説明

レーザ光源

【課題】効率よく直接光結合させたレーザ素子及び光素子を含むレーザ光源を提供することを目的とする。
【解決手段】リッジ部(23)を有し且つ発光部(26)からレーザ光を出射するレーザ素子(20)と、入射部(36)に入射されたレーザ光を導波するための導波路(32)を有する光素子(30)と、レーザ素子と光素子とを直接光結合するように近接して接合させるための基板(10)を有し、発光部の位置に対して入射部の位置が上方又は下方に所定距離シフトされた状態でレーザ素子及び光素子が基板に接合されていることを特徴とするレーザ光源(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光源に関し、特にレーザ素子と光素子が直接光結合されたレーザ光源に関する。
【背景技術】
【0002】
発光部にレンズが設けられている半導体レーザと、半導体レーザから出射された光の波長変換を行う光導波路型の第2高調波発生素子(SHG(Second Harmonic Generation)素子)を有するレーザ光源が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記のレーザ光源では、半導体レーザに設けられたレンズの焦点位置に、SHG素子の光導波路の入射部が一致するように、半導体レーザとSHG素子との位置合わせ調整を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−262252号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、半導体レーザと光素子との間に、レンズ等の光学部品を含む光学的結合手段を設けると、光学的結合手段を設けることによるコストアップ、光量の損失等が生じる。また、半導体レーザ内のレーザ素子の発光部と光学的結合手段等の間の位置合わせも必要となり、半導体レーザが大型化し、結果としてレーザ光源を小型化しにくいという不具合もある。一方、光学的結合手段を設けることによるコストアップ、光量の損失等があるので、レーザ光源では、レーザ素子と光素子とを、光学的結合手段を利用せずに、直接光結合した方が効率的である。
【0006】
なお、レーザ素子の発光部から出射したレーザ光は、必ずしもレーザ素子の発光部から鉛直方向に向かって真直ぐに出射されている訳ではない。更に、レーザ素子からのレーザ光を入射部で受光する光素子においても、入射部に対して、必ずしも鉛直方向から真直ぐに入射されるレーザ光が、良好な出力に繋がるとは限らない。
【0007】
そこで、本発明は、上記の課題を解決するためのレーザ光源を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、効率よく直接光結合させたレーザ素子及び光素子を含むレーザ光源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るレーザ光源では、リッジ部を有し且つ発光部からレーザ光を出射するレーザ素子と、入射部に入射されたレーザ光を導波するための導波路を有する光素子と、レーザ素子と光素子とを直接光結合するように近接して接合させるための基板を有し、発光部の位置に対して入射部の位置が上方又は下方に所定距離シフトされた状態でレーザ素子及び光素子が基板に接合されていることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明に係るレーザ光源では、レーザ素子のリッジ部側が基板に接合されている場合には、発光部の位置に対して入射部の位置が下方に所定距離シフトされるように、光素子が基板に接合されていることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係るレーザ光源では、光素子の導波路側が基板に接合されている場合には、入射部の位置に対して発光部が下方に所定距離シフトされるように、レーザ素子が基板に接合されていることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明に係るレーザ光源では、レーザ素子の発光部から、レーザ光の中間フィールドに相当する距離だけ離れた位置に、光素子の入射部が配置されることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明に係るレーザ光源では、光素子は、レーザ素子から出射されるレーザ光の波長を変換する波長変換素子であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、リッジ型のレーザ素子及び光導波路型のSHG素子を、それぞれの光学的特性に基づいて直接光結合させたので、リッジ型のレーザ素子及び光導波路型のSHG素子の結合効率を高めることが可能となった。
【0015】
また、本発明によれば、光学的結合手段を利用せずに、リッジ型のレーザ素子及び光導波路型のSHG素子を直接光結合させたので、レーザ光源のコストダウン、小型化、フラット化、及び/又は高出力化を達成することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】レーザ光源1を示す図である。
【図2】LD素子20概略構成図である。
【図3】LD素子20から出力されるレーザ光の光強度分布(1)を示す図である。
【図4】LD素子20から出力されるレーザ光の光強度分布(2)を示す図である。
【図5】SHG素子30の概略構成図である。
【図6】SHG30の入射光の角度と出射光の強度との関係(1)を示す図である。
【図7】SHG30の入射光の角度と出射光の強度との関係(2)を示す図である。
【図8】LD素子20とSHG素子30との光結合の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面を参照して、本発明に係るレーザ光源について説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0018】
図1(a)はレーザ光源1の平面図であり、図1(b)は図1(a)のAA´断面図であり、図1(c)はマイクロバンプの断面図である。
【0019】
レーザ光源1は、シリコン基板10、シリコン基板10上に固定されたLD(レーザ・ダイオード)素子20及びLD素子20から出射された光の波長変換を行うためのSHG素子30、SHG素子30から出射された波長変換されたレーザ光を光ファイバ50へ伝播させるためのカップリング素子40、LD素子20へ駆動電流を供給等するためのFPC(フレキシブルプリント基板)60、シリコン基板10を保持する保持部材70等を含んで構成されている。なお、保持部材70を含むレーザ光源1を覆うカバー部材(不図示)を設けても良い。
【0020】
シリコン基板10上にはSiO2(二酸化ケイ素)薄膜11が形成され、SiO2薄膜11上にはTi(チタン)薄膜12が形成され、Ti薄膜12上にはマイクロバンプ13および14が形成されている。SiO2薄膜11は、シリコン基板10とマイクロバンプ13及び14との間を絶縁する絶縁層として機能し、Ti薄膜12は、SiO2薄膜11とAuから構成されるマイクロバンプ13および14との密着性を高めるために形成されている。
【0021】
マイクロバンプ13は、図1(c)に記載されるように、構成される複数の切頭円錐型の突起部分が等ピッチ(例えば、2μmピッチ)で左右均等に配置されたものである。切頭円錐型の突起部分は、例えば、底面が直径2μmの円形、上面が直径1μmの円形、高さ2μmとすることができる。マイクロバンプ14についても同様である。
【0022】
マイクロバンプ13の表面は活性化処理が施され、LD素子20のマイクロバンプ側の基板にも、Au層が形成され、その表面は活性化処理が施されている。したがって、マイクロバンプ13の上部に所定の荷重を加えてLD素子20を実装するだけで、LD素子20はマイクロバンプ18上に表面活性化結合して固定される。また、LD素子20は、FPC60及びマイクロバンプ13を介して駆動電流の供給を受けるように構成されている。
【0023】
マイクロバンプ14の表面も活性化処理が施され、SHG素子30のマイクロバンプ側の基板にも、Au層が形成され、その表面は活性化処理が施されている。したがって、マイクロバンプ14の上部に所定の荷重を加えてSHG素子30を実装するだけで、SHG素子30はマイクロバンプ14上に表面活性化結合して固定される。また、SHG素子30に所定の荷重を印加することによって、マイクロバンプ14が潰れてSHG素子30とLD素子20との高さ方向(Z軸方向)の相対位置関係を調整することが可能となっている。なお、SHG素子30を動作させるために駆動電流を供給する必要はないので、SHG素子30とFPC60とを電気的に接続する必要はない。
【0024】
なお、図1(c)に示すマイクロバンプの形状は一例であって、これに限定されるものではない。また、SHG素子30とLD素子20との高さ方向(Z軸方向)の相対位置関係を調整することが可能な方式であれば、マイクロバンプ以外の他の接合方式(通常のAuバンプ等)を採用することも可能である。
【0025】
図2は、LD素子20概略構成図である。
【0026】
LD素子20は、リッジ型のレーザ素子(埋め込み型ではなく)で、クラッド層(n型AlGaAs)21とリッジ部(p型AlGaAs)23との間の活性層(GaAs)22の発光部26から、1064nmの波長のレーザ光を出射する。レーザ光源内のレーザ素子と光素子との光結合を良好に行うために、LD素子20では、埋込構造を用いずに、光を導波する導波路としてのリッジ部23を有している。しかしながら、ジャンクションダウンによりリッジ部23側をシリコン基板10に接合する場合に、その表面が平坦で無くなるため、溝部27を挟んでコンタクト部24及び25が形成されている。このような構成によって、リッジ部23側が平坦になるため、安定して、ジャンクションダウンによりシリコン基板10に接合することが可能となる。
【0027】
図3は、LD素子20から出力されるレーザ光の光強度分布(1)を示す図である。
【0028】
図3に示すように、リッジ部23を上にしてLD素子20を基台上にクラッド層21を接合するように配置し、発光部26と同じレベルにおけるZ軸上のレーザ光を測定した。また、リッジ部23の上方には基台等の障害物を配置せずオープン状態としている。
【0029】
図3(a)は発光部26から0.1μm離れた位置(ニア・フィールド)における光強度分布を示し、図3(b)は発光部26から1μm離れた位置における光強度分布を示し、図3(c)は発光部26から3μm離れた位置(中間フィールド)における光強度分布を示し、図3(d)は発光部26から10μm離れた位置(中間フィールド)における光強度分布を示し、図3(e)は発光部26から15μm離れた位置(中間フィールド)における光強度分布を示し、図3(f)は発光部26から110μm(約100×λ(1064nm))離れた位置(ファー・フィールド)における光強度分布を示している。
【0030】
なお、ニア・フィールドとはLD素子20の発光部近傍を示し、中間フィールドとはLD素子20の発光部から3λ〜15λ(λはLD素子20の発光波長)離れた位置を示し、ファー・フィールドとはLD素子20の発光部から100λ以上離れた位置を示すものとする。
【0031】
図3(a)〜図3(f)における原点「0」はLD素子20の発光部26と同じ位置を示しており、「+」は図上における上側を示し、「−」は図上における下側を示している。また、図3(a)〜図3(f)の光強度は、発光部26から0.1μm離れた位置(ニア・フィールド)における最大光強度を「1.0」として表している。さらに、U1〜U6は各光強度分布の最大強度位置と原点とのずれ量を示している。なお、ファー・フィールド(図3(f)参照)におけるずれ量はほぼゼロとなっている。
【0032】
図3(a)〜図3(e)から理解できるように、ニア・フィールドから中間フィールドでは、各光強度分布の最大強度位置は、発光部26と同じ位置(原点)よりリッジ部23側にずれている。これは、LD素子20のリッジ部23が導波路として機能していることから、LD素子20の発光部26から出射されるレーザ光の光強度分布がLD素子20の発光部26と同じ位置を頂点とする分布とならず、リッジ部23側にずれているからであると考えられる。また、図3(f)から理解できるように、ファー・フィールドでは、各光強度分布の最大強度位置は、発光部26とほぼ同じ位置(原点)となる。これは、ファー・フィールドでは、発光部26から距離が長いため、レーザ光を伝播する様々なモードが存在することによって、光強度が均一化されるからと考えられる。
【0033】
図4は、LD素子20から出力されるレーザ光の光強度分布(2)を示す図である。
【0034】
図4に示すように、クラッド層21を上にしてLD素子20を基台上にリッジ部23を接合するように配置し、発光部26と同じレベルにおけるZ軸上のレーザ光を測定した。また、クラッド層21の上方には基台等の障害物を配置せずオープン状態としている。
【0035】
図4(a)は発光部26から0.1μm離れた位置(ニア・フィールド)における光強度分布を示し、図4(b)は発光部26から1μm離れた位置における光強度分布を示し、図4(c)は発光部26から3μm離れた位置(中間フィールド)における光強度分布を示し、図4(d)は発光部26から10μm離れた位置(中間フィールド)における光強度分布を示し、図4(e)は発光部26から15μm離れた位置(中間フィールド)における光強度分布を示し、図f(f)は発光部26から110μm(約100×λ(1064nm))離れた位置(ファー・フィールド)における光強度分布を示している。
【0036】
図4(a)〜図4(f)における原点「0」はLD素子20の発光部26と同じ位置を示しており、「+」は図上における上側を示し、「−」は図上における下側を示している。また、図4(a)〜図4(f)の光強度は、発光部26から0.1μm離れた位置(ニア・フィールド)における最大光強度を「1.0」として表している。さらに、V1〜V6は各光強度分布の最大強度位置と原点とのずれ量を示している。なお、ファー・フィールド(図4(f)参照)におけるずれ量はほぼゼロとなっている。
【0037】
図4(a)〜図4(e)から理解できるように、ニア・フィールドから中間フィールドでは、各光強度分布の最大強度位置は、発光部26と同じ位置(原点)よりリッジ部23側にずれている。これは、LD素子20のリッジ部23が導波路として機能していることから、LD素子20の発光部26から出射されるレーザ光の光強度分布がLD素子20の発光部26と同じ位置を頂点とする分布とならず、リッジ部23側にずれているからであると考えられる。また、図4(f)から理解できるように、ファー・フィールドでは、各光強度分布の最大強度位置は、発光部26とほぼ同じ位置(原点)となる。これは、ファー・フィールドでは、発光部26から距離が長いため、レーザ光を伝播する様々なモードが存在することによって、光強度が均一化されるからと考えられる。
【0038】
さらに、ニア・フィールドから中間フィールドにおけるずれ量V1〜V5は、図3に示したニア・フィールドから中間フィールドにおけるずれ量U1〜U5より小さい値となっている。これは、リッジ部23側に基台が存在するため、LD素子20の発光部26から出射されるレーザ光の強度分布のずれ量が少なくなっているためと考えられる。
【0039】
図3及び図4より、ずれ量の違いはあるが、LD素子20の発光部26から出射されるレーザ光の光強度分布がLD素子20の発光部26と同じ位置を頂点とする分布とならず、リッジ部23側にずれることが理解できる。なお、このような現象は、リッジ型導波路を有するLD素子(リッジ型レーザ素子)に共通する特徴である。
【0040】
図5は、SHG素子30の概略構成図である。
【0041】
SHG素子30は、PPLN(Periodicaly Poled Lithium Niobate)結晶31の表面に光導波路32を形成し、光導波路32の両端面を光学研磨して基本波長1064nmのレーザ光に対する無反射コーティングを施したものである。SHG素子30の光導波路32の端面に設けられた入射部36に、基本波長1064nmのレーザ光が入射されると、第2高調波を発生して元のレーザ光の1/2波長のレーザ光、即ち波長532nmのG光が出射されるように構成されている。しかしながら、SHG素子30の光導波路32側をシリコン基板10に接合する場合に、その表面が平坦で無いため、光導波路32を挟んでコンタクト部33及び34が形成されている。このような構成によって、光導波路32側が平坦になるため、安定して、シリコン基板10に接合することが可能となる。
【0042】
図6は、SHG30の入射光の角度と出射光の強度との関係(1)を示す図である。
【0043】
図6(a)に示すように、光導波路32を上にしてSHG素子30を基台上にPPLN結晶31を接合するように配置し、入射部36に基本波長1063nmのレーザ光を、入射角度を変更しながら入射した時に出射される波長532nmのG光の最大光強度を測定した。また、光導波路32の上方には基台等の障害物を配置せずオープン状態としている。
【0044】
図6(b)は横軸を入射角度α、縦軸をSHG素子30から出射される波長532nmのG光の光強度としたものである。なお、図6(b)において、光強度の最大値を「1.0」として縦軸の値を正規化している。また、SHG素子30の入射部36の中心部と平行な位置を原点「0」とし、図6(a)の図中の上側を「+」とし、図6(b)の図中の下側を「−」としている。
【0045】
図6(b)から理解できるように、基本波長1063nmのレーザ光を入射角度α1で図6(a)における「+」側から入射した場合に、最も良好に波長532nmのG光が出射されることが理解できる。これは、光導波路32が、PPLN結晶31から突出していることから、光導波路32側からPPLN結晶31側へ向かう光が入射されることにより、最も効率良く、第2高調波が発生されるものと考えられる。
【0046】
図7は、SHG30の入射光の角度と出射光の強度との関係(2)を示す図である。
【0047】
図7(a)に示すように、PPLN結晶31を上にしてSHG素子30を基台上に光導波路32を接合するように配置し、入射部36に基本波長1063nmのレーザ光を、入射角度を変更しながら入射した時に出射される波長532nmのG光の最大光強度を測定した。また、PPLN結晶31の上方には基台等の障害物を配置せずオープン状態としている。
【0048】
図7(b)は横軸を入射角度α、縦軸をSHG素子30から出射される波長532nmのG光の光強度としたものである。なお、図7(b)において、光強度の最大値を「1.0」として縦軸の値を正規化している。また、SHG素子30の入射部36の中心部と平行な位置を原点「0」とし、図7(a)の図中の上側を「+」とし、図6(b)の図中の下側を「−」としている。
【0049】
図7(b)から理解できるように、基本波長1063nmのレーザ光を入射角度α2で図7(a)における「−」側から入射した場合に、最も良好に波長532nmのG光が出射されることが理解できる。これは、光導波路32が、PPLN結晶31から突出していることから、光導波路32側からPPLN結晶31側へ向かう光が入射されることにより、最も効率良く、第2高調波が発生されるものと考えられる。また、前述した図6(b)に示すα1と図7(b)に示すα2の絶対値は同じであった。
【0050】
図6及び図7より、光導波路を有するSHG素子30へ基本波長を入力する際には、光導波路32側からPPLN結晶31側へ向かう光が入射されることにより、最も効率良く、第2高調波が発生されるものと考えられる。なお、上記のSHG素子30の特性は、光導波路が突出しているSHG素子(光導波路型SHG素子)の全てに当てはまる特性であると考えらえる。
【0051】
図8は、LD素子20とSHG素子30との光結合の状態を示す図である。
【0052】
図3及び図4より、リッジ型導波路を有するLD素子20では、中間フィールドにおいて、出射されるレーザ光の光強度分布がリッジ部23側にずれることが理解できる。また、図6及び図7より、光導波路を有するSHG素子30へ基本波長を入力する際には、光導波路32側からPPLN結晶31側へ向かう光が入射されることにより、最も効率良く、第2高調波が発生されることが理解できる。
【0053】
LD素子20とSHG素子30を、光学結合手段(コリメータレンズや集光レンズ等)を利用せずに、直接光結合させる場合、できるだけLD素子20の発光部26とSHG素子30の入射部36を近接させることが好ましい。しかしながら、シリコン基板10上に実装装置によって実装する場合に最も近接させることが可能な距離dは大よそ、10μm程度、即ち中間フィールドの距離である。
【0054】
図8(a)では、LD素子20のクラッド層21をシリコン基板10へマイクロバンプ13によって接合するように実装し、SHG素子30の光導波路32側をシリコン基板10へマイクロバンプ14によって接合するように実装している。なお、図8(a)において、シリコン基板10上の平面方向(XY平面)の位置精度はアライメントマーク等の基準マークをシリコン基板10上に設けることによって実装する際に、実装装置によって調整を行っている。また、LD素子20との距離dは、10μmとなるように設定されている。
【0055】
このように、図8(a)の場合では、リッジ型導波路を有するLD素子20のリッジ部を上にしてシリコン基板10へ接合され、LD素子20の発光部26の位置S2より、光導波路を有するSHG素子30の光導波路32の入射部36の位置S1が上側になるように且つSHG素子30の光導波路32側をシリコン基板に接合している。したがって、図8(a)の場合では、LD素子20とSHG素子30が、良好に直接光結合を行うことが可能となった。即ち、SHG素子30の光導波路32側がシリコン基板10に接合されている場合には、入射部36の位置に対して発光部26の位置が下方に距離W1だけシフトされるように、LD素子20がシリコン基板10に接合されることとなる。LD素子20のSHG素子30に対する位置関係は、マイクロバンプ13及び/又は14の潰し量を調整することにより行う。
【0056】
図8(b)では、リッジ型導波路を有するLD素子20のリッジ部23側をジャンクションダウンでシリコン基板10へ接合し、LD素子20の発光部26の位置S2より、光導波路を有するSHG素子30の光導波路32の入射部36の位置S1が下側になるように且つSHG素子30の光導波路32が上側になるようにシリコン基板に接合している。したがって、図8(b)の場合でも、LD素子20とSHG素子30が、良好に直接光結合を行うことが可能となった。即ち、LD素子20のリッジ部23側がシリコン基板10に接合されている場合には、発光部26の位置に対して入射部36の位置が下方に距離W2だけシフトされるように、SHG素子30がシリコン基板10に接合されることとなる。SHG素子30のLD素子20に対する位置関係は、マイクロバンプ13及び/又は14の潰し量を調整することにより行う。
【0057】
図3及び図4の例で説明したように、リッジ型導波路を有するLD素子20のリッジ部23側をジャンクションダウンでシリコン基板10へ接合した場合の方が、原点から光強度分布の中心位置のずれ量が少ない。したがって、図8(b)における位置S2と位置S1との間のずれ量W2よりも、図8(a)における位置S2と位置S1との間のずれ量W1を大きくした方がより良い直接光結合を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0058】
1 レーザ光源
10 シリコン基板
13、14 マイクロバンプ
20 LD素子
30 SHG素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リッジ部を有し、発光部からレーザ光を出射するレーザ素子と、
入射部に入射された前記レーザ光を導波するための導波路を有する光素子と、
前記レーザ素子と前記光素子とを直接光結合するように近接して接合させるための基板と、を有し、
前記発光部の位置に対して前記入射部の位置が上方又は下方に所定距離シフトされた状態で、前記レーザ素子及び前記光素子が前記基板に接合されている、
ことを特徴とするレーザ光源。
【請求項2】
前記レーザ素子の前記リッジ部側が前記基板に接合されている場合には、前記発光部の位置に対して前記入射部の位置が下方に所定距離シフトされるように、前記光素子が前記基板に接合されている、請求項1に記載のレーザ光源。
【請求項3】
前記光素子の前記導波路側が前記基板に接合されている場合には、前記入射部の位置に対して前記発光部が下方に所定距離シフトされるように、前記レーザ素子が前記基板に接合されている、請求項1に記載のレーザ光源。
【請求項4】
前記レーザ素子の前記発光部から、前記レーザ光の中間フィールドに相当する距離だけ離れた位置に、前記光素子の前記入射部が配置される、請求項1〜3の何れか一項に記載のレーザ光源。
【請求項5】
前記光素子は、前記レーザ素子から出射されるレーザ光の波長を変換する波長変換素子である、請求項1〜4の何れか一項に記載のレーザ光源。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−41217(P2013−41217A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179839(P2011−179839)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】