説明

レンズ鏡筒および撮像装置

【課題】光学系の光路長を大きく確保しつつ撮像装置の小型化を図る。
【解決手段】光学系14は、対物レンズ20と、第1〜第3のプリズム22、24、26と、ズームレンズ28と、フォーカスレンズ30と、第1〜第3の固定レンズ32、34、36と、絞り機構38とを備え、被写体像を対物レンズ20を通して撮像素子18に導く第1〜第3の光路L1、L2、L3を有している。対物レンズ20から第1のプリズム22に至る光路部分により第1の光路L1が構成されている。第1のプリズム22から第2のプリズム24に至る光路部分により第2の光路L2が構成されている。第2のプリズム24から撮像素子18に至る光路部分により第3の光路L3が構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレンズ鏡筒および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
対物レンズとフォーカスレンズとズームレンズとを有する光学系が組み込まれたレンズ鏡筒において、光学系の光路を直角プリズムによって90度屈曲させたものが提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
このようなレンズ鏡筒では、光学系の光路を互いに直交する2つの光路で構成し、レンズ鏡筒の占有スペースの小型化を図っている。
【特許文献1】特開平8−248318号公報
【特許文献2】特開平10−20191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、近年、このようなレンズ鏡筒が組み込まれる撮像装置のコンパクト化が求められていることから、光学系の光路長が問題となり、ズーム倍率を確保するために必要なズームレンズやフォーカスレンズの移動ストロークを大きくとれない問題が生じている。
このような事情に鑑みなされたもので、その目的は光学系の光路長を大きく確保しつつ撮像装置の小型化を図る上で有利なレンズ鏡筒および撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するため、本発明のレンズ鏡筒は、被写体像を撮像素子に導く光学系と、上下の高さおよび左右幅を有し前記光学系および前記撮像素子を収容する鏡筒とを備えるレンズ鏡筒であって、前記光学系は、対物レンズと、第1の光路屈曲手段と、ズームレンズと、フォーカスレンズとを有し、前記撮像素子および前記対物レンズは前記鏡筒の上部に配置され、前記第1の光路屈曲手段は前記鏡筒の下部に配置され、前記光学系の光路は、前記対物レンズから下方に延在し前記対物レンズから前記第1の光路屈曲手段に至る第1の光路と、前記第1の光路屈曲手段により前記第1の光路の端部から前記鏡筒の幅方向に延在する第2の光路と、前記第1の光路屈曲手段により前記第2の光路の端部から上方に延在し前記撮像素子に至る第3の光路とで構成され、前記ズームレンズは第1の光路または第3の光路の一方に配置され、前記フォーカスレンズは前記第1の光路または第3の光路の他方に配置されていることを特徴とする。
また、本発明の撮像装置は、被写体像を撮像素子に導く光学系と、上下の高さおよび左右幅を有し前記光学系および前記撮像そしを収容し外装を構成するケースとを備える撮像装置であって、前記光学系は、対物レンズと、第1の光路屈曲手段と、ズームレンズと、フォーカスレンズとを有し、前記撮像素子および前記対物レンズは前記ケースの上部に配置され、前記第1の光路屈曲手段は前記ケースの下部に配置され、前記光学系の光路は、前記対物レンズから下方に延在し前記対物レンズから前記第1の光路屈曲手段に至る第1の光路と、前記第1の光路屈曲手段により前記第1の光路の端部から前記ケースの幅方向に延在する第2の光路と、前記第1の光路屈曲手段により前記第2の光路の端部から上方に延在し前記撮像素子に至る第3の光路とで構成され、前記ズームレンズは第1の光路または第3の光路の一方に配置され、前記フォーカスレンズは前記第1の光路または第3の光路の他方に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
そのため、本発明によれば、撮像素子および対物レンズは鏡筒の上部に配置され、第1の光路屈曲手段は鏡筒の下部に配置され、光学系の光路は、対物レンズから下方に延在し対物レンズから第1の光路屈曲手段に至る第1の光路と、第1の光路屈曲手段により第1の光路の端部から鏡筒の幅方向に延在する第2の光路と、第1の光路屈曲手段により第2の光路の端部から上方に延在し撮像素子に至る第3の光路とで構成され、光学系の光路が上下方向においてちょうど180度折り返されているため、光路長を確保しつつ鏡筒の上下方向の寸法を短縮できる。
そして、このように鏡筒の上下方向の寸法を短縮できることからケース内における鏡筒の上下方向の占有スペースを縮小でき、撮像装置の小型化を図る上で有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
光学系の光路長を大きく確保しつつ撮像装置の小型化を図るという目的を、光学系の光路を、対物レンズから下方に延在し対物レンズから第1の光路屈曲手段に至る第1の光路と、第1の光路屈曲手段により第1の光路の端部から鏡筒の幅方向に延在する第2の光路と、第1の光路屈曲手段により第2の光路の端部から上方に延在し撮像素子に至る第3の光路とで構成することによって実現した。
【実施例1】
【0007】
次に本発明の実施例1について図面を参照して説明する。
本実施例では、本発明のレンズ鏡筒が組み込まれた撮像装置について説明する。
図1は実施例1における撮像装置を前方から見た斜視図、図2は実施例1におけるレンズ鏡筒を前方から見た斜視図、図3は実施例1における光学系の構成を示す分解斜視図、図4は実施例1における鏡筒内部の構成を示す説明図、図5は実施例1における撮像装置の制御系を示すブロック図である。
図1に示すように、撮像装置100はデジタルスチルカメラであって、外装を構成する矩形板状のケース102を有し、ケース102は、前後方向の厚さと左右方向の幅と上下方向の高さを有している。なお、本明細書においてケース102の左右はケース102を前方から見た状態でいうものとする。
ケース102は前方に臨む前壁102A、後方に臨む後壁102B、上方に臨む上壁102C、下方に臨む102D、左右側方に臨む左右の側壁102E、102Fを有し、前壁102A、後壁102Bはそれぞれ上下および左右方向に延在し互いに平行している。
ケース102の右側部には、図中二点鎖線で示すように、本発明に係るレンズ鏡筒10が組み込まれている。レンズ鏡筒10は鏡筒12を有し、鏡筒12は全体として長さおよび幅並びに厚さを有し、その長さ方向を上下方向に向け、幅方向を左右方向に向け、厚さ方向を前後方向に向けてケース102に組み込まれている。
レンズ鏡筒10には、図5に示すように、撮像素子18と、被写体像を撮像素子に導く光学系14などが設けられている。光学系14は対物レンズ20を有し、対物レンズ20は鏡筒12の前壁12Aの上部に設けられている。対物レンズ20は、図1に示すように、レンズ鏡筒10がケース102に組み込まれた状態で、ケース102の前壁102Aに設けられたレンズ開口103を介してケース102の前方に臨んで配置される。
ケース102の前壁102Aのレンズ開口103の左側箇所には、撮影補助光を出射するフラッシュ104が設けられている。
ケース102の上壁102Cの左寄り箇所にはシャッタボタン106が設けられている。
ケース102の後壁102Bには、静止画および動画などの画像や文字や記号などが表示されるディスプレイ108(図5)、撮影光学系104のズーミング動作を行なわせるためのズームスイッチ、各種操作を行なうための十字スイッチや操作ボタン、撮像装置100を静止画撮影モード、動画撮影モード、再生・編集モードなどに切り替えるためのモードスイッチなどを含む操作スイッチ110(図5)が設けられている。
また、ケース102内で鏡筒12の左側方の箇所には、静止画あるいは動画などの画像などを記録するためのメモリカードなどの記憶媒体112(図5)を装脱可能に収容するメモリ収容室(不図示)、撮像装置100の電源を構成するバッテリーを装脱可能に収容するバッテリー収容室(不図示)、後述する画像処理部120、表示処理部122、制御部124を構成する回路基板などが収容されている。
【0008】
図5に示すように、撮像素子18は、光学系14によって結像された被写体像を撮像するCCDやCMOSセンサなどで構成されている。
撮像素子18で撮像された像は撮像信号として画像処理部120に出力され、画像処理部120ではこの撮像信号に基づいて静止画あるいは動画の画像データが生成され、記憶媒体112に記録される。また、前記画像データは表示処理部122によりディスプレイ108に表示される。
さらに、撮像装置100は、シャッタボタン106および各種操作スイッチ110の操作に応じて、画像処理部120、表示処理部122を制御するCPUなどを含む制御部124を備えている。
【0009】
図2、図4に示すように、鏡筒12は、全体として幅および長さ並びに厚さを有する平板形状を呈しており、鏡筒12は前壁12A、後壁12B、上壁12C、下壁12D、左右の側壁12E、12Fを有している。
そして、これら前壁12A、後壁12B、上壁12C、下壁12D、側壁12E、12Fによって画成される収容空間に光学系14が収容されている。
本実施例では、鏡筒12は、前壁12A、後壁12B、上壁12C、下壁12D、左右の側壁12E、12Fを、それぞれケース102の前壁102A、後壁102B、上壁102C、下壁102D、左右の側壁102E、102Fに平行させて配置されている。
図3、図4に示すように、光学系14は、対物レンズ20と、第1〜第3のプリズム22、24、26と、ズームレンズ28と、フォーカスレンズ30と、第1〜第3の固定レンズ32、34、36と、絞り機構38とを備えている。
また、光学系14は、被写体像を対物レンズ20を通して撮像素子18に導く第1〜第3の光路L1、L2、L3を有している。
さらに鏡筒12には、ズームレンズ28を移動させる第1の駆動機構40と、フォーカスレンズ30を移動させる第2の駆動機構42と、絞り機構38を駆動する第3の駆動機構44とが設けられている。
【0010】
撮像素子18および対物レンズ20は鏡筒12の上部に鏡筒12の幅方向に間隔をおいて設けられ、第1、第2のプリズム22、24は撮像素子18および対物レンズ20の下方で鏡筒12の下部に配置されている。
より詳細に説明すると、対物レンズ20は、鏡筒12の前壁12Aの上部に前方に向けて配置され、撮像素子18は、その受光面を下方に向けて鏡筒12の上壁12Cに取着されている。
対物レンズ20は開口103を介しケース12の前方に臨み、被写体像からの光線を入射光として前方から後方に集光して導くように構成されている。
第3のプリズム26は、対物レンズ20の後方に位置する鏡筒12内の箇所に配置され、対物レンズ20を通過した入射光を下方に90度屈曲させ第1のプリズム22に導くように構成されている。本実施例では、第3のプリズム26により第2の光路屈曲手段52が構成されている。
対物レンズ20から第1のプリズム22に至る光路部分により第1の光路L1が構成され、本実施例では、第1の光路L1は、対物レンズ20から第3のプリズム26に至る第4の光路L4と、第3のプリズム26により第4の光路L4の端部から下方に延在し第1のプリズム22に至る第5の光路L5とで構成されている。
第1のプリズム22は、第3のプリズム26から導かれた前記入射光を幅方向に90度屈曲させて第2のプリズム24に導くように構成されている。
第1のプリズム22から第2のプリズム24に至る光路部分により第2の光路L2が構成されている。
第2のプリズム24は、第1のプリズム22から導かれた前記入射光を上方に90度屈曲させて撮像素子18に導くように構成されている。
第2のプリズム24から撮像素子18に至る光路部分により第3の光路L3が構成されている。
本実施例では、第1、第2のプリズム22、24の2つのプリズムで第1の光路屈曲手段50が構成されている。
言い換えると、光学系14の光路は、対物レンズ20から下方に延在し対物レンズ20から第1のプリズム22(第1の光路屈曲手段50)に至る第1の光路L1と、第1のプリズム22(第1の光路屈曲手段50)により第1の光路L1の端部から鏡筒12の幅方向に延在する第2の光路L2と、第2のプリズム24(第1の光路屈曲手段50)により第2の光路L2の端部から上方に延在し撮像素子18に至る第3の光路L3とで構成されている。なお、第1の光路屈曲手段50を単一のプリズムで構成したり、他の光学部材を用いて構成するなど任意である。
【0011】
図3、図4に示すように、ズームレンズ28は、本実施例では複数のレンズが接合されて構成され、ズームレンズ枠2802に保持され光軸を第1の光路L1の光軸O1と一致させた状態で配置され、ズームレンズ枠2802は図示しないガイド機構によって第1の光路L1の光軸O1に沿って移動可能に支持されている。
フォーカスレンズ30は、本実施例では複数のレンズが接合されて構成され、ズームレンズ枠3002に保持され光軸を第3の光路L3の光軸O3と一致させた状態で配置され、ズームレンズ枠3002は図示しないガイド機構によって第3の光路L3の光軸O3に沿って移動可能に支持されている。
第1の固定レンズ32は、本実施例では1枚のレンズで構成され、第3のプリズム26とズームレンズ28の間でその光軸を第1の光路L1の光軸O1と一致させた状態で鏡筒12に固定されている。
第2の固定レンズ34は、本実施例では1枚のレンズで構成され、ズームレンズ28と第1のプリズム22の間でその光軸を第1の光路L1の光軸O1と一致させた状態で鏡筒12に固定されている。
第3の固定レンズ36は、本実施例では、複数のレンズが接合された2つのレンズ3602、3604で構成され、第2のプリズム24とフォーカスレンズ30の間でその光軸を第3の光路L3の光軸O3と一致させた状態で鏡筒12に固定されている。
絞り機構38は第1のプリズム22と第2のプリズム24の間に配置され、第2の光路L2の光軸O2上に位置するように鏡筒12に固定されている。絞り機構38は、第2の光路L2に沿って通過する前記入射光が通過する開口3802を有し、その開口3802の大きさを後述する第3の駆動機構44によって変化させることで開口3802を通過する前記入射光の光量を調節するように構成されている。絞り機構38の具体的な構成としては、例えば2枚のアイリス羽根によって開口3802を形成し、2枚のアイリス羽根を互いに接離させることで開口3802の大きさを可変するものを用いることができる。
第1の駆動機構40は、ズームレンズ枠2802およびズームレンズ28を第1の光路L1に沿って移動させるものであり、第1の光路L1と第3の光路L3との間の空間に配置され、前述した制御部124によって制御されるように構成されている。
本実施例では、モータ4002と、このモータ4002の駆動軸に連結された雄ねじ4004と、雄ねじ4004が螺合するズームレンズ枠2802に形成された雌ねじによって構成され、モータ4002によって雄ねじ4004が回転駆動されることでズームレンズ28が第1の光路L1に沿って移動される。
第2の駆動機構42は、フォーカスレンズ枠3002およびフォーカスレンズ30を第3の光路L3に沿って移動させるものであり、第1の光路L1と第3の光路L3との間の空間に配置され、前述した制御部124によって制御されるように構成されている。
本実施例では、モータ4202と、このモータ4202の駆動軸に連結された雄ねじ4204と、雄ねじ4204が螺合するフォーカスレンズ枠3002に形成された雌ねじによって構成され、モータ4202によって雄ねじ4204が回転駆動されることでフォーカスレンズ30が第3の光路L3に沿って移動される。
第3の駆動機構44は、絞り機構38の開口3802の大きさを変化させるものであり、第1の光路L1と第3の光路L3との間の空間に配置され、前述した制御部124によって制御されるように構成されている。
また、本実施例では、光学系14の光路のうち、第2固定レンズ34からフォーカスレンズ30に至る光路部分の前記入射光が平行光となるように光学系14が構成されている。
このような構成によれば、第1の駆動機構40によってズームレンズ28が第1の光路L1に沿って移動されることで光学系14のズーミング動作が行われる。
また、第2の駆動機構42によってフォーカスレンズ30が第3の光路L3に沿って移動されることで光学系14のフォーカシング動作が行われる。
また、第3の駆動機構44によって絞り機構38が駆動されることにより光学系14から撮像素子18に導かれる前記入射光の光量の調節が行われる。
【0012】
したがって、本実施例によれば、撮像素子18および対物レンズ20は鏡筒12の上部に配置され、第1の光路屈曲手段50は鏡筒12の下部に配置され、光学系14の光路は、対物レンズ20から下方に延在し対物レンズ20から第1の光路屈曲手段50に至る第1の光路L1と、第1の光路屈曲手段50により第1の光路L1の端部から鏡筒12の幅方向に延在する第2の光路L2と、第1の光路屈曲手段50により第2の光路L2の端部から上方に延在し撮像素子18に至る第3の光路とで構成され、光学系14の光路が上下方向においてちょうど180度折り返されているため、光路長を確保しつつ鏡筒12の上下方向の寸法を短縮できる。
そして、このように鏡筒12の上下方向の寸法を短縮できることからケース102内における鏡筒12の上下方向の占有スペースを縮小でき、撮像装置100の小型化を図る上で有利である。
より詳細には、鏡筒12は上下方向の寸法が短縮されているものの幅方向の寸法は、第2の光路L2の長さ分大きくなっている。しかしながら、ケース102内で鏡筒12の左側方の箇所に配置されるメモリ収容室、バッテリー収容室、回路基板などの撮像装置構成部の形状の変更やレイアウトの自由度が大きいため、鏡筒12の幅方向の寸法が大きくなってもケース102内でそれら撮像装置構成部の形状の変更やレイアウトによりその寸法を吸収でき、したがって、撮像装置100のケース102の前後方向の厚さおよび左右方向の幅を変えずに上下方向の寸法を短縮でき、撮像装置100の小型化を図る上で有利である。
また、鏡筒12の上下方向の寸法を大きくすることなく光学系14の光路長を大きくできるため、図4に示すように、光学系14におけるズームレンズ28の移動ストロークS1およびフォーカスレンズ30の移動ストロークS2を大きく確保することができることから、鏡筒12および撮像装置100の大型化を招くことなく光学系14のズーム倍率の高倍率化を図る上で有利である。
また、本実施例では、第1の光路L1と第3の光路L3の間の空間がデッドスペースとなるが、この空間に第1、第2、第3の駆動機構40、42、44を配置したので、デッドスペースを有効利用でき鏡筒12の小型化を図る上で有利である。
また、鏡筒12の内部における第1の光路L1と第3の光路L3の間の空間に第1、第2、第3の駆動機構40、42、44が収容されるので、鏡筒12の外部にこれら第1、第2、第3の駆動機構40、42、44が露出している構成に比較して、鏡筒12の外部から加わる衝撃に対して第1、第2、第3の駆動機構40、42、44を保護する上で有利である。
また、本実施例では、光学系14の光路のうち、第2固定レンズ34からフォーカスレンズ30に至る光路部分の前記入射光が平行光となるように光学系14が構成されているため、第1、第2のプリズム22、24で反射される前記入射光に対して与える光学的な影響を抑制する上で有利である。
また、絞り機構38が第1、第2のプリズム22、24の間に配置されているため、絞り機構38を通過する前記入射光も平行光となっており、絞り機構38の開口3802の部分を通過する際に入射光が開口3802を構成するアイリス羽根の縁部に反射して迷光を生じるといった不具合を防止する上で有利である。
【実施例2】
【0013】
次に実施例2について説明する。
実施例2は実施例1の変形例であり、実施例1では、第1の光路屈曲手段50が第1、第2のプリズム22、24の2つのプリズムで構成されていたのに対して、実施例2では第1の光路屈曲手段50が単一のプリズム25で構成されている。
図6は実施例2の鏡筒12の構成を示す説明図である。
以下では実施例1と同様の部材、箇所には同一の符号を付して説明し、実施例1と異なる部分についてのみ説明する。
図6に示すように、撮像素子18および対物レンズ20は鏡筒12の上部に鏡筒12の幅方向に間隔をおいて設けられ、単一のプリズム25は撮像素子18および対物レンズ20の下方で鏡筒12の下部に配置されている。
第3のプリズム26は、実施例1と同様に、対物レンズ20の後方に位置する鏡筒12内の箇所に配置され、対物レンズ20を通過した入射光を下方に90度屈曲させプリズム25に導くように構成されている。
対物レンズ20からプリズム25に至る光路部分により第1の光路L1が構成され、実施例2でも実施例1と同様に、第1の光路L1は、対物レンズ20から第3のプリズム26に至る第4の光路L4と、第3のプリズム26により第4の光路L4の端部から下方に延在し第1のプリズム22に至る第5の光路L5とで構成されている。
プリズム25は、第3のプリズム26から導かれた前記入射光を幅方向に90度屈曲させ幅方向に導いた後、前記入射光を上方に90度屈曲させて撮像素子18に導くように構成されている。
したがって、第3のプリズム26から導かれた前記入射光を幅方向に90度屈曲させる光路部分により第2の光路L2が構成され、前記入射光を上方に90度屈曲させて撮像素子18に導く光路部分により第3の光路L3が構成されている。
言い換えると、光学系14の光路は、対物レンズ20から下方に延在し対物レンズ20からプリズム25(第1の光路屈曲手段50)に至る第1の光路L1と、プリズム25(第1の光路屈曲手段50)により第1の光路L1の端部から鏡筒12の幅方向に延在する第2の光路L2と、プリズム25(第1の光路屈曲手段50)により第2の光路L2の端部から上方に延在し撮像素子18に至る第3の光路L3とで構成されている。
絞り機構38はプリズム25とフォーカスレンズ30との間に配置され、第3の光路L3の光軸O3上に位置するように鏡筒12に固定されている。絞り機構38は、第3の光路L3に沿って通過する前記入射光が通過する開口3802を有し、その開口3802の大きさを第3の駆動機構44によって変化させることで開口3802を通過する前記入射光の光量を調節するように構成されている。
第3の駆動機構44は、絞り機構38の開口3802の大きさを変化させるものであり、第1の光路L1と第3の光路L3との間の空間に配置され、前述した制御部124によって制御されるように構成されている。
また、実施例2においても実施例1と同様に、光学系14の光路のうち、第2固定レンズ34からフォーカスレンズ30に至る光路部分の前記入射光が平行光となるように光学系14が構成されている。
このような構成によれば、第1の駆動機構40によってズームレンズ28が第1の光路L1に沿って移動されることで光学系14のズーミング動作が行われる。
また、第2の駆動機構42によってフォーカスレンズ30が第3の光路L3に沿って移動されることで光学系14の合焦動作が行われる。
また、第3の駆動機構44によって絞り機構38が駆動されることにより光学系14から撮像素子18に導かれる前記入射光の光量の調節が行われる。
【0014】
実施例2においても実施例1と同様の効果が奏されることはもちろんである。
また、実施例2では、第1の光路屈曲手段50を単一のプリズム25で構成したので、部品点数や組み立て工数の削減を図ることができコストを低減する上で有利となり、また、光学部材の部品点数が少なくて済むことから光学的な精度を確保する上でも有利となる。
【0015】
次に、従来例と実施例とを比較説明する。
図7は従来のレンズ鏡筒の構成を示す説明図であり、実施例1、2と同様の部材、箇所には同一の符号を付している。
従来のレンズ鏡筒10´は、光学系14´として、対物レンズ20と、ズームレンズ28と、フォーカスレンズ30と、第1〜第3の固定レンズ32、34、36と、不図示の絞り機構とを備えている。
光学系14´は、被写体像を対物レンズ20を通して撮像素子18に導く光路L10を有している。
さらに鏡筒12´の壁部の外部には、ズームレンズ28を移動させる第1の駆動機構40と、絞り機構38を駆動する第3の駆動機構44とが設けられ、鏡筒12´の内部で前記壁部の近傍には、フォーカスレンズ30を移動させる第2の駆動機構42が設けられている。
【0016】
対物レンズ20は鏡筒12の上部に配置され、撮像素子18は鏡筒12´の下部に配置されている。
そして、光学系14´の光路は、対物レンズ20から下方に延在し対物レンズ20から撮像素子18に至る上下に一直線状に延在する光路L10で構成されている。
そのため、従来例では、光学系14´の光路が上下方向に大きな寸法を有し、鏡筒12の上下方向の占有スペースが大きくなり、鏡筒12および撮像装置100の上下方向の小型化を図る上で本発明に比較して不利となっている。
また、光学系14´の光路長を拡大するためには、必然的に光路L10を拡大しなくてはならず、光学系14´の高倍率化を図るために光学系14´におけるズームレンズ28の移動ストロークS1およびフォーカスレンズ30の移動ストロークS2を拡大すると、鏡筒12および撮像装置100の大型化を招くことになり、本発明に比較して不利である。
また、第1、第2、第3の駆動機構40、42、44が鏡筒12´の外部に露出しているか、鏡筒12の壁部の近傍に配置されているため、鏡筒12´の外部から加わる衝撃を第1、第2、第3の駆動機構40、42、44が直接受けることになり、本発明に比較してこれら駆動機構を保護する上で不利である。
【0017】
なお、各実施例では、鏡筒に収容された光学系が撮像装置のケースに組み込まれた場合について説明したが、光学系が撮像装置のケースに直接組み込まれた場合にも本発明は無論適用される。
また、各実施例では、対物レンズ20の後方に位置する鏡筒12内の箇所に第2の光路屈曲手段52が設けられ、第1の光路L1は、対物レンズ20から第2の光路屈曲手段52に至る第4の光路L4と、第2の光路屈曲手段52により第4の光路L4の端部から下方に延在し第1の光路屈曲手段50に至る第5の光路L5とで構成されている場合について説明したが、本発明は、第2の光路屈曲手段52を有しない構成であってもよく、その場合には、対物レンズ20は、その光軸が第1の光路L1の光軸O1と合致するように配置されることになる。
また、本実施例においては、撮像装置としてデジタルスチルカメラを例示したが、本発明はビデオカメラやテレビカメラなどの撮像装置にも無論適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1における撮像装置を前方から見た斜視図である。
【図2】実施例1におけるレンズ鏡筒を前方から見た斜視図である。
【図3】実施例1における光学系の構成を示す分解斜視図である。
【図4】実施例1における鏡筒内部の構成を示す説明図である。
【図5】実施例1における撮像装置の制御系を示すブロック図である。
【図6】実施例2の鏡筒12の構成を示す説明図である。
【図7】従来のレンズ鏡筒の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0019】
100……撮像装置、10……レンズ鏡筒、12……鏡筒、14……光学系、18……撮像素子、20……対物レンズ、50……第1の光路屈曲手段、28……ズームレンズ、30……フォーカスレンズ、L1……第1の光路、L2……第2の光路、L3……第3の光路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像素子に導く光学系と、
上下の高さおよび左右幅を有し前記光学系および前記撮像素子を収容する鏡筒とを備えるレンズ鏡筒であって、
前記光学系は、対物レンズと、第1の光路屈曲手段と、ズームレンズと、フォーカスレンズとを有し、
前記撮像素子および前記対物レンズは前記鏡筒の上部に配置され、前記第1の光路屈曲手段は前記鏡筒の下部に配置され、
前記光学系の光路は、前記対物レンズから下方に延在し前記対物レンズから前記第1の光路屈曲手段に至る第1の光路と、前記第1の光路屈曲手段により前記第1の光路の端部から前記鏡筒の幅方向に延在する第2の光路と、前記第1の光路屈曲手段により前記第2の光路の端部から上方に延在し前記撮像素子に至る第3の光路とで構成され、
前記ズームレンズは第1の光路または第3の光路の一方に配置され、前記フォーカスレンズは前記第1の光路または第3の光路の他方に配置されている、
ことを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
前記撮像素子および前記対物レンズは前記鏡筒の上部で前記鏡筒の幅方向に間隔をおいて設けられていることを特徴とする請求項1記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記鏡筒は、上下方向及び左右方向に延在する前壁を有し、前記第1の光路は前記鏡筒の前壁に平行して延在していることを特徴とする請求項1記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
前記第2の光路は前記第1の光路と直交する方向に延在していることを特徴とする請求項1記載のレンズ鏡筒。
【請求項5】
前記鏡筒は、上下方向及び左右方向に延在する前壁を有し、前記第3の光路は前記第2の光路と直交する方向で前記鏡筒の前壁に平行して延在していることを特徴とする請求項1記載のレンズ鏡筒。
【請求項6】
前記鏡筒の内部に鏡筒が組み込まれ、前記光学系および撮像素子は前記鏡筒に収容されていることを特徴とする請求項1記載のレンズ鏡筒。
【請求項7】
前記鏡筒は、上下方向及び左右方向に延在する前壁を有し、前記対物レンズは、前記鏡筒の前壁の上部に前方に向けて配置され、前記対物レンズの後方に位置する前記鏡筒内の箇所に第2の光路屈曲手段が設けられ、前記第1の光路は、前記対物レンズから前記第2の光路屈曲手段に至る第4の光路と、前記第2の光路屈曲手段により前記第4の光路の端部から下方に延在し前記第1の光路屈曲手段に至る第5の光路とで構成されていることを特徴とする請求項1記載のレンズ鏡筒。
【請求項8】
前記ズームレンズを前記光学系の光路に沿って移動させる第1の駆動機構と、前記フォーカスレンズを前記光学系の光路に沿って移動させる第2の駆動機構とを備え、前記第1の駆動機構および第2の駆動機構は、前記第1の光路と第3の光路との間の空間に配設されていることを特徴とする請求項1記載のレンズ鏡筒。
【請求項9】
前記光学系の光路に配設された絞り機構と、前記絞り機構を駆動する第3の駆動機構とを備え、前記第3の駆動機構は、前記第1の光路と第3の光路との間の空間に配設されていることを特徴とする請求項1記載のレンズ鏡筒。
【請求項10】
被写体像を撮像素子に導く光学系と、
上下の高さおよび左右幅を有し前記光学系および前記撮像そしを収容し外装を構成するケースとを備える撮像装置であって、
前記光学系は、対物レンズと、第1の光路屈曲手段と、ズームレンズと、フォーカスレンズとを有し、
前記撮像素子および前記対物レンズは前記ケースの上部に配置され、前記第1の光路屈曲手段は前記ケースの下部に配置され、
前記光学系の光路は、前記対物レンズから下方に延在し前記対物レンズから前記第1の光路屈曲手段に至る第1の光路と、前記第1の光路屈曲手段により前記第1の光路の端部から前記ケースの幅方向に延在する第2の光路と、前記第1の光路屈曲手段により前記第2の光路の端部から上方に延在し前記撮像素子に至る第3の光路とで構成され、
前記ズームレンズは第1の光路または第3の光路の一方に配置され、前記フォーカスレンズは前記第1の光路または第3の光路の他方に配置されている、
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
前記撮像素子および前記対物レンズは前記ケースの上部で前記ケースの幅方向に間隔をおいて設けられていることを特徴とする請求項10記載の撮像装置。
【請求項12】
前記ケースは、上下方向及び左右方向に延在する前壁を有し、前記第1の光路は前記ケースの前壁に平行して延在していることを特徴とする請求項10記載の撮像装置。
【請求項13】
前記第2の光路は前記第1の光路と直交する方向に延在していることを特徴とする請求項10記載の撮像装置。
【請求項14】
前記ケースは、上下方向及び左右方向に延在する前壁を有し、前記第3の光路は前記第2の光路と直交する方向で前記ケースの前壁に平行して延在していることを特徴とする請求項10記載の撮像装置。
【請求項15】
前記ケースの内部に鏡筒が組み込まれ、前記光学系および撮像素子は前記鏡筒に収容されていることを特徴とする請求項10記載の撮像装置。
【請求項16】
前記ケースは、上下方向及び左右方向に延在する前壁を有し、前記対物レンズは、前記ケースの前壁の上部に前方に向けて配置され、前記対物レンズの後方に位置する前記ケース内の箇所に第2の光路屈曲手段が設けられ、前記第1の光路は、前記対物レンズから前記第2の光路屈曲手段に至る第4の光路と、前記第2の光路屈曲手段により前記第4の光路の端部から下方に延在し前記第1の光路屈曲手段に至る第5の光路とで構成されていることを特徴とする請求項10記載の撮像装置。
【請求項17】
前記ズームレンズを前記光学系の光路に沿って移動させる第1の駆動機構と、前記フォーカスレンズを前記光学系の光路に沿って移動させる第2の駆動機構とを備え、前記第1の駆動機構および第2の駆動機構は、前記第1の光路と第3の光路との間の空間に配設されていることを特徴とする請求項10記載の撮像装置。
【請求項18】
前記光学系の光路に配設された絞り機構と、前記絞り機構を駆動する第3の駆動機構とを備え、前記第3の駆動機構は、前記第1の光路と第3の光路との間の空間に配設されていることを特徴とする請求項10記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−106309(P2006−106309A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292248(P2004−292248)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】