説明

レーザ焼結システムに使用するための取外し可能な構築チャンバのための温度管理システム

【課題】レーザ焼結装置において、先の構築サイクル中に形成された部品に悪影響を与えずに別の構築サイクルを迅速に開始できるようにする。
【解決手段】構築チャンバ25を温度管理ステーション26に接続して、構築チャンバ25を、レーザ焼結装置の動作温度またはそれに近い温度に予熱する。構築チャンバ25を温度管理ステーション26から外し、レーザ焼結装置中に挿入する。レーザ焼結装置を動作させて、溶融粉末と未溶融粉末からなる部品入りケーキ内に少なくとも1つの部品45を形成することによって、構築を完了する。レーザ焼結装置から構築チャンバ25を取り出し、このチャンバを温度管理ステーション26に接続する。構築チャンバ25の冷却を制御して、構築チャンバ25と部品入りケーキの温度を、部品入りケーキを壊してその内の少なくとも1つの部品45を取り出すことのできる温度まで低下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く、高速試作および製造の方法に関し、より詳しくは、レーザ焼結および最初の部品を構築し終わった後に続いての構築を開始するためにレーザ焼結システムをより迅速に次の準備をする能力に関する。
【背景技術】
【0002】
高速試作および製造(RP&M)は、三次元物体を、その物体を表すコンピュータ・データから高速かつ自動的に形成するのに使用できる技術分野に与えられた名称である。一般に、高速試作および製造技法では、形成すべき物体の断面を表すスライスされたデータ・セットを用いて、作業媒質から三次元物体を層毎に構築する。典型的に、物体の表示は、コンピュータ支援設計(CAD)システムにより最初に提供される。RP&M技法は、固体イメージングとも呼ばれ、ステレオリソグラフィー、固体イメージングに適用されるインクジェット・プリンティング、およびレーザ焼結を含む。
【0003】
レーザ焼結装置は、粉末床を形成するために、プロセス・チャンバに亘って、熱可溶性粉末、しばしば熱可溶性高分子粉末、高分子被覆金属、またはセラミックの薄層を分配する。次いで、レーザ焼結装置は、熱エネルギーを施して、その粉末層に構築されている物品の断面に対応する粉末層の部分を溶融する。「部品入りケーキ」と一般に呼ばれる粉末塊内に物品が形成される。レーザは一般に、変調と正確な方向制御によって、熱エネルギーを粉末層の目的区域に供給する。スリー・ディー・システムズ社(3D Systems, Inc.)から市販されているVanguard(商標)システムなどの従来の選択的レーザ焼結装置では、二酸化炭素レーザを使用し、このレーザビームを偏向するガルバノ・ミラーを手段としてレーザビームを位置決めする。
【0004】
この部品入りケーキは取外し可能な構築台上に支持されており、この構築台上に粉末床が配置される。粉末層が溶融した後、構築台はある距離だけ下方に移動し、次いで、装置が、粉末床に亘って、先に溶融された層の上に追加の粉末層を分配し、この次の層における粉末の溶融と選択的融合のプロセスを繰り返す。物品が完成するまで、後の層の溶融部分が、物品に適切なだけ先の層の溶融部分に融合する。これらの物品は、「構築部品」と呼ばれることもある。追加の粉末層の各々は、一般に、粉末床の上に測定された量の粉末を分配する粉末供給装置から分配される。次いで、ブレードやローラなどのスプレッダーがその粉末を拾い上げ、粉末床に亘り均一な様式で広げる。
【0005】
レーザ焼結技術が、テキサス・システム大学の評議会に全て譲渡された特許文献1から3、およびハウショルダー(Housholder)の特許文献4に詳細に説明されている。
【0006】
一般に、部品が一旦構築されたら、この新たに形成された部品が冷めるまで、不活性雰囲気下のプロセス・チャンバ内に残っている。冷却には、一回の構築で構築される部品の数およびサイズに応じて、数時間または数日要する。その結果、レーザ焼結装置は、冷却時間中は停止しており、このため、装置は、その後の構築に利用できないであろう。
【0007】
中に構築台を配置できる取外し可能な構築チャンバを備えたレーザ焼結装置が開発されている。新たに構築された部品を含む構築チャンバをプロセス・チャンバから分離し、次いで、部品を構築チャンバ内で冷却することができる。次いで、新たな部品を構築できるように、プロセス・チャンバ中に別の構築チャンバを配置することができる。構築チャンバは、粉末床と構築台が適切に位置決めされるようにプロセス・チャンバ内に配置しなければならない。粉末スプレッダーおよび構築台の垂直移動が不正確に位置決めされると、粉末層が不均一に堆積されたり、粉末の連続した溶融層に横方向にずれが生じてしまうであろう。不正確に位置決めされた構築台上で部品を構築すると、使用できないような欠陥のある部品が得られるであろう。粉末スプレッダーを備えた構築台を適切に位置決めするには、ユーザが多くの調節および測定をする必要がある。この位置決めプロセスのために、損失時間が生じ、RP&Mプロセスが非効率になるであろう。
【0008】
特許文献5には、容器を有するレーザ焼結装置が記載されており、この容器は、物理的に持ち上げ、装置の内部に配置することによって、装置中に手動で挿入される。この容器は、装置内に一旦配置されたら、装置から取り出されるまでは静止している。この容器は、対向する側壁上のレールにより支持されている。これらのレールは、容器を配置し、粉末を送達し次いで広げるためのホッパー開口部の底部に取り付けられたブレードを有する往復移動するオーバーヘッド・ホッパー装置により、容器を位置決めする。挿入可能な容器は、4つの側壁、および装置の内部断面と等しいサイズを持つ可動性台を備えている。昇降機構が、その台を必要に応じて上下に動かす。部品が構築された後、システム・オペレータは、部品と未焼結粉末を含む容器を、装置から、物理的に持ち上げなければならない。この容器は重く、持ち上げ工程により部品が動き、部品が損傷を受けるかもしれないので、容器を物理的に持ち上げることは望ましくないであろう。
【0009】
別の問題点は、取外し可能な容器または構築チャンバを使用する場合、レーザ焼結装置は、取外し可能な構成部材をレーザ焼結装置中に挿入した後に、構築チャンバが動作温度まで加熱されるのを待機するという遅れが生じることである。この待機期間は、動作を開始できるようになる前のレーザ焼結装置が停止している余計な時間である。
【特許文献1】米国特許第4863538号明細書
【特許文献2】米国特許第5132143号明細書
【特許文献3】米国特許第4944817号明細書
【特許文献4】米国特許第4247508号明細書
【特許文献5】米国特許第6554600号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それゆえ、概して、取り外された構築チャンバ内の先の構築サイクル中に形成された部品に悪影響を及ぼさずに別の構築サイクルを迅速に開始できるようにするために、レーザ焼結システムから取り外すことができ、レーザ焼結システムの動作温度でまたはその近くの温度で別の構築チャンバと交換できる取外し可能な構築チャンバを有するレーザ焼結装置および高速試作成形装置が必要とされている。これらの問題は、本発明の設計において解決される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある態様では、構築の完了後、構築チャンバがプロセス・チャンバから取り外せるようになっており、部品を有する部品入りケーキは構築チャンバ内で冷却することができ、新たな予熱された構築チャンバがレーザ焼結システム中に挿入されるようになっている取外し可能な構築チャンバを有するレーザ焼結装置が提供される。
【0012】
本発明の別の態様は、交換用構築チャンバが、レーザ焼結システム中に取外しできるように挿入されたらすぐにその後の構築を開始するのに必要な温度またはその近くにあるように、このチャンバの予熱を制御するために、マイクロプロセッサにより制御された温度管理ステーションが交換用構築チャンバに接続可能であることである。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、マイクロプロセッサにより制御された温度管理ステーションが、中に構築された部品を有する部品入りケーキの冷却を制御するように、構築された部品の完成後に、取り出された構築チャンバに接続可能であることである。
【0014】
本発明のある特徴は、マイクロプロセッサにより制御された温度管理ステーションは、未溶融の粉末とその中で新たに構築された部品を有する部品入りケーキを制御された様式で冷却できるように、取り外された構築チャンバ内の熱の下降傾斜を管理することである。
【0015】
本発明の別の特徴は、マイクロプロセッサにより制御された温度管理ステーションは、レーザ焼結システム内のプロセス・チャンバへの挿入と連結の直後に新たな構築を開始できるように、構築チャンバをレーザ焼結システムの動作温度またはその近くの温度にするように、レーザ焼結システム中への挿入前に交換用構築チャンバの予熱を管理することである。
【0016】
本発明のシステムの利点は、新たな構築を開始するために、構築の完了後にレーザ焼結システムの次の準備が素早くできることである。
【0017】
本発明の別の利点は、新たに構築された部品において熱歪みが生じないように、部品入りケーキを形成する新たに構築された部品と周りの未溶融粉末を有する、取り外された構築チャンバの制御された冷却が可能であることである。
【0018】
これらと他の態様、特徴および利点は、部品の完成した構築と新たな構築の開始とのレーザ焼結システムの切換えを迅速に行えるように、中に部品入りケーキを有する、取り外された構築チャンバの冷却および交換用構築チャンバの予熱を制御する温度管理ステーションを使用することにより得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
これらと他の態様、特徴および利点は、特に、添付の図面と共に解釈したときに、本発明の以下の詳細な説明を考慮する際に明らかになる。
【0020】
ここで、本発明を、本発明の実施の形態の全てではないが、その内のいくつかが示されている、添付の図面を参照して、以後、より詳しく説明する。実際に、本発明は、多くの異なる形式で具体化してよく、ここに述べられた実施の形態に制限されるものと解釈すべきではない。むしろ、これらの実施の形態は、この開示が、適用される法律要件を満たすように提供されたものである。同じ番号は、全体を通じて、同じ部材を称する。
【0021】
図1を参照すると、取外し可能な構築チャンバを有するレーザ焼結装置またはシステムが、示されており、概して参照番号10で表されている。レーザ焼結装置10は、プロセス・チャンバ15、関連する支持ハウジング20、および構築台車30により支持されている取外し可能な構築チャンバ25を備えている。構築台車30は、構築チャンバ25と共に、支持ハウジング20中に取外し可能に挿入されている。ある実施の形態において、レーザ焼結装置10は、構築チャンバ25を装填位置と構築位置との間で移動するように適合された昇降装置(図1には示されていない)を備えていてよい。ここに用いたように、「構築位置」という用語は、構築台の垂直移動が粉末床に対して実質的に垂直であるような構築台が粉末床に対して適切に位置決めされている構築チャンバ25の位置を称する。構築位置において、レーザ焼結装置10は、部品を構築する準備ができている。昇降装置は、水圧または油圧シリンダ、空気圧シリンダ、電気モータなどを備えていて差し支えない。レーザ焼結装置10は、プロセス・チャンバ15内でレーザビームを生成し、標的に当てるためのレーザおよび関連する機構を含む関連したレーザ・ユニット40も備えている。
【0022】
構築チャンバ25は、支持ハウジングの対応する表面に解放可能に係合するようにそれぞれが適合した複数の位置決め表面(図1では見えない)を含んでよい。構築チャンバ25が構築位置に動かされるときに、位置決め表面が支持ハウジングの対応する表面と係合し、プロセス・チャンバに対して適切に位置決めされているように構築チャンバを配置する。取外し可能な構築チャンバの設計および動作は、2005年3月23日に出願され、本発明の譲受人に譲渡された同時係属出願である米国特許出願第11/088133号により詳しく述べられている。
【0023】
構築チャンバ15は、粉末床(図示せず)、および粉末供給ホッパーと底部供給機構(両方とも図示せず)を有する関連する粉末分配システムを備えている。プロセス・チャンバ15は、粉末床に亘り分配された粉末を拾い上げ、均一な様式で広げるように適合された粉末スプレッダーを備えている。この粉末スプレッダーは逆回転ローラ(図示せず)の形態にあることが好ましい。粉末床は、構築チャンバ25内の構築シリンダを解放可能に受け入れるように適合された開口部を含む。本発明に関して、「粉末スプレッダー」という用語は、ローラ、ワイパー、ドクター・ブレード、または粉末を粉末床に亘り均一な様式で広げるために用いられる任意の他の適切な装置を含む。
【0024】
構築チャンバ25は、可動性構築台(図示せず)を有する構築シリンダ60(手短に図3参照)を備えている。プロセス・チャンバ15は、粉末を広げている操作中に過剰の粉末を受け入れるように適合された1つ以上の溢れ受入容器(これも図示せず)を備えていてもよい。動作中、粉末スプレッダーは、粉末を粉末床の表面に亘り広げ、可動性構築台の表面上に個別の粉末層を堆積させて、部品入りケーキを形成する。ここに用いているように、「部品入りケーキ」という用語は、焼結粉末および未溶融粉末を含む、構築台の表面上に堆積された可溶性粉末の層を称する。この構築台は、加工すべき各粉末層の厚さを定義するために、小さな段階、例えば、0.125mmずつ、粉末床の下に移動するようにモータ(図示せず)により制御されていてよい。この動きは一方向には限られない。例えば、下方への0.500mmの動きとその後の上方への0.375mmの動きによって、最後の段階から0.125mm低い最終的な下方の位置が得られる。一般に、構築台は、垂直移動の軸(図示せず)に沿って構築シリンダ内で移動可能である。
【0025】
粉末床は、構築チャンバ25が適切に配置され、構築位置に位置決めされたときに、構築シリンダ60内において構築台の垂直移動に実質的に垂直な水平面を画成する。ここに用いたように、「垂直移動」という用語は、構築シリンダ60内で移動するときの、構築台の移動を称する。部品が歪められないことを確実にするために、構築サイクル中ずっと、粉末床を構築台の垂直移動に対して適切に位置決めする必要がある。例えば、構築動作中、分配装置が、測定された量の粉末を粉末床上に分配する。次いで、粉末スプレッダーが、一回以上、粉末床を横断し、構築台の表面に亘って粉末層を均一に分布させて、部品入りケーキを形成する。構築台の垂直移動が、粉末床の表面に対して適切に位置決めされないか、または不適切に位置決めされた場合、構築台上に堆積された溶融粉末から形成された各層は、層の公称位置または予測位置からずれるであろう。その結果、その上に構築される部品の寸法は歪み、その部品が使用できなくなってしまう。
【0026】
レーザ焼結装置10内で構築チャンバ25の配置を行うために、構築チャンバ25は、プロセス・チャンバ15の方向に上方に動かされる。構築チャンバ25を連続的に上方に動かすことによって、構築チャンバ25と支持ハウジング20の両方の位置決め表面が互いに接触して、構築チャンバが粉末床と粉末床内の開口部(図示せず)に対して位置決めされる。プロセス・チャンバ15は、粉末床と構築シリンダ60との間に封止関係を形成するためのシールを含んでもよい(手短に図3参照のこと)。典型的に、そのシールは、粉末床と構築シリンダ60の界面を粉末が通過するのを防ぐのに効果的である耐熱性エラストマー材料からなる。ある実施の形態において、構築チャンバ25は、水平経路に沿って、装填位置と構築位置との間で動かされてもよい。そのような実施の形態において、構築チャンバ25の横方向の動きによって、位置決め表面が互いに接触して、構築チャンバが粉末床に対して位置決めされる。
【0027】
プロセス・チャンバ15と構築チャンバ25の連結前に、取外し可能な構築チャンバ25は、図2に示すように、温度管理ステーション26に接続されることによって、予熱される。温度管理ステーション26は、取外し可能な構築チャンバ25が装置10のプロセス・チャンバ15内に挿入されたときに構築を開始するのに要する時間を減少させるために、構築チャンバ25をレーザ焼結装置10の動作温度にあるかまたはその近くの温度まで予熱することを制御するマイクロプロセッサを備えている。電力は、適切なコンセントに接続された220ボルトの電力供給ライン27から温度管理ステーション26に供給される。温度管理ステーション26のオン/オフ・スイッチ28が、このユニットへの電気の流れを制御する。電源コード29は、構築台車30のコード31に繋がり、コード31は、取外し可能な構築チャンバ25内の構築シリンダ60の周りに配列された3または4個のバンド・ヒータ44(1つのみが図3に示されている)およびピストン・ヒータに取り付けられたヒータ(図示せず)への電気エネルギーの流れを制御するコントロール・ボックス32に繋がっている。バンド・ヒータ44は、例えば、3個のバンド・ヒータ・システムでは、シリンダ60の底部から頂部への高さの約30%、60%および90%の位置で構築シリンダ60の周りに垂直に配列されている。
【0028】
コントロール・ボックス32は、各バンド・ヒータの4個のサーミスタ(図示せず)およびピストン・ヒータのサーミスタにより提供される構築シリンダ60内の部品入りケーキの周囲の周りの温度を示す温度記録のフィードバック、並びにバンド・ヒータが故障したときはいつでも発見するためにバンド・ヒータの各々についての現在の検出情報のフィードバックを提供するために回路基板を備えている。構築シリンダ60のそれぞれの側にサーミスタが1つ配置されているが、必要に応じて、それより多いか少ないサーミスタを使用しても差し支えない。コントロール・ボックス32は、高速シリアル・リンクでデータを温度管理ステーション26内のマイクロプロセッサに送信する。ステーションは、この情報を用いて、ヒータへの電力の供給を制御する。予熱サイクル中、レーザ焼結装置10をできるだけ早く動作できるように、取外し可能な構築チャンバ25をできるだけ早く約130℃から約165℃の範囲の温度に加熱するように電力が供給される。図3に示されるような冷却サイクル中、温度管理ステーション26は、サーミスタからの検出を用いて、構築された部品のカールや他の熱歪みを避けるために部品入りケーキの制御された冷却を行う。冷却サイクル中、温度管理ステーション26内のマイクロプロセッサは、ヒータを「つつくように動作させ(tickles)」バンド・ヒータ44およびピストン・ヒータを介して構築チャンバに少量の熱を選択的に加えて、部品入りケーキが早く冷めすぎないことを確実にする。抵抗バンド・ヒータにエネルギーを与えるべきときを合図するために、選択されたパラメータがモニタされ、アルゴリズムで用いられる。
【0029】
それらのパラメータとしては、シリンダ60を取り囲むバンド・ヒータおよび部品の形成に用いられる材料の各々の温度が挙げられる。3個のバンド・ヒータを使用する場合、例えば、シリンダの頂部にあるヒータは、約150℃±10℃で動作するように設定してもよい。真ん中のバンド・ヒータは、約120℃±10℃で動作するように設定され、一方で、下側のバンド・ヒータは、約100℃±10℃で動作するように設定して差し支えない。ピストン・ヒータは、構築の長さに応じて、約150℃±10℃から約50℃の範囲で動作する。短期間の構築について、温度は、構築の始めで150℃の公称設定点に設定され、次いで、冷却中に傾斜して下げられる。非常に長期間の構築について、温度は、最初に150℃に設定され、次いで、できるだけ低く、ことによると0℃までも傾斜して下げられる。それは、レーザ焼結プロセスの結果して、部品入りケーキ内に存在する熱と構築中に形成された部品入りケーキの高さのためである。ピストン・ヒータ内の温度の傾斜降下は、構築時間の長さの関数である。ヒータの温度設定点は、ナイロン12、ナイロン11およびガラス繊維充填ナイロン材料について異なる温度設定が使用されるように、加工される材料に依存する。より高い構築シリンダ60を使用する場合、4個目のバンド・ヒータを用いることができ、そのヒータの設定値は適切に設定される。
【0030】
レーザとその関連する標的決め機構が、図1に示すように、プロセス・チャンバ15の上のユニット40内に取り付けられている。プロセス・チャンバ15は、部品の製造に適した温度条件と雰囲気条件を維持する。その雰囲気は一般に、窒素などの不活性雰囲気からなる。このシステムは、レーザとその関連光学素子系を動作するように構成された関連するコンピュータ・システム(図示せず)も含む。一般に、そのコンピュータには、製造すべき部品の複数の断面の所望の境界を示す情報がプログラムされているであろう。
【0031】
プロセス・チャンバ15と構築チャンバ25が接合された後、レーザビームがレーザ(図示せず)によって発せられ、走査システム(図示せず)を経由して標的表面または区域に向けられる。この走査システムは、一般に、レーザビームを偏向させるガルバノ・ミラーを含む。ここに用いているように、「標的区域」という用語は、部品入りケーキの頂面を称する。レーザ・システムおよびガルバノメータ・システムは通常は、レーザ窓によってプロセス・チャンバ15から隔てられている。ある実施の形態において、プロセス・チャンバ15は、部品入りケーキおよび部品入りケーキに隣接した粉末床のある区域を加熱する放射加熱器(図示せず)を1つ以上備えていてよい。レーザビームの偏向と焦点距離は、レーザエネルギーをその層に形成すべき部品の断面に対応する可溶性粉末層の位置に方向付けるために、レーザの変調と共に、制御できるものである。
【0032】
ある実施の形態において、プロセス・チャンバ15は、下にある粉末床上に落とされる粉末の量を調節するためにモータ(図示せず)により制御された底部供給機構を有する1つの粉末供給ホッパーを備えた粉末分配システムを含む。この供給機構は、例えば、スター・フィーダ、オーガ・フィーダ、または回転ドラム・フィーダを含むいくつかのタイプのものであってよい。ある実施の形態において、粉末分配システムは、構築チャンバ内に配置された1つ以上の供給ピストンを含んでもよい。この最後の実施の形態において、1つ以上の供給ピストンは、測定した量の粉末を粉末床中に押し上げる。その後、粉末スプレッダーがその粉末を拾い上げ、粉末床と構築台に亘り均一な様式で広げる。別の実施の形態において、粉末供給システムは、粉末を送達し、次いで広げるための、ホッパー開口部の底部に取り付けられたブレードを有する往復運動式オーバーヘッド・ホッパー・システムから構成されてもよい。
【0033】
前述したように、粉末スプレッダーは、粉末隆起からの粉末をレーザの標的区域に亘って広げる、モータ(図示せず)により駆動される逆回転ローラを備えることが好ましい。ある実施の形態において、粉末スプレッダーは、標的区域上に堆積されなかった残留粉末を、プロセス・チャンバ15の対向する端部に配置されるであろう溢れ受入機構(図示せず)中に運搬する。逆回転ローラを使用することが好ましいが、ワイパーやドクター・ブレードを含む他の機構により粉末を広げても差し支えない。ある実施の形態において、粉末スプレッダーは、ローラの表面を横切って横方向に延在する横軸を持つレベリング・ローラを備えていてもよい。構築チャンバ25を構築位置に配置するときに、粉末床を横切る粉末スプレッダーの移動により画成される面は、構築台の垂直移動に対して実質的に垂直である。ここに用いる実質的に垂直とは、部品の寸法精度が許容されるままであるという条件で、90度からのある程度の偏差が許されることを意味する。
【0034】
前述したように、構築チャンバ25は、可動性構築台車30と、支持ハウジング20上に対応する表面に解放可能に係合するように各々が適合された複数の位置決め表面とを備えているであろう。この点に関して、図2および3は、支持ハウジング20上に配置された対応する表面に解放可能に係合するように各々が適合された複数の位置決め表面を有する装置を示している。各位置決め表面および対応する相手方は、まとめて位置決め対と称される。図2および3に示した実施の形態において、前記装置は、参照番号34a,34bおよび34cと示される受入部およびその内の2つのみが示されている対応する位置決めボール35からなる3つの位置決め対を備えている。ある実施の形態において、その装置は、構築チャンバ25が構築位置に動かされたときに、位置決め対が、ある実施の形態においては粉末床の表面により画成される面に対して実質的に平行である面を画成するように3つの位置決め対を含んでよい。3点で面が一意的に画成されるので、3対の位置決め表面を使用することが好ましい。しかしながら、同一平面上にあるように気を付けるのであれば、4つ以上の位置決め対を使用してもよいことが認識されるであろう。ある実施の形態において、構築台の移動軸が粉末床の面に対して実質的に垂直である限り、構築位置にある間に、粉末床が構築台の移動軸に整合されているという条件で、位置決め対が、粉末床の面に対して実質的に平行な面を画成しなくてもよいことも認識されるであろう。
【0035】
レーザ焼結装置10の組立中、構築チャンバ25上の位置決め表面の各々の位置は構築台に整合されており、支持ハウジング上の対応する表面の各々の位置は、粉末床と粉末スプレッダーに整合されている。その結果、構築チャンバ25が構築位置に向かって上方に動かされるときに、位置決め対が、構築チャンバ25およびプロセス・チャンバ15が精確に水平と垂直で位置決めされるように、構築チャンバの位置を移動させる。上述した組立プロセスに関して、「水平位置決め」という用語は、プロセス・チャンバ15に対する構築チャンバ25の前後と側方(すなわち、XおよびY方向)の位置を称する。構築チャンバ25は、構築シリンダ60が、中に着座する粉末床の開口部に整合され、それらの間に封止関係が確立されたときに、正しく水平位置決めされていると考えられる。「垂直位置決め」という用語は、プロセス・チャンバ15に対する構築チャンバ25の上下(Z方向)の動きを称する。構築チャンバ25は、構築シリンダ60内の構築台の移動が、粉末床の面に対して実質的に垂直なときに正しく垂直位置決めされていると考えられる。正しい垂直位置決めは、構築台が構築シリンダ60内に動くときに、構築台の移動が、粉末床の面に対して実質的に垂直なままであるように構築プロセス中ずっと維持される。ある実施の形態において、構築台の移動は、レベリング・ローラなどの粉末スプレッダーの横軸に対して実質的に垂直である。
【0036】
図2および3に示したように、支持ハウジング20は、対向する側壁21a,21bおよび後壁22を有する枠構造から構成されおり、これらの壁は一緒になって支持ハウジング内の内部空間を画成する。支持ハウジング20は、後壁22の反対側に開口部23を含んでよく、構築台車30は、そこを通して内部空間に取外し可能に挿入できる。支持ハウジング20は、支持ハウジング内に構築台車30の配置を方向付けるのに役立つガイドレール24を備えていてもよい。ガイドレールはその内の1つだけ示されている。ある実施の形態において、支持ハウジング20は、装填位置と構築位置との間で構築チャンバ25を移動させるように適合された昇降装置を少なくとも1つ含んでよい。ある実施の形態において、支持ハウジング20は、構築台車を支持し、上方に持ち上げるための2つの昇降装置36,38を備えている。適切な昇降装置としては、水圧(油圧)シリンダ、空気圧シリンダ、電気モータなどが挙げられる。構築チャンバが水平経路に沿って移動する実施の形態において、昇降装置は、構築チャンバを、装填位置と構築位置との間で横に移動させてもよい。オペレータが、構築チャンバ25を支持ハウジングの内部空間中に容易に挿入できるように支持ハウジング20の水準を適切に調整するのに、水平調整脚部39が役立つであろう。
【0037】
ある実施の形態において、位置決めボールと共に受入部を備えた1つ以上の位置決め対は、構築台車30から外面に延在する突起、およびこの突起を受け入れるように適合された支持ハウジング20上に配置された凹部を含む。この点に関して、少なくとも1つの位置決め対は、外面に延在する突起およびこの突起をその中に受け入れるように適合された凹部(両方とも図には見えない)を含む。ある実施の形態において、各凹部は、支持ハウジング20に取り付けられた受入部34a,34bまたは34c内に配置されてもよい。ここで、受入部34a,34bおよび34cの各々は、内部空間の方向で側壁または後壁から内面に延在したブラケット37により支持されているものとして示されている。図2および3において、外面に延在する突起35は、位置決めボールの形態で示されている。構築チャンバ25が構築位置にあるときに構築台が粉末床と粉末スプレッダーについて適切に位置決めされているという条件で、柱、シリンダ、ブロック、またはそれらの組合せなどの他の形状および表面を使用してもよいことが認識されるであろう。単純にする目的のために、構築台車30上の各位置決め表面は、以後、「位置決めボール」と称する。凹部と突起の位置づけを逆にしてもよいことも認識されるであろう。
【0038】
手短に言えば、位置決め対は、位置決めボール35および位置決めボールを解放可能に受け入れるように適合された凹部(図示せず)を有する受入部34a,34bおよび34cを有していてよい。ある実施の形態において、受入部34a,34bおよび34cは、凹部の開口部に面取り部(図示せず)を有していてもよい。この面取り部は、構築チャンバ25と支持ハウジング20との間の初期ずれをある程度許容する傾斜表面からなる。この実施の形態において、各位置決めボール35は、構築チャンバが上方に動かされたときに、対応する凹部の面取り部と係合する。構築チャンバ25が引き続き上方に動かされると、各位置決めボール35が凹部中に挿入され、着座するように、構築チャンバの位置が移される。位置決めボール35は、凹部の基部に対して着座していてよい。ある実施の形態において、位置決めボールは、位置決めボールの頂面が凹部の基部と接触したときに着座し、構築チャンバ25をさらに上方に動かすことができなくなる。ある実施の形態において、前記装置は、完全に着座させられたときに、粉末床の表面に対して実質的に平行である面を画成する3つの位置決め対を含む。支持ハウジング20上の構築チャンバ25は、この面に対して実質的に平行である。その結果、位置決めボール35がそれぞれの凹部内に着座したときに、構築台は、適切に配置され、粉末スプレッダーに対して適切に位置決めされる。
【0039】
ある実施の形態において、前記装置は、システム・オペレータによる調節を最小しかまたは全く必要とせずに、構築チャンバ25およびプロセス・チャンバ15の適切な位置決めを促進するのに役立つ向きに互いと異なる形状であってもよい3つの位置決め対を含む。ある実施の形態において、第1の位置決め対は、位置決めボールが凹部内で最小しかまたは全く移動しないように位置決めボールよりもわずかに大きい凹部を含み;第2の位置決め対は、第1の方向に対して垂直である第2の方向においてより大きく水平移動することのできる一方で、第1の方向における位置決めボールの水平移動を制限するように構成されており;第3の位置決め対は、凹部内で位置決めボールがむしろゆるく嵌り込み、全ての方向においてある程度動ける自由を有する大きすぎる凹部を有していてよい。
【0040】
再度、図3を参照する。第1の位置決め対の受入部34aと第2の位置決め対の受入部34bは、支持ハウジング20の開口部に隣接した対向する側壁に取り付けられていてよく、第3の位置決め対の受入部34cは、後壁22またはそこに近接して配置されていてよい。第1と第2の位置決め対の受入部34aおよび34bは、それぞれの位置が、支持ハウジング20内に構築チャンバ25を配置するオペレータに容易に見えるように、支持ハウジング20の開口部23に隣接して配置されていてよい。第3の位置決め対は一般に、大きすぎる凹部のために、わずかしかまたは全く見えずに、位置決めボール35を容易に位置決めできるので、後壁近くに配置されている。一般に、第3の位置決め対の受入部34cは、第1と第2の位置決め対の受入部34a,34bと共に、構築チャンバが実質的に平行であり、構築チャンバ25が正確な垂直位置に位置決めされたときに粉末床の表面に対して実質的に平行である水平面を画成するように機能する。
【0041】
一般に、位置決めボール35と凹部の側壁との間のクリアランスは、約5ミル(約0.125mm)未満であり、より一般的に、約2ミル(約0.05mm)未満である。それゆえ、位置決めボール35の表面と凹部の側壁との間のクリアランスは、位置決めボールが、凹部内に着座したときに、横にわずかしかまたは全く動けないほど非常にわずかである。第1の位置決め対の受入部34aの位置決めボール35の周りの回転は、第2の位置決め対の位置決めボール35および受入部34bにより妨げられる。
【0042】
位置決めボール35と受入部34bの第2の位置決め対が、第2の水平方向における横の動き、並びに第1の位置決め対の周りに回転を制限する一方で、第1の水平方向における横の動きはわずかに許すように構成されていてよい。第2の位置決め対の受入部34bは、楕円または矩形の形状を持つ凹部を備えていてよい。この実施の形態において、凹部は、幅よりも大きい長さを有する。第2の位置決め対の受入部34bは、その長さに沿って比較的大きい、凹部の側壁と、位置決めボール35の表面の間のクリアランスを有する。この構成において、位置決めボール35は、軸に沿って、比較的自由に前後に動くことができるが、それと同時に、軸に対して垂直な方向(幅方向)の位置決めボールの動きは比較的制限される。一般に、位置決め対の受入部34bは、軸が位置決め対の受入部34aと交差するように、支持ハウジング20に配置されていてよい。位置決め対の受入部34aが支持ハウジングの開口部22(手短に図2および3を参照のこと)に隣接して配置されている実施の形態において、位置決め対の受入部34bは、軸または凹部の長さが、支持ハウジング20の開口部23に対して位置決めされ、後壁22に対して平行であるように、支持ハウジング20に配置されていてよい。この構成における凹部の形状が楕円または矩形であるために、支持ハウジング20内に構築チャンバ25を配置する上で大きな自由がある。位置決め対の受入部34a,34bは、共同して、水平面(すなわち、XおよびY方向)において固定されるように構築チャンバ25を配置する。その結果、位置決め対の受入部34a,34bおよびそれらの位置決めボール35は、構築チャンバ25が上方に動くときに、構築台が粉末床の開口部に対して位置決めされるように構築チャンバ25を配置する。
【0043】
第3の位置決め対の受入部34cは、位置決めボール35を横の全方向に自由に移動させられる大きすぎる凹部(図示せず)を含む。受入部34cの凹部の側壁と位置決めボール35の表面との間のクリアランスは、位置決め対の受入部34aおよび34bの場合と比べて、比較的大きい。上述したように、位置決め対の受入部34cは、位置決め対の受入部34aおよび34bと一緒に水平面を画成するように後壁22またはその近くに配置されている。支持ハウジング20への位置決め対の受入部34a,34bおよび34cの配置は、位置決め対の受入部34bの軸が位置決め対の受入部34aと交差するという条件で、好みに応じて異なってもよい。
【0044】
動作の際、構築チャンバ25は、温度管理ステーション26に接続されることによって予熱される。電力が温度管理ステーション26に提供され、コード29および31を介してコントロール・ボックス32にリレーされ、構築チャンバ25のバンド・ヒータ44とピストン・ヒータに最大のエネルギーを提供して、構築チャンバを、レーザ焼結装置10の動作温度またはそれに近い温度まで加熱する。一旦予熱されたら、電気接続が外され、構築台車30を含む構築チャンバ25が、開口部23を通して支持ハウジング20の内部に挿入される。ガイドレール24は、構築台車30を位置決めし、装填位置に案内するのに役立つ。構築台車30は、オペレータが、構築チャンバ25を動かし、位置決めし直すのに役立つであろう1つ以上のローラ33およびレール45またはハンドルを含んでよい。
【0045】
一旦、構築チャンバ25が支持ハウジング20の内部空間内に挿入され、装填位置に配置されたら、昇降装置36,38は、上方に移動し、構築台車30の表面に接触する。次いで、昇降装置36,38は、プロセス・チャンバ15の方向に上方に構築チャンバ25を動かすように進む。各位置決めボール35は、支持ハウジング20上で係合した受入部34a,34bおよび34c内の対応する凹部に解放可能に係合する。各凹部は、構築チャンバ25のある程度の初期ずれを許容する面取り部を含むであろう。連続して上方に動かされると、位置決めボール35が面取り部に沿って上方に移動し、それぞれ、位置決め対の受入部の凹部中に入る。その結果、構築チャンバ25がゆっくりと、プロセス・チャンバ15に対して正確に位置決めされる。構築チャンバ25は、各位置決めボール35が対応する凹部内に着座するまで上方に動き続ける。この着座した時点で、構築チャンバ25の上方の動きは停止される。今では、構築チャンバ25は構築位置にある。構築台は、構築位置にある間に、粉末床に対して水平と垂直に位置決めされており、構築シリンダと粉末床との間には封止関係が存在する。次いで、上述したように、部品が構築される。
【0046】
部品の完成後、昇降装置36,38が下方に動き、構築チャンバ25がプロセス・チャンバ15から分かれ、装填位置に下方に動く。新たに形成された部品45(または一組の部品)が図3の構築シリンダ60内に示されている。構築チャンバ25は、支持ハウジング20から取り出され、電源コード29を介して温度管理ステーション26に接続される準備ができている。プロセス・チャンバ15は、新たに形成された部品45が、取り出された構築チャンバ25内で冷却され続けている間に、今では、第2の部品を構築するのに使用できる。ある実施の形態において、構築チャンバ25の内部空間をカバー42で囲むことが望ましいであろう。このカバー42は、制御された速度での部品の冷却を促進するのに役立つであろう。構築チャンバ25はさらに、部品を、制御された速度で冷却するのに役立つ断熱裏地を備えていてもよい。ある実施の形態において、構築チャンバ25および/またはカバー42は、制御された環境における部品の冷却をさらに促進する放射加熱器および/または不活性ガス供給源をさらに含む。これらの両方は、温度管理ステーション26により制御されている。
【0047】
本発明の原理を、その好ましい実施の形態において図示し、説明してきたが、本発明は、そのような原則から逸脱せずに、構成および詳細において改変できることが当業者には容易に明らかであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施の形態に制限されるべきものではなく、改変および他の実施の形態が添付の特許請求の範囲に含まれることを意図したものであることが理解されるであろう。ここに特定の用語を用いたが、それらの用語は、制限を目的とするものではなく、一般的かつ説明的な意味のみで用いられている。ここに参照した全ての特許および特許出願は、関連部分に参照することによって、具体的に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】取外し可能な構築チャンバを有するレーザ焼結装置の斜視図
【図2】構築チャンバを支持ハウジングの内部空間中に挿入する前に、加熱を制御する温度管理ステーションに接続することによって取外し可能な構築チャンバを予熱する様子を示す斜視図
【図3】支持ハウジングから取り出され、構築チャンバおよびその中の、新たに構築された部品と未溶融粉末を有する部品入りケーキの冷却を制御するために温度制御ステーションに接続された、新たに構築された部品を有する構築チャンバを示す斜視図
【符号の説明】
【0049】
10 レーザ焼結装置
15 プロセス・チャンバ
20 支持ハウジング
25 構築チャンバ
26 温度管理ステーション
30 構築台車
40 レーザ・ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ焼結装置に用いられる構築チャンバの温度を制御する方法であって、
a. 第1の構築チャンバを温度管理ステーションに接続して、該構築チャンバを、前記レーザ焼結装置の動作温度またはそれに近い温度に予熱する工程、
b. 前記構築チャンバを前記温度管理ステーションから外し、前記レーザ焼結装置中に挿入する工程、
c. 前記レーザ焼結装置を動作させて、溶融粉末と未溶融粉末からなる部品入りケーキ内に少なくとも1つの部品を形成することによって、構築を完了する工程、
d. 前記レーザ焼結装置から前記構築チャンバを取り出す工程、
e. 前記取り出された構築チャンバを前記温度管理ステーションに接続する工程、
f. 前記構築チャンバの冷却を制御して、該構築チャンバと前記部品入りケーキの温度を、該部品入りケーキを壊してその内の前記少なくとも1つの部品を取り出すことのできる温度まで低下させる工程、
を有してなる方法。
【請求項2】
前記レーザ焼結装置から前記第1の構築チャンバを取り出す工程の前に、交換用構築チャンバを予熱する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記構築チャンバを前記レーザ焼結装置内のプロセス・チャンバ中に挿入する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記構築チャンバに選択的に熱を供給して、前記部品入りケーキとその中の前記少なくとも1つの部品の温度を制御可能に低下させることによって、前記部品入りケーキの冷却を制御して、前記少なくとも1つの部品の熱歪みを防ぐ工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記部品入りケーキの周囲の選択された位置で該部品入りケーキの温度をモニタすることによって、該部品入りケーキの冷却を制御する工程をさらに含むことを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記構築チャンバ内の前記部品入りケーキを含む構築シリンダの周りに配置されたバンド・ヒータ内のサーミスタにより該部品入りケーキの温度をモニタする工程をさらに含むことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記モニタした温度に応答して前記部品入りケーキの冷却を制御する工程をさらに含むことを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
レーザ焼結装置の取外可能な構築チャンバのための温度管理装置において、
a. レーザ焼結装置に取外可能に連結できる構築チャンバであって、部品の構築中に溶融粉末材料と未溶融粉末材料から形成された部品入りケーキを保持するように適合された、周囲を有する構築シリンダを備えた構築チャンバ、
b. 前記構築シリンダに選択的に熱を供給するのに効果的な、該構築シリンダに連結された少なくとも1つのヒータ、
c. 前記構築シリンダの周囲の温度を検出するのに効果的な、前記少なくとも1つのヒータ内の少なくとも1つのサーミスタ、
d. 電源、および
e. 前記電源に接続された温度管理ステーションであって、構築を開始する前に、前記取外可能な構築チャンバを所望の温度に予熱するように前記少なくとも1つのヒータに選択的にエネルギーを供給するのに効果的に、かつ構築の完了した際に、前記少なくとも1つのサーミスタから受け取った検出値に応答して前記構築チャンバと前記構築シリンダに選択的に熱を供給して、レーザ焼結中に前記溶融粉末材料から形成された部品の熱歪みを防ぐのに効果的な様式で前記構築シリンダ内の該部品入りケーキの冷却を制御するのに効果的に、前記構築チャンバに接続可能な温度管理ステーション、
を備えた温度管理装置。
【請求項9】
温度と現在の検出値を受信し、それらを前記温度管理ステーションにリレーする、前記取外可能な構築チャンバに接続されたコントロール・ボックスをさらに含むことを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記構築シリンダの周囲に配列された複数のバンド・ヒータをさらに含むことを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項11】
前記構築チャンバが、レーザ焼結装置に取外可能に連結できる可動性構築台車に取り付けられていることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項12】
前記取外可能な構築チャンバがレーザ焼結装置内のプロセス・チャンバに連結できることを特徴とする請求項8記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−312310(P2006−312310A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−96910(P2006−96910)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(597013711)スリーディー システムズ インコーポレーテッド (43)
【Fターム(参考)】