説明

レンズ駆動制御装置、撮像装置、レンズ駆動制御方法およびコンピュータプログラム

【課題】システム構成を複雑とせず、安定したオートフォーカス性能を実現するレンズ駆動制御装置を提供する。
【解決手段】レンズ駆動制御装置は、画像信号に基づいて検波領域における焦点評価値を算出する評価値算出部と、焦点評価値に基づきフォーカスレンズの移動量を算出する移動量算出部と、ウォブリング動作を制御するウォブリング制御信号を生成するウォブリング制御部と、ウォブリング動作以外の動作によるフォーカスレンズの移動を制御する移動制御信号を生成する移動制御部と、ウォブリング制御信号および移動制御信号の位相を変更する位相変更部と、フォーカスレンズ全体を移動させるフォーカスレンズ制御信号を生成するフォーカスレンズ制御部とを備える。位相変更部は、検波領域が露光されている間はウォブリング動作を回避するようにウォブリング信号の位相を変更し、ウォブリング信号と同期させて移動制御信号の位相を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ駆動制御装置、撮像装置、レンズ駆動制御方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementry Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを光電変換素子として用いた電子式の撮像装置が広く用いられている。このような撮像装置には、自動的に被写体にフォーカスを合わせるオートフォーカス機能が搭載されている。オートフォーカス機能の制御方式としては、例えば、撮像装置の検波領域のコントラストや高周波成分等を抽出して焦点評価値を算出し、焦点算出値が最も高くなるようにフォーカスレンズの位置を調整する方式(いわゆる、山登りAF方式)が主流である。
【0003】
フォーカスレンズの位置に対する焦点評価値は、図11に示すようなグラフで表すことができる。図11に示すように、フォーカスレンズ位置(横軸)に対する焦点評価値(縦軸)は、合焦位置で最大となり、当該合焦位置を基準としてフォーカスレンズを光電変換素子に対して近づけたり遠ざけたりして合焦位置から離隔するにつれて小さくなるつりがね状の波形となる。したがって、焦点評価値が当該波形の最大値となるようにフォーカスレンズの位置を制御することにより、オートフォーカスすることができる。
【0004】
この際、フォーカスレンズを合焦位置に移動させる方向を判断するため、ウォブリングという動作が行われる。ウォブリングは、図11に示すように、画像に影響を与えない程度にフォーカスレンズを微小振動させる動作であって、これにより、焦点評価値の変動微分(微分成分dy/dx)を得る。ウォブリングは、まず、第1の期間でフォーカスレンズを光電変換素子から離隔する方向に一定距離移動させ、第2の期間でフォーカスレンズを一定時間停止させる。そして、第3の期間でフォーカスレンズを光電変換素子に接近する方向に一定距離移動させ、第4の期間でフォーカスレンズを一定時間停止させる。これらの第1の期間から第4の期間までの動作を一連の動作として、この一連の動作を繰り返し行う。第2の期間および第4の期間の焦点評価値を検出し、その差を算出することにより、ウォブリングによる焦点評価値の変動成分(すなわち、微分成分dy/dx)を得ることができる。この変動成分の正負を判定することで、フォーカスレンズを合焦位置に移動させる方向を判断する。
【0005】
このように、異なるフォーカスレンズ位置での焦点評価値から合焦位置へ向かう方向が決定される。このため、フォーカスレンズをウォブリングさせるためのウォブリング駆動波形の位相は、少なくとも評価値算出を行っている画像中の領域(以下、「検波領域」という。)の露光期間中のフォーカスレンズ位置の平均の差が最大となるように設定すべきである。すなわち、ウォブリングにおける第2の期間と第4の期間との焦点評価値の差が最大となるように設定すべきである。なお、検波領域の露光期間中のフォーカスレンズ位置の平均の差は、露光期間中のフォーカスレンズ位置を積分して露光期間で除した値として表わされる。
【0006】
しかし、CMOSイメージセンサのような画像信号を順次読み出すイメージャを用いた場合、例えば読み出し位置が画像の上端から下端へ向かうにつれて、露光期間が時間的に後ろにずれていくような露光が行われる。このような場合、垂直同期信号に同期してフォーカスレンズをウォブリングした場合、ウォブリング波形周期対露光周期、露光期間長と画像中の検波領域の位置により、露光期間とウォブリング駆動波形の位相関係は変化する。
【0007】
例えば、図12に示すように、露光期間が短い場合、検波領域の露光のためフォーカスレンズの移動を回避したい区間(以下、「ウォブリング回避区間」とする。)が1フレームより短くなり、ウォブリング駆動波形の理想的な位相のずらし量は大きくなる。一方、図13に示すように、露光期間が長い場合、ウォブリング回避区間が1フレームより長くなり、ウォブリング駆動波形の理想的な位相のずらし量は小さくなる。なお、1フレームとは、垂直同期信号の1区間をいう。
【0008】
また、図14に示すように、スポットフォーカスや顔認識オートフォーカス等により、検波領域が画面10の上部12側へ移動したり、下部14側に移動したりするなど、撮像領域内で位置や大きさが変化することもある。検波領域が画面10の上部12側に移動した場合には、図15に示すように、ウォブリング回避区間が画面全体の露光期間の前方に位置し、ウォブリング駆動波形の理想的な位相のずらし量は小さくなる。一方、検波領域が画面10の下部14側に移動した場合には、図16に示すように、ウォブリング回避区間が画面全体の露光期間の後方に位置し、ウォブリング駆動波形の理想的な位相のずらし量は大きくなる。
【0009】
このように変化する露光期間とウォブリング駆動波形の位相関係に対して、垂直同期信号に対してウォブリング駆動波形の位相を可変にし、ウォブリング駆動波形の位相を制御する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。かかる制御方法によれば、オートフォーカスの焦点評価を行う検波領域の中央画素における、露光期間内の平均的なフォーカスレンズ位置のウォブリングによる差が最大となるように、ウォブリング駆動波形の位相を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−47954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、ウォブリング駆動波形の位相を可変とすることにより、1フレーム内で複数の傾きを有する駆動波形によってフォーカスレンズの位置を制御する必要がある。例えば、ウォブリング回避区間を回避してウォブリング駆動波形の位相をずらしたとする。このとき、ウォブリング駆動波形と他の動作によるフォーカスレンズの動きによる動作駆動波形とを合わせた、フォーカスレンズ全体の動きを表すフォーカスレンズ駆動波形には、図17に示すように、1つのフレーム内に傾きが複数存在することになる。この場合、フォーカスレンズ駆動波形自体の位相を可変とすることはできるが、システム(LSI)によってはウォブリング駆動波形の位相を可変にすることはできなかった。例えば、1フレーム内で複数の傾きを有するフォーカスレンズ駆動波形によりフォーカスレンズの位置を制御できないシステムや、ウォブリングとその他の動作(例えば、ズームトラッキング等)とを分離できないシステムでは、ウォブリング駆動波形の位相を可変にすることはできない。
【0012】
また、ウォブリング駆動波形の位相を可変にすることは可能でも、システムによっては、絶えず変化する露光期間とウォブリング駆動波形との位相関係に応じて、複数の制御処理を1つのチップで一度に行わなければならず、処理が複雑になるという問題があった。例えば、垂直同期信号毎に駆動タイミングの異なるウォブリング駆動波形とその他のフォーカスレンズ駆動波形を足し合わせや、各駆動波形の傾きなどから最高速度等のデバイス制御上の制限等の処理を1つのチップで一度に行うと、チップへの負荷が大きくなる。
【0013】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、システム構成を複雑にすることなく、安定したオートフォーカス性能を実現することが可能な、新規かつ改良されたレンズ駆動制御装置、撮像装置、レンズ駆動制御方法およびコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、垂直同期信号の周期に同期して被写体を撮像する撮像部により取得した画像信号に基づいて、画像中の焦点評価を行う領域である検波領域における焦点評価値を算出する評価値算出部と、焦点評価値に基づいて、被写体のフォーカス位置を調整するフォーカスレンズの移動量を算出する移動量算出部と、フォーカスレンズを合焦へ向かうように移動させる方向を検出するウォブリング動作を制御するウォブリング制御信号を生成するウォブリング制御部と、ウォブリング動作以外の動作によるフォーカスレンズの移動を制御する移動制御信号を生成する移動制御部と、ウォブリング制御信号および移動制御信号の位相を変更する位相変更部と、ウォブリング制御信号および移動制御信号に基づいて、フォーカスレンズ全体を移動させるフォーカスレンズ制御信号を生成するフォーカスレンズ制御部と、を備えるレンズ駆動制御装置が提供される。位相変更部は、検波領域が露光されている間はウォブリング動作を回避するようにウォブリング信号の位相を変更し、ウォブリング信号と同期させて移動制御信号の位相を変更する。
【0015】
本発明によれば、ウォブリング制御信号と、ウォブリング動作以外の動作によるフォーカスレンズの移動を制御する移動制御信号との位相を同期させて変更する。これにより、フォーカスレンズ全体の移動を制御するフォーカスレンズ制御信号の駆動波形を複雑にすることがなくなる。また、検波領域が露光されている間はウォブリング動作が行われないようにすることにより、安定したオートフォーカス性能を実現することができる。
【0016】
ここで、移動制御部は、フォーカスレンズの移動量およびフォーカスレンズの移動方向に基づいて、フォーカスレンズを合焦する位置に移動させる移動制御信号を生成することができる。
【0017】
また、レンズ駆動制御装置は、撮像する画像の画角を任意の位置に調整するズームレンズを制御するズームレンズ制御信号を生成するズームレンズ制御部をさらに備えることもできる。このとき、移動制御部は、ズームレンズの移動に応じてフォーカスレンズを移動させるズームトラッキングを制御する移動制御信号を生成することもできる。そして、ズームレンズ制御部は、ウォブリング制御信号と同期してズームレンズ制御信号の位相を変更する。
【0018】
さらに、位相変更部は、露光期間を制御する露光制御部から入力された露光期間に基づいて、露光期間が変化したフレームの次フレームにおけるウォブリング制御信号の位相のずらし量を算出することもできる。そして、位相変更部は、ウォブリング制御信号および当該ウォブリング制御信号に同期して変化する、ウォブリング制御信号以外の制御信号の傾きが検波領域の露光期間中変化しないように位相を変更する。ここで、ウォブリング制御信号以外の制御信号とは、ウォブリング動作以外の動作によるフォーカスレンズの移動を制御する移動制御信号やズームレンズを制御するズームレンズ制御信号等である。
【0019】
また、位相変更部は、露光期間を制御する露光制御部から入力された露光期間に基づいて、露光期間が変化したフレームから2フレーム後におけるウォブリング制御信号の位相のずらし量を算出することもできる。このとき、位相変更部は、露光期間が変化したフレームの次フレームまでは露光期間変化前の位相のずらし量でウォブリング制御信号および当該ウォブリング制御信号に同期して変化する、ウォブリング制御信号以外の制御信号の位相を変更する。そして、位相変更部は、露光期間が変化したフレームから2フレーム後において露光期間変化後の位相のずらし量でウォブリング制御信号および当該ウォブリング制御信号に同期して変化する、ウォブリング制御信号以外の制御信号の位相を変更して傾きを変化させる。
【0020】
さらに、位相変更部は、検波領域の中央ラインの露光期間における、ウォブリング動作による平均的なフォーカスレンズの位置の差が最大となるように、ウォブリング制御信号の位相のずらし量を算出するようにしてもよい。
【0021】
また、位相変更部は、検波領域の中央ラインの露光期間の中心とウォブリング動作の1区間の動作の中心と一致するように、ウォブリング制御信号の位相のずらし量を算出するようにしてもよい。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、垂直同期信号の周期に同期して被写体を撮像して画像信号を生成する撮像部と、被写体像を集光して撮像部に照射する光学部材と、被写体像のフォーカス位置を調整するフォーカスレンズとを有するレンズ部と、フォーカスレンズ全体を移動させるフォーカスレンズ制御信号に基づいて、フォーカスレンズを駆動する駆動部と、撮像部から取得した画像信号に基づいて、画像中の焦点評価を行う領域である検波領域における焦点評価値を算出する評価値算出部と、焦点評価値に基づいて、被写体のフォーカス位置を調整するフォーカスレンズの移動量を算出する移動量算出部と、フォーカスレンズを合焦へ向かうように移動させる方向を検出するウォブリング動作を制御するウォブリング制御信号を生成するウォブリング制御部と、ウォブリング動作以外の動作によるフォーカスレンズの移動を制御する移動制御信号を生成する移動制御部と、ウォブリング制御信号および移動制御信号の位相を変更する位相変更部と、ウォブリング制御信号および移動制御信号に基づいて、フォーカスレンズ制御信号を生成するフォーカスレンズ制御部と、を備える撮像装置が提供される。ここで、位相変更部は、検波領域が露光されている間はウォブリング動作を回避するようにウォブリング信号の位相を変更し、ウォブリング信号と同期させて移動制御信号の位相を変更する。
【0023】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、垂直同期信号の周期に同期して被写体を撮像する撮像部により取得した画像信号に基づいて、画像中の焦点評価を行う領域である検波領域における焦点評価値を算出するステップと、焦点評価値に基づいて、被写体のフォーカス位置を調整するフォーカスレンズの移動量を算出するステップと、フォーカスレンズを合焦へ向かうように移動させる方向を検出するウォブリング動作を制御するウォブリング制御信号を生成するステップと、ウォブリング動作以外の動作によるフォーカスレンズの移動を制御する移動制御信号を生成するステップと、ウォブリング制御信号および移動制御信号の位相を変更するステップと、記ウォブリング制御信号および移動制御信号に基づいて、フォーカスレンズ全体を移動させるフォーカスレンズ制御信号を生成するステップと、を含むレンズ駆動制御方法が提供される。ここで、位相を変更するステップでは、検波領域が露光されている間はウォブリング動作を回避するようにウォブリング信号の位相を変更し、ウォブリング信号と同期させて移動制御信号の位相を変更する。
【0024】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータに上記のレンズ駆動制御装置として機能させるためのコンピュータプログラムが提供される。コンピュータプログラムは、コンピュータが備える記憶装置に格納され、コンピュータが備えるCPUに読み込まれて実行されることにより、そのコンピュータを上記のレンズ駆動制御装置として機能させる。また、コンピュータプログラムが記録された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供される。記録媒体は、例えば磁気ディスクや光ディスクなどである。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明によれば、システム構成を複雑にすることなく、安定したオートフォーカス性能を実現することが可能なレンズ駆動制御装置、撮像装置、レンズ駆動制御方法およびコンピュータプログラムを提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態にかかるフォーカスレンズ制御信号の生成処理を示すフローチャートである。
【図3】山登りAFとウォブリングを行う場合のフォーカスレンズ制御信号を示す説明図である。
【図4】ズームトラッキングとウォブリングを行う場合のフォーカスレンズ制御信号およびズームレンズ制御信号を示す説明図である。
【図5】山登りAF、ズームトラッキングおよびウォブリングを行う場合のフォーカスレンズ制御信号およびズームレンズ制御信号を示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態にかかるフォーカスレンズ制御信号の生成処理を示すフローチャートである。
【図7】露光期間が変化したときのフォーカス制御信号の一例を示す説明図であって、次フレーム後の位相のずらし量を算出する場合の例を示す。
【図8】露光期間が変化したときのフォーカス制御信号の一例を示す説明図であって、2フレーム後の位相のずらし量を算出する場合の例を示す。
【図9】本発明の第3の実施形態にかかるフォーカス制御信号の一例を示す説明図である。
【図10】ハードウェア構成を示すブロック図である。
【図11】フォーカスレンズの位置に対する焦点評価値を示すグラフである。
【図12】露光期間が短い場合におけるウォブリング駆動波形と理想的な位相のずらし量を示す説明図である。
【図13】露光期間が長い場合におけるウォブリング駆動波形と理想的な位相のずらし量を示す説明図である。
【図14】画面内での検波領域の位置を説明する説明図である。
【図15】検波領域が画面の上部側に移動した場合におけるウォブリング駆動波形と理想的な位相のずらし量を示す説明図である。
【図16】検波領域が画面の下部側に移動した場合におけるウォブリング駆動波形と理想的な位相のずらし量を示す説明図である。
【図17】従来のウォブリング駆動波形と他の動作によるフォーカスレンズの動きを制御する動作駆動波形とを合わせた、フォーカスレンズ全体の動きを表すフォーカスレンズ駆動波形を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0028】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施の形態
(露光期間が同一の場合におけるフォーカスレンズ制御信号の生成処理)
2.第2の実施の形態
(露光期間が変化する場合におけるフォーカスレンズ制御信号の生成処理)
3.第3の実施の形態
(毎フレーム焦点評価を行う場合のフォーカスレンズ制御信号の生成処理)
4.ハードウェア構成
【0029】
<1.第1の実施形態>
[撮像装置の構成]
まず、図1に基づいて、本発明の第1の実施形態にかかる撮像装置100の構成について説明する。なお、図1は、本実施形態にかかる撮像装置100の構成を示すブロック図である。
【0030】
本実施形態にかかる撮像装置100は、例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどである。撮像装置100は、図1に示すように、レンズブロック110と、駆動モータと、レンズドライバ130と、撮像センサ140と、カメラLSI150と、撮像素子ドライバ160と、メモリ部170とから構成される。
【0031】
レンズブロック110は、光(すなわち、被写体の画像)を撮像センサ140へ入射させる光学部材である。レンズブロック110は、図1に示すように、ズームレンズ112と、フォーカスレンズ140とを備える。ズームレンズ112およびフォーカスレンズ114は、それぞれの光軸が一致するように設けられ、その光軸は、撮像センサ140の受光面の略中心と直交する。ズームレンズ112のレンズ位置を光軸方向に移動させることにより、被写体へのズームを調整することができる。同様に、フォーカスレンズ114のレンズ位置を光軸方向に移動させることにより、被写体に対するフォーカスを調整することができる。レンズブロック110は、さらに、被写体像を集光して撮像センサ140に照射する光学系部材を備える。
【0032】
駆動モータ120は、レンズブロック110に設けられたズームレンズ112およびフォーカスレンズ114を光軸方向に移動させる駆動部である。駆動モータ120としては、例えば、ステッピングモータを用いることができる。本実施形態にかかる撮像装置100は、図1に示すように、ズームレンズ112を駆動するズームレンズ駆動モータ122と、フォーカスレンズ114を駆動するフォーカスレンズ駆動モータ124とを備える。ズームレンズ駆動モータ122およびフォーカスレンズ駆動モータ124は、レンズドライバ130により駆動制御される。
【0033】
レンズドライバ130は、カメラLSI150からの制御信号に基づき、ズームレンズ駆動モータ122およびフォーカスレンズ駆動モータ124の駆動を制御する。
【0034】
撮像センサ140は、光電変換素子を二次元に配置して構成されたセンサである。本実施形態にかかる撮像センサ140としては、例えば、画素ごとに異なるタイミングで露光が行われるイメージセンサ、例えばCMOSイメージセンサを用いることができる。撮像センサ140は、垂直同期信号の周期に同期して被写体を撮像し、レンズブロック110および光電変換素子の前面に設けられた原色フィルタ(図示せず。)を介して入射した被写体の光像を光電変換して、撮像信号を生成する。撮像センサ140は、生成した撮像信号をカメラLSI150へ出力する。撮像センサ140は、撮像素子ドライバ160により制御され、撮像信号の生成処理等を行う。
【0035】
カメラLSI150は、撮像信号の処理やレンズブロック110を制御する制御信号等の生成処理などを行う。カメラLSI150は、カメラ信号処理回路152と、ゲート部154と、検波器156と、駆動コントローラ158とを備える。
【0036】
カメラ信号処理回路152は、撮像センサ140から入力された撮像信号に対してサンプリング処理やYC分離処理等の処理を行う。カメラ信号処理回路152は、生成した輝度信号Yをゲート部154へ出力し、輝度信号Yおよび色信号C(色差信号や原色信号など)をメモリ部170へ出力する。
【0037】
ゲート部154は、カメラ信号処理部152から入力された輝度信号Yに基づいて、予め設定された画面内の検波領域に相当する信号のみを抽出する。ゲート部154は、抽出した信号を検波器156へ出力する。
【0038】
検波器156は、ゲート部154から入力された信号から高周波成分を取り出して整流検波し、オートフォーカス制御に必要な焦点評価値を算出する評価値算出部である。検波器156は、算出した焦点評価値を駆動コントローラ158へ出力する。
【0039】
駆動コントローラ158は、レンズドライバ130および撮像素子ドライバ160の駆動を制御する。本実施形態にかかる駆動コントローラ158は、焦点評価値に基づいてフォーカスレンズ114の移動量を算出する移動量算出部、ウォブリング制御信号を生成するウォブリング制御部として機能する。さらに、駆動コントローラ158は、ウォブリング動作以外の動作によるフォーカスレンズの移動を制御する移動制御信号を生成する移動制御部、ウォブリング制御信号および移動制御信号の位相を変更する位相変更部として機能する。また、駆動コントローラ158は、フォーカスレンズ全体を移動させるフォーカスレンズ制御信号を生成するフォーカスレンズ制御部としても機能する。
【0040】
すなわち、駆動コントローラ158は、検波器156から入力された焦点評価値に基づいて、フォーカスレンズ114を合焦位置に接近させるように駆動するフォーカスレンズ制御信号を生成する。また、駆動コントローラ158は、ズームレンズの位置を制御するズームレンズ制御信号を生成する。駆動コントローラ158は、生成したフォーカスレンズ制御信号およびズームレンズ制御信号をレンズドライバ130へ出力する。また、駆動コントローラ158は、入力部(図示せず。)から入力された例えばマニュアルフォーカス指示信号やズーム指示信号、マニュアル/オートフォーカス切換え信号等に基づいて、フォーカスレンズ制御信号およびズームレンズ制御信号を生成することもできる。
【0041】
撮像素子ドライバ160は、撮像センサ140を制御する。撮像素子ドライバ160は、レンズブロック110および原色フィルタ(図示せず。)を介して入射された被写体の光像を光電変換して撮像信号を生成させるように制御したり、電子シャッタ(図示せず。)の駆動を制御したりする。
【0042】
メモリ部170は、カメラ信号処理回路152から入力されたビデオ信号を記憶するメモリ172と、メモリ172に対してビデオ信号の書き込み/読み出し処理を行うメモリコントローラ174とからなる。メモリコントローラ174は、ビデオ信号をメモリ172に一時的に記録したり、メモリ172から読み出したビデオ信号を例えばリムーバブルメディア等に出力したり、ディスプレイに出力して映像を表示させたりする。
【0043】
本実施形態にかかる撮像装置100は、駆動コントローラ158によりレンズブロック110のズームレンズ112およびフォーカスレンズ114を駆動する制御信号を生成する。そして、駆動コントローラ158により生成された制御信号に基づいて、レンズドライバ130が各レンズ112、114を駆動する駆動モータ122、124の駆動を制御する。
【0044】
以上、本実施形態にかかる撮像装置100の構成について説明した。ここで、本実施形態にかかる撮像装置100では、検波器156により算出される焦点評価値に基づいて、合焦位置にフォーカスレンズ114を自動的に合わせるオートフォーカスを実現する。オートフォーカスには、例えば山登りオートフォーカス方式を用いることができる。山登りオートフォーカスでは、焦点評価値から合焦位置を算出するとともに、フォーカスレンズ114を合焦位置へ移動させる方向を特定するためにウォブリングが行われる。以下、図2に基づいて、本実施形態にかかるオートフォーカスによるフォーカスレンズ制御信号の生成処理について説明する。なお、図2は、本実施形態にかかるフォーカスレンズ制御信号の生成処理を示すフローチャートである。
【0045】
[フォーカスレンズ制御信号の生成処理]
フォーカスレンズ制御信号の生成処理は、まず、図2に示すように、駆動コントローラ158は、検波器156が算出した焦点評価値を取り込む(ステップS110)。ステップS110では、フォーカスレンズを移動させたときの各位置における焦点評価値を取得し、焦点評価値が最大となる位置を合焦位置として特定する。
【0046】
次いで、駆動コントローラ158は、焦点評価値の微分成分を算出する(ステップS120)。ステップS120では、フォーカスレンズ114のウォブリングを行い、焦点評価値の微分成分を算出する。かかる処理には、図11に基づいて説明した処理と同様の処理を用いることができる。駆動コントローラ158は、焦点評価値の微分成分を算出することにより、現在のフォーカスレンズ114の位置に対する合焦位置の方向を認識することができる。
【0047】
さらに、駆動コントローラ158は、フォーカスレンズ114の移動制御信号を生成する(ステップS130)。ステップS130では、フォーカスレンズ114をピントを合わせるために合焦位置へ移動させるための移動制御信号を生成する。移動制御信号は、ステップS110により特定された合焦位置までのフォーカスレンズ114の移動量と、ステップS120により認識したフォーカスレンズ114の移動方向とに基づいて生成される。
【0048】
その後、駆動コントローラ158は、ウォブリング動作が可能なフィールドであるか否かを判定する(ステップS140)。オートフォーカスの焦点評価を行う検波領域、特に検波領域の中央ラインが露光される期間は、正確な合焦位置を特定するため、なるべくフォーカスレンズ114を移動させないことが望ましい。このため、駆動コントローラ158は、ステップS130にて生成した移動制御信号を開始するタイミングを決定するため、次のフレームで検波領域の焦点評価が行われるか否かを判定する。
【0049】
ステップS140にて、ウォブリングが可能な期間であると判定された場合、ウォブリングによりフォーカスレンズ114の移動量(ウォブリング移動量)を算出する(ステップS150)。一方、ステップS140にて、ウォブリングが可能な期間ではないと判定された場合、ウォブリングによりフォーカスレンズ114の移動量(ウォブリング移動量)はゼロとする(ステップS160)。そして、駆動コントローラ158は、ステップS150またはステップS160にて算出されたウォブリング量に基づいて、フォーカスレンズ114を光軸方向に微小移動させるためのウォブリング制御信号を生成する(ステップS170)。なお、本実施形態では1フレームおきにウォブリングを行うものとする。
【0050】
次いで、駆動コントローラ158は、フォーカスレンズ114を最終的に移動させるフォーカスレンズ制御信号を生成する(ステップS180)。フォーカスレンズ制御信号は、ステップS130で生成された移動制御信号と、ステップS170で生成されたウォブリング制御信号とを重畳させることにより生成される。ここで、駆動コントローラ158は、フォーカスレンズ制御信号を生成する際、ウォブリング制御信号の位相のずれに合わせて移動制御信号の移動もずらし、フォーカスレンズ114のすべての動作が同期して行われるようにフォーカスレンズ制御信号を生成する。駆動コントローラ158は、生成したフォーカスレンズ制御信号をレンズドライバ130へ出力し、レンズドライバ130はフォーカスレンズ制御信号に基づいてフォーカスレンズ駆動モータ124を駆動させる。これにより、フォーカスレンズ114をフォーカスレンズ制御信号に基づき移動させることができる。
【0051】
以上、本実施形態にかかるフォーカスレンズ制御信号の生成処理について説明した。本実施形態では、ステップS180にてフォーカスレンズ制御信号を生成する際、ウォブリング制御信号を検波領域の露光期間を避けるように位相をずらずとともに、ウォブリング以外のフォーカスレンズ114の動作のための制御信号も同期して移動させる。これにより、フォーカスレンズ制御信号の波形がシンプルになり、システムの構成を複雑にすることなくフォーカスレンズ114を駆動することができる。以下、図3〜図5に基づいて、本実施形態にかかるフォーカスレンズ制御信号の生成処理の3つの実施例について説明する。
【0052】
[実施例1.山登りオートフォーカス処理(山登りAF)とウォブリングを行う場合のフォーカスレンズ制御信号の生成処理]
まず、図3に基づいて、山登りオートフォーカス処理(山登りAF)とウォブリングを行う場合のフォーカスレンズ制御信号の生成処理について説明する。実施例1では、図2のステップS110〜S130の処理により、山登りオートフォーカス処理の移動制御信号が生成される。移動制御信号は、図3において、ウォブリング以外の動きの破線による波形で表わされる。一方、図2のステップS140〜S170の処理により、ウォブリング制御信号が生成される。ウォブリング制御信号は、図3の破線による波形で表わされる。このとき、次のフレームがウォブリング動作を回避すべきフィールド(ウォブリング回避区間)を含む場合には、図3の実線のウォブリング制御信号の波形のように、できるだけウォブリング回避区間外でウォブリング動作が完了するように位相をずらす。
【0053】
駆動コントローラ158は、ウォブリング制御信号の位相がずれると、移動制御信号もこれに同期して移動される。そうすると、移動制御信号は、図3のウォブリング以外の動きの実線による波形となり、ウォブリング回避区間を避けてフォーカスレンズ114の移動制御が行われるようになる。そして、駆動コントローラ158は、ウォブリング回避区間を回避したウォブリング制御信号と移動制御信号とを重畳し、フォーカスレンズ制御信号を生成する。かかるフォーカス制御信号は、図3のフォーカス全体の動きとして実線による波形で表わされる。
【0054】
このようにして生成されたフォーカスレンズ制御信号は、ウォブリングと、ウォブリング以外のフォーカスレンズ114の動作である山登りオートフォーカスによる動作とを同期させて位相をずらして生成したため、位相のずれがない場合の波形と同一の波形となる。このため、ウォブリング回避区間におけるフォーカスレンズ114の移動を回避することができ、検波領域に対するフォーカスを高精度に行うことができる。また、フォーカスレンズ制御信号の形状(傾き)がウォブリング回避区間内で変化しないため、フォーカスレンズ114の制御がシンプルとなり、複雑な駆動波形による制御を行わなくてもよい。
【0055】
[実施例2.ズームトラッキングとウォブリングを行う場合のフォーカスレンズ制御信号およびズームレンズ制御信号の生成処理]
次に、図4に基づいて、ズームトラッキングとウォブリングを行う場合のフォーカスレンズ制御信号およびズームレンズ制御信号の生成処理について説明する。ズーム機能を搭載する撮像装置100では、ユーザの操作に応じて焦点距離を連続的に変化させることにより、撮像する画像の画角を広角側から望遠側までの任意の位置に調整することができる。このとき、ズームレンズ112の移動によるフォーカスのずれを調整するためにフォーカスレンズ114をズームレンズ112と同期して移動させる。かかる動作をズームトラッキングという。
【0056】
実施例2では、まず、ウォブリング以外の動きによる動作として、フォーカスレンズ114のズームトラッキングによる移動制御信号が生成される。当該移動制御信号は、図4のウォブリング以外の動きの破線による波形で表わされる。一方、図2のステップS140〜S170の処理により、ウォブリング制御信号が生成される。ウォブリング制御信号は、図4の破線による波形で表わされる。このとき、次のフレームがウォブリング動作を回避すべきフィールド(ウォブリング回避区間)を含む場合には、図4の実線のウォブリング制御信号の波形のように、できるだけウォブリング回避区間外でウォブリング動作が完了するように位相をずらす。
【0057】
駆動コントローラ158は、ウォブリング制御信号の位相がずれると、ズームトラッキングによる移動制御信号もこれに同期させて移動する。そうすると、ズームトラッキングによる移動制御信号は、図4のウォブリング以外の動きの実線による波形となり、ウォブリング回避区間を避けてフォーカスレンズ114の移動制御が行われるようになる。そして、駆動コントローラ158は、ウォブリング回避区間を回避したウォブリング制御信号と移動制御信号とを重畳し、フォーカスレンズ制御信号を生成する。かかるフォーカス制御信号は、図4のフォーカス全体の動きとして実線による波形で表わされる。
【0058】
ここで、上述したように、ズームトラッキングによるフォーカスレンズ114の移動と、ズーム機能によるズームレンズ112の移動とは同期して行われる必要がある。したがって、ズームトラッキングによる移動制御信号をウォブリング制御信号に同期させて移動させると、図4に示すように、位相をずらす前後のズームトラッキングによる移動制御信号の間には差分dが生じる。差分dを生じたままズームレンズ112を移動させると、トラッキングずれとしてピントが合わなくなってしまう。そこで、本実施例では、ウォブリング制御信号と同期してズームレンズ制御信号の位相もずらす。これにより、ズームレンズ112の動きを制御するズームレンズ制御信号は、図4のズームの動きを示した破線の波形から実線の波形へとずれる。こうしてズームトラッキングによる移動制御信号と、ズームレンズ制御信号とを同期させることができる。
【0059】
このように、実施例2では、ウォブリングと、ウォブリング以外のフォーカスレンズ114の動作であるズームトラッキングによる動作とを同期させて位相をずらして生成したため、位相のずれがない場合の波形と同一の波形となる。これにより、ウォブリング回避区間におけるフォーカスレンズ114の移動を回避することができ、検波領域に対するフォーカスを高精度に行うことができる。また、フォーカスレンズ制御信号の形状(傾き)がウォブリング回避区間内で変化しないため、フォーカスレンズ114の制御がシンプルとなり、複雑な駆動波形による制御を行わなくてもよい。さらに、ズームレンズ112を駆動するズームレンズ制御信号もウォブリング制御信号と同期して位相を変化させることにより、ズームトラッキングずれが生じるのを防止することができる。
【0060】
[実施例3.山登りAF、ズームトラッキングおよびウォブリングを行う場合のフォーカスレンズ制御信号およびズームレンズ制御信号の生成処理]
次に、図5に基づいて、山登りAF、ズームトラッキングおよびウォブリングを行う場合のフォーカスレンズ制御信号およびズームレンズ制御信号の生成処理について説明する。実施例3では、ウォブリング以外のフォーカスレンズ114の動作として、山登りオートフォーカス処理とズームトラッキングとがある。この2つの動作による移動制御信号を重畳した信号が、図5のウォブリング以外の動きを示す破線の波形として表わされている。本例では、2つの動作により、2段階にフォーカスレンズ114が移動される状態にある。一方、図2のステップS140〜S170の処理により、ウォブリング制御信号が生成される。本例におけるウォブリング制御信号は、図5に示すように、ウォブリング回避区間外で開始されるため、位相のずれはなく、実線の波形で表わされる。
【0061】
ここで、駆動コントローラ158は、ウォブリング以外の動作をウォブリングと同期して動作させるため、ウォブリング以外の動作によるフォーカスレンズ114の移動制御信号の開始位置をウォブリング制御信号の開始位置と合致するように移動する。すなわち、検波領域の露光が終了した時点から移動制御信号が開始するように位相をずらし、実線で表わされる波形とする。その後、駆動コントローラ158は、ウォブリング制御信号と移動制御信号とを重畳し、フォーカスレンズ制御信号を生成する。かかるフォーカス制御信号は、図5のフォーカス全体の動きとして実線による波形で表わされる。また、ズームレンズ制御信号もウォブリング制御信号と開始位置が同じとなるように、位相をずらす。
【0062】
このとき、フォーカスレンズ制御信号の波形に着目すると、図5の破線で示したように、フォーカスレンズ114を従来の駆動方式に基づいて駆動すると、ウォブリング制御信号と、それ以外の動作による移動制御信号との開始位置にずれが生じる。かかる状態で、フォーカスレンズ114全体の動きを制御するフォーカスレンズ制御信号を生成すると、図5の破線で示すように、複雑な駆動波形となる。一方、本実施形態にかかる駆動方式に基づいてフォーカスレンズ114を駆動させると、図5の実線で示すように、垂直同期信号に対しては位相が変化しているものの、駆動波形はシンプルな形状となる。このように、本実施形態の駆動方式によれば、フォーカスレンズ114が想定しない軌道で移動することを防止することもできる。
【0063】
以上より、ウォブリング回避区間におけるフォーカスレンズ114の移動を回避することができ、検波領域に対するフォーカスを高精度に行うことができる。また、フォーカスレンズ制御信号の形状(傾き)がウォブリング回避区間内で変化しないため、フォーカスレンズ114の制御がシンプルとなり、複雑な駆動波形による制御を行わなくてもよい。さらに、ズームレンズ112を駆動するズームレンズ制御信号もウォブリング制御信号と同期して位相を変化させることにより、ズームトラッキングずれが生じるのを防止することができる。
【0064】
以上、本発明の第1の実施形態にかかる撮像装置100とそのレンズブロックの駆動方法について説明した。本実施形態によれば、フォーカスレンズ114について、ウォブリング制御信号と、ウォブリング以外の動作による移動制御信号との位相を同期させ、駆動タイミングを合わせることにより、フォーカスレンズの制御がシンプルとなり、カメラLSI150の負荷を軽減することができる。また、フォーカスレンズ114のズームトラッキングについての移動制御信号とともに、ズームレンズ制御信号も同期して位相を変化させることにより、ズームトラッキングずれの発生を防止することができる。
【0065】
<2.第2の実施形態>
次に、図6〜図8に基づいて、本発明の第2の実施形態にかかる撮像装置100におけるレンズブロック110の駆動方法について説明する。本実施形態にかかる撮像装置100の構成は、第1の実施形態の撮像装置100と同一とすることができる。第1の実施形態は露光期間が一定であるときの駆動方法であるのに対し、本実施形態にかかるフォーカスレンズ114の駆動方法は露光期間が変化する場合の駆動方法である。以下では、本実施形態にかかるフォーカスレンズ制御信号の生成方法の詳細について説明するが、第1の実施形態と同一である撮像装置100の構成と、第1の実施形態と共通するフォーカスレンズ114の駆動方法についての詳細な説明は省略する。なお、図6は、本実施形態にかかるフォーカスレンズ制御信号の生成処理を示すフローチャートである。図7および図8は、露光期間が変化したときのフォーカス制御信号の一例を示す説明図である。
【0066】
[フォーカスレンズ制御信号の生成処理]
まず、図6に基づいて、本実施形態にかかるフォーカスレンズ制御信号の生成処理の概要について説明する。まず、図6に示すように、位相ずらしを行うか否かを判定する(ステップS210)。撮像装置100では、明るさ等の変化により露光期間が変化する。駆動コントローラ158は、アイリスやシャッタースピードを制御する明るさ制御情報や検波枠の位置・大きさから露光期間を取得することができる。次いで、駆動コントローラ158は、露光期間からNフレーム後のウォブリング制御信号の位相のずらし量を算出する(ステップS220)。位相のずらし量の算出は、毎フレームごと、又は露光期間が変化した場合に行う。この位相のずらし量の算出方法の詳細については後述する。一方、駆動コントローラ158は、撮像センサ140の種類や設定等により位相ずらしを行う必要がないと判断すると、位相のずらし量をゼロに設定する(ステップS230)。
【0067】
次いで、駆動コントローラ158は、ステップS220またはS230にて算出した位相のずらし量に基づいて、ウォブリング制御信号を生成する(ステップS240)。ステップS240にて生成されたウォブリング制御信号は、露光期間の変化に応じて位相がずれたものとなる。そして、ウォブリング以外の動作によるフォーカスレンズ114の移動制御信号を生成する(ステップS250)。ウォブリング以外の動作によるフォーカスレンズ114の動作としては、第1の実施形態と同様、例えば山登りオートフォーカス処理やズームトラッキングなどの動作がある。これらの移動制御信号も、ステップS220またはS230で算出された位相のずらし量により、ウォブリング制御信号と同期して位相がずらされる。
【0068】
その後、ウォブリング制御信号と、ウォブリング以外のフォーカスレンズ114の動作による移動制御信号とを重畳して、フォーカスレンズ114全体を駆動するフォーカスレンズ制御信号を生成する(ステップS260)。駆動コントローラ158は、生成したフォーカスレンズ制御信号をレンズドライバ130へ出力し、レンズドライバ130はフォーカスレンズ制御信号に基づいてフォーカスレンズ駆動モータ124を駆動させる。これにより、フォーカスレンズ114をフォーカスレンズ制御信号に基づき移動させることができる。
【0069】
以上、本実施形態にかかるフォーカスレンズ制御信号の生成処理の概要について説明した。このように、本実施形態では、露光期間の変化に応じて、ウォブリング制御信号およびこれに同期する移動制御信号の位相が変更される。以下、図7および図8に基づいて、本実施形態にかかるフォーカスレンズ制御信号の生成処理の2つの実施例について説明する。
【0070】
[実施例4.次フレームにおける位相のずらし量を算出する場合のフォーカスレンズ制御信号の生成処理]
まず、図7に基づいて、次フレームにおける位相のずらし量を算出する場合のフォーカスレンズ制御信号の生成処理について説明する。実施例4では、図7に示すように、露光期間が長い状態から露光期間が短い状態に変化した場合を示す。本例においても、1フレームおきにウォブリングを行うものとする。
【0071】
露光期間が変化する前の状態(露光期間が長い状態)では、位相のずらし量はαであり、位相のずらし量αは、前のフレームにおけるオートフォーカスモジュール(以下、「AFモジュール」とする。)がアクティブとなるタイミングで決定される。なお、AFモジュールは、駆動コントローラ158内に備えることができる。そして、ウォブリング以外の動作によるフォーカスレンズ114の移動制御信号もαだけ位相がずれており、フォーカスレンズ114全体として、位相がαだけずれた波形となっている。かかる処理は、第1の実施形態にかかるフォーカスレンズ制御信号の生成処理を適用することができる。
【0072】
次いで、毎フレームごと、露光期間が変化したことを認識すると、次のフレームでの露光情報に基づいて、駆動コントローラ158のAFモジュール内で、次のフレームにおける位相のずらし量βを算出する。そして、ウォブリングを行わないタイミング、すなわちウォブリング制御信号の値が変化しないタイミングで、算出した位相のずらし量を反映させる。これは、ウォブリング中にウォブリング制御信号の波形の傾きの変化を防止するためである。位相のずらし量βは、露光期間や検波領域に基づいて算出することができる。ここで、位相のずらし量に変化がない場合には、ウォブリング制御信号のスロープの長さは1フレーム(1V)となる。しかし、露光期間が変化した直後では、位相のずらし量がαからβに変化した場合、ウォブリング制御信号のスロープの長さは1+(β−α)Vとなる。
【0073】
1スロープの長さが1Vから1+(β−α)Vとなると、ウォブリング回避区間でのウォブリングを回避するため、露光期間が変化しなければ破線で示す波形で制御されたウォブリングが、ウォブリング中のフォーカスレンズ114を一定時間停止させる動作が延長される。これにより、ウォブリング制御信号は、図7に示す実線の波形のようになる。
【0074】
一方、ウォブリング以外の動作によるフォーカスレンズ114の移動制御信号(例えば、山登りAF等の制御信号)も、ウォブリング制御信号の位相のずれと同期して、位相のずらし量がαからβとなる。これにより、露光期間が変化しなければ破線で示す波形であった移動制御信号は、図7に示すように、検波領域の開始位置において傾きが変化し、検波領域の終了位置を過ぎるまでその傾きが維持される。すなわち、移動制御信号は、垂直同期信号のタイミングで波形の傾きが変化し、この傾きは下記の数式1により表される。
【0075】
K=K×α/β ・・・(数式1)
ここで、Kは位相のずらし量が変化する前の波形の傾きを示し、Kは位相のずらし量が変化した後の波形の傾きを示す。また、垂直同期信号から位相のずらし量βが経過すると、移動制御信号の傾きはゼロとなる。
【0076】
なお、露光期間変化後の位相のずらし量βは、検波領域における焦点評価への影響を低減するため、検波領域を露光している期間(すなわち、ウォブリング回避区間)における各制御信号の波形の傾きの中心が検波領域の中央ラインの中心となるように決定される。このため、各制御信号は、露光期間が短くなった後においてウォブリング回避区間が過ぎた後も当該ウォブリング回避区間の開始位置において変化した傾きが維持されるようになっている。
【0077】
このようなウォブリング制御信号および移動制御信号の位相の変化により各信号の波形は同期して変化し、フォーカスレンズ114全体の動きとしては、図7の実線で示す波形で表わされる。本例では、位相のずらし量に変化がある場合に、垂直同期信号のタイミングでフォーカスレンズ制御信号の波形が変化する。したがって、フォーカスレンズ制御信号の波形は少々複雑になるが、露光期間の変化に対しては素早く追従することができる。なお、本例では、1フレーム内に傾きの変化が生じるため、このような信号処理も可能なカメラLSI150を用いる必要がある。また、本例では、露光期間が長い状態から短い状態へ変化しているため、位相のずらし量は増加するが、逆の場合(露光期間が短い状態から長い状態へ変化する場合)には位相のずらし量は減少する。
【0078】
[実施例5.2フレーム後における位相のずらし量を算出する場合のフォーカスレンズ制御信号の生成処理]
次に、図8に基づいて、2フレーム後における位相のずらし量を算出する場合のフォーカスレンズ制御信号の生成処理について説明する。実施例5では、実施例4と同様、露光期間が長い状態から露光期間が短い状態に変化した場合を示す。本例においても、1フレームおきにウォブリングを行うものとする。
【0079】
露光期間が変化する前の状態(露光期間が長い状態)では、位相のずらし量はαであり、位相のずらし量αは、2フレーム前におけるAFモジュールがアクティブとなるタイミングで決定される。そして、ウォブリング以外の動作によるフォーカスレンズ114の移動制御信号もαだけ位相がずれており、フォーカスレンズ114全体として、位相がαだけずれた波形となっている。かかる処理は、第1の実施形態にかかるフォーカスレンズ制御信号の生成処理を適用することができる。
【0080】
次いで、露光期間が変化したことを認識すると、駆動コントローラ158のAFモジュール内で、2フレーム後における位相のずらし量βを算出する。位相のずらし量βは、露光期間や検波領域に基づいて算出することができる。ここで、位相のずらし量に変化がない場合には、ウォブリング制御信号のスロープの長さは1フレーム(1V)となる。しかし、位相のずらし量がαからβに変化した場合、露光期間が変化した時点から2フレーム後におけるウォブリング制御信号のスロープの長さは1+(β−α)Vとなる。
【0081】
このとき、露光期間が変化した次のフレームにおいては変化前の位相のずらし量αのままであるため、ウォブリング中のフォーカスレンズ114を一定時間停止させる動作は1フレームだけ行われる。そして、次の1+(β−α)フレームにおいて、フォーカスレンズ114を撮像センサ140に接近する方向に一定距離移動させる動作が行われる。このときの移動速度は等速である。そうすると、ウォブリング制御信号の波形は、図8の実線で示す形状となる。
【0082】
一方、ウォブリング以外の動作によるフォーカスレンズ114の移動制御信号(例えば、山登りAF等の制御信号)も、ウォブリング制御信号の位相のずれと同期して、位相のずらし量がαからβとなる。本例では、移動制御信号は、露光期間が変化してから2フレーム後では変化しないため、露光期間の変化の前後で波形は変化しない。
【0083】
このようにウォブリング制御信号および移動制御信号の位相の変化により各信号の波形は同期して変化し、フォーカスレンズ114全体の動きとしては、図8の実線で示す波形で表わされる。本例では、露光期間の変化に1フレーム遅れて追従することになるが、垂直同期信号のタイミングでのフォーカスレンズ制御信号の変化がなくなり、スムーズに位相のずらし量を変更することができる。この結果、ウォブリング中にフォーカスレンズ制御信号の波形の傾きが変化しないので、位相のずらし量の更新は毎フレーム行うことができる。また、本例では、1フレーム内での傾きの変化がないため、処理内容に応じてカメラLSI150を選ばなくともよい。
【0084】
以上、本実施形態にかかるフォーカスレンズ114を駆動するフォーカスレンズ制御信号の生成処理についての2つの例を説明した。なお、実施例4および実施例5では、第1の実施形態で示した実施例2および実施例3のように、フォーカスレンズ114のズームトラッキングによる移動制御信号の位相のずれと同期して、ズームレンズ制御信号の位相をずらすこともできる。
【0085】
第2の実施形態では、露光期間が変化した場合におけるフォーカスレンズ制御信号の生成処理について説明した。露光期間が変化した場合にも、第1の実施形態と同様に、ウォブリング制御信号と、それ以外のフォーカスレンズ114の動作による移動制御信号とを同期させて位相をずらし、フォーカスレンズ制御信号を生成する。これにより、ウォブリング回避区間におけるフォーカスレンズ114の移動を回避することができ、検波領域に対するフォーカスを高精度に行うことができる。
【0086】
<3.第3の実施形態>
次に、図9に基づいて、本発明の第3の実施形態にかかる撮像装置100におけるレンズブロック110の駆動方法について説明する。本実施形態にかかる撮像装置100の構成は、第1の実施形態の撮像装置100と同一とすることができる。本実施形態では、第1および第2の実施形態では1フレームおきに焦点評価を行っていたのに対し、毎フレーム焦点評価を行う。以下では、本実施形態にかかるフォーカスレンズ制御信号の生成方法の詳細について説明するが、第1の実施形態と同一である撮像装置100の構成と、第1および第2の実施形態と共通するフォーカスレンズ114の駆動方法についての詳細な説明は省略する。なお、図9は、本実施形態にかかるフォーカス制御信号の一例を示す説明図である。
【0087】
[毎フレーム焦点評価を行う場合のフォーカスレンズ制御信号の生成処理]
本例では、検波領域内の焦点評価値を毎フレーム使用する場合、すなわち、2フレーム周期のウォブリングを行う場合を説明する。2フレーム周期のウォブリングは、図9に示すように、フォーカスレンズ114を撮像センサ140から離隔する方向に一定距離移動させる第1の期間と、フォーカスレンズ114を撮像センサ140に接近する方向に一定距離移動させる第2の期間とからなる一連の動作を繰り返し行うものである。ここで、図9の検波領域の中央ラインに挟まれた期間Tは、検波領域の中央ラインを露光していない期間である。
【0088】
毎フレームの焦点評価値を使用する場合や2フレーム周期でウォブリングを行う場合、図9に示すように、前後に位置する検波領域において一方の検波領域と他方のウォブリング回避区間とが重複する区間が発生する場合がある。このため、検波領域を露光していないタイミングでフォーカスを動かすことができない。かかる状況を考慮して、フォーカスレンズ制御信号およびズームレンズ制御信号の位相のずらし量を決定する必要がある。
【0089】
フォーカスレンズ制御信号およびズームレンズ制御信号の位相のずらし量を決定する方法の一例として、オートフォーカスの焦点評価を行う領域の中央画素の、露光期間内の平均的なフォーカスレンズ114のウォブリングによる差が最大となるように位相をずらす。すなわち、図9に示した検波領域の中央ラインを露光していない期間Tの中心に、ウォブリングの1スロープの駆動波形の中心が位置するようにウォブリング制御信号の位相をずらす。そして、ウォブリング制御信号の位相と同期してウォブリング以外のフォーカスレンズ114の動作を制御する移動制御信号や、ズームレンズ制御信号の位相をずらす。これにより、高精度にフォーカス処理を行うことができる。なお、本実施形態にかかる位相のずらし量の決定方法は、第1および第2の実施形態にも適用することができる。
【0090】
<4.ハードウェア構成>
第1〜第3の実施形態において説明した一連のフォーカスレンズ制御信号の生成処理は、ハードウェアにより実行させることもでき、ソフトウェアによって実行させることもできる。この場合、撮像装置100には、図10に示すようなコンピュータも含まれる。図10は、本実施形態にかかる撮像装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0091】
撮像装置100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、ホストバス104aとを備える。また、撮像装置100は、ブリッジ104と、外部バス104bと、インタフェース105と、入力装置106と、出力装置107と、ストレージ装置(HDD)108と、ドライブ109と、接続ポート111と、通信装置113とを備える。
【0092】
CPU101は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って撮像装置100内の動作全般を制御する。また、CPU101は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM102は、CPU101が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM103は、CPU101の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス104aにより相互に接続されている。
【0093】
ホストバス104aは、ブリッジ104を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス104bに接続されている。なお、必ずしもホストバス104a、ブリッジ104および外部バス104bを分離構成する必要はなく、一のバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0094】
入力装置106は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイク、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU101に出力する入力制御回路などから構成されている。撮像装置100のユーザは、該入力装置106を操作することにより、撮像装置100に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0095】
出力装置107は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示装置を含む。さらに、出力装置107は、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置を含む。
【0096】
ストレージ装置108は、撮像装置100の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置108は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置108は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置108は、ハードディスクを駆動し、CPU101が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0097】
ドライブ109は、記憶媒体用リーダライタであり、撮像装置100に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ109は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体に記録されている情報を読み出して、RAM103に出力する。
【0098】
接続ポート111は、外部機器と接続されるインタフェースであって、例えばUSB(Universal Serial Bus)などによりデータ伝送可能な外部機器との接続口である。また、通信装置113は、例えば、通信網15に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置112は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、ワイヤレスUSB対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0099】
以上、本発明の実施形態について説明した。これらの実施形態によれば、ウォブリング制御信号と、それ以外の制御信号との位相を同期させてずらすことにより、ハードウェア、ソフトウェアのシステム構成を複雑にすることがない。また、電子シャッタ露光期間が変化して検波領域内の露光期間が変化しても、同様に、フォーカスレンズ114、ズームレンズ112を同位相で制御することもできる。これにより、システム構成の制約を少なくすることができ、安定したオートフォーカス性能、ズームトラッキング性能を向上させることができる。
【0100】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0101】
例えば、上記実施形態では、検波領域の位置は画像の中央部分としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、図14に示したように、スポットフォーカスや顔認識オートフォーカス等により、撮像領域内のピントを合わせる位置や大きさに応じて変更してもよい。また、上記第2および第3の実施形態においても、ウォブリング制御信号に同期してズームレンズ制御信号の位相を動かすようにしてもよい。
【符号の説明】
【0102】
100 撮像装置
110 レンズブロック
112 ズームレンズ
114 フォーカスレンズ
122 ズームレンズ駆動モータ
124 フォーカスレンズ駆動モータ
130 レンズドライバ
140 撮像センサ
150 カメラLSI
152 カメラ信号処理回路
154 ゲート部
156 検波器
158 駆動コントローラ
160 撮像素子ドライバ
170 メモリ部
172 メモリ
174 メモリコントローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直同期信号の周期に同期して被写体を撮像する撮像部により取得した画像信号に基づいて、画像中の焦点評価を行う領域である検波領域における焦点評価値を算出する評価値算出部と、
前記焦点評価値に基づいて、被写体のフォーカス位置を調整するフォーカスレンズの移動量を算出する移動量算出部と、
前記フォーカスレンズを合焦へ向かうように移動させる方向を検出するウォブリング動作を制御するウォブリング制御信号を生成するウォブリング制御部と、
前記ウォブリング動作以外の動作によるフォーカスレンズの移動を制御する移動制御信号を生成する移動制御部と、
前記ウォブリング制御信号および前記移動制御信号の位相を変更する位相変更部と、
前記ウォブリング制御信号および前記移動制御信号に基づいて、前記フォーカスレンズ全体を移動させるフォーカスレンズ制御信号を生成するフォーカスレンズ制御部と、
を備え、
前記位相変更部は、
前記検波領域が露光されている間は前記ウォブリング動作を回避するように前記ウォブリング信号の位相を変更し、
前記ウォブリング信号と同期させて前記移動制御信号の位相を変更する、レンズ駆動制御装置。
【請求項2】
前記移動制御部は、前記移動量および前記フォーカスレンズの移動方向に基づいて、前記フォーカスレンズを合焦する位置に移動させる移動制御信号を生成する、請求項1に記載のレンズ駆動制御装置。
【請求項3】
撮像する画像の画角を任意の位置に調整するズームレンズを制御するズームレンズ制御信号を生成するズームレンズ制御部をさらに備え、
前記移動制御部は、前記ズームレンズの移動に応じて前記フォーカスレンズを移動させるズームトラッキングを制御する移動制御信号を生成し、
前記ズームレンズ制御部は、前記ウォブリング制御信号と同期して前記ズームレンズ制御信号の位相を変更する、請求項1または2に記載のレンズ駆動制御装置。
【請求項4】
前記位相変更部は、
露光期間を制御する露光制御部から入力された露光期間に基づいて、露光期間が変化したフレームの次フレームにおける前記ウォブリング制御信号の位相のずらし量を算出し、
前記ウォブリング制御信号および当該ウォブリング制御信号に同期して変化する前記ウォブリング制御信号以外の制御信号の傾きが前記検波領域の露光期間中変化しないように位相を変更する、請求項1〜3のいずれかに記載のレンズ駆動制御装置。
【請求項5】
前記位相変更部は、
露光期間を制御する露光制御部から入力された露光期間に基づいて、露光期間が変化したフレームから2フレーム後における前記ウォブリング制御信号の位相のずらし量を算出し、
前記露光期間が変化したフレームの次フレームまでは露光期間変化前の位相のずらし量で前記ウォブリング制御信号および当該ウォブリング制御信号に同期して変化する前記ウォブリング制御信号以外の制御信号の位相を変更し、露光期間が変化したフレームから2フレーム後において露光期間変化後の位相のずらし量で前記ウォブリング制御信号および前記ウォブリング制御信号以外の制御信号の位相を変更して傾きを変化させる、請求項1〜3のいずれかに記載のレンズ駆動制御装置。
【請求項6】
前記位相変更部は、前記検波領域の中央ラインの露光期間における、前記ウォブリング動作による平均的な前記フォーカスレンズの位置の差が最大となるように、前記ウォブリング制御信号の位相のずらし量を算出する、請求項1〜5のいずれかに記載のレンズ駆動制御装置。
【請求項7】
前記位相変更部は、前記検波領域の中央ラインの露光期間の中心と前記ウォブリング動作の1区間の動作の中心と一致するように、前記ウォブリング制御信号の位相のずらし量を算出する、請求項1〜6のいずれかに記載のレンズ駆動制御装置。
【請求項8】
垂直同期信号の周期に同期して被写体を撮像して画像信号を生成する撮像部と、
被写体像を集光して前記撮像部に照射する光学部材と、被写体像のフォーカス位置を調整するフォーカスレンズとを有するレンズ部と、
前記フォーカスレンズ全体を移動させるフォーカスレンズ制御信号に基づいて、前記フォーカスレンズを駆動する駆動部と、
前記撮像部から取得した画像信号に基づいて、画像中の焦点評価を行う領域である検波領域における焦点評価値を算出する評価値算出部と、
前記焦点評価値に基づいて、被写体のフォーカス位置を調整するフォーカスレンズの移動量を算出する移動量算出部と、
前記フォーカスレンズを合焦へ向かうように移動させる方向を検出するウォブリング動作を制御するウォブリング制御信号を生成するウォブリング制御部と、
前記ウォブリング動作以外の動作によるフォーカスレンズの移動を制御する移動制御信号を生成する移動制御部と、
前記ウォブリング制御信号および前記移動制御信号の位相を変更する位相変更部と、
前記ウォブリング制御信号および前記移動制御信号に基づいて、前記フォーカスレンズ制御信号を生成するフォーカスレンズ制御部と、
を備え、
前記位相変更部は、
前記検波領域が露光されている間は前記ウォブリング動作を回避するように前記ウォブリング信号の位相を変更し、
前記ウォブリング信号と同期させて前記移動制御信号の位相を変更する、撮像装置。
【請求項9】
垂直同期信号の周期に同期して被写体を撮像する撮像部により取得した画像信号に基づいて、画像中の焦点評価を行う領域である検波領域における焦点評価値を算出するステップと、
前記焦点評価値に基づいて、被写体のフォーカス位置を調整するフォーカスレンズの移動量を算出するステップと、
前記フォーカスレンズを合焦へ向かうように移動させる方向を検出するウォブリング動作を制御するウォブリング制御信号を生成するステップと、
前記ウォブリング動作以外の動作によるフォーカスレンズの移動を制御する移動制御信号を生成するステップと、
前記ウォブリング制御信号および前記移動制御信号の位相を変更するステップと、
前記ウォブリング制御信号および前記移動制御信号に基づいて、前記フォーカスレンズ全体を移動させるフォーカスレンズ制御信号を生成するステップと、
を含み、
位相を変更するステップでは、
前記検波領域が露光されている間は前記ウォブリング動作を回避するように前記ウォブリング信号の位相を変更し、
前記ウォブリング信号と同期させて前記移動制御信号の位相を変更する、レンズ駆動制御方法。
【請求項10】
垂直同期信号の周期に同期して被写体を撮像する撮像部により取得した画像信号に基づいて、画像中の焦点評価を行う領域である検波領域における焦点評価値を算出する評価値算出手段と、
前記焦点評価値に基づいて、被写体のフォーカス位置を調整するフォーカスレンズの移動量を算出する移動量算出手段と、
前記フォーカスレンズを合焦へ向かうように移動させる方向を検出するウォブリング動作を制御するウォブリング制御信号を生成するウォブリング制御手段と、
前記ウォブリング動作以外の動作によるフォーカスレンズの移動を制御する移動制御信号を生成する移動制御手段と、
前記ウォブリング制御信号および前記移動制御信号の位相を変更する位相変更手段と、
前記ウォブリング制御信号および前記移動制御信号に基づいて、前記フォーカスレンズ全体を移動させるフォーカスレンズ制御信号を生成するフォーカスレンズ制御手段と、
を備え、
前記位相変更手段は、
前記検波領域が露光されている間は前記ウォブリング動作を回避するように前記ウォブリング信号の位相を変更し、
前記ウォブリング信号と同期させて前記移動制御信号の位相を変更する、レンズ駆動制御装置として機能させるためのコンピュータプログラム。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2010−170051(P2010−170051A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14682(P2009−14682)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】