説明

レーザ加工装置

レーザ光を発振するレーザ発振器(11)と、レーザ発振器(11)から出射されたレーザ光を被加工物(100)に照射する加工ヘッド(21)と、レーザ発振器(11)のレーザ光出射口(12)から加工ヘッド(21)までレーザ光を導く光学系を有する光路ダクト(30)と、光路ダクト(30)のレーザ発振器(11)との接続部付近に設けられるパージガス供給口(35)からパージガスを供給するパージガス供給手段(42)と、光路ダクト(30)の加工ヘッド(21)との接続部付近に設けられるパージガス排出口(36)と、を備えるレーザ加工装置において、光路ダクト(30)内にレーザ光の出力に異常をきたす不純ガスの光路ダクト内への混入を検知するガス検知部(50)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
この発明は、溶接や切断を行うレーザ加工装置において、レーザ光を導く導光路ダクト内に満たされるパージガスの中の不純ガスの混入を検知することが可能なレーザ加工装置に関するものである。
【背景技術】
レーザ発振器から出力されるレーザ光を加工対象の所定の位置に高い精度で照射し、溶接や切断、レーザアニーリングを行なう装置として、種々のものが提案されている。たとえば、第1の従来技術には、長期間安定してレーザ光を伝送し、高い精度で加工対象の溶接や切断を行なうことが可能なレーザ加工装置が開示されている。このレーザ加工装置は、レーザ出射口までのビーム伝送路を気密構造としたレーザ発振器と、加工対象の任意の位置にレーザ光を照射することができる多関節構造を有するレーザロボットと、レーザ発振器からレーザロボットまでレーザ光の光軸がずれないようにレーザ光を導く光路ダクトと、この光路ダクト内の圧力を検出して、光路ダクト内の圧力が外圧よりも高くなるように所定の加工ガスを光路ダクト内に供給する加工ガス供給手段と、を備えて構成される。このような構成によって、レーザ加工時に発生するヒュウムや粉塵がレーザロボットの先端部から光路ダクト内に入り込むことを防止している(たとえば、特許文献1参照)。
また、第2の従来技術には、加工対象をレーザアニーリング処理する条件に応じて、レーザ光の強度を精度よく制御することができるレーザアニーリング装置が開示されている。このレーザアニーリング装置は、レーザ発振器と、レーザアニーリング処理を行なう加工対象を設置するためのチャンバとが、光路ダクトによって接続された構成を有し、光路ダクト内を伝送するレーザ光を吸収することのないパージガスと、レーザ光に対して所定の吸収率を有する制御ガスの濃度によって、チャンバ内の加工対象に照射されるレーザ光の強度を調整するものである。そのために、光路ダクトには、光路ダクト内の制御ガスの濃度を検出する検出センサが設けられ、この検出センサによる制御ガスの濃度の検出信号に基づいて光路ダクト内に供給する制御ガスの量を制御している(たとえば、特許文献2参照)。
【特許文献1】 特開平5−8079号公報(第2頁、第1〜2図)
【特許文献2】 特開平6−17120号公報(第2〜3頁、第1図)
しかしながら、第1の従来技術に開示されたレーザ加工装置では、光路ダクト内に外気が入り込んでしまう虞があるという問題点がある。光路ダクト内に外気が入り込む原因の1つとして、光路ダクトの構造に起因するものがある。たとえば、上記特許文献1の第1図に示されているように、レーザ発振器とレーザロボットを結ぶ光路ダクトは一直線ではなく、複数の箇所で光路が曲げられており、このような光路ダクトは、通常、複数のパイプをベローズなどで接続することによって構成される。また、第1の従来技術のレーザ加工装置では、加工対象の任意の位置にレーザを照射することが可能なように、レーザ光が出射される位置を移動させることが可能なレーザロボットを有している。このような構造のレーザ加工装置では、たとえば、レーザ照射位置を変更するために行なわれるレーザロボットの照射位置の変更動作に伴って、光路ダクトの一部を構成するベローズ部分が動いてしまう場合や、またはレーザ加工を止めた場合などに、一時的に光路ダクト内の圧力が低くなってしまう。その結果、たとえば、光路ダクトを構成するパイプ同士の継ぎ目やパイプとベローズなどの部品との継ぎ目などの箇所から、外気が光路ダクト内に入り込んでしまう。
また、光路ダクト内に外気が入り込む原因のもう1つとしては、光路ダクト内に供給される加工ガスに起因するものがあり、これは、光路ダクトにコンプレッサから吸気したエアを加工ガスとして使用することによるものである。
これらのように、光路ダクト内に外気が入り込む環境が存在すると、たとえば、光路ダクト近傍でシンナやペンキなどを使用した場合に、レーザ光を吸収するレーザ光吸収ガス(シンナ、トリクレン、アクリル燃焼ガス、フロン系ガス、SFや有機化合物など)などの不純ガスが光路ダクト内に入り込んでしまう。これらの不純ガスは、レーザ光のパワー分布やレーザ光の減衰の増加などを引き起こし、その結果、レーザ光の特性を悪化させ、レーザ加工装置の加工能力を落としてしまうという問題点があった。
そして、従来のレーザ加工装置では、このようなレーザ光の出力異常が生じた場合には、最初にレーザ発振器の不具合が原因として疑われ、ここからレーザ光の異常となるさまざまな要因を取り除いた後に、不純ガスの光路ダクト内への侵入がレーザ光の出力異常の原因であると判明することが多かった。すなわち、レーザ光の出力異常の原因が、光路ダクト中における不純ガスの存在であると原因調査の初期の段階で特定することができなかった。そのため、この原因究明の間、レーザ加工装置による加工を行なうことができないので、作業効率を落とす原因にもなっていた。
また、第2の従来技術におけるレーザアニーリング装置においては、光路ダクト内に、制御ガスを検出するための検出センサを備えているが、この検出センサは、レーザ光の出力を制御する制御ガスの濃度を検出するためのセンサであり、上記不純ガスを検知するものではない。すなわち、光路ダクト内に、上記レーザ吸収ガスなどの不純ガスが入り込んでも、この検出センサでは不純ガスの侵入を検知することができないという問題点があった。
この発明は、上記に鑑みてなされたもので、光路ダクト内に入り込んだ不純ガスを検知することが可能なレーザ加工装置を得ることを目的とする。
【発明の開示】
上記目的を達成するため、この発明にかかるレーザ加工装置は、レーザ光を発振するレーザ発振器と、前記レーザ発振器から出射されたレーザ光を被加工物に照射する加工ヘッドと、前記レーザ発振器のレーザ光出射口から前記加工ヘッドまでレーザ光を導く光学系を有する光路ダクトと、前記光路ダクトの前記レーザ発振器との接続部付近に設けられるパージガス供給口からパージガスを供給するパージガス供給手段と、前記光路ダクトの前記加工ヘッドとの接続部付近に設けられるパージガス排出口と、を備えるレーザ加工装置において、前記光路ダクト内に前記レーザ光の出力に異常をきたす不純ガスの前記光路ダクト内への混入を検知するニオイセンサを備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明によるレーザ加工装置の実施の形態1の概略構成を示すブロック図であり、第2図は、ガス検知部の光路ダクトへの取り付けの一例を示す図であり、第3図は、レーザ加工装置の異常検出時の動作処理を示すフローチャートであり、第4図は、ガス検知部によるキャリブレーションの処理手順を示すフローチャートであり、第5図は、この発明によるレーザ加工装置の実施の形態2の概略構成を示すブロック図であり、第6図は、レーザ加工装置の異常検出時の動作処理を示すフローチャートであり、第7図は、この発明によるレーザ加工装置の実施の形態3の概略構成を示すブロック図であり、第8図は、ニオイセンサによる異常個所の特定方法を示す図であり、第9図は、レーザ加工装置の異常検出時の動作処理を示すフローチャートであり、第10図は、この発明によるレーザ加工装置の実施の形態4の概略構成を示すブロック図であり、第11図は、レーザ加工装置の異常検出時の動作処理を示すフローチャートであり、第12図は、この発明によるレーザ加工装置の実施の形態5の概略構成を示すブロック図であり、第13図は、ニオイセンサによる異常個所の特定方法を示す図であり、第14図は、レーザ加工装置の異常検出時の動作処理を示すフローチャートであり、第15図は、ガス検知部の光路ダクトへの取り付けの一例を示す図であり、第16図は、ガス検知部によるキャリブレーションの処理手順を示すフローチャートであり、第17図は、ガス検知部の光路ダクトへの取り付けの一例を示す図であり、そして、第18図は、ガス検知部によるキャリブレーションの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるレーザ加工装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
実施の形態1.
第1図〜第4図を用いてこの発明の実施の形態1を説明する。第1図は、この発明にかかるレーザ加工装置の実施の形態1の概略構成を示すブロック図であり、第2図は、ガス検知部の光路ダクトへの取り付けの一例を示す図であり、第3図は、レーザ加工装置の異常検出時の動作処理を示すフローチャートであり、そして、第4図は、ガス検知部によるキャリブレーションの処理手順を示すフローチャートである。
レーザ加工装置は、レーザ光を発振する炭酸ガスレーザ発振器(発振波長10.6μm)などのレーザ発振器11と、加工対象としてのワーク(被加工物)100にレーザ発振器11から出力されるレーザ光を照射する加工ヘッド21と、レーザ発振器11から出射されるレーザ光をその光軸を保ちながら加工ヘッド21まで導く光路ダクト30と、を備えて構成される。なお、この図中において、レーザ光は一点鎖線Lによって示されている。
光路ダクト30は、この第1図では、2本のパイプ31a,31bが互いに直角になるように、L字型の構造を有しており、それらの継ぎ目部分は伸縮可能なベローズ33で接続されている。この光路ダクト30内には、レーザ発振器11のレーザ光出射口12から加工ヘッド21までレーザ光Lを導き、加工ヘッド21の先端部(以下、加工ヘッド先端部という)22で集光するために、たとえば、この第1図の構成ではレーザ発振器11のレーザ光出射口12から出射されたレーザ光Lを加工ヘッド21の方向に90度進路を曲げるためのベンドミラー34などの光学系が備えられている。また、レーザ光Lとワーク100との間で相対移動動作が生じるように、加工ヘッド21に接続されるパイプ31bは、図示しない案内構造や駆動機構によってフレーム23に沿って、図中の矢印Aの方向に移動することができる。このフレーム23に沿った加工ヘッド21に接続されるパイプ31bの移動に伴って、上述したベローズ33が伸縮する。
また、この光路ダクト30のレーザ発振器11のレーザ光出射口12付近には、内部を通過するレーザ光Lの吸収率に影響を与えないパージガスを供給するためのパージガス供給口35が備えられ、光路ダクト30の加工ヘッド21の取り付け位置付近には、パージガスを光路ダクト30の外部に排出するためのパージガス排出口36が備えられている。パージガス供給口35には、パージガスとして窒素を供給するための窒素供給部41と、パージガスとして吸気、圧縮したエア(空気)を供給するコンプレッサ42とが、排他的に切替えられるバルブ44を介して接続されている。コンプレッサ42のエアを吸気する吸気口にはフィルタ43が備えられている。このフィルタ43は、レーザ加工装置が設置される室内の湿気や塵埃、有機化合物などを取り除いて光路ダクト30内に入り込まないようにする機能を有する活性炭などから構成される。これらの光路ダクト30に設けられたパージガス供給口35とパージガス排出口36とによって、光路ダクト30内は所定の圧力(たとえば、パージガスとしてエア(パージエア)を用いる場合には、流量が100L/分、圧力差が0.06kPa以上)となるように設定される。
また、このレーザ加工装置は、光路ダクト30内の不純ガスの混入を検知して、異常検知信号を出力する少なくとも1つのガス検知部50と、レーザ加工装置を制御するとともに、ガス検知部50から異常検知信号を受信したときにレーザ加工装置の使用者に異常を通知する制御通知部61と、制御通知部61からの通知によって異常を使用者に認識させる異常表示部62と、を備えて構成される。制御通知部61は、ガス検知部50から出力される異常検知信号やフィルタ43を交換したときにコンプレッサ42から出力されるフィルタ交換信号に基づいてレーザ発振器11を制御するとともに、使用者からの指示に基づいてレーザ加工装置全体の制御を行う。また、制御通知部61は、レーザ加工装置が起動された際に、ガス検知部50のキャリブレーションの制御を行う。異常表示部62は、レーザ加工装置に設けられている、たとえばCRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ、各種の異常を知らせるインジケータ、またはサイレンなどによって構成され、制御通知部61からの通知によって不純ガスの混入による異常が使用者に対して通知される。
ガス検知部50は、第2図に示されるように、光路ダクト30内の不純ガスを検知するニオイセンサ51と、レーザ加工装置の起動時にニオイセンサ51のキャリブレーションを行うためのセンサ校正部52と、を備えて構成される。このガス検知部50は、光路ダクト30の側壁の一部が、光路ダクト30の内側から外側に向かって窪むように形成された凹部70に設けられる。凹部70は、光路ダクト30内の光軸に平行な面を有し、光路ダクト30に接続される周面部71と、凹部70の下流側に位置し、光路ダクト30の外周面と凹部70の周面部71とを結ぶ第1の側面部72と、凹部70の上流側に位置し、光路ダクト30の外周面と凹部70の周面部71とを結ぶ第2の側面部73に囲まれて形成される。第1の側面部72は、光路ダクト30の延在方向に対してほぼ垂直な角度を有するが、第2の側面部73は、光路ダクト30の内壁から、光路ダクト30の中心部からの距離が最も離れた凹部70の周面部71に向かって垂直でない緩やかな傾斜角を有する。
ニオイセンサ51は、光路ダクト30内を流れるパージガスGの流れに対するように凹部70の第1の側面部72に設置される。このニオイセンサ51として、可燃性ガス、毒性ガス、ニオイ成分などの雰囲気成分を検知することが可能な熱線型半導体式センサを用いることができる。熱線型半導体式センサは、白金または白金合金線などの貴金属線の線状抵抗体でコイルを形成し、このコイルの周囲に酸化錫などの金属酸化物半導体を配置したガス感応部と、このガス感応部の外部に線状抵抗体の両端部を延出させたリード線部とを備える2端子型の構成を有する。このような構成の熱線型半導体式センサの線状抵抗体に通電して所定の温度にして、ガス吸着によるガス感応部の抵抗値の変化を検出することによって、上記のガス成分の存在を検知するものである。このようなニオイセンサとして、たとえば、新コスモス電機株式会社製の熱線型半導体式センサCH−E(型名)などを用いることができる。
センサ校正部52は、ニオイセンサ51のキャリブレーションを行うためのガス(以下、キャリブレーションガスという)を供給するキャリブレーションガス供給部53と、ニオイセンサ51に対向した凹部70の第2の側面部73に(キャリブレーションガスが、パージガスGの流れと同一方向に吹き出されるように)設置されるノズル54と、キャリブレーション実施時にキャリブレーションガスを光路ダクト30内へ供給し、それ以外の時にはキャリブレーションガスを光路ダクト30内に供給しないように制御する電磁弁55と、を備えて構成される。電磁弁55は、制御通知部61によって開閉が制御される。
このセンサ校正部52は、不純ガスが混入したときのニオイセンサ51の変化を検知するために、不純ガスが存在しない環境でのニオイセンサ51の動作の基準を得るためのものであるので、キャリブレーションガス供給部53は、レーザ加工を行うときに供給されるパージガスGと同じ組成のガスを供給することが望ましい。しかし、パージガスGと同じ組成のガスでなくても、ニオイセンサ51が検知対象としない窒素や酸素などのガスをキャリブレーションガスとして供給するようにしてもよい。このように、どの状態が異常でないのかを判断させるための初期値を取るために、ニオイセンサ51にキャリブレーションガスを流すことをキャリブレーションという。
このように、レーザ加工装置の光路ダクト30のパージガス排出口36付近にガス検知部50を設けることによって、レーザ光Lのパワー分布やレーザ光Lの減衰の増加などの異常をもたらす不純ガスの光路ダクト30内への侵入が検知される。その結果、上記レーザ光Lの異常が、不純ガスによるものなのか、それともそれ以外の原因によるものなのかを、初期の段階で切り分けられる。
つぎに、このレーザ加工装置の異常検出時における処理について説明する。第3図に示されるように、レーザ加工装置を起動するには、最初に、コンプレッサ42を起動し(ステップS1)、光路ダクト30内をガス(エア)で満たす。つぎに、ニオイセンサのキャリブレーションを行う(ステップS2)。
このニオイセンサ51のキャリブレーションは、第4図に示されるように、まず、キャリブレーションガス供給部53とノズル54の間に設けられる電磁弁55を開き(ステップS201)、ノズル54からニオイセンサ51にキャリブレーションガスを吹き付け、キャリブレーションを開始する(ステップS202)。ニオイセンサ51へのキャリブレーションガスの吹き付けを所定時間(通常は、数分間)行い、キャリブレーションが終了すると(ステップS203)、ニオイセンサ51はキャリブレーション完了の信号を制御通知部61に出力する(ステップS204)。その後、制御通知部61は、電磁弁55を閉め(ステップS205)、キャリブレーション処理が終了する。
再び第3図に戻り、ニオイセンサ51のキャリブレーションが終了すると、ワーク100が所定の位置に設置され、レーザ加工が開始される(ステップS3)。このレーザ加工中に、ニオイセンサ51は不純ガスの光路ダクト30内への混入を検知し続ける(ステップS4)。異常が検知されない場合(ステップS4でNoの場合)には、そのまま加工が続行される(ステップS12)。加工処理が完了すると、処理が終了する。
一方、ステップS4でニオイセンサ51が光路ダクト30内のパージガスGから不純ガスの混入による異常を検知した場合(ステップS4でYesの場合)には、制御通知部61にニオイセンサ51から異常検知信号が出力される。そして、制御通知部61は、レーザ加工装置を起動してから何回目の異常検知信号であるかを判断する(ステップS5)。1回目の異常検知信号である場合(ステップS5で「1回目」の場合)には、制御通知部61は、コンプレッサ42とその周辺の点検を行う旨を異常表示部62に通知し(ステップS6)、異常表示部62に表示させる。この通知によって、使用者は点検を行う(ステップS8)。
この使用者による点検は、最初に、コンプレッサ42周辺の雰囲気を調べ、異常がない場合には、コンプレッサ42のフィルタ43の交換を行う。コンプレッサ42のフィルタ43の交換は、まず、コンプレッサ42と光路ダクト30がつながった状態から、窒素供給部41と光路ダクト30を接続するようにバルブ44を切替え、光路ダクト30内に窒素を供給する。つぎに、コンプレッサ42の吸気口に設けられたフィルタ43を交換する作業を行い、フィルタ43の交換後にコンプレッサ42から制御通知部61に向けて交換を完了した交換完了信号が出力される。その後、窒素供給部41と光路ダクト30がつながった状態からコンプレッサ42と光路ダクト30を接続するようにバルブ44を切替え、光路ダクト30内に再びエアを供給する。なお、上記のバルブ44の切替えは、制御通知部61によって行うようにしてもよいし、使用者によって行うようにしてもよい。制御通知部61によって行う場合には、制御通知部61がニオイセンサ51から異常検出信号を受信したときに、コンプレッサ42から窒素供給部41へとバルブ44を切替え、コンプレッサ42から交換完了信号を受信したときに、窒素供給部41からコンプレッサ42へとバルブ44を切替えるようにすればよい。なお、この点検中において、窒素ガスをパージガスとしてレーザ加工処理を続行することができる。
使用者による点検、交換が終了後、再びステップS4へ戻り、ニオイセンサ51によるパージガスG内の不純ガスの存在による異常が検知される。その後、ニオイセンサ51によってパージガスG内の不純ガスの存在による異常が検知された場合(ステップS4でYesの場合)には、制御通知部61にニオイセンサ51から異常検知信号が出力される。そして、制御通知部61は、レーザ加工装置を起動してから何回目の異常検知信号であるかを判断する(ステップS5)。ここでは、2回目であるので(ステップS5で「2回目」の場合)、制御通知部61は、伝送路部品の点検を行う旨を異常表示部62に通知し(ステップS7)、異常表示部62に表示させる。この通知によって、使用者は点検を行う(ステップS8)。
使用者は、レーザ光Lの伝送路となる光路ダクト30を構成するパイプ31a,31bやベローズ33などの伝送路部品の焼損や劣化の有無を点検し、異常がある場合にはその部品の交換を行う。
使用者による点検、交換が終了後、再びステップS4へ戻り、ニオイセンサ51によるパージガスG内の不純ガスの存在による異常が検知される。その後、ニオイセンサ51によってパージガスG内の不純ガスの存在による異常が検知された場合(ステップS4でYesの場合)には、制御通知部61にニオイセンサ51から異常検知信号が出力される。そして、制御通知部61は、レーザ加工装置を起動してから何回目の異常検知信号であるかを判断する(ステップS5)。ここでは、3回目であるので(ステップS5で「3回目以降」の場合)、制御通知部61は、レーザ加工装置全体の点検の必要性がある旨を異常表示部62に通知し(ステップS7)、異常表示部62に表示させる。
この通知を受けると、使用者によって、レーザ発振器11の出力を下げた状態で、加工品質に影響を与えないで加工ができるか否かが判定され、その判定結果に基づいてレーザ発振器11の状態が制御される(ステップS10)。たとえば、レーザ光Lの出力を下げれば、加工品質に影響を与えないで加工ができる場合には、制御通知部61は、その加工品質に影響を与えないレベルの出力にレーザ発振器11を調整し、加工を続行して、加工完了後に処理が終了する。一方、加工続行が困難な場合には、制御通知部61はレーザ発振器11を止める。そして、使用者によって、レーザ加工装置を構成する部品、たとえば、既に点検、交換が終了したコンプレッサ42や光路ダクト30を除いたフレーム23などの加工機やレーザ発振器11などの部分の点検が行われ、異常がある場合にはその部品の交換が行われ、処理が終了する。
この実施の形態1によれば、パージガス排出口36付近にニオイセンサ51を設けるように構成したので、光路ダクト30内のパージガスG全体について、不純ガスの混入を検知することができる。その結果、レーザ光Lの異常が不純ガスの混入によるものであると特定することができる。また、ニオイセンサ51による異常検知信号を制御通知部61に出力することによって、その原因の調査を効果的に行うことができ、これに基づいてコンプレッサ42の吸気口に取り付けられるフィルタ43の交換時器を判断することができる。さらに、制御通知部61からの異常検知信号に基づいてレーザ発振器11を制御することができる。
また、ニオイセンサ51をパージガスGの流れに対向するように光路ダクト30の凹部70の第1の側面部72に取り付け、ノズル54をキャリブレーションガスがパージガスGの流れと同一方向となるように、そしてニオイセンサ51のほぼ正面に凹部70の第2の側面部73に取り付けたので、効率よくニオイセンサ51のキャリブレーションを行うことができる。また、第2の側面部73が、光路ダクト30の上流側から凹部70の周面部71に向かって傾斜を持って構成されているので、この凹部70内にパージガスGが流れや込みやすくなり、ニオイセンサ51による不純ガスの検知を効果的に行うことができる。
実施の形態2.
つぎに、第5図と第6図を用いてこの発明の実施の形態2について説明する。第5図は、この発明にかかるレーザ加工装置の実施の形態2の概略構成を示すブロック図であり、第6図は、レーザ加工装置の異常検出時の動作処理を示すフローチャートである。なお、第1図と同一の構成要素に関しては、同一の符号を付してその説明を省略する。
第5図に示されるように、この実施の形態2のレーザ加工装置では、少なくとも1つのガス検知部50がパージガス供給口35付近に設けられることを特徴とする。その他の構成は第1図と同一である。なお、ガス検知部50が設けられる位置は、光路ダクト30内のパージガス供給口35に対向する部分またはそれよりもやや下流側であることが望ましい。また、このガス検知部50は、実施の形態1の第2図に示されるように、光路ダクト30に設けられた凹部70に設置される。このように、ガス検知部50をパージガス供給口35付近に設けることで、たとえば、コンプレッサ42から入り込む不純ガスが即座に検出される。
つぎに、このレーザ加工装置の異常検出時における処理について第6図のフローチャートを参照しながら説明する。まず、実施の形態1の第3図で説明したステップS1〜S4,S11と同じ処理を行って、レーザ加工装置による加工を開始する(ステップS21〜S24,S30)。すなわち、コンプレッサ42を起動して光路ダクト30内をガス(エア)で満たした後に、ニオイセンサ51のキャリブレーションを行う。なお、ニオイセンサ51のキャリブレーションは、実施の形態1の第4図で説明した手順で行われる。その後、加工が開始され、ガス検知部50によって光路ダクト30内への不純ガスの混入の有無が検知され、不純ガスの混入がない場合には、加工が続行され、加工完了後に処理が終了する。
ガス検知部50によって光路ダクト30内への不純ガスの混入が検知された場合(ステップS24でYesの場合)には、制御通知部61にニオイセンサ51から異常検知信号が出力される。そして、制御通知部61は、レーザ加工装置を起動してから何回目の異常検知信号であるかを判断する(ステップS25)。1回目の異常検知信号である場合(ステップS25で「1回目」の場合)には、制御通知部61は、コンプレッサ42とその周辺の点検を行う旨を異常表示部62に通知し(ステップS26)、異常表示部62に表示させる。この通知によって、使用者は点検を行う(ステップS27)。この使用者によるコンプレッサ42とその周辺の点検は、上述した実施の形態1の場合と同様であるので、説明を省略する。
使用者による点検、交換が終了後、再びステップS24へ戻り、ニオイセンサ51によるパージガス内の不純ガスの存在による異常が検知される。その後、ニオイセンサ51によってパージガス内の上記した不純ガスの存在による異常が検知された場合(ステップS24でYesの場合)には、制御通知部61にニオイセンサ51から異常検知信号が出力される。そして、制御通知部61は、レーザ加工装置を起動してから何回目の異常検知信号であるかを判断する(ステップS25)。ここでは、2回目であるので(ステップS25で「2回目」の場合)、コンプレッサ42とその周辺以外のレーザ加工装置の部分の点検の必要性がある旨を異常表示部62に通知し(ステップS28)、異常表示部62に表示させる。
この通知を受けると、使用者によって、レーザ発振器11の出力を下げた状態で、加工品質に影響を与えないで加工ができるか否かが判定され、その判定結果に基づいてレーザ発振器11の状態が制御される(ステップS29)。上述した実施の形態1のように、レーザ加工が可能な場合には、制御通知部61は、加工品質に影響を与えないレベルの出力にレーザ発振器11を調整して加工を続行し、加工続行が困難な場合には、レーザ発振器11を止める。レーザ発振器11を止めた後は、使用者によって、レーザ加工装置を構成する部品、たとえば、既に点検、交換が終了したコンプレッサ42を除いたレーザ光Lの伝送路となる光路ダクト30を構成するパイプ31a,31bやベローズ33などの伝送路部品、フレーム23などの加工機やレーザ発振器11などの部分の点検が行われ、異常がある場合にはその部品の交換が行われ、処理が終了する。
この実施の形態2によれば、光路ダクト30のパージガス供給口35付近にニオイセンサ51を設け、ニオイセンサ51による異常検出信号を制御通知部61に出力するように構成したので、コンプレッサ42またはその周辺の雰囲気ガスを原因とする不純ガスの混入を検知することができ、その原因の調査を効果的に行うことができる。また、制御通知部61からの通知によって、コンプレッサ42の吸気口に取り付けられるフィルタ43の交換時器を判断することができ、さらに、コンプレッサ42から窒素供給部41へのバルブ44の切替えを行うことができる。さらに、制御通知部61からの異常検知信号に基づいてレーザ発振器11を制御することができる。
実施の形態3.
つぎに、第7図〜第9図を用いてこの発明の実施の形態3について説明する。第7図は、この発明にかかるレーザ加工装置の実施の形態3の概略構成を示すブロック図であり、第8図は、ニオイセンサによる異常個所の特定方法を示す図であり、第9図は、レーザ加工装置の異常検出時の動作処理を示すフローチャートである。なお、第1図と同一の構成要素に関しては、同一の符号を付してその説明を省略する。
第7図に示されるように、この実施の形態3のレーザ加工装置では、少なくとも1つの第1のガス検知部50aがパージガス排出口36付近に設けられるとともに、少なくとも1つの第2のガス検知部50bがパージガス供給口35付近に設けられることを特徴とする。その他の構成は第1図と同一である。なお、第2のガス検知部50bが設けられる位置は、光路ダクト30内のパージガス供給口35に対向する部分またはそれよりもやや下流側であることが望ましい。また、これらのガス検知部50a,50bは、実施の形態1の第2図に示されるように、光路ダクト30に設けられた凹部70に設置される。
第8図は、第1のガス検知部と第2のガス検知部の異常検知状況によるその考えられる原因を示す図である。この図では、「○」は異常を検知していない状況を示し、「×」は異常を検知した状況を示している。まず、第1および第2のガス検知部50a,50bがともに正常である場合には、光路ダクト30内への不純ガスの流入はないので、加工処理を続行することが可能である。つぎに、第1のガス検知部50aが異常を検知し、第2のガス検知部50bが正常である場合には、その第1の原因として伝送路部品から侵入する不純ガスの異常であると判断できる。そして、第1および第2のガス検知部50a,50bがともに異常を検知した場合には、その第1の原因としてコンプレッサ42の周辺の雰囲気またはコンプレッサ42のフィルタ43の異常であると判断でき、第2の原因として伝送路部品から侵入する不純ガスの異常であると判断できる。
このように、光路ダクト30のパージガス排出口36付近に第1のガス検知部50aを設け、光路ダクト30のパージガス供給口35付近に第2のガス検知部50bを設けることによって、不純ガスの混入の原因を、コンプレッサ42周辺の雰囲気もしくはコンプレッサ42のフィルタ43によるものか、または伝送路部品によるものかを切り分けることが可能になる。
つぎに、このレーザ加工装置の異常検出時における処理について第9図のフローチャートを参照しながら説明する。まず、実施の形態1の第3図で説明したステップS1〜S3と同じ処理を行って、レーザ加工装置による加工を開始する(ステップS41〜S43)。すなわち、コンプレッサ42を起動して光路ダクト30内をガス(エア)で満たした後に、ニオイセンサ51のキャリブレーションを行い、加工が開始される。なお、ニオイセンサ51のキャリブレーションは、実施の形態1の第4図で説明した手順で行われる。
レーザ加工中に、第1および第2のガス検知部50a,50bのニオイセンサ51は不純ガスの光路ダクト30内への混入を検知し続ける(ステップS44)。2つのガス検知部50a,50bに異常が検知されない場合(ステップS44で「正常」の場合)には、そのまま加工が続行される(ステップS53)。その後、加工処理が完了すると、処理が終了する。
また、ステップS44で第1および第2のガス検知部50a,50bが光路ダクト30内のパージガス中に混入した不純ガスによって異常を検知した場合(ステップS44で「第1と第2のガス検知部が異常」の場合)には、制御通知部61に第1と第2のガス検知部50a,50bから異常検知信号が出力される。そして、制御通知部61は、コンプレッサ42とその周辺の点検を行う旨を異常表示部62に通知し(ステップS45)、異常表示部62に表示させる。この通知によって、使用者は点検を行い、必要な場合には部品の交換を行う(ステップS46)。この使用者によるコンプレッサ42とその周辺の点検、交換は、上述した実施の形態1の場合と同様であるので、説明を省略する。
その後、2つのガス検知部50a,50bによってパージガス内の不純ガスの存在による異常が検知されなければ(ステップS47で「正常」の場合)、加工処理が続行される(ステップS53)。そして、加工処理が完了した後、処理が終了する。
一方、第1のガス検知部50aによってパージガス内の不純ガスの存在による異常が検知された場合(ステップS47で「第1のガス検知部のみ異常」の場合)、または上記ステップS44で第1のガス検知部のみで異常が検知された場合(ステップS44で「第1のガス検知部のみ異常」の場合)には、制御通知部61に第1のガス検知部50aから異常検知信号が出力される。そして、制御通知部61は、伝送路部品の点検を行う旨を異常表示部62に通知し(ステップS48)、異常表示部62に表示させる。この通知によって、使用者は点検を行い、必要な場合には部品の交換を行う(ステップS49)。具体的には、使用者は、レーザ光Lの伝送路となる光路ダクト30を構成するパイプ31a,31bやベローズ33などの伝送路部品の焼損や劣化の有無を点検し、異常がある場合にはその部品の交換を行う。
使用者による点検、交換が終了後、2つのガス検知部50a,50bによって光路ダクト30内の不純ガスの検知が行われる(ステップS50)。ガス検知部50a,50bによってパージガス内の不純ガスの存在による異常が検知されなければ(ステップS50でNoの場合)、加工処理が続行される(ステップS53)。そして、加工処理が完了した後、処理が終了する。また、少なくとも一方のガス検知部50a,50bによってパージガス内の上記した不純ガスの存在による異常が検知された場合(ステップS50でYesの場合)には、異常を検知したガス検知部50a,50bは、制御通知部61に異常検知信号が出力される。そして、制御通知部61は、レーザ加工装置全体の点検の必要性がある旨を異常表示部62に通知し(ステップS51)、異常表示部62に表示させる。
この通知を受けると、使用者によって、レーザ発振器11の出力を下げた状態で、加工品質に影響を与えないで加工ができるか否かが判定され、その判定結果に基づいてレーザ発振器11の状態が制御される(ステップS52)。上述した実施の形態1のように、レーザ加工が可能な場合には、制御通知部61は、加工品質に影響を与えないレベルの出力にレーザ発振器11を調整して加工を続行し、加工続行が困難な場合には、レーザ発振器11を止める。レーザ発振器11を止めた後は、使用者によって、レーザ加工装置を構成する部品、たとえば、既に点検、交換が終了したコンプレッサ42や光路ダクト30を除いたフレーム23などの加工機やレーザ発振器11などの部分の点検が行われ、異常がある場合にはその部品の交換が行われ、処理が終了する。
この実施の形態3によれば、パージガス排出口36付近とパージガス供給口35付近の両方にニオイセンサ51を設けるように構成したので、パージガスへの不純ガスの混入を検知することができ、その原因がコンプレッサ42によるものか、それとも伝送路部品によるものかを切り分けることができる。その結果、レーザ光Lの異常の原因箇所の調査を効果的に行うことが可能となる。また、不純ガスの混入による異常を制御通知部61に出力することによって、コンプレッサ42の吸気口に取り付けられるフィルタ43の交換時器の判断や、伝送路部品の焼損、劣化などの異常の検知を容易に知ることもできる。さらに、制御通知部61からの異常検知信号に基づいてレーザ発振器11を制御することができる。
実施の形態4.
つぎに、第10図と第11図を用いてこの発明の実施の形態4について説明する。第10図は、この発明にかかるレーザ加工装置の実施の形態4の概略構成を示すブロック図であり、第11図は、レーザ加工装置の異常検出時の動作処理を示すフローチャートである。なお、第1図と同一の構成要素に関しては、同一の符号を付してその説明を省略する。
第10図に示されるように、この実施の形態4のレーザ加工装置では、少なくとも1つのガス検知部50が、コンプレッサ42の吸気口付近に設けられることを特徴とする。その他の構成は第1図と同一である。このように、ガス検知部50をコンプレッサ42の吸気口付近に設けることで、コンプレッサ42から入り込む不純ガスが即座に検出される。
つぎに、このレーザ加工装置の異常検出時における処理について第11図のフローチャートを参照しながら説明する。まず、ニオイセンサ51のキャリブレーションを所定の時間行い(ステップS61)、コンプレッサ42を起動して光路ダクト30内をガス(エア)で満たした後に(ステップS62)、加工が開始される(ステップS63)。なお、ニオイセンサ51のキャリブレーションは、実施の形態1の第4図で説明した手順で行われる。
その後、ガス検知部50によって室内におけるコンプレッサ42周辺の雰囲気異常が判断され(ステップS64)、コンプレッサ42周辺に不純ガスがない場合(ステップS64でNoの場合)には、加工が続行される(ステップS70)。そして、加工処理が完了した後に、処理が終了する。
一方、コンプレッサ42周辺に不純ガスが存在する場合(ステップS64でYesの場合)には、制御通知部61にニオイセンサ51から異常検知信号が出力される。そして、制御通知部61は、コンプレッサ42とその周辺の点検を行う旨を異常表示部62に通知し(ステップS65)、異常表示部62に表示させる。この通知によって、使用者は点検を行う(ステップS26)。この使用者によるコンプレッサ42とその周辺の点検は、上述した実施の形態1の場合と同様であるので、説明を省略する。
使用者による点検、交換が終了後、ガス検知部50によってコンプレッサ42周辺の雰囲気の異常が検知されなければ(ステップS67でNoの場合)、加工が続行される(ステップS70)。そして、加工処理が完了した後に、処理が終了する。また、ガス検知部50によってコンプレッサ42周辺の雰囲気の異常が検知された場合(ステップS67でYesの場合)には、制御通知部61にニオイセンサ51から異常検知信号が出力される。そして、制御通知部61は、コンプレッサ42とその周辺以外のレーザ加工装置の部分の点検の必要性がある旨を異常表示部62に通知し(ステップS68)、異常表示部62に表示させる。
この通知を受けると、使用者によって、レーザ発振器11の出力を下げた状態で、加工品質に影響を与えないで加工ができるか否かが判定され、その判定結果に基づいて制御通知部によってレーザ発振器11の状態が制御される(ステップS69)。上述した実施の形態1のように、レーザ加工が可能な場合には、制御通知部61は、加工品質に影響を与えないレベルの出力にレーザ発振器11を調整して加工を続行し、加工続行が困難な場合には、レーザ発振器11を止める。レーザ発振器11を止めた後は、使用者によって、レーザ加工装置を構成する部品、たとえば、既に点検、交換が終了したコンプレッサ42を除いたレーザ光Lの伝送路となる光路ダクト30を構成するパイプ31a,31bやベローズ33などの伝送路部品、フレーム23などの加工機やレーザ発振器11などの部分の点検が行われ、異常がある場合にはその部品の交換が行われ、処理が終了する。なお、伝送路部品の点検は、レーザの出力を落として加工を行っているときに実施してもよい。
この実施の形態4によれば、パージガスを供給するコンプレッサ42にニオイセンサ51を設けるように構成したので、室内におけるコンプレッサ42周辺の雰囲気異常を判断することができ、また、その情報に基づいてレーザ発振器11の動作を制御することができる。また、ニオイセンサ51から出力される異常検知信号によって、コンプレッサ42の吸気口に取り付けられるフィルタ43の交換時器を判断することができる。
実施の形態5.
つぎに、第12図〜第14図を用いてこの発明の実施の形態5について説明する。第12図は、この発明にかかるレーザ加工装置の実施の形態5の概略構成を示すブロック図であり、第13図は、ニオイセンサによる異常個所の特定方法を示す図であり、第14図は、レーザ加工装置の異常検出時の動作処理を示すフローチャートである。なお、第1図と同一の構成要素に関しては、同一の符号を付してその説明を省略する。
第12図に示されるように、この実施の形態5のレーザ加工装置では、パージガス排出口36付近に少なくとも1つの第1のガス検知部50aが設けられ、パージガス供給口35付近に少なくとも1つの第2のガス検知部50bが設けられ、そして、コンプレッサ42の吸引口付近に第3のガス検知部50cが設けられることを特徴とする。その他の構成は第1図と同一である。なお、第2のガス検知部50bが設けられる位置は、光路ダクト30内のパージガス供給口35に対向する部分またはそれよりもやや下流側であることが望ましい。また、第1および第2のガス検知部50a,50bは、実施の形態1の第2図に示されるように、光路ダクト30に設けられた凹部70に設置される。
第13図は、第1〜第3のガス検知部50a〜50cの異常検知状況によるその考えられる原因を示す図である。この図でも、第8図の場合と同じように、「○」は異常を検知していない状況を示し、「×」は異常を検知した状況を示している。まず、第1〜第3のガス検知部50a〜50cがすべて正常である場合には、光路ダクト30内への不純ガスの流入はないので、加工処理を続行することが可能である。つぎに、第1と第2のガス検知部50a,50bが正常であり、第3のガス検知部50cが異常を検知した場合には、その第1の原因として、コンプレッサ42周辺の雰囲気中に不純ガスが存在することが考えられる。
つぎに、第1のガス検知部50aが異常を検知し、第2と第3のガス検知部50b,50cが正常である場合には、その第1の原因として伝送路部品から混入するガスの異常であると判断できる。また、第1と第3のガス検知部50a,50cが異常を検知し、第2のガス検知部50bが正常である場合には、その第1の原因として、コンプレッサ42周辺の雰囲気と伝送路部品であると判断できる。
つぎに、第1と第2のガス検知部50a,50bが異常を検知し、第3のガス検知部50cが正常である場合には、その第1の原因としてコンプレッサ42と光路ダクト30内のパージガス供給口35との間の異常であると判断でき、第2の原因として伝送路部品であると判断できる。そして、第1〜第3のガス検知部50a〜50cが異常を検知した場合には、その第1の原因としてコンプレッサ42周辺の雰囲気であると判断でき、第2の原因としてコンプレッサ42と光路ダクト30内のパージガス供給口35との間の異常であると判断でき、そして第3の原因として伝送路部品であると判断できる。
このように、光路ダクト30のパージガス排出口36付近に第1のガス検知部50aを設け、光路ダクト30のパージガス供給口35付近に第2のガス検知部50bを設け、そしてコンプレッサ42の吸引口付近に第3のガス検知部50cを設けることによって、不純ガスの混入の原因を、コンプレッサ42の周辺の雰囲気の異常によるものか、コンプレッサ42によるものか、または伝送路部品によるものかを切り分けることが可能になる。
また、レーザ加工装置の不純ガスの混入による異常に対する処置は、パージガスの上流側から、すなわち、コンプレッサ42とその周辺、伝送路部品の順に、行われることから、第13図の考えられる異常の原因に対する処置の方法として、大きく2つに分類することができ、正常時の何もしない場合を入れると3つに分類することができる。すなわち、(A)すべてのガス検知部50a〜50cが正常である場合の処置、(B)第2または第3の検知部50b,50cの少なくとも一方が異常である場合(コンプレッサ42とその周辺に原因がある場合)の処置、(C)第1のガス検知部50aのみが異常である場合(伝送路部品に原因の可能性がある場合)の処置、の3通りに分類することが可能である。
つぎに、このレーザ加工装置の異常検出時における処理について第14図のフローチャートを参照しながら説明する。まず、実施の形態4の第11図で説明したステップS61〜S63と同じ処理を行って、レーザ加工装置による加工を開始する(ステップS81〜S83)。すなわち、ニオイセンサ51のキャリブレーションを所定の時間行って、コンプレッサ42を起動して光路ダクト30内をガス(エア)で満たした後に、加工が開始される。なお、ニオイセンサ51のキャリブレーションは、実施の形態1の第4図で説明した手順で行われる。
レーザ加工中に、第1〜第3のガス検知部50a〜50cのニオイセンサ51は不純ガスが存在するかを検知し続ける(ステップS84)。すべてのガス検知部50a〜50cに異常が検知されない場合(ステップS84で「すべてのガス検知部が正常」の場合)には、そのまま加工が続行される(ステップS93)。そして、加工処理が完了した後、処理が終了する。
また、第2または第3のガス検知部50b,50cの少なくとも一方が異常を検知した場合(ステップS84で「第2または第3のガス検知部の少なくとも一方が異常を検知」の場合)には、制御通知部61に第2のガス検知部50bおよび/または第3のガス検知部50cから異常検知信号が出力される。そして、制御通知部61は、コンプレッサ42とその周辺の点検を行う旨を異常表示部62に通知し(ステップS85)、異常表示部62に表示させる。この通知によって、使用者は点検を行う(ステップS86)。この使用者によるコンプレッサ42とその周辺の点検は、上述した実施の形態1の場合と同様であるので、説明を省略する。
その後、3つのガス検知部50a〜50cによって不純ガスの存在による異常が検知されなければ(ステップS87で「すべてのガス検知部とも正常」の場合)、加工処理が続行される(ステップS93)。そして、加工処理が完了した後、処理が終了する。
一方、第1のガス検知部50aのみがパージガス内の不純ガスの存在による異常を検知した場合(ステップS87で「第1のガス検知部のみ異常を検知」の場合)、または上記ステップS84で第1のガス検知部50aのみで異常が検知された場合(ステップS84で「第1のガス検知部のみ異常を検知」の場合)には、制御通知部61に第1のガス検知部50aから異常検知信号が出力される。そして、制御通知部61は、伝送路部品の点検を行う旨を異常表示部62に通知し(ステップS48)、異常表示部62に表示させる。この通知によって、使用者は点検を行う(ステップS89)。使用者は、レーザ光Lの伝送路となる光路ダクト30を構成するパイプ31a,31bやベローズ33などの伝送路部品の焼損や劣化の有無を点検し、異常がある場合にはその部品の交換を行う。
使用者による点検、交換が終了後、それぞれのガス検知部50a〜50cによって光路ダクト30内の不純ガスの検知が行われる(ステップS90)。ガス検知部50a〜50cによって不純ガスの存在による異常が検知されなければ(ステップS90でNoの場合)、加工処理が続行される(ステップS93)。そして、加工処理が完了した後、処理が終了する。
また、ガス検知部50a〜50cによってパージガス内の不純ガスの存在による異常が検知された場合(ステップS90でYesの場合)には、検知したガス検知部50a〜50cから異常検知信号が制御通知部61に出力される。そして、制御通知部61は、レーザ加工装置全体の点検の必要性がある旨を異常表示部62に通知し(ステップS91)、異常表示部62に表示させる。
この通知を受けると、使用者によって、レーザ発振器11の出力を下げた状態で、加工品質に影響を与えないで加工ができるか否かが判定され、その判定結果に基づいて、制御通知部61によってレーザ発振器11の状態が制御される(ステップS92)。上述した実施の形態1のように、レーザ加工が可能な場合には、制御通知部61は、加工品質に影響を与えないレベルの出力にレーザ発振器11を調整して加工を続行し、加工続行が困難な場合には、レーザ発振器11を止める。レーザ発振器11を止めた後は、使用者によって、レーザ加工装置を構成する部品、たとえば、既に点検、交換が終了したコンプレッサ42や光路ダクト30を除いたフレーム23などの加工機やレーザ発振器11などの部分の点検が行われ、異常がある場合にはその部品の交換が行われ、処理が終了する。
この実施の形態5によれば、パージガス排出口36付近とパージガス供給口35付近とコンプレッサ42の吸引口付近にニオイセンサ51を設けるように構成したので、不純ガスの混入を検知することができるとともに、その原因を、室内におけるコンプレッサ42周辺の雰囲気によるものか、コンプレッサ42によるものか、それとも伝送路によるものかを切り分けることができ、レーザ光Lの異常の原因箇所の調査を効果的に行うことができる。また、不純ガスの混入による異常を制御通知部61に出力することによって、コンプレッサ42の吸気口に取り付けられるフィルタの交換時器の判断や、伝送路部品の焼損、劣化などの異常の検知を容易に知ることが可能となる。さらに、制御通知部61からの異常検知信号に基づいてレーザ発振器11を制御することができる。
なお、この実施の形態5では、パージガス供給口35付近、パージガス排出口36付近、そしてコンプレッサ42の吸気口付近にニオイセンサ51を設けた場合を説明したが、パージガス供給口35付近とコンプレッサ42の吸気口付近にニオイセンサ51を設けた場合や、パージガス排出口36付近とコンプレッサ42の吸気口付近にニオイセンサ51を設けた場合のように、取り付け位置や個数を変えた場合でも、実施の形態1〜4で説明したような効果を得ることができる。
また、実施の形態1〜5では、加工ヘッド21が垂直に立った構造のものを示したが、水平に寝た構造のものであってもよいし、加工ヘッド21が回転動作や傾斜動作をするようなものであってもよい。さらに、実施の形態1〜5では、加工ヘッド21は、図中の左右方向にのみ移動可能な場合を示したが、紙面に垂直な方向にのみ移動可能な場合でもよいし、これら2方向に移動可能な場合でもよいし、さらに、3次元的な移動を行うことが可能な場合でもよい。さらにまた、レーザ発振器11から加工ヘッド21までレーザ光Lを導く光路ダクト30の形状も、実施の形態1〜5に示されるL字型のものでなく、任意の構造を用いることができる。
さらに、実施の形態1〜5では、コンプレッサ42で吸気、圧縮したエアと、窒素供給部41からの窒素ガスとを、択一的に切替えて光路ダクト30に導くバルブ44を設け、コンプレッサ42の吸気口にはフィルタ43を備えるように構成したが、これらのバルブ44とフィルタ43を設けなくてもよく、また、いずれか一方のみを設けるようにしても、上述した実施の形態1〜5と同様の効果を得ることができる。
さらにまた、実施の形態1〜5では、パージガス供給口35を光路ダクト30のレーザ発振器11のレーザ出射口12付近に、パージガス排出口36を光路ダクト30の加工ヘッド21の取り付け位置付近に設けるようにしたが、逆に、パージガス供給口35を光路ダクト30の加工ヘッド21の取り付け位置付近に、パージガス排出口36を光路ダクト30のレーザ発振器11のレーザ出射口12付近に設けるようにしてもよい。
実施の形態6.
つぎに、第15図と第16図を用いてこの発明の実施の形態6について説明する。上述した実施の形態1〜3,5では、ガス検知部50は、第2図に示されるような形で光路ダクト30に設置されたが、この実施の形態6では、この第2図とは異なる形で光路ダクト30内にガス検知部50を設置する場合を説明する。
第15図は、ガス検知部の光路ダクトへの取り付けの一例を示す図であり、第16図は、ガス検知部によるキャリブレーションの処理手順を示すフローチャートである。
第15図に示されるように、このガス検知部50は、光路ダクト30の側壁の一部が、光路ダクト30の内側から外側に向かって窪むように形成された凹部70に設けられる。凹部70は、光路ダクト30内の光軸に平行な面を有し、光路ダクト30に接続される周面部71と、光路ダクト30の外周面と凹部70の周面部71とを結ぶ2つの側面部74a,74bに囲まれて形成される。凹部70の側面部74a,74bは、光路ダクト30の延在方向に対してほぼ垂直な角度を有する。
ガス検知部50のニオイセンサ51は、設置台81に固定される。設置台81は、モータやエアシリンダなどの駆動機構82に接続され、凹部70から光路ダクト30内のレーザ光Lの光軸をさえぎらない位置との間を紙面上の上下方向に移動可能に構成される。設置台81は、凹部70の開口部とほぼ同じ寸法を有し、キャリブレーション時には、第15図中の実線で描かれているように、ニオイセンサ51が設置されていない反対側の面で光路ダクト30の内壁の一部を形成するように、凹部70内にニオイセンサ51が収まるように駆動機構82によって移動される。また、設置台81は、レーザ加工中には、第15図中の点線で描かれているように、レーザ光Lの光路をさえぎらない光路ダクト30内の位置に駆動機構82によって移動される。
また、センサ校正部は、キャリブレーションガスを供給するキャリブレーションガス供給部53と、キャリブレーションガスを凹部70内に吹き出すガス吹出し口56と、キャリブレーション実施時にキャリブレーションガスを光路ダクト30内へ供給し、それ以外の時にはキャリブレーションガスを光路ダクト30内に供給しないように制御する電磁弁55と、を備えて構成される。実施の形態1の第2図と同様に、ガス吹出し口56は、凹部70の上流側に位置する側面部74bに取り付けられる。また、ガス吹出し口56に対向する凹部70の側面部74aには、キャリブレーションガスを排出するためのガス排出口57が設けられる。このガス排出口57は、キャリブレーション中にのみ開かれ、レーザ加工中は閉じられた状態にある。なお、ニオイセンサ51は、このガス排出口57を通じて制御通知部61と配線されている。
つぎに、このニオイセンサ51の動作について第16図を参照しながら説明する。まず、キャリブレーションを行うために、ニオイセンサ51を凹部70内の所定の位置に駆動機構82によって移動させる(ステップS211)。その後、第4図のステップS201〜S205と同じ処理を行って、ニオイセンサ51のキャリブレーションを行う(ステップS212〜S216)。すなわち、キャリブレーションガス供給部53とガス吹出し口56の間に設けられる電磁弁55を開き、ガス吹出し口56からニオイセンサ51にキャリブレーションガスを吹き付け、キャリブレーションを開始する。ニオイセンサ51へのキャリブレーションガスの吹き付けを所定時間(通常は、数分間)行い、キャリブレーションが終了すると、ニオイセンサ51はキャリブレーション完了の信号を制御通知部61に出力し、制御通知部61は電磁弁55を閉める。
そして、駆動機構82によってニオイセンサ51を光路ダクト30内の所定の位置に移動させて、キャリブレーション処理が終了する(ステップS217)。
このような光路ダクト30内のガス検知部50の構成は、上記した実施の形態1〜3,5のガス検知部50に適用することができる。
この実施の形態6によれば、ニオイセンサ51のキャリブレーション時に、凹部70の開口部を塞ぐように設置台81を移動して、凹部70と設置台81とで囲まれる空間にキャリブレーションガスを流すように構成したので、キャリブレーション時に使用するキャリブレーションガスの量を抑制することができる。
実施の形態7.
つぎに、第17図と第18図を用いてこの発明の実施の形態7について説明する。上述した実施の形態1〜3,5では、ガス検知部50は、第2図に示されるような形で光路ダクト30に設置されたが、この実施の形態7では、この第2図とは異なる形で光路ダクト30内にガス検知部50を設置する場合を説明する。
第17図は、ガス検知部の光路ダクトへの取り付けの一例を示す図であり、第18図は、ガス検知部によるキャリブレーションの処理手順を示すフローチャートである。なお、第2図と同一の構成要素に関しては、同一の符号を付してその説明を省略する。
第17図に示されるように、この実施の形態7におけるガス検知部50は、実施の形態1の第2図において、凹部70が設けられる光路ダクト30内の空間を閉じた空間とするように、凹部70の上流側および下流側の光路ダクト30にそれぞれゲートバルブ91を設けることを特徴とする。
このような構成によって、ニオイセンサ51のキャリブレーションを実施する場合には、2つのゲートバルブ91を閉じて凹部70が設けられる光路ダクト30内の空間を閉じた空間とし、ここにキャリブレーションガス供給部53からキャリブレーションガスが供給される。そして、キャリブレーション終了後に、ゲートバルブ91が開かれ、レーザ加工が実施される。
つぎに、このニオイセンサ51の動作について第18図を参照しながら説明する。まず、2つのゲートバルブ91を閉じて、凹部70が設けられる光路ダクト30内の空間を閉じた空間とする(ステップS221)。その後、第4図のステップS201〜S206と同じ処理を行って、ニオイセンサ51のキャリブレーションを行う(ステップS212〜S216)。すなわち、キャリブレーションガス供給部53とノズル54の間に設けられる電磁弁55を開き、ノズル54からニオイセンサ51にキャリブレーションガスを吹き付け、キャリブレーションを開始する。ニオイセンサ51へのキャリブレーションガスの吹き付けを所定時間(通常は、数分間)行い、キャリブレーションが終了すると、ニオイセンサ51はキャリブレーション完了の信号を制御通知部61に出力し、制御通知部61は電磁弁55を閉める。
そして、光路ダクト30中に設けられたゲートバルブ91を開いて、キャリブレーション処理が終了する(ステップS217)。
このような光路ダクト30内のガス検知部50の構成は、上記した実施の形態1〜3,5のガス検知部50に適用することができる。
この実施の形態7によれば、凹部70が設けられる光路ダクト30内の空間を閉じた空間とするためのゲートバルブ91を備えるように構成し、キャリブレーション時にこのゲートバルブ91を閉じてキャリブレーションガスを凹部70を含む光路ダクト30内の空間に閉じ込めるようにしたので、実施の形態1〜3,5のガス検知部50の構成に比して、キャリブレーションガスの使用量を抑制することができる。
以上説明したように、この発明によれば、レーザ加工装置の光路ダクト内や、コンプレッサなどの吸気口にニオイセンサを設けることによって、光路ダクト内を含めたパージガス全体の異常を検知することができる。その結果、レーザ光の異常が不純ガスの混入によるものであると特定することができる。また、ニオイセンサによる異常検知信号を制御通知部に出力し、どの位置に設置されたニオイセンサからの異常検知信号なのか、または何回目の異常検知信号かなのかを考慮することによって、その原因の調査を効果的に行うことができる。その結果、レーザ加工装置の加工中における加工不良を減少させるとともに、加工不良の原因を容易に発見することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
この発明は、レーザ光を利用して加工対象のワークに対して溶接や切断などの加工処理を行うレーザ加工装置に適している。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を発振するレーザ発振器と、
前記レーザ発振器から出射されたレーザ光を被加工物に照射する加工ヘッドと、
前記レーザ発振器のレーザ光出射口から前記加工ヘッドまでレーザ光を導く光学系を有する光路ダクトと、
前記光路ダクトの前記レーザ発振器または、前記加工ヘッドとの接続部付近に設けられるパージガス供給口からパージガスを供給するパージガス供給手段と、
前記光路ダクトの前記加工ヘッドまたは、前記レーザ発振器との接続部付近に設けられるパージガス排出口と、
を備えるレーザ加工装置において、
前記光路ダクト内に前記レーザ光の出力に異常をきたす不純ガスの前記光路ダクト内への混入を検知するニオイセンサを備えることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
前記ニオイセンサによって前記不純ガスの前記光路ダクト内への混入が検知されると、前記不純ガスの混入を通知する制御通知手段をさらに備えることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記制御通知手段は、前記ニオイセンサによって前記不純ガスの前記光路ダクト内への混入が、前記レーザ加工装置を起動してから1回目に検知された場合には、前記パージガス供給手段またはその周辺雰囲気の異常を通知することを特徴とする請求の範囲第2項に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記制御通知手段は、前記ニオイセンサによって前記不純ガスの前記光路ダクト内への混入が、前記レーザ加工装置を起動してから2回目に検知された場合には、前記光路ダクトの異常を通知することを特徴とする請求の範囲第2項に記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
前記制御通知手段は、前記ニオイセンサによって前記不純ガスの前記光路ダクト内への混入が、前記レーザ加工装置を起動してから3回目以降に検知された場合には、前記レーザ加工装置全体の点検の必要性を通知するとともに、前記レーザ発振器の動作状態を制御することを特徴とする請求の範囲第2項に記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
前記ニオイセンサは、前記光路ダクトの前記パージガス排出口近傍に備えられることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項7】
前記ニオイセンサによって前記不純ガスの前記光路ダクト内への混入が検知されると、その検知の回数に対応して、異常箇所の通知または異常箇所の通知と前記レーザ発振器の動作状態の制御を行う制御通知手段をさらに備えることを特徴とする請求の範囲第6項に記載のレーザ加工装置。
【請求項8】
前記パージガス供給手段は、吸気口から吸気した空気中の塵埃を除去するフィルタを備え、塵埃が除去された空気を圧縮して前記光路ダクト内へ供給するコンプレッサであり、
前記不純ガスの前記光路ダクト内への混入が、前記ニオイセンサによって前記レーザ加工装置を起動してから1回目に検知された場合には、前記異常箇所の通知は、前記レーザ光の異常が不純ガスの混入によるものであることを特定することを特徴とする請求の範囲第7項に記載のレーザ加工装置。
【請求項9】
他のパージガス供給手段が、前記コンプレッサと前記パージガス供給口とを結ぶ流路の間に、前記コンプレッサとの間でパージガスを択一的に切替えるバルブを介して接続され、
前記制御通知手段は、前記コンプレッサから前記光路ダクトにパージガスが供給されている状態で前記ニオイセンサによって異常が検知されると、前記光路ダクトに前記他のパージガス供給手段からのパージガスが供給されるように前記バルブを切替える機能をさらに有することを特徴とする請求の範囲第8項に記載のレーザ加工装置。
【請求項10】
前記ニオイセンサは、前記光路ダクトの前記パージガス供給口近傍に備えられることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項11】
前記ニオイセンサによって前記不純ガスの前記光路ダクト内への混入が検知されると、その検知の回数に対応して、異常箇所の通知または異常箇所の通知と前記レーザ発振器の動作状態の制御を行う制御通知手段をさらに備えることを特徴とする請求の範囲第10項に記載のレーザ加工装置。
【請求項12】
前記パージガス供給手段は、吸気口から吸気した空気中の塵埃を除去するフィルタを備え、塵埃が除去された空気を圧縮して前記光路ダクト内へ供給するコンプレッサであり、
前記不純ガスの前記光路ダクト内への混入が、前記ニオイセンサによって前記レーザ加工装置を起動してから1回目に検知された場合には、前記異常箇所の通知は、前記コンプレッサの前記フィルタの交換時期にあることの確認を示すものであることを特徴とする請求の範囲第11項に記載のレーザ加工装置。
【請求項13】
他のパージガス供給手段が、前記コンプレッサと前記パージガス供給口とを結ぶ流路の間に、前記コンプレッサとの間でパージガスを択一的に切替えるバルブを介して接続され、
前記制御通知手段は、前記コンプレッサから前記光路ダクトにパージガスが供給されている状態で前記ニオイセンサによって異常が検知されると、前記光路ダクトに前記他のパージガス供給手段からのパージガスが供給されるように前記バルブを切替える機能をさらに有することを特徴とする請求の範囲第12項に記載のレーザ加工装置。
【請求項14】
前記ニオイセンサは、前記光路ダクトの前記パージガス排出口近傍に設けられる第1のニオイセンサと、前記光路ダクトの前記パージガス供給口近傍に設けられる第2のニオイセンサからなることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項15】
前記第1と前記第2のニオイセンサによる検知結果の組合せと、それぞれの前記第1と前記第2のニオイセンサによって検知された回数に対応して、異常箇所の通知または異常箇所の通知と前記レーザ発振器の動作状態の制御を行う制御通知手段を備えることを特徴とする請求の範囲第14項に記載のレーザ加工装置。
【請求項16】
前記パージガス供給手段は、吸気口から吸気した空気中の塵埃を除去するフィルタを備え、塵埃が除去された空気を圧縮して前記光路ダクト内へ供給するコンプレッサであり、
前記不純ガスの混入が、前記第2のニオイセンサによって前記レーザ加工装置を起動してから1回目に検知された場合には、前記異常箇所の通知は、前記コンプレッサの前記フィルタの交換時期にあることの確認を示すものであることを特徴とする請求の範囲第15項に記載のレーザ加工装置。
【請求項17】
他のパージガス供給手段が、前記コンプレッサと前記パージガス供給口とを結ぶ流路の間に、前記コンプレッサとの間でパージガスを択一的に切替えるバルブを介して接続され、
前記制御通知手段は、前記コンプレッサから前記光路ダクトにパージガスが供給されている状態で前記第1または第2のニオイセンサによって異常が検知されると、前記光路ダクトに前記他のパージガス供給手段からパージガスが供給されるように前記バルブを切替える機能をさらに有することを特徴とする請求の範囲第16項に記載のレーザ加工装置。
【請求項18】
前記パージガス供給手段は、吸気口から吸気した空気中の塵埃を除去するフィルタを備え、塵埃が除去された空気を圧縮して前記光路ダクト内へ供給するコンプレッサであり、
前記ニオイセンサは、前記光路ダクトの前記パージガス排出口近傍に設けられる第1のニオイセンサと、前記光路ダクトの前記パージガス供給口近傍に設けられる第2のニオイセンサと、前記コンプレッサの前記吸気口近傍に設けられる第3のニオイセンサからなることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項19】
前記第1〜前記第3のニオイセンサによる検知結果の組合せと、前記第1〜前記第3のニオイセンサによってそれぞれ検知された回数に対応して、異常箇所の通知または異常箇所の通知と前記レーザ発振器の動作状態の制御を行う制御通知手段を備えることを特徴とする請求の範囲第18項に記載のレーザ加工装置。
【請求項20】
前記ニオイセンサは、光路ダクトの内側から外側に向かって窪むように形成された凹部に、前記光路ダクト中を流れる前記パージガスに対向して設けられることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項21】
前記凹部内の前記ニオイセンサに対向する位置に、前記ニオイセンサのキャリブレーションを行うためのキャリブレーションガスを噴出するキャリブレーション供給手段をさらに備えることを特徴とする請求の範囲第20項に記載のレーザ加工装置。
【請求項22】
前記ニオイセンサのキャリブレーション時には、前記凹部に前記ニオイセンサを格納し、レーザ加工時には、前記レーザ光の進行をさえぎらない前記光路ダクト内の位置に前記ニオイセンサを設置する駆動手段をさらに備えることを特徴とする請求の範囲第21項に記載のレーザ加工装置。
【請求項23】
前記凹部を挟む前記光路ダクト上の位置に、2枚のゲートバルブをさらに備え、
前記ニオイセンサのキャリブレーション時に、前記ゲートバルブが閉じられることを特徴とする請求の範囲第21項に記載のレーザ加工装置。

【国際公開番号】WO2004/103633
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【発行日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−572096(P2004−572096)
【国際出願番号】PCT/JP2003/006288
【国際出願日】平成15年5月20日(2003.5.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】