例えば時間当たりに放出される薬剤のミリグラム(mg/時)を指す。薬剤形態物に関する薬剤放出速度は、典型的には薬剤放出の試験管内速度として、すなわち適した条件下で、且つ適した流体中で測定される単位時間当たりに投薬形態物から放出される薬剤の量として測定される。
【0057】
本明細書で言及される放出速度は、調べられるべき投薬形態物を、37℃における一定
温度の水浴中のUSP Type VIIバスインデクサー(bath indexer)に取り付けられた金属コイルもしくは金属ケージ試料ホルダー中の脱−イオン水中に置くことにより決定される。あらかじめ決定された間隔で集められる放出速度溶液のアリコートを、次いで紫外又は屈折率検出器が取り付けられたクロマトグラフィー系中に注入し、試験間隔の間に放出された薬剤の量を定量する。
【0058】
900mLの人工の胃液(AGF,pH=1.2)中でDistek 5100(USP装置2パドルテスター(2 paddle tester))を用い、別の放出速度試験法を行なうことができる。溶解媒体の温度は37℃に保持され、パドル速度は100rpmである。オンラインUV分光分析を用いて280nmにおいてレボドパの濃度を測定した。
【0059】
本明細書で用いられる場合、特定の時間に得られる薬剤放出速度は、放出速度試験の実行後の特定の時間に得られる試験管内放出速度を指す。投薬形態物中の薬剤の特定のパーセンテージが該投薬形態物から放出されてしまう時間を「Tx」値と呼び、ここで「x」は放出されてしまう薬剤のパーセンテージである。例えば投薬形態物からの薬剤放出を評価するために通常用いられる参照測定値は、投薬形態物中の薬剤の70%が放出されてしまう時間である。この測定値は投薬形態物に関する「T70」と呼ばれる。好ましくは、T70は約8時間より長いかもしくはそれに等しく、より好ましくは、T70は約12時間より長いかもしくはそれに等しく、さらにもっと好ましくは、T70は約16時間より長いかもしくはそれに等しく、最も好ましくは、T70は約20時間より長いかもしくはそれに等しい。1つの態様において、T70は約12時間より長いかそれに等しく、且つ約24時間より短い。他の態様において、T70は約8時間より長いかもしくはそれに等しく、且つ約16時間より短い。
【0060】
「残留構造要素」により、他の化合物、化学的基、イオン、原子などとの相互作用又は反応により改変される構造要素を意味する。例えばカルボキシル構造要素(COOH)はナトリウムと相互作用してナトリウム−カルボキシレート塩を形成し、COO−は残留構造要素である。
【0061】
「溶媒」により、種々の他の物質がその中に完全に又は部分的に溶解できる物質を意味する。本発明で、好ましい溶媒には水性溶媒及び水の誘電定数より低い誘電定数を有する溶媒が含まれる。好ましいのは、水の誘電定数より低い誘電定数を有する溶媒である。誘電定数は溶媒の極性の尺度であり、代表的な溶媒に関する誘電定数を表1に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
溶媒である水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール及び酢酸は、電気陰性原子、典型的には酸素に結合した水素原子を有する極性プロトン性溶媒である。溶媒であるアセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン及びアセトニトリルは双極性非プロトン性溶媒であり、1つの態様において、本発明の錯体の形成における使用のために好ましい。双極性非プロトン性溶媒はOH結合を含有していないが、典型的には炭素と酸素又は窒素のいずれかの間の多重結合のために大きな結合双極子を有する。ほとんどの双極性非プロトン性溶媒はC−O二重結合を含有する。水の誘電定数より低い誘電定数を有する溶媒は、本発明の錯体の形成において特に有用である。表1に記されている双極性非プロトン性溶媒は、水の少なくとも2分の1より低い(at least two−fold lower)誘電定数及び水に近いかもしくはそれより大きい双極子モーメントを有する。
「構造要素」により、(i)より大きな分子の一部であり、且つ(ii)はっきりと認められる化学的官能基を有する化学基を意味する。例えば化合物上の酸性基又は塩基性基は構造要素である。
【0064】
「物質」により、特定の特性を有する化学的実在物を意味する。
【0065】
「堅い−イオン対」により、生理学的pHにおいて、且つ水性環境中で、堅い−イオン
対の環境中に存在し得る他のゆるく対合した又は遊離のイオンと容易に交換され得ないイオンの対を意味する。堅い−イオン対は、同位体標識及びNMR又は質量分析を用い、生理学的pHで、且つ水性環境中で、堅いイオン−対のメンバーと他のイオンとの交換の不在を記録することにより、実験的に検出され得る。逆相HPLCを用い、生理学的pHで、且つ水性環境中でイオン−対の分離のないことを記録することによっても、堅いイオン対を実験的に見出すことができる。
【0066】
「治療的に有効な量」により、研究者、獣医、医師又は他の臨床医学者が求めている組織系、動物又は人間における生物学的もしくは医学的反応を引き出す薬剤の量を意味し、反応には処置されている疾患又は障害の症状の軽減が含まれる。さらに特定的に、本発明の物質の治療的に有効な量は、好ましくはレボドパもしくはカルビドパ治療に反応する疾患の症状、合併症又は生化学的しるしを軽減する。正確な用量は、既知の方法を用いて当該技術分野における熟練者が突き止めることができるであろう(例えばLieberman著,Pharmaceutical Dosage Forms(Vols.1−3,1992);Lloyd著,1999,The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding;及びPickar著,1999,Dosage Calculationsを参照されたい)。治療的に有効な用量は、活性薬剤の毒性のもしくは有害な副作用より治療的に有益な効果が臨床的な点で勝っている用量でもある。それぞれの特定の患者に関し、特定の投薬量管理は、個々の必要性及び化合物を投与するか又はその投与を指図する人の専門的な判断に従って時間をかけて評価され、且つ調整されるべきであることにさらに注意しなければならない。
【0067】
「輸送部分」により、薬剤と一緒に錯体を形成することができる化合物、あるいは薬剤と一緒に錯体を形成したその化合物の残基を意味し、ここで輸送部分は非錯体化薬剤の輸送と比較して、上皮組織を横切る薬剤の輸送を向上させるように働く。輸送部分は疎水性部分及び酸性、塩基性または両性イオン性構造要素あるいは酸性、塩基性又は両性イオン性残留構造要素を含んでなる。好ましい態様において、疎水性部分は炭化水素鎖を含んでなる。1つの態様において、塩基性構造要素又は塩基性残留構造要素のpKaは約7.0より大きく、好ましくは約8.0より大きい。両性イオン性構造要素又は両性イオン性残留構造要素は、薬剤部分との錯体がいかにして形成されるべきかに依存して、それらの個々の塩基性構造要素又は塩基性残留構造要素あるいはそれらの酸性構造要素又は酸性残留構造要素に関して分析される。
【0068】
より好ましい態様において、輸送部分は、カルボン酸を含むがこれらに限られない製薬学的に許容され得る酸及びそれらの塩を含んでなる。態様において、輸送部分は脂肪酸又はその塩、ベンゼンスルホン酸又はその塩、安息香酸又はその塩、フマル酸又はその塩あるいはサリチル酸又はその塩を含んでなる。好ましい態様において、脂肪酸又はそれらの塩は6〜18個の炭素原子(C6〜C18)、より好ましくは8〜16個の炭素原子(C8〜C16)、さらにもっと好ましくは10〜14個の炭素原子(C10〜C14)、そして最も好ましくは12個の炭素原子(C12)を含んでなる。
【0069】
より好ましい態様において、輸送部分はアルキルサルフェート(飽和もしくは不飽和)及びそれらの塩、例えばカリウム、マグネシウム及びナトリウム塩を含んでなり、特定的にはオクチル硫酸ナトリウム、デシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びテトラデシル硫酸ナトリウムを含む。好ましい態様において、アルキルサルフェート又はその塩は6〜18個の炭素原子(C6〜C18))、より好ましくは8〜16個の炭素原子(C8〜C16)、さらにもっと好ましくは10〜14個の炭素原子(C10〜C14)、そして最も好ましくは12個の炭素原子(C12)を含んでなる。他のアニオン性界面活性剤も適している。
【0070】
別のより好ましい態様において、輸送部分は製薬学的に許容され得る第1級アミン又はその塩、特に第1級脂肪族アミン(飽和及び不飽和の両方)又はその塩、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカイン、コリン、トロメタミン、メグルミン、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、アルキルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンズアルコニウムクロリド及びベンズエトニウムクロリドを含んでなる。第2級又は第3級アミン及びそれらの塩を含んでなる他の製薬学的に許容され得る化合物ならびにカチオン性界面活性剤も有用である。
【0071】
「上部胃腸管」又は「上部G.I.管」により、胃及び小腸を含む胃腸管の部分を意味する。
【0072】
「ウィンドウ」により、規定される持続時間を有する時間を意味する。ウィンドウは、好ましくは患者への投薬形態物の投与の時点又はその後のいずれかの時点に始まる。例えば1つの態様において、ウィンドウは約12時間の持続時間を有することができる。好ましい態様において、ウィンドウは多様な時点に始まることができる。例えば好ましい態様において、ウィンドウは投薬形態物の投与から約1時間後に始まり、且つ約12時間の持続時間を有することができ、それは、ウィンドウが投薬形態物の投与から約1時間後に開き、投薬形態物の投与から約13時間後に閉じることを意味する。
【0073】
「ゼロ次放出速度」により、時間の関数としての放出される薬剤の量が実質的に一定である放出速度を意味する。さらに特定的に、時間の関数としての薬剤の放出速度の変動は約30%未満、好ましくは約20%未満、より好ましくは約10%未満、最も好ましくは約5%未満であり、ここで測定は、累積放出が投薬形態物中の薬剤の合計重量の(by total weight of drug)約25%〜約75%、好ましくは約25%〜約90%である時間に及んでなされる。
【0074】
「ゼロ次血漿分布」により、特定の時間間隔に及ぶ、患者の血漿中の特定の薬剤の実質的に均一な又は変化しない量を意味する。一般にゼロ次血漿分布を示す薬剤の血漿濃度は、1つの時間間隔から続く時間間隔で約30%より多く変化せず、好ましくは約10%より多く変動しない。
【0075】
制御送達、錯体形成及び特性化
予期し得なかったことに、発明者らは、本明細書に示される物質、組成物、投薬形態物及び制御送達装置を用いてレボドパ及び/又はカルビドパを送達する方法を用い、上記で議論された当該技術分野における問題を解決できることを見出した。そのような物質、組成物、投薬形態物及び方法は、中でもパーキンソン病の処置において有用である。
【0076】
特に発明者らは、前記の問題への通常の解決が通常の制御放出法の適用であり得ることに注目する。しかしながらデータを厳しく調べた時に発明者らは、これらの通常の制御放出法が当該技術分野における前記の問題の解決に不十分であることを見出した。
【0077】
薬物動力学的理解として、発明者らは、レボドパ及び/又はカルビドパが下部G.I.管において及びおそらく上部G.I.管の一部においてさえあまり吸収されないことを認識した。これは、レボドパが主に大きな中性のL−アミノ酸のための担体により、腸上皮を横切って輸送されるという当該技術分野における理解により支持される。D.Nilsson et al.著,“Absorption of L−DOPA from the proximal small intestine studied in the rhesus monkey by positron emission tomography”,European J.of Pharm.Sci.7:185−
189(1999)。これらの担体は近位上部G.I.管の一部に集中していることが知られている。さらに吸収研究は、レボドパの実質的にすべての吸収が経口的投与から4時間後以内に起こることを示し、ほとんどすべての吸収が上部G.I.管で起こることを示している。著者らは、「これらのデータは、バイオアベイラビリティーにおけるさらなる減少及び可変性における増加なしで、レボドパの放出をSinemet CRの放出を超えて持続させることができないことを示唆している」と結論した。I.R.Wilding et al.著,“Characterisation of the In Vivo Behaviour of a Controlled−Release Formulation of Levodopa(Sinemet CR)”,Clin.Neuropharmacology 14(4):305−321(1991)。
【0078】
カルビドパの腸吸収に関するデータは非常に稀であるが、カルビドパの構造は自分自身を、レボドパを輸送すると仮定されたと同じアミノ酸輸送物質により輸送されるようにしているので、発明者らは、その吸収も上部G.I.管中に集中し得ると認識した。従って、G.I.管の一部におけるカルビドパの劣った吸収のために変動するカルビドパレベルは、カルビドパの血漿濃度が有意に低下する期間を生じ得、同時に比較的低いレボドパレベル(レボドパの代謝の故の)の期間が付随し得る。これらの変動は、本明細書の他の箇所で記載する通り、望ましくない。
【0079】
発明者らはさらに、劣った下部G.I.管(及び遠位上部G.I.管の一部)吸収は、濃度変動が減少したレボドパ及び/又はカルビドパの経口用投薬形態物の開発において通常の制御放出(CR)法が働かないであろうことを意味することを認識した。特に、十二指腸内輸液を用いて作られるような実質的にゼロ次の血漿分布、好ましくはゼロ次血漿分布を発現させるのにそのような方法を用いることはできない。一般にCR投薬形態物は、8〜10時間かもしくはそれ未満以内に上部G.I.管を介して下部G.I.管に動くであろう。レボドパ及び/又はカルビドパを含む投薬形態物が下部G.I.管に達したら、化合物の吸収は有意に減少する。事実、上記の通り、吸収は本質的に投薬後4時間のように迅速に完了する。従ってCR投薬形態物は、有効性を達成するために、1日2回(bid)又は毎日(qd)より頻繁に投薬されねばならないであろう。これは、上記の望ましくない濃度変動及びピーク効果の源となり得る。
【0080】
従って発明者らは驚くべきことに、本明細書で制御送達法と呼ばれる制御放出法の特定のサブクラスのみが、レボドパ及び/又はカルビドパの1日2回又は1日1回投薬を与えるのに十分であることを認識した。
【0081】
これらの制御送達法は、向上した下部G.I.管吸収を示すレボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質を含んでなる。向上した下部G.I.管吸収を示すレボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質には、レボドパ及び/又はカルビドパとアルキルサルフェート塩の錯体;ならびに向上した下部G.I.吸収を有するレボドパ及び/又はカルビドパのプロドラッグが含まれるが、これらに限られない。好ましい態様においては、必要のある患者に錯体の形態におけるレボドパ及び/又はカルビドパが制御可能的に送達される。
【0082】
本発明に従うレボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質の制御送達は、レボドパ及び/又はカルビドパの実質的にゼロ次の血漿分布、好ましくはゼロ次血漿分布を達成できる機構を与える。そのような実質的にゼロ次の血漿分布、好ましくはゼロ次の血漿分布は、経口用投薬形態物に関する先行技術において気付かれた問題(濃度の揺れ及びピーク効果)を軽減することができ、しかも輸液ポンプと比較して投薬の便利性を実質的に向上させる。
【0083】
ここで本発明の制御送達法の種々の態様を、本明細書でさらに議論する。
【0084】
ある態様において、レボドパ及び/又はカルビドパを、向上した下部G.I.管吸収を示すように改変する。製薬学的開発は、典型的には下部G.I.管ではなくて上部G.I.管における吸収用の薬剤形態を標的とし、それは、上部G.I.管が下部G.I.管が有するよりずっと大きい薬剤の吸収のための表面積を有するからである。下部G.I.管には、上部G.I.管中に存在する微小繊毛がない。繊毛の存在は薬剤吸収のための表面積を非常に増加させ、そして上部G.I.管は下部G.I.管が有する表面積の480倍の表面積を有する。上部及び下部G.I.管の細胞特性における差も、下部G.I.管における分子の劣った吸収に寄与している。
【0085】
図1は、G.I.管の上皮を横切る化合物の輸送のための2つの通常の経路を示す。10a、10b、10cにより示される個々の上皮細胞は、小腸及び大腸に沿って細胞障壁を形成する。個々の細胞は水チャンネル(water channels)又は接着結合、例えば結合12a、12bにより隔てられている。上皮を横切る輸送は、貫細胞(transcellular)経路及び並細胞(paracellular)経路のいずれか又は両方を介して起こる。図1において矢印14により示される輸送のための貫細胞経路は、受動拡散により、又は担体−媒介輸送により上皮細胞の壁及び本体を横切る化合物の移動を含む。輸送の並細胞経路は、矢印16により示される通り、個々の細胞の間の接着結合を介する分子の移動を含む。並細胞輸送はあまり特異的ではないが、ずっと大きい全体的容量を有し、それは一部にはそれがG.I.管の長さ全体で起こるからである。しかしながら、接着結合はG.I.管の長さに沿って、接着結合の有効な「接着性」における近位から遠位への勾配が増加するとともに、変化する。かくして上部G.I.管中の十二指腸は上部G.I.管中の回腸より「漏れやすく」、回腸は下部G.I.管中の結腸より「漏れやすい」(Knauf,H.et al.著,Klin.Wochenschr.,60(19):1191−1200(1982))。
【0086】
上部G.I.管における薬剤の典型的な滞留時間は約4〜6時間なので、劣った下部G.I.吸収を有する薬剤は、経口的摂取から後の4〜6時間の間のみに体により吸収される。多くの場合、投与される薬剤が1日を通じて比較的一定の濃度で患者の血流中に存在するのが医学的に望ましい。最小の下部G.I.管吸収を示す通常の薬剤調製物を用いてこれを達成するために、患者は1日に3〜4回薬剤を摂取する必要がある。患者へのこの不便性の実際の経験は、これが最適の処置案ではないことを示唆する。レボドパ及び/又はカルビドパの場合の状況は1つの例である。
【0087】
一定した投薬処置を与えるために、従来の製薬学的開発は種々の制御放出薬剤系を示唆してきた。そのような系は、それらの薬剤負荷を投与後の長時間に及んで放出することにより機能する。しかしながら、これらの制御放出系の通常の形態は、最小の結腸吸収を示す薬剤の場合には有効でない。薬剤は上部G.I.管においてのみ吸収されるので、且つ上部G.I.管における薬剤の滞留時間はわずか4〜6時間なので、提案される制御放出投薬形態物が上部G.I.における投薬形態物の滞留時間後にその負荷を放出できるということは、体が4〜6時間の上部G.I.管滞留を過ぎてから制御放出薬剤を吸収し続けるであろうことを意味しない。そうではなくて、投薬形態物が下部G.I.管に入った後に制御放出投薬形態物により放出される薬剤は一般に吸収されず、代わりに体から追い出される。
【0088】
驚くべきことに、劣った吸収特性を有する多くの通常の薬剤部分は、ある輸送部分と錯体化されると、有意に強化された吸収、特に下部G.I.管吸収を示すが、上部GI管吸収も強化され得ることが見出された。本発明に従う錯体、例えばレボドパを含んでなるある物質及び/又はカルビドパを含んでなるある物質が、本発明の錯体と同じイオンを含ん
でなるゆるいイオン−対(すなわち非−錯体化形態)と比較して向上した吸収を示すことは、さらに驚くべきことである。
【0089】
これらの予期し得ぬ結果は、塩基性構造要素又は塩基性残留構造要素を含んでなる薬剤部分を含む多くの範疇の薬剤部分に当てはまることが見出された。本発明の予期し得ぬ結果は、両性イオン性構造要素又は両性イオン性残留構造要素を含んでなる薬剤部分にも当てはまる。そのような薬剤部分の例はレボドパ及び/又はカルビドパを含んでなる。本発明の予期し得ぬ結果は、酸性構造要素又は酸性残留構造要素を含んでなる薬剤部分にも当てはまる。
【0090】
特定の機構の解釈によって縛られることは望まないが、発明者らは以下の通りに推論する:
ゆるいイオン−対を極性溶媒環境中に置くと、極性溶媒分子はイオン結合により占められる空間に入り込み、かくして結合したイオンを離すと思われる。遊離のイオンに静電的に結合した極性溶媒分子を含んでなる溶媒殻が遊離のイオンの周りに形成され得る。この溶媒殻は次いで、遊離のイオンが他の遊離のイオンとのゆるくイオン−対合したイオン結合以外の何かを形成するのを妨げる。複数の型の対イオンが極性溶媒中に存在する状況では、いずれの与えられるゆるいイオン−対合も対−イオン競合を比較的受け易いかも知れない。
【0091】
この効果は、溶媒の誘電定数として表される極性が増加するとより顕著である。クーロンの法則に基づくと、電荷(q1)及び(q2)を有し、且つ誘電定数(e)の媒体中において距離(r)で隔てられた2個のイオンの間の力は:
【0092】
【数1】

【0093】
であり、ここでεは空間の誘電率(constant of permittivity)である。式は、溶液中のゆるいイオン−対の安定性への誘電定数(ε)の重要性を示す。高い誘電定数(ε=80)を有する水溶液中で、水分子がイオン結合を攻撃し、反対に帯電したイオンを分離すると、静電的引力は有意に低下する。
【0094】
従って高い誘電定数の溶媒分子は、イオン結合の近くに存在すると、結合を攻撃し、結局それを壊す。そうすると非結合イオンは、溶媒中で自由に動き回る。これらの性質はゆるいイオン−対を特性化している。
【0095】
堅いイオン−対はゆるい−イオン対と異なって形成され、結果としてゆるいイオン−対と異なる性質を有する。堅いイオン−対は、2個のイオンの間の結合空間中の極性溶媒分子の数を減少させることにより形成される。これは、イオンが堅く一緒に動くのを可能にし、ゆるいイオン−対結合より有意に強い結合を生ずるが、まだイオン結合と考えられる。本明細書でさらに十分に開示される通り、堅いイオン−対は、イオンの間における極性溶媒の捕獲を減少させるために水より極性の低い溶媒を用いて得られる。
【0096】
ゆるい及び堅いイオン−対の追加の議論に関し、D.Quintanar−Guerrero et al著,“Application of the Ion Pair Concept to Hydrophilic Substances with S
pecial Emphasis on Peptides,”Pharm.Res.14(2):119−127(1997)を参照されたい。
【0097】
ゆるいイオン−対合と堅いイオン−対合の間の差はクロマトグラフィー法を用いても観察され得る。逆相クロマトグラフィーを用い、堅いイオン−対を分離しないであろう条件下で、ゆるいイオン−対を容易に分離することができる。
【0098】
カチオン及びアニオンの互いに対する強度を選ぶことにより、本発明に従う結合をより強くすることもできる。例えば溶媒が水である場合、カチオン(塩基)及びアニオン(酸)を、より強く互いに引き付けるように選ぶことができる。より弱い結合が望ましい場合、より弱い引力を選ぶことができる。
【0099】
生体膜の一部を、そのような膜を横切る分子輸送を理解する目的のために、脂質二重層としての一次近似(first order approximation)にモデル化合することができる。脂質二重層部分を横切る輸送は(能動輸送物質などと反対に)、好ましくない分配(portioning)の故にイオンにとって好ましくない。種々の研究者は、そのようなイオンの電荷の中和が膜を横切る輸送を強化できることを提案した。
【0100】
「イオン−対」理論において、イオン性薬剤部分は輸送部分の対イオンと対合して電荷を「隠し」、得られるイオン−対を、脂質二重層を介してより動き易くする。この方法は、特に経口的に投与される薬剤の腸上皮を横切る吸収の強化に関して、かなりの量の注目と研究を生んだ。
【0101】
イオン−対合は多くの注目と研究を生んだが、必ずしも多くの成功を生んではこなかった。例えば2種の抗ウイルス性化合物のイオン−対は、貫−細胞輸送へのイオン−対の効果のためというよりむしろ単層の一体性への効果のために、吸収の増加を生じないことが見出された。著者らは、生体系において見出される他のイオンによる競合が対−イオンの有益な効果をなくすので、イオン対の形成は帯電した親水性化合物の貫上皮輸送を強化する戦術として非常に有効というわけではないかも知れないと結論した。J.Van Gelder et al.著,“Evaluation of the Potential of Ion Pair Formation to Improve the Oral Absorption of two Potent Antiviral Compounds,AMD3100 and PMPA”,Int.J.of Pharmaceutics 186:127−136(1999)。他の著者らは、イオン−対を用いる吸収実験が必ずしも明快な機構を指してはいないと注意した。D.Quintanar−Guerrero et al.著,Application of the Ion Pair Concept to Hydrophilic Substances with Special Emphasis on Peptides,Pharm.Res.14(2):119−127(1997)。
【0102】
予期し得ぬことに発明者らは、これらのイオン−対吸収実験に伴う問題が、堅いイオン−対ではなくてゆるい−イオン対を用いて実験が行なわれたことであることを見出した。事実、当該技術分野において開示される多くのイオン−対吸収実験は、ゆるいイオン−対と堅いイオン−対を明白に区別さえしていない。熟練者は、開示されたイオン−対の形成方法を実際に再吟味し、そのような開示された形成法が堅いイオン−対ではなくてゆるいイオン−対に向けられていることに気付くことにより、ゆるいイオン−対が開示されていることを識別しなければならない。ゆるいイオン−対は対−イオン競合を比較的受け易く、ゆるいイオン−対を連結しているイオン結合の溶媒−媒介(例えば水−媒介)切断を受け易い。従ってイオン−対の薬剤部分が腸上皮細胞膜壁に達する時、それはゆるいイオン−対において輸送部分と会合しているか又はしていないかであろう。イオン−対が膜壁の近くに存在する機会は、イオンを一緒に保つイオン結合より2種の個々のイオンの局部的濃度に依存し得る。2つの部分が腸上皮細胞膜壁に近づいた時に2つの部分が結合していないと、非−錯体化薬剤部分の吸収速度は、非−錯体化輸送部分により影響を受けないかも知れない。従ってゆるいイオン−対は、薬剤部分のみの投与と比較して、吸収への限られた影響しか有していないかも知れない。
【0103】
対照的に本発明の錯体は、水のような極性溶媒の存在下でもっと安定な結合を有する。従って発明者らは、薬剤部分及び輸送部分が錯体の形成により、該部分が膜壁近くにある時点にイオン−対としてより会合していそうであると推論した。この会合は、該部分の電荷を隠し、得られるイオン−対を、細胞膜を介してより動き易くする機会を増加させる。
【0104】
1つの態様において、錯体は薬剤部分及び輸送部分の間の堅いイオン−対結合を含んでなる。本明細書で議論される通り、堅いイオン−対結合はゆるいイオン−対結合より安定であり、かくして薬剤部分と輸送部分が膜壁近くにある時点に該部分がイオン−対として会合している傾向を増加させる。この会合は、該部分の電荷を隠し、堅いイオン−対結合した錯体を、細胞膜を介してより動き易くする機会を増加させる。
【0105】
錯体は下部G.I.管中のみでなく一般的に貫細胞輸送を向上させることを目的としているので、本発明の錯体は、下部G.I.管のみでなく、G.I.管全体を通じて、非−錯体化薬剤部分に対して吸収を向上させることができることに注目しなければならない。例えば薬剤部分が主に上部G.I.において見出される能動輸送物質に関する基質である場合、薬剤部分から形成される錯体はまだ、その輸送物質に関する基質であることができる。従って、合計の輸送は輸送物質により行なわれる輸送流束プラス本発明により与えられる向上した貫細胞輸送の和であることができる。1つの態様において、本発明の錯体は上部G.I.管、下部G.I.管及び上部G.I.管と下部G.I.管の両方における吸収を向上させる。
【0106】
本発明に従う錯体は、多様な薬剤及び輸送部分で構成されることができる。一般に、薬剤部分が最初に選ばれ、次いで本発明の錯体の形成に適した輸送部分が選ばれる。熟練者は、輸送部分の選択において、輸送部分の毒性及び許容性、薬剤部分の構造要素又は構造要素残基の極性、薬剤部分の構造要素又は構造要素残基の強度(strength)、輸送部分の構造要素又は構造要素残基の強度、輸送部分のあり得る治療的利点を含むがこれらに限られない複数の因子を考えることができる。ある好ましい態様において、輸送部分の疎水性部分は疎水性鎖、より好ましくはアルキル鎖を含んでなる。このアルキル鎖は、極性溶媒分子による攻撃からイオン結合を立体的に保護することを介し、錯体の安定性を助長するのを助けることができる。
【0107】
錯体は下部G.I.管中のみでなく一般的に貫細胞輸送を向上させることを目的としているので、本発明の錯体は、下部G.I.管のみでなく、G.I.管全体を通じて、非−錯体化薬剤部分に対して吸収を向上させることができることに注目しなければならない。例えば薬剤部分が主に上部G.I.において見出される能動輸送物質に関する基質である場合、薬剤部分から形成される錯体はまだ、その輸送物質に関する基質であることができる。従って、合計の輸送は輸送物質により行なわれる輸送流束プラス本発明により与えられる向上した貫細胞輸送の和であることができる。1つの態様において、本発明の錯体は上部G.I.管、下部G.I.管及び上部G.I.管と下部G.I.管の両方における吸収を向上させる。
【0108】
本発明に従う錯体は、多様な薬剤及び輸送部分で構成されることができる。一般に、薬剤部分が最初に選ばれ、次いで本発明の錯体の形成に適した輸送部分が選ばれる。熟練者は、輸送部分の選択において、輸送部分の毒性及び許容性、薬剤部分の構造要素又は構造
要素残基の極性、薬剤部分の構造要素又は構造要素残基の強度、輸送部分の構造要素又は構造要素残基の強度、輸送部分のあり得る治療的利点ならびに輸送部分により与えられる薬剤部分と輸送部分の間の結合の立体障害を含むがこれらに限られない複数の因子を考えることができる。
【0109】
好ましい態様において輸送部分は、6〜18個の炭素原子(C6〜C18)、より好ましくは8〜16個の炭素原子(C8〜C16)、さらにもっと好ましくは10〜14個の炭素原子(C10〜C14)、そして最も好ましくは12個の炭素原子(C12)を有するアルキルサルフェート又はそれらの塩を含んでなる。他の好ましい態様において、輸送部分は6〜18個の炭素原子(C6〜C18)、より好ましくは8〜16個の炭素原子(C8〜C16)、さらにもっと好ましくは10〜14個の炭素原子(C10〜C14)、そして最も好ましくは12個の炭素原子(C12)を有する脂肪酸又はそれらの塩を含んでなる。本発明の3ANBPA錯体の製造法を、添付の実施例を含んで本明細書に開示する。
【0110】
レボドパ及びカルビドパの下部G.I.吸収を向上させる別の方法は、ヒト結腸の管腔の内壁となっている上皮細胞中で発現される能動輸送物質に関する基質である化合物のプロドラッグを製造することである。引用することによりその記載事項全体がすべての目的のために本明細書の内容となる「結腸の輸送物質を介する治療用化合物の吸収の管理」(“Engineering absorption of therapeutic compounds via colonic transporters”)という題の、2003年8月21日に申請されたZerangue et al.への米国特許出願第20030158254号明細書(「Zerangue」)は、長時間放出経口用投薬形態物における使用に適した化合物、特に投与後の約2〜4時間より長時間に及んで薬剤を放出するものを含む、そのような基質となるべく改変された薬剤を開示している。
【0111】
Zerangueは、ナトリウム依存性マルチ−ビタミン輸送物質(SMVT)及びモノカルボキシレート輸送物質1及び4(MCT1及びMCT4)を含んでなる、この発明の実施において有用な多様な輸送物質を開示している。Zerangueは、輸送物質の基質である薬剤又は複合部分(conjugate moieties)の同定方法ならびにスクリーニングされ得る薬剤、複合体及び複合部分も開示している。特にZerangueは既知の輸送物質基質の変異体であるスクリーニングされるべき化合物を開示している。そのような化合物は、Smith著,Am.J.Physiol.2230,974−978(1987);Smith著,Am.J.Physiol.252,G479−G484(1993);Boyer著,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,435−438(1993);Fricker著,Biochem.J.299,665−670(1994);Ficker著,Biochem J.299,665−670(1994);Ballatori著,Am.J.Physiol.278により記載されている通り、胆汁酸塩又は酸、ステロイド、エコサノイド又は天然の毒素あるいはそれらの類似物を含んでなる。Zerangueはさらに、複合部分への薬剤の結合ならびにピバロキシメチルガバプテンチンカルバメート、ガバペンチンアセトキシエチルカルバメート及びアルファ−アミノプロピルイソブチリルガバペンチンを含んでなるいくつかのプロドラッグを開示している。レボドパ及びカルビドパはZerangueの第92節で開示されている。
【0112】
ヒト結腸の管腔の内壁となっている上皮細胞中で発現される能動輸送物質に関する基質であるレボドパ及びカルビドパのプロドラッグは、特定的に本発明に包含される。本明細書に開示される制御送達法を用い、レボドパ及びカルビドパのプロドラッグを送達することができる。
【0113】
代表的な投薬形態物及び使用方法
多様な投薬形態物が問題の薬剤と一緒に使用するのに適している。態様において、少なくとも約10時間の持続時間のウィンドウを通じてCmaxの少なくとも約15パーセントである血漿薬剤濃度を保持する投薬を可能にする投薬形態物を提供する。投薬形態物は、所望の用量のレボドパ又はカルビドパを送達するいずれの設計に従って形作り、且つ調製することもできる。ある態様において、投薬形態物は経口的に投与可能であり、通常の錠剤又はカプセルとして寸法制限され、且つ形作られる。種々の異なる方法の1つに従って、経口的に投与可能な投薬形態物を製造することができる。例えば拡散系、例えばレザバー装置(reservoir device)又はマトリックス装置、溶解系、例えばカプセル封入された溶解系(例えば「タイニータイムピル(tiny time pills)」及びビーズを含む)及びマトリックス溶解系ならびに組み合わせ拡散/溶解系ならびにRemington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,pp.1682−1685(1990)に記載されているようなイオン−交換樹脂系として投薬形態物を製造することができる。
【0114】
本発明の実施における1つの重要な考慮事項は、投薬形態物により送達されるべき薬剤物質の物理的状態である。ある態様において、レボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質はペースト又は液体形態にあり得、その場合、固体の投薬形態物は本発明の実施における使用に適しており得ない。そのような場合、ペースト又は液体状態における物質を送達できる投薬形態物を使用するべきである。例えばレボドパ及びラウリル硫酸ナトリウムを含んでなる本発明の錯体はペースト−様の状態にあり得る。そのような場合、錯体の送達のために、ペースト又は液体状態における物質を送達できる投薬形態物を使用するべきである。あるいはまた、ある態様において、種々の輸送部分を用いて物質の融点を上昇させ、かくしてより本発明の錯体が固体形態で存在するであろうようにすることができる。
【0115】
本発明の場合に用いるのに適した投薬形態物の特定の例は浸透性投薬形態物である。浸透性投薬形態物は一般に浸透圧を利用し、少なくとも部分的に、流体の自由な拡散を許すが薬剤又は存在するなら浸透剤の拡散を許さない半透壁により、形成される区画中への流体の吸収のための駆動力を生む。浸透系への利点は、それらの作用がpH−非依存性であり、かくして投薬形態物が胃腸管を通過して有意に異なるpH値を有する異なる微小環境中に入る時でさえ、長時間を通じて浸透的に決定される速度で続くことである。そのような投薬形態物の概覧は、Santus and Baker著,“Osmotic drug delivery:a review of the patent literature,”Journal of Controlled Release,35:1−21(1995)に見出される。浸透性投薬形態物は以下の米国特許明細書中にも詳細に記載されており、それらの記載事項全体はそれぞれ本明細書の内容となる:第3,845,770;3,916,899;3,995,631;4,008,719;4,111,202;4,160,020;4,327,725;4,519,801;4,578,075;4,681,583;5,019,397;及び5,156,850号。
【0116】
本発明は、経口用浸透性装置と一緒に使用するためのレボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質の制御送達液体調製物を提供する。液体調製物の送達のための経口用浸透性装置及びそれらの使用方法は、例えばALZA社が所有する以下の米国特許明細書に記載され且つ特許請求されている通り、当該技術分野において既知であり、それらのそれぞれは引用することによりその記載事項全体がすべての目的のために本明細書の内容となる:第6,419,952;6,174,547;6,551,613;5,324,280;4,111,201;及び6,174,547号。上昇放出速度で治療薬を送達するための経口用浸透性装置の使用方法は、国際特許出願、国際公開第98/06380号パンフレット、国際公開第98/23263号パンフレット及び国際公開第99/62496号パンフレット中に見出すことができ、それらはそれぞれ引用することによりその記載事項全体がすべての目的のために本明細書の内容となる。
【0117】
本発明のための代表的な液体担体には親油性溶媒(例えば油類及び脂質類)、界面活性剤ならびに親水性溶媒が含まれる。代表的な親油性溶媒には、例えばCapmul PG−8、Caprol MPGO、Capryol 90、Plurol Oleique
CC 497、Capmul MCM、Labrafac PG、N−Decyl alcohol、Caprol 10G10O、オレイン酸、ビタミン E、Maisine 35−1、Gelucire 33/01、Gelucire 44/14、ラウリルアルコール、Captex 355EP、Captex 500、Capylic/Caplic Triglyceride、Peceol、Caprol ET、Labrafil M2125 CS、Labrafac CC、Labrafil M 1944 CS、Captex 8277、Myvacet 9−45、Isopropyl Nyristate、Caprol PGE 860、オリーブ油、Plurol Oleique、ピーナツ油、Captex 300 Low C6及びカプリン酸が含まれるが、これらに限られない。代表的な界面活性剤には、例えばビタミン E TPGS、Cremophor EL−P、Labrasol、Tween 20、Cremophor RH40、Pluronic L−121、Acconon S−35、Pluronic L−31、Pluronic L−35、Pluronic L−44、Tween 80、Pluronic L−64、Solutol HS−15、Span 20、Cremophor EL、Span 80、Pluronic L−43及びTween 60が含まれるが、これらに限られない。代表的な親水性溶媒には、例えばイソソルビドジメチルエーテル、ポリエチレングリコール 400(PEG−3000)、Transcutol HP、ポリエチレングリコール 400(PEG−4000)、ポリエチレングリコール 400(PEG−300)、ポリエチレングリコール 400(PEG−6000)、ポリエチレングリコール 400(PEG−400)、ポリエチレングリコール 400(PEG−8000)、ポリエチレングリコール 400(PEG−600)及びプロピレングリコール(PG)が含まれるが、これらに限られない。
【0118】
1つの態様において、液体調製物は約10%〜約90%のレボドパ錯体を含んでなる物質、10%〜約30%のカルビドパを含んでなる物質及び約10%〜約90%の1種もしくはそれより多い液体担体を含んでなる。例えばいくつかの態様において、液体調製物はレボドパ及びPGのような親水性溶媒を含んでなるであろう。そのような態様では、液体調製物は約10%〜約90%のレボドパ錯体を含んでなる物質及び約10%〜約90%の親水性溶媒を含んでなることができる。他の態様において、液体調製物は約40%のレボドパ錯体を含んでなる物質、10%のカルビドパ錯体を含んでなる物質及び約50%の液体担体を含んでなることができる。1つのそのような好ましい態様において、液体担体は約50%の界面活性剤、例えばCremophor EL、solutol又はTween 80及び約50%の親水性溶媒、例えばPHを含んでなることができる。
【0119】
熟練した実施者は、患者への投与及び浸透性装置における使用に適した液体担体中に可溶化された十分な用量のレボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質を含んでなるいずれの調製物も本発明において用いられ得ることを理解するであろう。本発明の1つの代表的な態様において、液体担体はPG、Solutol、Cremophor EL又はそれらの組み合わせである。
【0120】
本発明に従う液体調製物は、例えば追加の賦形剤、例えば酸化防止剤、浸透強化剤などを含んでなることもできる。酸化防止剤は、カプセル中に存在するいずれかの自己酸化可能な材料の速度を遅くするか、又は有効に停止させるために与えられることができる。代
表的な酸化防止剤は、アスコルビン酸;アルファトコフェロール;パルミチン酸アスコルビル;アスコルベート;イソアスコルベート;ブチル化ヒドロキシアニソール;ブチル化ヒドロキシトルエン;ノルジヒドログアヤク脂酸;没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸デシル、没食子酸デシルより成る群から選ばれるメンバーを含んでなる少なくとも3個の炭素原子を含む没食子酸のエステル;6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロ−グイノリン;N−アセチル−2,6−ジ−t−ブチル−p−アミノフェノール;ブチルチロシン;3−第3級ブチル−4−ヒドロキシアニソール;2−第3級−ブチル−4−ヒドロキシアニソール;4−クロロ−2,6−ジ第3級ブチルフェノール;2,6−ジ第3級ブチルp−メトキシフェノール;2,6−ジ第3級ブチル−p−クレゾール;高分子酸化防止剤;トリヒドロキシブチロ−フェノン;アスコルビン酸、エリソルビン酸及び酢酸アスコルビルの生理学的に許容され得る塩;アスコルビン酸カルシウム;アスコルビン酸ナトリウム;重亜硫酸ナトリウム;などの群から選ばれるメンバーを含んでなることができる。本目的のために用いられる酸化防止剤の量は、例えば管腔中に存在する組成物の合計重量の約0.001〜25%であることができる。酸化防止剤は、米国特許第2,707,154;3,573,936;3,637,772;4,038,434;4,186,465及び4,559,237号明細書において先行技術に既知であり、それらのそれぞれは引用することによりその記載事項全体がすべての目的のために本明細書の内容となる。
【0121】
本発明の液体調製物は、使用環境における活性薬剤の吸収を助長する浸透強化剤を含んでなることができる。そのような強化剤は、例えば胃腸管中のいわゆる「接着結合」を開くか、あるいはp−糖タンパク質などのような細胞成分の効果を改変することができる。適した強化剤はサリチル酸のアルカリ金属塩、例えばサリチル酸ナトリウム、カプリル又はカプリン酸のアルカリ金属塩、例えばカプリル酸ナトリウム又はカプリン酸ナトリウムなどを含むことができる。強化剤は、例えばデオキシコール酸ナトリウムのような胆汁酸塩を含むことができる。種々のp−糖タンパク質モジュレーターが米国特許第5,112,817及び5,643,909号明細書に記載されており、それらの特許のそれぞれは引用することによりその記載事項全体がすべての目的のために本明細書の内容となる。種々の他の吸収強化化合物及び材料が米国特許第5,824,638号明細書に記載されており、それも引用することによりその記載事項全体がすべての目的のために本明細書の内容となる。強化剤は、単独で又は他の強化剤と組み合わせて混合物として用いられ得る。
【0122】
ある態様において、レボドパを含んでなる物質及び/又は[欠文]を含んでなる物質は、自己−乳化性調製物として投与される。他の液体担体のように、界面活性剤は凝集を防ぎ、成分間の界面張力を低下させ、成分の流動性を増強し、且つ投薬形態物中における構成成分滞留の率(incidence of constituent retention)を下げるように働く。本発明の治療用乳剤調製物は、乳化を与える界面活性剤を含んでなる。代表的な界面活性剤は、上記で挙げた界面活性剤の他に、例えば9モルのエチレンオキシドを含んでなるポリオキシエチレン化ヒマシ油、15モルのエチレンオキシドを含んでなるポリオキシエチレン化ヒマシ油、20モルのエチレンオキシドを含んでなるポリオキシエチレンヒマシ油、25モルのエチレンオキシドを含んでなるポリオキシエチレン化ヒマシ油、40モルのエチレンオキシドを含んでなるポリオキシエチレン化ヒマシ油、52モルのエチレンオキシドを含んでなるポリオキシエチレン化ヒマシ油、20モルのエチレンオキシドを含んでなるポリオキシエチレン化ソルビタンモノパルミテート、20モルのエチレンオキシドを含んでなるポリオキシエチレン化ソルビタンモノステアレート、4モルのエチレンオキシドを含んでなるポリオキシエチレン化ソルビタンモノステアレート、20モルのエチレンオキシドを含んでなるポリオキシエチレン化ソルビタントリステアレート、20モルのエチレンオキシドを含んでなるポリオキシエチレン化ソルビタンモノステアレート、20モルのエチレンオキシドを含んでなるポリオキシエチレン化ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、40モルのエチレンオキシドを含んでなるポリオキシエチレン化ステアリン酸、50モルのエチレンオキシドを含んでなるポリオキシエチレン化ステアリン酸、2モルのエチレンオキシドを含んでなるポリオキシエチレン化ステアリルアルコール及び2モルのエチレンオキシドを含んでなるポリオキシエチレン化オレイルアルコールより成る群から選ばれるメンバーも含むことができる。界面活性剤は、Atlas Chemical Industriesから入手可能である。
【0123】
本発明の薬剤乳化調製物は、最初に油及び非−イオン性界面活性剤を含んでなることができる。乳剤の油相は、水と非混和性のいずれかの製薬学的に許容され得る油を含んでなる。油は食用液体、例えば不飽和脂肪酸の非−極性エステル、そのようなエステルの誘導体又はそのようなエステルの混合物であることができる。油は植物起源、鉱物起源、動物起源又は海産物起源であることができる。非−毒性油の例は、上記で挙げた界面活性剤の他に、例えばピーナツ油、綿実油、ゴマ油、コーン油、アーモンド油、鉱油、ヒマシ油、ココナツ油、パーム油、ココアバター、サフラワー、16〜18個の炭素原子のモノ−及びジグリセリドの混合物、不飽和脂肪酸、ココナツ油に由来する分別されたトリグリセリド、短鎖10〜15個の炭素原子の脂肪酸に由来する分別された液体トリグリセリド、アセチル化モノグリセリド、アセチル化ジグリセリド、アセチル化トリグリセリド、グリセラルトリオレートとしても既知のオレイン、グリセリルトリパルミテートとして既知のパルミチン、グリセリルトリステアレートとしても既知のステアリン、ラウリン酸ヘキシルエステル、オレイン酸オレイルエステル、天然の油の解糖エトキシル化グリセリド、13分子のエチレンオキシドを有する分枝脂肪酸及びオレイン酸デシルエステルより成る群から選ばれるメンバーも含むことができる。乳剤調製物中の油又は油誘導体の濃度は、約1重量%〜約40重量%であることができ、乳剤調製物中のすべての成分の重量%は100重量%に等しい。油は、Mark Publishing Co.により出版されたPharmaceutical Sciences by Remington,17th Ed.,pp.403−405、(1985)、Van Nostrand Reinhold Co.により出版されたEncyclopedia of Chemistry,by Van Nostrand Reinhold,4th Ed.,pp.644−645(1984);及び米国特許第4,259,323号明細書に開示されており、それらのそれぞれは引用することによりその記載事項全体がすべての目的のために本明細書の内容となる。
【0124】
本発明の薬剤形態物中に導入されるレボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質の量は、一般に治療的指示及び所望の投与時間、例えば12時間毎、24時間毎などに依存して、組成物の約10重量%〜約90重量%である。投与されることが望まれる薬剤の用量に依存して、1個もしくはそれより多い投薬形態物を投与することができる。
【0125】
本発明の浸透性投薬形態物は2つの独特の形態、軟質カプセル形態(図3に示される)及び硬質カプセル形態(図2に示される)を有することができる。軟質カプセルは、本発明により用いられる場合、好ましくはその最終的な形態においてワンピース(one piece)を含んでなる。ワン−ピースカプセルは、薬剤調製物をその中にカプセル封入した密閉構造のものである。プレート法、回転ダイ法、往復ダイ法及び連続法を含む種々の方法によりカプセルを製造することができる。プレート法の例は以下の通りである。プレート法は1組の金型を用いる。準備されたカプセル薄膜−形成材料の温かいシートを下の金型の上に置き、調製物をその上に注ぐ。薄膜−形成材料の第2のシートを調製物の上に置き、続いて上の金型を置く。金型の組をプレスの下に置き、熱を用いてかもしくは用いずに圧力をかけ、単位カプセルを形成する。過剰の薬剤調製物をカプセルの外部から除去するためにカプセルを溶剤で洗浄し、空気−乾燥されたカプセルを半透壁で封入する。回転ダイ法は、カプセル薄膜−形成材料の2つの連続フィルムを使用し、それを1対の回
転ダイとインジェクターウェッジの間に集中させる。該方法は、二重且つ同時の操作でカプセルを充填し、且つ密封する。この方法では、カプセル薄膜−形成材料のシートをガイドロールの上に供給し、次いでウェッジインジェクターとダイロールの間に下げる。カプセル封入されるべき薬剤調製物は、重力により容量形ポンプ中に流れる。ポンプはウェッジインジェクターを介し、ダイロール間のシート中に薬剤調製物を計量する。ウェッジの底は、ダイロールのダイポケットと並ぶ小さいオリフィスを含有する。ポンプで入れられた薬剤調製物の圧力がシートをダイポケット中に押し込む時、カプセルは大体半−密封され、ダイポケットでカプセルは同時に充填され、形作られ、密封され、薄膜−形成材料のシートから切断される。カプセルの密封は、ダイロール上への機械的圧力により、及びウェッジによる薄膜−形成材料のシートの加熱により成される。製造後、薬剤調製物で充填されたカプセルは強制空気及びそれを封入する半透薄膜の存在下で乾燥される。
【0126】
往復ダイ法は、カプセル薄膜−形成材料の2つのフィルムを1組の垂直ダイの間に導くことによりカプセルを製造する。ダイは、それらが閉まり、開き、そして閉まる時に、フィルムを横切るポケットの列の後ろの連続垂直プレートを形成する列として働く。ポケットは薬剤調製物で充填され、ポケットがダイを介して動く時にそれらは密封され、形作られ、動くフィルムから薬剤調製物で充填されたカプセルとして切断される。半透封入薄膜がその上にコーティングされてカプセルを与える。連続法は、やはり回転ダイを用いる製造システムであり、該方法が液体をカプセル封入する他に、乾燥粉末形態における活性薬剤を軟質カプセル中に連続的に充填することができるという特徴が加わる。充填された連続法のカプセルを半透高分子材料で封入し、カプセルを与える。軟質カプセルの製造方法は、米国特許第4,627,850号明細書及び米国特許第6,419,952号明細書に開示されており、それらのそれぞれは引用することによりその記載事項全体がすべての目的のために本明細書の内容となる。
【0127】
本発明の投薬形態物は、射出−成型可能な組成物から、射出−成型法により作られることもできる。半透壁中への射出−成型のために準備される射出−成型可能な組成物は、熱可塑性ポリマーを含んでなるか、あるいは組成物は熱可塑性ポリマーと場合による射出−成型成分の混合物を含んでなる。本目的のために用いられ得る熱可塑性ポリマーは低い、例えば200℃より低い、好ましくは40℃〜180℃の範囲内の軟化点を有するポリマーを含んでなる。ポリマーは、好ましくは合成樹脂、付加重合樹脂、例えばポリアミド、ジエポキシドと第1級アルカノールアミンから得られる樹脂、グリセリンと無水フタル酸の樹脂、ポリメタン、ポリビニル樹脂、末端−位が遊離であるか又はエステル化されたカルボキシルもしくはカルボキシアミド基を有する、例えばアクリル酸、アクリルアミド又はアクリル酸エステルを有するポリマー樹脂、ポリカプロラクトン及びそのジラクチド、ジグリコリド、バレロラクトン及びデカラクトンとのコポリマー、ポリカプロラクトンとポリアルキレンオキシドを含んでなる樹脂組成物ならびにポリカプロラクトン、ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシド、ポリ(セルロース)、例えばポリ(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリ(ヒドロキシエチルメチルセルロース)及びポリ(ヒドロキシプロピルセルロース)を含んでなる樹脂組成物である。膜形成組成物は、場合による膜−形成成分、例えばポリエチレングリコール、タルカム、ポリビニルアルコール、ラクトース又はポリビニルピロリドンを含んでなることができる。射出−成型ポリマー組成物を形成するための組成物は100%の熱可塑性ポリマーを含んでなることができる。他の態様において、組成物は10%〜99%の熱可塑性ポリマー及び1%〜90%の異なるポリマーを含んでなり、合計は100%に等しい。本発明は、1%〜98%の第1の熱可塑性ポリマー、1%〜90%の異なる第2のポリマー及び1%〜90%の異なる第3のポリマーを含んでなり、ポリマー全体は100%に等しい熱可塑性ポリマー組成物も提供する。代表的な組成物は20%〜90%の熱可塑性ポリカプロラクトン及び10%〜80%のポリ(アルキレンオキシド);20%〜90%のポリカプロラクトン及び10%〜60%のポリ(エチレンオキシド)を含んでなり、成分は100%に等しい組成物;
10%〜97%のポリカプロラクトン、10%〜97%のポリ(アルキレンオキシド)及び1%〜97%のポリ(エチレングリコール)を含んでなり、成分全体は100%に等しい組成物;20%〜90%のポリカプロラクトン及び10%〜80%のポリ(ヒドロキシプロピルセルロース)を含んでなり、成分全体は100%に等しい組成物;ならびに1%〜90%のポリカプロラクトン、1%〜90%のポリ(エチレンオキシド)、1%〜90%のポリ(ヒドロキシプロピルセルロース)及び1%〜90%のポリ(エチレングリコール)を含んでなり、成分全体は100%に等しい組成物を含んでなる。表されるパーセントは重量パーセント、wt%である。
【0128】
本発明の他の態様において、通常の混合機、例えばMoriyamaTM Mixer中で、65℃〜95℃において、ポリカプロラクトン63重量%、ポリエチレンオキシド27重量%及びポリエチレングリコール10重量%を含んでなる組成物をブレンディングすることにより、膜を与えるための射出−成型用の組成物を調製することができ、成分は以下の、ポリカプロラクトン、ポリエチレンオキシド及びポリエチレングリコールの添加順序でミキサーに加えられる。1つの例において、成分のすべてを10〜20rpmのローター速度で135分間混合する。次に、ブレンドをBaker Perkins KneaderTM押出機に80℃〜90℃において、10rpmのポンプ速度及び22rpmのスクリュー速度で供給し、次いで10℃〜12℃に冷却し、均一な温度に達せしめる。次いで押し出され冷却された組成物をAlbe Pelletizerに供給し、250℃及び5mmの長さでペレットに変換する。次にペレットを200°F〜350℃(93℃〜177℃)における射出−成型機、Arburg AllrounderTMに供給し、加熱して溶融ポリマー組成物とし、金型が満たされるまで液体ポリマー組成物を高圧及び高速で金型キャビティー中に押し込み、ポリマーを含んでなる組成物をあらかじめ選ばれた形に固化させる。射出−成型のためのパラメーターは、バレルの区域1から区域5までの195°F(91℃)〜375°F(191℃)のバンド温度、1818バールの射出−成型圧、55cm/秒の速度及び75℃の金型温度から成る。組成物の射出−成型及び射出−成型法は、米国特許第5,614,578号明細書に記載されており、引用することによりその記載事項全体はすべての目的のために本明細書の内容となる。
【0129】
あるいはまた、カプセルが膨張可能な層により加えられる力下で変形可能であり、本体とキャップのはまり部分の間からの液体、活性薬剤調製物の漏れを防ぐことを保証する限り、1方の部分(「キャップ」)が他方の部分(「本体」)を覆って滑り、且つキャップをする2つの部分において簡便にカプセルを作ることができる。2つの部分は、有用な添加剤を含んでいることができる液体、活性薬剤調製物を含有する内腔を完全に囲み、カプセル封入する。本体にあらかじめ選ばれた調製物が充填された後、2つの部分を一緒に合わせることができる。本体部分の上にキャップ部分を滑らせるか又ははまり込ませ、キャップ及び本体を密封し、それにより活性薬剤の調製物を完全に囲み、且つカプセル封入することにより、組み立てを行なうことができる。
【0130】
軟質カプセルは、典型的には硬質カプセルの壁厚より大きい壁厚を有する。例えば、軟質カプセルは、例えば10〜40ミルの大きさの壁厚を有することができ、約20ミルが典型的であるが、硬質カプセルは、例えば2〜6ミルの大きさの壁厚を有することができ、約4ミルが典型的である。
【0131】
投薬形態物の1つの態様において、軟質カプセルは1単位構造のものであることができ、膨張可能な層としての非対称ヒドロ−活性化層(hydro−activated layer)により囲まれていることができる。膨張可能な層は一般に非対称であり、出口オリフィスから離れたより厚い部分を有するであろう。ヒドロ−活性化層が外部流体を吸収(imbibes)及び/又は吸収(absorbs)すると、それは膨張し、カプセルの壁及び場合による障壁層に対して押し込み圧(push pressure)を加え、出口オリフィスを介して活性薬剤調製物を押出す。非対称層の存在は、最大用量の薬剤が投薬形態物から送達されることを保証するように働き、それは、通路から遠い層のより厚い部分が膨潤してオリフィスの方に動くからである。
【0132】
さらに別の形状において、場合により障壁層がコーティングされていることができるカプセルを全体的に囲い込んでいない別の部分に膨張可能な層を形成することができる。膨張可能な層は、接触の領域においてカプセルの形に合うように形成される1個の要素であることができる。障壁−コーティングされたカプセルの外部表面に相補的である凹型表面を形成するようにタブレット成形する(tableting)ことにより、膨張可能な層を簡便に二次加工することができる。通常のタブレット成形機における凸型パンチのような適した道具は、膨張可能な層に必要な相補的な形を与えることができる。この場合、膨張可能な層はコーティングとして形成されるのではなく、顆粒化され、圧縮される。タブレット成形による膨張可能な層の形成方法は周知であり、例えば米国特許第4,915,949;5,126,142;5,660,861;5,633,011;5,190,765;5,252,338;5,620,705;4,931,285;5,006,346;5,024,842;及び5,160,743号明細書に記載されており、それらのそれぞれは引用することによりその記載事項全体がすべての目的のために本明細書の内容となる。
【0133】
いくつかの態様において、障壁層を最初にカプセル上にコーティングし、次いで障壁−コーティングされたカプセルに、生物学的に適合性の接着剤を用いて、タブレット成形された膨張可能な層を取り付けることができる。適した接着剤には、例えばデンプンペースト、ゼラチン水溶液、ゼラチン/グリセリン水溶液、アクリレート−酢酸ビニルに基づく接着剤、例えばDuro−Tak接着剤(National Starch and Chemical Company)、水溶性親水性ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースの水溶液などが含まれる。その中間の投薬形態物に、次いで半透層をコーティングすることができる。出口オリフィスは、膨張可能な層の部分と反対のカプセルの側又は末端に形成される。膨張可能な層が流体を吸収すると、それは膨潤するであろう。それは半透層により束縛されているので、それが膨張する時にそれは障壁−コーティングされたカプセルを圧迫し、液体、活性薬剤調製物をカプセルの内部から使用環境中に絞り出すであろう。
【0134】
硬質カプセルは、典型的には2つの部分、キャップ及び本体から成り、それらはより大きい本体があらかじめ選ばれた適した調製物で充填された後に一緒に合わされる。本体部分の上にキャップ部分を滑らせるか、又ははまり込ませ、かくして有用な薬剤調製物を完全に囲み、且つカプセル封入することにより、これを行なうことができる。例えばカプセル薄膜−形成材料の溶液を含有する浴中にステンレススチールの金型を浸して金型を材料でコーティングすることにより、硬質カプセルを作ることができる。次いで金型を引き上げ、冷却し、空気流中で乾燥する。金型からカプセルを剥ぎ取り、トリミングして内腔を有する薄膜メンバーを与える。調製物が入れられる本体をはめ込みによりキャップするかみあいキャップは、類似の方法で作られる。次いで閉められ、充填されたカプセルを半透薄膜で封入することができる。半透薄膜は、部分が一緒にされて最終的カプセルになる前又は後にカプセル部分に適用することができる。別の態様において、各部分の開口末端近くに、調製物が充填された後に重なるキャップと本体を一緒に合わせ、且つ締め付けることを可能にする適合締め付けリングを有する各部分で硬質カプセルを作ることができる。この態様では、1対の適合締め付けリングがキャップ部分及び本体部分中に形成され、これらのリングはカプセルを確実に結合させておくための締め付け手段を与える。手動でカプセルに調製物を充填することができるか、あるいはそれらに調製物を機械充填することができる。最後の製造において、流体の通過に対して透過性であり、且つ有用な薬剤の通過に対して実質的に不透過性である半透薄膜で硬質カプセルを封入する。硬質キャップ投
薬形態物の形成方法は、米国特許第6,174,547号明細書、米国特許第6,596,314,6,419,952及び6,174,547号明細書に記載されており、それらのそれぞれは引用することによりその記載事項全体がすべての目的のために本明細書の内容となる。
【0135】
硬質及び軟質カプセルは、例えばゼラチン;15〜30ミリポアズの粘度及び最高で150グラムのブルーム強度(bloom strength)を有するゼラチン;160〜250のブルーム値(bloom value)を有するゼラチン;ゼラチン、グリセリン、水及び二酸化チタンを含んでなる組成物;ゼラチン、エリトロシン、酸化鉄及び二酸化チタンを含んでなる組成物;ゼラチン、グリセリン、ソルビトール、カリウムソルベート及び二酸化チタンを含んでなる組成物;ゼラチン、アカシアグリセリン及び水を含んでなる組成物などを含むことができる。カプセル壁の形成に有用な材料は、米国特許第4,627,850;及び4,663,148号明細書において既知であり、それらのそれぞれは引用することによりその記載事項全体がすべての目的のために本明細書の内容となる。あるいはまた、カプセルをゼラチン以外の材料から作ることができる(例えばBioProgres plcにより作られる製品を参照されたい)。
【0136】
典型的には、約3〜約22ミニム(1ミニムは0.0616mlに等しい)の寸法で、且つ卵形、長方形又は他の形でカプセルを与えることができる。それらは標準形及び通常(000)、(00)、(0)、(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)と称される種々の標準寸法で与えられることができる。最も大きい数字は最小の寸法に対応する。非−標準形を同様に用いることができる。軟質カプセル又は硬質カプセルのいずれの場合も、特定の用途のために必要なら、通常でない形及び寸法を与えることができる。
【0137】
本発明の浸透性装置は、外部の生物学的流体の通過に対して透過性であり、且つ薬剤調製物の通過に対して実質的に不透過性である半透壁を含んでなる。壁の形成に用いられる選択的に透過性の組成物は、本質的に非−侵食性であり、且つそれらは浸透系の寿命の間、生物学的流体中に不溶性である。半透壁は、宿主、薬剤調製物、オスモポリマー(osmopolymer)、浸透剤などに悪影響を及ぼさない組成物を含んでなる。半透壁の形成のための代表的なポリマーは、半透性ホモポリマー、半透性コポリマーなどを含んでなる。1つの現在好ましい態様において、組成物はセルロースエステル、セルロースエーテル及びセルロースエステル−エーテルを含んでなることができる。セルロース性ポリマーは、典型的には0より大きく且つ最高でそれを含んで3までのそれらの無水グルコース単位上における置換度、「D.S.」を有する。置換度により、無水グルコース単位上に最初に存在し、置換基により置き換えられるか、又は他の基に転換されるヒドロキシル基の平均数を意味する。無水グルコース単位は、アシル、アルカノイル、アルケノイル、アロイル、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、カルボアルキル、アルキルカルバメート、アルキルカーボネート、アルキルスルホネート、アルキルスルファメート、半透性ポリマー形成基などのような基で部分的に、又は完全に置換されることができる。半透性組成物は、典的にはセルロースアクリレート、セルロースジアクリレート、セルローストリアクリレート、セルローストリアセテート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、モノ−、ジ−及びトリ−セルロースアルカニレート、モノ−、ジ−及びトリ−アルケニレート、モノ−、ジ−及びトリ−アロイレートなどより成る群から選ばれるメンバーを含む。代表的なポリマーには、例えば1.8〜2.3のD.S.及び32〜39.9%のアセチル含有率を有するセルロースアセテート;1〜2のD.S.及び21〜35%のアセチル含有率を有するセルロースジアセテート、2〜3のD.S.及び34〜44.8%のアセチル含有率を有するセルローストリアセテートなどが含まれ得る。さらに特定的なセルロース性ポリマーには、1.8のD.S.及び38.5%のプロピオニル含有率を有するセルロースプロピオネート;1.5〜7%のアセチル含有率及び39〜42%のアセチル含有率を有するセルロースアセテートプロピオネート;2.5〜3%のアセチル含有率、39.2〜45%の平均プロピオニル含有率及び2.8〜5.4%のヒドロキシル含有率を有するセルロースアセテートプロピオネート;1.8のD.S.、13〜15%のアセチル含有率及び34〜39%のブチリル含有率を有するセルロースアセテートブチレート;2〜29%のアセチル含有率、17〜53%のブチリル含有率及び0.5〜4.7%のヒドロキシル含有率を有するセルロースアセテートブチレート;2.6〜3のD.S.を有するセルローストリアシレート、例えばセルローストリバレレート、セルローストリラメート(cellulose trilamate)、セルローストリパルミテート、セルローストリオクタノエート及びセルローストリプロピオネート;2.2〜2.6のD.S.を有するセルロースジエステル、例えばセルロースジスクシネート、セルロースジパルミテート、セルロースジオクタノエート、セルロースジカプリレートなど;混合セルロースエステル、例えばセルロースアセテートバレレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースプロピオネートスクシネート、セルロースアセテートオクタノエート、セルロースバレレートパルミテート、セルロースアセテートヘプトネートなどが含まれる。半透性ポリマーは米国特許第4,077,407号明細書において既知であり、且つそれらはInterscience Publishers,Inc.,New Yorkにより出版されたEncyclopedia of Polymer Science and Technology,Vol.3,pages 325−354,1964年に記載されている方法により合成可能であり、それらの文献のそれぞれは引用することによりその記載事項全体がすべての目的のために本明細書の内容となる。半透壁の形成のための追加の半透性ポリマーは、例えばセルロースアセトアルデヒドジメチルアセテート;セルロースアセテートエチルカルバメート;セルロースアセテートメチルカルバメート;セルロースジメチルアミノアセテート;半透性ポリアミド;半透性ポリウレタン;半透性スルホン化ポリスチレン;引用することによりそれぞれの記載事項全体がすべての目的のために本明細書の内容となる米国特許第3,173,876;3,276,586;3,541,005;3,541,006;及び3,546,142号明細書に開示されているような、ポリアニオンとポリカチオンの共沈殿により形成される架橋された選択的に半透性のポリマー;引用することによりその記載事項全体がすべての目的のために本明細書の内容となる米国特許第3,133,132号明細書に開示されているような半透性ポリマー;半透性ポリスチレン誘導体;半透性ポリ(ナトリウムスチレンスルホネート);半透性ポリ(ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド);半透壁を横切る静水もしくは浸透圧差の気圧当たりとして表される10−5〜10−2(cc.mil/cmhr.atm)の流体透過性を示す半透性ポリマーを含んでなることができる。ポリマーは、米国特許第3,845,770;3,916,899;及び4,160,020号明細書;ならびにCRC Press,Cleveland,Ohioにより出版されたScott,J.R.,and Roff,W.J.によるHandbook of Common Polymers,1971年において当該技術分野に既知であり、文献のそれぞれは引用することによりその記載事項全体がすべての目的のために本明細書の内容となる。
【0138】
半透壁は、流束調節剤も含んでなることができる。流束調節剤は、壁を通る流体透過性又は流束の調節を助けるために加えられる化合物である。流束調節剤は、流束増強剤又は減少剤であることができる。該薬剤は、液体流束を増加させるか又は減少させるためにあらかじめ選ばれることができる。水のような流体に透過性における顕著な向上を生ずる薬剤は多くの場合本質的に親水性であるが、水のような流体に顕著な低下を生ずるものは本質的に疎水性である。壁中に導入される場合のその中における調節剤の量は、一般に約0.01重量%〜20重量%かもしくはそれより多くである。流束を増加させる1つの態様における流束調節剤には、例えば多価アルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンジオール、アルキレングリコールのポリエステルなどが含まれる。典型的な流束増強剤にはポリエチレングリコール 300、400、600、1500、4000、6000、ポリ(エチレングリコール−コ−プロピレングリコール)など;低分子量グリコール、例えばポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール及びポリアミレングリコール;ポリアルキレンジオール、例えばポリ(1,3−プロパンジオール)、ポリ(1,4−ブタンジオール)、ポリ(1,6−ヘキサンジオール)など;脂肪族ジオール、例えば1,3−ブチレングリコール、1,4−ペンタメチレングリコール、1,4−ヘキサメチレングリコールなど;アルキレントリオール、例えばグリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,3,6−ヘキサントリオールなど;エステル、例えばエチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールブチレート、ブチレングルコールジプロピオネート、グリセロールアセテートエステルなどが含まれる。代表的な流束減少剤には、例えばアルキルもしくはアルコキシ基で、又はアルキル及びアルコキシ基の両方で置換されたフタレート、例えばジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート及び[ジ(2−エチルヘキシル)フタレート]、アリールフタレート、例えばトリフェニルフタレート及びブチルベンジルフタレート;不溶性塩、例えば硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウムなど;不溶性酸化物、例えば酸化チタン;粉末、顆粒どの形態におけるポリマー、例えばポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート及びポリスルホン;エステル、例えば長鎖アルキル基でエステル化されたクエン酸エステル;不活性且つ実質的に水不透過性の充填剤;セルロースに基づく壁形成材料と適合性の樹脂などが含まれる。
【0139】
壁に柔軟性及び伸び性(elongation property)を与えるため、壁を低〜非脆性とするため、ならびに引裂強さを与えるために半透壁の形成に用いられ得る他の材料には、フタレート可塑剤、例えばフタル酸ジベンジル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ブチルオクチル、6〜11個の炭素の直鎖状フタレート、フタル酸ジ−イソノニル、フタル酸ジ−イソデシルなどが含まれる。可塑剤には非フタレート類、例えばトリアセチン、アゼライン酸ジオクチル、エポキシド化タレート、トリメリト酸トリ−イソオクチル、トリメリト酸トリ−イソノニル、スクロースアセテートイソブチレート、エポキシド化大豆油などが含まれる。壁の中に導入される場合、その中における可塑剤の量は約0.01重量%〜20重量%かもしくはそれより多くである。
【0140】
半透壁は、複数の層を囲み、それを含有する区画を形成し、複数の層の1つは膨張可能な層であり、それはいくつかの態様において、浸透剤を含有することができる。膨張可能な層は、1つの態様において、胃液中に存在するもののような水の存在下で膨潤するヒドロ活性化組成物を含んでなる。簡便には、それは使用環境中に存在する外部流体に対して半透層を横切る浸透圧勾配を示す浸透溶質(osmotic solute)を含んでなる浸透性組成物を含んでなることができる。他の態様において、ヒドロ−活性化層は、外部半透壁を介して流体を層中に吸収(imbibes)及び/又は吸収(absorbs)するヒドロゲルを含んでなる。半透壁は無毒性である。それは作用の間、その物理的及び化学的一体性を保持し、それは本質的に膨張可能な層との相互作用がない。
【0141】
1つの好ましい態様における膨張可能な層は、オスモポリマーとしても既知の親水性ポリマーを含んでなるヒドロ活性層を含んでなる。オスモポリマーは流体吸収性を示す。オスモポリマーは膨潤可能な親水性ポリマーであり、そのオスモポリマーは水及び生物学的水性流体と相互作用し、平衡状態まで膨潤又は膨張する。オスモポリマーは水及び生物学的流体中で膨潤し、吸収される流体の有意な割合をポリマー構造内に保持する能力を示す。オスモポリマーは非常に高度まで膨潤又は膨張し、通常2〜50倍の体積増加を示す。オスモポリマーは架橋されていないか、又は架橋されていることができる。膨潤可能な親水性ポリマーは、1つの態様において少し架橋され、そのような架橋は膨潤後に共有結合もしくはイオン結合又は残基結晶性領域(residue crystalline regions)により形成される。オスモポリマーは、植物、動物又は合成起源のものであることができる。
【0142】
オスモポリマーは親水性ポリマーである。本目的に適した親水性ポリマーには、30,000〜5,000,000の分子量を有するポリ(ヒドロキシ−アルキルメタクリレート);10,000〜360,000の分子量を有するポリ(ビニルピロリドン);アニオン性及びカチオン性ヒドロゲル;高分子電解質錯体;グリオキサール、ホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒドを用いて架橋され且つ200〜30,000の重合度を有する、低いアセテート残留率(acetate residual)をもつポリ(ビニルアルコール);メチルセルロース、架橋寒天及びカルボキシメチルセルロースの混合物;ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロースの混合物;ヒドロキシプロピルエチルセルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロースの混合物、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの混合物;カリウムカルボキシメチルセルロース;コポリマー当たりの無水マレイン酸のモル当たり0.001〜約0.5モルの飽和架橋剤を用いて架橋された無水マレイン酸とスチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン又はイソブチレンの微粉砕されたコポリマーの分散液から生成する水不溶性水膨潤性コポリマー;N−ビニルラクタムの水膨潤性ポリマー;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンゲル;いなごまめガム(carob gum);ポリアクリルゲル;ポリエステルゲル;ポリウリアゲル;ポリエーテルゲル、ポリアミドゲル;ポリセルロースゲル;ポリガムゲル;ガラス状ヒドロゲルに浸透してそのガラス温度を低下させる水を吸収(imbibe)且つ吸収(absorb)する、初期には乾燥しているヒドロゲル;などが含まれる。
【0143】
他のオスモポリマーの代表的なものは、ヒドロゲルを形成するポリマー、例えばCarbopolTM、酸性カルボキシポリマー、カルボキシポリメチレンとしても既知のポリアリルスクロースで架橋されたアクリル酸のポリマー、ならびに250,000〜4,000,000の分子量を有するカルボキシビニルポリマー;CyanamerTMポリアクリルアミド;架橋された水膨潤性インデンマレイン酸無水物ポリマー;80,000〜200,000の分子量を有するGood−riteTMポリアクリル酸;100,000〜5,000,000及びそれより高い分子量を有するPolyoxTMポリエチレンオキシドポリマー;デンプングラフトコポリマー;縮合グルコース単位から構成されるAqua−KeepsTMアクリレートポリマー多糖類、例えばジエステル架橋ポリグルランなどを含んでなることができる。ヒドロゲルを形成する代表的なポリマーは、米国特許第3,865,108号明細書;米国特許第4,002,173号明細書;米国特許第4,207,893号明細書ならびにChemical Rubber Co.,Cleveland,Ohioにより出版されたScott and RoffによるHandbook of Common Polymersにおいて先行技術に既知であり、文献のそれぞれは引用することによりその記載事項全体がすべての目的のために本明細書の内容となる。ヒドロ−活性化層を構成するオスモポリマーの量は、約5%〜100%であることができる。
【0144】
他の製造において、膨張可能な層は浸透的に有効な化合物を含んでなることができ、それは外部流体に対して半透壁を横切る浸透圧勾配を示す無機及び有機化合物を含んでなる。浸透的に有効な化合物は、オスモポリマーの場合と同様に、浸透系中に流体を吸収し、それにより、投薬形態物から活性薬剤を押し出すために内部の壁、すなわちいくつかの態様においては障壁層及び/又は軟質もしくは硬質カプセルの壁に向かって押すのに流体を利用できるようにする。浸透的に有効な化合物は浸透的に有効な溶質としても、また浸透剤としても既知である。用いられ得る浸透的に有効な溶質は、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、酸性リン酸カリウム、マンニトール、ウレア、イノシトール、コハク酸マグネシウム、酒石酸、炭水化物、例えばラフィノース、スクロース、グルコース、ラクトース、ソルビトール及びそれらの混合物を含んでなる。浸透剤の量は、層の重量の約5%〜100%であることができる。膨張可能な層は場合によりオスモポリマー及び浸透剤を含んでなることができ、オスモポリマーと浸透剤の合計量は100%に等しい。浸透的に有効な溶質は、引用することによりその記載事項全体がすべての目的のために本明細書の内容となる米国特許第4,783,337号明細書に記載されている通り、先行技術に既知である。
【0145】
ある態様において、投薬形態物はさらに障壁層を含んでなることができる。ある態様における障壁層は、膨張可能な層により加えられる圧力下で変形可能であり、且つ活性薬剤調製物の送達の間、膨張可能な層、液体活性薬剤調製物及び使用環境中に存在し得る流体及び材料に不透過性(あるいはあまり透過性でない)であろう。活性薬剤調製物の送達速度が不利に影響されなければ、障壁層のある程度の透過性は許され得る。しかしながら障壁層は、活性薬剤の送達の間、それを介して投薬形態物及び使用環境中の流体及び材料を完全には輸送しないのが好ましい。障壁層は、膨張可能な層により加えられる力下で変形可能であり、カプセルを圧迫して出口オリフィスから液体、活性薬剤調製物を押し出すことを可能にすることができる。いくつかの態様において、障壁層は、出口オリフィスが形成される領域において膨張可能な層と半透層の間をそれが密閉する(create a seal)ような程度まで変形可能であろう。その方法で、障壁層は限られた程度まで変形するか又は流れ、出口オリフィスが例えば孔あけなどにより形成されている時、又は作用の初期段階の間の初期には露出されている膨張可能な層と半透層の領域を密閉する。密閉されると、膨張可能な層中への液体透過のための唯一の道は半透層を介しており、出口オリフィスを介する膨張可能な層中への流体の逆流はない。
【0146】
障壁層の形成に適した材料には、例えばポリエチレン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリカプロラクトン及びHytrelTMポリエステルエラストマー(Du Pont)、セルロースアセテート、セルロースアセテートシュードラテックス(米国特許第5,024,842号明細書に記載されているような)、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロース、エチルセルロースシュードラテックス(10 Colorcon,West Point,Pa.により供給されるSureleaseTM又はFMC Corporation,Philadelphia,Pa.により供給されるAquacoatTMのような)、ニトロセルロース、ポリ乳酸、ポリ−グリコール酸、ポリラクチドグリコリドコポリマー、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンスチレン、ポリイソブチレン、ポリイソブチレンイソプレンコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−塩化ビニルコポリマー、アクリル酸とメタクリル酸エステルのコポリマー、メチルメタクリレートとエチルアクリレートのコポリマー、アクリレートエステルのラテックス(RohmPharma,Darmstaat,Germanyにより供給されるEudragitTMのような)、ポリプロピレン、プロピレンオキシドとエチレンオキシドのコポリマー、プロピレンオキシドエチレンオキシドブロックコポリマー、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリスルホン、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリキシリレン、ポリアルコキシシラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレングリコール−シリコーンエラストマー、電磁照射架橋されたアクリル樹脂、シリコーン又はポリエステル、熱的に架橋されたアクリル樹脂、シリコーン又はポリエステル、ブタジエン−スチレンゴムならびに上記のブレンドが含まれ得る。
【0147】
好ましい材料にはセルロースアセテート、アクリル酸とメタクリル酸エステルのコポリマー、メチルメタクリレートとエチルアクリレートのコポリマー及びアクリレートエステルのラテックスが含まれ得る。好ましいコポリマーには、EUDRAGIT Eの商標の下に販売されているポリ(ブチルメタクリレート),(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート,メチルメタクリレート)1:2:1,150,000;EUDRAGIT NE 30 Dの商標の下に販売されているポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート)2:1,800,000;EUDRAGIT Lの商標の下に販売されているポ
リ(メタクリル酸,メチルメタクリレート)1:1,135,000;EUDRAGIT
Lの商標の下に販売されているポリ(メタクリル酸,エチルアクリレート)1:1,250,000;EUDRAGIT Sの商標の下に販売されているポリ(メタクリル酸,メチルメタクリレート)1:2,135,000;EUDRAGIT RLの商標の下に販売されているポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート,トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)1:2:0.2,150,000;EUDRAGIT RSとして販売されているポリ(エチルアクリレート,メチルメタクリレート,トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)1:2:0.1,150,000が含まれ得る。それぞれの場合、比x:y:zはモノマー単位のモル比を示し、最後の数字はポリマーの数平均分子量である。特に好ましいのは、クエン酸アセチルトリブチル及びエチルアクリレートメチルメチルアクリレートコポリマー、例えばEudragit NEのような可塑剤を含有するセルロースアセテートである。
【0148】
障壁層として用いるための前記の材料を可塑剤と配合し、膨張層により加えられる力が障壁層により形成される区画をつぶして液体、活性薬剤調製物を分配するであろうように、障壁層を適切に変形可能とすることができる。典型的な可塑剤の例は以下の通りである:多価アルコール、トリアセチン、ポリエチレングリコール、グリセロール、プロピレングリコール、アセテートエステル、グリセロールトリアセテート、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、グリセリド、アセチル化モノグリセリド、油、鉱油、ヒマシ油など。材料の重量に基づいて10〜50重量パーセントの量で、可塑剤を材料中にブレンディングすることができる。
【0149】
障壁層、膨張可能な層及び半透層を形成する種々の層を、引用することによりその記載事項全体がすべての目的のために本明細書の内容となる米国特許第5,324,280号明細書に記載されているような通常のコーティング法により適用することができる。障壁層、膨張可能な層及び半透壁を便宜上1つの層として示し、記載してきたが、それらの層のそれぞれはいくつかの層の複合材料であることができる。例えば特定の用途のために、障壁層の透過特性を有する第2の層のコーティングを容易にする材料の第1の層でカプセルをコーティングするのが望ましいかも知れない。その場合、第1及び第2の層は障壁層を構成する。半透層及び膨張可能な層に類似の考えが適用される。
【0150】
機械的孔あけ、レーザー孔あけ、侵食可能な要素の侵食、抽出、溶解、破裂又は複合壁から通路形成物を滲出させることにより、出口オリフィスを形成することができる。出口オリフィスは、引用することによりその記載事項全体がすべての目的のために本明細書の内容となる米国特許第4,200,098号明細書に開示されているように、壁又は層からソルビトール、ラクトースなどを滲出させることにより形成される孔であることができる。この特許は、壁から材料を、例えばセルロースアセテートからソルビトールを溶解するか、抽出するか、又は滲出させることにより形成される、制御された寸法の多孔性の孔を開示している。レーザー孔あけの好ましい形態はパルスレーザーの使用であり、それは所望の深さまで漸増的に複合壁から材料を除去して出口オリフィスを形成する。
【0151】
図4は、別の例としての浸透性投薬形態物の略図である。この型の投薬形態物は米国特許第4,612,008;5,082,668;及び5,091,190号明細書に詳細に記載されており、それらは引用することにより本明細書の内容となる。要するに、断面図で示される投薬形態物40は内部区画44を区画する半透壁42を有する。内部区画44は、薬剤層6及びプッシュ層(push layer)48を有する二層−圧縮コアを含有する。下記に記載する通り、プッシュ層48は浸出組成物(displacement composition)であり、それは使用中、プッシュ層が膨張する時に薬剤層を形成する材料が1個もしくはそれより多い出口、例えば出口50を介して投薬形態物から追い出されるように投薬形態物内に置かれる。プッシュ層は、図4に示される通り薬剤層と接触層状配置で置かれることができるか、あるいはプッシュ層と薬剤層を隔てる1個もしくはそれより多い介在層を有することができる。
【0152】
薬剤層46はレボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質を、選ばれた賦形剤、例えば図3に言及して上記で議論されたものとの混合物において含む。例としての投薬形態物は錯体、担体としてのポリ(エチレンオキシド)、浸透剤としての塩化ナトリウム、結合剤としてのヒドロキシプロピルメチルセルロース及び滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウムを含んでなる薬剤層を有することができる。
【0153】
プッシュ層48は浸透的に活性な成分、例えば当該技術分野においてオスモポリマーと呼ばれる水性もしくは生物学的流体を吸収して膨潤する1種もしくはそれより多いポリマーを含んでなる。オスモポリマーは膨潤可能な親水性ポリマーであり、それは水及び水性生物学的流体と相互作用して高度まで膨潤もしくは膨張し、典型的には2〜50倍の体積増加を示す。オスモポリマーは架橋されていないか、もしくは架橋されていることができ、好ましい態様において、オスモポリマーは少なくとも少し架橋され、使用の間に投薬形態物を容易に出るには大きすぎ且つからまったポリマー網目を作る。オスモポリマーとして用いられ得るポリマーの例は、浸透性投薬形態物を詳細に記載する上記の引用文献中に与えられている。典型的なオスモポリマーはポリ(アルキレンオキシド)、例えばポリ(エチレンオキシド)及びポリ(アルカリカルボキシメチルセルロース)であり、ここでアルカリはナトリウム、カリウム又はリチウムである。追加の賦形剤、例えば結合剤、滑沢剤、酸化防止剤及び着色剤もプッシュ層中に含まれることができる。使用においては、流体が半透壁を横切って吸収されるとオスモポリマーが膨潤し、薬剤層を押し、出口を介して投薬形態物から薬剤を放出させる。
【0154】
プッシュ層は結合剤と呼ばれる成分も含むことができ、それは、典型的にはセルロース又はビニルポリマー、例えばポリ−n−ビニルアミド、ポリ−n−ビニルアセトアミド、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ−n−ビニルカプロラクトン、ポリ−n−ビニル−5−メチル−2−ピロリドンなどである。プッシュ層は滑沢剤、例えばステアリン酸ナトリウムもしくはステアリン酸マグネシウムならびに成分の酸化を妨げるための酸化防止剤も含むことができる。代表的な酸化防止剤にはアスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、2−及び3第3級−ブチル−4−ヒドロキシアニソールの混合物ならびにブチル化ヒドロキシトルエンが含まれるが、これらに限られない。
【0155】
浸透性投薬形態物の薬剤層及び/又はプッシュ層中に浸透剤も導入することができる。浸透剤の存在は、半透壁を横切る浸透活性勾配を確立する。典型的な浸透剤には塩、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウムなど及び糖類、例えばラフィノース、スクロース、グルコース、ラクトース及び炭水化物が含まれる。
【0156】
続いて図4に言及すると、投薬形態物は場合により用量に従って投薬形態物を色分けするため、あるいはレボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質又は他の薬剤の即時放出を与えるための皮膜(示されていない)を含むことができる。
【0157】
使用時、水が壁を横切ってプッシュ層及び薬剤層中に流れる。プッシュ層は流体を吸収して膨潤し始め、結果として薬剤層44を押し上げ、層中の材料を、出口オリフィスを介して胃腸管中に追い出す。プッシュ層48は、流体を吸収して膨潤し続けるように設計され、かくして投薬形態物が胃腸管中にある期間ずっと、レボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質を薬剤層から継続的に追い出す。この方法で、投薬形態物はある規定されるウィンドウの間、レボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質の胃腸管への供給を与える。
【0158】
1つの態様において、本発明の投薬形態物は2つもしくはそれより多い形態のレボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質を含み、第1の形態のレボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質は上部G.I.管における吸収に利用でき、第2の形態は下部G.I.管における吸収のために与えられる。これは、G.I.管全体を通じて吸収を最適化するために異なる特性が必要な状況において、最適吸収を助長することができる。そのような態様は3−層浸透性投薬形態物を用いて達成可能である。
【0159】
レボドパを含んでなる第1及び第2の形態の物質を含んでなる特定の例示としての投薬形態物を図5に示す。浸透性投薬形態物60は、レボドパを含んでなる第1の形態の物質の第1の層64、レボドパを含んでなる第2の形態の物質を含んでなる第2の層66及びブッシュ層と呼ばれる第3の層68から成る3−層コア62を有する。3−層投薬形態物は、85.0重量%のレボドパを含んでなる第1の形態の物質、10.0重量%の100,000分子量のポリエチレンオキシド、4.5重量%の約35,000〜40,000の分子量を有するポリビニルピロリドン及び0.5重量%のステアリン酸マグネシウムの第1の層を有するように調製される。第2の層は93.0重量%のレボドパを含んでなる第2の形態の物質、5.0重量%の5,000,000分子量のポリエチレンオキシド、1.0重量%の約35,000〜40,000の分子量を有するポリビニルピロリドン及び1.0重量%のステアリン酸マグネシウムから成る。
【0160】
プッシュ層は63.67重量%のポリエチレンオキシド、30.00重量%の塩化ナトリウム、1.00重量%の酸化第2鉄、5.00重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.08重量%のブチル化ヒドロキシトルエン及び0.25重量%のステアリン酸マグネシウムから成る。半透壁は39.8%のアセチル含有率を有する80.0重量%のセルロースアセテート及び20.0重量%のポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーから成る。
【0161】
図2〜5に示されるもののような投薬形態物の溶解速度は、実施例6に示されるもののような一般的方法に従って決定され得る。一般に投薬形態物からの薬剤調製物の放出は、水性環境との接触後に始まる。図2に例示される投薬形態物においては、出口オリフィスに隣接する層中に存在する薬剤部分−輸送部分錯体が水性環境との接触後に放出され、装置の寿命の間、継続する。図5に例示される投薬形態物は、初期の出口オリフィスに隣接する薬剤層中に存在する薬剤部分塩の放出を与え、薬剤部分−輸送部分錯体の放出が続いて起こる。この投薬形態物が、大体通過の最初の8時間に相当する上部G.I.管の通過中に薬剤部分塩を放出するように設計されることはわかるであろう。錯体は、摂取から大体約8時間後より長い時間に相当する、投薬形態物が下部G.I.管を介して移動する時に放出される。この設計は、錯体により与えられる向上した下部G.I.管吸収を利用している。
【0162】
当該技術分野で要素浸透性ポンプ投薬形態物と呼ばれる例としての投薬形態物を図6に示す。切断図において示される投薬形態物20は要素浸透性ポンプとも呼ばれ、内部区画24を囲み、封入する半透壁22を含んでなる。内部区画は、選ばれた賦形剤との混合物においてレボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質28を含む、本明細書で薬剤層26と呼ばれる1つの成分層を含有する。賦形剤は、壁22を介して外部環境から流体を引き付けるため、及び流体を吸収した時に送達可能なレボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質の調製物を形成するために、浸透活性勾配を与えるように適合させられる。賦形剤は、本明細書で薬剤担体30とも呼ばれる適した懸濁化剤、結合剤32、滑沢剤34及び浸透剤36と呼ばれる浸透的に活性な薬剤を含むことができる。これらの成分のそれぞれに関する例としての材料を下記に示す。
【0163】
浸透性投薬形態物の半透壁22は、外部流体、例えば水及び生物学的流体の通過に対して透過性であるが、内部区画中の成分の通過に対して実質的に不透過性である。壁の形成に有用な材料は本質的に投薬形態物の寿命の間、非侵食性であり、且つ生物学的流体中で実質的に不溶性である。半透壁の形成のための代表的なポリマーにはホモポリマー及びコポリマー、例えばセルロースエステル、セルロースエーテル及びセルロースエステル−エーテルが含まれる。流束−調節剤を壁−形成材料と混合し、壁の流体透過性を調節することができる。例えば水のような流体への透過性を顕著に向上させる薬剤は、多くの場合に本質的に親水性であるが、水への透過性を顕著に低下させるものは本質的に疎水性である。例としての流束調節剤には多価アルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンジオール、アルキレングリコールのポリエステルなどが含まれる。
【0164】
作用において、浸透的に活性な薬剤の存在の故の壁22を横切る浸透勾配は、壁を介して胃液を吸収させ、薬剤層を膨潤させ、内部区画中のレボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質の送達可能な調製物(例えば溶液、懸濁液、スラリ又は他のフロアブル組成物)を形成させる。流体が内部区画に入り続けると、送達可能な調製物は出口38を介して放出される。3ANBPA調製物が投薬形態物から放出されても、流体は内部区画中に吸収され続け、それにより継続的に放出させる。この方法で、レボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質は長時間に及んで持続的なやり方で放出される。
【0165】
図7A〜7Cは、当該技術分野において既知であり、且つ引用することによりその記載事項が特定的に本明細書の内容となる米国特許第5,534,263;5,667,804;及び6,020,000号明細書に記載されている別の例としての投薬形態物を示す。簡単に記載すると、胃腸管中への摂取の前の投薬形態物80の断面図が図7Aに示される。投薬形態物は、レボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質を含む円筒形マトリックス82を含んでなる。マトリックス82の末端84、86は、摂取の容易なことを保証するために、好ましくは丸められ、且つ凸形である。帯88、90及び92は円筒形マトリックスを同中心的に囲み、水性環境中で比較的不溶性である材料で形成される。適した材料は上記の特許中及び下記の実施例6に示される。
【0166】
投薬形態物80の摂取の後、図7Bに示される通り、マトリックス82の帯88、90,92の間の領域は侵食され始める。マトリックスの侵食は、G.I.管の流体環境中へのレボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質の放出を開始させる。図7Cに示される通り、投薬形態物がG.I.管を通過し続けると、マトリックスは侵食され続ける。この図において、マトリックスの侵食は、投薬形態物が3個の片、94、96、98に割れるような程度まで進行した。片のそれぞれのマトリックス部分が完全に侵食されてしまうまで、侵食は続くであろう。帯94、96、98は、その後G.I.管から追い出されるであろう。
【0167】
図2−7に記載される投薬形態物が、G.I.管への本発明の部分錯体(inventive moiety complex)の送達の達成のために設計され、且つそれができる多様な投薬形態物の単なる例であることは認識されるであろう。製薬学的技術分野における熟練者は、適しているであろう他の投薬形態物を同定することができる。
【0168】
いくつかの場合、非−制御放出投薬形態物が望ましいかも知れないことに注意しなければならない。例えば、特定の臨床的状況のために下部G.I.への制御送達が必要でない場合、即時放出投薬形態物を用いてレボドパ及び/又はレボドパ錯体及び/又はカルビドパ及び/又はカルビドパ錯体を投薬することができる。例えば作用の即座の開始が臨床的に望ましい場合、この状況であり得る。強化されるバイオアベイラビリティーの故に、本発明の錯体を同等の用量におけるSinemetより高い血漿レボドパ濃度を達成するた
めのIR投薬形態物として投与することができる。見掛けの用量節約は、DRC Robertson et.al.著,“The influence of levodopa on gastric emptying in man.”Br J Clin Pharmacol 29:47−53(1990年)に示唆されている胃内容排出(gastric emptying)におけるレボドパ−誘導遅延を減少させ得る。これは、Sinemetより迅速な作用の開始を有する本発明の錯体のIR投薬形態物を与えることができる。
【0169】
本発明の投薬形態物中のレボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質の典型的な用量は広く変わり得る。発明者らは、レボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質の分子量が、それがゆるいイオン−対の塩として投与されるか、錯体として投与されるか、構造的類似体として投与されるかなどに依存して有意に変り得ることに注目する。従って、レボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質の投薬濃度(dosage strength)は、投薬形態物中に導入される形態が変るとともに変る必要があり得る。投与される用量は一般に、個々の患者のために望まれる結果に従って調整される。
【0170】
レボドパ又はカルビドパの種々の形態に関して分子量が異なるので、ある形態物に関する用量をその重量当量(weight equivalent)に従って報告するのは混乱させることである。現在市場で入手可能であり、且つほとんどの医師が知っている形態であるレボドパ又はカルビドパ一水和物(例えばSinemetTMにおいて入手可能な形態)の重量当量としてそれらを報告するのが好ましい。例えばレボドパラウリルサルフェートの分子量は463.59であるが、レボドパの分子量は197.19である。200mg重量当量のレボドパを投薬するためには、470mgのレボドパラウリルサルフェートを投薬する必要がある。これに基づき、本発明に従うある態様は、約10mg〜約1000mg、好ましくは約50mg〜約900mg、そしてより好ましくは約100mg〜約400mgの範囲の重量当量の、投薬形態物中に存在する形態のレボドパを含んでなることができる。特定の投薬形態物は、与えられる投薬形態物中で約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約750mg又は約1000mg重量当量を含有することができる。さらに、本発明に従うある態様は、約1mg〜約300mg、好ましくは約2.5mg〜約250mg、そしてより好ましくは約25mg〜約100mgの範囲の重量当量の、投薬形態物中に存在する形態のカルビドパを含んでなることができる。特定の投薬形態物は、与えられる投薬形態物中で約1mg、約2mg、約2.5mg、約5mg、約10mg、約20mg、約40mg、約50mg、約60mg、約75mg、約100mg、約200mg又は約300mg重量当量を含有することができる。好ましい投薬管理は1日2回(例えばbid)又は1日当たり1回(例えばqd)の投薬を含んでなる。
【0171】
1つの側面において本発明は、レボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質を含んでなる制御送達投薬形態物の投与による、患者における疾患又は障害、好ましくはレボドパの投与による処置を受ける余地のある疾患又は障害のような適応症の処置方法を提供する。1つの態様において、レボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質ならびに製薬学的に許容され得るビヒクルを含んでなる組成物を、経口的投与を介して患者に投与する。
【0172】
本発明はさらに、レボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質を含んでなる経口用制御送達投薬形態物を必要のある患者に投与することを含んでなる処置方法を目的とし、ここでレボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質は実質的にゼロ次の放出速度、好ましくはゼロ次の放出速度で投薬形態物から放出され
る。本明細書で開示される多様な制御送達投薬形態物が、実質的にゼロ次の放出速度、好ましくはゼロ次の放出速度を与えることができる。そのような投薬形態物は、要素浸透性ポンプ、マトリックス及び二−層浸透性投薬形態物ならびに当該技術分野における熟練者に既知の他のものを含んでなる。
【0173】
論理的に一貫した血漿カルビドパ濃度を介して、論理的に一貫した末梢デカルボキシラーゼの阻害を保持するのが臨床的に望ましい。これは、患者を制御下に保持するのに望ましい論理的に一定の血漿レボドパ濃度に導く。K J Black et al.著,“Rapid intravenous loading of levodopa for human research:clinical results.”Journal of Neuroscience Methods 127:19−23(2003年);R Durso著,“Variable absorption of carbidopa affects both peripheral and central levodopa metabolism”.J Clin Pharmacol 40:854−60(2000年)。
【0174】
カルビドパ又はレボドパ血漿薬剤濃度がそれらのそれぞれのCmaxの少なくとも約15パーセントである時間を制限することは、起こり得る副作用を減少させるのに有用であり、且つ用量節約効果を与えることができ、それはレボドパの継続的に高い(例えば継続的輸液)血漿レベルと関連し得る。継続的に高いレボドパのレベルはドパミン受容体の感受性を下方調整し、より低い血漿レベルはそれをもとに戻すことができる。この効果は、引用することによりその記載事項が本明細書の内容となるJ.M.Cedarbaum et al.著,“Sustained enteral administration of levodopa increses and interrupted infusion decreases levodopa dose requirements.”Neurobiology 40:995−997(1990年6月)に、レボドパの腸輸液に関して報告された。発明者らは、向上した臨床的結果を有する制御送達経口的治療を与えるための本発明の投薬形態物の開発にこの方法を適用することができると仮定した。熟練者は、カルビドパ又はレボドパ血漿薬剤濃度がそれらのそれぞれのCmaxの少なくとも約15パーセントでない時間を最適化し、患者にとって最適の性能を有する投薬形態物を与えることができる。
【0175】
ある態様において、カルビドパ血漿薬剤濃度がCmaxの少なくとも約15パーセントである時間と、レボドパ血漿薬剤濃度がCmaxの少なくとも約15パーセントである時間は同じでないことができる。例えばカルビドパ血漿濃度は、レボドパ濃度がCmaxの約15パーセントより低く下がる前にCmaxの約15パーセントより低く下がることができるか、あるいはその逆もあり得る。
【0176】
好ましい態様において、制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約10時間の持続時間のウィンドウの間、実質的にゼロ次のレボドパ及び/又はカルビドパの血漿分布を与えるのに有効な上昇放出速度で制御可能的に送達するように適応させられる。
【0177】
これらの血漿分布は臨床的に有利であり得、それは即時放出レボドパ及び/又は即時放出カルビドパがそのようなゼロ次分布を与えない場合、それらがある時間、レボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質のゼロ次送達を与えるからである。ゼロ次分布がないと「オン−オフ」問題及び通常の投薬形態物に関する上記の他の問題を生じ得る。
【0178】
上昇放出速度の態様は、下部G.I.吸収がまだ上部G.I.吸収より少ない状況において特に有用である。そのような場合、上昇放出速度は、下部G.I.吸収の減少あるいはレボドパ及びカルビドパの一次輸送を担うことができる活性輸送物質の高いレベルを有していない上部G.I.の領域における吸収の減少さえ部分的に補償することができる。1つの上昇放出速度の態様において、本発明の投薬形態物の投薬後の最初の約3時間に及ぶ放出速度は、投薬後の約3時間を越えた放出速度の約1/F倍であり、ここで
F=X/Y
であり、且つここでX=本発明の錯体として下部G.I.に送達される場合のレボドパ又はカルビドパのバイオアベイラビリティーであり、Y=本発明の錯体として上部G.I.に送達される場合のレボドパ又はカルビドパのバイオアベイラビリティーである。適した調製物を最適化することにより、当該技術分野における熟練者は種々の上昇放出速度分布を得ることができる。例えば当該技術分野における熟練者は、図5に示される投薬形態物を種々の放出速度に調整し、所望の上昇放出速度分布を達成することができるはずである。そのような調整は当該技術分野における熟練者に既知である。
【0179】
1つの態様において、本発明の投薬形態物は、1つより多い薬剤層を備えることを介して上昇放出速度を達成することができる。複数の薬剤層を有する浸透性装置において、層間の薬剤濃度勾配は長時間に及んで上昇薬剤放出速度の達成を助長する。例えば本発明の1つの態様において、浸透性投薬形態物は第1の薬剤層及び第2の薬剤層を含んでなり、ここで第1の層内に含有される薬剤の濃度は第2の層内に含有される薬剤の濃度より高く、膨張可能な層は第3の層内に含有される。投薬形態物のコアから外側への順に膨張可能な層、第2の薬剤層及び第1の薬剤層がある。投薬形態物の成分の協働を介する作用において、レボドパを含んでなる物質及び/又はカルビドパを含んでなる物質は、持続的且つ制御されたやり方で第2の薬剤層から、及び次いで第1の薬剤層から継続的に放出され、長時間に及ぶ上昇放出速度が達成される。
【0180】
本発明はさらに、用語が本明細書で定義されている製薬学的組成物ならびに必要のある患者に製薬学的組成物を投与する方法を目的とする。好ましくは、本発明は、必要のある患者に治療的に有効な量で製薬学的組成物を投与する方法を目的とする。
【0181】
1つの態様において、本発明は:レボドパ及び輸送部分を含んでなる錯体を含んでなる物質に関し、好ましくはここで輸送部分はアルキルサルフェート塩を含んでなり、より好ましくはここでアルキルサルフェート塩はラウリル硫酸ナトリウムを含んでなる。本発明は:該物質及び製薬学的に許容され得る担体を含んでなる製薬学的組成物ならびに該製薬学的組成物を含んでなる経口用投薬形態物にも関する。好ましい態様において、経口用投薬形態物はさらにカルビドパ又はカルビドパ錯体を含んでなる。他の好ましい態様において、経口用投薬形態物は経口用制御送達投薬形態物を含んでなり、好ましくは、経口用投薬形態物は浸透性経口用制御送達投薬形態物を含んでなり、より好ましくは、浸透性経口用制御送達投薬形態物は固体の浸透性経口用制御送達投薬形態物を含んでなる。他の好ましい態様において、固体の浸透性経口用制御送達投薬形態物はさらにカルビドパを含んでなるか、あるいは固体の浸透性経口用制御送達投薬形態物はさらにカルビドパ錯体を含んでなる。ある好ましい態様において、浸透性経口用制御送達投薬形態物は液体の浸透性経口用制御送達投薬形態物を含んでなり、それは好ましくはカルビドパ又はカルビドパ錯体を含んでなる。本発明は、上記の経口用投薬形態物のいずれかを患者に投与することを含んでなる方法にも関する。本発明はさらに、制御送達投薬形態物が約0〜約4時間内に約0重量%〜約20重量%、約0〜約8時間内に約20重量%〜約50重量%、約0〜約14時間内に約55重量%〜約85重量%及び約0〜約24時間内に約80重量%〜約100重量%の送達投薬量パターンで物質を制御可能的に送達する経口用投薬形態物に関する。本発明はさらに、制御送達投薬形態物が約0〜約4時間内に約0重量%〜約20重量%、約0〜約8時間内に約20重量%〜約50重量%、約0〜約14時間内に約55重量%〜約85重量%及び約0〜約20時間内に約80重量%〜約100重量%の送達投薬量パターンで物質を制御可能的に送達する経口用投薬形態物に関する。本発明はさらに、制御送達投薬形態物が約0〜約2時間内に約0重量%〜約20重量%、約0〜約4時間内に約20重量%〜約50重量%、約0〜約7時間内に約55重量%〜約85重量%及び約0〜約8時間内に約80重量%〜約100重量%の送達投薬量パターンで物質を制御可能的に送達する経口用投薬形態物に関する。
【0182】
本発明は:アルキルサルフェート塩を準備し;アルキルサルフェート塩をアルキルサルフェートの酸形態に転換し;レボドパをアルキルサルフェートの酸形態と接触させてレボドパ−アルキルサルフェート錯体を形成し;そして錯体を単離することを含んでなる方法に関する。他の態様において本発明は、アルキルサルフェート塩がラウリル硫酸ナトリウムを含んでなる方法に関する。他の態様において本発明は、イオン交換法を用いてアルキルサルフェート塩のアルキルサルフェートの酸形態への転換を行なう方法に関する。
【0183】
本発明は:カルビドパ及び輸送部分を含んでなる錯体を含んでなる物質に関する。物質の好ましい態様において、輸送部分はアルキルサルフェート塩を含んでなり、好ましくはここでアルキルサルフェート塩はラウリル硫酸ナトリウムを含んでなる。他の態様において本発明は該物質及び製薬学的に許容され得る担体を含んでなる製薬学的組成物に関する。本発明は該製薬学的組成物を含んでなる経口用投薬形態物にも関し、それは好ましくはさらにレボドパ又はレボドパ錯体を含んでなる。好ましい態様において、経口用投薬形態物は制御送達経口用投薬形態物を含んでなり、好ましくは、経口用投薬形態物は浸透性制御送達経口用投薬形態物を含んでなり、より好ましくは、浸透性制御送達経口用投薬形態物は固体の浸透性制御送達経口用投薬形態物を含んでなり、さらにもっと好ましくは、固体の浸透性制御送達経口用投薬形態物はさらにレボドパ又はレボドパ錯体を含んでなる。他の好ましい態様において、浸透性制御送達経口用投薬形態物は液体の浸透性制御送達経口用投薬形態物を含んでなり、好ましくはここで、液体の浸透性制御送達経口用投薬形態物はさらにレボドパ又はレボドパ錯体を含んでなる。本発明は、上記の経口用投薬形態物を患者に投与することを含んでなる方法にも関する。
【0184】
本発明はさらに、制御送達投薬形態物が約0〜約4時間内に約0重量%〜約20重量%、約0〜約8時間内に約20重量%〜約50重量%、約0〜約14時間内に約55重量%〜約85重量%及び約0〜約24時間内に約80重量%〜約100重量%の送達投薬量パターンで物質を制御可能的に送達する経口用投薬形態物に関する。他の態様において、制御送達投薬形態物は約0〜約4時間内に約0重量%〜約20重量%、約0〜約8時間内に約20重量%〜約50重量%、約0〜約14時間内に約55重量%〜約85重量%及び約0〜約20時間内に約80重量%〜約100重量%の送達投薬量パターンで物質を制御可能的に送達する。さらに別の態様において、制御送達投薬形態物は約0〜約2時間内に約0重量%〜約20重量%、約0〜約4時間内に約20重量%〜約50重量%、約0〜約7時間内に約55重量%〜約85重量%及び約0〜約8時間内に約80重量%〜約100重量%の送達投薬量パターンで物質を制御可能的に送達する。
【0185】
本発明は、アルキルサルフェート塩を準備し;アルキルサルフェート塩をアルキルサルフェートの酸形態に転換し;カルビドパをアルキルサルフェートの酸形態と接触させてカルビドパ−アルキルサルフェート錯体を形成し;そして錯体を単離することを含んでなる方法に関する。好ましい態様において、アルキルサルフェート塩はラウリル硫酸ナトリウムを含んでなる。好ましい態様において、イオン交換法を用いてアルキルサルフェート塩のアルキルサルフェートの酸形態への転換を行なう。
【0186】
本発明は:(i)レボドパを含んでなる物質及びカルビドパを含んでなる物質を制御可能的に送達する構造を含んでなる経口用制御送達投薬構造を含んでなる経口用投薬形態物
に関し;ここで制御送達投薬構造はレボドパを含んでなる物質の少なくとも一部及びカルビドパを含んでなる物質の少なくとも一部を含有し;且つここで制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部及びカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に:
a.約236〜約988ng/mLの範囲のレボドパCmaxを与え、
b.約3676〜約15808h・ng/mLのレボドパAUCを与え、且つ
c.少なくとも約10時間の持続時間のウィンドウを通じてレボドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるレボドパ血漿薬剤濃度を保持し、
d.約1〜約500ng/ml μモル/Lの範囲のカルビドパCmaxを与え、
e.約20000〜約200000h・ng/mLのカルビドパAUCを与え、且つ
f.少なくとも約10時間の持続時間のウィンドウを通じてカルビドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるカルビドパ血漿薬剤濃度を保持する
のに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる。
【0187】
好ましい態様において、レボドパを含んでなる物質は:レボドパ錯体又はレボドパプロドラッグを含んでなる。他の好ましい態様において、カルビドパを含んでなる物質は:カルビドパ錯体又はカルビドパプロドラッグを含んでなる。
【0188】
投薬形態物の好ましい態様において、制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約12時間の持続時間のウィンドウを通じてレボドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるレボドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる。投薬形態物の他の好ましい態様において、制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約16時間の持続時間のウィンドウを通じてレボドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるレボドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる。投薬形態物の好ましい態様において、制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約18時間の持続時間のウィンドウを通じてレボドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるレボドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる。投薬形態物の好ましい態様において、制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約20時間の持続時間のウィンドウを通じてレボドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるレボドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる。投薬形態物の好ましい態様において、制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約12時間の持続時間のウィンドウを通じてカルビドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるカルビドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる。投薬形態物の好ましい態様において、制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約16時間の持続時間のウィンドウを通じてカルビドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるカルビドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる。投薬形態物の好ましい態様において、制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約18時間の持続時間のウィンドウを通じてカルビドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるカルビドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる。投薬形態物の好ましい態様において、制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約20時間の持続時間のウィンドウを通じてカルビドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるカルビドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる。
【0189】
本発明は、レボドパを含んでなる物質を制御可能的に送達する構造を含んでなる経口用制御送達投薬構造を含んでなる経口用制御送達投薬形態物に関し;ここで制御送達投薬構造はレボドパを含んでなる物質の少なくとも一部を含有し;且つここで制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約6時間の持続時間のウィンドウの間、実質的にゼロ次のレボドパ血漿分布を与えるのに有効な上昇放出速度で制御可能的に送達するように適応させられる。
【0190】
経口用制御送達投薬形態物の好ましい態様において、制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約12時間の持続時間のウィンドウの間、実質的にゼロ次のレボドパ血漿分布を与えるのに有効な上昇放出速度で制御可能的に送達するように適応させられる。経口用制御送達投薬形態物の好ましい態様において、制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約16時間の持続時間のウィンドウの間、実質的にゼロ次のレボドパ血漿分布を与えるのに有効な上昇放出速度で制御可能的に送達するように適応させられる。経口用制御送達投薬形態物の好ましい態様において、レボドパを含んでなる物質は:レボドパ錯体又はレボドパプロドラッグを含んでなる。
【0191】
経口用制御送達投薬形態物の好ましい態様はさらに:カルビドパを含んでなる物質を制御可能的に送達する構造を含んでなる経口用制御送達投薬構造をさらに含んでなり;ここで制御送達投薬構造はカルビドパを含んでなる物質の少なくとも一部を含有し;且つここで制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約6時間の持続時間のウィンドウの間、実質的にゼロ次のカルビドパ血漿分布を与えるのに有効な上昇放出速度で制御可能的に送達するように適応させられる。
【0192】
経口用制御送達投薬形態物の好ましい態様において、制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約12時間の持続時間のウィンドウの間、実質的にゼロ次のカルビドパ血漿分布を与えるのに有効な上昇放出速度で制御可能的に送達するように適応させられる。経口用制御送達投薬形態物の好ましい態様において、制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約16時間の持続時間のウィンドウの間、実質的にゼロ次のカルビドパ血漿分布を与えるのに有効な上昇放出速度で制御可能的に送達するように適応させられる。
【0193】
経口用制御送達投薬形態物の好ましい態様において、カルビドパを含んでなる物質は:カルビドパ錯体又はカルビドパプロドラッグを含んでなる。
【0194】
本発明は:レボドパ;アルキルサルフェート塩;及び製薬学的に許容され得る担体を含んでなる組成物に関する。好ましくは組成物中で、アルキルサルフェート塩はラウリル硫酸ナトリウムを含んでなる。本発明は、該製薬学的組成物を含んでなる経口用投薬形態物にも関し、好ましくはここで経口用投薬形態物はさらにカルビドパを含んでなる。
【0195】
本発明は:(i)レボドパを含んでなる物質を制御可能的に送達する構造を含んでなる
経口用制御送達投薬構造を含んでなる経口用投薬形態物に関し;ここで制御送達投薬構造はレボドパを含んでなる物質の少なくとも一部を含有し;且つここで制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に:
a.約236〜約988ng/mLの範囲のレボドパCmaxを与え、
b.約3676〜約15808h・ng/mLのレボドパAUCを与え、且つ
c.少なくとも約10時間の持続時間のウィンドウを通じてレボドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるレボドパ血漿薬剤濃度を保持する
のに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる。
【0196】
好ましい態様において、レボドパを含んでなる物質は:レボドパ錯体又はレボドパプロドラッグを含んでなる。好ましい態様において、制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約12時間の持続時間のウィンドウを通じてレボドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるレボドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる。好ましい態様において、制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約16時間の持続時間のウィンドウを通じてレボドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるレボドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる。好ましい態様において、制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約18時間の持続時間のウィンドウを通じてレボドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるレボドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる。好ましい態様において、制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約20時間の持続時間のウィンドウを通じてレボドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるレボドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる。
【0197】
本発明は:(i)カルビドパを含んでなる物質を制御可能的に送達する構造を含んでなる経口用制御送達投薬構造を含んでなる経口用投薬形態物に関し;ここで制御送達投薬構造はカルビドパを含んでなる物質の少なくとも一部を含有し;且つここで制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に:
a.約1〜約500ng/ml μモル/Lの範囲のカルビドパCmaxを与え、
b.約20000〜約200000h・ng/mLのカルビドパAUCを与え、且つ
c.少なくとも約10時間の持続時間のウィンドウを通じてカルビドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるカルビドパ血漿薬剤濃度を保持する
のに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる。
【0198】
好ましい態様において、カルビドパを含んでなる物質は:カルビドパ錯体又はカルビドパプロドラッグを含んでなる。好ましい態様において、制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約12時間の持続時間のウィンドウを通じてカルビドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるカルビドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる。好ましい態様において、制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約16時間の持続時間のウィンドウを通じてカルビドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるカルビドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる。好ましい態様において、制
御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約18時間の持続時間のウィンドウを通じてカルビドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるカルビドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる。好ましい態様において、制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約20時間の持続時間のウィンドウを通じてカルビドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるカルビドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる。
【0199】
理解を明確にする目的で例として前記の発明を詳細に記載してきたが、ある種の変更及び修正は開示に包含され、制限ではなく例として示される添付の請求項の範囲内で不必要な実験なしで実施可能であることは、当該技術分野における熟練者に明らかであろう。
【0200】
本発明の組成物は一般に無菌、実質的に等張として、且つU.S.Food and Drug AdministrationのすべてのGood Manufacturing Practice(GMP)規定に完全に従って調製される。
【0201】
上記で引用されたすべての公開文献及び特許文書は、引用することによりそれらの記載事項全体がすべての目的のために本明細書の内容となり、それは、それぞれが個別にそのように指示されると同じ程度までである。
【0202】
それぞれの言及される範囲は、範囲のすべての組み合わせ及び細分組み合わせ(subcombinations)ならびにその中に含有される特定の数字を含む。
【実施例】
【0203】
以下の実施例は本発明の例示であり、全く本発明の範囲を制限すると考えられるべきではなく、それは、これらの実施例及びその他の同等事項が、本開示、図面及び添付の請求項を見ると当該技術分野における熟練者に明らかになるからである。
【0204】
実施例1:
レボドパ−ラウリルサルフェート錯体の製造
1.イオン交換カラムにカチオン性樹脂、DOWEX 50WX8−100を充填し、117gの正味の重量を得た。
2.カラムを乾燥させないように注意して、カラムを70mLの脱イオン(DI)水で濯いだ(逆フラッシ(backflush))。
3.5.768gのラウリル硫酸ナトリウムを577mLのDI水中に溶解した。
4.175mLのDI水を、分液ロートを用いて滴下してカラムに通過させた。次いで段階3の溶液を、分液ロートを用いて滴下してカラムに通過させ、溶出液を集めた。カラムにSDS溶液を通過させた後、合計で70mLのDI水を用いてカラムを濯いだ。通過した合計ラウリル硫酸ナトリウムはイオン交換樹脂の平衡点(容量)未満であると計算された。91mLの第1の溶出液を捨て、486mL溶出液の第2の溶出液を集め、錯体化に用いた。第3の70mLの溶出液も捨てた。
5.3.323gのレボドパ塩基を第2の溶出液に加え、混合物を室温で攪拌してレボドパを可溶化した。40℃における真空炉中で水を除去した。試料を乾燥した後、6.5gの生成物を集めた。生成物はペーストの形態にあった。
【0205】
実施例2
レボドパ−テトラデシルサルフェート錯体の製造
レボドパ−テトラデシルサルフェート錯体の形成のために、以下の段階を行なう。この
錯体は、実施例1に従って製造される錯体より高い融点を有することが予測され、従って固体の投薬形態物においてより大きな実用性を有することができる。
【0206】
イオン交換カラムにカチオン性樹脂、Amberlyst 15触媒を充填し、19.16gの正味の重量を目指す。
【0207】
カラムを乾燥させないように注意して、カラムを20mLの脱イオン(DI)水で濯ぐ(逆フラッシ)。
【0208】
1.582gのテトラデシル硫酸ナトリウムを100mLのDI水中に溶解する。
【0209】
段階3の溶液を、分液ロートを用いて滴下してカラムに通過させ、溶出液を集める。カラムにテトラデシル硫酸ナトリウムを通過させた後、合計で20mLのDI水を用いてカラムを濯ぐ。通過した合計テトラデシル硫酸ナトリウムを計算し、それがイオン交換樹脂の平衡点(容量)未満であることを確かめる。
a.段階4の溶出液に0.986gのレボドパを加え、混合物を室温で攪拌してレボドパを可溶化する。40℃における真空炉中で水を除去する。試料を乾燥した後、2.141gの理論的収量の生成物を集めることができる。
【0210】
実施例3
カルビドパ−ラウリルサルフェート錯体の製造
1.イオン交換カラムにカチオン性樹脂、DOWEX 50WX8−100を充填し、117gの正味の重量を目指す。
【0211】
カラムを乾燥させないように注意して、カラムを70mLの脱イオン(DI)水で濯ぐ(逆フラッシ)。
【0212】
5.768gのラウリル硫酸ナトリウムを577mLのDI水中に溶解する。
【0213】
175mLのDI水を、分液ロートを用いて滴下してカラムに通過させる。次いで段階3の溶液を、分液ロートを用いて滴下してカラムに通過させ、溶出液を集める。カラムにSDS溶液を通過させた後、合計で70mLのDI水を用いてカラムを濯ぐ。通過した合計ラウリル硫酸ナトリウムを計算し、それがイオン交換樹脂の平衡点(容量)未満であることを確かめる。91mLの第1の溶出液を捨て;486mL溶出液の第2の溶出液を集め、錯体化に用いる。第3の70mLの溶出液も捨てる。
【0214】
4.116gのカルビドパ一水和物を第2の溶出液に加え、混合物を室温で攪拌してカルビドパを可溶化する。40℃における真空炉中で水を除去する。試料を乾燥した後、理論的最大量の8.3gの生成物を得ることができる。
【0215】
実施例4
カルビドパ−テトラデシルサルフェート錯体の製造
カルビドパ−テトラデシルサルフェート錯体の形成のために、以下の段階を行なう。この錯体は、実施例3に従って製造される錯体より高い融点を有することが予測され、従って固体の投薬形態物においてより大きな実用性を有することができる。
1.イオン交換カラムにカチオン性樹脂、DOWEX 50WX8−100を充填し、117gの正味の重量を目指す。
2.カラムを乾燥させないように注意して、カラムを70mLの脱イオン(DI)水で濯ぐ(逆フラッシ)。
3.5.768gのテトラデシル硫酸ナトリウムを577mLのDI水中に溶解する。
4.175mLのDI水を、分液ロートを用いて滴下してカラムに通過させる。次いで段階3の溶液を、分液ロートを用いて滴下してカラムに通過させ、溶出液を集める。カラムにテトラデシルナトリウム溶液を通過させた後、合計で70mLのDI水を用いてカラムを濯ぐ。通過した合計テトラデシル硫酸ナトリウムを計算し、それがイオン交換樹脂の平衡点(容量)未満であることを確かめる。91mLの第1の溶出液を捨て;486mL溶出液の第2の溶出液を集め、錯体化に用いる。第3の70mLの溶出液も捨てる。
【0216】
5.3.752gのカルビドパ一水和物を第2の溶出液に加え、混合物を室温で攪拌してカルビドパを可溶化する。40℃における真空炉中で水を除去する。試料を乾燥した後、理論的最大量の7.94gの生成物を得ることができる。
【0217】
実施例5
液体浸透性投薬形態物
実施例1の錯体のG.I.管中における分配(dispensing)のために、硬質キャップ経口用浸透性装置系を製造した。第1に、Glatt流動床顆粒化機(fluid bed granulator)(FBG)を用いて浸透性プッシュ−層形成物質(osmotic push−layer formation)を顆粒化した。プッシュ顆粒の組成は、63.67重量%の7,000,000の分子量のポリエチレンオキシド、30.00重量%の塩化ナトリウム、1.00重量%の酸化第2鉄、5.00重量%の9,200の分子量のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.08重量%のブチル化ヒドロキシトルエン及び0.25重量%のステアリン酸マグネシウムから成った。
【0218】
第2に、媒体(medium)FBGを用い、障壁層顆粒(barrier layer granulation)を製造した。障壁−層顆粒の組成は、55重量%のKollidon、35重量%のステアリン酸マグネシウム及び10重量%のEMMから成った。
【0219】
第3に、Multi−layer Korschプレスを用い、浸透性プッシュ層顆粒及び障壁層顆粒を二−層錠剤に圧縮した。350mgの浸透性プッシュ−層顆粒を加え、たたき固め、次いで100mgの障壁層顆粒を上に加え、最後に4500Nの力の下で浸透性/障壁二−層錠剤に圧縮した。
【0220】
第4に、45℃における5.5時間の音波処理を用い、実施例1に従って製造される470mgの錯体を108mgのプロピレングリコール(PG)中に溶解した。
【0221】
次に、ゼラチンカプセル(寸法0)にSureleaseTMを下塗りコーティングした。これは、系の作用の間のカプセル封入された液体調製物中への水の透過を妨げるであろう。下塗りコーティングは、水性分散液の形態で適用されるエチルセルロースの膜である。分散液は25重量%の固体を含有し、精製水を加えることにより15重量%の固体を含有するように希釈された。SureleaseTMの膜重量は17mgであった。
【0222】
次に、SureleaseTMがコーティングされたゼラチンカプセルを2つのセグメント(本体とキャップ)に分離した。薬剤−層組成物(578mg)をカプセル本体中に充填した。
【0223】
次に、充填されたカプセル本体内に浸透性/障壁錠剤を置いた。カプセル内にエンジンを挿入する前に、ゼラチン−コーティングされた二層エンジンの障壁層の回りに密封溶液の層を適用した。エンジン挿入の後、バンディング(banding)溶液の層をカプセルとエンジンの界面において直径の回りに適用した。このシーリング及びバンディング溶液は同じであり、それは水/エタノール 50/50重量%で作られる。
【0224】
次に、80%のセルロースアセテート 398−10及び20%のPluronic F−68を含んでなる膜組成物を、コーティング溶液中で5%の固体含有率においてアセトン中に溶解した。12”LDCS Hi−コーターにおいて、予備−コーティングされたアセンブリ上に溶液をスプレー噴霧した。膜コーティングの後、系を45℃における炉中で24時間乾燥した。アセンブリには、131mgの速度−制御膜がコーティングされた。
【0225】
次に機械的ドリルを用い、30ミル(0.77mm)の出口オリフィスを薬剤−層側において孔あけした。各系は470mgの実施例1の錯体を含んでなる。膜重量を調整することにより、系の放出持続時間を制御することができる。
【0226】
実施例6
液体浸透性投薬形態物に関する放出分布
実施例5に従って作られる投薬形態物に関する放出速度を、900mLの人工胃液(AGF,pH=1.2)中において、Distek 5100(USP装置2パドルテスター)上で行なった。溶解媒体の温度は37℃に保たれ、パドル速度は100rpmであった。オンラインUV分光分析を用い、280nmにおいてレボドパの濃度を測定した。2つの系を調べた。
【0227】
累積放出を示す結果を図8に提供する。
【0228】
実施例7
液体浸透性投薬形態物
実施例1及び3の錯体のG.I.管中における分配のために、硬質キャップ経口用浸透性装置系を以下の通りに製造することができる:
【0229】
第1に、Glatt流動床顆粒化機(FBG)を用いて浸透性プッシュ−層形成物質を顆粒化する。プッシュ顆粒の組成は、63.67重量%の7,000,000の分子量のポリエチレンオキシド、30.00重量%の塩化ナトリウム、1.00重量%の酸化第2鉄、5.00重量%の9,200の分子量のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.08重量%のブチル化ヒドロキシトルエン及び0.25重量%のステアリン酸マグネシウムから成る。
【0230】
第2に、媒体FBGを用い、障壁層顆粒を製造する。障壁−層顆粒の組成は、55重量%のKollidon、35重量%のステアリン酸マグネシウム及び10重量%のEMMから成る。
【0231】
第3に、Multi−layer Korschプレスを用い、浸透性プッシュ層顆粒及び障壁層顆粒を二−層錠剤に圧縮する。350mgの浸透性プッシュ−層顆粒を加え、たたき固め、次いで100mgの障壁層顆粒を上に加え、最後に4500Nの力の下で浸透性/障壁二−層錠剤に圧縮する。
【0232】
第4に、45℃における約6時間の音波処理を用い、実施例1に従って製造される235mgのレボドパラウリルサルフェート錯体(100mgレボドパ当量)及び実施例3に従って製造される54mgのカルビドパラウリルサルフェート錯体(25mgカルビドパ当量)を約211mgのプロピレングリコール(PG)中に溶解する。
【0233】
次に、ゼラチンカプセル(寸法0)にSureleaseTMを下塗りコーティングする。これは、系の作用の間のカプセル封入された液体調製物中への水の透過を妨げるであろう。下塗りコーティングは、水性分散液の形態で適用されるエチルセルロースの膜であ
る。分散液は25重量%の固体を含有し、精製水を加えることにより15重量%の固体を含有するように希釈される。SureleaseTMの膜重量は17mgである。
【0234】
次に、Surelease(tm)がコーティングされたゼラチンカプセルを2つのセグメント(本体とキャップ)に分離する。薬剤−層組成物(500mg)をカプセル本体中に充填する。
【0235】
次に、充填されたカプセル本体内に浸透性/障壁錠剤を置く。カプセル内にエンジンを挿入する前に、ゼラチン−コーティングされた二層エンジンの障壁層の回りに密封溶液の層を適用する。エンジン挿入の後、バンディング溶液の層をカプセルとエンジンの界面において直径の回りに適用する。このシーリング及びバンディング溶液は同じであり、それは水/エタノール 50/50重量%で作られる。
【0236】
次に、80%のセルロースアセテート 398−10及び20%のPluronic F−68を含んでなる膜組成物を、コーティング溶液中で5%の固体含有率においてアセトン中に溶解する。12”LDCS Hi−コーターにおいて、予備−コーティングされたアセンブリ上に溶液をスプレー噴霧する。膜コーティングの後、系を45℃における炉中で24時間乾燥する。アセンブリには、131mgの速度−制御膜がコーティングされる。
【0237】
次に機械的ドリルを用い、30ミル(0.77mm)の出口オリフィスを薬剤−層側において孔あけする。膜重量を調整することにより、系の放出持続時間を制御することができる。
【0238】
実施例8
レボドパ−テトラデシルサルフェート錯体及びカルビドパ−テトラデシルサルフェート錯体を含んでなる投薬形態物の製造
【0239】
投薬形態物を以下の通りに製造する:
投薬形態物中のレボドパ−テトラデシルサルフェート錯体層を以下の通りに調製する。最初に、実施例2に記載される通りに製造される7.56グラムのレボドパ−テトラデシルサルフェート錯体、実施例4に記載される通りに製造される1.74グラムのカルビドパ−テトラデシルサルフェート錯体、0.50gの5,000,000の分子量のポリエチレンオキシド、0.10gの約38,000の分子量を有するポリビニルピロリドンを通常のブレンダーにおいて20分間乾燥ブレンディングし、均一なブレンドを与える。次に、継続的に5分間攪拌しながら、変性無水エタノールをブレンドにゆっくり加える。ブレンディングされた湿潤組成物を16メッシュスクリーンに通過させ、室温で終夜乾燥する。次いで、乾燥顆粒を16メッシュスクリーンに通過させ、0.10gのステアリン酸マグネシウムを加え、すべての乾燥成分を5分間乾燥ブレンディングする。組成物は75.6重量%のレボドパ−テトラデシルサルフェート錯体、17.4重量%のカルビドパ−テトラデシルサルフェート錯体、5.0重量%の分子量が5,000,000のポリエチレンオキシド、1.0重量%の約35,000〜40,000の分子量を有するポリビニルピロリドン及び1.0重量%のステアリン酸マグネシウムから成る。
【0240】
オスモポリマーヒドロゲル組成物を含んでなるプッシュ層を以下の通りに調製する。最初に、7,000,000の分子量を含んでなる637.70gの製薬学的に許容され得るポリエチレンオキシド、300gの塩化ナトリウム及び10gの酸化第2鉄を別々に、40メッシュスクリーンを介して篩分けする。篩分けされた成分を、9,200の分子量のヒドロキシプロピルメチルセルロースの50gと混合し、均一なブレンドを作る。次に、5分間継続的に混合しながら、150mLの変性無水アルコールをブレンドにゆっくり加える。次いで0.80gのブチル化ヒドロキシトルエンを加え、さらにブレンディングする。調製されたばかりの顆粒を20メッシュスクリーンに通過させ、室温(周囲温度)で20時間乾燥させる。乾燥された成分を20メッシュスクリーンに通過させ、2.50gのステアリン酸マグネシウムを加え、すべての成分を5分間ブレンディングする。最終的組成物は、63.67重量%のポリエチレンオキシド、30.00重量%の塩化ナトリウム、1.00重量%の酸化第2鉄、5.00重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.08重量%のブチル化ヒドロキシトルエン及び0.25重量%のステアリン酸マグネシウムから成る。
【0241】
二−層投薬形態物を以下の通りに製造する。最初に、654mgの薬剤層組成物をパンチとダイのセットに加え、たたき固める。次いで327mgのヒドロゲル組成物を加え、2つの層を1.0トン(1000kg)の圧縮力下で、9/32インチ(0.714cm)の直径のパンチダイセット中に圧縮し、緊密な二−層コア(錠剤)を形成する。
【0242】
39.8%のアセチル含有率を有するセルロースアセテートの80.0重量%及び7680〜9510の分子量を有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーの20.0重量%を含んでなる半透壁−形成組成物を、アセトン中に成分を80:20重量/重量組成で溶解し、5.0%固体の溶液を形成することにより調製する。この段階の間に温水浴中に溶液の容器を入れると、成分の溶解が加速される。壁−形成組成物を二−層コア上及びその回りにスプレー噴霧し、60〜80mgの厚さの半透壁を与える。
【0243】
次に、半透壁が設けられた(semipermeable walled)二−層錠剤中に40ミル(1.02mm)の出口オリフィスをレーザー孔あけし、薬剤含有層と送達装置の外部との接触を与える。投薬形態物を乾燥して残留溶媒及び水を除去する。
【0244】
実施例8に従って作られる投薬形態物に関する放出速度をDistek 5100(USP装置2パドルテスター)において、900mLの人工胃液(AGF,pH=1.2)中で行なう。溶解媒体の温度は37℃に保たれ、パドル速度は100rpmであった。オンラインUV分光分析を用い、280nmにおいてレボドパの濃度を測定した。2つの系を調べた。
【0245】
実施例9
修正マトリックス投薬形態物
本発明に従うマトリックス投薬形態物を以下の通りに製造する。実施例2に記載される通りに製造される247グラムのレボドパ−テトラデシルサルフェート錯体、実施例4に記載される通りに製造される57グラムのカルビドパ−テトラデシルサルフェート錯体、モル当たり9,200グラムの数平均分子量を有する25グラムのヒドロキシプロピルメチルセルロース及びモル当たり242,000グラムの分子量を有する15グラムのヒドロキシプロピルメチルセルロースを、インチ当たり40のワイアのメッシュサイズを有するスクリーンに通過させる。セルロースはそれぞれ8重量パーセントの平均ヒドロキシル含有率及び22重量パーセントの平均メトキシ含有率を有する。得られる寸法制限された粉末をタンブリング混合する(tumble mixed)。混合された粉末に無水エチルアルコールを、ドウの稠度が生ずるまで攪拌しながらゆっくり加える。次いで湿った塊を、20メッシュスクリーンを介して押し出し、終夜空気乾燥する。得られる乾燥材料を、20メッシュスクリーンを介して再−篩分けし、最終的顆粒を形成する。次いで80メッシュスクリーンを介して寸法制限された2グラムの錠剤化滑沢剤、ステアリン酸マグネシウムを顆粒中にタンブリングする(tumbled)。得られる663mgの顆粒を、9/32インチの内径を有するダイキャビティー中に置き、2トンの圧力ヘッドを用いる深い凹型パンチ具で圧縮する。これは、丸められた末端を含む0.691インチの全長を有する縦型(longitudinal)カプセルコアを形成する。錠剤ランドから錠剤ランドまでのカプセルの円筒形の本体は、12mmの間隔に及ぶ。各コアは495mg(200mgレボドパ当量)のレボドパ−テトラデシルサルフェート錯体及び114mg(50mgカルビドパ当量)のカルビドパテトラデシルサルフェート錯体の単位投薬量を含有する。
【0246】
次に9/32インチの内径、0.013インチの壁厚及び2mmの幅を有するポリエチレンのリングを次いで二次加工する。これらのリング又は帯をコア上にプレス嵌めし、投薬形態物を完成させる。
【0247】
実施例10
ラットにおけるフラッシされて結紮された(flushed ligated)結腸モデルを用いる生体内結腸吸収
調製物を調べるために、通常「結腸内結紮モデル」として既知の動物モデルを用いた。飢餓状態で麻酔された0.3〜0.5kgのSprague−Dawley雄ラットの手術的準備を以下の通りに行なった。近位結腸のセグメントを単離し、結腸から便材料をフラッシした。試験調製物の送達のためにカテーテルを管腔内に置き、皮膚の上で外に出しながら、セグメントを両端において結紮した。結腸の内容物をフラッシして出し、結腸を動物の腹に戻した。実験的設定に依存して、臨床的状況における実際の結腸の環境をより正確に模するために、セグメントに1mL/kgの20mMリン酸ナトリウム緩衝液,pH7.4を満たした後に試験調製物を加えた。
【0248】
手術的準備から後且つ各試験調製物への暴露の前の約1時間、ラットを平衡化させた。試験化合物は結腸内ボーラスとして投与され、ラット当たり2mgのレボドパ又はラット当たり2mgのレボドパラウリルサルフェートにおいて送達された。試験調製物の投与から0、15、30、60、90、120、180及び240分後に、頸静脈カテーテルから血液試料を得、血液レボドパ濃度に関して分析した。
【0249】
別の群のラットを、レボドパを用いて0.4mg/kgの投薬量で静脈内処置した。レボドパ濃度の分析のために、上記と同じ時点に血液試料を採取した。
【0250】
各試験動物に関するレボドパ血漿濃度及び各試験群中の動物に関する平均血漿濃度を表A〜Cに示す。図9は、各試験群における時間の関数としての平均レボドパ濃度を示す。
【0251】
【表2】

【0252】
【表3】

【0253】
【表4】

【0254】
実施例11
生体内十二指腸吸収
【0255】
9匹のラットを無作為に3つの試験群とした(n=3)。食塩水ビヒクル中のレボドパ又は実施例1に記載される通りに製造されるレボドパ−ラウリルサルフェート錯体をラットの十二指腸の初めの部分中に、ラット当たり2mgのレボドパ又はラット当たり2mgのレボドパラウリルサルフェートの投薬量で挿管した。残りの試験群に0.4mg/kgのレボドパを静脈内で与えた。
【0256】
3もしくは4時間に及んで各動物から血液試料を採取し、レボドパ含有量に関して分析した。結果を表D〜F及び図10に示す。
【0257】
【表5】

【0258】
【表6】

【0259】
【表7】

【図面の簡単な説明】
【0260】
【図1】G.I.管の上皮を介する薬剤の2つの輸送経路を示す胃腸管の上皮の図。
【図2】液体の浸透性投薬形態物の図。
【図3】液体の浸透性投薬形態物の図。
【図4】浸透性投薬形態物の図。
【図5】3−層浸透性投薬形態物の図。
【図6】要素浸透性ポンプ投薬形態物の図。
【図7A】制御放出投薬形態物の図。
【図7B】制御放出投薬形態物の図。
【図7C】制御放出投薬形態物の図。
【図8】本発明に従う投薬形態物の放出分布を示すグラフ。
【図9】本発明に従うレボドパ及びレボドパ錯体に関する血漿濃度のプロット。
【図10】本発明に従うレボドパ及びレボドパ錯体に関する血漿濃度のプロット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レボドパ(levodopa)及び輸送部分を含んでなる錯体
を含んでなる物質。
【請求項2】
輸送部分がアルキルサルフェート塩を含んでなる請求項1の物質。
【請求項3】
アルキルサルフェート塩がラウリル硫酸ナトリウムを含んでなる請求項2の物質。
【請求項4】
請求項1の物質及び製薬学的に許容され得る担体
を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項5】
請求項4の製薬学的組成物を含んでなる経口用投薬形態物。
【請求項6】
経口用投薬形態物がさらにカルビドパ(carbidopa)を含んでなる請求項5の経口用投薬形態物。
【請求項7】
経口用投薬形態物がさらにカルビドパ錯体を含んでなる請求項5の経口用投薬形態物。
【請求項8】
経口用投薬形態物が経口用制御送達投薬形態物を含んでなる請求項5の経口用投薬形態物。
【請求項9】
経口用投薬形態物が浸透性経口用制御送達投薬形態物を含んでなる請求項8の経口用投薬形態物。
【請求項10】
浸透性経口用制御送達投薬形態物が固体の浸透性経口用制御送達投薬形態物を含んでなる請求項9の経口用投薬形態物。
【請求項11】
固体の浸透性経口用制御送達投薬形態物がさらにカルビドパを含んでなる請求項10の経口用投薬形態物。
【請求項12】
固体の浸透性経口用制御送達投薬形態物がさらにカルビドパ錯体を含んでなる請求項10の経口用投薬形態物。
【請求項13】
浸透性経口用制御送達投薬形態物が液体の浸透性経口用制御送達投薬形態物を含んでなる請求項9の経口用投薬形態物。
【請求項14】
液体の浸透性経口用制御送達投薬形態物がさらにカルビドパを含んでなる請求項13の経口用投薬形態物。
【請求項15】
液体の浸透性経口用制御送達投薬形態物がさらにカルビドパ錯体を含んでなる請求項13の経口用投薬形態物。
【請求項16】
請求項5の経口用投薬形態物を患者に投与する
ことを含んでなる方法。
【請求項17】
請求項6の経口用投薬形態物を患者に投与する
ことを含んでなる方法。
【請求項18】
請求項7の経口用投薬形態物を患者に投与する
ことを含んでなる方法。
【請求項19】
請求項8の経口用投薬形態物を患者に投与する
ことを含んでなる方法。
【請求項20】
請求項9の経口用投薬形態物を患者に投与する
ことを含んでなる方法。
【請求項21】
請求項10の経口用投薬形態物を患者に投与する
ことを含んでなる方法。
【請求項22】
請求項11の経口用投薬形態物を患者に投与する
ことを含んでなる方法。
【請求項23】
請求項12の経口用投薬形態物を患者に投与する
ことを含んでなる方法。
【請求項24】
請求項13の経口用投薬形態物を患者に投与する
ことを含んでなる方法。
【請求項25】
請求項14の経口用投薬形態物を患者に投与する
ことを含んでなる方法。
【請求項26】
請求項15の経口用投薬形態物を患者に投与する
ことを含んでなる方法。
【請求項27】
制御送達投薬形態物が約0〜約4時間内に約0重量%〜約20重量%、約0〜約8時間内に約20重量%〜約50重量%、約0〜約14時間内に約55重量%〜約85重量%及び約0〜約24時間内に約80重量%〜約100重量%の送達投薬量パターンで物質を制御可能的に送達する請求項8の経口用投薬形態物。
【請求項28】
制御送達投薬形態物が約0〜約4時間内に約0重量%〜約20重量%、約0〜約8時間内に約20重量%〜約50重量%、約0〜約14時間内に約55重量%〜約85重量%及び約0〜約20時間内に約80重量%〜約100重量%の送達投薬量パターンで物質を制御可能的に送達する請求項8の経口用投薬形態物。
【請求項29】
制御送達投薬形態物が約0〜約2時間内に約0重量%〜約20重量%、約0〜約4時間内に約20重量%〜約50重量%、約0〜約7時間内に約55重量%〜約85重量%及び約0〜約8時間内に約80重量%〜約100重量%の送達投薬量パターンで物質を制御可能的に送達する請求項8の経口用投薬形態物。
【請求項30】
アルキルサルフェート塩を準備し;
アルキルサルフェート塩をアルキルサルフェートの酸形態に転換し;
レボドパをアルキルサルフェートの酸形態と接触させてレボドパ−アルキルサルフェート錯体を形成せしめ;そして
錯体を単離する
ことを含んでなる方法。
【請求項31】
アルキルサルフェート塩がラウリル硫酸ナトリウムを含んでなる請求項30の方法。
【請求項32】
イオン交換法を用いてアルキルサルフェート塩のアルキルサルフェートの酸形態への転換を行なう請求項30の方法。
【請求項33】
カルビドパ及び輸送部分を含んでなる錯体
を含んでなる物質。
【請求項34】
輸送部分がアルキルサルフェート塩を含んでなる請求項33の物質。
【請求項35】
アルキルサリフェート塩がラウリル硫酸ナトリウムを含んでなる請求項34の物質。
【請求項36】
請求項33の物質及び製薬学的に許容され得る担体
を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項37】
請求項36の製薬学的組成物を含んでなる経口用投薬形態物。
【請求項38】
経口用投薬形態物がさらにレポドパを含んでなる請求項37の経口用投薬形態物。
【請求項39】
経口用投薬形態物がさらにレポドパ錯体を含んでなる請求項37の経口用投薬形態物。
【請求項40】
経口用投薬形態物が制御送達経口用投薬形態物を含んでなる請求項37の経口用投薬形態物。
【請求項41】
経口用投薬形態物が浸透性制御送達経口用投薬形態物を含んでなる請求項40の経口用投薬形態物。
【請求項42】
浸透性制御送達経口用投薬形態物が固体の浸透性制御送達経口用投薬形態物を含んでなる請求項41の経口用投薬形態物。
【請求項43】
固体の浸透性制御送達経口用投薬形態物がさらにレボドパを含んでなる請求項42の経口用投薬形態物。
【請求項44】
固体の浸透性制御送達経口用投薬形態物がさらにレボドパ錯体を含んでなる請求項42の経口用投薬形態物。
【請求項45】
浸透性制御送達経口用投薬形態物が液体の浸透性制御送達経口用投薬形態物を含んでなる請求項39の経口用投薬形態物。
【請求項46】
液体の浸透性制御送達経口用投薬形態物がさらにレボドパを含んでなる請求項45の経口用投薬形態物。
【請求項47】
液体の浸透性制御送達経口用投薬形態物がさらにレボドパ錯体を含んでなる請求項45の経口用投薬形態物。
【請求項48】
請求項37の経口用投薬形態物を患者に投与する
ことを含んでなる方法。
【請求項49】
請求項38の経口用投薬形態物を患者に投与する
ことを含んでなる方法。
【請求項50】
請求項39の経口用投薬形態物を患者に投与する
ことを含んでなる方法。
【請求項51】
請求項40の経口用投薬形態物を患者に投与する
ことを含んでなる方法。
【請求項52】
請求項41の経口用投薬形態物を患者に投与する
ことを含んでなる方法。
【請求項53】
請求項42の経口用投薬形態物を患者に投与する
ことを含んでなる方法。
【請求項54】
請求項43の経口用投薬形態物を患者に投与する
ことを含んでなる方法。
【請求項55】
請求項44の経口用投薬形態物を患者に投与する
ことを含んでなる方法。
【請求項56】
請求項45の経口用投薬形態物を患者に投与する
ことを含んでなる方法。
【請求項57】
請求項46の経口用投薬形態物を患者に投与する
ことを含んでなる方法。
【請求項58】
請求項47の経口用投薬形態物を患者に投与する
ことを含んでなる方法。
【請求項59】
制御送達投薬形態物が約0〜約4時間内に約0重量%〜約20重量%、約0〜約8時間内に約20重量%〜約50重量%、約0〜約14時間内に約55重量%〜約85重量%及び約0〜約24時間内に約80重量%〜約100重量%の送達投薬量パターンで物質を制御可能的に送達する請求項40の経口用投薬形態物。
【請求項60】
制御送達投薬形態物が約0〜約4時間内に約0重量%〜約20重量%、約0〜約8時間内に約20重量%〜約50重量%、約0〜約14時間内に約55重量%〜約85重量%及び約0〜約20時間内に約80重量%〜約100重量%の送達投薬量パターンで物質を制御可能的に送達する請求項40の経口用投薬形態物。
【請求項61】
制御送達投薬形態物が約0〜約2時間内に約0重量%〜約20重量%、約0〜約4時間内に約20重量%〜約50重量%、約0〜約7時間内に約55重量%〜約85重量%及び約0〜約8時間内に約80重量%〜約100重量%の送達投薬量パターンで物質を制御可能的に送達する請求項40の経口用投薬形態物。
【請求項62】
アルキルサルフェート塩を準備し;
アルキルサルフェート塩をアルキルサルフェートの酸形態に転換し;
カルビドパをアルキルサルフェートの酸形態と接触させてレボドパ−アルキルサルフェート錯体を形成せしめ;そして
錯体を単離する
ことを含んでなる方法。
【請求項63】
アルキルサルフェート塩がラウリル硫酸ナトリウムを含んでなる請求項62の方法。
【請求項64】
イオン交換法を用いてアルキルサルフェート塩のアルキルサルフェートの酸形態への転換を行なう請求項63の方法。
【請求項65】
(i)レボドパを含んでなる物質及びカルビドパを含んでなる物質を制御可能的に送達する構造を含んでなる経口用制御送達投薬構造を含んでなる経口用投薬形態物であって;制御送達投薬構造はレボドパを含んでなる物質の少なくとも一部及びカルビドパを含んでなる物質の少なくとも一部を含有し;且つ
制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部及びカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に:
a.約236〜約988ng/mLの範囲のレボドパCmaxを与え、
b.約3676〜約15808h・ng/mLのレボドパAUCを与え、且つ
c.少なくとも約10時間の持続時間のウィンドウを通じてレボドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるレボドパ血漿薬剤濃度を保持し、
d.約1〜約500ng/ml μモル/Lの範囲のカルビドパCmaxを与え、
e.約20000〜約200000h・ng/mLのカルビドパAUCを与え、且つ
f.少なくとも約10時間の持続時間のウィンドウを通じてカルビドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるカルビドパ血漿薬剤濃度を保持する
のに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる経口用投薬形態物。
【請求項66】
レボドパを含んでなる物質が:
レボドパ錯体
を含んでなる請求項65の経口用投薬形態物。
【請求項67】
レボドパを含んでなる物質が:
レボドパプロドラッグ
を含んでなる請求項65の経口用投薬形態物。
【請求項68】
カルビドパを含んでなる物質が:
カルビドパ錯体
を含んでなる請求項65の経口用投薬形態物。
【請求項69】
カルビドパを含んでなる物質が:
カルビドパプロドラッグ
を含んでなる請求項65の経口用投薬形態物。
【請求項70】
制御送達投薬構造が、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約12時間の持続時間のウィンドウを通じてCmaxの少なくとも約15パーセントであるレボドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる請求項65の経口用投薬形態物。
【請求項71】
制御送達投薬構造が、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約16時間の持続時間のウィンドウを通じてCmaxの少なくとも約15パーセントであるレボドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる請求項70の経口用投薬形態物。
【請求項72】
制御送達投薬構造が、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約18時間の持続時間のウィンドウを通じてCmaxの少なくとも約15パーセントであるレボドパ血漿薬剤濃度を保持す
るのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる請求項71の経口用投薬形態物。
【請求項73】
制御送達投薬構造が、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約20時間の持続時間のウィンドウを通じてCmaxの少なくとも約15パーセントであるレボドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる請求項72の経口用投薬形態物。
【請求項74】
制御送達投薬構造が、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約12時間の持続時間のウィンドウを通じてCmaxの少なくとも約15パーセントであるカルビドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる請求項65の経口用投薬形態物。
【請求項75】
制御送達投薬構造が、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約16時間の持続時間のウィンドウを通じてCmaxの少なくとも約15パーセントであるカルビドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる請求項74の経口用投薬形態物。
【請求項76】
制御送達投薬構造が、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約18時間の持続時間のウィンドウを通じてCmaxの少なくとも約15パーセントであるカルビドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる請求項75の経口用投薬形態物。
【請求項77】
制御送達投薬構造が、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約20時間の持続時間のウィンドウを通じてCmaxの少なくとも約15パーセントであるカルビドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる請求項76の経口用投薬形態物。
【請求項78】
レボドパを含んでなる物質を制御可能的に送達する構造を含んでなる経口用制御送達投薬構造を含んでなる経口用制御送達投薬形態物であって;
制御送達投薬構造はレボドパを含んでなる物質の少なくとも一部を含有し;且つ
制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約6時間の持続時間のウィンドウの間、実質的にゼロ次(zero order)のレボドパ血漿分布(levodopa plasma profile)を与えるのに有効な上昇放出速度で制御可能的に送達するように適応させられる経口用制御送達投薬形態物。
【請求項79】
制御送達投薬構造が、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約12時間の持続時間のウィンドウの間、実質的にゼロ次のレボドパ血漿分布を与えるのに有効な上昇放出速度で制御可能的に送達するように適応させられる請求項78の経口用制御送達投薬形態物。
【請求項80】
制御送達投薬構造が、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約16時間の持続時間のウィンドウの間、実質的にゼロ次のレボドパ血漿分布を与えるのに有効な上昇放出速度で制御可能的に送達するように適応させられる請求項79の経口用制御送達投薬形態物。
【請求項81】
レボドパを含んでなる物質が:
レボドパ錯体
を含んでなる請求項78の経口用投薬形態物。
【請求項82】
レボドパを含んでなる物質が:
レボドパプロドラッグ
を含んでなる請求項78の経口用投薬形態物。
【請求項83】
カルビドパを含んでなる物質を制御可能的に送達する構造を含んでなる経口用制御送達投薬構造をさらに含んでなり;
ここで制御送達投薬構造はカルビドパを含んでなる物質の少なくとも一部を含有し;且つここで制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約6時間の持続時間のウィンドウの間、実質的にゼロ次のカルビドパ血漿分布を与えるのに有効な上昇放出速度で制御可能的に送達するように適応させられる請求項78の経口用制御送達投薬形態物。
【請求項84】
制御送達投薬構造が、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約12時間の持続時間のウィンドウの間、実質的にゼロ次のカルビドパ血漿分布を与えるのに有効な上昇放出速度で制御可能的に送達するように適応させられる請求項83の経口用制御送達投薬形態物。
【請求項85】
制御送達投薬構造が、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約16時間の持続時間のウィンドウの間、実質的にゼロ次のカルビドパ血漿分布を与えるのに有効な上昇放出速度で制御可能的に送達するように適応させられる請求項84の経口用制御送達投薬形態物。
【請求項86】
カルビドパを含んでなる物質が:
カルビドパ錯体
を含んでなる請求項83の経口用投薬形態物。
【請求項87】
カルビドパを含んでなる物質が:
カルビドパプロドラッグ
を含んでなる請求項83の経口用投薬形態物。
【請求項88】
レボドパ;
アルキルサルフェート塩;及び
製薬学的に許容され得る担体
を含んでなる組成物。
【請求項89】
アルキルサルフェート塩がラウリル硫酸ナトリウムを含んでなる請求項88の組成物。
【請求項90】
請求項88の製薬学的組成物を含んでなる経口用投薬形態物。
【請求項91】
経口用投薬形態物がさらにカルビドパを含んでなる請求項90の経口用投薬形態物。
【請求項92】
(i)レボドパを含んでなる物質を制御可能的に送達する構造を含んでなる経口用制御送達投薬構造を含んでなる経口用投薬形態物であって;
制御送達投薬構造はレボドパを含んでなる物質の少なくとも一部を含有し;且つ
制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に:
a.約236〜約988ng/mLの範囲のレボドパCmaxを与え、
b.約3676〜約15808h・ng/mLのレボドパAUCを与え、且つ
c.少なくとも約10時間の持続時間のウィンドウを通じてレボドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるレボドパ血漿薬剤濃度を保持する
のに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる経口用投薬形態物。
【請求項93】
レボドパを含んでなる物質が:
レボドパ錯体
を含んでなる請求項92の経口用投薬形態物。
【請求項94】
レボドパを含んでなる物質が:
レボドパプロドラッグ
を含んでなる請求項92の経口用投薬形態物。
【請求項95】
制御送達投薬構造が、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約12時間の持続時間のウィンドウを通じてレボドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるレボドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる請求項92の経口用投薬形態物。
【請求項96】
制御送達投薬構造が、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約16時間の持続時間のウィンドウを通じてレボドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるレボドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる請求項92の経口用投薬形態物。
【請求項97】
制御送達投薬構造が、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約18時間の持続時間のウィンドウを通じてレボドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるレボドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる請求項92の経口用投薬形態物。
【請求項98】
制御送達投薬構造が、制御送達投薬構造が含有するレボドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約20時間の持続時間のウィンドウを通じてレボドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるレボドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる請求項92の経口用投薬形態物。
【請求項99】
(i)カルビドパを含んでなる物質を制御可能的に送達する構造を含んでなる経口用制御送達投薬構造を含んでなる経口用投薬形態物であって;
制御送達投薬構造はカルビドパを含んでなる物質の少なくとも一部を含有し;且つ
制御送達投薬構造は、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に:
a.約1〜約500ng/ml μモル/Lの範囲のカルビドパCmaxを与え、
b.約20000〜約200000h・ng/mLのカルビドパAUCを与え、且つ
c.少なくとも約10時間の持続時間のウィンドウを通じてカルビドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるカルビドパ血漿薬剤濃度を保持する
のに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる経口用投薬形態物。
【請求項100】
カルビドパを含んでなる物質が:
カルビドパ錯体
を含んでなる請求項99の経口用投薬形態物。
【請求項101】
カルビドパを含んでなる物質が:
カルビドパプロドラッグ
を含んでなる請求項99の経口用投薬形態物。
【請求項102】
制御送達投薬構造が、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約12時間の持続時間のウィンドウを通じてカルビドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるカルビドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる請求項99の経口用投薬形態物。
【請求項103】
制御送達投薬構造が、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約16時間の持続時間のウィンドウを通じてカルビドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるカルビドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる請求項99の経口用投薬形態物。
【請求項104】
制御送達投薬構造が、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約18時間の持続時間のウィンドウを通じてカルビドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるカルビドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる請求項99の経口用投薬形態物。
【請求項105】
制御送達投薬構造が、制御送達投薬構造が含有するカルビドパを含んでなる物質の一部を、患者への投薬形態物の1回の投与の後に、少なくとも約20時間の持続時間のウィンドウを通じてカルビドパCmaxの少なくとも約15パーセントであるカルビドパ血漿薬剤濃度を保持するのに有効な速度で制御可能的に送達するように適応させられる請求項99の経口用投薬形態物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−509972(P2007−509972A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538322(P2006−538322)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/036039
【国際公開番号】WO2005/041924
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】