レンズ駆動装置
【課題】本発明は、小型化を可能にしたレンズ駆動装置を提供する。
【解決手段】レンズ駆動装置は、第1の手振れ補正用コイル11,12においてX軸線方向に延在する第1のコイル中心軸線C1は、X軸線に対してY軸線方向にオフセットされ、第1の駆動マグネット16,17においてX軸線方向に延在する第1のマグネット中心軸線M1は、X軸線に対して、Y軸線方向で且つ第1のコイル中心軸線C1と反対側にオフセットされ、第2の手振れ補正用コイル13,14においてY軸線方向に延在する第2のコイル中心軸線C2は、Y軸線に対してX軸線方向にオフセットされ、第2の駆動マグネット18,19においてY軸線方向に延在する第2のマグネット中心軸線M2は、Y軸線に対して、X軸線方向で且つ第2のコイル中心軸線C2と反対側にオフセットされている。
【解決手段】レンズ駆動装置は、第1の手振れ補正用コイル11,12においてX軸線方向に延在する第1のコイル中心軸線C1は、X軸線に対してY軸線方向にオフセットされ、第1の駆動マグネット16,17においてX軸線方向に延在する第1のマグネット中心軸線M1は、X軸線に対して、Y軸線方向で且つ第1のコイル中心軸線C1と反対側にオフセットされ、第2の手振れ補正用コイル13,14においてY軸線方向に延在する第2のコイル中心軸線C2は、Y軸線に対してX軸線方向にオフセットされ、第2の駆動マグネット18,19においてY軸線方向に延在する第2のマグネット中心軸線M2は、Y軸線に対して、X軸線方向で且つ第2のコイル中心軸線C2と反対側にオフセットされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手振れ防止機能を有するレンズ駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開2007−68273号公報がある。この公報に記載されたレンズ駆動装置は、中空円筒状の内側ヨークを有し、この内側ヨークを包囲するように、所定の間隔をおいて外側四方に4つの角板状の外側ヨークが立設されている。そして、内側ヨーク内には円筒状のレンズフードが配置され、レンズフードは連結部材によって第1可動コイルに連結され、レンズフード内には主レンズが取り付けられる。また、内側ヨークの外側には中空円筒状の第1可動コイルが軸方向(Z方向)に移動可能に嵌められ、各外側ヨークの内面かつ第1可動コイルの外側には、角板状の永久磁石が設けられている。さらに、隣り合う永久磁石によって形成される4つの角部にはそれぞれ第2可動コイルが嵌るように設けられている。従って、第1可動コイルに流れる電流の向きを制御することで、主レンズをZ方向に駆動させることができ、それぞれの第2可動コイルに流れる電流の向きを制御して、X―Y平面の任意の方向にレンズを駆動させことができる。このようにして、通常のズームやフォーカス以外に、手振れによる結像ブレを補正することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−68273号公報(図1〜図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来のレンズ駆動装置では、第2可動コイルが、隣り合う永久磁石によって形成される4つの角部に嵌るように設けられている。さらに、4枚の永久磁石は、中空円筒状の内側ヨークを取り囲むように、四角形の各辺上に配置されると共に、第2可動コイル全てに対向させる必要があるので、四角形の各辺の全長に渡って延在させている。しかしながら、レンズ駆動装置にこのような構成を採用すると、コイルが複雑化、大型化し、マグネットも大型化するので、レンズ駆動装置の小型化を図り難いといった問題点がある。
【0005】
本発明は、小型化を可能にしたレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るレンズ駆動装置は、
Z軸線に沿って延在する光軸を有するレンズと、
Z軸線を中心に巻かれた駆動コイルを有する第1の部材と、
Z軸線に対して直交するX軸線を中心に巻かれた第1の手振れ補正用コイルが対向して配置されると共に、Z軸線及びX軸線に対して直交するY軸線を中心に巻かれた第2の手振れ補正用コイルが対向して配置された第2の部材と、
駆動コイル及び各第1の手振れ補正用コイルに対向して配置された第1の駆動マグネットと、駆動コイル及び各第2の手振れ補正用コイルに対向して配置された第2の駆動マグネットとが配置された第3の部材と、を備え、
第1の部材、第2の部材、第3の部材のうち一つは、固定側の部材であって、レンズは、第1の部材、第2の部材、第3の部材のうち少なくとも移動する部材の一つに保持され、
第1の手振れ補正用コイルにおいてX軸線方向に延在する第1のコイル中心軸線は、X軸線に対してY軸線方向にオフセットされ、
第1の駆動マグネットにおいてX軸線方向に延在する第1のマグネット中心軸線は、X軸線に対して、Y軸線方向で且つ第1のコイル中心軸線と反対側にオフセットされ、
第2の手振れ補正用コイルにおいてY軸線方向に延在する第2のコイル中心軸線は、Y軸線に対してX軸線方向にオフセットされ、
第2の駆動マグネットにおいてY軸線方向に延在する第2のマグネット中心軸線は、Y軸線に対して、X軸線方向で且つ第2のコイル中心軸線と反対側にオフセットされていることを特徴とする。
【0007】
このような構成のレンズ駆動装置は、手振れ補正機能として平坦な形状の手振れ補正用コイルを利用することができ、駆動マグネットも大型化させる必要がないので、レンズ駆動装置の小型化を達成させることができる。
【0008】
また、レンズが第1の部材に保持され、第1の部材の周囲に第3の部材が配置され、第3の部材の周囲に固定側である第2の部材が配置され、Z軸線に概ね沿うように延在するワイヤの一端が第2の部材に固定され、ワイヤの他端が第3の部材に固定されて、ワイヤは緊張状態で第2の部材と第3の部材とを連結し、
ワイヤは、Z軸線の周囲におけるX軸線とY軸線との間のそれぞれの4カ所に配置され、それぞれのワイヤによって第3の部材は、X軸線とY軸線を含む平面方向に略平行移動すると好適である。
このような構成を採用すると、第1の部材と第2の部材との間に配置された第3の部材は、ワイヤによってX−Y平面内で略平行移動させることができるので、レンズの傾きを抑えて、手振れ補正を確実に達成させることができる。
【0009】
また、ワイヤは導電性部材からなり、第2の部材には、ワイヤの一端が連結された外部給電板が固定され、第3の部材に固定されたワイヤの他端は、駆動コイルに電気的に接続されていると好適である。
このような構成を採用すると、ワイヤを駆動コイルの給電配線として利用することができる。
【0010】
また、Z軸線上で第1の部材を挟むように第1及び第2の板バネが互いに平行に配置され、
第1の板バネの外周側は、第3の部材のZ軸線における一端に固定され、第1の板バネの内周側は、第1の部材のZ軸線における一端に固定され、
導電性を有する第2の板バネの外周側は、第3の部材のZ軸線における他端及びワイヤの他端に連結され、第2の板バネの内周側は、第1の部材のZ軸線における他端及び駆動コイルのコイル線に連結されていると好適である。
このような構成を採用すると、駆動コイルへの外部給電にあたって、ワイヤが給電配線として機能することと相俟って、第2の板バネを給電部材として利用することができるので、給電構造を簡素化させることができる。さらに、板バネを利用することで、コイルバネと比較して小さなバネ力を容易に作り出すことができるので、第1の部材の駆動力が小さくてもスムーズにレンズを光軸方向(Z軸線方向)に移動させることができる。
【0011】
また、第2の部材に固定されて光入射窓が形成された前面カバー部の裏面にホール素子が固定され、第3の部材のZ軸線における一端には、ホール素子に対向して配置されるセンサ用磁石が固定されていると好適である。
第3の部材の一端が前面カバー部に接近し、可動側にセンサ用磁石を配置させ、固定側にホール素子を配置させているので、ホール素子への給電が容易であり、コスト低減が可能なホール素子の有効利用を可能にしている。このホール素子は、手振れ補正のために第3の部材のX−Y平面内の移動を検知するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るレンズ駆動装置の一実施形態を示す外観斜視図である。
【図2】レンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図3】レンズ駆動装置の要部を示す平面図である。
【図4】光入射側からみたレンズ駆動装置の内部構造を示す斜視図である。
【図5】光出射側からみたレンズ駆動装置の内部構造を示す斜視図である。
【図6】レンズ駆動装置の断面図である。
【図7】レンズ駆動装置の内部構造を示す断面図である。
【図8】レンズ駆動装置から前面カバー部及び背面カバー部を外した状態を示す斜視図である。
【図9】レンズ駆動装置から筐体を外した状態を示す斜視図である。
【図10】フレキシブル基板に固定されたホール素子とセンサ用磁石との配置関係を示す斜視図である。
【図11】レンズ駆動装置のAF駆動原理及び手振れ防止駆動原理を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るレンズ駆動装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0015】
図1に示すように、レンズ駆動装置1は、直方体からなる筐体2内にレンズ駆動機構が具備されて、ユニット化されたものである。筐体2は、正方形状の外枠(第2の部材)3と、外枠3に蓋をするように外枠3に固定された前面カバー部4及び背面カバー部5とからなる。
【0016】
図2及び図3に示すように、前面カバー部4には、光入射窓4aが形成され、背面カバー部5には、光出射窓5aが形成されている。筐体2内に配置されるレンズ枠(第1の部材)7には、Z軸線に沿って延在する光軸を有するレンズ8が保持され、レンズ枠7の周囲には、Z軸線を中心に駆動コイル9が断面八角形の筒状に巻かれている。そして、外枠3とレンズ枠7との間には、筒状の中間枠(第3の部材)10が配置され、中間枠10は、断面八角形をなしている。
【0017】
外枠3には、Z軸線に対して直交するX軸線を中心に扁平に巻かれた第1の手振れ補正用コイル11,12がZ軸線を挟んで対向して配置されると共に、Z軸線及びX軸線に対して直交するY軸線を中心に扁平に巻かれた第2の手振れ補正用コイル13,14がZ軸線を挟んで対向して配置されている。
【0018】
中間枠10には、駆動コイル9及び各第1の手振れ補正用コイル11,12に対向して、第1の駆動マグネット16,17が配置されると共に、駆動コイル9及び各第2の手振れ補正用コイル13,14に対向して、第2の駆動マグネット18,19が配置されている。そして、第1及び第2の駆動マグネット16,17,18,19は、駆動コイル9の巻き中心の方向に着磁されている。このような構成により、外枠3に対して中間枠10がX―Y平面方向に移動されることで手振れを防止し、中間枠10に対してレンズ枠7がZ軸線方向に移動されることで、フォーカス又はズームを行う。
【0019】
さらに、第1の手振れ補正用コイル11,12においてX軸線方向に延在する第1のコイル中心軸線C1は、X軸線に対してY軸線の延在方向にオフセットされている。第1の駆動マグネット16,17においてX軸線の延在方向に延在する第1のマグネット中心軸線M1は、X軸線に対して、Y軸線方向で且つ第1のコイル中心軸線C1と反対側にオフセットされている。
【0020】
具体的に、第1の手振れ補正用コイル11の第1のコイル中心軸線C1は、Y軸線の矢印方向にオフセットされ、第1の駆動マグネット16の第1のマグネット中心軸線M1は、Y軸線の矢印と反対側にオフセットされている。同様に、第1の手振れ補正用コイル12の第1のコイル中心軸線C1は、Y軸線の矢印と反対側にオフセットされ、第1の駆動マグネット17の第1のマグネット中心軸線M1は、Y軸線の矢印方向にオフセットされている。これによって、第1の手振れ補正用コイル11のZ軸線方向の平行な直線部11a,11bの一方のみと、第1の手振れ補正用コイル12のZ軸線方向の平行な直線部12a,12bの一方のみとを第1の駆動マグネット16,17にそれぞれ対面させることができ、外枠3に対して中間枠10をY方向に移動させるようなローレンツ力を適切に発生させることができる。
【0021】
第2の手振れ補正用コイル13,14においてY軸線方向に延在する第2のコイル中心軸線C2は、Y軸線に対してX軸線の延在方向にオフセットされている。第2の駆動マグネット18,19においてY軸線方向に延在する第2のマグネット中心軸線M2は、Y軸線に対して、X軸線の延在方向で且つ第2のコイル中心軸線C2と反対側にオフセットされている。
【0022】
具体的に、第2の手振れ補正用コイル13の第2のコイル中心軸線C2は、X軸線の矢印方向にオフセットされ、第2の駆動マグネット18の第2のマグネット中心軸線M2は、X軸線の矢印と反対側にオフセットされている。同様に、第2の手振れ補正用コイル14の第2のコイル中心軸線C2は、X軸線の矢印と反対側にオフセットされ、第2の駆動マグネット19の第2のマグネット中心軸線M2は、X軸線の矢印方向にオフセットされている。これによって、第2の手振れ補正用コイル13のZ軸線方向の平行な直線部13a,13bの一方のみと、第2の手振れ補正用コイル14のZ軸線方向の平行な直線部14a,14bの一方のみとを第2の駆動マグネット18,19にそれぞれ対面させることができ、外枠3に対して中間枠10をX方向に移動させるようなローレンツ力を適切に発生させることができる。
【0023】
このような構成のレンズ駆動装置1は、手振れ補正機能として平坦で偏平な形状の手振れ補正用コイル11〜14を利用することができ、駆動マグネット16〜19も大型化させる必要がないので、レンズ駆動装置1の小型化を達成させることができる。
【0024】
さらに、中間枠10の内周側には、駆動マグネット16〜19の一極側の着磁表面の全てが露出し、中間枠10の外周側には、駆動マグネット16〜19の他極側の着磁表面のうち、手振れ補正用コイル11〜14の直線部11a〜14aに対向する部分のみが、中間枠10の外周面に形成された露出窓10dによって露出させられている。これによって、駆動マグネット16〜19は、駆動コイル9に対して大きな磁力を適用させることができ、手振れ補正用コイル11〜14に対し小さくても必要十分な磁力を適用させることができる。このことは、駆動コイル9と手振れ補正用コイル11〜14とで磁力の共有化をするにあたって、駆動マグネット16〜19の磁力の有効活用を図っている。
【0025】
図2、図4及び図5に示すように、Z軸線上でレンズ枠7を移動可能にするためレンズ枠7を挟むように第1及び第2の板バネ20,21が互いに平行に配置されている。第1の板バネ20の外周部20aは、中間枠10のZ軸線方向における端面10aに接着剤により固定され、第1の板バネ20の内周部20bは、レンズ枠7のZ軸線方向における端面7aに接着剤により固定されている。
【0026】
また、導電性の金属からなる第2の板バネ21の外周部21aは、中間枠10のZ軸線方向における他端のコーナに設けられた脚部10bの底面10cに接着剤により固定され、第2の板バネ21の内周部21bは、レンズ枠7のZ軸線方向における他端に設けられたフランジ部7bの底面7cに接着剤により固定されている。
【0027】
4個の第2の板バネ21は、同一形状を有し、それぞれが独立している。中間枠10及びレンズ枠7に固定される外周部21a及び内周部21bは、コーナに対向して配置され、外周部21aと内周部21bは、コーナ間の直線的な辺に沿って延びる弾性片21cにより連結されている。この弾性片21cは、省スペース化のために、U字状で略直線的な形状をなしている。
【0028】
4個の第2の板バネ21のそれぞれを独立させることで、互いに電気的に導通することがなく、第2の板バネ21を給電部品として利用することができ、しかも、独立したバネ性を確保することができる。そして、第2の板バネ21は、コイルバネと比較して小さなバネ力を容易に作り出すことができるので、レンズ枠7の駆動力が小さくてもスムーズにレンズ8を光軸方向(Z軸線方向)に移動させることができる。
【0029】
図2、図6〜図9に示すように、外枠3と中間枠10の各コーナは、4本のワイヤ30で連結されている。Z軸線に概ね平行(多少傾いている)に延在するワイヤ30の一端は、導電性の金属からなる略三角形状の固定板31にハンダによって連結され、この固定板31は、外枠3の端面3aのコーナに接着剤により固定されている。このワイヤ30の他端は、中間枠10に固定された第2の板バネ21の外周部21aにハンダによって連結されている。そして、第2の板バネ21の内周部21bには、駆動コイル9のコイル線がハンダにより連結されている。
【0030】
ワイヤ30は、外枠3のコーナの内側において外側の角部に向かって切り込まれたスリット33と、中間枠10の脚部10bに形成された窪み部34とを通って4本のワイヤ30が釣り合う緊張状態で外枠3と中間枠10とを連結している。そして、ワイヤ30は、Z軸線の周囲におけるX軸線とY軸線との間、すなわちコーナのそれぞれの4カ所に配置されている。従って、外枠3内で、中間枠10は、それぞれのワイヤ30によってX―Y平面上で略平行移動させることができ、レンズ枠7及び中間枠10の傾き、すなわちレンズ8の傾きを抑えて、手振れ補正を確実に達成させることができる。そして、レンズ動作時にレンズが傾くことに起因して光学性能が悪化してしまうことを防止できる。
【0031】
さらに、第2の板バネ21の内周部21bにハンダ付けされた駆動コイル9のコイル線への外部給電にあたって、導電性のワイヤ30が給電配線として機能することと相俟って、導電性の固定板31及び導電性の第2の板バネ21が給電部材として機能しているので、給電構造を簡素化させることができる。なお、4個の固定板31のうちの2個(片方しか図示せず)が外部給電板として機能し、筐体2から露出している(図1参照)。
【0032】
図2及び図10に示すように、筐体2の前面カバー部4の裏面には、L字形のフレキシブル基板40が接着剤によって固定され、このフレキシブル基板40の両端には、第1及び第2のホール素子41,42が固定されている。また、中間枠10の端面10aには、ホール素子41,42に対向して配置されるセンサ用磁石43,44が接着剤により固定されている。
【0033】
磁石43は、Z軸線方向において互いに逆方向に着磁された2個の磁石部43a,43bを有し、中間枠10の端面10a上で磁石部43aと磁石部43bとはY軸線方向に並設されている。従って、レンズ枠7及び中間枠10がY軸線方向に移動すると、磁石43も一緒にY軸線方向に移動し、ホール素子41に対する磁石部43a,43bの位置関係がY軸線上で変化するので、Y軸線方向における磁力の変化をホール素子41で検知することができる。
【0034】
同様に、磁石44は、Z軸線方向において互いに逆方向に着磁された2個の磁石部44a,44bを有し、中間枠10の端面10a上で磁石部44aと磁石部44bとはX軸線方向に並設されている。従って、レンズ枠7及び中間枠10がX軸線方向に移動すると、磁石43も一緒にX軸線方向に移動し、ホール素子42に対する磁石部44a,44bの位置関係がX軸線上で変化するので、X軸線方向における磁力の変化をホール素子42で検知することができる。
【0035】
中間枠10の一端が前面カバー部4に接近し、可動側にセンサ用磁石43,44を配置させ、固定側にホール素子41,42を配置させているので、ホール素子41,42への給電が容易であり、コスト低減が可能なホール素子41,42の有効利用を可能にしている。このホール素子41,42は、手振れ補正のために中間枠10のX−Y平面内の移動を検知するものである。
【0036】
図11には、第1及び第2の手振れ補正コイル11,12,13,14の第1及び第2の中心軸線C1,C2と第1及び第2の駆動マグネット16,17,18,19の第1及び第2のマグネット中心軸線M1,M2が、図3に示す方向と逆方向にオフセットされている例を示す。次に、図11に基づいて、レンズ駆動装置1のオートフォーカス(AF)駆動原理と、レンズ駆動装置1の手振れ防止駆動原理と、を簡単に説明する。なお、オートフォーカス駆動ではなく、ズーム駆動でもよいことは言うまでもない。図11において、第1及び第2の駆動マグネット16,17,18,19の磁界Bは駆動コイル9の巻き中心に向かっている。また、紙面の左右は、X軸線方向、紙面の上下は、Y軸線方向、紙面の表裏は、Z軸線方向である。
【0037】
図11(a)及び図3に示すように、AF駆動原理に関して、電流Iが駆動コイル9内を時計回りに流れている場合には、ローレンツ力Fは紙面の裏に向かって働くので、レンズ8が設けられたレンズ枠7は、紙面の裏に向かって動作する。これと反対に、電流Iが駆動コイル9内を反時計回りに流れている場合には、ローレンツ力Fは紙面の表に向かって働くので、レンズ8が設けられたレンズ枠7は、紙面の表に向かって動作する。
【0038】
図11(b)及び図3に示すように、手振れ防止駆動原理に関し、Z軸線方向において、第2の手振れ補正用コイル13の直線部13aに紙面から表向きに電流Iが流れ、第2の手振れ補正用コイル14の直線部14aに紙面の裏向きに電流Iが流れた場合、ローレンツ力Fは、紙面の右方向に働くので、レンズ枠7及び中間枠10は、紙面の右方向に向かって動作する。これと反対に、直線部13aに紙面の裏向きに電流Iが流れ、直線部14aに紙面から表向きに電流Iが流れた場合、ローレンツ力Fは、紙面の左方向に働くので、レンズ枠7及び中間枠10は、紙面の左方向に向かって動作する。なお、同様の原理で、レンズ枠7及び中間枠10は、対向する第1の手振れ補正用コイル11,12によって紙面の上下方向に動作する。
【0039】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、レンズは、第1の部材7のみに保持されるのではなく、他の第2、第3の部材3,10にも保持されていてもよい。第1の部材7と第2の部材3と第3の部材10との配置関係は、内側に第2の部材3、中間に第3の部材10、外側に第1の部材7が配置されてもよい。また、内側に第3の部材10、中間に第2の部材3、外側に第1の部材7が配置されてもよい。また、内側に第2の部材3、中間に第1の部材7、外側に第3の部材10が配置されてもよい。第1〜第3の部材7,3,10は、このうちいずれか一つの部材が固定側で、他の二つの部材が移動側であればよい。尚、第1〜第3の部材7,3,10のうち外側の部材が固定側(外枠)で、内側の部材にレンズが保持されると、より小型化に資する。
【符号の説明】
【0040】
1…レンズ駆動装置 3…外枠(第2の部材) 4…前面カバー部 4a…光入射窓 7…レンズ枠(第1の部材) 8…レンズ 9…駆動コイル 10…中間枠(第3の部材) 11〜14…手振れ補正用コイル 16〜19…駆動マグネット 20…第1の板バネ 20a,21a…外周部 20b,21b…内周部 21…第2の板バネ 30…ワイヤ 31…固定板(外部給電板) 41,42…ホール素子 43,44…センサ用磁石 C1,C2…コイル中心軸線 M1,M2…マグネット中心軸線
【技術分野】
【0001】
本発明は、手振れ防止機能を有するレンズ駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開2007−68273号公報がある。この公報に記載されたレンズ駆動装置は、中空円筒状の内側ヨークを有し、この内側ヨークを包囲するように、所定の間隔をおいて外側四方に4つの角板状の外側ヨークが立設されている。そして、内側ヨーク内には円筒状のレンズフードが配置され、レンズフードは連結部材によって第1可動コイルに連結され、レンズフード内には主レンズが取り付けられる。また、内側ヨークの外側には中空円筒状の第1可動コイルが軸方向(Z方向)に移動可能に嵌められ、各外側ヨークの内面かつ第1可動コイルの外側には、角板状の永久磁石が設けられている。さらに、隣り合う永久磁石によって形成される4つの角部にはそれぞれ第2可動コイルが嵌るように設けられている。従って、第1可動コイルに流れる電流の向きを制御することで、主レンズをZ方向に駆動させることができ、それぞれの第2可動コイルに流れる電流の向きを制御して、X―Y平面の任意の方向にレンズを駆動させことができる。このようにして、通常のズームやフォーカス以外に、手振れによる結像ブレを補正することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−68273号公報(図1〜図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来のレンズ駆動装置では、第2可動コイルが、隣り合う永久磁石によって形成される4つの角部に嵌るように設けられている。さらに、4枚の永久磁石は、中空円筒状の内側ヨークを取り囲むように、四角形の各辺上に配置されると共に、第2可動コイル全てに対向させる必要があるので、四角形の各辺の全長に渡って延在させている。しかしながら、レンズ駆動装置にこのような構成を採用すると、コイルが複雑化、大型化し、マグネットも大型化するので、レンズ駆動装置の小型化を図り難いといった問題点がある。
【0005】
本発明は、小型化を可能にしたレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るレンズ駆動装置は、
Z軸線に沿って延在する光軸を有するレンズと、
Z軸線を中心に巻かれた駆動コイルを有する第1の部材と、
Z軸線に対して直交するX軸線を中心に巻かれた第1の手振れ補正用コイルが対向して配置されると共に、Z軸線及びX軸線に対して直交するY軸線を中心に巻かれた第2の手振れ補正用コイルが対向して配置された第2の部材と、
駆動コイル及び各第1の手振れ補正用コイルに対向して配置された第1の駆動マグネットと、駆動コイル及び各第2の手振れ補正用コイルに対向して配置された第2の駆動マグネットとが配置された第3の部材と、を備え、
第1の部材、第2の部材、第3の部材のうち一つは、固定側の部材であって、レンズは、第1の部材、第2の部材、第3の部材のうち少なくとも移動する部材の一つに保持され、
第1の手振れ補正用コイルにおいてX軸線方向に延在する第1のコイル中心軸線は、X軸線に対してY軸線方向にオフセットされ、
第1の駆動マグネットにおいてX軸線方向に延在する第1のマグネット中心軸線は、X軸線に対して、Y軸線方向で且つ第1のコイル中心軸線と反対側にオフセットされ、
第2の手振れ補正用コイルにおいてY軸線方向に延在する第2のコイル中心軸線は、Y軸線に対してX軸線方向にオフセットされ、
第2の駆動マグネットにおいてY軸線方向に延在する第2のマグネット中心軸線は、Y軸線に対して、X軸線方向で且つ第2のコイル中心軸線と反対側にオフセットされていることを特徴とする。
【0007】
このような構成のレンズ駆動装置は、手振れ補正機能として平坦な形状の手振れ補正用コイルを利用することができ、駆動マグネットも大型化させる必要がないので、レンズ駆動装置の小型化を達成させることができる。
【0008】
また、レンズが第1の部材に保持され、第1の部材の周囲に第3の部材が配置され、第3の部材の周囲に固定側である第2の部材が配置され、Z軸線に概ね沿うように延在するワイヤの一端が第2の部材に固定され、ワイヤの他端が第3の部材に固定されて、ワイヤは緊張状態で第2の部材と第3の部材とを連結し、
ワイヤは、Z軸線の周囲におけるX軸線とY軸線との間のそれぞれの4カ所に配置され、それぞれのワイヤによって第3の部材は、X軸線とY軸線を含む平面方向に略平行移動すると好適である。
このような構成を採用すると、第1の部材と第2の部材との間に配置された第3の部材は、ワイヤによってX−Y平面内で略平行移動させることができるので、レンズの傾きを抑えて、手振れ補正を確実に達成させることができる。
【0009】
また、ワイヤは導電性部材からなり、第2の部材には、ワイヤの一端が連結された外部給電板が固定され、第3の部材に固定されたワイヤの他端は、駆動コイルに電気的に接続されていると好適である。
このような構成を採用すると、ワイヤを駆動コイルの給電配線として利用することができる。
【0010】
また、Z軸線上で第1の部材を挟むように第1及び第2の板バネが互いに平行に配置され、
第1の板バネの外周側は、第3の部材のZ軸線における一端に固定され、第1の板バネの内周側は、第1の部材のZ軸線における一端に固定され、
導電性を有する第2の板バネの外周側は、第3の部材のZ軸線における他端及びワイヤの他端に連結され、第2の板バネの内周側は、第1の部材のZ軸線における他端及び駆動コイルのコイル線に連結されていると好適である。
このような構成を採用すると、駆動コイルへの外部給電にあたって、ワイヤが給電配線として機能することと相俟って、第2の板バネを給電部材として利用することができるので、給電構造を簡素化させることができる。さらに、板バネを利用することで、コイルバネと比較して小さなバネ力を容易に作り出すことができるので、第1の部材の駆動力が小さくてもスムーズにレンズを光軸方向(Z軸線方向)に移動させることができる。
【0011】
また、第2の部材に固定されて光入射窓が形成された前面カバー部の裏面にホール素子が固定され、第3の部材のZ軸線における一端には、ホール素子に対向して配置されるセンサ用磁石が固定されていると好適である。
第3の部材の一端が前面カバー部に接近し、可動側にセンサ用磁石を配置させ、固定側にホール素子を配置させているので、ホール素子への給電が容易であり、コスト低減が可能なホール素子の有効利用を可能にしている。このホール素子は、手振れ補正のために第3の部材のX−Y平面内の移動を検知するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るレンズ駆動装置の一実施形態を示す外観斜視図である。
【図2】レンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図3】レンズ駆動装置の要部を示す平面図である。
【図4】光入射側からみたレンズ駆動装置の内部構造を示す斜視図である。
【図5】光出射側からみたレンズ駆動装置の内部構造を示す斜視図である。
【図6】レンズ駆動装置の断面図である。
【図7】レンズ駆動装置の内部構造を示す断面図である。
【図8】レンズ駆動装置から前面カバー部及び背面カバー部を外した状態を示す斜視図である。
【図9】レンズ駆動装置から筐体を外した状態を示す斜視図である。
【図10】フレキシブル基板に固定されたホール素子とセンサ用磁石との配置関係を示す斜視図である。
【図11】レンズ駆動装置のAF駆動原理及び手振れ防止駆動原理を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るレンズ駆動装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0015】
図1に示すように、レンズ駆動装置1は、直方体からなる筐体2内にレンズ駆動機構が具備されて、ユニット化されたものである。筐体2は、正方形状の外枠(第2の部材)3と、外枠3に蓋をするように外枠3に固定された前面カバー部4及び背面カバー部5とからなる。
【0016】
図2及び図3に示すように、前面カバー部4には、光入射窓4aが形成され、背面カバー部5には、光出射窓5aが形成されている。筐体2内に配置されるレンズ枠(第1の部材)7には、Z軸線に沿って延在する光軸を有するレンズ8が保持され、レンズ枠7の周囲には、Z軸線を中心に駆動コイル9が断面八角形の筒状に巻かれている。そして、外枠3とレンズ枠7との間には、筒状の中間枠(第3の部材)10が配置され、中間枠10は、断面八角形をなしている。
【0017】
外枠3には、Z軸線に対して直交するX軸線を中心に扁平に巻かれた第1の手振れ補正用コイル11,12がZ軸線を挟んで対向して配置されると共に、Z軸線及びX軸線に対して直交するY軸線を中心に扁平に巻かれた第2の手振れ補正用コイル13,14がZ軸線を挟んで対向して配置されている。
【0018】
中間枠10には、駆動コイル9及び各第1の手振れ補正用コイル11,12に対向して、第1の駆動マグネット16,17が配置されると共に、駆動コイル9及び各第2の手振れ補正用コイル13,14に対向して、第2の駆動マグネット18,19が配置されている。そして、第1及び第2の駆動マグネット16,17,18,19は、駆動コイル9の巻き中心の方向に着磁されている。このような構成により、外枠3に対して中間枠10がX―Y平面方向に移動されることで手振れを防止し、中間枠10に対してレンズ枠7がZ軸線方向に移動されることで、フォーカス又はズームを行う。
【0019】
さらに、第1の手振れ補正用コイル11,12においてX軸線方向に延在する第1のコイル中心軸線C1は、X軸線に対してY軸線の延在方向にオフセットされている。第1の駆動マグネット16,17においてX軸線の延在方向に延在する第1のマグネット中心軸線M1は、X軸線に対して、Y軸線方向で且つ第1のコイル中心軸線C1と反対側にオフセットされている。
【0020】
具体的に、第1の手振れ補正用コイル11の第1のコイル中心軸線C1は、Y軸線の矢印方向にオフセットされ、第1の駆動マグネット16の第1のマグネット中心軸線M1は、Y軸線の矢印と反対側にオフセットされている。同様に、第1の手振れ補正用コイル12の第1のコイル中心軸線C1は、Y軸線の矢印と反対側にオフセットされ、第1の駆動マグネット17の第1のマグネット中心軸線M1は、Y軸線の矢印方向にオフセットされている。これによって、第1の手振れ補正用コイル11のZ軸線方向の平行な直線部11a,11bの一方のみと、第1の手振れ補正用コイル12のZ軸線方向の平行な直線部12a,12bの一方のみとを第1の駆動マグネット16,17にそれぞれ対面させることができ、外枠3に対して中間枠10をY方向に移動させるようなローレンツ力を適切に発生させることができる。
【0021】
第2の手振れ補正用コイル13,14においてY軸線方向に延在する第2のコイル中心軸線C2は、Y軸線に対してX軸線の延在方向にオフセットされている。第2の駆動マグネット18,19においてY軸線方向に延在する第2のマグネット中心軸線M2は、Y軸線に対して、X軸線の延在方向で且つ第2のコイル中心軸線C2と反対側にオフセットされている。
【0022】
具体的に、第2の手振れ補正用コイル13の第2のコイル中心軸線C2は、X軸線の矢印方向にオフセットされ、第2の駆動マグネット18の第2のマグネット中心軸線M2は、X軸線の矢印と反対側にオフセットされている。同様に、第2の手振れ補正用コイル14の第2のコイル中心軸線C2は、X軸線の矢印と反対側にオフセットされ、第2の駆動マグネット19の第2のマグネット中心軸線M2は、X軸線の矢印方向にオフセットされている。これによって、第2の手振れ補正用コイル13のZ軸線方向の平行な直線部13a,13bの一方のみと、第2の手振れ補正用コイル14のZ軸線方向の平行な直線部14a,14bの一方のみとを第2の駆動マグネット18,19にそれぞれ対面させることができ、外枠3に対して中間枠10をX方向に移動させるようなローレンツ力を適切に発生させることができる。
【0023】
このような構成のレンズ駆動装置1は、手振れ補正機能として平坦で偏平な形状の手振れ補正用コイル11〜14を利用することができ、駆動マグネット16〜19も大型化させる必要がないので、レンズ駆動装置1の小型化を達成させることができる。
【0024】
さらに、中間枠10の内周側には、駆動マグネット16〜19の一極側の着磁表面の全てが露出し、中間枠10の外周側には、駆動マグネット16〜19の他極側の着磁表面のうち、手振れ補正用コイル11〜14の直線部11a〜14aに対向する部分のみが、中間枠10の外周面に形成された露出窓10dによって露出させられている。これによって、駆動マグネット16〜19は、駆動コイル9に対して大きな磁力を適用させることができ、手振れ補正用コイル11〜14に対し小さくても必要十分な磁力を適用させることができる。このことは、駆動コイル9と手振れ補正用コイル11〜14とで磁力の共有化をするにあたって、駆動マグネット16〜19の磁力の有効活用を図っている。
【0025】
図2、図4及び図5に示すように、Z軸線上でレンズ枠7を移動可能にするためレンズ枠7を挟むように第1及び第2の板バネ20,21が互いに平行に配置されている。第1の板バネ20の外周部20aは、中間枠10のZ軸線方向における端面10aに接着剤により固定され、第1の板バネ20の内周部20bは、レンズ枠7のZ軸線方向における端面7aに接着剤により固定されている。
【0026】
また、導電性の金属からなる第2の板バネ21の外周部21aは、中間枠10のZ軸線方向における他端のコーナに設けられた脚部10bの底面10cに接着剤により固定され、第2の板バネ21の内周部21bは、レンズ枠7のZ軸線方向における他端に設けられたフランジ部7bの底面7cに接着剤により固定されている。
【0027】
4個の第2の板バネ21は、同一形状を有し、それぞれが独立している。中間枠10及びレンズ枠7に固定される外周部21a及び内周部21bは、コーナに対向して配置され、外周部21aと内周部21bは、コーナ間の直線的な辺に沿って延びる弾性片21cにより連結されている。この弾性片21cは、省スペース化のために、U字状で略直線的な形状をなしている。
【0028】
4個の第2の板バネ21のそれぞれを独立させることで、互いに電気的に導通することがなく、第2の板バネ21を給電部品として利用することができ、しかも、独立したバネ性を確保することができる。そして、第2の板バネ21は、コイルバネと比較して小さなバネ力を容易に作り出すことができるので、レンズ枠7の駆動力が小さくてもスムーズにレンズ8を光軸方向(Z軸線方向)に移動させることができる。
【0029】
図2、図6〜図9に示すように、外枠3と中間枠10の各コーナは、4本のワイヤ30で連結されている。Z軸線に概ね平行(多少傾いている)に延在するワイヤ30の一端は、導電性の金属からなる略三角形状の固定板31にハンダによって連結され、この固定板31は、外枠3の端面3aのコーナに接着剤により固定されている。このワイヤ30の他端は、中間枠10に固定された第2の板バネ21の外周部21aにハンダによって連結されている。そして、第2の板バネ21の内周部21bには、駆動コイル9のコイル線がハンダにより連結されている。
【0030】
ワイヤ30は、外枠3のコーナの内側において外側の角部に向かって切り込まれたスリット33と、中間枠10の脚部10bに形成された窪み部34とを通って4本のワイヤ30が釣り合う緊張状態で外枠3と中間枠10とを連結している。そして、ワイヤ30は、Z軸線の周囲におけるX軸線とY軸線との間、すなわちコーナのそれぞれの4カ所に配置されている。従って、外枠3内で、中間枠10は、それぞれのワイヤ30によってX―Y平面上で略平行移動させることができ、レンズ枠7及び中間枠10の傾き、すなわちレンズ8の傾きを抑えて、手振れ補正を確実に達成させることができる。そして、レンズ動作時にレンズが傾くことに起因して光学性能が悪化してしまうことを防止できる。
【0031】
さらに、第2の板バネ21の内周部21bにハンダ付けされた駆動コイル9のコイル線への外部給電にあたって、導電性のワイヤ30が給電配線として機能することと相俟って、導電性の固定板31及び導電性の第2の板バネ21が給電部材として機能しているので、給電構造を簡素化させることができる。なお、4個の固定板31のうちの2個(片方しか図示せず)が外部給電板として機能し、筐体2から露出している(図1参照)。
【0032】
図2及び図10に示すように、筐体2の前面カバー部4の裏面には、L字形のフレキシブル基板40が接着剤によって固定され、このフレキシブル基板40の両端には、第1及び第2のホール素子41,42が固定されている。また、中間枠10の端面10aには、ホール素子41,42に対向して配置されるセンサ用磁石43,44が接着剤により固定されている。
【0033】
磁石43は、Z軸線方向において互いに逆方向に着磁された2個の磁石部43a,43bを有し、中間枠10の端面10a上で磁石部43aと磁石部43bとはY軸線方向に並設されている。従って、レンズ枠7及び中間枠10がY軸線方向に移動すると、磁石43も一緒にY軸線方向に移動し、ホール素子41に対する磁石部43a,43bの位置関係がY軸線上で変化するので、Y軸線方向における磁力の変化をホール素子41で検知することができる。
【0034】
同様に、磁石44は、Z軸線方向において互いに逆方向に着磁された2個の磁石部44a,44bを有し、中間枠10の端面10a上で磁石部44aと磁石部44bとはX軸線方向に並設されている。従って、レンズ枠7及び中間枠10がX軸線方向に移動すると、磁石43も一緒にX軸線方向に移動し、ホール素子42に対する磁石部44a,44bの位置関係がX軸線上で変化するので、X軸線方向における磁力の変化をホール素子42で検知することができる。
【0035】
中間枠10の一端が前面カバー部4に接近し、可動側にセンサ用磁石43,44を配置させ、固定側にホール素子41,42を配置させているので、ホール素子41,42への給電が容易であり、コスト低減が可能なホール素子41,42の有効利用を可能にしている。このホール素子41,42は、手振れ補正のために中間枠10のX−Y平面内の移動を検知するものである。
【0036】
図11には、第1及び第2の手振れ補正コイル11,12,13,14の第1及び第2の中心軸線C1,C2と第1及び第2の駆動マグネット16,17,18,19の第1及び第2のマグネット中心軸線M1,M2が、図3に示す方向と逆方向にオフセットされている例を示す。次に、図11に基づいて、レンズ駆動装置1のオートフォーカス(AF)駆動原理と、レンズ駆動装置1の手振れ防止駆動原理と、を簡単に説明する。なお、オートフォーカス駆動ではなく、ズーム駆動でもよいことは言うまでもない。図11において、第1及び第2の駆動マグネット16,17,18,19の磁界Bは駆動コイル9の巻き中心に向かっている。また、紙面の左右は、X軸線方向、紙面の上下は、Y軸線方向、紙面の表裏は、Z軸線方向である。
【0037】
図11(a)及び図3に示すように、AF駆動原理に関して、電流Iが駆動コイル9内を時計回りに流れている場合には、ローレンツ力Fは紙面の裏に向かって働くので、レンズ8が設けられたレンズ枠7は、紙面の裏に向かって動作する。これと反対に、電流Iが駆動コイル9内を反時計回りに流れている場合には、ローレンツ力Fは紙面の表に向かって働くので、レンズ8が設けられたレンズ枠7は、紙面の表に向かって動作する。
【0038】
図11(b)及び図3に示すように、手振れ防止駆動原理に関し、Z軸線方向において、第2の手振れ補正用コイル13の直線部13aに紙面から表向きに電流Iが流れ、第2の手振れ補正用コイル14の直線部14aに紙面の裏向きに電流Iが流れた場合、ローレンツ力Fは、紙面の右方向に働くので、レンズ枠7及び中間枠10は、紙面の右方向に向かって動作する。これと反対に、直線部13aに紙面の裏向きに電流Iが流れ、直線部14aに紙面から表向きに電流Iが流れた場合、ローレンツ力Fは、紙面の左方向に働くので、レンズ枠7及び中間枠10は、紙面の左方向に向かって動作する。なお、同様の原理で、レンズ枠7及び中間枠10は、対向する第1の手振れ補正用コイル11,12によって紙面の上下方向に動作する。
【0039】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、レンズは、第1の部材7のみに保持されるのではなく、他の第2、第3の部材3,10にも保持されていてもよい。第1の部材7と第2の部材3と第3の部材10との配置関係は、内側に第2の部材3、中間に第3の部材10、外側に第1の部材7が配置されてもよい。また、内側に第3の部材10、中間に第2の部材3、外側に第1の部材7が配置されてもよい。また、内側に第2の部材3、中間に第1の部材7、外側に第3の部材10が配置されてもよい。第1〜第3の部材7,3,10は、このうちいずれか一つの部材が固定側で、他の二つの部材が移動側であればよい。尚、第1〜第3の部材7,3,10のうち外側の部材が固定側(外枠)で、内側の部材にレンズが保持されると、より小型化に資する。
【符号の説明】
【0040】
1…レンズ駆動装置 3…外枠(第2の部材) 4…前面カバー部 4a…光入射窓 7…レンズ枠(第1の部材) 8…レンズ 9…駆動コイル 10…中間枠(第3の部材) 11〜14…手振れ補正用コイル 16〜19…駆動マグネット 20…第1の板バネ 20a,21a…外周部 20b,21b…内周部 21…第2の板バネ 30…ワイヤ 31…固定板(外部給電板) 41,42…ホール素子 43,44…センサ用磁石 C1,C2…コイル中心軸線 M1,M2…マグネット中心軸線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Z軸線に沿って延在する光軸を有するレンズと、
前記Z軸線を中心に巻かれた駆動コイルを有する第1の部材と、
前記Z軸線に対して直交するX軸線を中心に巻かれた第1の手振れ補正用コイルが対向して配置されると共に、前記Z軸線及び前記X軸線に対して直交するY軸線を中心に巻かれた第2の手振れ補正用コイルが対向して配置された第2の部材と、
前記駆動コイル及び前記各第1の手振れ補正用コイルに対向して配置された第1の駆動マグネットと、前記駆動コイル及び前記各第2の手振れ補正用コイルに対向して配置された第2の駆動マグネットとが配置された第3の部材と、を備え、
前記第1の部材、前記第2の部材、前記第3の部材のうち一つは、固定側の部材であって、前記レンズは、前記第1の部材、前記第2の部材、前記第3の部材のうち少なくとも移動する部材の一つに保持され、
前記第1の手振れ補正用コイルにおいて前記X軸線方向に延在する第1のコイル中心軸線は、前記X軸線に対して前記Y軸線方向にオフセットされ、
前記第1の駆動マグネットにおいて前記X軸線方向に延在する第1のマグネット中心軸線は、前記X軸線に対して、前記Y軸線方向で且つ前記第1のコイル中心軸線と反対側にオフセットされ、
前記第2の手振れ補正用コイルにおいて前記Y軸線方向に延在する第2のコイル中心軸線は、前記Y軸線に対して前記X軸線方向にオフセットされ、
前記第2の駆動マグネットにおいて前記Y軸線方向に延在する第2のマグネット中心軸線は、前記Y軸線に対して、前記X軸線方向で且つ第2のコイル中心軸線と反対側にオフセットされていることを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記レンズが前記第1の部材に保持され、前記第1の部材の周囲に前記第3の部材が配置され、前記第3の部材の周囲に固定側である前記第2の部材が配置され、前記Z軸線に概ね沿うように延在するワイヤの一端が前記第2の部材に固定され、前記ワイヤの他端が前記第3の部材に固定されて、前記ワイヤは緊張状態で前記第2の部材と前記第3の部材とを連結し、
前記ワイヤは、前記Z軸線の周囲における前記X軸線と前記Y軸線との間のそれぞれの4カ所に配置され、それぞれの前記ワイヤによって前記第3の部材は前記X軸線と前記Y軸線を含む平面方向に略平行移動することを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記ワイヤは導電性部材からなり、前記第2の部材には、前記ワイヤの前記一端が連結された外部給電板が固定され、前記第3の部材に固定された前記ワイヤの前記他端は、前記駆動コイルに電気的に接続されていることを特徴とする請求項2記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記Z軸線上で前記第1の部材を挟むように第1及び第2の板バネが互いに平行に配置され、
前記第1の板バネの外周側は、前記第3の部材の前記Z軸線における一端に固定され、前記第1の板バネの内周側は、前記第1の部材の前記Z軸線における一端に固定され、
導電性を有する前記第2の板バネの外周側は、前記第3の部材の前記Z軸線における他端及び前記ワイヤの前記他端に連結され、前記第2の板バネの内周側は、前記第1の部材の前記Z軸線における他端及び前記駆動コイルのコイル線に連結されていることを特徴とする請求項3記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
前記第2の部材に固定されて光入射窓が形成された前面カバー部の裏面にホール素子が固定され、前記第3の部材の前記Z軸線における一端には、前記ホール素子に対向して配置されるセンサ用磁石が固定されていることを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載のレンズ駆動装置。
【請求項1】
Z軸線に沿って延在する光軸を有するレンズと、
前記Z軸線を中心に巻かれた駆動コイルを有する第1の部材と、
前記Z軸線に対して直交するX軸線を中心に巻かれた第1の手振れ補正用コイルが対向して配置されると共に、前記Z軸線及び前記X軸線に対して直交するY軸線を中心に巻かれた第2の手振れ補正用コイルが対向して配置された第2の部材と、
前記駆動コイル及び前記各第1の手振れ補正用コイルに対向して配置された第1の駆動マグネットと、前記駆動コイル及び前記各第2の手振れ補正用コイルに対向して配置された第2の駆動マグネットとが配置された第3の部材と、を備え、
前記第1の部材、前記第2の部材、前記第3の部材のうち一つは、固定側の部材であって、前記レンズは、前記第1の部材、前記第2の部材、前記第3の部材のうち少なくとも移動する部材の一つに保持され、
前記第1の手振れ補正用コイルにおいて前記X軸線方向に延在する第1のコイル中心軸線は、前記X軸線に対して前記Y軸線方向にオフセットされ、
前記第1の駆動マグネットにおいて前記X軸線方向に延在する第1のマグネット中心軸線は、前記X軸線に対して、前記Y軸線方向で且つ前記第1のコイル中心軸線と反対側にオフセットされ、
前記第2の手振れ補正用コイルにおいて前記Y軸線方向に延在する第2のコイル中心軸線は、前記Y軸線に対して前記X軸線方向にオフセットされ、
前記第2の駆動マグネットにおいて前記Y軸線方向に延在する第2のマグネット中心軸線は、前記Y軸線に対して、前記X軸線方向で且つ第2のコイル中心軸線と反対側にオフセットされていることを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記レンズが前記第1の部材に保持され、前記第1の部材の周囲に前記第3の部材が配置され、前記第3の部材の周囲に固定側である前記第2の部材が配置され、前記Z軸線に概ね沿うように延在するワイヤの一端が前記第2の部材に固定され、前記ワイヤの他端が前記第3の部材に固定されて、前記ワイヤは緊張状態で前記第2の部材と前記第3の部材とを連結し、
前記ワイヤは、前記Z軸線の周囲における前記X軸線と前記Y軸線との間のそれぞれの4カ所に配置され、それぞれの前記ワイヤによって前記第3の部材は前記X軸線と前記Y軸線を含む平面方向に略平行移動することを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記ワイヤは導電性部材からなり、前記第2の部材には、前記ワイヤの前記一端が連結された外部給電板が固定され、前記第3の部材に固定された前記ワイヤの前記他端は、前記駆動コイルに電気的に接続されていることを特徴とする請求項2記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記Z軸線上で前記第1の部材を挟むように第1及び第2の板バネが互いに平行に配置され、
前記第1の板バネの外周側は、前記第3の部材の前記Z軸線における一端に固定され、前記第1の板バネの内周側は、前記第1の部材の前記Z軸線における一端に固定され、
導電性を有する前記第2の板バネの外周側は、前記第3の部材の前記Z軸線における他端及び前記ワイヤの前記他端に連結され、前記第2の板バネの内周側は、前記第1の部材の前記Z軸線における他端及び前記駆動コイルのコイル線に連結されていることを特徴とする請求項3記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
前記第2の部材に固定されて光入射窓が形成された前面カバー部の裏面にホール素子が固定され、前記第3の部材の前記Z軸線における一端には、前記ホール素子に対向して配置されるセンサ用磁石が固定されていることを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載のレンズ駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−138027(P2011−138027A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298403(P2009−298403)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】
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