説明

レーザ光源装置とその製造方法および画像表示装置

【課題】基板と半導体レーザ素子との間の隙間の放熱性を確実に向上させ、基板および半導体レーザ素子に応力が発生すること防止できるレーザ光源装置とその製造方法および画像表示装置を提供する。
【解決手段】基板20の凹部17に対応する位置に、凹部17に収容される凸部22が形成され、凸部22は空気よりも熱伝導率の高い材料によって形成され、半導体レーザ素子10と凸部22との間には、隙間Gが形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーザ光源装置とその製造方法および画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板と半導体チップの接合面の隙間に熱伝導性の優れた物質を充填することにより、熱抵抗を下げ、素子の信頼性向上を図ることができるレーザ光源装置が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−188328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のレーザ光源装置は、熱伝導性の高い微粒子を絶縁性のバインダに混ぜた絶縁性フィラーを用い、絶縁性フィラーを溶融させ、毛細管現象により、基板と半導体チップの接合面の隙間に充填している。このため、基板と半導体チップとの間の隙間が比較的大きい場合や、絶縁性フィラーの密度が大きい場合、あるいは、溝の絶縁性フィラーに対する濡れ性が低い場合には、毛細管現象によって隙間に絶縁性フィラーを充填することが困難であるという課題がある。
【0004】
また、毛細管現象によって、基板と半導体チップの隙間に絶縁性フィラーが完全に充填されてしまった場合には、絶縁性フィラーと基板との間の熱膨張係数の差異により、基板や半導体チップに応力が発生するという問題がある。
【0005】
そこで、この発明は、基板と半導体レーザ素子との間の隙間の放熱性を確実に向上させ、基板および半導体レーザ素子に応力が発生すること防止できるレーザ光源装置とその製造方法および画像表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明のレーザ光源装置は、半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子を実装する基板とを備え、前記半導体レーザ素子の前記基板側の面に凹部が形成されたレーザ光源装置であって、前記基板の前記凹部に対応する位置に、前記凹部に収容される凸部が形成され、前記凸部は空気よりも熱伝導率の高い材料によって形成され、前記半導体レーザ素子と前記凸部との間には、隙間が形成されていることを特徴とする。
【0007】
このように構成することで、凹部に収容された凸部によって、半導体レーザ素子の輻射熱を吸収し、半導体レーザ素子に発生した熱を基板へと拡散させることができる。
また、半導体レーザ素子の発光に伴って半導体レーザ素子の温度が上昇すると、基板と半導体レーザ素子との熱膨張係率の差異により、凹部と凸部との間の距離が変動する。このとき、凹部と凸部との隙間によって、凹部と凸部との間の距離の変動を許容することができる。
したがって、半導体レーザ素子の放熱性を凹部に収容された凸部によって確実に向上させることができる。また、凹部と凸部との間の隙間によって、基板および半導体レーザ素子に応力が発生すること防止できる。
【0008】
また、本発明のレーザ光源装置は、前記凹部は、前記半導体レーザ素子の発光部の周囲に形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、最も熱が発生する発光部の周囲に凸部を配置し、半導体レーザ素子の放熱性をより向上させることができる。
【0009】
また、本発明のレーザ光源装置は、前記半導体レーザ素子には、前記発光部が複数形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、半導体レーザ素子を高出力化することができる。
【0010】
また、本発明のレーザ光源装置は、前記凹部には、前記凹部の内面の少なくとも一部に沿って電極が形成され、前記凸部の表面には、絶縁層が形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、電極と凸部とを電気的に絶縁し、電極と凸部の短絡を防止することできる。
【0011】
また、本発明のレーザ光源装置の製造方法は、半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子を実装する基板とを備え、前記半導体レーザ素子の前記基板側の面に凹部が形成されたレーザ光源装置の製造方法であって、前記基板の表面に、空気よりも熱伝導率の高い材料によって放熱材料層を形成する工程と、前記放熱材料層をパターニングし、前記凹部に対応する位置に凸部を形成する工程と、前記凹部に前記凸部を収容し、前記半導体レーザ素子を前記基板に実装する工程と、を有することを特徴とする。
このように製造することで、凹部の内側に放熱性の高い凸部を確実に収容することができる。また、凸部を形成する工程において、凸部の形状を凹部の内面形状よりも小さく形成することで、凸部と凹部との間に隙間を形成することができる。
【0012】
また、本発明のレーザ光源装置の製造方法は、半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子を実装する基板とを備え、前記半導体レーザ素子の前記基板側の面に凹部が形成されたレーザ光源装置の製造方法であって、前記基板の表面の前記凹部に対応する位置に、放熱材料のシードを形成し、前記シードを等方成長させて放熱材料部を形成する工程と、前記放熱材料部をパターニングして、前記凹部の形状に対応する凸部を形成する工程と、前記凹部に前記凸部を収容し、前記半導体レーザ素子を前記基板に実装する工程と、を有することを特徴とする。
このように製造することで、凹部の内側に放熱性の高い凸部を確実に収容することができる。また、凸部を形成する工程において、凸部の形状を凹部の内面形状よりも小さく形成することで、凸部と凹部との間に隙間を形成することができる。
【0013】
また、本発明のレーザ光源装置の製造方法は、前記凸部を形成する工程の後、前記凸部の表面に絶縁層を形成する工程を有することを特徴とする。
このように製造することで、凸部の表面を電気的に絶縁することができる。
【0014】
また、本発明の画像表示装置は、上述したようなレーザ光源装置と、前記レーザ光源装置から射出されたレーザ光を画像情報に応じて変調する光変調素子と、を備えたことを特徴とする。
このような画像表示装置は、上述したようなレーザ光源装置を備えているため、装置の放熱性と信頼性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(レーザ光源装置)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各図面では、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材ごとに縮尺を適宜変更している。
図1に示すように、レーザ光源装置100は、光源として半導体レーザ素子10を備えている。半導体レーザ素子10は、放熱性を有する基板20に実装されている。基板20は、例えば、窒化アルミニウム、ダイヤモンド、炭化珪素、セラミック等により形成されている。
【0016】
半導体レーザ素子10は、上部半導体層11(InGaAs層)、第2ミラー層12(DBR層)、活性層13、第1ミラー層14(DBR層)が順に積層されて形成されている。
上部半導体層11の上面には、例えば、ニッケル(Ni)、金(Au)等の導電性を有する金属材料によって上部電極15が形成されている。上部電極には複数の開口部15aが形成されている。第1ミラー層14は、開口部15aに対応する部分にのみ形成され、それ以外の部分には下部半導体層16(InGaAs層)が形成されている。
【0017】
第1ミラー層14および第2ミラー層12は、例えば、AlGaAs等によって形成された低組成層と高組成層とを交互に積層することにより形成されている。
第1ミラー層14、活性層13、第2ミラー層12、上部半導体層11が積層され、上部電極15が開口されている領域が、半導体レーザ素子10の発光部10aを構成している。半導体レーザ素子10は、複数の発光部10aを備えている。発光部10aには、第1ミラー層14、活性層13および第2ミラー層12により、垂直共振器が構成されている。
【0018】
発光部10aの周囲には、下部半導体層16から上部半導体層11に達する凹部17が形成されている。凹部17の断面形状は、略台形に形成されている。発光部10aは、発光部10aの周囲に形成された凹部17により、基板20側の断面形状が略台形に形成されている。
半導体レーザ素子10の基板20側で、第1ミラー層14および下部半導体層16の表面には、例えば、ニッケル(Ni)、金(Au)等の導電性を有する金属材料によって下部電極18が形成されている。複数形成された凹部17のうちの一部には、凹部17の内面17aの一部に沿って下部電極18が形成されている。
【0019】
基板20の半導体レーザ素子10側の表面には、例えば、ニッケル(Ni)、金(Au)等の導電性を有する金属材料によって基板側電極21が形成されている。
基板側電極21の表面には、半導体レーザ素子10の凹部17に対応する位置に凸部22が形成されている。凸部22は凹部17の形状に対応し、断面形状が略台形となっている。また、凸部22の形状および寸法は凹部17に収容されるように、凹部17の内面形状および寸法よりも一回り小さく形成されている。例えば、凹部17の基板20側の開口部の幅寸法W1が約200μm、深さ寸法D1が約20μmであった場合、凸部22の基板20側の幅寸法W2は約190μm、高さ寸法H2は約15μmとすることができる。
【0020】
凸部22は、例えば、銅(Cu)等の熱伝導率の高い材料によって形成されている。また、凸部22の表面には、例えば、二酸化珪素(SiO)等により、絶縁層23が形成されている。
また、半導体レーザ素子10は、凹部17の内面17aと凸部22の表面の絶縁層23との間に、隙間Gが形成されるように基板20に実装され、下部電極18と基板側電極21とが電気的に接続されている。
【0021】
次に、この実施の形態の作用について説明する。
図1に示すように、上部電極15および基板側電極21を電源(図示省略)に接続し、半導体レーザ素子10に電流を供給すると、発光部10aの活性層13は特定の波長の光を発する。活性層13が発した光は、第1ミラー層14、活性層13および第2ミラー層12により構成される垂直共振器によって共振して増幅され、第2ミラー層12からレーザ光として射出される。第2ミラー層12から射出されたレーザ光は、上部半導体層11を透過して上部電極15の開口部15aから外部に射出される。
【0022】
ここで、半導体レーザ素子10に複数の発光部10aが形成されている。したがって、発光部10aが単数の場合と比較して、レーザ光源装置100により多くの電流を供給し、レーザ光源装置100を高出力化することができる。
また、発光部10aの周囲には、下部半導体層16の表面から上部半導体層11に達する凹部17が形成されている。これにより、活性層13を分離し、発光部10aから射出されるレーザ光の指向性を高めることができる。
【0023】
レーザ光源装置100に電流を供給すると、発光部10aからレーザ光が射出される一方で、発光効率分以外のエネルギーは熱エネルギーに変換され、半導体レーザ素子10および基板20の温度を上昇させる。
ここで、凹部17には、凹部17の形状に対応した凸部22が収容されているので、凸部22によって半導体レーザ素子10の輻射熱を吸収し、半導体レーザ素子10に発生した熱を基板20へと拡散させることができる。特に、凹部17が発光部10aの周囲に形成されているので、最も熱が発生する発光部10aの放熱性を向上させることができる。
【0024】
したがって、本実施形態によれば、レーザ光源装置100の高出力化に伴って半導体レーザ素子10に発生する大量の熱を、凸部22によって確実に吸収して基板20に拡散させることで、半導体レーザ素子10と基板20との間の放熱性を確実に向上させることができる。
また、凸部22の表面には絶縁層23が形成されているので、凹部17の内面17aに形成された下部電極18と凸部22とを電気的に絶縁し、下部電極18と凸部22の短絡を防止することできる。
【0025】
また、電力の供給により半導体レーザ素子10および基板20の温度が上昇すると、半導体レーザ素子10と基板20との間の熱膨張係率の差異により、凹部17の内面17aと凸部22の表面の絶縁層23との間の距離が変動する。
ここで、凹部17と凸部22との間には、隙間Gが形成されている。この隙間Gによって、半導体レーザ素子10と基板20との間の膨張率の差異による凹部17と凸部22との間の距離の変動を受容することができる。このため、凸部22が凹部17に接触して基板20と半導体レーザ素子10の双方に応力が作用することを防止できる。
【0026】
したがって、本実施形態によれば、基板20と半導体レーザ素子10との熱膨張係率の差異により、それぞれが異なる熱膨張をした場合であっても、基板20および半導体レーザ素子10に応力が発生すること防止できる。
【0027】
(レーザ光源装置の製造方法)
次に、本実施の形態のレーザ光源装置100の製造方法について説明する。
図2(a)に示すように、まず、基板20の表面に基板側電極21を形成する。基板側電極21は、例えば、ニッケル(Ni)や金(Au)等の導電性を有する材料を用い、蒸着法等により形成する。
次に、図2(b)に示すように、基板側電極21の表面に放熱材料層220を形成する。放熱材料層220は、例えば、銅(Cu)等、空気よりも熱伝導率の高い材料によって形成する。放熱材料層220は、例えば、めっき処理等により形成する。
【0028】
次に、放熱材料層220を、例えば、フォトリソグラフィ法、エッチング法等によりパターニングし、図3(a)に示すように、基板20に実装する半導体レーザ素子10の凹部17に対応する位置(図3(c)参照)に凸部22を形成する。また、凸部22は、半導体レーザ素子10の実装時に凹部17に収容され、凹部17の内面17aと凸部22の表面との間に隙間G(図1参照)が形成されるように、凹部17の内面17aの寸法よりも小さい寸法に形成する。
【0029】
次に、図3(b)に示すように、凸部22の表面に、例えば、二酸化珪素(SiO)等の絶縁材料を用いたマスクスパッタ法等により、絶縁層23を形成する。
次に、図3(c)に示すように、凹部17に凸部22を収容し、半導体レーザ素子10の下部電極18と基板側電極21とを接合し、半導体レーザ素子10を基板20に実装する。下部電極18と基板側電極21とは、例えば、フラックスレスのAu−Sn(金錫)やSn−Ag−Cu系、In(インジウム)等を用いたはんだによって接合する。
【0030】
以上説明したように、本実施形態の製造方法によれば、凹部17の内側に放熱性の高い凸部22を確実に収容することができる。また、凸部22を形成する工程において、凸部22の形状を凹部17の内面17aの形状よりも小さく形成することで、凸部22と凹部17との間に隙間Gを形成することができる。また、凸部22の表面を絶縁層23により電気的に絶縁することができる。
【0031】
(レーザ光源装置の製造方法の変形例)
次に、本実施の形態のレーザ光源装置100の製造方法の変形例について、図3(a)〜図3(c)を援用し、図4(a)および図4(b)を用いて説明する。本変形例におけるレーザ光源装置100の製造方法は、上述のレーザ光源装置100の製造方法と、基板20の表面に放熱材料層220を形成する代わりに、基板20の表面に島状の放熱材料部222を形成する点で異なっている。その他の点は上述のレーザ光源装置100の製造方法と同様であるので、同一の部分には同一の符号を付して、説明は省略する。
【0032】
図4(a)に示すように、基板20の表面に基板側電極21を形成した後、基板側電極21の表面の凹部17に対応する位置に、例えば、銅(Cu)等の熱伝導率の高い材料により、シード221を形成する。シード221の形成は、例えば、マスク蒸着法等により行う。
次いで、図4(b)に示すように、めっき処理等により、シード221を等方成長させて、島状の放熱材料部222を形成する。次いで、放熱材料部222を、例えば、レーザ加工等によりパターニングして、図3(a)に示すように、凹部17の形状に対応する凸部22を形成する。そして、上述の実施の形態で説明したレーザ光源装置100の製造方法と同様に、図3(b)および図3(c)に示すように、凸部22の表面に絶縁層23を形成し、半導体レーザ素子10を基板20に実装する。
【0033】
以上説明したように、本変形例におけるレーザ光源装置100の製造方法によれば、上述の実施の形態のレーザ光源装置100の製造方法と同様のレーザ光源装置100を製造することができる。
また、放熱材料部222が凹部17に対応する位置のみに形成されるので、基板20の表面に放熱材料層220を形成する場合と比較して、放熱材料を有効に利用することができる。
【0034】
<レーザ光源装置の応用例>
以上に述べたようなレーザ光源装置100を画像表示装置に応用することにより、これらの装置における放熱性を向上させることが可能である。以下、画像表示装置への応用例について説明する。
【0035】
[応用例:プロジェクタ]
上述の実施の形態に係るレーザ光源装置100を応用した画像表示装置の一例として、プロジェクタ30の構成について説明する。図5は、プロジェクタ30の光学系の概略を示す模式図である。
【0036】
図5において、プロジェクタ30は、レーザ光源装置100、光変調装置としての液晶パネル32、偏光板331及び332、クロスダイクロイックプリズム34、投射レンズ35などを備えている。なお、液晶パネル32と、その光入射側に設けられた偏光板331及び光射出側に設けられた偏光板332によって液晶ライトバルブ33が構成される。
【0037】
レーザ光源装置100は、赤色レーザ光を射出する赤色光用光源装置100Rと、青色レーザ光を射出する青色光用光源装置100Bと、緑色レーザ光を射出する緑色光用光源装置100Gを備えている。これらの光源装置100(100R,G,B)は、それぞれクロスダイクロイックプリズム34の側面三方にそれぞれ対向するように配置されている。図5ではクロスダイクロイックプリズム34を挟んで、赤色光用光源装置100Rと青色光用光源装置100Bとが互いに対向し、投射レンズ35と緑色光用光源装置100Gが互いに対向しているが、これらの位置は、適宜入れ替えることが可能である。
【0038】
液晶パネル32は、例えば、ポリシリコンTFT(Thin Film Transistor)をスイッチング素子として用いたものである。各レーザ光源装置100から射出された色光は、入射側偏光板331を介して液晶パネル32に入射する。液晶パネル32に入射した光は、画像情報に応じて変調されて、液晶パネル32から射出される。液晶パネル32によって変調された光のうち、特定の直線偏光だけが、射出側偏光板332を透過して、クロスダイクロイックプリズム34に向かう。
【0039】
クロスダイクロイックプリズム34は、各液晶パネル32によって変調された各色光を合成して、カラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロイックプリズム34は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなしている。そして、これら4つの直角プリズムの界面には、2種類の誘電体多層膜がX字状に設けられている。これら誘電体多層膜は、互いに対向する各液晶パネル32から射出された各色光を反射し、投射レンズ35に対向する液晶パネル32から射出された色光を透過する。このようにして、各液晶パネル32にて変調された各色光が合成されて、カラー画像が形成される。
投射レンズ35は、複数のレンズが組み合わされた組レンズとして構成される。この投射レンズ35は、カラー画像Vを拡大投射する。
【0040】
以上説明したように、上述の実施の形態に係るレーザ光源装置100をプロジェクタ30に応用することで、プロジェクタ30の光源の放熱性を向上させ、信頼性を向上させることができる。
【0041】
尚、この発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上述の実施の形態では凸部の表面に絶縁層を形成したが、凹部の内面に配線が形成されていない場合等、配線によるショートの虞がない場合には、凸部の表面に絶縁層を形成しなくてもよい。
【0042】
また、半導体レーザ素子の発光部は単数であってもよい。半導体レーザ素子の基板側には下部電極を形成せず、基板側電極に直接はんだ接合等により接合するようにしてもよい。凸部および凹部の形状は、凸部が凹部に収容されるものであれば、上述の実施の形態の形状で説明した形状でなくてもよい。凸部は、空気よりも熱伝導率の高い材料であれば、銅以外の材料によって形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態に係るレーザ光源装置の断面図である。
【図2】(a)および(b)は図1のレーザ光源装置の製造方法の工程説明図である。
【図3】(a)〜(c)は図1のレーザ光源装置の製造方法の工程説明図である。
【図4】(a)および(b)は図1のレーザ光源装置の製造方法の変形例の工程説明図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るプロジェクタの光学系の概略構成図である。
【符号の説明】
【0044】
10 半導体レーザ素子、10a 発光部、17 凹部、17a 内面、18 下部電極(電極)、20 基板、22 凸部、23 絶縁層、30 プロジェクタ(画像表示装置)、32 液晶パネル(光変調素子)、100 レーザ光源装置、220 放熱材料層、221 シード、222 放熱材料部、G 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子を実装する基板とを備え、前記半導体レーザ素子の前記基板側の面に凹部が形成されたレーザ光源装置であって、
前記基板の前記凹部に対応する位置に、前記凹部に収容される凸部が形成され、
前記凸部は空気よりも熱伝導率の高い材料によって形成され、
前記半導体レーザ素子と前記凸部との間には、隙間が形成されていることを特徴とするレーザ光源装置。
【請求項2】
前記凹部は、前記半導体レーザ素子の発光部の周囲に形成されていることを特徴とする請求項1記載のレーザ光源装置。
【請求項3】
前記半導体レーザ素子には、前記発光部が複数形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレーザ光源装置。
【請求項4】
前記凹部には、前記凹部の内面の少なくとも一部に沿って電極が形成され、
前記凸部の表面には、絶縁層が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のレーザ光源装置。
【請求項5】
半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子を実装する基板とを備え、前記半導体レーザ素子の前記基板側の面に凹部が形成されたレーザ光源装置の製造方法であって、
前記基板の表面に、空気よりも熱伝導率の高い材料によって放熱材料層を形成する工程と、
前記放熱材料層をパターニングし、前記凹部に対応する位置に凸部を形成する工程と、
前記凹部に前記凸部を収容し、前記半導体レーザ素子を前記基板に実装する工程と、
を有することを特徴とするレーザ光源装置の製造方法。
【請求項6】
半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子を実装する基板とを備え、前記半導体レーザ素子の前記基板側の面に凹部が形成されたレーザ光源装置の製造方法であって、
前記基板の表面の前記凹部に対応する位置に、放熱材料のシードを形成し、前記シードを等方成長させて放熱材料部を形成する工程と、
前記放熱材料部をパターニングして、前記凹部の形状に対応する凸部を形成する工程と、
前記凹部に前記凸部を収容し、前記半導体レーザ素子を前記基板に実装する工程と、
を有することを特徴とするレーザ光源装置の製造方法。
【請求項7】
前記凸部を形成する工程の後、前記凸部の表面に絶縁層を形成する工程を有することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のレーザ光源装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のレーザ光源装置と、
前記レーザ光源装置から射出されたレーザ光を画像情報に応じて変調する光変調素子と、
を備える画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−4561(P2009−4561A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163948(P2007−163948)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】