説明

レーザ光線放射パターン測定装置

【課題】本発明の課題は、レーザ光線の放射パターンを短時間のうちに容易に計測でき、高精度にかつ効率的に測定できるレーザ光線放射パターン測定装置を提供することにある。
【解決手段】本発明は、レーザ投光器32から所定距離隔てたレーザ光線照射位置に受光面35が設けられ、受光したレーザ光線36を電気信号に変換して出力する受光器34が複数個配置された受光処理器33を有し、受光処理器33に配置された複数個の受光器34から出力される電気信号が順次伝送されて入力され、所定のしきい値以上の電気信号に対応した受光器34の分布位置を表示する操作器49を具備することを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光線を照射する装置の開発に重要な、レーザ光線の光エネルギーの放射パターンおよび強度分布を得るレーザ光線放射パターン測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図2は従来のレーザ光線放射パターン測定装置を示す構成説明図である。図2において、11は地面、12はレーザ投光器、13は受光器、14は受光面、15は現示装置、16はレーザ光線、17はレーザ投光器固着台、18は脚部、19は脚部、20は設置板、21は光軸調整器である。
【0003】
図2に示すように、地面11上にはレーザ投光器固着台17が設けられる。前記レーザ投光器固着台17は地面11上に脚部18,19で支持されて光軸調整器21が設けられ、前記光軸調整器21上に設置板20を設けて構成される。前記光軸調整器21の設置板20上にはレーザ投光器12が固定的に設置され、前記レーザ投光器12から一定の距離だけ離れて対向したレーザ光線16の照射位置には受光器13の受光面14が設けられる。前記受光器13には現示装置15が接続される。
【0004】
すなわち、レーザ投光器12から射出されたレーザ光線16は受光器13の受光面14で受光され、受光したレーザ光線16の光エネルギーが事前に設定された閾値以上のときに、受光器13は光電変換して電気信号を出力する。受光器13から出力された電気信号はた現示装置15に入力され、現示装置15は受光器13から入力された電気信号を検知して発音または発光による現示を行う。
【0005】
図3は従来のレーザ光線放射パターン測定装置によるレーザ光線放射パターンを示す説明図である。すなわち、レーザ投光器12から一定の距離において前記受光面14を含む平面上での前記レーザ光線16の放射パターンを測定するには、前記受光面14を含む平面上で前記受光面14を上下左右に移動させ、現示装置15が現示を行う各点をプロットし、それぞれを結ぶことでレーザ光線放射パターンを得る。さらに、各々の異なるしきい値AまたはBを有する受光器を使用することにより、レーザ光線の放射照度分布を作製する。
【特許文献1】特開平10−339665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のレーザ光線放射パターン測定装置においては、受光器13の受光面14が同一平面上にあるよう保ちつつ、受光器13の受光面14を上下左右等に移動しなければならない。さらに、レーザ光線放射パターンを詳細に測定したい場合、現示装置15が現示する各点を細かくプロットしなければならない。このような作業は測定精度も悪く極めて非効率である。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、レーザ光線の放射パターンを短時間のうちに容易に計測でき、高精度にかつ効率的に測定できるレーザ光線放射パターン測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明のレーザ光線放射パターン測定装置は、測定対象となるレーザ光線を射出するレーザ投光器と、前記レーザ投光器が取付られ、レーザ投光器からのレーザ光線の射出方向を調整するレーザ投光器取付台と、前記レーザ投光器から所定距離隔てたレーザ光線照射位置に受光面が設けられ、受光したレーザ光線を電気信号に変換して出力する受光器と、前記受光器が複数個配置された受光処理器と、前記受光処理器に配置された複数個の受光器から出力される電気信号を順次伝送する制御装置と、前記制御装置から順次伝送された電気信号が入力され、所定のしきい値以上の電気信号に対応した受光器の分布位置を表示する操作器とを具備することを特徴とするものである。
【0009】
また本発明は、前記レーザ光線放射パターン測定装置において、レーザ投光器取付台に設けられ、レーザ投光器からのレーザ光線放射パターンが照射される受光処理器に配置された受光器の受光面を観察する望遠鏡を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
また本発明は、前記レーザ光線放射パターン測定装置において、受光器で電気信号のアナログ信号をデジタル信号に変換し、操作器で前記デジタル信号を3次元または色で表現し、レーザ光線の光エネルギーの放射パターンおよび強度分布を得ることを特徴とするものである。
【0011】
また本発明は、前記レーザ光線放射パターン測定装置において、操作器に設けられ、所定のしきい値以上の電気信号に対応した受光器の分布位置を表示するデータが記憶・読出しされる記憶装置を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のレーザ光線放射パターン測定装置は、レーザ光線の放射パターンを短時間のうちに容易に計測でき、高精度にかつ効率的に測定できるレーザ光線放射パターン測定装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の実施形態に係るレーザ光線放射パターン測定装置を示す構成説明図である。図1において、31は地面、32はレーザ投光器、33は受光処理器、34は受光器、35は受光面、36はレーザ光線、37はレーザ投光器固着台、38は脚部、39は脚部、40は設置板、41は光軸調整器、42は望遠鏡固定台、43は望遠鏡、44は制御装置、45は台車、46は無線器、47は無線器、48は無線出力、49は操作器、50は入力装置、51は表示部、52は印字部である。
【0015】
図1に示すように、地面31上には脚部38,39に支持されて光軸調整器41が設けられ、前記光軸調整器41の上面には設置板40が設けられる。前記設置板40上には望遠鏡固定台42が設けられる。前記脚部38,39、設置板40、光軸調整器41、及び望遠鏡固定台42はレーザ投光器固着台37を構成する。前記望遠鏡固定台42には望遠鏡43が設けられ、前記設置板40上にはレーザ投光器32が設けられる。前記レーザ投光器32から所定の距離隔てた地面31上には台車45に取付られて制御装置44が設けられ、前記制御装置44には受光処理器33が電気的に接続されて設けられる。前記受光処理器33の前面には複数の受光器34が電気的に接続されて配置され、前記受光器34のそれぞれ前面には受光面35が前記レーザ投光器32から照射されるレーザ光線36に対して略直角に対向するようにして設けられる。前記制御装置44には電気ケーブルを介して一方の無線器47が接続され、前記無線器47と無線出力48で送受信される他方の無線機46には電気ケーブルを介して操作器49が接続される。前記操作器49は入力装置50及び表示部51より構成され、前記操作器49には印字部52が電気的に接続される。
【0016】
前記望遠鏡43はレーザ投光器32からのレーザ光線36が照射される受光器34の受光面35を観察し、レーザ光線放射パターンが受光処理器33の測定範囲内に収まるように、光軸調整器41によりレーザ投光器32のレーザ投光口の向きを調整する。
【0017】
前記受光器34はレーザ投光器32からのレーザ光線36を受光面35に受けたときに、光エネルギー量に比例したアナログ値の電気信号を出力する光電変換機能と、アナログ値の電気信号をデジタル値の電気信号に変換するアナログ/デジタル変換機能を有している。
【0018】
前記制御装置44は受光処理器33に配置された複数の受光器34を走査するように順次切り換え、各受光器34から出力されるデジタル値の電気信号を無線器47に順次出力する。無線器47は順次入力されるデジタル値の電気信号を無線出力48に変換して無線器46に順次送信する。無線器46は順次受信した無線出力48をデジタル値の電気信号に変換して操作器49に順次出力する。
【0019】
操作器49は順次入力されるデジタル値の電気信号を走査するように順次再生し、表示部51に受光処理器33に配置された複数の受光器34の画像として表示する。この場合、単位面積当りの光エネルギーがn(W/cm)以上である点の平面上での分布位置を測定する場合、操作器49の入力装置50により、しきい値をn(W/cm)として入力する。操作器49は入力されたデジタル値の電気信号を元に設定したしきい値以上の値の受光器34の位置を黒丸の画像として表示する。
【0020】
図4は本発明の実施形態に係るレーザ光線放射パターン測定装置によるレーザ光線放射パターンを示す説明図である。すなわち、表示部51に表示された受光処理器33に配置された複数の受光器34の画像のうち、所定のしきい値以上のデジタル値の受光器34の分布位置が黒丸の画像として表示され、即座にレーザ光線放射パターンを測定することができる。
【0021】
尚、図4に示すようなレーザ光線放射パターンは操作器49に接続された印字部52により印刷して出力することができる。
【0022】
また、図4に示すようなレーザ光線放射パターンを表示するデジタルデータは操作器49に設けられた記憶装置に記憶して保存することにより、測定後に記憶装置から読み出されたデジタルデータによりレーザ光線放射パターンを再表示することができる。
【0023】
次に、本発明の実施形態に係るレーザ光線放射パターン測定装置を利用してレーザ投光器32からのレーザ光線36により、レーザ投光器32から一定の距離における平面上に配置された受光面35の放射パターンを測定する方法について説明する。尚、測定に際し、測定者はレーザ投光器32およびレーザ投光器固着台37の後に位置する。
【0024】
(1) 単位面積当りの光エネルギーがn(W/cm)以上である点の受光面35上での分布位置を測定する場合、操作器49の入力装置50により、しきい値をn(W/cm)として入力する。
【0025】
(2) 望遠鏡43を利用して受光面35上を観察し、レーザ投光器固着台37の光軸調整器41によりレーザ投光器32の投光口の向きを調節して、レーザ投光器32からのレーザ光線36の進行方向(向き)を振り、受光器34が配置されている受光処理器33の測定範囲内にレーザ光線放射パターンが収まるようにする。
【0026】
(3) 受光器34の受光面35にレーザ投光器32からのレーザ光線36が照射すると、受光器34においてレーザ光線の光エネルギーのアナログ値がデジタル値に変換され、電気信号を出力する。
【0027】
(4) 複数の受光器34からの電気信号は制御装置44で走査するように順次切り換えられて出力され、走査するように順次切り換えられて出力された電気信号は無線器47,46を経由して操作器49へ送信される。
【0028】
(5) 操作器49は受信されたデジタル値の電気信号を走査するように順次表示部51に出力して受光器34の画像として表示する。この場合、入力装置50により設定したしきい値以上のデジタル値の電気信号の受光器34の位置を黒丸の画像として表示する。尚、操作器49は受信されたデジタル値を記憶装置に記憶する。
【0029】
以上のようにして、図4に示すようなレーザ光線の光エネルギー分布すなわちレーザ光線放射パターンが得られる。
【0030】
図5は本発明の実施形態に係るレーザ光線放射パターン測定装置による光エネルギーの強度分布を示す説明図である。すなわち、操作器49の入力装置50により、光エネルギー量に比例したデジタル値を表示するように設定を行えば、表示部51には図5に示すような光エネルギーの強度分布が3次元的に表示される。尚、光エネルギーの強度分布は色で表示するようにしてもよい。また、3次元的または色で表示される光エネルギーの強度分布は操作器49に接続された印字部52により印刷して出力することができる。さらに、光エネルギーの強度分布を3次元的または色で表示するデジタルデータは操作器49に設けられた記憶装置に記憶して保存することにより、測定後に記憶装置から読み出されたデジタルデータにより光エネルギーの強度分布を3次元的または色で再表示することができる。
【0031】
従来のレーザ光線放射パターン測定装置ではレーザ投光器を固定し、レーザ光線の進行方向を固定し、受光器を上下左右等に移動して放射パターンを計測するが、本発明の実施形態に係るレーザ光線放射パターン測定装置では、複数個配置した受光器からの電気信号を随時表示することにより即座にレーザ光線放射パターンを得ることができる。
【0032】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係るレーザ光線放射パターン測定装置を示す構成説明図である。
【図2】従来のレーザ光線放射パターン測定装置を示す構成説明図である。
【図3】従来のレーザ光線放射パターン測定装置によるレーザ光線放射パターンを示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係るレーザ光線放射パターン測定装置によるレーザ光線放射パターンを示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係るレーザ光線放射パターン測定装置による光エネルギーの強度分布を示す説明図である。
【符号の説明】
【0034】
31…地面、32…レーザ投光器、33…受光処理器、34…受光器、35…受光面、36…レーザ光線、37…レーザ投光器固着台、38…脚部、39…脚部、40…設置板、41…光軸調整器、42…望遠鏡固定台、43…望遠鏡、44…制御装置、45…台車、46…無線器、47…無線器、48…無線出力、49…操作器、50…入力装置、51…表示部、52…印字部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象となるレーザ光線を射出するレーザ投光器と、
前記レーザ投光器が取付られ、レーザ投光器からのレーザ光線の射出方向を調整するレーザ投光器取付台と、
前記レーザ投光器から所定距離隔てたレーザ光線照射位置に受光面が設けられ、受光したレーザ光線を電気信号に変換して出力する受光器と、
前記受光器が複数個配置された受光処理器と、
前記受光処理器に配置された複数個の受光器から出力される電気信号を順次伝送する制御装置と、
前記制御装置から順次伝送された電気信号が入力され、所定のしきい値以上の電気信号に対応した受光器の分布位置を表示する操作器と
を具備することを特徴とするレーザ光線放射パターン測定装置。
【請求項2】
レーザ投光器取付台に設けられ、レーザ投光器からのレーザ光線放射パターンが照射される受光処理器に配置された受光器の受光面を観察する望遠鏡を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーザ光線放射パターン測定装置。
【請求項3】
受光器で電気信号のアナログ信号をデジタル信号に変換し、操作器で前記デジタル信号を3次元または色で表現し、レーザ光線の光エネルギーの放射パターンおよび強度分布を得ることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ光線放射パターン測定装置。
【請求項4】
操作器に設けられ、所定のしきい値以上の電気信号に対応した受光器の分布位置を表示するデータが記憶・読出しされる記憶装置を備えたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載のレーザ光線放射パターン測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−268028(P2008−268028A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−112205(P2007−112205)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(000221155)東芝電波プロダクツ株式会社 (62)
【Fターム(参考)】