レーダ情報表示装置
【課題】投影方法を切り替えてもレーダ情報や地図情報が表示されるまでの遅延を少なくすることができるようにする。
【解決手段】レーダ情報記憶バッファ210および地図情報記憶バッファ220は、それぞれが2つの記憶バッファ211(221),212(222)と、当該記憶バッファの一方を記憶情報の読み出し状態にした場合に他方を更新情報の書き込み状態となるように切り替えるバッファ切り替え手段213(223)とを有しており、座標変換手段240と画像生成手段230による表示画像生成処理は、所定の周期で、かつ当該周期内の一定の期間に割り当てて繰り返して行い、レーダ情報記憶バッファ210および地図情報記憶バッファ220の更新情報の書き込み処理は、所定の周期内の残りの期間に割り当てて任意の時期に行う。
【解決手段】レーダ情報記憶バッファ210および地図情報記憶バッファ220は、それぞれが2つの記憶バッファ211(221),212(222)と、当該記憶バッファの一方を記憶情報の読み出し状態にした場合に他方を更新情報の書き込み状態となるように切り替えるバッファ切り替え手段213(223)とを有しており、座標変換手段240と画像生成手段230による表示画像生成処理は、所定の周期で、かつ当該周期内の一定の期間に割り当てて繰り返して行い、レーダ情報記憶バッファ210および地図情報記憶バッファ220の更新情報の書き込み処理は、所定の周期内の残りの期間に割り当てて任意の時期に行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーダで観測した航空機や船舶等の目標の位置を海図などの地図情報と合成して表示するレーダ情報表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のようにレーダ装置は、電波を空中に向かって送信し、目標に当たって戻ってきた反射波を受信し、電波の送信から反射波の受信までの時間を測定することにより目標までの距離を観測できるようにした装置である。また、電波の送信角度を変化させることにより、電波を受信した時刻における送信角度から目標の方位を観測できるものである。したがって、レーダによる観測データは、レーダ位置を中心とした距離と角度によって与えられる。レーダ情報表示装置は、これらの観測データを画像化して表示することにより、利用者が迅速かつ正確に目標の位置を把握できるようにしている。レーダ情報表示装置による典型的な表示方法を図12に示す。この例では、センサ位置(レーダ位置)を画面中心に対応させ、角度(方位角)と距離によって決まる位置に対象の所在を示すシンボルが描かれる。
【0003】
このようなレーダ情報表示装置の表示方法に対しては、ユーザがさらに的確に情報を読み取ることができるようにするため、様々な工夫がなされてきた。例えば特許文献1には、図13に示すように、画像化した観測データに海図などの地図情報を重畳して表示する方法が提案されている。
また、通常の2次元レーダでは距離と方位が観測値として得られるのに対し、3次元レーダを用いた場合、距離と方位に加えて仰角を観測値として得ることができる。この仰角の情報を用いれば、目標の高度を計算により知ることができる。そこで、この高度の情報と複数の投影方法(例えば上方から見た画像と側方から見た画像)を組み合わせて2次元の表示画面に描く方法が特許文献2や特許文献3で提案されている。
さらに、特許文献4では、レーダ情報と地図情報を視点変換することにより斜め方向に置かれた視点に対応する画像を画面に表示する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−318727号公報
【特許文献2】特開2001−296348号公報
【特許文献3】特開2008−275375号公報
【特許文献4】特開2001−042026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のレーダ情報表示装置は上記のように構成されているが、次のような問題点があった。
まず、高さ方向を含んだ3次元の位置情報の場合、投影方法が固定されているような1つの表示画面では表現できないという問題がある。すなわち図12や図13に示したような表示画面からは高さ方向の位置情報を読み取ることができない。特許文献4に示されたように斜め方向に視点がある画像を用いれば、高さ方向の位置情報をある程度把握することは可能となるが、この場合、視線方向に平行な位置関係、すなわち奥行き方向の位置関係が読み取れなくなる。
【0006】
特許文献2や特許文献3に示された方式は、例えば上方から見た画像と側方から見た画像をそれぞれ同時に表示して、これらを組み合わせることにより3次元の位置情報を読み取ることができるようにしたものである。しかし、異なる投影方法の2つの画像から3次元の位置情報を読み取ることは直感的な作業ではなく、ユーザが位置情報を誤って読み取ってしまうことも想定される。
そこで、3次元位置をユーザにわかりやすく示すためには、ユーザの操作によって投影方法、すなわち対象を見る方向などを随時変更し、あたかも立体的な模型の向きを自由に変えながら見え方を確認するような操作にすることが望ましい。しかし、このためにはユーザの操作に合わせて投影方法を切り替えて表示するという、負荷の高い処理が必要となる。したがって、ユーザの操作によって決定した投影方法に応じてレーダ情報や地図情報を画像化する処理に時間を要する場合、情報が画面に表示されるまでに遅延を生じるという問題がある。
【0007】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、投影方法を切り替えてもレーダ情報や地図情報が表示されるまでの遅延を少なくすることができるレーダ情報表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るレーダ情報表示装置は、レーダ情報を記憶するレーダ情報記憶バッファと、レーダ装置で観測したレーダ情報を取得し前記レーダ情報記憶バッファに転送して更新するレーダ情報更新手段と、地図情報を記憶する地図情報記憶バッファと、取得したレーダ情報に関連する地図情報を取得し地図情報記憶バッファに転送して更新する地図情報更新手段と、レーダ情報と地図情報の合成画像を表示する表示画面と、表示画面から指示された投影方法に基づいて、レーダ情報記憶バッファから更新されたレーダ情報を読み出すと共に、地図情報記憶バッファから前記レーダ情報に対応する更新された地図情報を読み出し、当該レーダ情報と地図情報の各地球中心座標を、地平座標、視点中心座標およびスクリーン座標に順次変換する座標変換手段と、座標変換手段で変換されたスクリーン座標に基づいて、対応付けられた地図情報とレーダ情報を描画し、生成された表示画像を表示画面に表示させる画像生成手段を備えたレーダ情報表示装置において、レーダ情報記憶バッファおよび地図情報記憶バッファのそれぞれは、2つの記憶バッファと、当該記憶バッファの一方を記憶情報の読み出し状態にした場合に他方を更新情報の書き込み状態となるように切り替えるバッファ切り替え手段とを有し、座標変換手段と画像生成手段による表示画像生成処理は、所定の周期で、かつ当該周期内の一定の期間に繰り返して行い、レーダ情報記憶バッファおよび地図情報記憶バッファの更新情報の書き込み処理は、所定の周期内の残りの期間の任意の時期に行うようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、描画処理に用いるレーダ情報や地図情報の読み出し記憶バッファとは別にレーダ情報および地図情報の逐次更新が可能な記憶バッファを持つようにしたので、レーダ情報や地図情報を取得した後に、それを速やかに表示に反映させることができるとともに、レーダ情報や地図情報を更新する処理の間も再描画の処理をブロックすることが無いため、ユーザ操作による視点変更の指示に対しても滑らかな動きの3次元視点移動表示を可能とし、立体的な位置関係の把握を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明によるレーダ情報表示装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】同実施の形態1に係る画面表示のレイアウト例を示す説明図である。
【図3】同実施の形態1に係るレーダ情報と地図情報のデータテーブルの例を示す説明図である。
【図4】同実施の形態1に係るレーダ情報と地図情報の表示に使用する各座標系を示す説明図である。
【図5】同実施の形態1に係る視点位置の表現方法を示す説明図である。
【図6】同実施の形態1に係るレーダ情報表示装置のメインループの処理を示すフローチャートである。
【図7】同実施の形態1に係る地図情報記憶バッファおよびレーダ情報記憶バッファの構成と動作方法を示す説明図である。
【図8】同実施の形態1に係る投影方法設定処理の動作を示すフローチャートである。
【図9】同実施の形態1に係るアイドル処理の動作を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態2における地図情報の表現方式を示す説明図である。
【図11】この発明の各実施の形態に共通する効果を提示した説明図である。
【図12】レーダ情報表示装置による典型的な表示方法を示す説明図である。
【図13】レーダ情報表示装置によるレーダ情報と地図情報の重畳表示の従来例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明によるレーダ情報表示装置の機能構成を示すブロック図である。
この発明のレーダ情報表示装置は、基本的にレーダ装置(図示せず)に通信ネットワークなどを介して接続されるコンピュータシステム10と、コンピュータシステム10に接続された表示装置30から構成される。コンピュータシステム10は、周知の構造の中央処理装置や主記憶装置などから構成される情報処理装置100と、所定の表示処理を行う表示処理装置200から構成されている。
コンピュータシステム10において、一般に画面に表示する情報は、先ず情報処理装置100から表示処理装置200に転送され、次に表示処理装置200で表示画像に生成されてから表示画面300で表示される。投影方法を変更して表示を繰り返す場合、既に表示処理装置200に転送されている情報を用いて表示画像を生成することができれば、情報処理装置100から表示処理装置200への転送の回数や転送量を減らすことができ、表示時間の短縮や情報処理装置100の負荷軽減に寄与することが可能となる。この実施の形態1では、この効果を引き出すための構成となっている。
【0012】
図2に表示画面に割り当てられる表示のレイアウト例を示す。この表示レイアウトでは、2種類の表示方法を同時にまたは別々に行えるように、2つのサブウィンドウ301,302が設けられるようになっている。第1のサブウィンドウ301は、地図情報とレーダ情報を水平面に投影した画像を表示するためのものである。この表示方法は従来の通常のレーダ表示装置と同様であるので、そのための処理についての説明はここでは省略するものとする。一方、第2のサブウィンドウ302は、ユーザ操作に従って様々な視点から見た画像を表示する。投影方法をユーザにより変更可能とするため、第2のサブウィンドウ302の下部には、例えば視点左右移動ボタン303、視点上下移動ボタン304および視点前後移動ボタン305を表す表示を配置している。ユーザがこれらのボタン上でマウスなどのポインティングデバイスを用いてドラッグ操作を行うことにより視点位置を変更する。
【0013】
第2のサブウィンドウ302に表示される情報は、レーダ装置から得られるレーダ情報と、予め地図データベースに用意され、GPS情報などと照合して読み出した海図などの地図情報で、図3のデータテーブルの座標形式で表した位置情報である。レーダ装置の出力であるレーダ信号からは、各時刻の電波の送信角度と目標までの距離が得られる。これらの情報とレーダ装置の現在位置との情報を用いて目標の座標(X,Y,Z)が算出される。例えばアンテナが一周する時間を単位時間と定め、単位時間内に得られた一連の座標情報をレーダ情報とする。レーダ情報は単位時間毎に更新される。一方、地図情報としては、海岸線の情報を保持し、陸と海を異なる色で塗りつぶすものとする。海岸線の情報は通常多角形のデータとして得られるが、凹多角形の塗りつぶしの処理は効率が悪いため、予め三角形に分割したデータを保持する。そのため、図3における地図情報の座標1、座標2、座標3は三角形の各頂点の座標を意味する。
【0014】
ここで、図4を参照して、この実施の形態1で使用する座標系について説明する。
(A)地平座標系
地球上の一点を原点とし、天頂方向をz軸、これに直角に東方向にx軸、北方向にy軸をとることにより定義される3次元空間を地平座標空間とする。地平座標空間における目標の位置は、上記地球上の一点を原点とした直交座標
により表わされる。この実施の形態1では、特に視点位置から視線方向に伸ばした直線と地球楕円体面との交点を注視点Osとし、注視点Osを原点とする地平座標を考える。これを
により表す。
(B)地球中心座標系
また、地球の重心を原点とし、X軸をグリニッジ子午線と赤道との交点の方向、Y軸を東経90度の方向、Z軸を北極の方向にとることにより定義される3次元空間を地球中心空間とする。地球中心空間における目標の位置は、地球中心Oを原点とした直交座標
により表す。
【0015】
(C)視点中心座標系
また、視点位置を原点とし、Zi軸負方向を視線方向、Yi軸正方向を視線方向に対して上方向、Xi軸正方向を視線方向に対して右方向にとることにより定義される3次元空間を視点中心空間とする。視点中心空間における目標の位置は、視点Oiを原点とした直交座標
により表す。
(D)スクリーン座標系
さらに、画面の中心を原点とし、右方向をu軸、上方向をv軸とする2次元平面をスクリーン平面とする。画面上の位置は、スクリーン座標(u,v)により表現する。
【0016】
次に、座標系の間の変換方法について整理する。
地球中心座標から地平座標への変換:
地平座標系原点の緯度をφ、経度をλ、高度をhとする。地球中心座標Pから地平座標pへの変換は、回転行列Rと並進行列Tを用いて(1.1)式で表される。
p=R−1(P−T) (1.1)
回転行列Rは(1.2)式のように表される。
ここで、
によって与えられる。また、並進行列は(1.3)式で表される。
ここで、Nは卯酉線曲率半径、eは楕円体の離心率、aは楕円体の長半径である。
【0017】
地平座標から視点中心座標への変換:
注視点Osを原点とする地平座標psと、それに対応する視点中心座標Piの関係は、回転行列Ri、並進行列Tiを用いて(1.4)式で表される。
Pi=Rips+Ti (1.4)
図5は視点位置を表現したもので、図5(a)は側方から見た図、図5(b)は上方から見た図である。視点Oiから注視点Osまでの距離をD、視線方向の北方向を基準とした方位角をA、注視点における視線ベクトルの入射角をαとすると、回転行列Riは(1.5)式のようになる。
Ri=RX(α)Rz(A) (1.5)
ただし、
また、並進行列Tiは(1.6)式のようになる。
【0018】
視点中心座標からスクリーン座標への変換:
透視投影モデルにおける視点中心座標(Xi,Yi,Zi)からスクリーン座標(u,v)への変換は、透視投影モデルの理論に基づき(1.7)式によって表せる。
ここで、fは透視投影モデルにおいて視点位置から画像平面までの距離を示す係数であり、画面のサイズに応じて設定する。
また、正射投影モデルにおける視点中心座標(Xi,Yi,Zi)からスクリーン座標(u,v)への変換は(1.8)式によって得られる。
ここで、sは、スケールを規定する係数であり、画面のサイズに応じて設定する。
【0019】
図6は、この発明の実施の形態1に係るレーダ情報表示装置のメインループの処理を示すフローチャートである。メインループは所定の周期でステップST1からステップST4までの処理を繰り返し、1周期の処理で1フレーム分の画像を生成して表示する。このため、周期の大小は表示される画像の動きの滑らかさに影響する。一般に、1秒間に10フレーム程度の画像を表示すれば人間の目には滑らかな動きに見えるため、ここでは1周期の時間を例えば100ms程度以内とすることが望ましい。
【0020】
次に各ステップの処理について説明する。
ステップST1:前の周期からこの周期までの間に地図情報の更新が完了したかを調べ、地図情報の更新が完了していたら、更新された地図情報を表示対象とする。
地図情報記憶バッファ220の構成と動作方法を図7に示す。地図情報記憶バッファ220は第1の記憶バッファ221と第2の記憶バッファ222を持つ。またバッファ状態として図7(a)、(b)に示すように異なる状態「A」と「B」を設け、そのいずれかの状態となるように動作する。状態「A」は、地図情報記憶バッファ220に書き込まれるデータは第1の記憶バッファ221に格納され、地図情報記憶バッファ220から読み出すデータは第2の記憶バッファ222から読み出されることを表す。一方、状態「B」は、地図情報記憶バッファ220に書き込まれるデータは第2の記憶バッファ222に書き込まれ、地図情報記憶バッファ220から読み出されるデータは第1の記憶バッファ221から読み出されることを表す。また、現在のバッファ状態「A」または「B」はバッファ状態記憶手段224に記憶され、データの書き込みや読み出しを行う際には、このバッファ状態記憶手段224を参照することにより第1、第2いずれの記憶バッファに対して書き込みまたは読み出しを行うかを決定する。
【0021】
書き込み完了状態記憶手段225は、バッファへの書き込みが未完了の状態か完了した状態かを示す情報を保持する。通常は、書き込み完了状態は「未完了」であるが、後述する地図更新処理において、一連のデータの転送が完了したら書き込み完了状態を「完了」に変更する処理を行うように構成する。メインループの処理においては、この書き込み完了状態記憶手段225に記憶されている書き込み完了状態が「完了」であれば、一連の地図情報の転送が完了したものとしてバッファ状態記憶手段224におけるバッファ状態の切り替えを行う。すなわち、現在のバッファ状態が「A」であれば「B」に切り替え、一方、バッファ状態が「B」であれば「A」に切り替える。あわせて書き込み完了状態は「未完了」に戻しておく。この記憶バッファの切り替えを行った後は、更新された地図情報が地図情報記憶バッファ220から読み出されることになる。
【0022】
なお、地図情報のデータ量が多い場合、情報処理装置100から表示処理装置200のデータの転送が一回の表示周期内で完了しないことが想定される。このような場合でも、上記の方法によれば、地図情報の更新が未完了の段階では更新前のデータを使用して、処理を継続することができる。したがって、地図情報の転送が複数周期にまたがる場合でも、メインループの周期には影響を与えないため、滑らかな動きでの表示を維持することができる。
【0023】
ステップST2:前の周期からこの周期までの間にレーダ情報の更新が完了したかを調べ、レーダ情報の更新が完了していたら、レーダ情報記憶バッファ210のバッファ状態を切り替えて更新されたレーダ情報を表示対象として読み出す。レーダ情報記憶バッファ210の構成および動作は、図7で説明した地図情報記憶バッファ220とほぼ同一である。すなわち、書き込み完了状態記憶手段215に記憶されている書き込み完了状態が「完了」であれば、一連のレーダ情報の転送が完了したものとしてバッファ状態の切り替えを行う。2つの記憶バッファ211,212の切り替えを行った後は、更新後のレーダ情報がレーダ情報記憶バッファ210から読み出されることになる。
【0024】
また、レーダ情報についても、地図情報と同様に、データ量が多いと情報処理装置100から表示処理装置200へのデータの転送が一回の表示周期内で完了しないことが想定される。このような場合でも、上記の方法によれば、レーダ情報の更新が未完了の段階では更新前のデータを使用して、処理を継続することができる。したがって、レーダ情報の転送が複数周期にまたがる場合でも、メインループの周期には影響を与えないため、滑らかな動きでの表示を維持することができる。
【0025】
ステップST3:前の周期からこの周期までの間にユーザ操作があったかを調べ、ユーザ操作があった場合には、それに合わせて投影方法を設定する。この投影方法設定処理は、注視点位置と視点位置を設定する処理で、その処理フローを図8を用いて説明する。
ステップST31:注視点位置の算出
特に指定しない場合はレーダ装置の位置を注視点として設定する。しかし、ユーザが注視点位置を変更したい場合には、表示画面300に表示された地図上で注視点として設定したい位置を指し示すことになる。前の周期からこの周期までに図2に示す第2のサブウィンドウ302内の一点がマウスクリックなどの操作で指し示された場合、座標変換手段240は、クリックされた位置(スクリーン座標)を地球中心座標に変換し、この座標を新たな注視点位置とする。座標変換は次のようにして行う。画面上をクリックして得られるスクリーン座標は、視点中心座標空間において原点を始点とするベクトルに対応させることができる。このベクトルを視点中心座標から地球中心座標に変換した上で、地球楕円体と交わる点を求める。この点を注視点として設定することとする。
【0026】
ステップST32:視点位置の算出
この実施の形態1では視点位置を、図5に示すように、視点から注視点までの距離D、視線方向A、視線ベクトルの注視点における入射角αの3つのパラメータによって表現する。これらの3つのパラメータは、それぞれ図2の3つのボタンを操作して増減させることになる。
ステップST33:地図情報更新の必要性チェック
一般に、地図情報記憶バッファ220には、記憶容量に制限があるのですべての地図情報を記憶させておくことはできない。したがって、投影方法を変更すると、投影方法に対応した地図の表示を行うための地図情報が地図情報記憶バッファ220に格納されているかをチェックする必要がある。投影方法に対応した地図の範囲と、地図情報記憶バッファ220に現在記憶されている地図の範囲を比較し、後者が前者をカバーしていない場合には地図情報更新が必要と判断する。
【0027】
ステップST34:地図情報更新処理の起動
上記ST31およびST32の処理で算出した注視点位置と視点位置の情報をパラメータとして地図情報更新処理を起動する。
ステップST35:視点位置、注視点位置の設定
注視点位置の変更は地図情報の更新を伴うため、地図情報の更新が完了したタイミングで注視点位置を切り替えるのが望ましい。そこで、以下の方針で注視点を設定する。前回までの処理で既に地図情報更新処理を起動している場合は、更新処理が完了したかどうかを確認し、完了している場合は地図情報更新処理を起動した際に算出した注視点位置に設定する。
【0028】
今回の処理で地図情報更新処理を起動した場合は、次回以降の処理で地図情報更新処理が完了したことを確認し、注視点位置の変更を行う。そのため、今回算出した注視点位置の情報を保持しておく。今回の処理では前回までの注視点位置をそのまま使用する。今回の処理で地図情報の更新が必要なかった場合は、前回までの注視点位置をそのまま使用する。
また、視点位置を決めるためのパラメータ、すなわち視点から注視点までの距離D、視線方向A、視線ベクトルの注視点における入射角αの3つのパラメータは、地図情報の更新が完了したかどうか、すなわち注視点位置を変更したかどうかにかかわらず、今回算出したパラメータを使用する。
【0029】
次に、図6のメインループの処理フローに戻り説明する。
ステップST4:ST1からST3の処理を通じて得られた地図情報、レーダ情報を、指定された投影方法に基づいて変換し、各情報を対応付けて表示画像を生成し、生成画像を表示装置30に与えて表示させる。表示画像の生成処理の流れを次に説明する。
まず、座標変換手段240における座標変換について説明する。
前述したように、レーダ情報記憶バッファ210から読み出したレーダ情報および地図情報記憶バッファ220から読み出した地図情報は地球中心座標系の座標を保持している。座標変換手段240は、これらのレーダ情報と地図情報の地球中心座標を指定された投影方法に基づき、地平座標、視点中心座標に、さらにスクリーン座標に変換する。この処理では、注視点が決まれば、(1.2)式と(1.3)式から回転行列Rと並進行列Tが決まるので、これを(1.1)式に代入し、地平座標pを求める。次に、注視点に対する視点の相対的な位置関係を示す3つのパラメータ(距離D、方位角A、入射角をα)が与えられているので、(1.5)式および(1.6)式から回転行列Riと並進行列Tiを決定することができる。これを(1.4)式に代入することにより視点中心座標Piが得られる。視点中心座標Piが決まれば、(1.7)式または(1.8)式によりスクリーン座標(u,v)が得られる。
【0030】
次に、画像生成手段230における画像生成処理について説明する。
画像生成手段230は、上記地図情報とレーダ情報の座標変換後のスクリーン座標に基づいて、対応付けられた地図情報とレーダ情報を描画し、表示画像を生成する。画像生成は以下の手順で行う。
1) 背景色の描画:画像全体を予め設定した海の色で塗りつぶす。
2) 陸地の描画:陸地を構成する各三角形をスクリーン座標で示された位置に配置し、予め設定した陸の色で塗りつぶしを行う。
3) 目標の描画:レーダ情報を構成する各目標について、スクリーン座標で示される位置に所定のシンボルのビットマップ画像をコピーする。
画像生成手段230では、1周期ごとに1フレームの表示画像を生成する。1フレーム分の画像が生成までのデータは表示画像記憶バッファ250に保持させる。表示画像記憶バッファ250で保持されたフレーム単位の生成画像は表示装置30に送られ、表示画面300で表示される。
【0031】
ステップST5:アイドル処理を起動する。仮にST1からST4までの処理に要する時間が20msであったとした場合、1周期の時間を100msに設定する。前の周期が終了して次の周期の処理が始まるまでには80msの時間の余裕ができることになる。この時間にレーダ情報更新の処理と地図情報更新の処理を起動する。この更新処理はメインループの処理の空き時間に行うことからアイドル処理と呼ぶこととする。アイドル処理は図9に示すフローで行う。
ステップST51:情報処理装置100は、与えられた時間をレーダ情報更新と地図情報更新に分配する。80msの時間が与えられたものとすると、例えばレーダ情報更新に40ms、地図情報更新に40msの時間を配分する。この時間配分の比率は予め設定した比率(例えば1:1)としてもよいが、処理待ちとなっているユニットの数に応じて配分するようにした場合は時間を効率的に消化できるようになる。
【0032】
ステップST52:レーダ情報を情報処理装置100から表示処理装置200に転送するレーダ情報更新処理を行う。すなわち、レーダ情報取得手段110はレーダ装置で観測したレーダ情報の処理ユニットを取得すると、レーダ情報登録手段120により、取得した処理ユニットを配分時間内に順次レーダ情報記憶バッファ210に転送する。この場合、1つの処理ユニットに1つのデータ(すなわち1目標)を対応させてもよいし、複数のデータを対応させてもよい。1つの処理ユニットを処理するのに要する時間はアイドル処理に与えられる時間よりも十分に小さいものとする。1つの処理ユニットを処理するのに要する最大の時間をユニット時間とする。処理ユニットが完了するたびに、残りの配分時間とユニット時間を比較し、残りの配分時間がユニット時間より長い場合には次の処理ユニットを処理する。そうでない場合にはレーダ情報更新の処理を中断し、次のステップに進む。また、一連の処理ユニットの処理を完了した場合は、書き込み完了状態を「完了」に設定し、次のステップに進む。
【0033】
ステップST53:地図情報更新処理は、地図情報を情報処理装置100から表示処理装置200に転送する処理である。すなわち、地図情報取得手段130が地図情報の処理ユニットを取得すると、地図情報登録手段140はその到来した処理ユニットを配分された時間内に順次地図情報記憶バッファ220に転送する。この場合、1つの処理ユニットに1つのデータ(海岸線を表す、例えば三角形のデータ)を対応させてもよいし、複数のデータを対応させてもよい。ただし、1つの処理ユニットを処理するのに要する時間はアイドル処理に与えられる時間よりも十分に小さいものでなければならない。1つの処理ユニットを処理するのに要する最大の時間をユニット時間とする。処理ユニットが完了するたびに、残りの配分時間とユニット時間を比較し、残りの配分時間がユニット時間より長い場合は次の処理ユニットを処理する。そうでない場合には地図情報更新の処理を中断し、次のステップに進む。また、一連の処理ユニットの処理が完了した場合は、書き込み完了状態を「完了」に設定し、次のステップに進む。
【0034】
以上のように、この実施の形態1よれば、レーダ情報記憶バッファ210および地図情報記憶バッファ220は、それぞれが2つの記憶バッファ211(221),212(222)と、当該記憶バッファの一方を記憶情報の読み出し状態にした場合に他方を更新情報の書き込み状態となるように切り替えるバッファ切り替え手段213(223)とを有しており、座標変換手段240と画像生成手段230による表示画像生成処理は、所定の周期で、かつ当該周期内の一定の期間に割り当てて繰り返して行い、レーダ情報記憶バッファ210および地図情報記憶バッファ220の更新情報の書き込み処理は、所定の周期内の残りの期間に割り当てて任意の時期に行うように構成している。したがって、指定された投影方法に応じて画像を生成する処理は、予め表示処理装置200に転送済みのレーダ情報と地図情報を用いて行うため、改めてデータ転送を行う必要がなく、短時間で表示処理を完了することができる。その結果、単位時間内に十分な数のフレーム数を表示することができ、滑らかな動きで連続的に視点を変更して表示することが可能となる。
【0035】
また、レーダ情報や地図情報が更新された場合は、情報処理装置100から表示装置30へデータを再度転送する必要があるが、データ量が多くなると一周期の間にレーダ情報や地図情報を更新することができなくなる。そのような場合であっても、データ更新の処理はアイドル処理の中で行われるため、メインループの処理をブロックすることは無い。さらに、地図情報の更新が完了する前でもレーダ情報の更新が完了すれば、その変更は即座に表示画像に反映されるため、情報が表示されるまでの遅延を最小限に抑えることができる。
したがって、ユーザの操作により連続的に視点を変更して表示させることができ、かつレーダ情報の更新が即座に反映されるという効果が得られる。
【0036】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、地図情報を三角形の集まりにより表現し、各三角形の頂点座標を座標変換して表示画像を生成する方法を例にして説明した。一般に、頂点座標に基づく三角形の描画に要する時間は、三角形の数の増加に応じて増加する。地図には、様々な複雑度の地図が存在し、描画対象となる三角形数も多様であるため、描画に要する時間にもばらつきが生じる。仮に、地図が複雑で与えられた時間内に描画を完了できない場合には、メインループの処理だけですべての処理時間を使ってしまい、アイドル処理についてはブロックされることが想定される。この場合、実施の形態1の方法であっても表示に遅延が発生することが考えられる。そこで、この実施の形態2では、地図情報の描画において、地図の描画に要する時間が地図の複雑度に依存せず、描画に要する時間を予測することが容易な方式について説明する。
【0037】
ここでは以下、実施の形態1とは異なる部分を中心に説明するもとする。
地図情報記憶バッファ220には、地図を構成する三角形の頂点座標の配列ではなく、図10に示すように、2次元配列化した地図情報(すなわち、3次元空間を写像した2次元空間上の座標に対応づけた地図情報)を保持するようにする。2次元配列の各要素I(ui,vi)は、地図を、注視点Osにおいて地球楕円体に接する水平面に正射投影したものとする。例えば、該当地点が陸地であれば値「1」、該当地点が海であれば値「0」を設定するようにする。
【0038】
地図情報登録手段140において、地図情報の登録は次のようにして行う。
まず、与えられた注視点の情報に基づき地図を平面に投影する。地図情報を構成する各三角形の頂点座標の1つをP=(X,Y,Z)とする。注視点Osを原点とし、点Pに対応する地平座標をps=(xs,ys,zs)とすると、上記(1.1)式より次の(2.1)式が得られる。
ps=R−1(P−T) (2.1)
さらに、地平座標psは、視点位置を原点におき入射角αを0、方位Aを0とした視点中心座標と一致し、(1.8)式から(2.2)式のように表される。
ここで、sは、スケールを規定する係数であり、画面のサイズに応じて設定する。
(2.1)式および(2.2)式を、地球中心座標で表現された三角形の各頂点の座標に適用すると、スクリーン座標が得られる。このスクリーン座標に基づき、2次元配列Iにおいて三角形の内部に属する配列要素に陸を表す値「1」を設定してゆく。
【0039】
次に、投影の結果得られた2次元配列Iを地図情報記憶バッファ220に転送する。転送は、実施の形態1と同様に短時間で完了する処理ユニットに分けて実行する。例えば、配列を複数の正方形ブロックに分割し、1つのブロックの転送を処理ユニットとする。
【0040】
画像生成手段230において、地図情報の描画は以下の方式で行う。
表示画像を構成する各画素(uo,vo)について、次の方法により、それぞれ画素値を決定して画像を生成する。まず、地図情報記憶バッファ220に格納された2次元配列Iにおいて画素(uo,vo)に対応する座標(ui,vi)を求め、この座標に対応する要素I(ui,vi)を取得する。対応する座標の計算は、座標変換手段240により、後述する方法で行う。
次に、2次元配列Iの要素I(ui,vi)の値は、値が「0」であれば海、値が「1」であれば陸を意味するから、それぞれ対応する色を表示画像の画素(uo,vo)の色として設定する。
地図情報の描画の後、これに重ねてレーダ情報の描画を行うことは、実施の形態1と同様である。
【0041】
座標変換手段240では、実施の形態1と同様の座標変換に加え、上記の2次元配列Iに対応した座標変換、すなわち表示画像の各画素(uo,vo)に対する2次元配列Iの要素I(ui,vi)の対応づけを行う。対応づけの計算手順は下記の通りである。
まず、出力画像におけるスクリーン座標(uo,vo)と、視点位置、注視点位置の情報に基づき、(uo,vo)に対応する地球楕円体面上の点を求める。(1.7)式より、kを任意の定数として、
ここで、
とおくと、
と表せる。
【0042】
視点中心座標Pi(Xi,Yi,Zi)を、注視点Osを原点とする地平座標に変換して得られる座標をPs(xs,ys,zs)、これをさらに地球中心座標に変換して得られる座標をP(X,Y,Z)とすると、(1.4)式と(1.1)式に基づき
すなわち、(2.4)式で表される。
また、点P(X,Y,Z)が地球楕円体面上にある、という条件は(2.5)式で表される。
ここで、aは地球楕円体の長半径、bは地球楕円体の短半径である。
【0043】
(2.4)式を(2.5)式に代入し、方程式を解くと、定数kの値が得られるから、これを(2.3)式に代入し、視点中心座標Ps(Xs,Ys,Zs)を得る。これを(1.4)式に適用し、地平座標ps(xs,ys,zs)を得る。次に、(2.2)式に、地平座標ps(xs,ys,zs)の値を代入し、2次元配列Iにおける座標(ui,vi)を得る。これにより、得られた座標(ui,vi)によって決定される2次元配列Iの要素I(ui,vi)が、表示画像の画素(uo,vo)に対応づけられたことになる。
【0044】
以上のように、この実施の形態2によれば、地図情報記憶バッファ220は、3次元空間を写像した2次元空間上の座標に対応づけて地図情報を保持し、座標変換手段240は、表示画面を構成する各画素の座標を2次元空間上の座標に変換する。そして、画像生成手段230は、座標変換手段240によって変換された2次元空間上の座標に基づいて表示画面を構成する各画素に対応する地図情報を地図情報記憶バッファ220から取得して表示画像を生成するようにしている。
したがって、地図の描画に要する時間が地図の複雑度に依存しなくなるため、複雑な地図を描画した場合でも、レーダ情報の更新処理の時間を圧迫することがなく、所定時間内での表示完了を保証することが可能となる。
【0045】
図11は、上記の実施の形態1および実施の形態2に共通する効果について示し、この発明を適用した場合と適用しなかった場合について、時間軸に沿った典型的な処理の流れを比較して示すものである。ここでは、地図情報およびレーダ情報を取得してからデータを表示処理装置に転送し終えるまでの時間をそれぞれ160msと仮定する。また、説明を単純にするため、表示処理装置200において画像を生成する時間は転送時間と比べて無視できる程度に短いものと仮定する。
【0046】
まず、本発明を適用した例について説明する。時刻0msにおいて、レーダ情報と地図情報を取得し、時刻500msにおいてさらにレーダ情報を取得したものとする。画像生成の周期を100msとすると、レーダ情報および地図情報の更新には、それぞれ二周期が必要となる。時刻0msにおいて取得されたレーダ情報は約200ms後に、地図情報はさらにその200ms秒後、すなわち時刻400msにおいて表示に反映されることになる。次に、時刻500msにおいて取得されたレーダ情報は、約200ms後、すなわち時刻700msにおいて表示に反映されることになる。また、レーダ、地図情報が更新されるかどうかにかかわらず、地図の再描画は100ms毎に行われる。すなわち1秒間に10回程度の再描画が行われるため、利用者による視点変更の指示に対応して滑らかな動きの表示が可能となる。
【0047】
一方、この発明を適用しない場合を考える。時刻0msにおいてレーダ、地図情報を取得し、その後、描画処理を開始したものとすると、地図情報の転送・描画に160ms、レーダ情報の転送・描画に160msを要するため、表示が完了し、レーダ、地図情報が表示に反映するまで少なくとも320msを要する。また、時刻500msにおいてはレーダ情報のみが変化し、地図情報は変化していないのであるが、地図情報記憶バッファを持たない場合は再度地図情報を転送する必要があるため、レーダ情報が表示に反映するまでに同様に少なくとも320msを要する。さらに、レーダ情報や地図情報を転送している間は再描画が行われないため、図の例では320msの間再描画を行うことができない。これは1秒間に3回程度しか再描画を行えないことを意味し、利用者による視点変更の指示に対応して滑らかな動きの表示をしていないことになる。
【0048】
以上のように、この発明によれば、レーダ情報や地図情報を取得した後に、それを速やかに表示に反映させることができるとともに、レーダ情報や地図情報を更新する処理の間も再描画の処理をブロックすることが無いため、ユーザ操作による視点変更の指示に対応して滑らかな動きの3次元視点移動表示を可能とし、立体的な位置関係の把握を容易にする。
【符号の説明】
【0049】
10 コンピュータシステム、100 情報処理装置、110 レーダ情報取得手段、120 レーダ情報登録手段、130 地図情報取得手段、140 地図情報登録手段、200 表示処理装置、210 レーダ情報記憶バッファ、211,221 第1の記憶バッファ、212,222 第2の記憶バッファ、214,224 バッファ状態記憶手段、215,225 書き込み完了状態記憶手段、220 地図情報記憶バッファ、230 画像生成手段、240 座標変換手段、250 表示画像記憶バッファ、30 表示装置、300 表示画面。
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーダで観測した航空機や船舶等の目標の位置を海図などの地図情報と合成して表示するレーダ情報表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のようにレーダ装置は、電波を空中に向かって送信し、目標に当たって戻ってきた反射波を受信し、電波の送信から反射波の受信までの時間を測定することにより目標までの距離を観測できるようにした装置である。また、電波の送信角度を変化させることにより、電波を受信した時刻における送信角度から目標の方位を観測できるものである。したがって、レーダによる観測データは、レーダ位置を中心とした距離と角度によって与えられる。レーダ情報表示装置は、これらの観測データを画像化して表示することにより、利用者が迅速かつ正確に目標の位置を把握できるようにしている。レーダ情報表示装置による典型的な表示方法を図12に示す。この例では、センサ位置(レーダ位置)を画面中心に対応させ、角度(方位角)と距離によって決まる位置に対象の所在を示すシンボルが描かれる。
【0003】
このようなレーダ情報表示装置の表示方法に対しては、ユーザがさらに的確に情報を読み取ることができるようにするため、様々な工夫がなされてきた。例えば特許文献1には、図13に示すように、画像化した観測データに海図などの地図情報を重畳して表示する方法が提案されている。
また、通常の2次元レーダでは距離と方位が観測値として得られるのに対し、3次元レーダを用いた場合、距離と方位に加えて仰角を観測値として得ることができる。この仰角の情報を用いれば、目標の高度を計算により知ることができる。そこで、この高度の情報と複数の投影方法(例えば上方から見た画像と側方から見た画像)を組み合わせて2次元の表示画面に描く方法が特許文献2や特許文献3で提案されている。
さらに、特許文献4では、レーダ情報と地図情報を視点変換することにより斜め方向に置かれた視点に対応する画像を画面に表示する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−318727号公報
【特許文献2】特開2001−296348号公報
【特許文献3】特開2008−275375号公報
【特許文献4】特開2001−042026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のレーダ情報表示装置は上記のように構成されているが、次のような問題点があった。
まず、高さ方向を含んだ3次元の位置情報の場合、投影方法が固定されているような1つの表示画面では表現できないという問題がある。すなわち図12や図13に示したような表示画面からは高さ方向の位置情報を読み取ることができない。特許文献4に示されたように斜め方向に視点がある画像を用いれば、高さ方向の位置情報をある程度把握することは可能となるが、この場合、視線方向に平行な位置関係、すなわち奥行き方向の位置関係が読み取れなくなる。
【0006】
特許文献2や特許文献3に示された方式は、例えば上方から見た画像と側方から見た画像をそれぞれ同時に表示して、これらを組み合わせることにより3次元の位置情報を読み取ることができるようにしたものである。しかし、異なる投影方法の2つの画像から3次元の位置情報を読み取ることは直感的な作業ではなく、ユーザが位置情報を誤って読み取ってしまうことも想定される。
そこで、3次元位置をユーザにわかりやすく示すためには、ユーザの操作によって投影方法、すなわち対象を見る方向などを随時変更し、あたかも立体的な模型の向きを自由に変えながら見え方を確認するような操作にすることが望ましい。しかし、このためにはユーザの操作に合わせて投影方法を切り替えて表示するという、負荷の高い処理が必要となる。したがって、ユーザの操作によって決定した投影方法に応じてレーダ情報や地図情報を画像化する処理に時間を要する場合、情報が画面に表示されるまでに遅延を生じるという問題がある。
【0007】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、投影方法を切り替えてもレーダ情報や地図情報が表示されるまでの遅延を少なくすることができるレーダ情報表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るレーダ情報表示装置は、レーダ情報を記憶するレーダ情報記憶バッファと、レーダ装置で観測したレーダ情報を取得し前記レーダ情報記憶バッファに転送して更新するレーダ情報更新手段と、地図情報を記憶する地図情報記憶バッファと、取得したレーダ情報に関連する地図情報を取得し地図情報記憶バッファに転送して更新する地図情報更新手段と、レーダ情報と地図情報の合成画像を表示する表示画面と、表示画面から指示された投影方法に基づいて、レーダ情報記憶バッファから更新されたレーダ情報を読み出すと共に、地図情報記憶バッファから前記レーダ情報に対応する更新された地図情報を読み出し、当該レーダ情報と地図情報の各地球中心座標を、地平座標、視点中心座標およびスクリーン座標に順次変換する座標変換手段と、座標変換手段で変換されたスクリーン座標に基づいて、対応付けられた地図情報とレーダ情報を描画し、生成された表示画像を表示画面に表示させる画像生成手段を備えたレーダ情報表示装置において、レーダ情報記憶バッファおよび地図情報記憶バッファのそれぞれは、2つの記憶バッファと、当該記憶バッファの一方を記憶情報の読み出し状態にした場合に他方を更新情報の書き込み状態となるように切り替えるバッファ切り替え手段とを有し、座標変換手段と画像生成手段による表示画像生成処理は、所定の周期で、かつ当該周期内の一定の期間に繰り返して行い、レーダ情報記憶バッファおよび地図情報記憶バッファの更新情報の書き込み処理は、所定の周期内の残りの期間の任意の時期に行うようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、描画処理に用いるレーダ情報や地図情報の読み出し記憶バッファとは別にレーダ情報および地図情報の逐次更新が可能な記憶バッファを持つようにしたので、レーダ情報や地図情報を取得した後に、それを速やかに表示に反映させることができるとともに、レーダ情報や地図情報を更新する処理の間も再描画の処理をブロックすることが無いため、ユーザ操作による視点変更の指示に対しても滑らかな動きの3次元視点移動表示を可能とし、立体的な位置関係の把握を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明によるレーダ情報表示装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】同実施の形態1に係る画面表示のレイアウト例を示す説明図である。
【図3】同実施の形態1に係るレーダ情報と地図情報のデータテーブルの例を示す説明図である。
【図4】同実施の形態1に係るレーダ情報と地図情報の表示に使用する各座標系を示す説明図である。
【図5】同実施の形態1に係る視点位置の表現方法を示す説明図である。
【図6】同実施の形態1に係るレーダ情報表示装置のメインループの処理を示すフローチャートである。
【図7】同実施の形態1に係る地図情報記憶バッファおよびレーダ情報記憶バッファの構成と動作方法を示す説明図である。
【図8】同実施の形態1に係る投影方法設定処理の動作を示すフローチャートである。
【図9】同実施の形態1に係るアイドル処理の動作を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態2における地図情報の表現方式を示す説明図である。
【図11】この発明の各実施の形態に共通する効果を提示した説明図である。
【図12】レーダ情報表示装置による典型的な表示方法を示す説明図である。
【図13】レーダ情報表示装置によるレーダ情報と地図情報の重畳表示の従来例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明によるレーダ情報表示装置の機能構成を示すブロック図である。
この発明のレーダ情報表示装置は、基本的にレーダ装置(図示せず)に通信ネットワークなどを介して接続されるコンピュータシステム10と、コンピュータシステム10に接続された表示装置30から構成される。コンピュータシステム10は、周知の構造の中央処理装置や主記憶装置などから構成される情報処理装置100と、所定の表示処理を行う表示処理装置200から構成されている。
コンピュータシステム10において、一般に画面に表示する情報は、先ず情報処理装置100から表示処理装置200に転送され、次に表示処理装置200で表示画像に生成されてから表示画面300で表示される。投影方法を変更して表示を繰り返す場合、既に表示処理装置200に転送されている情報を用いて表示画像を生成することができれば、情報処理装置100から表示処理装置200への転送の回数や転送量を減らすことができ、表示時間の短縮や情報処理装置100の負荷軽減に寄与することが可能となる。この実施の形態1では、この効果を引き出すための構成となっている。
【0012】
図2に表示画面に割り当てられる表示のレイアウト例を示す。この表示レイアウトでは、2種類の表示方法を同時にまたは別々に行えるように、2つのサブウィンドウ301,302が設けられるようになっている。第1のサブウィンドウ301は、地図情報とレーダ情報を水平面に投影した画像を表示するためのものである。この表示方法は従来の通常のレーダ表示装置と同様であるので、そのための処理についての説明はここでは省略するものとする。一方、第2のサブウィンドウ302は、ユーザ操作に従って様々な視点から見た画像を表示する。投影方法をユーザにより変更可能とするため、第2のサブウィンドウ302の下部には、例えば視点左右移動ボタン303、視点上下移動ボタン304および視点前後移動ボタン305を表す表示を配置している。ユーザがこれらのボタン上でマウスなどのポインティングデバイスを用いてドラッグ操作を行うことにより視点位置を変更する。
【0013】
第2のサブウィンドウ302に表示される情報は、レーダ装置から得られるレーダ情報と、予め地図データベースに用意され、GPS情報などと照合して読み出した海図などの地図情報で、図3のデータテーブルの座標形式で表した位置情報である。レーダ装置の出力であるレーダ信号からは、各時刻の電波の送信角度と目標までの距離が得られる。これらの情報とレーダ装置の現在位置との情報を用いて目標の座標(X,Y,Z)が算出される。例えばアンテナが一周する時間を単位時間と定め、単位時間内に得られた一連の座標情報をレーダ情報とする。レーダ情報は単位時間毎に更新される。一方、地図情報としては、海岸線の情報を保持し、陸と海を異なる色で塗りつぶすものとする。海岸線の情報は通常多角形のデータとして得られるが、凹多角形の塗りつぶしの処理は効率が悪いため、予め三角形に分割したデータを保持する。そのため、図3における地図情報の座標1、座標2、座標3は三角形の各頂点の座標を意味する。
【0014】
ここで、図4を参照して、この実施の形態1で使用する座標系について説明する。
(A)地平座標系
地球上の一点を原点とし、天頂方向をz軸、これに直角に東方向にx軸、北方向にy軸をとることにより定義される3次元空間を地平座標空間とする。地平座標空間における目標の位置は、上記地球上の一点を原点とした直交座標
により表わされる。この実施の形態1では、特に視点位置から視線方向に伸ばした直線と地球楕円体面との交点を注視点Osとし、注視点Osを原点とする地平座標を考える。これを
により表す。
(B)地球中心座標系
また、地球の重心を原点とし、X軸をグリニッジ子午線と赤道との交点の方向、Y軸を東経90度の方向、Z軸を北極の方向にとることにより定義される3次元空間を地球中心空間とする。地球中心空間における目標の位置は、地球中心Oを原点とした直交座標
により表す。
【0015】
(C)視点中心座標系
また、視点位置を原点とし、Zi軸負方向を視線方向、Yi軸正方向を視線方向に対して上方向、Xi軸正方向を視線方向に対して右方向にとることにより定義される3次元空間を視点中心空間とする。視点中心空間における目標の位置は、視点Oiを原点とした直交座標
により表す。
(D)スクリーン座標系
さらに、画面の中心を原点とし、右方向をu軸、上方向をv軸とする2次元平面をスクリーン平面とする。画面上の位置は、スクリーン座標(u,v)により表現する。
【0016】
次に、座標系の間の変換方法について整理する。
地球中心座標から地平座標への変換:
地平座標系原点の緯度をφ、経度をλ、高度をhとする。地球中心座標Pから地平座標pへの変換は、回転行列Rと並進行列Tを用いて(1.1)式で表される。
p=R−1(P−T) (1.1)
回転行列Rは(1.2)式のように表される。
ここで、
によって与えられる。また、並進行列は(1.3)式で表される。
ここで、Nは卯酉線曲率半径、eは楕円体の離心率、aは楕円体の長半径である。
【0017】
地平座標から視点中心座標への変換:
注視点Osを原点とする地平座標psと、それに対応する視点中心座標Piの関係は、回転行列Ri、並進行列Tiを用いて(1.4)式で表される。
Pi=Rips+Ti (1.4)
図5は視点位置を表現したもので、図5(a)は側方から見た図、図5(b)は上方から見た図である。視点Oiから注視点Osまでの距離をD、視線方向の北方向を基準とした方位角をA、注視点における視線ベクトルの入射角をαとすると、回転行列Riは(1.5)式のようになる。
Ri=RX(α)Rz(A) (1.5)
ただし、
また、並進行列Tiは(1.6)式のようになる。
【0018】
視点中心座標からスクリーン座標への変換:
透視投影モデルにおける視点中心座標(Xi,Yi,Zi)からスクリーン座標(u,v)への変換は、透視投影モデルの理論に基づき(1.7)式によって表せる。
ここで、fは透視投影モデルにおいて視点位置から画像平面までの距離を示す係数であり、画面のサイズに応じて設定する。
また、正射投影モデルにおける視点中心座標(Xi,Yi,Zi)からスクリーン座標(u,v)への変換は(1.8)式によって得られる。
ここで、sは、スケールを規定する係数であり、画面のサイズに応じて設定する。
【0019】
図6は、この発明の実施の形態1に係るレーダ情報表示装置のメインループの処理を示すフローチャートである。メインループは所定の周期でステップST1からステップST4までの処理を繰り返し、1周期の処理で1フレーム分の画像を生成して表示する。このため、周期の大小は表示される画像の動きの滑らかさに影響する。一般に、1秒間に10フレーム程度の画像を表示すれば人間の目には滑らかな動きに見えるため、ここでは1周期の時間を例えば100ms程度以内とすることが望ましい。
【0020】
次に各ステップの処理について説明する。
ステップST1:前の周期からこの周期までの間に地図情報の更新が完了したかを調べ、地図情報の更新が完了していたら、更新された地図情報を表示対象とする。
地図情報記憶バッファ220の構成と動作方法を図7に示す。地図情報記憶バッファ220は第1の記憶バッファ221と第2の記憶バッファ222を持つ。またバッファ状態として図7(a)、(b)に示すように異なる状態「A」と「B」を設け、そのいずれかの状態となるように動作する。状態「A」は、地図情報記憶バッファ220に書き込まれるデータは第1の記憶バッファ221に格納され、地図情報記憶バッファ220から読み出すデータは第2の記憶バッファ222から読み出されることを表す。一方、状態「B」は、地図情報記憶バッファ220に書き込まれるデータは第2の記憶バッファ222に書き込まれ、地図情報記憶バッファ220から読み出されるデータは第1の記憶バッファ221から読み出されることを表す。また、現在のバッファ状態「A」または「B」はバッファ状態記憶手段224に記憶され、データの書き込みや読み出しを行う際には、このバッファ状態記憶手段224を参照することにより第1、第2いずれの記憶バッファに対して書き込みまたは読み出しを行うかを決定する。
【0021】
書き込み完了状態記憶手段225は、バッファへの書き込みが未完了の状態か完了した状態かを示す情報を保持する。通常は、書き込み完了状態は「未完了」であるが、後述する地図更新処理において、一連のデータの転送が完了したら書き込み完了状態を「完了」に変更する処理を行うように構成する。メインループの処理においては、この書き込み完了状態記憶手段225に記憶されている書き込み完了状態が「完了」であれば、一連の地図情報の転送が完了したものとしてバッファ状態記憶手段224におけるバッファ状態の切り替えを行う。すなわち、現在のバッファ状態が「A」であれば「B」に切り替え、一方、バッファ状態が「B」であれば「A」に切り替える。あわせて書き込み完了状態は「未完了」に戻しておく。この記憶バッファの切り替えを行った後は、更新された地図情報が地図情報記憶バッファ220から読み出されることになる。
【0022】
なお、地図情報のデータ量が多い場合、情報処理装置100から表示処理装置200のデータの転送が一回の表示周期内で完了しないことが想定される。このような場合でも、上記の方法によれば、地図情報の更新が未完了の段階では更新前のデータを使用して、処理を継続することができる。したがって、地図情報の転送が複数周期にまたがる場合でも、メインループの周期には影響を与えないため、滑らかな動きでの表示を維持することができる。
【0023】
ステップST2:前の周期からこの周期までの間にレーダ情報の更新が完了したかを調べ、レーダ情報の更新が完了していたら、レーダ情報記憶バッファ210のバッファ状態を切り替えて更新されたレーダ情報を表示対象として読み出す。レーダ情報記憶バッファ210の構成および動作は、図7で説明した地図情報記憶バッファ220とほぼ同一である。すなわち、書き込み完了状態記憶手段215に記憶されている書き込み完了状態が「完了」であれば、一連のレーダ情報の転送が完了したものとしてバッファ状態の切り替えを行う。2つの記憶バッファ211,212の切り替えを行った後は、更新後のレーダ情報がレーダ情報記憶バッファ210から読み出されることになる。
【0024】
また、レーダ情報についても、地図情報と同様に、データ量が多いと情報処理装置100から表示処理装置200へのデータの転送が一回の表示周期内で完了しないことが想定される。このような場合でも、上記の方法によれば、レーダ情報の更新が未完了の段階では更新前のデータを使用して、処理を継続することができる。したがって、レーダ情報の転送が複数周期にまたがる場合でも、メインループの周期には影響を与えないため、滑らかな動きでの表示を維持することができる。
【0025】
ステップST3:前の周期からこの周期までの間にユーザ操作があったかを調べ、ユーザ操作があった場合には、それに合わせて投影方法を設定する。この投影方法設定処理は、注視点位置と視点位置を設定する処理で、その処理フローを図8を用いて説明する。
ステップST31:注視点位置の算出
特に指定しない場合はレーダ装置の位置を注視点として設定する。しかし、ユーザが注視点位置を変更したい場合には、表示画面300に表示された地図上で注視点として設定したい位置を指し示すことになる。前の周期からこの周期までに図2に示す第2のサブウィンドウ302内の一点がマウスクリックなどの操作で指し示された場合、座標変換手段240は、クリックされた位置(スクリーン座標)を地球中心座標に変換し、この座標を新たな注視点位置とする。座標変換は次のようにして行う。画面上をクリックして得られるスクリーン座標は、視点中心座標空間において原点を始点とするベクトルに対応させることができる。このベクトルを視点中心座標から地球中心座標に変換した上で、地球楕円体と交わる点を求める。この点を注視点として設定することとする。
【0026】
ステップST32:視点位置の算出
この実施の形態1では視点位置を、図5に示すように、視点から注視点までの距離D、視線方向A、視線ベクトルの注視点における入射角αの3つのパラメータによって表現する。これらの3つのパラメータは、それぞれ図2の3つのボタンを操作して増減させることになる。
ステップST33:地図情報更新の必要性チェック
一般に、地図情報記憶バッファ220には、記憶容量に制限があるのですべての地図情報を記憶させておくことはできない。したがって、投影方法を変更すると、投影方法に対応した地図の表示を行うための地図情報が地図情報記憶バッファ220に格納されているかをチェックする必要がある。投影方法に対応した地図の範囲と、地図情報記憶バッファ220に現在記憶されている地図の範囲を比較し、後者が前者をカバーしていない場合には地図情報更新が必要と判断する。
【0027】
ステップST34:地図情報更新処理の起動
上記ST31およびST32の処理で算出した注視点位置と視点位置の情報をパラメータとして地図情報更新処理を起動する。
ステップST35:視点位置、注視点位置の設定
注視点位置の変更は地図情報の更新を伴うため、地図情報の更新が完了したタイミングで注視点位置を切り替えるのが望ましい。そこで、以下の方針で注視点を設定する。前回までの処理で既に地図情報更新処理を起動している場合は、更新処理が完了したかどうかを確認し、完了している場合は地図情報更新処理を起動した際に算出した注視点位置に設定する。
【0028】
今回の処理で地図情報更新処理を起動した場合は、次回以降の処理で地図情報更新処理が完了したことを確認し、注視点位置の変更を行う。そのため、今回算出した注視点位置の情報を保持しておく。今回の処理では前回までの注視点位置をそのまま使用する。今回の処理で地図情報の更新が必要なかった場合は、前回までの注視点位置をそのまま使用する。
また、視点位置を決めるためのパラメータ、すなわち視点から注視点までの距離D、視線方向A、視線ベクトルの注視点における入射角αの3つのパラメータは、地図情報の更新が完了したかどうか、すなわち注視点位置を変更したかどうかにかかわらず、今回算出したパラメータを使用する。
【0029】
次に、図6のメインループの処理フローに戻り説明する。
ステップST4:ST1からST3の処理を通じて得られた地図情報、レーダ情報を、指定された投影方法に基づいて変換し、各情報を対応付けて表示画像を生成し、生成画像を表示装置30に与えて表示させる。表示画像の生成処理の流れを次に説明する。
まず、座標変換手段240における座標変換について説明する。
前述したように、レーダ情報記憶バッファ210から読み出したレーダ情報および地図情報記憶バッファ220から読み出した地図情報は地球中心座標系の座標を保持している。座標変換手段240は、これらのレーダ情報と地図情報の地球中心座標を指定された投影方法に基づき、地平座標、視点中心座標に、さらにスクリーン座標に変換する。この処理では、注視点が決まれば、(1.2)式と(1.3)式から回転行列Rと並進行列Tが決まるので、これを(1.1)式に代入し、地平座標pを求める。次に、注視点に対する視点の相対的な位置関係を示す3つのパラメータ(距離D、方位角A、入射角をα)が与えられているので、(1.5)式および(1.6)式から回転行列Riと並進行列Tiを決定することができる。これを(1.4)式に代入することにより視点中心座標Piが得られる。視点中心座標Piが決まれば、(1.7)式または(1.8)式によりスクリーン座標(u,v)が得られる。
【0030】
次に、画像生成手段230における画像生成処理について説明する。
画像生成手段230は、上記地図情報とレーダ情報の座標変換後のスクリーン座標に基づいて、対応付けられた地図情報とレーダ情報を描画し、表示画像を生成する。画像生成は以下の手順で行う。
1) 背景色の描画:画像全体を予め設定した海の色で塗りつぶす。
2) 陸地の描画:陸地を構成する各三角形をスクリーン座標で示された位置に配置し、予め設定した陸の色で塗りつぶしを行う。
3) 目標の描画:レーダ情報を構成する各目標について、スクリーン座標で示される位置に所定のシンボルのビットマップ画像をコピーする。
画像生成手段230では、1周期ごとに1フレームの表示画像を生成する。1フレーム分の画像が生成までのデータは表示画像記憶バッファ250に保持させる。表示画像記憶バッファ250で保持されたフレーム単位の生成画像は表示装置30に送られ、表示画面300で表示される。
【0031】
ステップST5:アイドル処理を起動する。仮にST1からST4までの処理に要する時間が20msであったとした場合、1周期の時間を100msに設定する。前の周期が終了して次の周期の処理が始まるまでには80msの時間の余裕ができることになる。この時間にレーダ情報更新の処理と地図情報更新の処理を起動する。この更新処理はメインループの処理の空き時間に行うことからアイドル処理と呼ぶこととする。アイドル処理は図9に示すフローで行う。
ステップST51:情報処理装置100は、与えられた時間をレーダ情報更新と地図情報更新に分配する。80msの時間が与えられたものとすると、例えばレーダ情報更新に40ms、地図情報更新に40msの時間を配分する。この時間配分の比率は予め設定した比率(例えば1:1)としてもよいが、処理待ちとなっているユニットの数に応じて配分するようにした場合は時間を効率的に消化できるようになる。
【0032】
ステップST52:レーダ情報を情報処理装置100から表示処理装置200に転送するレーダ情報更新処理を行う。すなわち、レーダ情報取得手段110はレーダ装置で観測したレーダ情報の処理ユニットを取得すると、レーダ情報登録手段120により、取得した処理ユニットを配分時間内に順次レーダ情報記憶バッファ210に転送する。この場合、1つの処理ユニットに1つのデータ(すなわち1目標)を対応させてもよいし、複数のデータを対応させてもよい。1つの処理ユニットを処理するのに要する時間はアイドル処理に与えられる時間よりも十分に小さいものとする。1つの処理ユニットを処理するのに要する最大の時間をユニット時間とする。処理ユニットが完了するたびに、残りの配分時間とユニット時間を比較し、残りの配分時間がユニット時間より長い場合には次の処理ユニットを処理する。そうでない場合にはレーダ情報更新の処理を中断し、次のステップに進む。また、一連の処理ユニットの処理を完了した場合は、書き込み完了状態を「完了」に設定し、次のステップに進む。
【0033】
ステップST53:地図情報更新処理は、地図情報を情報処理装置100から表示処理装置200に転送する処理である。すなわち、地図情報取得手段130が地図情報の処理ユニットを取得すると、地図情報登録手段140はその到来した処理ユニットを配分された時間内に順次地図情報記憶バッファ220に転送する。この場合、1つの処理ユニットに1つのデータ(海岸線を表す、例えば三角形のデータ)を対応させてもよいし、複数のデータを対応させてもよい。ただし、1つの処理ユニットを処理するのに要する時間はアイドル処理に与えられる時間よりも十分に小さいものでなければならない。1つの処理ユニットを処理するのに要する最大の時間をユニット時間とする。処理ユニットが完了するたびに、残りの配分時間とユニット時間を比較し、残りの配分時間がユニット時間より長い場合は次の処理ユニットを処理する。そうでない場合には地図情報更新の処理を中断し、次のステップに進む。また、一連の処理ユニットの処理が完了した場合は、書き込み完了状態を「完了」に設定し、次のステップに進む。
【0034】
以上のように、この実施の形態1よれば、レーダ情報記憶バッファ210および地図情報記憶バッファ220は、それぞれが2つの記憶バッファ211(221),212(222)と、当該記憶バッファの一方を記憶情報の読み出し状態にした場合に他方を更新情報の書き込み状態となるように切り替えるバッファ切り替え手段213(223)とを有しており、座標変換手段240と画像生成手段230による表示画像生成処理は、所定の周期で、かつ当該周期内の一定の期間に割り当てて繰り返して行い、レーダ情報記憶バッファ210および地図情報記憶バッファ220の更新情報の書き込み処理は、所定の周期内の残りの期間に割り当てて任意の時期に行うように構成している。したがって、指定された投影方法に応じて画像を生成する処理は、予め表示処理装置200に転送済みのレーダ情報と地図情報を用いて行うため、改めてデータ転送を行う必要がなく、短時間で表示処理を完了することができる。その結果、単位時間内に十分な数のフレーム数を表示することができ、滑らかな動きで連続的に視点を変更して表示することが可能となる。
【0035】
また、レーダ情報や地図情報が更新された場合は、情報処理装置100から表示装置30へデータを再度転送する必要があるが、データ量が多くなると一周期の間にレーダ情報や地図情報を更新することができなくなる。そのような場合であっても、データ更新の処理はアイドル処理の中で行われるため、メインループの処理をブロックすることは無い。さらに、地図情報の更新が完了する前でもレーダ情報の更新が完了すれば、その変更は即座に表示画像に反映されるため、情報が表示されるまでの遅延を最小限に抑えることができる。
したがって、ユーザの操作により連続的に視点を変更して表示させることができ、かつレーダ情報の更新が即座に反映されるという効果が得られる。
【0036】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、地図情報を三角形の集まりにより表現し、各三角形の頂点座標を座標変換して表示画像を生成する方法を例にして説明した。一般に、頂点座標に基づく三角形の描画に要する時間は、三角形の数の増加に応じて増加する。地図には、様々な複雑度の地図が存在し、描画対象となる三角形数も多様であるため、描画に要する時間にもばらつきが生じる。仮に、地図が複雑で与えられた時間内に描画を完了できない場合には、メインループの処理だけですべての処理時間を使ってしまい、アイドル処理についてはブロックされることが想定される。この場合、実施の形態1の方法であっても表示に遅延が発生することが考えられる。そこで、この実施の形態2では、地図情報の描画において、地図の描画に要する時間が地図の複雑度に依存せず、描画に要する時間を予測することが容易な方式について説明する。
【0037】
ここでは以下、実施の形態1とは異なる部分を中心に説明するもとする。
地図情報記憶バッファ220には、地図を構成する三角形の頂点座標の配列ではなく、図10に示すように、2次元配列化した地図情報(すなわち、3次元空間を写像した2次元空間上の座標に対応づけた地図情報)を保持するようにする。2次元配列の各要素I(ui,vi)は、地図を、注視点Osにおいて地球楕円体に接する水平面に正射投影したものとする。例えば、該当地点が陸地であれば値「1」、該当地点が海であれば値「0」を設定するようにする。
【0038】
地図情報登録手段140において、地図情報の登録は次のようにして行う。
まず、与えられた注視点の情報に基づき地図を平面に投影する。地図情報を構成する各三角形の頂点座標の1つをP=(X,Y,Z)とする。注視点Osを原点とし、点Pに対応する地平座標をps=(xs,ys,zs)とすると、上記(1.1)式より次の(2.1)式が得られる。
ps=R−1(P−T) (2.1)
さらに、地平座標psは、視点位置を原点におき入射角αを0、方位Aを0とした視点中心座標と一致し、(1.8)式から(2.2)式のように表される。
ここで、sは、スケールを規定する係数であり、画面のサイズに応じて設定する。
(2.1)式および(2.2)式を、地球中心座標で表現された三角形の各頂点の座標に適用すると、スクリーン座標が得られる。このスクリーン座標に基づき、2次元配列Iにおいて三角形の内部に属する配列要素に陸を表す値「1」を設定してゆく。
【0039】
次に、投影の結果得られた2次元配列Iを地図情報記憶バッファ220に転送する。転送は、実施の形態1と同様に短時間で完了する処理ユニットに分けて実行する。例えば、配列を複数の正方形ブロックに分割し、1つのブロックの転送を処理ユニットとする。
【0040】
画像生成手段230において、地図情報の描画は以下の方式で行う。
表示画像を構成する各画素(uo,vo)について、次の方法により、それぞれ画素値を決定して画像を生成する。まず、地図情報記憶バッファ220に格納された2次元配列Iにおいて画素(uo,vo)に対応する座標(ui,vi)を求め、この座標に対応する要素I(ui,vi)を取得する。対応する座標の計算は、座標変換手段240により、後述する方法で行う。
次に、2次元配列Iの要素I(ui,vi)の値は、値が「0」であれば海、値が「1」であれば陸を意味するから、それぞれ対応する色を表示画像の画素(uo,vo)の色として設定する。
地図情報の描画の後、これに重ねてレーダ情報の描画を行うことは、実施の形態1と同様である。
【0041】
座標変換手段240では、実施の形態1と同様の座標変換に加え、上記の2次元配列Iに対応した座標変換、すなわち表示画像の各画素(uo,vo)に対する2次元配列Iの要素I(ui,vi)の対応づけを行う。対応づけの計算手順は下記の通りである。
まず、出力画像におけるスクリーン座標(uo,vo)と、視点位置、注視点位置の情報に基づき、(uo,vo)に対応する地球楕円体面上の点を求める。(1.7)式より、kを任意の定数として、
ここで、
とおくと、
と表せる。
【0042】
視点中心座標Pi(Xi,Yi,Zi)を、注視点Osを原点とする地平座標に変換して得られる座標をPs(xs,ys,zs)、これをさらに地球中心座標に変換して得られる座標をP(X,Y,Z)とすると、(1.4)式と(1.1)式に基づき
すなわち、(2.4)式で表される。
また、点P(X,Y,Z)が地球楕円体面上にある、という条件は(2.5)式で表される。
ここで、aは地球楕円体の長半径、bは地球楕円体の短半径である。
【0043】
(2.4)式を(2.5)式に代入し、方程式を解くと、定数kの値が得られるから、これを(2.3)式に代入し、視点中心座標Ps(Xs,Ys,Zs)を得る。これを(1.4)式に適用し、地平座標ps(xs,ys,zs)を得る。次に、(2.2)式に、地平座標ps(xs,ys,zs)の値を代入し、2次元配列Iにおける座標(ui,vi)を得る。これにより、得られた座標(ui,vi)によって決定される2次元配列Iの要素I(ui,vi)が、表示画像の画素(uo,vo)に対応づけられたことになる。
【0044】
以上のように、この実施の形態2によれば、地図情報記憶バッファ220は、3次元空間を写像した2次元空間上の座標に対応づけて地図情報を保持し、座標変換手段240は、表示画面を構成する各画素の座標を2次元空間上の座標に変換する。そして、画像生成手段230は、座標変換手段240によって変換された2次元空間上の座標に基づいて表示画面を構成する各画素に対応する地図情報を地図情報記憶バッファ220から取得して表示画像を生成するようにしている。
したがって、地図の描画に要する時間が地図の複雑度に依存しなくなるため、複雑な地図を描画した場合でも、レーダ情報の更新処理の時間を圧迫することがなく、所定時間内での表示完了を保証することが可能となる。
【0045】
図11は、上記の実施の形態1および実施の形態2に共通する効果について示し、この発明を適用した場合と適用しなかった場合について、時間軸に沿った典型的な処理の流れを比較して示すものである。ここでは、地図情報およびレーダ情報を取得してからデータを表示処理装置に転送し終えるまでの時間をそれぞれ160msと仮定する。また、説明を単純にするため、表示処理装置200において画像を生成する時間は転送時間と比べて無視できる程度に短いものと仮定する。
【0046】
まず、本発明を適用した例について説明する。時刻0msにおいて、レーダ情報と地図情報を取得し、時刻500msにおいてさらにレーダ情報を取得したものとする。画像生成の周期を100msとすると、レーダ情報および地図情報の更新には、それぞれ二周期が必要となる。時刻0msにおいて取得されたレーダ情報は約200ms後に、地図情報はさらにその200ms秒後、すなわち時刻400msにおいて表示に反映されることになる。次に、時刻500msにおいて取得されたレーダ情報は、約200ms後、すなわち時刻700msにおいて表示に反映されることになる。また、レーダ、地図情報が更新されるかどうかにかかわらず、地図の再描画は100ms毎に行われる。すなわち1秒間に10回程度の再描画が行われるため、利用者による視点変更の指示に対応して滑らかな動きの表示が可能となる。
【0047】
一方、この発明を適用しない場合を考える。時刻0msにおいてレーダ、地図情報を取得し、その後、描画処理を開始したものとすると、地図情報の転送・描画に160ms、レーダ情報の転送・描画に160msを要するため、表示が完了し、レーダ、地図情報が表示に反映するまで少なくとも320msを要する。また、時刻500msにおいてはレーダ情報のみが変化し、地図情報は変化していないのであるが、地図情報記憶バッファを持たない場合は再度地図情報を転送する必要があるため、レーダ情報が表示に反映するまでに同様に少なくとも320msを要する。さらに、レーダ情報や地図情報を転送している間は再描画が行われないため、図の例では320msの間再描画を行うことができない。これは1秒間に3回程度しか再描画を行えないことを意味し、利用者による視点変更の指示に対応して滑らかな動きの表示をしていないことになる。
【0048】
以上のように、この発明によれば、レーダ情報や地図情報を取得した後に、それを速やかに表示に反映させることができるとともに、レーダ情報や地図情報を更新する処理の間も再描画の処理をブロックすることが無いため、ユーザ操作による視点変更の指示に対応して滑らかな動きの3次元視点移動表示を可能とし、立体的な位置関係の把握を容易にする。
【符号の説明】
【0049】
10 コンピュータシステム、100 情報処理装置、110 レーダ情報取得手段、120 レーダ情報登録手段、130 地図情報取得手段、140 地図情報登録手段、200 表示処理装置、210 レーダ情報記憶バッファ、211,221 第1の記憶バッファ、212,222 第2の記憶バッファ、214,224 バッファ状態記憶手段、215,225 書き込み完了状態記憶手段、220 地図情報記憶バッファ、230 画像生成手段、240 座標変換手段、250 表示画像記憶バッファ、30 表示装置、300 表示画面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダ情報を記憶するレーダ情報記憶バッファと、
レーダ装置で観測したレーダ情報を取得し前記レーダ情報記憶バッファに転送して更新するレーダ情報更新手段と、
地図情報を記憶する地図情報記憶バッファと、
前記取得したレーダ情報に関連する地図情報を取得し前記地図情報記憶バッファに転送して更新する地図情報更新手段と、
レーダ情報と地図情報の合成画像を表示する表示画面と、
前記表示画面から指示された投影方法に基づいて、前記レーダ情報記憶バッファから更新されたレーダ情報を読み出すと共に、前記地図情報記憶バッファから前記レーダ情報に対応する更新された地図情報を読み出し、当該レーダ情報と地図情報の各地球中心座標を、地平座標、視点中心座標およびスクリーン座標に順次変換する座標変換手段と、
前記座標変換手段で変換されたスクリーン座標に基づいて、対応付けられた前記地図情報と前記レーダ情報を描画し、生成された表示画像を前記表示画面に表示させる画像生成手段を備えたレーダ情報表示装置において、
前記レーダ情報記憶バッファおよび前記地図情報記憶バッファのそれぞれは、2つの記憶バッファと、当該記憶バッファの一方を記憶情報の読み出し状態にした場合に他方を更新情報の書き込み状態となるように切り替えるバッファ切り替え手段とを有し、
前記座標変換手段と前記画像生成手段による表示画像生成処理は、所定の周期で、かつ当該周期内の一定の期間に繰り返して行い、
前記レーダ情報記憶バッファおよび前記地図情報記憶バッファの更新情報の書き込み処理は、前記所定の周期内の残りの期間の任意の時期に行うことを特徴とする請求項1記載のレーダ情報表示装置。
【請求項2】
地図情報記憶バッファは、3次元空間を写像した2次元空間上の座標に対応づけて地図情報を保持し、
座標変換手段は、表示画面を構成する各画素の座標を2次元空間上の座標に変換し、
画像生成手段は、前記座標変換手段によって変換された2次元空間上の座標に基づいて表示画面を構成する各画素に対応する地図情報を前記地図情報記憶バッファから取得して表示画像を生成することを特徴とする請求項1記載のレーダ情報表示装置。
【請求項1】
レーダ情報を記憶するレーダ情報記憶バッファと、
レーダ装置で観測したレーダ情報を取得し前記レーダ情報記憶バッファに転送して更新するレーダ情報更新手段と、
地図情報を記憶する地図情報記憶バッファと、
前記取得したレーダ情報に関連する地図情報を取得し前記地図情報記憶バッファに転送して更新する地図情報更新手段と、
レーダ情報と地図情報の合成画像を表示する表示画面と、
前記表示画面から指示された投影方法に基づいて、前記レーダ情報記憶バッファから更新されたレーダ情報を読み出すと共に、前記地図情報記憶バッファから前記レーダ情報に対応する更新された地図情報を読み出し、当該レーダ情報と地図情報の各地球中心座標を、地平座標、視点中心座標およびスクリーン座標に順次変換する座標変換手段と、
前記座標変換手段で変換されたスクリーン座標に基づいて、対応付けられた前記地図情報と前記レーダ情報を描画し、生成された表示画像を前記表示画面に表示させる画像生成手段を備えたレーダ情報表示装置において、
前記レーダ情報記憶バッファおよび前記地図情報記憶バッファのそれぞれは、2つの記憶バッファと、当該記憶バッファの一方を記憶情報の読み出し状態にした場合に他方を更新情報の書き込み状態となるように切り替えるバッファ切り替え手段とを有し、
前記座標変換手段と前記画像生成手段による表示画像生成処理は、所定の周期で、かつ当該周期内の一定の期間に繰り返して行い、
前記レーダ情報記憶バッファおよび前記地図情報記憶バッファの更新情報の書き込み処理は、前記所定の周期内の残りの期間の任意の時期に行うことを特徴とする請求項1記載のレーダ情報表示装置。
【請求項2】
地図情報記憶バッファは、3次元空間を写像した2次元空間上の座標に対応づけて地図情報を保持し、
座標変換手段は、表示画面を構成する各画素の座標を2次元空間上の座標に変換し、
画像生成手段は、前記座標変換手段によって変換された2次元空間上の座標に基づいて表示画面を構成する各画素に対応する地図情報を前記地図情報記憶バッファから取得して表示画像を生成することを特徴とする請求項1記載のレーダ情報表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−128057(P2011−128057A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287663(P2009−287663)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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