説明

レーザ顕微鏡

【課題】光軸ずれを発生させることなく光刺激用のレーザ光の合焦位置またはスポット径の変更を可能にし、標本における所望の位置または範囲に精度よく光刺激を与える。
【解決手段】観察用のレーザ光Lを導く観察用光路と、光刺激用のレーザ光Lを導く光刺激用光路と、これらの光路を合成する光路合成部4とを備えるとともに、少なくとも光刺激用光路に、レーザ光L,Lの合焦位置を変更する合焦位置変更部13,23と、該合焦位置変更部13,23と光路合成部4との間における光軸のずれ量を検出する光軸ずれ検出部15,25と、該光軸ずれ検出部15,25により検出された光軸のずれ量に基づいて光軸位置を調節するアライメント部14,24とを備えるレーザ顕微鏡1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ顕微鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、観察用のレーザ光を導く観察用光路とは別に、光刺激用のレーザ光を導く光刺激用光路とを備えるレーザ顕微鏡が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
このレーザ顕微鏡においては、標本における観察断面とは異なる断面を光刺激するために、光刺激用のレーザ光の標本上における集光位置を可変にすることができる。
【0003】
【特許文献1】特開平10−206742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光刺激用のレーザ光の集光位置の変更を光路中に配置されているレンズの移動により行う場合に、駆動系の誤差により、レンズの中心位置がずれたりレンズが傾いたりすることがある。このような場合には、レーザ光の光軸がずれて所望の位置に精度よく光刺激を与えることができず、所望の観察結果を得ることができないという不都合がある。
また、光刺激を行うスポット径の大きさを調整しようとする場合にも、光刺激用レーザ光の光路に配置したレンズを移動させることがあり、この場合にも同様の不都合が発生する。
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、光軸ずれを発生させることなく光刺激用のレーザ光の合焦位置またはスポット径の変更を可能にし、標本における所望の位置または範囲に精度よく光刺激を与えることができるレーザ顕微鏡を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、観察用のレーザ光を導く観察用光路と、光刺激用のレーザ光を導く光刺激用光路と、これらの光路を合成する光路合成部とを備えるとともに、少なくとも前記光刺激用光路に、前記レーザ光の合焦位置を変更する合焦位置変更部と、該合焦位置変更部と光路合成部との間における光軸のずれ量を検出する光軸ずれ検出部と、該光軸ずれ検出部により検出された光軸のずれ量に基づいて光軸位置を調節するアライメント部とを備えるレーザ顕微鏡を提供する。
【0007】
本発明によれば、観察用光路を介して導かれた観察用のレーザ光と、光刺激用の光路を介して導かれた光刺激用のレーザ光とが光路合成部により合成され、標本に照射される。光刺激用光路に設けられた合焦位置変更部の作動により光刺激用のレーザ光の合焦位置を変更し、その変更に伴って合焦位置変更部と光路合成部との間における光軸ずれが発生した場合に、光軸ずれ検出部の作動によりそのずれ量が検出される。この場合には、アライメント部の作動により検出されたずれ量に基づいて光軸位置が調節されてずれ量が修復されるので、光刺激用のレーザ光に光軸ずれを生じさせることなく、合焦位置を変更することができる。すなわち、光刺激用のレーザ光の合焦位置を光軸方向に移動させても、それによって合焦位置が光軸に交差する方向に変動しないので、標本の所望の位置に光刺激を与えつつ、観察用のレーザ光による観察を行うことができる。
【0008】
また、本発明は、観察用のレーザ光を導く観察用光路と、光刺激用のレーザ光を導く光刺激用光路と、これらの光路を合成する光路合成部とを備えるとともに、少なくとも前記光刺激用光路に、前記レーザ光のスポット径を変更するスポット径変更部と、該スポット径変更部と光路合成部との間における光軸のずれ量を検出する光軸ずれ検出部と、該光軸ずれ検出部により検出された光軸のずれ量に基づいて光軸位置を調節するアライメント部とを備えるレーザ顕微鏡を提供する。
【0009】
本発明によれば、光刺激用光路に設けられたスポット径変更部の作動により光刺激用のレーザ光のスポット径を変更し、その変更に伴ってスポット径変更部と光路合成部との間における光軸ずれが発生した場合に、光軸ずれ検出部の作動によりそのずれ量が検出される。この場合には、アライメント部の作動により検出されたずれ量に基づいて光軸位置が調節されてずれ量が修復されるので、光刺激用のレーザ光に光軸ずれを生じさせることなく、スポット径を変更することができる。すなわち、光刺激用のレーザ光のスポット径を縮小または拡大させても、それによってレーザ光の照射範囲が光軸に交差する方向にシフトしないので、標本の所望の範囲に光刺激を与えつつ、観察用のレーザ光による観察を行うことができる。
【0010】
また、本発明は、観察用のレーザ光を導く観察用光路と、光刺激用のレーザ光を導く光刺激用光路と、これらの光路を合成する光路合成部とを備えるとともに、少なくとも前記光刺激用光路に、前記レーザ光の合焦位置を変更する合焦位置変更部と、前記レーザ光のスポット径を変更するスポット径変更部と、これら合焦位置変更部およびスポット径変更部と光路合成部との間における光軸のずれ量を検出する光軸ずれ検出部と、該光軸ずれ検出部により検出された光軸のずれ量に基づいて光軸を調節するアライメント部とを備えるレーザ顕微鏡を提供する。
【0011】
本発明によれば、アライメント部の作動により検出されたずれ量に基づいて光軸位置が調節されてずれ量が修復されるので、光刺激用のレーザ光に光軸ずれを生じさせることなく、合焦位置およびスポット径を変更することができる。すなわち、光刺激用のレーザ光のスポット径を縮小または拡大させ、かつ、合焦位置を光軸方向に移動させても、それによってレーザ光の照射範囲が光軸に交差する方向にシフトしないので、標本の所望の位置および範囲に光刺激を与えつつ、観察用のレーザ光による観察を行うことができる。
【0012】
上記発明においては、前記アライメント部が、前記光軸ずれ検出部の前段に配置され、レーザ光の光軸のシフト量および傾き量を調節することとしてもよい。
このようにすることで、合焦位置調節およびスポット径調節に伴う光軸のシフトおよび傾きをアライメント部により補正し、標本の所望の位置に精度よく光刺激を与えることができる。
【0013】
また、上記発明においては、前記観察用光路および光刺激用光路に、レーザ光を出射するレーザ光源と、該レーザ光源から出射されたレーザ光を2次元的に走査するスキャナとがそれぞれ設けられていることとしてもよい。
このようにすることで、各光路に設けられたレーザ光から異なる種類のレーザ光を出射させ、別個のスキャナにより走査範囲および照射位置をそれぞれ独立して調節することができる。
【0014】
また、上記発明においては、前記レーザ光源が、波長を変更可能な超短パルスレーザ光源であることとしてもよい。
このようにすることで、超短パルスレーザ光源から出射されるレーザ光の波長の変更に伴って発生する光軸の変動も光軸ずれ検出部により検出し、アライメント部により補正することができる。
【0015】
また、上記発明においては、前記合焦位置変更部が、波面変換素子からなることとしてもよい。
このようにすることで、波面変換素子の作動によりレーザ光の波面が変換され、刺激用のレーザ光の合焦位置を光軸方向に移動させることができる。
【0016】
また、上記発明においては、前記アライメント部が、前記スキャナによる走査範囲を変更することとしてもよい。
このようにすることで、レーザ光を標本に対して2次元的に走査するスキャナを利用して、光軸ずれを簡易に補正することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光軸ずれを発生させることなく光刺激用のレーザ光の合焦位置またはスポット径の変更を可能にし、標本における所望の位置または範囲に精度よく光刺激を与えることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係るレーザ顕微鏡1について、図1を参照して以下に説明する。
本実施形態に係るレーザ顕微鏡1は、図1に示されるように、標本Aを観察するためのレーザ光を出射する観察用光学系2と、標本Aに光刺激を与えるためのレーザ光を出射する光刺激用光学系3と、これら光学系2,3からのレーザ光を合波するダイクロイックミラー(光路合成部)4と、該ダイクロイックミラー4により合波されたレーザ光を標本Aに照射する一方、標本Aから戻る光を集光する対物レンズ5と、該対物レンズ5により集光された光を検出する光検出器6と、これらを制御する制御部7と、検出された光を表示する表示部8と、操作者が操作を入力する入力部9とを備えている。
【0019】
観察用光学系2は、超短パルスレーザ光のようなレーザ光Lを出射するレーザ光源10と、該レーザ光源10から出射されたレーザ光Lを2次元的に走査するスキャナ11とを備えている。また、観察用光学系2には、レーザ光源10とスキャナ11との間に配置され、レーザ光源10から出射されたレーザ光Lのスポット径を調節するスポット径変更部12と、対物レンズ5の前方における焦点位置を調節する集光位置変更部(合焦位置変更部)13と、レーザ光Lの光軸のシフトおよび傾きを調節する光軸調整部(アライメント部)14と、レーザ光Lの光軸ずれを検出する光軸ずれ検出部15とが設けられている。
【0020】
前記スポット径変更部12は、例えば、ビームエキスパンダにより構成されている。
ビームエキスパンダは、対物レンズ5の瞳に入射するレーザ光のビーム径を変化させることで標本Aに照射されるレーザ光のスポット径を調節するようになっている。
また、前記集光位置変更部13は、光軸に沿う方向に移動可能な1以上のレンズにより構成されている。なお、集光位置変更部13は波面変換素子により構成されていてもよい。
また、前記光軸調整部14は、それぞれ2軸回りに揺動可能な2枚の平面ミラーを備えるビームシフタにより構成されている。
【0021】
光軸ずれ検出部15は、観察用光学系2の観察用光路に配置され、レーザ光Lの一部を分岐する第1のビームスプリッタ16と、該第1のビームスプリッタ16により分岐されたレーザ光Lを、さらに2つに分岐する第2のビームスプリッタ17と、該第2のビームスプリッタ17により分岐されたレーザ光Lをそれぞれ検出する2つのフォトディテクタ18,19とを備えている。
【0022】
2つのフォトディテクタ18,19は、それぞれ、入射されるレーザ光Lのスポット位置を検出するようになっている。また、2つのフォトディテクタ18,19は、第2のビームスプリッタ17からの距離を異ならせて配置されている。これにより、2つのフォトディテクタ18,19によるレーザ光Lのスポット位置の差に基づいて、観察用のレーザ光Lの傾きを検出することができるようになっている。
【0023】
前記光刺激用光学系3も、超短パルスレーザ光のようなレーザ光Lを出射するレーザ光源20と、該レーザ光源20から出射されたレーザ光Lのスポットの位置を2次元的に移動させるスキャナ21とを備えている。また、光刺激用光学系3にも、レーザ光源20とスキャナ21との間に配置され、レーザ光源20から出射されたレーザ光Lのスポット径を調節するスポット径変更部22と、対物レンズ5の前方における焦点位置を調節する集光位置変更部(合焦位置変更部)23と、レーザ光Lの光軸のシフトおよび傾きを調節する光軸調整部24と、レーザ光Lの光軸ずれを検出する光軸ずれ検出部25とが設けられている。
【0024】
光刺激用光学系におけるスポット径変更部、合焦位置変更部および光軸調整部は、観察用光学系におけるそれと同様のものである。また、光軸ずれ検出部25は、光刺激用光学系3の光刺激用光路に配置され、レーザ光Lの一部を分岐する第1のビームスプリッタ26と、該第1のビームスプリッタ26により分岐されたレーザ光Lを、さらに2つに分岐する第2のビームスプリッタ27と、該第2のビームスプリッタ27により分岐されたレーザ光Lの位置をそれぞれ検出する2つのフォトディテクタ28,29とを備えている。
【0025】
前記制御部7は、入力部9から入力された操作者の操作、例えば、スポット径の変更の操作入力、あるいは集光位置の変更の操作入力を受けて、スポット径変更部12,22または集光位置変更部13,23に対し、変更指令を出力するようになっている。また、制御部7は、光軸ずれ検出部15,25の作動により検出された光軸のシフトおよび傾きに基づいて、光軸調整部14,24を調節するようになっている。図中、符号30はダイクロイックミラーである。
【0026】
このように構成された本実施形態に係るレーザ顕微鏡1の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係るレーザ顕微鏡1を用いて標本Aを観察するには、観察用光学系2の作動により、レーザ光源10から出射されたレーザ光Lが、スキャナ11の作動により2次元的に走査され、対物レンズ5を介して、標本Aに照射される。レーザ光Lが照射されると、その集光位置において標本A内に存在している蛍光物質が励起されて多光子蛍光が発生する。発生した多光子蛍光は、対物レンズ5により集光され光検出器6により検出される。
【0027】
検出された多光子蛍光は、その強度がスキャナ11による走査位置と対応づけた形態で記憶されていくことにより、制御部7により多光子蛍光画像が作成される。そして、得られた多光子蛍光画像が表示部8により表示され、これによって操作者が標本Aの多光子蛍光観察を行うことができる。
【0028】
また、本実施形態に係るレーザ顕微鏡1によれば、光刺激用光学系3の作動により、レーザ光源20から出射されたレーザ光Lが、スキャナ21によってそのスポット位置を2次元的に調節され、対物レンズ5を介して標本Aに照射される。これにより、標本Aにおける特定位置に光刺激を与えつつ、同時に観察用光学系2を用いて標本Aの蛍光観察を行うことができる。
【0029】
操作者が、観察用あるいは光刺激用のレーザ光L,Lのスポット径を変更し、あるいは、対物レンズ5の先端側における集光位置を変更したい場合には、入力部9を介してその操作を入力する。
スポット径の変更操作が入力されたときには、制御部7は、その入力に応じてスポット径変更部12,22に対し指令信号を出力する。また、集光位置の変更操作が入力されたときには、制御部7は、その入力に応じて集光位置変更部13,23に対し指令信号を出力する。
【0030】
スポット径変更部12,22は、例えば、ビームエキスパンダにより構成されているので、ビームエキスパンダを構成しているレンズの形状誤差やレンズ移動機構の機械的誤差等により、スポット径の変化に応じて、レーザ光L,Lの光軸が、該光軸に交差する方向にシフトし、あるいは、その傾きが変動することが考えられる。また、集光位置変更部13,23も、光軸方向に移動する1枚以上のレンズにより構成されているので、レンズの形状誤差やレンズ移動機構の機械的誤差等により、集光位置の変化に応じて、レーザ光L,Lの光軸がシフトあるいは傾斜する。
【0031】
本実施形態に係るレーザ顕微鏡1によれば、光軸ずれ検出部15,25が設けられているので、レーザ光源10,20から出射されたレーザ光L,Lの一部が第1のビームスプリッタ16,26により分岐され、さらに第2のビームスプリッタ17,27により2つに分岐されて、それぞれフォトディテクタ18,19;28,29により検出される。2つのフォトディテクタ18,19;28,29のいずれかにおけるレーザ光L,Lのスポットの検出位置に基づいて、レーザ光L,Lのシフト量が検出される。また、第2のビームスプリッタ17,27から2つのフォトディテクタ18,19;28,29までの距離が異ならされているので、2つのフォトディテクタ18,19;28,29のスポットの検出位置の相違に基づいてレーザ光L,Lの傾きが検出される。
【0032】
これら2つのフォトディテクタ18,19;28,29によりレーザ光L,Lの光軸におけるシフトが検出された場合には、制御部7は、光軸調整部14,24に対して、検出されたシフトの方向とは逆方向に光軸をシフトさせる指令信号を出力し、光軸調整部14,24の作動により、シフトが補正される。また、レーザ光L.Lの光軸における傾きが検出された場合には、制御部7は、光軸調整部14,24に対して、検出された傾きとは逆方向に光軸を傾ける指令信号を出力し、光軸調整部14,24の作動により、傾きが補正される。
【0033】
このように、本実施形態に係るレーザ顕微鏡1によれば、観察用光学系2から出射された観察用のレーザ光Lを標本A上で2次元的に走査して、標本Aの多光子蛍光観察を行いながら、光刺激用光学系3から出射された光刺激用のレーザ光Lで光刺激を行う光軸方向の位置あるいはスポット径を変更する場合に、集光位置やスポット径を変更しても光軸ずれが発生しないように補正できる。したがって、複数の光刺激観察範囲に対して精度よく設定された所望の位置に正確に光刺激を与えて、標本Aの多光子蛍光観察を行うことができる。
【0034】
また、本実施形態に係るレーザ顕微鏡1によれば、観察用のレーザ光Lの照射により取得した標本画像に基づいて光刺激位置を指定する場合に、常に画像上で指定した位置に正しく光刺激を行うことができる。
【0035】
なお、本実施形態においては、観察用光学系2および光刺激用光学系3のいずれにも光軸ずれ検出部15,25および光軸調整部14,24を設けることとしたが、光軸調整部14,24は、いずれかの光学系、例えば、光刺激用光学系3のみに設けることとしてもよい。
この場合、制御部7は両光学系の光軸ずれ検出部15,25で検出された光軸ずれ量に基づいて、光刺激用のレーザ光Lの照射位置が観察用のレーザ光Lの照射位置に合致するように光軸調整部24を制御する。このようにしても、観察用のレーザ光Lの照射により取得した画像に基づいて光刺激位置を指定する場合には、常に画像上で指定した位置に正しく光刺激を行うことができる。
【0036】
また、本実施形態においては、観察用光学系2および光刺激用光学系3のいずれにもスキャナ11,21を設け、標本Aの所定の位置に光刺激を与えながら、同時に多光子蛍光画像を取得することを独立して行えることとしたが、これに代えて、図2に示されるように、観察用光学系2と光刺激用光学系3とで、スキャナ31を共通に使用することとしてもよい。図中、符号32はミラー、符号33はダイクロイックミラーである。
この場合には、両者を独立して行うことができないので、時分割で多光子蛍光観察と光刺激とを行うことにすればよい。
【0037】
また、本実施形態においては、スキャナ11,21とは別に光軸調整部14,24を設けることとしたが、これに代えて、光軸ずれ検出部15,25による検出結果に応じて、スキャナ11,21により光軸のシフトあるいは傾きの補正を行うことにしてもよい。このようにすることで、光軸ずれの補正をより高速に行うことができる。
【0038】
また、レーザ光原10,20として、超短パルスレーザ光L.Lを出射するものを採用したが、これに代えて、通常の連続レーザ光を出射するものを採用してもよい。その場合、蛍光は、スキャナ11とビームスプリッタ16との間にダイクロイックミラー(図示略)を配置して分岐し、共焦点ピンホール(図示略)を介して光検出器6により検出することとすればよい。
また、本実施形態において、レーザ光源10,20から出射する超短パルスレーザ光の波長を変更することによっても光軸ずれが発生するので、制御部7は、波長変更時の光軸ずれの補正を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係るレーザ顕微鏡の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1のレーザ顕微鏡の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
A 標本
,L レーザ光
1 レーザ顕微鏡
4 ダイクロイックミラー(光路合成部)
10,20 レーザ光源
11,21 スキャナ
12,22 スポット径変更部
13,23 集光位置変更部(合焦位置変更部)
14,24 光軸調整部(アライメント部)
15,25 光軸ずれ検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察用のレーザ光を導く観察用光路と、
光刺激用のレーザ光を導く光刺激用光路と、
これらの光路を合成する光路合成部とを備えるとともに、
少なくとも前記光刺激用光路に、前記レーザ光の合焦位置を変更する合焦位置変更部と、該合焦位置変更部と光路合成部との間における光軸のずれ量を検出する光軸ずれ検出部と、該光軸ずれ検出部により検出された光軸のずれ量に基づいて光軸位置を調節するアライメント部とを備えるレーザ顕微鏡。
【請求項2】
観察用のレーザ光を導く観察用光路と、
光刺激用のレーザ光を導く光刺激用光路と、
これらの光路を合成する光路合成部とを備えるとともに、
少なくとも前記光刺激用光路に、前記レーザ光のスポット径を変更するスポット径変更部と、該スポット径変更部と光路合成部との間における光軸のずれ量を検出する光軸ずれ検出部と、該光軸ずれ検出部により検出された光軸のずれ量に基づいて光軸位置を調節するアライメント部とを備えるレーザ顕微鏡。
【請求項3】
観察用のレーザ光を導く観察用光路と、
光刺激用のレーザ光を導く光刺激用光路と、
これらの光路を合成する光路合成部とを備えるとともに、
少なくとも前記光刺激用光路に、前記レーザ光の合焦位置を変更する合焦位置変更部と、前記レーザ光のスポット径を変更するスポット径変更部と、これら合焦位置変更部およびスポット径変更部と光路合成部との間における光軸のずれ量を検出する光軸ずれ検出部と、該光軸ずれ検出部により検出された光軸のずれ量に基づいて光軸を調節するアライメント部とを備えるレーザ顕微鏡。
【請求項4】
前記アライメント部が、前記光軸ずれ検出部の前段に配置され、レーザ光の光軸のシフト量および傾き量を調節する請求項1から請求項3のいずれかに記載のレーザ顕微鏡。
【請求項5】
前記観察用光路および光刺激用光路に、レーザ光を出射するレーザ光源と、該レーザ光源から出射されたレーザ光を2次元的に走査するスキャナとがそれぞれ設けられている請求項1から請求項3のいずれかに記載のレーザ顕微鏡。
【請求項6】
前記レーザ光源が、波長を変更可能な超短パルスレーザ光源である請求項5に記載のレーザ顕微鏡。
【請求項7】
前記合焦位置変更部が、波面変換素子からなる請求項1から請求項3のいずれかに記載の顕微鏡装置。
【請求項8】
前記アライメント部が、前記スキャナによる走査範囲を変更する請求項5に記載のレーザ顕微鏡。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−203417(P2008−203417A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−37831(P2007−37831)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】