説明

レーダ情報伝送システム、レーダ情報送信装置及びレーダ情報伝送方法

【課題】簡易な構成で効率良くレーダ情報を伝送すること。
【解決手段】SSRセンサ信号処理装置1と遠隔装置2との間は、1本の高速シリアル伝送路3を介して接続される。送信回路11は、レーダによる観測情報を含むディジタルデータをシリアルデータに変換し、レーダの方位信号により発生される角度パルスに基づいて上記シリアルデータに特定の同期コードを挿入し、このシリアルデータを高速シリアル伝送路3を介して遠隔装置2に送信する。受信回路21は、高速シリアル伝送路3を介して上記シリアルデータを受信し、受信したシリアルデータから上記ディジタルデータを再生すると共に、シリアルデータに含まれる特定の同期コードをもとに上記角度パルスを再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーダ情報を遠隔装置に伝送するためのレーダ情報伝送システム、レーダ情報送信装置及びレーダ情報伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダの覆域性能を向上するために、レーダ局舎と観測所を離す場合が多い。このような場合、レーダより得られたレーダビデオや信号処理装置で検出した航空機の位置データ(ターゲットレポート)等を遠隔の観測所までシリアル伝送を行って、観測所の指示器に航空機の位置等を表示している。また、レーダからのリアルパルスの伝送は、シリアル伝送配線と別の配線に分けて行っていたため、配線が複雑になりコストが高くなるという問題があった。
【0003】
なお、本願に関連する公知文献として次のようなものがある(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−341978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、簡易な構成で効率良くレーダ情報を伝送することができるレーダ情報伝送システム、レーダ情報送信装置、レーダ情報伝送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、この発明の一態様は、レーダによる観測情報を含むディジタルデータを送信する送信装置と、前記送信装置と高速シリアル伝送路を介して接続される受信装置とを備えるレーダ情報伝送システムであって、前記送信装置は、前記ディジタルデータをシリアルデータに変換する手段と、前記レーダの方位信号により発生される角度パルスに基づいて前記シリアルデータに特定の同期コードを挿入する手段と、前記シリアルデータを前記高速シリアル伝送路を介して前記受信装置に送信する手段とを具備し、前記受信装置は、前記高速シリアル伝送路を介して前記シリアルデータを受信する手段と、前記シリアルデータから前記ディジタルデータを再生する手段と、前記シリアルデータに含まれる特定の同期コードをもとに前記角度パルスを再生する手段とを具備することを特徴とするレーダ情報伝送システムを提供する。
【0007】
また、この発明の他の態様は、レーダによる観測情報を含むディジタルデータを高速シリアル伝送路を介して送信する送信装置であって、前記ディジタルデータをシリアルデータに変換する手段と、前記レーダの方位信号により発生される角度パルスに基づいて前記シリアルデータに特定の同期コードを挿入する手段と、前記シリアルデータを前記高速シリアル伝送路を介して前記受信装置に送信する手段とを具備することを特徴とするレーダ情報送信装置を提供する。
【0008】
さらに、この発明の他の態様は、レーダによる観測情報を含むディジタルデータを送信する送信装置と、前記送信装置と高速シリアル伝送路を介して接続される受信装置とを備えるレーダ情報伝送システムに用いられる方法であって、前記送信装置は、前記ディジタルデータをシリアルデータに変換し、前記レーダの方位信号により発生される角度パルスに基づいて前記シリアルデータに特定の同期コードを挿入し、前記シリアルデータを前記高速シリアル伝送路を介して前記受信装置に送信し、前記受信装置は、前記高速シリアル伝送路を介して前記シリアルデータを受信し、前記シリアルデータから前記ディジタルデータを再生し、前記シリアルデータに含まれる特定の同期コードをもとに前記角度パルスを再生することを特徴とするレーダ情報伝送方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
したがってこの発明によれば、簡易な構成で効率良くレーダ情報を伝送可能なレーダ情報伝送システム、レーダ情報送信装置及びレーダ情報伝送方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るレーダ情報伝送システムの一実施形態を示す構成図。
【図2】角度情報パルスの伝送タイミングを示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に係るレーダ情報伝送システムの一実施形態を示す構成図である。本システムは、SSRセンサ信号処理装置1と、遠隔装置2とを備える。SSRセンサ信号処理装置1は、例えば、図示しない2次監視レーダ(Second Surveillance Rader;SSR)により得られた受信信号を増幅、検波しビデオ信号とする。またレーダの空中線装置で発生される方位信号と上記ビデオ信号とをもとに目標検出処理を行い、目標の位置等を表すターゲットレポートを作成する。遠隔装置2は、観測所等に配置され、ディジタル指示器及びアナログ指示器を備える。レーダ装置1と遠隔装置2との間は、光ファイバケーブル等の伝送路3により接続され、高速シリアル方式による通信が行われる。
【0012】
SSRセンサ信号処理装置1は、送信回路11を備える。送信回路11には、ディジタル形式のターゲットレポートと、デコード処理後のビデオデータと、レーダの方位信号により発生される角度情報パルス(ACP:Azimuth Change Pulse/ARP:Azimuth Reference Pulse)とが入力される。送信回路11は、ターゲットレポートと、ビデオデータと、角度情報パルスをディジタル変換した角度データと含むディジタルデータをシリアルデータに変換して伝送路3を介して高速シリアル伝送する。さらに、後述するように、送信回路11は、ディジタル形式のターゲットレポート、ビデオデータ及び角度データと並行して、アナログの角度情報パルスをリアルタイミングで伝送路3を介して遠隔装置2に伝送する。
【0013】
遠隔装置2は、受信回路21を備える。受信回路21は、伝送路3を介して送られてくるシリアルデータを受信する。受信回路21は、受信されたシリアルデータからディジタルデータターゲットレポート、ビデオデータ及び角度データを再生し、ディジタル指示器に出力する。また、受信回路21は、D/A変換したアナログのビデオ信号及び角度パルスを再生し、アナログ指示器に出力する。
【0014】
ここで、角度情報パルスの伝送処理について説明する。図2に、角度情報パルスの伝送タイミングを示すタイムチャートを示す。
【0015】
一般に、高速シリアル伝送では、送信側と受信側のクロック周期の誤差を補正するために同期コード(SYNC)を一定間隔でデータ伝送の合間に埋めることを行っている。本システムでは、この同期コードを利用して、角度情報パルスをリアルタイムで伝送する。高速シリアル伝送方式には、例えば8B10Bの規格があり、K codeと呼ばれる同期コードは、K28.1/K28.2/K28.3/K28.4/K28.5など複数存在する。
【0016】
図2に示すように、送信回路11は、角度情報パルス(ACP/ARP)の立ち上がりに同期してK code(K28.1/K28.2)を伝送する。受信回路2は、受信されたシリアルデータから上記伝送されたK code(K28.1/K28.2)をもとに角度情報パルス(ACP/ARP)の立ち上がりを再生する。
【0017】
すなわち、上記実施形態では、レーダによる観測情報を含むディジタルデータをシリアルデータに変換して高速シリアル伝送するシステムにおいて、角度情報パルスの立ち上がりに同期して特定の同期コードを挿入することで、1本の高速シリアル伝送配線(例えば、光ファイバ)でディジタル方式とアナログ方式の両指示器に必要な情報を伝送することが可能になる。
【0018】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0019】
1…SSRセンサ信号処理装置、11…送信回路、2…遠隔装置、21…受信回路、3…伝送路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダによる観測情報を含むディジタルデータを送信する送信装置と、前記送信装置と高速シリアル伝送路を介して接続される受信装置とを備えるレーダ情報伝送システムであって、
前記送信装置は、
前記ディジタルデータをシリアルデータに変換する手段と、
前記レーダの方位信号により発生される角度パルスに基づいて前記シリアルデータに特定の同期コードを挿入する手段と、
前記シリアルデータを前記高速シリアル伝送路を介して前記受信装置に送信する手段と
を具備し、
前記受信装置は、
前記高速シリアル伝送路を介して前記シリアルデータを受信する手段と、
前記シリアルデータから前記ディジタルデータを再生する手段と、
前記シリアルデータに含まれる特定の同期コードをもとに前記角度パルスを再生する手段と
を具備することを特徴とするレーダ情報伝送システム。
【請求項2】
レーダによる観測情報を含むディジタルデータを高速シリアル伝送路を介して送信する送信装置であって、
前記ディジタルデータをシリアルデータに変換する手段と、
前記レーダの方位信号により発生される角度パルスに基づいて前記シリアルデータに特定の同期コードを挿入する手段と、
前記シリアルデータを前記高速シリアル伝送路を介して前記受信装置に送信する手段と
を具備することを特徴とするレーダ情報送信装置。
【請求項3】
レーダによる観測情報を含むディジタルデータを送信する送信装置と、前記送信装置と高速シリアル伝送路を介して接続される受信装置とを備えるレーダ情報伝送システムに用いられる方法であって、
前記送信装置は、
前記ディジタルデータをシリアルデータに変換し、
前記レーダの方位信号により発生される角度パルスに基づいて前記シリアルデータに特定の同期コードを挿入し、
前記シリアルデータを前記高速シリアル伝送路を介して前記受信装置に送信し、
前記受信装置は、
前記高速シリアル伝送路を介して前記シリアルデータを受信し、
前記シリアルデータから前記ディジタルデータを再生し、
前記シリアルデータに含まれる特定の同期コードをもとに前記角度パルスを再生することを特徴とするレーダ情報送信方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−133269(P2011−133269A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291289(P2009−291289)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】