説明

レーダアレイを較正するシステム及び技法

複数のレーダを較正するシステム及び技法が、複数の物標からのモノスタティックエコーリターンから導出される1組の連立方程式を提供する。連立方程式の解が、複数のレーダに関連する相対位置較正係数及び時間遅延較正係数を提供する。相対位置較正係数及び時間遅延較正係数により、複数のレーダを、理想的なコヒーレント処理利得と比較してごく少量の処理利得損失でコヒーレントに結合することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的にはレーダシステム及びレーダ方法に関し、特に複数のレーダを較正してコヒーレントな処理を可能にするシステム及び技法に関する。
【背景技術】
【0002】
既知のように、レーダアンテナを有する単一レーダシステム(本明細書ではレーダアレイとも言う)は、理論上の最大処理利得及び最大信号対雑音比を有し、これらはそれぞれ、レーダが物標を検知して追尾する能力に直接的に影響する。最大処理利得及び最大信号対雑音比は、レーダアンテナのサイズ、レーダの送受信ビーム幅、受信信号の処理タイプ、レーダの送信パワー、及びレーダ受信機のノイズを含むがこれらに限定されない様々な無線特性によって決まる。こういった特性のそれぞれは、いずれのレーダシステムについてもほぼ固定である。このため、検知及び追尾の性能を高めるためには、一般に、新しい特性を有する新しいレーダシステムを設計する必要があった。
【0003】
別法として、レーダアンテナをそれぞれ有する複数のレーダからの受信信号を一緒に処理して、処理利得を上げ、ひいては検知及び追尾の性能を上げることが可能である。複数のレーダからの受信信号、すなわち物標エコーを一緒に処理するには、複数のレーダのそれぞれに関連する受信信号を同相で、すなわちコヒーレントに一緒に処理することが有利である。これはまた、複数のレーダによって提供される処理利得が理想的なコヒーレント処理利得に近づく場合にも有利であろう。しかし、複数のレーダの中の異なる各レーダのアンテナは物理的に隔てられているため、物標からエコーとして各アンテナが受信する信号は一般に、同相ではなく、したがってコヒーレントに結合されない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のレーダのそれぞれのレーダアンテナの相対位置が受信レーダ信号の波長のごく一部以内であることが分かれば、送信信号及び受信信号での時間遅延(及び位相)補正を、ほぼ理想的なコヒーレント処理を可能にするのに十分な精度で行えることを当業者は理解するであろう。しかし、一般に、レーダアレイ同士の間隔はレーダ信号波長と比較してかなり大きく、その結果として測定が不正確になる可能性があるため、レーダアレイの位置を単に機械的に測定するだけでは不十分である。さらに、移動レーダは、波長よりもはるかに大きな相対位置変化を受けるため、移動レーダが移動する度に相対位置の較正を行う必要があり得る。
【0005】
また、レーダシステムは、各送信電子回路及び受信電子回路の異なる時間遅延差に従って相対的な時間遅延差を発生させ、これによってレーダシステム間にかなりの時間遅延差が発生し、これもレーダ間の信号コヒーレンシを失わせる恐れがある。
【0006】
複数のレーダアレイの相対位置及び相対時間遅延差を較正することは難しく、複数のレーダの間隔が広がるにつれて受ける誤差が大きくなることが当業者には理解されよう。また、較正は別個のプロセスも実行される場合があり、これはレーダの実際の動作とは別の時間を必要とすることも理解されよう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシステム及び技法は、複数のレーダアレイに関連する信号をコヒーレントに結合できるようにする、互いに比較的近傍に位置決めされた複数のレーダアンテナアレイ間の較正を提供する。この較正は、送信レーダ機能及び受信レーダ機能の両方に対して同時
に較正係数を生成する。この較正は、複数のレーダアレイの位相中心の相対位置及び複数のレーダシステム間の相対内部時間遅延を正確に決定し、それに従って較正係数が提供される。複数のレーダアレイは、単一アレイ中のサブアレイがそのアレイを任意の所望の方向に指向させるように制御される方向と同様の任意の所望の方向でコヒーレントになるように制御することができる。レーダアレイの相対位置及び相対時間遅延を正確にわかれば、その後、レーダアレイ間に相対時間遅延を適用して送信モード及び受信モードの両方でレーダをコヒーレントにすることができる。
【0008】
本発明によれば、複数のレーダを較正する方法は、複数のレーダの中から基準レーダを選択すること、及び、1つ又は複数のレーダ対を選択することを含み、各レーダ対は基準レーダ及び複数のレーダの中からの各ペアレーダを含む。当該方法は、少なくとも3つの物標を特定すること、基準レーダを使用して、少なくとも3つの物標に関連する第1の少なくとも3つの物標トラックを生成すること、及び、ペアレーダを使用して、少なくとも3つの物標に関連する第2の少なくとも3つの物標トラックを生成することをさらに含む。当該方法は、第1の少なくとも3つの物標トラックに第2の少なくとも3つの物標トラックに関連付けて、基準レーダに対するペアレーダの相対位置及び相対時間遅延を示す較正を提供する。
【0009】
この特定の構成により、本方法は、理想的なコヒーレント処理利得と比較してごく少量の処理損失で複数のレーダをコヒーレントに結合する能力、ひいてはよりよく物標を検知する能力を提供する。
【0010】
本発明の別の態様によれば、複数のレーダを較正するシステムは、第1のレーダ信号を送信する基準レーダと、この基準レーダに関連し、複数のレーダの中から選択されて第2のレーダ信号を送信するペアレーダとを備える。第1のレーダトラックプロセッサが基準レーダを結合して第1の少なくとも3つの物標トラックを生成し、第2のレーダトラックプロセッサをペアレーダに結合して第2の少なくとも3つの物標トラックを生成することができる。トラック関連プロセッサを第1のトラックプロセッサ及び第2のトラックプロセッサに結合して、第1のトラックプロセッサによって生成された第1の少なくとも3つの物標トラックを、第2のトラックプロセッサによって生成された第2の少なくとも3つの物標トラックに関連付けることができる。連立方程式プロセッサをトラック関連プロセッサに結合することができ、連立方程式プロセッサは、第1の少なくとも3つの物標トラックを第2の少なくとも3つの物標トラックにさらに関連付け、基準レーダに対するペアレーダの相対位置及び相対時間遅延を示す較正を提供するように適応される。特定の一実施形態では、システムは、連立方程式プロセッサに結合されて較正を平均化し、平均較正を提供する平均化プロセッサをさらに備える。さらに別の実施形態では、システムは、平均化プロセッサ、第1のレーダトラックプロセッサ、及び第2のレーダトラックプロセッサに結合され、第1の少なくとも3つの物標トラックと、第2の少なくとも3つの物標トラックと、平均較正とを関連付けて、少なくとも3つのコヒーレント物標トラックを提供するコヒーレンシプロセッサをさらに備える。
【0011】
この特定の較正により、システムは、理想的なコヒーレント処理利得と比較してごく少量の処理損失で複数のレーダをコヒーレントに結合する能力、ひいてはよりよく物標を検知する能力を提供する。
【0012】
本発明の上記特徴及び本発明それ自体は、以下の図面を参照する詳細な説明からより完全に理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のレーダアレイを較正するシステム及び方法について述べる前に、いくつかの予
備概念及び用語について説明する。本明細書において使用するモノスタティックなる用語は、単一レーダの動作であって、レーダがレーダ信号を送信し、レーダ信号がターゲット(物標)まで伝搬して物標で反射され、反射されたエコーがこの単一レーダで受信される、単一レーダの動作を指す。本明細書において使用するバイスタティックなる用語は、2つ以上のレーダ、たとえば第1のレーダ及び第2のレーダであって、第1のレーダがレーダ信号を送信し、レーダ信号が物標まで伝搬して物標で反射され、反射されたエコーが第2のレーダによって受信される、第1のレーダ及び第2のレーダの動作を指す。本明細書において使用する「レーダアレイ」なる用語は、複数のレーダ要素を有するレーダアンテナを指す。しかし、本明細書において使用される概念は、あらゆる形態の構造を有するレーダアンテナに対しても等しく良好に適用することができる。
【0014】
これより図1を参照すると、2つのレーダシステムをコヒーレント化するシステム10は、第1のレーダアンテナ14及び第1のレーダ電子回路システム32を有する第1のレーダシステム11(本明細書では基準レーダとも言う)を備える。第1のレーダ電子回路システム32は、第1の送信機/受信機16、第1の探索(サーチ)プロセッサ18、及び第1の少なくとも3つの物標トラック46を生成する第1のトラックプロセッサ20を含む。第2のレーダシステム13(本明細書ではペアレーダとも言う)は、第2のレーダアンテナ24及び第2のレーダ電子回路システム34を備える。第2のレーダ電子回路システム34は、第2の送信機/受信機26、第2の探索プロセッサ28、及び第2の少なくとも3つの物標トラック48を生成する第2のトラックプロセッサ30を含む。第1のレーダシステムと第2のレーダシステムとの間に比較的良好な位相コヒーレンシを提供するために、共有クロック22がクロックリファレンス(基準)をレーダ電子回路システム32、24の両方に提供する。
【0015】
第1のレーダシステム11及び第2のレーダシステム13はそれぞれ複数の物標を追尾することができ、ここには4つの物標12a〜12dが示される。特定の一実施形態では、物標12a〜12dのうちの1つ又は複数は臨機目標、たとえば衛星及び/又は航空機である。しかし、別の実施形態では、物標12a〜12dのうちの1つ又は複数は、空中の、レーダアンテナ14、24のダウンレンジに意図的に発射される較正目標、たとえば較正球である。較正球は様々な構成で提供することができる。特定の一実施形態では、較正球は中実の金属球であり、およそ直径2cmである。
【0016】
第1のレーダ電子回路システム32及び第2のレーダ電子回路システム34は、第1の少なくとも3つの物標トラック46及び第2の少なくとも3つの物標トラック48をそれぞれ、トラック関連プロセッサ38を有する較正プロセッサ36に提供し、トラック関連付けプロセッサ38は、第1のトラックプロセッサによって生成された第1の少なくとも3つの物標トラックを第2のトラックプロセッサによって生成された第2の少なくとも3つの物標トラックに関連付ける。動作に際して、トラック関連プロセッサ38は、第1の少なくとも3つの物標トラック46が、第2の少なくとも3つの物標トラック48と同じ少なくとも3つの物標からのものであることを確立することができる。連立方程式プロセッサ40が、第1のトラックプロセッサ20によって生成された第1の少なくとも3つの物標トラック46を第2のトラックプロセッサ30によって生成された第2の少なくとも3つの物標トラック48にさらに関連付けて、基準レーダ11に対するペアレーダ13の相対位置及び相対時間遅延を示す較正を提供する。動作に際して、連立方程式プロセッサ40は連立方程式を提供し、これが解かれると、相対位置及び相対時間遅延を示す較正が提供される。特定の一実施形態では、連立方程式プロセッサ40は、相対位置及び相対時間遅延をそれぞれ示す少なくとも第1の較正及び第2の較正を提供することができる。
【0017】
特定の一実施形態では、較正プロセッサ36は、少なくとも第1の較正及び第2の較正を平均して平均化較正を提供する平均化プロセッサ42も備える。
コヒーレンシプロセッサ44が、平均化プロセッサ42によって提供される較正を使用して第1の物標トラックデータ46及び第2の物標トラックデータ48をコヒーレントに結合することができる。
【0018】
較正プロセッサの動作は、図に関連した以下の説明からさらに理解されよう。
これより図2を参照すると、基準レーダ52(本明細書ではレーダ1とも言う)は、図1の基準レーダアンテナ14と同じであっても異なってもよく、ペアレーダ54(本明細書ではレーダ2とも言う)は、図1のペアレーダアンテナ24と同じであっても異なってもよい。ペアレーダ54の位置は、基準レーダ52の位置からX軸58に沿って量D分、且つZ軸56に沿って量D分、ずらされる。基準レーダ52は位相中心をZ軸56に沿って有し、ペアレーダ54は位相中心を軸66に沿って有し、これはZ軸56と同じ方向であっても異なる方向であってもよい。
【0019】
及びDが、基準レーダ52がペアレーダ54からずれることができる3つの次元のうちの2つの次元のみに対応することが理解されよう。その頁に垂直な方向での第3のずれDは図示されず、以下の方程式に含まれない。しかし、第3の次元Dを含むように以下の方程式を展開する方法は当業者には理解されよう。
【0020】
基準レーダ52及びペアレーダ54は、2つの物標(図示せず)、すなわち第1の物標及び第2の物標を追尾(トラッキング)中である。上付き文字1は基準レーダ52を示し、上付き文字2はペアレーダ54を示す。下付き文字1は第1の物標を示し、下付き文字2は第2の物標を示す。したがって、より一般的に、θはレーダmから見た較正球nの角度位置を示し、P(θ)は、レーダmに対する較正球nの位置を示し、この位置はレンジ(距離)及び角度θを含む。ベクトル60は基準レーダ52から第1の物標(図示せず)を指し、ベクトル62は基準レーダ52から第2の物標(図示せず)を指す。同様に、ベクトル64はペアレーダ54から第1の物標(図示せず)を指し、ベクトル68はペアレーダ54から第2の物標(図示せず)を指す。
【0021】
既知のように、物標トラックは、様々な時点での物標までのレンジ、物標の高度、及び物標の方位角を含む。以下の導出は、物標高度がない二次元の場合のものである。しかし、第3の次元を有する方程式を生成する方法を当業者は理解しよう。たとえば、X軸58及びZ軸56に沿った次元及び図示するX−Z平面での角度を含む以下の形態の方程式を使用して、たとえば、X−Y平面での角度を含む、X軸58及びY軸(図示せず)に沿った次元を有する同様の方程式を生成することもできる。
【0022】
特定の時点で、レーダ1から第1の物標までの距離(内部遅延を含む)は、以下の式によって与えられる。
【0023】
【数1】

【0024】
同時に、レーダ2から第1の物標までの距離は、以下の式によって与えられる。
【0025】
【数2】

【0026】
ベクトル成分に関してLの式を展開すると、次のようになる。
【0027】
【数3】

【0028】
ルートの中の二乗を展開して項をまとめると、次のようになる。
【0029】
【数4】

【0030】
その結果として以下の式のようになる。
【0031】
【数5】

【0032】
とLとの差をとると、次のようになる。
【0033】
【数6】

【0034】
上記式には、3つの未知数(D、D、及びΔl)があり、残りのパラメータ(ΔL、P(θ)、及びθ)はトラックデータから導出される。3つの異なる物標(以下の添え字k)に対するトラックを作成することにより、3つの連立非線形方程式系を以下のように定義することができる。
【0035】
【数7】

【0036】
その結果として得られる3つの連立方程式をD、D、及びΔlについて解き、以下、D及びDは位置較正係数と呼ばれ、Δlは時間遅延較正係数と呼ばれる。上記方程式は、3つの物標の追尾履歴中の複数の様々な時間での様々なトラックポイントで生成することができ、その結果として得られる、連立方程式に対する1組の解を平均化して、D、D、及びΔlの推定精度を上げることができる。
【0037】
3つの連立方程式は3つのレーダ物標に関連するが、より多くの物標を使用してもよいことが認識されよう。Y軸(図示せず)での第3の次元を得るためには少なくとも4つの物標が必要なことが当業者に理解されよう。
【0038】
上述したように、上記連立方程式の解によって提供される較正は、臨機目標及び/又は較正目標を使用することができる。臨機目標を使用する場合、通常のレーダ動作から実質的に離れることなく較正を時々行うことができることが理解されよう。較正に使用されるレンジ及び角度を提供する物標トラックは、実際の物標を追尾する際に通常のレーダシステム動作中に生成される物標トラックであることができる。
【0039】
上記方程式を使用して、後述する技法によって2つのレーダをコヒーレント化することができるが、同様の方程式を使用して、複数のレーダに関連する相対位置及び相対時間遅延を解き、複数のレーダを一緒にコヒーレント化することができる。
【0040】
図3〜図6は、レーダシステム10(図1)で実施することを意図した以下の技法に対応するフローチャートを示すことを理解すべきである。矩形の要素(図3の要素102を
代表とする)は、本明細書では「処理ブロック」を示し、コンピュータソフトウェア命令又は命令群を表す。菱形の要素(図3の要素116を代表とする)は、本明細書では「判断ブロック」を示し、処理ブロックで表されるコンピュータソフトウェア命令の実行に影響するコンピュータソフトウェア命令又は命令群を表す。
【0041】
別法として、処理ブロック及び判断ブロックは、デジタル信号プロセッサ回路又は特定用途向け集積回路(ASIC)等の機能的に等価の回路によって実行されるステップを表す。流れ図は、いかなる特定のプログラミング言語のシンタックスも示していない。むしろ、流れ図は、当業者が、特定の装置に必要な処理を実行する回路の組み立て又はコンピュータソフトウェア生成のために必要とする機能情報を示す。ループ及び変数の初期化並びに一時変数の使用等、多くのルーチンプログラム要素が図示されていないことに留意されたい。本明細書において別記されない限り、説明する特定のブロックの順序は単なる例示にすぎず、本発明の精神から逸脱することなく変更可能なことを当業者は理解しよう。したがって、別記されない限り、後述するブロックの順番はなく、これは、可能な場合、ステップを任意の都合のよい又は望ましい順番で実行できることを意味する。
【0042】
これより図3を参照すると、上述のものと同じか又は同様の方程式を使用して複数のレーダをコヒーレント化するプロセス100がブロック102において開始され、基準レーダが複数のレーダの中から選択される。ブロック104において、ペアレーダが複数のレーダの中から選択される。
【0043】
ブロック106において、基準レーダを使用して、トラックポイントを有する物標トラックが生成される。同様にブロック108において、ペアレーダを使用して、トラックポイントを有する物標トラックが生成される。選択された基準レーダ及びペアレーダはブロック106及び108において、各レーダにつき少なくとも3つの同じ物標、少なくとも3つの物標のトラック(すなわち、それぞれが少なくとも3つの物標トラック)を生成する。上述したように、物標は臨機目標であってもよく、又は較正目標であってもよい。
【0044】
ブロック110において、基準レーダからの第1の少なくとも3つの物標トラックのそれぞれ内の第1の各トラックポイントが、ペアレーダからの第2の少なくとも3つの物標トラックのそれぞれ内の対応する第1の各トラックポイントに関連付けられて、基準レーダに対するペアレーダの相対位置及び相対時間遅延を示す第1の較正が提供される。ブロック110の関連付けは、たとえば、位置較正係数及び時間遅延較正係数を提供する3つ以上の物標に関連する各トラックポイントについて上述したものと同じか又は同様の連立方程式を生成して解くことに対応する。上述したように、物理的な2つの次元(時間遅延を加えたもの)、又は物理的な3つの次元(時間遅延を加えたもの)での幾何解が可能な方程式を提供することができる。対応する3つ以上の物標トラックを有する3つ以上の物標を使用して、2つの次元(時間遅延を加えたもの)を有する幾何解を生成することができ、対応する4つ以上の物標トラックを有する4つ以上の物標を使用して、3つの次元(時間遅延を加えたもの)を有する幾何解を生成することができる。
【0045】
ブロック112において、第1の少なくとも3つの物標トラックのそれぞれ内の第2の各トラックポイントが、第2の少なくとも3つの物標トラックのそれぞれ内の対応する第2の各トラックポイントに関連付けられて、基準レーダに対するペアレーダの相対位置おび相対時間遅延を示す第2の較正が提供される。
【0046】
ブロック114において、第1の較正及び第2の較正が平均化されて、ブロック104において選択された基準レーダ及びペアレーダに関連する平均化較正が提供される。第1の較正及び第2の較正はブロック110及び112においてそれぞれ提供され、ブロック114において平均化されるが、第1の少なくとも3つの物標トラックのそれぞれ内の各
トラックポイント及び第2の少なくとも3つの物標トラックのそれぞれ内の対応する第2の各トラックポイントにそれぞれ関連する3つ以上の較正を提供してもよく、3つ以上の較正を平均化してもよいことは理解される。
【0047】
平均化する較正(すなわち、較正係数)の数が多いほど、その結果得られる平均較正の精度が単一の較正よりも高くなることを当業者は理解しよう。しかし、別の実施形態では、ブロック114の平均化は第1の較正及び第2の較正のみを平均化することができる。さらに別の代替の実施形態では、ブロック112の第2の較正及びブロック114の平均化が省かれ、ブロック110の第1の較正が、ブロック104において選択されたペアレーダに関しての基準レーダに関連する最終較正である。
【0048】
判断ブロック116において、ブロック104において選択されたペアレーダが最後のペアレーダであるか否かが判断される。そのペアレーダが最後のペアレーダではない場合、プロセスはブロック104に戻り、ブロック102で選択された基準レーダを保持しながら別のペアレーダが選択され、プロセスが繰り返されて、ブロック114においてその別のペアレーダの平均較正を生成する。
【0049】
判断ブロック116において、ペアレーダが最後のペアレーダである場合、プロセスはブロック118に進み、ブロック114において提供される、対応する平均位置較正係数及び対応する平均時間遅延較正係数を使用することにより、基準レーダが1つ又は複数のペアレーダとコヒーレント化される。
【0050】
これより図4を参照すると、プロセス150が、図3のブロック110及び112に関連するさらなる詳細を提供する。プロセッサ150はブロック152において開始され、第1の方程式が第1の物標に関連して生成される。基準レーダからの第1の物標の第1の物標トラックに関連する第1のトラックポイント及びペアレーダの第1の物標の第1の物標トラックに関連する第1のトラックポイントが使用される。
【0051】
ブロック154において、第2の方程式が第2の物標に関連して生成される。基準レーダからの第2の物標の第2の物標トラックに関連する第1のトラックポイント及びペアレーダの第2の物標の第2の物標トラックに関連する第1のトラックポイントが使用される。
【0052】
ブロック156において、第3の方程式が第3の物標に関連して生成される。基準レーダからの第3の物標の第3の物標トラックに関連する第1のトラックポイント及びペアレーダの第3の物標の第3の物標トラックに関連する第1のトラックポイントが使用される。
【0053】
第1のトラックポイントについて上述したが、図3のプロセス100を通る後続のループで、基準レーダ並びにペアレーダの第1の物標、第2の物標、及び第3の物標に関連する第1の物標トラック、第2の物標トラック、及び第3の物標トラックからの連続したトラックポイントが使用されることを理解すべきである。
【0054】
ブロック158において、ブロック152〜156において生成された3つの連立方程式が解かれ、基準レーダに対するペアレーダの相対位置を示す位置較正係数が提供される。ブロック160において、ブロック152〜156において生成された3つの連立方程式が解かれ、基準レーダに対するペアレーダの相対時間遅延を示す時間遅延較正係数が提供される。
【0055】
図2に関して上述したように、少なくとも3つの物標に関連する少なくとも3つの連立
方程式が、2つの幾何座標での位置較正係数及び遅延較正係数を提供するために必要である。しかし、これも上述したように、他の実施形態では、少なくとも4つの物標に関連する少なくとも4つの連立方程式が、3つの幾何座標での位置較正係数及び時間遅延較正係数を提供するために必要である。
【0056】
これより図5を参照すると、プロセス200は、たとえば図3の枠(ボックス)106及び108に関して上述した物標トラックの生成に関連してさらに詳述する。プロセスはブロック202において開始され、第1のレーダ信号が基準レーダ、たとえば図2の基準レーダ52を使用して第1の物標に向けて送信される。ブロック204において、第1の物標から基準レーダに返ってきた第1のモノスタティックエコーが受信され、第1のモノスタティック物標トラックに関連するトラックポイントが提供される。
【0057】
ブロック206において、第2のレーダ信号がペアレーダ、たとえば図2のペアレーダ54を使用して第1の物標に向けて送信される。ブロック208において、第1の物標からペアレーダに返ってきた第2のモノスタティックエコーが受信され、第2のモノスタティック物標トラックに関連するトラックポイントが提供される。
【0058】
ブロック210において、第1のモノスタティック物標トラック(第1の物標)に関連する第1のトラックポイントが、たとえば基準レーダによって生成され、ブロック212において、第2のモノスタティック物標トラック(第1の物標)に関連する第1のトラックポイントが、たとえばペアレーダによって生成される。
【0059】
ブロック214において、第3のレーダ信号が基準レーダを使用して第2の物標に向けて送信される。ブロック216において、第2の物標から基準レーダに返ってきた第3のモノスタティックエコーが受信され、第3のモノスタティック物標トラックに関連するトラックポイントが提供される。
【0060】
ブロック218において、第4のレーダ信号がペアレーダを使用して第2の物標に向けて送信される。ブロック220において、第1の物標からペアレーダに返ってきた第4のモノスタティックエコーが受信され、第4のモノスタティック物標トラックに関連するトラックポイントが提供される。
【0061】
ブロック222において、第3のモノスタティック物標トラック(第2の物標)に関連する第1のトラックポイントが、たとえば基準レーダによって生成され、ブロック224において、第4のモノスタティック物標トラック(第2の物標)に関連する第1のトラックポイントが、たとえばペアレーダによって生成される。
【0062】
ブロック226において、第5のレーダ信号が基準レーダを使用して第3の物標に向けて送信される。ブロック228において、第3の物標から基準レーダに返ってきた第5のモノスタティックエコーが受信され、第5のモノスタティック物標トラックに関連するトラックポイントが提供される。
【0063】
ブロック230において、第6のレーダ信号がペアレーダを使用して第3の物標に向けて送信される。ブロック232において、第1の物標からペアレーダに返ってきた第6のエコーモノスタティックエコーが受信され、モノスタティック物標トラックに関連する第6のトラックポイントが提供される。
【0064】
ブロック234において、第5のモノスタティック物標トラック(第3の物標)に関連する第1のトラックポイントが、たとえば基準レーダによって生成され、ブロック236において、第6のモノスタティック物標トラック(第3の物標)に関連する第1のトラッ
クポイントが、たとえばペアレーダによって生成される。
【0065】
プロセス200を繰り返して、6つのモノスタティック物標トラックの任意の数のトラックポイントを提供することができる。プロセス200は3つの物標を使用してモノスタティック物標トラックを生成するが、他の実施形態では、より多くの物標トラック及びより多くの物標を使用して、7個以上のモノスタティック物標トラックを提供してもよい。
【0066】
特定の一実施形態では、第1のレーダ信号、第3のレーダ信号、及び第5のレーダ信号は第2のレーダ信号、第4のレーダ信号、及び第6のレーダ信号に直交する。本明細書において使用する直交とは、分離可能なレーダ信号を指すために使用される。たとえば、第1のレーダ信号、第3のレーダ信号、及び第5のレーダ信号は或る周波数であってもよく、第2のレーダ信号、第4のレーダ信号、及び第6のレーダ信号は別の周波数であってもよい。この構成では、第1のレーダ信号及び第2のレーダ信号を同時に送信することができ、これは第3のレーダ信号及び第4のレーダ信号並びに第5のレーダ信号及び第6のレーダ信号の場合でも同様であり、信号対は第1の物標、第2の物標、及び第3の物標のそれぞれに向けられる。
【0067】
これより図6を参照すると、プロセス250が、たとえば図3の枠106及び108に関して上述した物標トラックの生成に関連するさらなる詳細を提供する。
ブロック252において、図5のブロック206においてペアレーダによって送信された第2のレーダ信号に関して、第1の物標から基準レーダに返ってきた第1のバイスタティックエコーが受信され、第1のバイスタティック物標トラックに関連するトラックポイントが提供される。
【0068】
ブロック254において、図5のブロック202において基準レーダによって送信された第1のレーダ信号に関して、第1の物標からペアレーダに返ってきた第2のバイスタティックエコーが受信され、第2のバイスタティック物標トラックに関連するトラックポイントが提供される。
【0069】
ブロック256において、第1のバイスタティック物標トラック(第1の物標)に関連する第1のトラックポイントが、たとえば基準レーダによって生成され、ブロック258において、第2のバイスタティック物標トラック(第1の物標)に関連する第1のトラックポイントが、たとえばペアレーダによって生成される。
【0070】
ブロック260において、図5のブロック218においてペアレーダによって送信された第4のレーダ信号に関して、第2の物標から基準レーダに返ってきた第3のバイスタティックエコーが受信され、第3のバイスタティック物標トラックに関連するトラックポイントが提供される。
【0071】
ブロック262において、図5のブロック214において基準レーダによって送信された第3のレーダ信号に関して、第2の物標からペアレーダに返ってきた第4のバイスタティックエコーが受信され、第4のバイスタティック物標トラックに関連するトラックポイントが提供される。
【0072】
ブロック264において、第3のバイスタティック物標トラック(第2の物標)に関連する第1のトラックポイントが、たとえば基準レーダによって生成され、ブロック266において、第4のバイスタティック物標トラック(第2の物標)に関連する第1のトラックポイントが、たとえばペアレーダによって生成される。
【0073】
ブロック268において、図5のブロック230においてペアレーダによって送信され
た第6のレーダ信号に関して、第3の物標から基準レーダに返ってきた第5のバイスタティックエコーが受信され、第5のバイスタティック物標トラックに関連するトラックポイントが提供される。
【0074】
ブロック270において、図5のブロック226において基準レーダによって送信された第5のレーダ信号に関して、第3の物標からペアレーダに返ってきた第6のバイスタティックエコーが受信され、第6のバイスタティック物標トラックに関連するトラックポイントが提供される。
【0075】
ブロック272において、第5のバイスタティック物標トラック(第3の物標)に関連する第1のトラックポイントが、たとえば基準レーダによって生成され、ブロック276において、第6のバイスタティック物標トラック(第3の物標)に関連する第1のトラックポイントが、たとえばペアレーダによって生成される。
【0076】
プロセス250を繰り返して、6個のバイスタティック物標トラックに任意の数のトラックポイントを提供することができる。図5に関して述べたように、プロセス250は3つの物標を使用して6つのバイスタティック物標トラックを生成するが、他の実施形態では、より多くの物標トラック及びより多くの物標を使用して、7個以上の物標トラックを提供してもよい。
【0077】
6個のバイスタティック物標トラックは、図2に関して述べた連立方程式を生成して解くために必要なトラックよりも多くのトラックを提供することは理解すべきである。バイスタティック物標トラックは一般に、たとえば、図3のステップ114において他と平均化されるさらなる較正係数を提供するために使用することができない。これは、バイスタティック物標トラックが図2に関して上に示した方程式から完全には独立していない方程式を提供するためである。しかし、バイスタティック物標トラックを異なる方法で使用して、たとえば、送受信一緒の時間遅延を考慮する1つの時間遅延較正係数ではなく、送信及び受信に別個の時間遅延較正係数を提供することができる。
【0078】
上述したように、較正プロセスは、各ペアレーダが基準レーダと共に1度に1つずつとる直交レーダ信号を使用して物標を同時に追尾することによって進められる。このプロセスにより、各物標に2つの同時トラック、すなわちモノスタティック物標トラック及びバイスタティック物標トラックが各レーダに生成される。S11で、レーダ1からの送信を受信して処理することからレーダ1で作成されるトラックファイルを示し、S21で、レーダ1からの送信を受信して処理することからレーダ2で作成されるトラックファイルを示し、以下同様とする。
11及びS12の処理
所与の時点で、レーダ1から第1の物標に行き、そこからまたレーダ1に戻る総路長は、次の式によって与えられる。
【0079】
【数8】

【0080】
式中、P(θ)及びθは上ですでに定義されたものであり、lT1及びlR1はそれぞれ、レーダ1での内部送信路遅延及び内部受信路遅延である。同時に、レーダ2から第1の物標に行き、そこからレーダ1に行く総路長は、次の式によって与えられる。
【0081】
【数9】

【0082】
これら2つの経路の総路長差は、次のようになる。
【0083】
【数10】

【0084】
ΔLの上記式には4つの未知数D、D、lT2、及びlT1がある。ΔL及びθはトラックデータから導出される。複数の較正球のトラック履歴を処理することにより、複数の解を上記未知数に対して生成することができ、その結果が平均化されてランダム誤差を低減する。
21及びS22の処理
【0085】
【数11】

【0086】
なお、S21及びS22を処理すると、S11及びS12の処理から得られるものと同じD、D、lT2、及びlT1の推定が生成される。両方の推定が独立している(破損誤差に関して)ため、2つの推定を平均化してランダム誤差をさらに低減することができる。
11及びS22の処理
【0087】
【数12】

【0088】
上記式には4つの未知数D、D、lR1、及びlR2があり、lT2及びlT1は上で求められた。なお、S11及びS22は上記でD及びDを求めるために使用されたため、L22とL11との差を処理しても、D及びDの独立した推定は生じない。S11及びS22を処理することが、lR1及びlR2の推定に有用である。なお、上述したS11、S12、及びS21、S22の処理が行われた場合、レーダ1とレーダ2との間での送受信動作を、波長のごく一部になるように較正する必要がある。上記較正は、必要な精度を達成できないため、S11及びS22を上述のように処理し、さらなる測定ポイントを追加して、より多くの連立方程式を生成してさらなる未知数を解くことができる。
【0089】
上記技法に関連する誤差解析を行うことができる。モノスタティックリターン(反射)のみが後述する誤差解析に使用される。まず、較正プロセスの精度に影響するレーダ追尾誤差について述べる。次いで、レーダ測定誤差解析について述べる。レーダ測定誤差は、レーダ追尾誤差及び3つの物標の相対位置による影響の両方を含む。
【0090】
レーダ追尾誤差に関して、上記較正技法は、レーダトラックデータから導出される2つのパラメータを利用する。すなわち、各レーダから物標までのレンジ差と、原点がアレイの位相中心にあり、X軸がアレイの面に直交する基準座標系に対する物標の角位置とである。較正アルゴリズム性能の推定は、後述するレーダ測定誤差モデル及び追尾誤差モデルに基づく。
【0091】
広帯域レンジトラックは、近代の測距技法を使用するレーダシステムで実施される。以下に提示する非線形モンテカルロ較正性能予測は、0.01波長という控えめな(内輪の)広帯域レンジ追尾誤差を使用する。
【0092】
角度誤差の影響を評価する際、2つの誤差原因が考慮される。第1に、信号対雑音(SNR)依存誤差が、個々のレーダのモノパルス測定での受信機熱雑音の影響から発生する。1つの(平均化されない)測定でのレーダ角計算の標準偏差は、次の式によって与えられる。
【0093】
【数13】

【0094】
式中、θBWはモノパルス測定の基本角度分解能であり(一般に3dB和チャネルビーム幅と解釈される)、kはモノパルスの傾きである。大型の近代レーダを表すために、以下の誤差解析では、レーダ角計算の標準偏差として70μラジアンという控えめな推定を使用する。
【0095】
以下の較正解析において考慮される角度誤差の別の主要成分は、レーダ慣性ナビゲーションシステム(INS)に関連する誤差である。各レーダのINSは、ローカルNEU(north, east, and up)フレーム(典型的なレーダのレーダ基準座標(RRC:Radar Reference Coordinate)システム)等の慣性基準に対するレーダ面の向きを決定する。RRCフレームがトラック基準フレームとしてレーダで使用される(すなわち、フィルタリングされたトラック状態がこのフレームで出力される)。トラックの更新が、原点をアレイ面に固定された極フレーム(polar frame)で行われる(RUVフレームは、パラメータR、U、及びVを特徴とし、Rは物体までの直線距離であり、U及びVは物体の正弦空間角度位置(sine space angular position)である)。したがって、伝搬される状態は、更新前にRUVフレームに変換される。この変換は、ローカルナビゲーションフレームに対するアレイの向きを画定する角度を経なければならなず、これらの角度は各アレイ上のINSユニットによって返されるものである。本明細書において較正解析を行う際、INS誤差はバイアス誤差の形であるものと仮定されている。この仮定は、各レーダが固定位置にあり、配備時のINS測定がアレイ面の位置を決定するために使用されるという動作概念に合致する。各レーダの位置は、レーダの中の、基準レーダとして選択された1つのレーダに対して求められるため、個々のバイアス誤差は上記連立方程式に入らず、基準に対する各レーダのレンジ測定のみが方程式に使用される。各レーダの位置は同じ基準レーダに対して求められるため、各レーダでのINSバイアス誤差は、基準に対して各レーダをコヒーレント化するために必要な時間遅延に影響しない。
【0096】
物標位置、すなわち較正球配備の関数として生じる較正誤差及び上述したレーダ誤差は、たとえば、1組の非線形連立方程式を解くニュートン−ラプソン法を使用してモンテカルロコンピュータシミュレーションを介して評価することができる。解析を行う際、1σガウス分布の角度追尾誤差が70μラジアンであり、1σガウス分布レンジ追尾誤差が0.01である波長(λ)が使用された(λ=0.03mを有するXバンドが使用された)。
【0097】
これより図7を参照すると、グラフ300は、上記レーダ誤差を使用した上記システム及び技法による2つのレーダの相対位置計算についての、レーダ信号波長単位での位置誤差に対応する縦軸を含む。横軸は、球1、球2、及び球3として示される3つの物標の、アンテナアレイのブロードサイド側面に対する角度位置に対応する。3つの物標は上述したように使用されて、較正係数が生成される。6つの例示的な物標位置302〜312が示され、各物標位置は、3つの物標間の総角拡散55度を有する。例示的な各物標位置302〜312について、物標は同じ相対角度位置を有するが、アレイブロードサイドに対して異なる角度位置を有することが理解されよう。グラフ300は、たとえば図2に示すような二次元構成に対応する。
【0098】
第1の曲線314が、約0.0718波長の所望の最大総計算位置誤差に対応する。曲線314は、たとえば、図1のコヒーレント化プロセッサ44により、また図3のブロック118において2つのレーダがコヒーレントに結合された場合に実現される所望の少量の処理利得損失、たとえば0.1dBに従って選択される。
【0099】
曲線316〜322はシミュレーションによって生成され、曲線上の点は物標位置302〜312に関連する。たとえば、曲線316上の点324は、位置310にある物標に関して使用された場合に上記システム及び技法によって実現されるクロスレンジ位置誤差
に対応する。曲線316〜322は、平均化なし、たとえば、図3のブロック114において提供される平均化なしで実現される位置誤差に対応する。
【0100】
曲線316は、上記システム及び技法によって実現されるクロスレンジ位置誤差、すなわちD(図2)に対応する。曲線320は、ダウンレンジ位置誤差、すなわちD(図2)に対応する。曲線318は、図2に関して上述した方程式に使用される内部時間遅延誤差、すなわちlに対応する。曲線322は、曲線316〜320の誤差の二乗和平方根結合をしたものに対応するとともに、結果として生じると予想される総位置誤差に対応する。曲線322が所望の総誤差に対応する曲線314よりもかなり大きな誤差を表していることが分かる。
【0101】
グラフ300によって示される特定のシミュレーションでは、2つのレーダは、例示的な相対物標位置302〜312を有する場合、相対クロスレンジ位置D20m、相対ダウンレンジ位置D3m、位置誤差に対応する相対内部遅延0.1m、及び3つの較正球までのレンジおよそ60kmを有する。
【0102】
較正球の特徴は、レンジを含め、単一の測定での所望の信号対雑音比、たとえば少なくとも30dBを生成するように選択することができる。既知の電気的性質の較正球が、既知の出力−開口のレーダと共に使用される場合、計算を行って、較正のために較正球までの所望レンジを求めることができる。レーダのダイナミックレンジを超えない限り、またレンジが十分大きく、較正球が最大レーダの遠方界となる場合に限り、より短いレンジ(より大きな信号対雑音比となる)を許容できる。臨機目標が同様にして選択される。
【0103】
たとえば図3のブロック114に関して上述した種々の組の連立方程式に対応する2つ以上の解を平均化することにより、その結果として得られる総位置誤差は、平均する数が多くなるにつれてゼロに近づく(誤差平均が相対位置のバイアスなし推定量であると仮定して)。誤差平均の分散は、所望の較正精度、たとえば曲線314の所望較正精度を実現するために平均化しなければならない、必要な解数に影響する。
【0104】
上述したように、曲線314として示す所望較正誤差は、2つのレーダがコヒーレントに結合される場合に0.0718波長であり、0.1dB以下の処理損失を提供する。しかし、平均化なしの場合、例示的な相対物標位置302〜312について、曲線322に示す最悪の場合のrss位置誤差は1.3波長であり、これは所望の位置誤差よりもはるかに大きい。当業者には既知のように、雑音を有する解の場合、精度は平均される解の数の二乗根に反比例して増大する。したがって、所望の精度を満たすために平均される解の数は、(1.3/0.0718)=328であり、これは、2つの各レーダの3つの各モノスタティック物標トラック(3つの物標)に沿った328個のトラックポイントに関連する。その結果として得られる推定較正時間は、100%レーダタイムライン、較正球レンジ60km、欠けのない最大パルス、及び較正球3個を使用して1.57秒である。
【0105】
これより図8を参照すると、グラフ350は、上記レーダ誤差を使用した上記システム及び技法による2つのレーダの相対位置計算についての、レーダ信号波長単位での位置誤差に対応する縦軸を含む。横軸は、球1、球2、及び球3として示される3つの物標の、アンテナアレイのブロードサイド側面に対する角度位置に対応する。3つの物標は上述したように使用されて、較正係数が生成される。4つの例示的な物標位置352〜358が示され、各物標位置は、図7の例で使用した物標の角拡散よりもはるかに低い、3つの物標間の総角拡散20度を有する。例示的な各物標位置352〜358について、物標は同じ相対角度位置を有するが、アレイブロードサイドに対して異なる角度位置を有することが理解されよう。グラフ350は、たとえば図2に示すような二次元構成に対応する。
【0106】
第1の曲線360が、図7に関して上述した約0.0718波長の所望の最大総計算位置誤差に対応する。曲線360は、たとえば、図1のコヒーレント化プロセッサ44により、また図3のブロック118において2つのレーダがコヒーレントに結合された場合に実現される比較的少量の処理利得損失、たとえば0.1dBに従って選択される。
【0107】
曲線362〜368はシミュレーションによって生成され、曲線上の点は物標位置352〜358に関連する。たとえば、曲線362上の点370は、位置356にある物標に関して使用された場合に上記システム及び技法によって実現されるクロスレンジ位置誤差に対応する。曲線362〜368は、平均化なし、たとえば、図3のブロック114において提供される平均化なしで実現される位置誤差に対応する。
【0108】
曲線362は、上記システム及び技法によって実現されるクロスレンジ位置誤差、すなわちD(図2)に対応する。曲線364は、ダウンレンジ位置誤差、すなわちD(図2)に対応する。曲線366は、図2に関して上述した方程式に使用される内部時間遅延誤差、すなわちlに対応する。曲線368は、曲線362〜366の誤差の二乗和平方根結合をしたものに対応するとともに、結果として生じると予想される総位置誤差に対応する。曲線368が所望の総誤差に対応する曲線360よりもかなり大きな誤差を表していることが分かる。
【0109】
上述したように、たとえば図3のブロック114に関して上述した種々の組の連立方程式に対応する2つ以上の解を平均化することにより、その結果として得られる総位置誤差は、平均する数が多くなるにつれてゼロに近づく。誤差平均の分散は、所望の較正精度、たとえば曲線360の所望較正精度を実現するために平均化しなければならない、必要な解数に影響する。
【0110】
グラフ350によって示される特定の例では、2つのレーダは、例示的な相対物標位置352〜358を有する場合、相対クロスレンジ位置D20m、相対ダウンレンジ位置D3m、位置誤差に対応する相対内部遅延0.1m、及び3つの較正球までのレンジおよそ60kmを有する。
【0111】
上述したように、曲線360として示す所望較正誤差は、2つのレーダがコヒーレントに結合される場合に0.0718波長であり、0.1dB以下の処理損失を提供する。しかし、平均化なしの場合、例示的な相対物標位置352〜358について、曲線368に示す最悪の場合のrss位置誤差は5.8波長であり、これは所望の位置誤差よりもはるかに大きく、且つ図7の曲線322によって示される位置誤差よりもはるかに大きい。当業者には既知のように、雑音を有する解の場合、精度は平均される解の数の二乗根に反比例して増大する。したがって、所望の精度を満たすために平均される解の数は、(5.8/0.0718)=6525であり、これは、2つの各レーダの3つの各モノスタティック物標トラック(3つの物標)に沿った6,525個のトラックポイントに関連する。その結果として得られる推定較正時間は、100%レーダタイムライン、較正球レンジ60km、欠けのない最大パルス、及び較正球3個を使用して32秒である。
【0112】
3個の物標が角拡散20度内にあった場合の曲線368の平均化されないrss誤差は、3個の物標が角拡散55度内にあった図7の曲線322の平均化されないrss誤差よりもはるかに大きいことが認識される。その結果、所望の位置誤差を実現するためにより多くの解を平均化しなければならず、かなり長い較正時間を必要とする。したがって、物標の角拡散を所望の最大較正時間に従って選択することができることが理解されよう。
【0113】
本明細書において引用したすべての参照文献は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
本発明の好ましい実施形態について述べたが、ここで、それぞれの概念を組み込んだ他の実施形態を使用可能なことが当業者に明白である。したがって、実施形態は開示された実施形態に限定されるべきではなく、むしろ、特許請求の精神及び範囲によってのみ限定されるべきであると考える。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】例示的なレーダアレイ較正システムのブロック図である。
【図2】相対位置を2つの次元で示す2つのレーダアレイの絵図である。
【図3】複数のレーダを較正する方法を示すフローチャートである。
【図4】図3の方法の一部をより詳細に示すフローチャートである。
【図5】図3の方法の別の一部をより詳細に示すフローチャートである。
【図6】図3の方法のさらに別の一部をより詳細に示すフローチャートである。
【図7】55度隔てられた較正物標(球)を使用した場合の2つのレーダ間の計算された位置誤差を示すグラフである。
【図8】20度隔てられた較正物標を使用した場合の2つのレーダ間の計算された位置誤差を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレーダを較正する方法であって、
複数のレーダの中から基準レーダを選択し、
1つ又は複数のレーダ対を選択し、各レーダ対は前記基準レーダ及び前記複数のレーダの中からの各ペアレーダを含み、
少なくとも3つの物標を特定し、
前記基準レーダを用いて、前記少なくとも3つの物標に関連する第1の少なくとも3つの物標トラックを生成し、
前記ペアレーダを用いて、前記少なくとも3つの物標に関連する第2の少なくとも3つの物標トラックを生成し、
前記第1の少なくとも3つの物標トラックを前記第2の少なくとも3つの物標トラックと関連付けて、前記基準レーダに対する前記ペアレーダの相対位置及び相対時間遅延を示す較正を提供する、
ことを含む方法。
【請求項2】
前記関連付けは、
前記第1の少なくとも3つの物標トラックのうちの第1の物標トラック内の第1のトラックポイントに関連するとともに、前記第2の少なくとも3つの物標トラックのうちの第1の物標トラック内の第1のトラックポイントに関連する第1の方程式を生成し、
前記第1の少なくとも3つの物標トラックのうちの第2の物標トラック内の第1のトラックポイントに関連するとともに、前記第2の少なくとも3つの物標トラックのうちの第2の物標トラック内の第2のトラックポイントに関連する第2の方程式を生成し、
前記第1の少なくとも3つの物標トラックのうちの第3の物標トラック内の第1のトラックポイントに関連するとともに、前記第2の少なくとも3つの物標トラックのうちの第3の物標トラック内の第1のトラックポイントに関連する第3の方程式を生成し、
少なくとも前記第1の方程式、第2の方程式、及び第3の方程式を連立させて解いて、前記基準レーダに対する前記ペアレーダの前記相対位置を示す前記較正を提供する、
ことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも前記第1の方程式、第2の方程式、及び第3の方程式を連立させて解いて、前記基準レーダに対する前記ペアレーダの前記相対時間遅延を示す前記較正を提供する、ことをさらに含み、前記相対時間遅延は、相対送信時間遅延と相対受信遅延との和を含む総時間遅延である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも前記第1の方程式、第2の方程式、及び第3の方程式を連立させて解いて、前記基準レーダに対する前記ペアレーダの前記相対時間遅延を示す前記較正を提供する、ことをさらに含み、前記相対時間遅延は相対送信時間遅延及び相対受信遅延を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記較正は、少なくとも2つの次元での前記基準レーダに対する前記ペアレーダの相対位置を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記較正は、少なくとも3つの次元での前記基準レーダに対する前記ペアレーダの相対位置を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の少なくとも3つの物標トラックを前記第2の少なくとも3つの物標トラックに関連付けることは、前記第1の少なくとも3つの物標トラックのそれぞれの第1の各トラックポイントを、前記第2の少なくとも3つの物標トラックのそれぞれの対応する第1の各トラックポイントに関連付けて、前記基準レーダに対する前記ペアレーダの前記相対
位置及び前記相対時間遅延を示す第1の較正を提供する、ことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の少なくとも3つの物標トラックのそれぞれの第2の各トラックポイントを、前記第2の少なくとも3つの物標トラックのそれぞれの対応する第2の各トラックポイントに関連付けて、前記基準レーダに対する前記ペアレーダの前記相対位置及び前記相対時間遅延を示す第2の較正を提供し、
前記第1の較正を少なくとも前記第2の較正と平均化して、平均較正を提供する、
ことをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の少なくとも3つの物標トラックの生成は、前記基準レーダを用いて前記少なくとも3つの物標のそれぞれに関連する各モノスタティック物標トラックを生成することを含み、前記第2の少なくとも3つの物標トラックの生成は、前記ペアレーダを用いて前記少なくとも3つの物標のそれぞれに関連する各モノスタティック物標トラックを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の少なくとも3つの物標トラックの生成は、前記基準レーダを用いて前記少なくとも3つの物標のそれぞれに関連する各モノスタティック物標トラック及び各バイスタティック物標トラックを生成することを含み、前記第2の少なくとも3つの物標トラックの生成は、前記ペアレーダを用いて前記少なくとも3つの物標のそれぞれに関連する各モノスタティック物標トラック及び各バイスタティック物標トラックを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記基準レーダを用いて第1のレーダ信号を送信し、
前記ペアレーダを用いて第2のレーダ信号を送信する、
ことをさらに含み、前記第1のレーダ信号は前記第2のレーダ信号に直交する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のレーダ信号及び前記第2のレーダ信号は同時に送信される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ又は複数のレーダ対の選択は、前記複数のレーダの各レーダが各レーダ対に含まれる結果となる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも3つの物標は第1の物標、第2の物標、及び第3の物標を含み、前記各基準レーダ、前記各ペアレーダ、及び前記少なくとも3つの物標のそれぞれに前記各物標トラックを生成することは、
前記基準レーダを用いて第1のレーダ信号を前記第1の物標に向けて送信し、
前記基準レーダを用いて、前記第1のレーダ信号に関連する前記第1の物標からの第1のモノスタティック物標エコーを受信し、
前記ペアレーダを用いて第2のレーダ信号を前記第1の物標に向けて送信し、
前記ペアレーダを用いて、前記第2のレーダ信号に関連する前記第1の物標からの第2のモノスタティック物標エコーを受信し、
前記第1のモノスタティック物標エコーに関連する第1のモノスタティック物標トラックの第1のトラックポイントを生成し、
前記第2のモノスタティック物標エコーに関連する第2のモノスタティック物標トラックの第1のトラックポイントを生成し、
前記基準レーダを用いて第3のレーダ信号を前記第2の物標に向けて送信し、
前記基準レーダを用いて、前記第3のレーダ信号に関連する前記第2の物標からの第3のモノスタティック物標エコーを受信し、
前記ペアレーダを用いて第4のレーダ信号を前記第2の物標に向けて送信し、
前記ペアレーダを用いて、前記第4のレーダ信号に関連する前記第2の物標からの第4のモノスタティック物標エコーを受信し、
前記第3のモノスタティック物標エコーに関連する第3のモノスタティック物標トラックに関連する第1のトラックポイントを生成し、
前記第4のモノスタティック物標エコーに関連する第4のモノスタティック物標トラックに関連する第1のトラックポイントを生成し、
前記基準レーダを用いて第5のレーダ信号を前記第3の物標に向けて送信し、
前記基準レーダを用いて、前記第5のレーダ信号に関連する前記第3の物標からの第5のモノスタティック物標エコーを受信し、
前記ペアレーダを用いて第6のレーダ信号を前記第3の物標に向けて送信し、
前記ペアレーダを用いて、前記第6のレーダ信号に関連する前記第3の物標からの第6のモノスタティック物標エコーを受信し、
前記第5のモノスタティック物標エコーに関連する第5のモノスタティック物標トラックに関連する第1のトラックポイントを生成し、
前記第6のモノスタティック物標エコーに関連する第6のモノスタティック物標トラックに関連する第1のトラックポイントを生成する、
ことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のレーダ信号は前記第2のレーダ信号に直交し、前記第3のレーダ信号は前記第4のレーダ信号に直交し、前記第5のレーダ信号は前記第6のレーダ信号に直交する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のレーダ信号は前記第2のレーダ信号と同時に送信され、前記第3のレーダ信号は前記第4のレーダ信号と同時に送信され、前記第5のレーダ信号は前記第6のレーダ信号と同時に送信される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記基準レーダを用いて、前記第1のレーダ信号に関連する前記第1の物標からの第1のバイスタティック物標エコーを受信し、
前記ペアレーダを用いて、前記第2のレーダ信号に関連する前記第1の物標からの第2のバイスタティック物標エコーを受信し、
前記第1のバイスタティック物標エコーに関連する第1のバイスタティック物標トラックの第1のトラックポイントを生成し、
前記第2のバイスタティック物標エコーに関連する第2のバイスタティック物標トラックの第1のトラックポイントを生成し、
前記基準レーダを用いて、前記第3のレーダ信号に関連する前記第2の物標からの第3のバイスタティック物標エコーを受信し、
前記ペアレーダを用いて、前記第4のレーダ信号に関連する前記第2の物標からの第4のバイスタティック物標エコーを受信し、
前記第3のバイスタティック物標エコーに関連する第3のバイスタティック物標トラックに関連する第1のトラックポイントを生成し、
前記第4のバイスタティック物標エコーに関連する第4のバイスタティック物標トラックに関連する第1のトラックポイントを生成し、
前記基準レーダを用いて、前記第5のレーダ信号に関連する前記第3の物標からの第5のバイスタティック物標エコーを受信し、
前記ペアレーダを用いて、前記第6のレーダ信号に関連する前記第3の物標からの第6のバイスタティック物標エコーを受信し、
前記第5のバイスタティック物標エコーに関連する第5のバイスタティック物標トラックに関連する第1のトラックポイントを生成し、
前記第4のバイスタティック物標エコーに関連する第6のバイスタティック物標トラッ
クに関連する第1のトラックポイントを生成する、
ことをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも3つの物標は、前記較正を提供するように適応された少なくとも3つの較正物標を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも3つの物標は、前記較正を提供するように適応された少なくとも1つの較正物標を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも3つの物標は少なくとも1つの臨機目標を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも3つの物標のうちの少なくとも2つは、前記複数のレーダのうちの各レーダの視野内に少なくとも20度の相対方位角で配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも3つの物標のうちの少なくとも2つは、前記複数のレーダのうちの各レーダの視野内に少なくとも55度の相対方位角で配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも3つの物標のうちの少なくとも3つは、前記複数のレーダのうちの各レーダの視野内に少なくとも20度の互いに相対の角度で配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも3つの物標のうちの少なくとも3つは、前記複数のレーダのうちの各レーダの視野内に互いに少なくとも55度の相対角度で配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
複数のレーダを較正するシステムであって、
第1のレーダ信号を送信する基準レーダと、
前記基準レーダに関連し、前記複数のレーダの中から選択された第2のレーダ信号を送信するペアレーダと、
前記基準レーダに結合され第1の少なくとも3つの物標トラックを生成する第1のレーダトラックプロセッサと、
前記ペアレーダに結合され第2の少なくとも3つの物標トラックを生成する第2のレーダトラックプロセッサと、
前記第1のトラックプロセッサ及び前記第2のトラックプロセッサに結合され、前記第1のトラックプロセッサによって生成された前記第1の少なくとも3つの物標トラックを、前記第2のトラックプロセッサによって生成された前記第2の少なくとも3つの物標トラックに関連付けるトラック関連プロセッサと、
前記トラック関連プロセッサに結合され、前記第1の少なくとも3つの物標トラックを前記第2の少なくとも3つの物標トラックにさらに関連付けて、前記基準レーダに対する前記ペアレーダの相対位置及び相対時間遅延を示す較正を提供するように適応された連立方程式プロセッサと、
を備えるシステム。
【請求項26】
前記連立方程式プロセッサは、前記第1の少なくとも3つの物標トラックを前記第2の少なくとも3つの物標トラックに関連付けて、前記基準レーダに対する前記ペアレーダの前記相対位置及び前記相対時間遅延をそれぞれ示す第1の較正及び第2の較正を提供するように適応される、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記相対時間遅延は、相対送信時間遅延及び相対受信遅延の和を含む総時間遅延である
、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記相対時間遅延は、相対送信時間遅延及び相対受信遅延を含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記連立方程式プロセッサに結合され、前記第1の較正と前記第2の較正とを平均化して平均較正を提供する平均化プロセッサをさらに備える、請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
前記平均化プロセッサ、前記第1のレーダトラックプロセッサ、及び前記第2のレーダトラックプロセッサに結合され、前記第1の少なくとも3つの物標トラックと、前記第2の少なくとも3つの物標トラックと、前記平均較正とを関連付けて、少なくとも3つのコヒーレント物標トラックを提供するコヒーレンシプロセッサをさらに含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記第1のレーダ信号は前記第2のレーダ信号に直交する、請求項25に記載のシステム。
【請求項32】
前記第1のレーダ信号は前記第2のレーダ信号と同時に送信される、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
少なくとも3つの較正物標をさらに含み、各較正物標には前記第1の少なくとも3つの物標トラックのうちの各トラック及び前記第2の少なくとも3つの物標トラックのうちの各トラックに関連付けられる、請求項25に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2008−525799(P2008−525799A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548291(P2007−548291)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/045094
【国際公開番号】WO2006/068888
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(390039147)レイセオン・カンパニー (149)
【氏名又は名称原語表記】Raytheon Company
【Fターム(参考)】