説明

レーザ出力制御装置及びレーザ治療装置

【課題】 レーザ光の出射を自動的に停止させることができ、本体のクリーニングが容易にでき、アクチュエータと本体との隙間から塵などの異物が混入することによるスイッチの不具合をなくし、プローブを本体の収納部に格納したときのプローブの浮き上がりを防止し、確実に収納することができるレーザ出力制御装置及びレーザ治療装置を提供する。
【解決手段】 レーザ光を出射するプローブ102と、プローブを収納する収納部104を有するレーザ出力装置本体101と、レーザ光の出射駆動電力の供給及び遮断を行うスイッチ401とを有し、プローブとレーザ出力装置本体とのいずれか一方に第1の吸着片、他方に第2の吸着片が設けられたレーザ出力制御装置100であって、プローブが収納部に収納されたとき、第1の吸着片と第2の吸着片とが引き合うように動作することによりスイッチを制御し、レーザ光の出射駆動電力を遮断する制御手段201を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ治療に用いるレーザ治療装置におけるレーザ光の出射を自動的に停止させるレーザ出力制御装置及びそのレーザ出力制御装置を有するレーザ治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の医療用レーザ治療装置は、レーザ光を出射するプローブと本体とから構成されており、プローブは、本体とフレキシブルなケーブルで連結されている。従来の医療用レーザ治療装置について図5を用いて説明する。図5に示すように、従来の医療用レーザ治療装置では、プローブ500が本体501の収納部502に置かれると、本体501の内部に配置された制御機構の構成要素であるスイッチ503が、本体501にプローブ500が置かれたことを検出して、それに基づいてレーザ光の出射を停止させるようにしている。このスイッチ503のアクチュエータ504の一部は、本体501の一部に開けられた孔から外部に出ており、プローブ500が本体501の収納部502に置かれることによって、アクチュエータ504が動作してスイッチ503が作動する。このような従来の医療用レーザ治療装置が下記の非特許文献1に開示されている。
【非特許文献1】http://www.og-giken.co.jp/products/newmodel/n-035.htm
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、プローブは患者に皮膚接触させて治療するものであるため、衛生上の観点から、プローブ及び本体は頻繁に布などでクリーニングしなければならない。しかし、非特許文献1に開示されたような従来の医療用レーザ治療装置では、アクチュエータが外部に飛び出ている構成であるため、クリーニングがしにくいという問題があった。また、アクチュエータと本体との隙間から塵などの異物が混入し、スイッチの不具合の原因になるという問題もあった。さらに、プローブが軽い場合には、アクチュエータを完全に押しつけることができず、ケーブルのねじれなどと重なって、プローブが浮き上がるなどしてプローブを本体の収納部に確実に収納することができないという問題もあった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、レーザ光の出射を自動的に停止させることができ、プローブ及び本体のクリーニングが容易にでき、アクチュエータと本体との隙間から塵などの異物が混入することによるスイッチの不具合をなくし、プローブを本体の収納部に収納したときのプローブの浮き上がりを防止し、確実に収納することができるレーザ出力制御装置及びレーザ治療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明によれば、レーザ光を出射するプローブと、前記プローブを収納するための収納部を有するレーザ出力装置本体と、前記レーザ光の出射駆動電力の供給及び遮断を行うスイッチとを有し、前記プローブと前記レーザ出力装置本体とのいずれか一方に第1の吸着片、他方に第2の吸着片が設けられたレーザ出力制御装置であって、前記プローブが前記収納部に収納されたとき、前記第1の吸着片と前記第2の吸着片とが引き合うように動作することによって前記スイッチを制御し、前記レーザ光の出射駆動電力を遮断する制御手段を備えたレーザ出力制御装置が提供される。この構成により、レーザ光の出射を自動的に停止させることができ、プローブ及び本体のクリーニングが容易にでき、アクチュエータと本体との隙間から塵などの異物が混入することによるスイッチの不具合をなくし、プローブを本体の収納部に収納したときのプローブの浮き上がりを防止し、確実に収納することができる。
【0006】
また、本発明のレーザ出力制御装置における前記第1の吸着片及び前記第2の吸着片のうち、一方が磁石で、他方が前記磁石の磁力を受ける作動片であることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、レーザ光の出射を自動的に停止させることができる。
【0007】
また、本発明のレーザ出力制御装置における前記作動片が鉄製の部材で構成されることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、磁石の磁力の影響を受け、レーザ光の出射を自動的に停止させることができる。
【0008】
また、本発明によれば、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のレーザ出力制御装置を有するレーザ治療装置が提供される。この構成により、レーザ光の出射を自動的に停止させることができ、プローブ及び本体のクリーニングが容易にでき、アクチュエータと本体との隙間から塵などの異物が混入することによるスイッチの不具合をなくし、プローブを本体の収納部に収納したときのプローブの浮き上がりを防止し、確実に収納することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のレーザ出力制御装置及びレーザ治療装置は、上記構成を有し、レーザ光の出射を自動的に停止させることができ、プローブ及び本体のクリーニングが容易にでき、アクチュエータと本体との隙間から塵などの異物が混入することによるスイッチの不具合をなくし、プローブを本体の収納部に収納したときのプローブの浮き上がりを防止し、確実に収納することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係るレーザ出力制御装置及びレーザ治療装置について図1から図4を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態に係るレーザ出力制御装置の外観を示す図である。図2は本発明の実施の形態に係るレーザ出力制御装置の他の外観を示す図である。図3は本発明の実施の形態に係るレーザ出力制御装置におけるプローブがレーザ出力装置本体の収納部に収められた際の模式図である。図4は本発明の実施の形態に係るレーザ出力制御装置の制御機構について説明するための図である。
【0011】
まず、本発明の実施の形態に係るレーザ出力制御装置について図1及び図2を用いて説明する。図2に示すように、レーザ出力制御装置100は、レーザ出力装置本体101と、レーザ出力装置本体101とケーブル103を介して接続されるプローブ102とから構成されている。また、レーザ出力装置本体101は、プローブ102を収納するための収納部104を有している。収納部104は、プローブ102を使用していない場合やプローブ102の使用を一時停止する場合などに用いられる。
【0012】
また、図1に示すように、プローブ102は、自身の内部に永久磁石200を有している。永久磁石200は、レーザ出力装置本体101との接触面側に埋め込まれていることが望ましい。なお、永久磁石200以外にも電磁石などであってもよい。また、レーザ出力装置本体101の内部には、本発明の実施の形態に係るレーザ出力制御装置100が有する制御機構201が埋め込まれている。この制御機構201について図4を用いて説明する。図4に示すように、制御機構201は、プリント基板400、検出スイッチ401、戻しばね402、作動片(アクチュエータとも言う)403、スイッチ作動片404から構成されている。
【0013】
作動片403は、例えば鉄製の部材でできている。そのため、プローブ102の内部に埋め込まれた永久磁石200が近づくと、作動片403は、永久磁石200の磁力により永久磁石200の方へ引き寄せられる。作動片403が引き寄せられることにより、戻しばね402は伸び、スイッチ作動片404が上方へ浮き上がる。スイッチ作動片404が浮き上がることにより、検出スイッチ401は、スイッチ作動片404との接触が解かれる。これにより、プリント基板400の回路を介してレーザ光の出射が停止される。
【0014】
ここで、プローブ102がレーザ出力装置本体101の収納部104に収められた際の模式図を図3に示す。図3に示すように、プローブ102がレーザ出力装置本体101の収納部104に収められると、プローブ102内の永久磁石200により、作動片403が引き寄せられる。作動片403が引き寄せられることにより、スイッチ作動片404が上方へ浮き上がり、レーザ光の出射が自動的に停止される。また、従来のレーザ出力制御装置では、レーザ出力装置本体とアクチュエータとの隙間から塵などの異物が混入することによるスイッチの不具合が生じていたが、本発明の実施の形態に係るレーザ出力制御装置では、上記のような隙間がないため、塵などの異物が混入することによるスイッチの不具合は生じない。また、本発明の実施の形態に係るレーザ出力制御装置では、プローブに永久磁石を埋め込んだ構成であるため、永久磁石の磁力により、軽量なプローブであってもレーザ出力装置本体の収納部に確実に収納することができる。
【0015】
なお、上述した本発明の実施の形態では、プローブ102の内部にのみ永久磁石200を設けているが、永久磁石200をレーザ出力装置本体101の内部に設けてもよい。すなわち、この場合、作動片403が永久磁石となる。これにより、例えばお互いの永久磁石が引き寄せ合い、スイッチ作動片404が上方へ浮き上がる場合にレーザ光の出射が自動的に停止されるようにしてもよい。また、例えばお互いの永久磁石が反発し合い、スイッチ作動片404が下方へ押し付けられる場合にレーザ光の出射が自動的に停止されるようにしてもよい。
【0016】
また、上述した本発明の実施の形態では、プローブ102の内部に永久磁石200を設け、レーザ出力装置本体101の内部に金属製の作動片403を設けているが、プローブ102の内部の永久磁石200を金属製の片に代え、レーザ出力装置本体101の内部の金属製の作動片403を永久磁石に代えてもよい。これにより、本発明の実施の形態のように、磁石の磁力によりレーザ光の出射が自動的に停止される。また、上述した本発明の実施の形態に係るレーザ出力制御装置を搭載させた不図示のレーザ治療装置により、レーザ治療を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明に係るレーザ出力制御装置及びレーザ治療装置は、レーザ光の出射を自動的に停止させることができ、プローブ及び本体のクリーニングが容易にでき、アクチュエータと本体との隙間から塵などの異物が混入することによるスイッチの不具合をなくし、プローブを本体の収納部に収納したときのプローブの浮き上がりを防止し、確実に収納することができるため、レーザ治療に用いるレーザ治療装置におけるレーザ光の出射を自動的に停止させるレーザ出力制御装置及びそのレーザ出力制御装置を有するレーザ治療装置などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係るレーザ出力制御装置の外観を示す図
【図2】本発明の実施の形態に係るレーザ出力制御装置の他の外観を示す図
【図3】本発明の実施の形態に係るレーザ出力制御装置におけるプローブがレーザ出力装置本体の収納部に収められた際の模式図
【図4】本発明の実施の形態に係るレーザ出力制御装置における制御機構について説明するための図
【図5】従来の医療用レーザ治療装置について説明するための図
【符号の説明】
【0019】
100 レーザ出力制御装置
101、501 レーザ出力装置本体(本体)
102、500 プローブ
103 ケーブル
104、502 収納部
200 永久磁石(磁石)
201 制御機構(制御手段)
400 プリント基板
401、503 検出スイッチ(スイッチ)
402 戻しばね
403、504 作動片(アクチュエータ)
404 スイッチ作動片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するプローブと、前記プローブを収納するための収納部を有するレーザ出力装置本体と、前記レーザ光の出射駆動電力の供給及び遮断を行うスイッチとを有し、前記プローブと前記レーザ出力装置本体とのいずれか一方に第1の吸着片、他方に第2の吸着片が設けられたレーザ出力制御装置であって、
前記プローブが前記収納部に収納されたとき、前記第1の吸着片と前記第2の吸着片とが引き合うように動作することによって前記スイッチを制御し、前記レーザ光の出射駆動電力を遮断する制御手段を備えたレーザ出力制御装置。
【請求項2】
前記第1の吸着片及び前記第2の吸着片のうち、一方が磁石で、他方が前記磁石の磁力を受ける作動片である請求項1に記載のレーザ出力制御装置。
【請求項3】
前記作動片は、鉄製の部材で構成される請求項2に記載のレーザ出力制御装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のレーザ出力制御装置を有するレーザ治療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−51208(P2006−51208A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−235484(P2004−235484)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】