説明

レーザレーダ装置

【課題】装置の周囲にわたる検出が可能であり、かつ3次元的な検出をも行いうるレーザレーダ装置を提供する。
【解決手段】レーザレーダ装置1は、レーザ光を発生するレーザダイオード10と、レーザダイオード10からレーザ光が発生したときに、検出物体によって反射されるレーザ光の反射光を検出するフォトダイオード20とを備え、さらに、所定の中心軸42aを中心として回動可能に構成された偏向部41を備えるとともに、偏向部41によりレーザ光を空間に向けて偏向させ、且つ反射光をフォトダイオード20に向けて偏向する回動偏向機構40と、回動偏向機構40を回転駆動するモータ50とが設けられている。そして、偏向部41に対するレーザ光の入射方向を相対的に変化させることで、偏向部41からのレーザ光の向きを、中心軸42aの方向に関して変化させる揺動ミラー31と、この揺動ミラー31を制御する制御手段とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、レーザ光を用いて検出物体までの距離や方位を検出する技術として例えば特許文献1のような装置が提供されている。この特許文献1の装置では、レーザ光発生手段からのレーザ光の光軸上に、レーザ光を透過させ、かつ検出物体からの反射光を検出手段に向けて反射する光アイソレータを設けている。さらに、光アイソレータを透過するレーザ光の光軸上において当該光軸方向の中心軸を中心として回動する凹面鏡を設け、この凹面鏡によってレーザ光を空間に向けて反射させると共に、検出物体からの反射光を光アイソレータに向けて反射させることで360°の水平走査を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許2789741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の技術では凹面鏡の回動により360°の水平走査を可能とし、検出領域(レーザ光による走査がなされる領域)を装置の周囲全体にまで拡大しているが、その一方で、検出領域が平面に限定されてしまうという問題がある。即ち、凹面鏡から空間に向けて反射されたレーザ光は所定平面(走査平面)内で走査がなされるため、その走査平面から外れた領域については検出が不能となる。従って、走査平面から外れた検出物体は検出することができず、また、走査平面内に検出物体が存在する場合であってもその検出物体を立体的に把握することはできなかった。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、装置の周囲にわたる検出が可能であり、かつ3次元的な検出をも行いうるレーザレーダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、レーザレーダ装置において、レーザ光を発生するレーザ光発生手段と、前記レーザ光発生手段から前記レーザ光が発生したときに、検出物体によって反射される前記レーザ光の反射光を検出する光検出手段と、所定の中心軸を中心として回動可能に構成された1又は複数の偏向手段を備えるとともに、当該偏向手段により前記レーザ光を空間に向けて偏向させ、且つ前記反射光を前記光検出手段に向けて偏向する回動偏向手段と、前記回動偏向手段を回転駆動する駆動手段と、前記偏向手段に対する前記レーザ光の入射方向を相対的に変化させることで、前記偏向手段からの前記レーザ光の向きを、前記中心軸の方向に関して変化させる方向変更手段と、前記方向変更手段を制御する制御手段と、が設けられていることを特徴とする。
更に、前記方向変更手段は、前記レーザ光発生手段からの前記レーザ光を前記回動偏向手段に向けて偏向する構成をなし、且つ揺動可能に構成されたレーザ光偏向手段からなり、前記制御手段は、前記レーザ光偏向手段の揺動を制御する揺動制御手段からなり、前記レーザ光偏向手段は、前記レーザ光を偏向させる偏向部材と、前記偏向部材を揺動可能に支持する揺動機構と、前記揺動機構に支持された前記偏向部材を駆動するアクチュエータと、
を備え、前記偏向手段は、前記中心軸に対して傾斜し且つ前記レーザ光を反射する面を備えたミラーであり、前記中心軸の方向をY軸方向とし、前記Y軸方向と直交する所定方向をX軸方向とし、前記X軸方向及び前記Y軸方向と直交する方向をZ軸方向としたとき、前記レーザ光発生手段からの前記レーザ光が前記X軸方向の一方側から前記偏向部材に入り込み、前記偏向部材により、前記偏向部材に対する前記Y軸方向の一方側に配置された前記偏向手段に向けて偏向されるようになっており、前記揺動制御手段は、前記偏向手段の回動位置が所定の回動範囲に該当しない場合には、前記偏向部材から前記偏向手段へ向かう前記レーザ光の方向をXY平面に沿って変化させ、前記偏向手段の回動位置が所定の回動範囲の場合には、前記偏向部材から前記偏向手段へ向かう前記レーザ光の方向を前記XY平面と交差する平面に沿って変化させるように、前記アクチュエータによる前記偏向部材の駆動状態を制御する構成をなし、前記所定の回動範囲は、前記X軸方向と平行な仮想直線と、前記偏向手段における前記レーザ光を反射する面と平行な仮想平面とのなす角度が予め定められた閾値以下となる範囲であることを特徴とする
【0007】
請求項2の発明は、前記偏向手段における前記反射光を偏向する偏向領域が、前記レーザ光偏向手段における前記レーザ光を偏向する偏向領域よりも大きく構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、前記回動偏向手段から前記光検出手段に至るまでの前記反射光の光路上に、前記光検出手段に向けて前記反射光を集光する集光手段が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、前記回動偏向手段から前記光検出手段に至るまでの前記反射光の光路上に、前記反射光を透過させ、且つ前記反射光以外の光を除去する光選択手段が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、レーザ光を空間に向けて偏向させ、且つ検出対象からの反射光を光検出手段に向けて偏向する偏向手段が所定の中心軸を中心として回動可能とされるため、装置の周囲にわたる検出が可能となる。また、偏向手段からのレーザ光の向きを、中心軸の方向に関して変化させる方向変更手段が設けられているため、レーザ光の向きを、中心軸と直交する平面方向だけでなく、中心軸の方向にも変化させることができるため、検出を三次元的に行うことができるようになる。
【0011】
また、偏向手段からのレーザ光の向きを中心軸の方向に関して変化させうる構成を、レーザ光偏向手段によって好適に実現できる。
【0012】
また、揺動機構に支持された偏向部材をアクチュエータによって駆動するように構成されており、さらに、揺動制御手段によりアクチュエータによる偏向部材の駆動状態を制御する構成としている。このようにすれば、レーザ光を偏向する部位を良好に揺動制御できる。
【0013】
また、レーザ光偏向手段の揺動制御を、偏向手段の回動位置に応じた適切な制御とすることができる。
【0014】
請求項2の発明では、偏向手段における反射光を偏向する偏向領域が、レーザ光偏向手段におけるレーザ光を偏向する偏向領域よりも大きく構成されているため、相対的に広範な領域の反射光を検出に用いることができ、検出精度を効果的に高めることができる。
【0015】
請求項3の発明は、回動偏向手段から光検出手段に至るまでの反射光の光路上に、検出手段に向けて反射光を集光する集光手段が設けられているため、検出手段を大型化させることなく広範囲の反射光を検出に利用できるようになる。
【0016】
請求項4の発明は、回動偏向手段から光検出手段に至るまでの反射光の光路上に、反射光を透過させ、且つ反射光以外の光を除去する光選択手段が設けられているため、ノイズ光を好適に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るレーザレーダ装置を概略的に例示する断面図である。
【図2】図2は、揺動ミラーを変位させる変位機構を概略的に説明する説明図である。
【図3】図3は、本発明の第2実施形態に係るレーザレーダ装置を概略的に例示する断面図である。
【図4】図4は、図3のレーザレーダ装置に用いる揺動機構及びアクチュエータ等を概念的に説明する説明図である。
【図5】図5は、ピエゾアクチュエータが取り付けられたミラーを等を裏側(反射面の反対側)から概念的に説明する説明図であり、図5(b)は、ピエゾアクチュエータが取り付けられたミラーを概念的に示す斜視図である。
【図6】図6は、図3のレーザレーダ装置における検出処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明のレーザレーダ装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1は第1実施形態に係るレーザレーダ装置1を概略的に例示する断面図である。
【0019】
図1に示すように、レーザレーダ装置1は、レーザダイオード10と、検出物体からの反射光L2を受光するフォトダイオード20とを備え、検出物体までの距離や方位を検出する装置として構成されている。レーザダイオード10は、レーザ光発生手段の一例に相当するものであり、図示しない駆動回路からパルス電流を供給されてパルスレーザ光(レーザ光L1)を投光するものである。フォトダイオード20は、検出手段の一例に相当するものであり、レーザダイオード10からレーザ光L1が発生したときに、検出物体によって反射されるレーザ光L1の反射光L2を検出し電気信号に変換する構成をなしている。なお、検出物体からの反射光については所定領域のものが取り込まれる構成となっており、図1の例において、レーザ光L1が実線で示す経路を通過する場合には、符号L2で示す2つのライン間の領域の反射光が取り込まれるようになっている。
【0020】
また、レーザ光L1の光軸上にはレンズ60が設けられている。このレンズ60は、コリメートレンズとして構成されるものであり、レーザダイオード10からのレーザ光L1を平行光に変換する機能を有する。
【0021】
レンズ60を通過したレーザ光L1の光路上には、レーザ光偏向手段としての揺動ミラー31が配置されている。揺動ミラー31は、「方向変更手段」の一例に相当するものであり、レーザダイオード10からのレーザ光L1を回動偏向機構40に向けて偏向する構成をなし、且つ揺動可能に構成されている。この揺動ミラー31は、偏向部41に対するレーザ光の入射方向を相対的に変化させることで、偏向部41からのレーザ光の向きを、中心軸42aの方向に関して変化させるように機能する。
【0022】
また、この揺動ミラー31を、多自由度をもって駆動するミラー駆動部が設けられている。このようにミラーを多自由度をもって駆動する技術はガルバノミラー等の分野において公知であるので詳細は省略するが、ミラー駆動部については、例えば、揺動ミラー31をジンバル、ピボット軸受等で支持することにより、二方向へ回転運動させる構成とすることができる。図2ではその一例として、揺動ミラー31を変位させる変位機構33を例示しており、この変位機構33は、ケース3内の所定位置に配置されるフレーム(図示略)と、このフレームに回転可能に保持されるミラー支持枠34とを備えており、揺動ミラー31を支持しつつ、この揺動ミラー31に、第1軸33a及び第2軸33b(第2軸33bは第1軸33aと直交)を中心とした二方向の回転運動を行わせるように構成されている。このように構成することで、揺動ミラー31の反射面31aの3次元的な位置関係が定まる。図1では、レーザダイオード10からのレーザ光L1の出射方向をX軸方向とし、回動変更機構40の中心軸42aの方向をY軸方向とし、X軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向として説明している。このような定義において、反射面31aとXY平面とのなす角をα、反射面31aとYZ平面とのなす角をβ、反射面31aとXZ平面とのなす角をγとした場合、制御回路70によるアクチュエータ36の制御により、α、β、γの値が自由に定まることとなる。
【0023】
変位機構33は、図1に概略的に示すアクチュエータ36によって駆動されるようになっている。アクチュエータ36は、装置本体に対するミラー支持枠34の相対位置を設定するモータ等の第1アクチュエータと、ミラー支持枠34に対する揺動ミラー31の相対位置を設定するモータ等の第2アクチュエータとからなり、制御回路70からの制御量に基づいて第1アクチュエータ(モータ等)がミラー支持枠34を位置設定し、第2アクチュエータ(モータ等)がミラー支持枠34に対する揺動ミラー31の位置を設定することで、レーザ光L1に対する揺動ミラー31の傾斜が設定される。なお、制御回路70は、CPUを備えたマイクロコンピュータなどによって構成されており、本実施形態ではこの制御回路70が「制御手段」の一例に相当している。
【0024】
揺動ミラー31で反射されたレーザ光L1の光軸上には、回動偏向機構40が設けられている。この回動偏向機構40は、回動偏向手段の一例に相当しており、平坦な反射面41aを備えたミラーからなる偏向部41と、この偏向部41を支持する支持台43と、この支持台43に連結された軸部42と、この軸部42を回転可能に支持する図示しない軸受とを備えてなり、偏向部41によりレーザ光を空間に向けて偏向させ、且つ反射光をフォトダイオード20に向けて偏向するように機能する。回動偏向機構40の一部を構成する偏向部41は、中心軸42aを中心として回動可能とされており、偏向手段の一例に相当している。
【0025】
なお、本実施形態に係るレーザレーダ装置1では、偏向部41における反射光を偏向する偏向領域(偏向部41における反射面41aの領域)が、揺動ミラー31におけるレーザ光を偏向する偏向領域(揺動ミラー31における反射面31aの領域)よりも大きく構成されている。
【0026】
さらに、回動偏向機構40を回転駆動するようにモータ50が設けられている。このモータ50は、駆動手段の一例に相当するものであり、軸部42を回転させることで、軸部42と連結された偏向部41を回転駆動する構成となっている。モータ50は、ここではステップモータによって構成されている。ステップモータは、種々のものを利用でき、1ステップ毎の角度が小さいものを使用すれば、緻密な回動が可能となる。また、モータ50としてステップモータ以外の駆動手段を用いてもよい。例えばサーボモータ等を用いても良いし、定常回転するモータを用い、偏向部41が測距したい方向を向くタイミングに同期させてパルスレーザ光を出力することで、所望の方向の検出を可能としてもよい。なお、本実施形態では、図1に示すように、モータ50の軸部42の回転角度位置(即ち偏向部41の回転角度位置)を検出する回転角度位置センサ52が設けられている。回転角度位置センサ52は、ロータリーエンコーダなど、軸部42の回転角度位置を検出しうるものであれば様々な種類のものを使用でき、また、検出対象となるモータ50の種類も特に限定されず、様々な種類のものに適用できる。
【0027】
また、回動偏向機構40からフォトダイオード20に至るまでの反射光の光路上には、フォトダイオード20に向けて反射光を集光する集光レンズ62が設けられ、その集光レンズ62とフォトダイオード20の間にはフィルタ64が設けられている。集光レンズ62は、偏向部41からの反射光を集光してフォトダイオード20に導くものであり、集光手段の一例に相当している。また、フィルタ64は、回動偏向機構40からフォトダイオード20に至るまでの反射光の光路上において反射光を透過させ且つ反射光以外の光を除去するものであり、光選択手段の一例に相当している。具体的には、反射光L2に対応した特定波長の光(例えば一定領域の波長の光)のみを透過させそれ以外の光を遮断する波長選択フィルタによって構成することができる。
【0028】
また、本実施形態では、レーザダイオード10、フォトダイオード20、レーザ光偏向部30、レンズ60、回動偏向機構40、モータ50等がケース3内に収容され、防塵や衝撃保護が図られている。ケース3における偏向部41の周囲には、当該偏向部41を取り囲むようにレーザ光L1及び反射光L2の通過を可能とする導光部4が形成されている。導光部4は、偏向部41に入光するレーザ光L1の光軸を中心とした環状形態で、ほぼ360°に亘って構成されており、この導光部4を閉塞する形態でガラス板等からなるレーザ光透過板5が配され、防塵が図られている。なお、レーザ光透過板5は、偏向部41に入光するレーザ光L1の光軸と直交する仮想平面に対し全周にわたり傾斜した構成となっている。即ち、偏向部41から空間に向かうレーザ光L1に対して板面が傾斜した構成をなしている。従って、偏向部41から空間に向かうレーザ光L1がレーザ光透過板5にて反射してもノイズ光となりにくくなっている。
【0029】
次に、レーザレーダ装置1の作用について説明する。図1に示すレーザレーダ装置1では、レーザダイオード10にパルス電流が供給されると、このレーザダイオード10からはパルス電流のパルス幅に応じた時間間隔のパルスレーザ光(レーザ光L1)が出力される。このレーザ光L1は、ある程度の広がり角をもった拡散光として投光され、レンズ60を通過することで平行光に変換される。レンズ60を通過したレーザ光L1は、レーザ光偏向部30に設けられた揺動ミラー31で反射されて偏向部41に入射し、この偏向部41にて反射され空間に向けて照射される。
【0030】
偏向部41によって反射されたレーザ光L1は検出物体によって反射され、この反射光の一部(反射光L2参照)は再び偏向部41に入射する。偏向部41は、この反射光L2をフォトダイオード20側へ反射する。偏向部41にて反射された反射光L2は、集光レンズ62で集光され、フィルタ64を通過してフォトダイオード20に入光する。
【0031】
フォトダイオード20は、受光した反射光L2に応じた電気信号(例えば受光した反射光L2に応じた電圧値)を出力する。この構成では、レーザダイオード10によってレーザ光L1を出力してからフォトダイオード20によってその反射光L2を検出するまでの時間を測定することにより検出物体までの距離を求めることができる。また、そのときの、揺動ミラー31の変位、及び偏向部41の変位によって方位をも求めることができる。つまり、揺動ミラー31の反射面31aとXY平面とのなす角α、反射面31aとYZ平面とのなす角β、反射面31aとXZ平面とのなす角γが定まり、偏向部41の回転位置が定まると、偏向部41からレーザ光L1が向かう方向が、一の方位に定まるため、検出物体の方位を的確に把握できることとなる。
【0032】
なお、揺動ミラー31の変位に伴うレーザ光の経路変化は以下の通りとなる。図1では、回動偏向機構40が所定の回動状態となっている例を示しているが、この回動状態で、揺動ミラー31が図1の揺動状態にあるときは、レーザ光L1が実線で示す経路を通過し、符号L2で示す2つのライン間の領域の反射光が取り込まれることとなる。一方、揺動ミラー31の揺動状態が変化すると、破線L1'に示すように、偏向部41に対するレーザ光L1の入射角度が相対的に変化する。即ち、揺動ミラー31が変位することで、当該揺動ミラー31でのレーザ光の反射角度が変化し、実線で示す経路から破線L1'で示す経路に変化する。これにより、偏向部41から空間に向かうレーザ光が中心軸42aの方向に変化することとなる。この場合、反射光の経路も破線L2'のように変化し、偏向部41で反射した後、集光レンズ62、フィルタ64を介してフォトダイオード20に取り込まれることとなる。
【0033】
以上のように、本実施形態に係るレーザレーダ装置1によれば、レーザ光L1を空間に向けて偏向させ、且つ検出対象からの反射光L2をフォトダイオード20に向けて偏向する偏向部41が所定の中心軸を中心として回動可能とされるため、装置の周囲にわたる検出が可能となる。また、偏向部41からのレーザ光L1の向きを、中心軸42aの方向に関して変化させうる揺動ミラー31が設けられているため、レーザ光L1の向きを、中心軸42aと直交する平面方向(XZ平面方向)だけでなく、中心軸42aの方向(Y方向)にも変化させることができるため、検出を三次元的に行うことができるようになる。
【0034】
また、偏向部41からのレーザ光L1の向きを中心軸42aの方向に関して変化させうる構成を、複雑な構成を用いずに揺動ミラー31によって好適に実現できる。
【0035】
また、偏向部41における反射光L2を偏向する偏向領域が、揺動ミラー31におけるレーザ光L1を偏向する偏向領域よりも大きく構成されているため、相対的に広範な領域の反射光を検出に用いることができ、検出精度を効果的に高めることができる。
【0036】
さらに、回動偏向機構40からフォトダイオード20に至るまでの反射光L2の光路上に、フォトダイオード20に向けて反射光L2を集光する集光レンズ62が設けられているため、フォトダイオード20を大型化させることなく広範囲の反射光を検出に利用できるようになる。
【0037】
また、回動偏向機構40からフォトダイオード20に至るまでの反射光L2の光路上に、反射光L2を透過させ、且つ反射光以外の光を除去するフィルタ64が設けられているため、ノイズ光を好適に除去できる。
【0038】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。
図3は、本発明の第2実施形態に係るレーザレーダ装置を概略的に例示する断面図である。図4は、図3のレーザレーダ装置に用いる揺動機構及びアクチュエータ等を概念的に説明する説明図である。図5は、ピエゾアクチュエータが取り付けられたミラーを等を裏側(反射面の反対側)から概念的に説明する説明図であり、図5(b)は、ピエゾアクチュエータが取り付けられたミラーを概念的に示す斜視図である。図6は、図3のレーザレーダ装置における検出処理を例示するフローチャートである。
【0039】
図3に示すように、本実施形態のレーザレーダ装置400も一部について第1実施形態と同様の部品を用いている。即ち、ケース3、導光部4、レーザ光透過板5、レーザダイオード10、レンズ60、フォトダイオード20、フィルタ64、集光レンズ62、回動偏向機構40、モータ50、回転角度位置センサ52、制御回路70等については、第1実施形態と同様の構成をなしかつ第1実施形態と同様の機能を有している。従って、第1実施形態と同様の構成をなす部品については第1実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、本実施形態では、回動偏向機構40の中心軸42aの方向をY軸方向とし、Y軸方向と直交する所定方向をX軸方向とし、これらX軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向とする。なお、本実施形態では、レーザダイオード10からのレーザ光の出射方向がX軸方向となっている。
【0040】
本実施形態でも、レーザダイオード10(レーザ光発生手段)からレーザ光L1が発生したときに、検出物体によって反射されるレーザ光L1の反射光をフォトダイオード20(光検出手段)によって検出する構成をなしている。また、回動偏向機構40は、中心軸42aを中心として回動可能に構成された偏向部41(偏向手段)を備えるとともに、当該偏向部41によりレーザ光L1を空間に向けて偏向させ、且つ検出物体からの反射光をフォトダイオード20に向けて偏向する構成をなしている。さらに、回動偏向機構40は、モータ50(駆動手段)によって駆動される構成となっている。
【0041】
レーザ光偏向部430(レーザ光偏向部430は、「方向偏向手段」「レーザ光偏向手段」の一例に相当する)は、レーザダイオード10からのレーザ光を回動偏向機構40に向けて偏向する構成をなし、且つ揺動可能に構成されている。そして、偏向部41に対するレーザ光L1の入射方向を相対的に変化させ、偏向部41からのレーザ光の向きを、中心軸42aの方向(即ち、縦方向(Y軸方向))に関して変化させる機能を有している。
【0042】
レーザ光偏向部430は、図4、図5(a)(b)に示すように、レーザ光を反射するミラー431と、ミラー431を揺動可能に支持する揺動機構435と、揺動機構435に支持されたミラー431を駆動するピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dとを備えている。なお、ミラー431は、レーザ光を偏向させる「偏向部材」の一例に相当する。また、ピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dは、「アクチュエータ」の一例に相当する。
【0043】
4つのピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dは、いずれも印加電圧に応じて伸縮する公知のピエゾアクチュエータとして構成されており、それぞれが反射面431aとは反対側において矩形状のミラー431の角部近傍(ミラー431の角部近傍は、「特定部位」の一例に相当する)に一端が取り付けられ、他端が保持部438に固定されている。保持部438は、ケース3に固定されてケース3内の所定位置に位置決めされるものであり、この保持部438に固定される各ピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dは、印加電圧に応じて伸縮することで保持部438に対して相対的に変位するようになっており(即ち、ケース3に対して相対的に変位するようになっており)、それぞれがケース3内においてミラー431の角部近傍の位置を変化させうる構成となっている。
【0044】
制御回路70(制御回路70は、「制御手段」「揺動制御手段」の一例に相当する)は、ピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dによるミラー431の駆動状態を制御することでレーザ光偏向部430の揺動を制御している。各ピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dにはピエゾアクチュエータ駆動回路(以下、駆動回路ともいう)436a、436b、436c、436dがそれぞれ電気的に接続されている。これら駆動回路436a、436b、436c、436dは、それぞれが制御回路70から制御量の指令を受ける構成をなしており、各駆動回路436a、436b、436c、436dから各ピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dに対して制御回路70からの制御量に応じた電圧が出力されるようになっている。このようにして制御回路70がピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dの伸縮を制御し、レーザ光L1に対するミラー431の姿勢を制御することとなる。
【0045】
揺動機構435は、ミラー431とこのミラー431を保持する保持部438とを球面対偶構造にて連結するボールジョイントによって構成されており、ミラー431に連結される球部434と、保持部438に連結される球殻部433とを備えている。この構成では、球部434の中心434aが常に一の位置に定まり、球部434は球殻部433内に収容された状態で多方向に回転しうることとなる。このように構成される揺動機構435は、ピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dの伸縮に応じて、反射面431aと球部434の中心434aとの距離を常に一定に保ちながらレーザ光L1に対するミラー431の傾斜状態を変化させる。
【0046】
次に、レーザレーダ装置400における検出処理について説明する。
図6の検出処理は例えば電源投入や所定操作などによって開始されるものであり、まず、ミラー431及び偏向部41を初期位置に設定する(S1)。本実施形態では、図3及び図4の実線にて示す位置が初期位置とされており、ミラー431が当該位置となるようにモータ50及びピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dを制御する。なお、検出処理前の待機状態において偏向部41及びミラー431が初期位置に設定されるようにも構成でき、このような構成の場合にはS1の処理を省略することができる。
【0047】
次いで、現在の設定状態(検出処理開始直後の場合には初期位置に設定された状態)での物体の検出処理を行う(S2)。具体的には制御回路70によってレーザダイオード10にレーザ光を投光させる制御を行うと共に、フォトダイオード20から出力される電気信号を制御回路70によって読み取り、現在のピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dの設定(即ち現在のミラー431の設定)に対応した方向に検出すべき物体が存在するか否かを確認する。フォトダイオード20から一定レベル以上の電気信号が出力される場合には、レーザダイオード10によるレーザ光の投光からフォトダイオード20による反射光の受光までの時間に基づいて検出物体までの距離を算出する。また、ピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dの現在の設定に基づいて偏向部41からレーザ光L1が向かう方位を算出する。なお、算出された距離や方位は図示しない表示部等に出力することができる。
【0048】
その後、ミラー431が予め定められた範囲分回転したかを判断する(S3)。本実施形態では、制御回路70の制御により、モータ50が偏向部41を予め定められた一定角度(本実施形態の例では1°)ずつ回動させる構成をなしており、偏向部41が一定角度(1°)ずつ回動する毎にミラー431が「定められた範囲」に亘って回転することで、モータ50の一定角度(1°)毎に中心軸の方向(中心軸42aに沿った縦方向)の走査が行われるようになっている。S3の処理では、現在の偏向部41の設定状態で、ミラー431が「定められた範囲」分だけ回転し終わったか否かを判断しており、回転し終わった場合には、現在の偏向部41の設定状態での縦方向(即ち中心軸42aの方向)の走査が終了したことになるため、S3にてYesに進む。
【0049】
一方、現在の偏向部41の設定状態で、ミラー431が「定められた範囲」分だけ回転し終わっていない場合には、S3にてNoに進み、偏向部41が「所定の回動範囲」にあるか否かを判断する。本実施形態では、レーザダイオード10からのレーザ光の出射方向と平行な仮想直線と、偏向部41の反射面41aと平行な仮想平面と、のなす角度αが予め定められた閾値以下となる回動範囲を「所定の回動範囲」の一例として用いており、偏向部41がこのような関係となる回動範囲に該当する場合には、S4にてYesに進む。一方、偏向部41が上記所定の回動範囲に該当しない場合にはS4にてNoに進む。
【0050】
揺動制御を行う制御回路70は、偏向部41の回動位置に基づいて、レーザ光偏向部430の揺動制御を変化させている。即ち、偏向部41が上記「所定の回動範囲」に該当しない場合(レーザダイオード10からのレーザ光L1の出射方向と平行な仮想直線と、偏向部41の反射面41aと平行な仮想平面と、のなす角度αが予め定められた閾値(例えば10°)を超え場合)には、S4にてNoに進み、Z軸方向の回転軸(第1軸437a)を中心としてミラー431を一定角度回転するように、ピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dの伸縮を制御する。より具体的には、偏向部41が「所定の回動範囲」に該当しない場合、反射面431aをXY平面と直交させた状態で、ミラー431をZ軸方向の回転軸(第1軸437a)を中心として回転させ、ミラー431から偏向部41へ向かうレーザ光L1の方向をXY平面に沿って変化させるようにしている。図4では、実線位置から第1軸437aを中心として回転させたミラー431の位置を二点鎖線にて示している。また、そのときのレーザ光の経路を破線L1'にて示している(図3、図4参照)。
【0051】
第1軸437aを中心としてミラー431を回転させる制御を行うには、例えば、ピエゾアクチュエータ432a、432cの伸縮量を同一とし、かつピエゾアクチュエータ432b、432dの伸縮量を同一とすると共に、ピエゾアクチュエータ432a、432cが伸びた分だけ、ピエゾアクチュエータ432b、432dを縮め、或いは、ピエゾアクチュエータ432b、432dが伸びた分だけ、ピエゾアクチュエータ432a、432cを縮めるように制御を行えばよい。
【0052】
一方、偏向部41が「所定の回動範囲」の場合には(レーザダイオード10からのレーザ光の出射方向と平行な仮想直線と、偏向部41の反射面41aと平行な仮想平面とのなす角度αが予め定められた閾値以下の場合)には、S4にてYesに進み、ミラー431が第2軸437b(第1軸437aと交差する軸)を中心として一定角度回転するようにピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dの伸縮を制御する。第2軸437bは、XY平面、YZ平面、ZX平面のいずれとも交わる軸であり、本実施形態では、ミラー431の対角線に沿うように第2軸437bが設定されるようになっている。このような第2軸437bを中心として回転させ、ミラー431から偏向部41へ向かうレーザ光の方向を、XY平面と交差する平面に沿って変化させる。
【0053】
Z軸方向に延びる第1軸437aを中心としてミラー431を回転させる場合、レーザダイオード10からのレーザ光の出射方向(X軸方向)と平行な仮想直線と、偏向部41の反射面41aと平行な仮想平面と、のなす角度αが小さくなればなるほど、偏向部41から空間に向かうレーザ光の中心軸42aの方向(縦方向)の変化が小さくなってしまう。従って、本実施形態では、偏向部41が「所定の回動範囲」にある場合には、第1軸437aを中心としてミラー431を回転させるのではなく、ミラー431の対角線に沿った第2軸437bを中心としてミラー431を回転させ、角度αが小さくなった場合であってもレーザ光が中心軸42aの方向(縦方向)に大きく変化するようにしている。なお、このような制御を行うには、例えば、ピエゾアクチュエータ432bc、432cの伸縮量を同一とし、ピエゾアクチュエータ432aが伸びた分だけ、ピエゾアクチュエータ432dを縮め、或いは、ピエゾアクチュエータ432dが伸びた分だけ、ピエゾアクチュエータ432aを縮めるように制御を行えばよい。
【0054】
図6に戻り、S3にてYesに進む場合には、制御回路70の制御により、偏向部41をさらに一定角度(1°)回動させるようにモータ50が駆動され(S7)、その回動後の偏向部41の設定状態でS2以降の処理が繰り返される。即ち、偏向部41が新たな位置に設定された状態で、再度縦方向の走査が行われることとなる。なお、上記例では、「一定角度」の例として「1°」を例示したが、偏向部41の回転ステップとなる「一定角度」は、これよりも小さい角度であってもよく、大きい角度であってもよい。
【0055】
本実施形態では、揺動機構435に支持されたミラー431をピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dによって駆動しており、さらに、ピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dによるミラー431の駆動状態を、制御回路70によって制御している。このようにすれば、レーザ光を偏向する部位を精度高く良好に揺動制御できる。また、レーザ光偏向部430全体を小型化できる。
【0056】
また、4つのピエゾアクチュエータ432a、432b、432c、432dを制御することでミラー431の角部近傍(特定部位)の位置を変化させ、レーザ光に対するミラー431の姿勢を制御している。このようにすれば、ミラー431を揺動制御しうる構成を、簡易かつ小型構成にて実現できる。
【0057】
また、ミラー431と、このミラー431を保持する保持部438と、を球面対偶構造にて連結するボールジョイントを設けている。このようにすれば、装置内においてミラー431を安定的に保持でき、かつ円滑に揺動できるようになる。
【0058】
また、偏向部41の回動位置に基づいて、レーザ光偏向部430の揺動制御を変化させている。このようにすれば、レーザ光偏向部430の揺動制御を、偏向部41の回動位置に応じた適切な制御とすることができる。
【0059】
また、回動偏向機構40からフォトダイオード20に至るまでの反射光の光路上に、フォトダイオード20に向けて反射光を集光する集光レンズ62(集光手段)が設けられているため、検出手段を大型化させることなく広範囲の反射光を検出に利用できるようになる。
【0060】
また、回動偏向機構40からフォトダイオード20に至るまでの反射光の光路上に、反射光を透過させ、且つ反射光以外の光を除去するフィルタ64(光選択手段)が設けられているため、ノイズ光を好適に除去できる。
【0061】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0062】
上記実施形態では、回動偏向手段から光検出手段に至るまでの反射光の光路上に、光検出手段に向けて反射光を集光する集光手段が設けられていたが、このような集光手段を省略すると共に比較的大型の光検出手段によって検出を行うようにしてもよい。
【0063】
上記実施形態では、回動偏向手段から光検出手段に至るまでの反射光の光路上に、反射光を透過させ、且つ反射光以外の光を除去する光選択手段が設けられていたが、このような光選択手段を省略することもできる。
【0064】
第2実施形態では、「アクチュエータ」が、偏向手段の特定部位の位置を変化させる4つのピエゾアクチュエータによって構成されていたが、4以外の複数であってもよく、1つのみであってもよい。
【0065】
上記いずれの実施形態のレーザレーザ装置も、工場内のエリアセンサやセーフティセンサとして用いると極めて有用である。
【符号の説明】
【0066】
,400…レーザレーダ装置
10…レーザダイオード(レーザ光発生手段)
20…フォトダイオード(光検出手段)
31…揺動ミラー(レーザ光偏向手段、方向変更手段)
40…回動偏向機構(回動偏向手段)
41…偏向部(偏向手段)
50…モータ(駆動手段)
62…集光レンズ(集光手段)
64…フィルタ(光選択手段)
70…制御回路(制御手段、揺動制御手段
210,310…アクチュエータ(傾動手段)
430…レーザ光偏向部(レーザ光偏向手段、方向変更手段)
431…ミラー(偏向部材)
432a、432b、432c、432d…ピエゾアクチュエータ(アクチュエータ)
435…揺動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を発生するレーザ光発生手段と、
前記レーザ光発生手段から前記レーザ光が発生したときに、検出物体によって反射される前記レーザ光の反射光を検出する光検出手段と、
所定の中心軸を中心として回動可能に構成された1又は複数の偏向手段を備えるとともに、当該偏向手段により前記レーザ光を空間に向けて偏向させ、且つ前記反射光を前記光検出手段に向けて偏向する回動偏向手段と、
前記回動偏向手段を回転駆動する駆動手段と、
前記偏向手段に対する前記レーザ光の入射方向を相対的に変化させることで、前記偏向手段からの前記レーザ光の向きを、前記中心軸の方向に関して変化させる方向変更手段と、
前記方向変更手段を制御する制御手段と、
を備える構成であり、
前記方向変更手段は、前記レーザ光発生手段からの前記レーザ光を前記回動偏向手段に向けて偏向する構成をなし、且つ揺動可能に構成されたレーザ光偏向手段からなり、
前記制御手段は、前記レーザ光偏向手段の揺動を制御する揺動制御手段からなり、
前記レーザ光偏向手段は、
前記レーザ光を偏向させる偏向部材と、
前記偏向部材を揺動可能に支持する揺動機構と、
前記揺動機構に支持された前記偏向部材を駆動するアクチュエータと、
を備え、
前記偏向手段は、前記中心軸に対して傾斜し且つ前記レーザ光を反射する面を備えたミラーであり、
前記中心軸の方向をY軸方向とし、前記Y軸方向と直交する所定方向をX軸方向とし、前記X軸方向及び前記Y軸方向と直交する方向をZ軸方向としたとき、前記レーザ光発生手段からの前記レーザ光が前記X軸方向の一方側から前記偏向部材に入り込み、前記偏向部材により、前記偏向部材に対する前記Y軸方向の一方側に配置された前記偏向手段に向けて偏向されるようになっており、
前記揺動制御手段は、前記偏向手段の回動位置が所定の回動範囲に該当しない場合には、前記偏向部材から前記偏向手段へ向かう前記レーザ光の方向をXY平面に沿って変化させ、前記偏向手段の回動位置が所定の回動範囲の場合には、前記偏向部材から前記偏向手段へ向かう前記レーザ光の方向を前記XY平面と交差する平面に沿って変化させるように、前記アクチュエータによる前記偏向部材の駆動状態を制御する構成をなし、
前記所定の回動範囲は、前記X軸方向と平行な仮想直線と、前記偏向手段における前記レーザ光を反射する面と平行な仮想平面とのなす角度が予め定められた閾値以下となる範囲であることを特徴とするレーザレーダ装置。
【請求項2】
前記偏向手段における前記反射光を偏向する偏向領域が、前記レーザ光偏向手段における前記レーザ光を偏向する偏向領域よりも大きく構成されていることを特徴とする請求項1に記載のレーザレーダ装置。
【請求項3】
前記回動偏向手段から前記光検出手段に至るまでの前記反射光の光路上に、前記光検出手段に向けて前記反射光を集光する集光手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレーザレーダ装置。
【請求項4】
前記回動偏向手段から前記光検出手段に至るまでの前記反射光の光路上に、前記反射光を透過させ、且つ前記反射光以外の光を除去する光選択手段が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のレーザレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−76707(P2013−76707A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−269582(P2012−269582)
【出願日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【分割の表示】特願2007−316979(P2007−316979)の分割
【原出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】