説明

レンズユニットおよびバーコードスキャナ

【課題】複数のレンズを結合させたレンズユニットを提供する。
【解決手段】
同一形状のレンズ10を結合させたレンズユニット1である。レンズ10は、光学機能部11と、光学機能部11の外周11aを囲むフランジ部12と、フランジ部12の外周面13の一部が第1の軸101の方向に突出したゲート部14とを備えている。第1のレンズ10aおよび第2のレンズ10bは、第1のレンズ10aの第1の凸部31と第2のレンズ10bの第1の凹部41、第1のレンズ10aの第1の凹部41と第2のレンズ10bの第1の凸部31、第1のレンズ10aの第2の凸部32と第2のレンズ10bの第2の凹部42、および第1のレンズ10aの第2の凹部42と第2のレンズ10bの第2の凸部32とが組み合わされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレンズを備えたレンズユニットおよびそれを搭載したバーコードスキャナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レンズ同士の相対的な光軸の傾きを低減できると共に、レンズを鏡筒内に確実に保持でき、光学特性の低下やばらつきの発生を抑止できるレンズユニットおよびカメラモジュールを提供することが記載されている。そのため、特許文献1には、第1のレンズのフランジ部の外周が鏡筒に非接触であり、第2のレンズは、フランジ部の外周が鏡筒に接触することにより鏡筒に対して径方向の位置決めがされ、第1のレンズのフランジ部の接触部分と、第2のレンズのフランジ部の接触部分とが互いに接触して、第1のレンズのレンズ部と第2のレンズのレンズ部との間隔が決まり、上記第2のレンズによって第1のレンズのフランジ部が押される位置(凸部の端面)よりも、位置決め部の受け部の位置を半径方向内側に配置することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−139702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物体側からの光を結像させるレンズユニットに用いられるレンズ枚数は、コストおよびサイズを考えれば少ないことが望ましい。しかしながら、諸収差を補正するために複数のレンズが用いられており、それぞれのレンズを製造し、各レンズを鏡筒などに入れて組み合わせ、さらに、光軸の位置合わせを行う、という手法が採用されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様の1つは、同一形状の複数のレンズを含み、複数のレンズを光軸に沿って並べたレンズユニットである。複数のレンズのそれぞれは、入射する光の結像に寄与する光学機能部と、光学機能部の外周を囲むフランジ部であって、隣接する他のレンズと相互に接する接合面を含むフランジ部とを有する。フランジ部は、接合面に対して突出した第1の凸部および第2の凸部と、接合面に対して窪んだ第1の凹部および第2の凹部とを含む。第1の凹部および第2の凹部は、それぞれ、第1の凸部および第2の凸部に対して光軸に直交する第1の軸の周りに180度回転対称の位置に設けられており、第1の凹部および第2の凹部のそれぞれに隣接する他のレンズの第1の凸部および第2の凸部が挿入され、複数のレンズがそれぞれのフランジ部の接合面を介して結合されている。
【0006】
このレンズユニットにおいては、同一形状のそれぞれのレンズの第1の凸部と第1の凹部、第2の凸部と第2の凹部とを組み合わせることにより簡単に複数のレンズを結合でき、1つのレンズユニットを提供できる。さらに、隣接するそれぞれのレンズは、第1の凸部、第1の凹部、第2の凸部および第2の凹部の4箇所において組み合わされるので、結合するだけで自動的に隣接するそれぞれのレンズの光軸を位置合わせできる。さらに、このレンズは、同一形状の複数のレンズを製造する際に同一形状の金型を用いることができる。このため、単一のレンズを製造する場合と同様の、あるいはそれに近い手間と低コストとにより、複数のレンズを備えた諸収差の補正能力の高いレンズユニットを製造し、提供できる。
【0007】
複数のレンズのそれぞれは樹脂製であり、さらに、成形時に樹脂が流入したゲート部であって、フランジ部の外周面の一部が第1の軸の方向に突出するゲート部を有することが望ましい。ゲート部の位置を第1の軸の方向に揃えることができるので、他の機器、たとえば、バーコードスキャナに組み込む際の占有スペースを小さくでき、スペース効率の高いレンズユニットを提供できる。
【0008】
このレンズユニットにおいては、第1の凸部、第1の凹部、第2の凸部、および第2の凹部は、この順番で光軸の周りに90度間隔で配置されていることが望ましい。隣接するそれぞれのレンズを組み合わせる4箇所が90度間隔で配置されているため、各レンズを強固に結合しやすい。
【0009】
隣接する他のレンズは、相互に第1の軸の周りに180度回転して並べられていることが望ましい。隣接するそれぞれのレンズを、第1の軸の周りに180度回転させて組み立てることができる。したがって、金型に公差の範囲で何らかの片寄りがあり、成形されたレンズにゲート部を中心とした微妙な性能のアンバランスがある場合であっても、複数のレンズを180度回転させて組み立てることによりアンバランスをキャンセルでき、さらに収差補正能力の高いレンズユニットを提供できる。複数のレンズのそれぞれのフランジ部は、光軸に沿った両側に接合面を含むものであってもよい。
【0010】
本発明の異なる態様の1つは、上記レンズユニットと、レンズユニットにより集光された光を結像させ電気信号に変換する撮像ユニットとを有するバーコードスキャナである。
【0011】
本発明のさらに異なる態様の1つは、同一形状の他のレンズとともに光軸に沿って並べられるレンズである。このレンズは、入射する光の結像に寄与する光学機能部と、光学機能部の外周を囲むフランジ部であって、隣接する他のレンズと相互に接する接合面を含むフランジ部とを有する。フランジ部は、接合面に対して突出した第1の凸部および第2の凸部と、接合面に対して窪んだ第1の凹部および第2の凹部とを含む。第1の凹部および第2の凹部は、それぞれ、第1の凸部および第2の凸部に対して光軸に直交する第1の軸の周りに180度回転対称の位置に設けられている。このレンズは樹脂製であり、さらに、レンズの成形時に樹脂が流入したゲート部であって、フランジ部の外周面の一部が第1の軸の方向に突出するゲート部を有することが望ましい。第1の凸部、第1の凹部、第2の凸部、および第2の凹部は、この順番で光軸の周りに90度間隔で配置されていることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】レンズユニットを搭載したバーコードスキャナの概要を模式的に示した図。
【図2】レンズユニットの概要を示した図。
【図3】レンズユニットを、レンズユニットを構成するレンズに分解して示した図。
【図4】図4(a)は図3に示すレンズの平面図、図4(b)は正面図、図4(c)は背面図、図4(d)はd−d断面図、図4(e)は右側面図、図4(f)は斜視図。
【図5】異なるレンズユニットを、レンズユニットを構成するレンズに分解して示した図。
【図6】さらに異なるレンズユニットを、レンズユニットを構成するレンズに分解して示した図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に、本発明に係るレンズユニット1を搭載したバーコードスキャナ(リーダ)100の概要を模式的に示している。バーコードスキャナ100は、レンズユニット1と、レンズユニット1を取り付けた鏡筒(レンズホルダ)2と、鏡筒2を保持するハウジング(ボディー)3とを備えている。レンズユニット1は、ハウジング3に直に取り付けることも可能であり、この場合、鏡筒2を省くことができる。さらに、バーコードスキャナ100は、バーコード(コードラベル)90に光を照射する投光ユニット4と、バーコード90から反射した光をレンズユニット1に導くミラー5と、レンズユニット1により結像させた像を電気信号(画像データ)に変換するCCDやCMOSなどの撮像ユニット(撮像素子、イメージセンサー)6と、撮像ユニット6の画像データを取り込みバーコード90の解析(読み取り)を行うCPUなどの処理ユニット7と、処理ユニット7の解析情報を記憶するメモリ8とを備えており、これらはハウジング3の内部に収納されている。
【0014】
レンズユニット1は、物体側100aに配置された第1のレンズ10aと、結像側100bに配置された第2のレンズ10bとを備えている。第1のレンズ10aおよび第2のレンズ10bは同一形状である。このため、以降において、第1のレンズ10aおよび第2のレンズ10bに共通する構成を説明するときはレンズ10と呼ぶことにする。レンズユニット1は、レンズ10aおよび10bのそれぞれのゲート部14が同一方向に向くように組み立てられており、ゲート部14を鏡筒2の凹部2aに嵌め込んだり、接着剤などで接着することにより固定されている。なお、レンズユニット1の固定方法はこれに限定されない。
【0015】
図2に、レンズユニット1の概要を斜視図により示している。レンズユニット1は、物体側100aに凸面を向けた第1のレンズ10aと、結像側100bに凸面を向けた第2のレンズ10bとが光軸99に沿って対向するように配置されている。
【0016】
図3に、レンズユニット1を、レンズユニット1を構成する第1のレンズ10aと第2のレンズ10bとに分解(分離)した状態を斜視図により示している。図4(a)〜(f)に、レンズ10単体を各方向から見た様子を示しており、図4(a)は平面図、図4(b)は物体側100aから見た正面図、図4(c)は結像側100bから見た背面図、図4(d)は図4(c)のd−d断面図、図4(e)は右側面図、図4(f)は結像側100bから見た斜視図である。
【0017】
図3に示すように、第1のレンズ10aおよび第2のレンズ10bは、同一形状の樹脂製のレンズ10である。レンズ10は、一方の側(たとえば物体側)100aから入射する光を他方の側(たとえば結像側)100bに出射し、入射する光の結像に寄与する光学機能部11と、光学機能部11の外周11aを囲むフランジ部12と、フランジ部12の外周面13の一部が光軸99に直交する第1の軸101の方向に突出したゲート(コバ)部14とを備えている。
【0018】
さらに、レンズ10のフランジ部12は、隣接する他のレンズのフランジ部12、すなわち、第1のレンズ10aのフランジ部12と第2のレンズ10bのフランジ部12とが相互に接する接合面25を備えている。このレンズ10においては、接合面25は光軸99の方向の一方の面(第1の面)21に形成されており、一方のレンズ10、たとえば、第2のレンズ10bを第1のレンズ10aに対して180度回転させて、接合面25同士が対向するようにして組み合わせることによりレンズユニット1を構成できる。
【0019】
レンズ10は、光軸99の方向に延びた全体として八角柱状であり、中心の円柱状の領域が光学機能部11に割り当てられ、その周囲がフランジ部12に割り当てられている。したがって、フランジ部12の外周形状は八角形となっており、フランジ部12の8つの外周面13の一面(上面)13aの一部が、第1の軸101の方向に突出して四角柱状のゲート部14となっている。ゲート部14は、レンズ10を射出成形により製造する際に、溶融状態のプラスチック樹脂が金型(キャビティ)の入口(充填口)の形状に沿って冷却固化することにより形成されたもの(跡)である。
【0020】
フランジ部12の第1の面21には、さらに、接合面25に対して突出した第1の凸部31および第2の凸部32と、接合面25に対して窪んだ第1の凹部41および第2の凹部42とが設けられている。
【0021】
図3、図4(c)および図4(f)に示すように、第1の凹部41は、第1の凸部31に対して光軸99に直交する第1の軸101の周りに180度回転対称の位置に設けられており、同様に、第2の凹部42は、第2の凸部32に対して光軸99に直交する第1の軸101の周りに180度回転対称の位置に設けられている。さらに、第1の凸部31、第1の凹部41、第2の凸部32、および第2の凹部42は、八角形状の第1の面21の外周を形成する8辺のうち4辺を占有する4箇所21a、21b、21cおよび21dに、この順番で光軸99の周りに90度間隔で配置されている。なお、第1の凸部31、第1の凹部41、第2の凸部32、および第2の凹部42は、第1の面21の外周を占有しない位置、すなわちフランジ部12の中央や光学機能部11の側に配置されていてもよい。以降の実施形態においても同様である。
【0022】
このため、第1のレンズ10aの第1の凸部31と第2のレンズ10bの第1の凹部41、第1のレンズ10aの第1の凹部41と第2のレンズ10bの第1の凸部31、第1のレンズ10aの第2の凸部32と第2のレンズ10bの第2の凹部42、および第1のレンズ10aの第2の凹部42と第2のレンズ10bの第2の凸部32とが組み(嵌め)合わされることにより、図2に示すような2つのレンズ10がそれぞれのフランジ部12の接合面25を介して結合されたレンズユニット1を構成できる。
【0023】
図2に示すように、第1のレンズ10aと第2のレンズ10bとは、第1の面21の接合面25同士が接触しており、組み合わされた第1の凸部31および第1の凹部41の間の空間(隙間)51と、第2の凸部32および第2の凹部42の間の空間52とに接着剤(UV硬化樹脂)50を注入(塗布)し、紫外線を照射して硬化させることにより固定されている。
【0024】
このレンズユニット1においては、第1のレンズ10aおよび第2のレンズ10bの接合面25同士を接触させることにより、両レンズ間の光軸99の方向の距離が設計された値に決定される。したがって、2つのレンズ10aおよび10bを上記のように組み合わせるだけで複数のレンズ10aおよび10bを備えた光学系が形成され、設計に従った光学系の性能が発揮される。すなわち、複数のレンズ10aおよび10bを備えた諸収差の補正性能の高いレンズユニット1を提供できる。
【0025】
さらに、第1の凸部31と第1の凹部41、第2の凸部32と第2の凹部42との嵌め合いにより、4箇所21a〜21dで両レンズの光軸99が一致し、接合面25を接触させることで光学機能部11の光軸99に対する傾きも設計通りに決まる。このため、複数のレンズの光軸を微調整したり、レンズ間の距離を調整したりする必要はなく、設計に従った性能を発揮するレンズユニット1を提供できる。
【0026】
さらに、2つのレンズ10は、第1の軸101を中心に180度回転させて組み合わされているので、ゲート部14同士が光軸99の方向に対向するように組み合わされ、2つのゲート部14の位置を第1の軸101の方向に揃えることができる。このため、レンズユニット1をバーコードスキャナ100に組み込む際の占有スペースを小さくでき、スペース効率の高いレンズユニット1を提供できる。
【0027】
さらに、2つのレンズ10は、第1の軸101を中心に180度回転させて組み合わされているので、金型に公差の範囲で何らかの片寄りがあり、成形されたレンズ10にゲート部14を中心とした微妙な性能のアンバランスがある場合であっても、そのアンバランスをキャンセルでき、さらに収差補正能力の高いレンズユニット1を提供できる。
【0028】
さらに、このレンズユニット1は、同一形状の2つのレンズ10(10a、10b)を組み合わせることにより提供できるため、レンズ10を射出成形により製造する際に、同一形状の金型を用いることができる。このため、単一のレンズを製造する場合と同様の、あるいはそれに近い手間と低コストとにより、2つのレンズ10を備えた諸収差の補正能力の高いレンズユニット1を製造し、提供できる。
【0029】
さらに、このレンズユニット1においては、同一形状のレンズ10aおよび10bを組み合わせるだけではなく、図4(c)および図4(f)に示すように、第1のレンズ10aの結像側100bの光学機能部11には、光を通すための方形状の開口部18aを備えた絞り18が印刷(プリント)されている。このように、一方または両方のレンズ10に印刷などの簡単な方法で特定の機能を付与してから組み立てることも可能である。
【0030】
なお、光学機能部11は、正レンズ、負レンズのいずれであってもよく、両凸レンズ、両凹レンズ、メニスカス形状であってもよく、さらに、フレネルレンズ、シリンドリカルレンズなどの特殊な形状を備えたレンズであってもよい。本例のレンズ10の光学機能部11はメニスカス形状であり、第1のレンズ10aおよび第2のレンズ10bを組み合わせることによりフィールドレンズとしての機能を備えたレンズユニット1を構成できる。
【0031】
また、本例のレンズ10においては、第1の面21の4箇所21a〜21dに形成された第1の凸部31、第1の凹部41、第2の凸部32、および第2の凹部42は、光軸99の周りに凸凹凹凸の順番で配置されているが、たとえば、第1の凸部31と第1の凹部41との配置を入れ替えて凹凸凸凹の順番で配置したり、第2の凸部32と第2の凹部42との配置を入れ替えて凸凹凹凸の順番で配置したりすることも可能である。
【0032】
また、本例のレンズユニット1においては、印刷により絞りをもうけているが、第1のレンズ10aと第2のレンズ10bとの間に絞り板などを挟むことも可能である。以降の実施形態においても同様である。
【0033】
図5に、異なるレンズユニット1aを、レンズユニット1aを構成する第1のレンズ110aと第2のレンズ110bと第3のレンズ110cとに分解(分離)して斜視図により示している。なお、以降の実施形態において上記実施形態と共通の構成については、共通の符号を付して説明を省略する。
【0034】
レンズユニット1aは、物体側100aから結像側100bに向けて順に配置された第1のレンズ110aと、第2のレンズ110bと、第3のレンズ110cとを備えている。第1のレンズ110a、第2のレンズ110bおよび第3のレンズ110cも、同一形状の樹脂製で、第2のレンズ110bは、第1のレンズ110aに対してレンズ110を第1の軸101の周りに180度回転させたものであり、第3のレンズ110cは、第1のレンズ110aと同じ向きにレンズ110を配置したものである。
【0035】
図5に示すように、3つのレンズ110(110a、110b、110c)の基本的な構成はレンズ10と共通である。3つのレンズ110(110a、110b、110c)のフランジ部12は、光軸99の方向の他方の面(第2の面、第2の側)22に第1の凸部31および第2の凸部32と、第1の凹部41および第2の凹部42とを備えている。第1の凹部41および第2の凹部42は、それぞれ第1の凸部31および第2の凸部32の第1の軸101の周りの180度回転対称の位置に設けられている。したがって、第2の面(側)22の形状と第1の面(側)21の形状とは、第1の軸101を含む光軸99に垂直な面を中心として面対称である。さらに、レンズ110のフランジ部12は、一方の面(第1の面、第1の側)21だけでなく、他方の面(第2の面、第2の側)22にも接合面25を備えている。
【0036】
このため、第1のレンズ110aの第1の凸部31と第2のレンズ110bの第1の凹部41、第1のレンズ110aの第1の凹部41と第2のレンズ110bの第1の凸部31、第1のレンズ110aの第2の凸部32と第2のレンズ110bの第2の凹部42、および第1のレンズ110aの第2の凹部42と第2のレンズ110bの第2の凸部32とが組み合わされ、さらに、第2のレンズ110bおよび第3のレンズ110cも、同様に組み合わされることにより、3枚のレンズを含むレンズユニット1aを構成できる。4枚以上のレンズを含むレンズユニットも同様に構成できる。以降の実施形態においても同様である。
【0037】
このレンズユニット1aにおいても、3つのレンズ110(110a、110b、110c)の接合面25同士が接触することにより各レンズ間の距離(空気間隔)が決まり、光軸99も合致し、レンズ110の光軸99に対する角度も決まる。したがって、3枚以上のレンズを含むレンズユニットを簡単に構成でき、さらに、設計に従った諸性能を安定して備えたレンズユニットを提供できる。
【0038】
図6に、さらに異なるレンズユニット1bを、レンズユニット1bを構成する第1のレンズ120aと第2のレンズ120bと第3のレンズ120cとに分解(分離)して斜視図により示している。この例は、同一のレンズ120を第1の軸101の周りに180度回転させても、させなくても、複数のレンズを備えたレンズユニットを上記と同様に組み立てできるものである。
【0039】
レンズユニット1bは、物体側100aから結像側100bに向けて順に配置されたレンズ120を同じ向きで配置した第1のレンズ120aと、第2のレンズ120bと、第3のレンズ120cとを備えている。第1のレンズ120a、第2のレンズ120bおよび第3のレンズ120cも、同一形状の樹脂製である。
【0040】
図6に示すように、3つのレンズ120(120a、120b、120c)の基本的な構成はレンズ110と共通である。第2の面(側)22の形状と第1の面(側)21の形状とは、第1の軸101を中心として回転対称である。
【0041】
このため、第1のレンズ120aの第1の凸部31と第2のレンズ120bの第1の凹部41、第1のレンズ120aの第1の凹部41と第2のレンズ120bの第1の凸部31、第1のレンズ120aの第2の凸部32と第2のレンズ120bの第2の凹部42、および第1のレンズ120aの第2の凹部42と第2のレンズ120bの第2の凸部32とが組み合わされ、さらに、第2のレンズ120bおよび第3のレンズ120cも、同様に組み合わされることにより、レンズユニット1bを構成できる。
【0042】
このレンズユニット1bにおいても、3つのレンズ120(120a、120b、120c)の接合面25同士が接触することにより各レンズ間の距離(空気間隔)が決まり、光軸99も合致し、レンズ120の光軸99に対する角度も決まる。したがって、3枚以上のレンズを含むレンズユニットを簡単に構成でき、さらに、設計に従った諸性能を安定して備えたレンズユニットを提供できる。
【0043】
なお、本発明に係るレンズユニット1(1a、1b)は、バーコードスキャナ100に限らず、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの各種撮像装置や投射装置、その他の光学機器に搭載することができる。
【符号の説明】
【0044】
1、1a、1b レンズユニット
10、110、120 レンズ
31 第1の凸部、 32 第2の凸部
41 第1の凸部、 42 第2の凸部
100 バーコードスキャナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一形状の複数のレンズを含み、前記複数のレンズを光軸に沿って並べたレンズユニットであって、
前記複数のレンズのそれぞれは、
入射する光の結像に寄与する光学機能部と、
前記光学機能部の外周を囲むフランジ部であって、隣接する他のレンズと相互に接する接合面を含むフランジ部とを有し、
前記フランジ部は、前記接合面に対して突出した第1の凸部および第2の凸部と、前記接合面に対して窪んだ第1の凹部および第2の凹部とを含み、
前記第1の凹部および前記第2の凹部は、それぞれ、前記第1の凸部および前記第2の凸部に対して前記光軸に直交する第1の軸の周りに180度回転対称の位置に設けられており、前記第1の凹部および前記第2の凹部のそれぞれに前記隣接する他のレンズの前記第1の凸部および前記第2の凸部が挿入され、前記複数のレンズがそれぞれの前記フランジ部の前記接合面を介して結合されている、レンズユニット。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数のレンズのそれぞれは樹脂製であり、さらに、
成形時に樹脂が流入したゲート部であって、前記フランジ部の外周面の一部が前記第1の軸の方向に突出するゲート部を有する、レンズユニット。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1の凸部、前記第1の凹部、前記第2の凸部、および前記第2の凹部は、この順番で前記光軸の周りに90度間隔で配置されている、レンズユニット。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記隣接する他のレンズは、相互に前記第1の軸の周りに180度回転して並べられている、レンズユニット。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、
前記複数のレンズのそれぞれの前記フランジ部は、前記光軸に沿った両側に前記接合面を含む、レンズユニット。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のレンズユニットと、
前記レンズユニットにより集光された光を結像させ電気信号に変換する撮像ユニットとを有する、バーコードスキャナ。
【請求項7】
同一形状の他のレンズとともに光軸に沿って並べられるレンズであって、
入射する光の結像に寄与する光学機能部と、
前記光学機能部の外周を囲むフランジ部であって、隣接する他のレンズと相互に接する接合面を含むフランジ部とを有し、
前記フランジ部は、前記接合面に対して突出した第1の凸部および第2の凸部と、前記接合面に対して窪んだ第1の凹部および第2の凹部とを含み、
前記第1の凹部および前記第2の凹部は、それぞれ、前記第1の凸部および前記第2の凸部に対して前記光軸に直交する第1の軸の周りに180度回転対称の位置に設けられている、レンズ。
【請求項8】
請求項7において、
当該レンズは樹脂製であり、さらに、
当該レンズの成形時に樹脂が流入したゲート部であって、前記フランジ部の外周面の1部が前記第1の軸の方向に突出するゲート部を有する、レンズ。
【請求項9】
請求項7または8において、
前記第1の凸部、前記第1の凹部、前記第2の凸部、および前記第2の凹部は、この順番で前記光軸の周りに90度間隔で配置されている、レンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−128238(P2012−128238A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280386(P2010−280386)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000227364)日東光学株式会社 (151)
【Fターム(参考)】