説明

レーダ画像表示方式

【課題】 極座標データを直交座標に変換する座標変換処理を簡略化して、データ処理容量、処理時間を低減したレーダ映像表示方式の提供を目的とする。
【解決手段】 直交座標上の座標(x.y)に対応する極座標値(r.θ)を書き込んだアドレステーブルと、レーダ映像信号を実時間で書き込むまれ、その内容が、アドレステーブル上のX軸、Y軸を走査することによって逐次読出される極座標値(r.θ)を読出アドレスとして読み出される極座標メモリと、読み出された極座標メモリの内容が対応する座標(x.y)に書き込まれ、そのデータを所定の周期で読み出されるフレームメモリとで構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は極座標上のデータとして得られるレーダ映像信号データを、直交座標上で動作するラスタスキャン表示器にPPI画像として表示するためのレーダ映像表示方式に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の表示方式では、極座標から直行座標に直接変換する座標変換方式がとられている。すなわち、極座標上の(r.θ)座標を直交座標上の(x.y)座標に三角演算のよって換算し、(r.θ)座標のデータを対応する(x.y)座標に書き込み、直交座標のフレームメモリとすることが行われている.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の座標変換方式ではアンテナの回転角度の最小単位毎に、また、距離最小単位(レンジビン)毎に対応する直交座標値を算出するため、多くの処理時間が必要となり、レーダ装置本来の信号処理に要求される信号処理時間を制約することになる。
さらに、このような座標変換処理では、遠距離の領域に対しては1スィープの幅が拡がり、(r.θ)座標に対する(x.y)座標が欠落する。これを補うために同一の(r.θ)座標のデータを複数の(x.y)座標に書き込む必要があり、実レーダのスィープ間隔より細かな間隔で擬似的なスィープを発生する必要がある。また、近距離の領域では、逆に複数の(r.θ)座標が同一の(x.y)座標に対応するために複数のデータの最大値を選択するなどの処理が必要になる。
本発明は、このような問題を解決するために為されたものであって、膨大な座標変換処理を省略して、高速処理が可能なレーダ映像処理方式の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の請求項1に記載のレーダ映像処理方式においては、予め式(1)、(2)によって算出した、直交座標系の各座標値(x.y)に対応する極座標系の座標値(r.θ)、及び式(3)、(4)によって算出した、極座標系での捜索範囲(Δr、Δθ)を記録したデータテーブルを作成しておき、そのデータテーブルをラスタスキャンの周期に対応したシーケンスで走査して、対応する極座標系の座標値(r.θ)、及び捜索範囲(Δr、Δθ)を読み出す。


但し x:描画点の直交座標系での水平方向位置
y:描画点の直交座標系での垂直方向位置
r:極座標系での距離(描画点のレーダからの距離)
θ:極座標系での方位角(描画点の方位角)
Δr:表示画面1画素が占める極座標上での距離方向の範囲
Δθ:表示画面1画素が占める極座標上での方位方向の範囲
:画面1画素が表示する表示距離
この逐次読み出される座標値(r、θ)を中心としてΔr、Δθの範囲の極座標上の座標(r.θ)で記録されているレーダ映像信号データを読み出す。複数のレーダ映像信号を読み出した場合は、最大値または平均値演算処理により単一データ化を行う。
この直交座標系の各座標値(x.y)に対応して読み出されたレーダ映像信号データを、別に用意した直交座標のメモリに座標(x.y)対応させて書き込んでフレームメモリとし、これを画面描画の垂直・水平同期信号に同期して読み出し画像として表示する。
【0005】
また、請求項2に記載のレーダ映像処理方式においては、図1に示すように1フレーム周期内にアンテナ回転による走査する直交座標上の領域を、既知である方位データを用いて算出し、算出された領域内をX軸、Y軸の値で走査する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1に記載のレーダ映像表示方式によれば、直交座標のアドレスを走査するだけで極座標上に書き込まれたレーダ映像信号データを読み出すと同時に、ラスタスキャンに必要なフレームメモリを作成することができるので、座標変換の処理量を大幅に低減できる。
本発明の請求項2に記載のレーダ映像表示方式によれば、1フレーム周期内の変化分のみについてデータの書き換えが行われるので、さらに座標変換処理量を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の方位測定用空中線を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0008】
図2は、本発明のレーダ映像表示方式の信号処理の形態を示す図である。図において、1は極座標のビデオメモリ、2はx−yの直交座標位置から極座標の読み出し位置に変換する変換テーブル、3は最大/平均演算部、4はx−yの直交座標系でビデオ信号を格納したフレームメモリ、5は描画更新領域の演算部。6はフレームメモリの更新x−y位置発生部である。
【0009】
ビデオメモリ1は、アンテナ回転と同期して発生される方位角センサからの方位角データと、送信パルスの繰返し周期の基点を始点とするレンジデータを受けて、方位角θ軸と、レンジR軸のアドレスとして、方位角、レンジビンのそれぞれに対応するレーダビデオデータを逐次記録する。
【0010】
R−Θ読出位置テーブル2は、表示器の画素に対応する直交座標位置を極座標に変換するテーブルのメモリであって、個々の画素位置の座標値(x.y)に対応する極座標上の座標値(r.θ)、及びこの座標値を中心とするr軸、θ軸の捜索幅(Δr、Δθ)を別途算出して書き込んである。
したがって、直行座標上の座標値(x.y)を指定すれば、極座標上の座標値(r.θ)、及びこの座標値を中心とするr軸、θ軸の捜索幅が読み出される。さらに方位信号は表示基準方位分オフセットを減算する。このようにして得られた極座標メモリ1上の読出し座標値を中心とし、Δr、Δθで指定される捜索エリア内の内容をデータ群として読み出す。このデータ群の最大値、或いは平均値が最大/平均演算部3で算出され、画素位置に対応する座標値(x.y)のデータとされる。
【0011】
フレームメモリ4は、表示器の画素に対応する直交座標のメモリであって、座標値(x.y)のデータとして、R−Θ読出し座標値(x.y)を描画画面上のレーダ位置に対応してオフセットさせてフレームメモリ書込み位置とし、上記最大値、或いは平均値データを記録する。フレームメモリ4は、さらに描画の垂直・水平同期信号に同期した読出しX、Y位置信号で読み出され、ラスタースキャンビデオ信号として描画される。
【0012】
更新領域演算部5は、ラスタスキャン周期の終点時のアンテナ方位角データを読み込み、その角度から次のラスタスキャン周期内に走査されるアンテナ方位角の領域に対応する直交座標の座標値の領域を計算する。
【0013】
更新位置発生部6は、更新領域演算部5で設定された直交座標上の領域内を走査するためのX軸、Y軸の座標値を順次送出して、R−Θ読出位置テーブル2を駆動する。
【0014】
ラスタスキャン読出し位置発生部7は垂直・水平同期信号を受けて、X軸、Y軸の座標値をラスタスキャンのシーケンスに従って送出し、フレームメモリ4を駆動する。
その結果、フレームメモリ4の内容が時系列の画像データとして出力される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 1フレーム周期内のアンテナ走査とデータ更新領域
【図2】 本発明のレーダ映像表示方式の信号処理の形態を示す図である。
【符号の説明】
【0016】
1;ビデオメモリ(R−Θ極座標)
2;R−Θ読出位置テーブル
3;最大値/平均値演算部
4;フレームメモリ(x−y直交座標)
5;更新領域演算部
6;フレームメモリ更新位置発生部
7;ラスタスキャン読出位置発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ回転角度Θと、距離Rとを軸とする極座標上に記録されるレーダ映像信号データを、X−Yを軸とする直交座標上の画素位置に対応させて表示するレーダ映像表示方式において、
直交座標上の座標(x.y)に対応する極座標値(r.θ)を書き込んだアドレステーブルと、アンテナ回転によるレーダ映像信号が実時間で書き込まれ、その内容がアドレステーブル上のX軸、Y軸を走査することによって逐次読出される極座標値(r.θ)を読出アドレスとして読み出される極座標メモリと、読み出された極座標メモリの内容が対応する座標(x.y)に書き込まれるフレームメモリとを設け、このフレームメモリを走査して得られる時系列信号データによって、ラスタスキャン表示器に画像表示を行うようにしたことを特徴とするレーダ映像表示方式
【請求項2】
請求項1に記載のレーダ画像表示方式において、1ラスタスキャン周期内にアンテナ回転によって変化する直交座標上のデータ領域を、既知である方位データを用いて算出し、算出された領域内のX軸、Y軸の値でアドレステーブルを走査するようにしたこと特徴とするレーダ画像表示方式

【図1】
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【図2】
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