レーダ装置及び周波数制御プログラム
【課題】ターゲットの未検知、誤検知を防ぐようにする。
【解決手段】レーダ装置10は、送信部1と受信部2と制御部3とを有する。送信部1は、所定周波数に設定した電波を出力する。受信部2は、アンテナ4により電波がターゲット5によって反射された反射波を受信する。制御部3は、受信部2によって受信された反射波に基づいて、所定範囲の受信レベルのターゲット5が存在することを検知した場合に、送信部1が出力する送信波の周波数を変更する。
【解決手段】レーダ装置10は、送信部1と受信部2と制御部3とを有する。送信部1は、所定周波数に設定した電波を出力する。受信部2は、アンテナ4により電波がターゲット5によって反射された反射波を受信する。制御部3は、受信部2によって受信された反射波に基づいて、所定範囲の受信レベルのターゲット5が存在することを検知した場合に、送信部1が出力する送信波の周波数を変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、ターゲットを検知するレーダ装置及び周波数制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーダ装置を自動車の走行支援に用いる場合には、距離計測範囲は数m〜百数十m程度まで、計測速度は0km/h〜±200km/h程度までの範囲で、かつ気象条件や時間帯によらないで、歩行者、バイク、大型車両まで種々の物体を安定して検出することが求められる。また、同時に直線路、カーブ路を問わず、自車の進行方向前方に存在する先行車両が車両制御に必要な自レーン上に存在する車両か、隣接レーンに存在する車両かを識別する必要もある。そのために相対横位置(角度)を検出することが要求され、発射される電波を所定の角度範囲にスキャンする必要がある。
【0003】
通信用の電子機器を使用する場合と同様、このようなレーダ装置で度々発生する電波障害の一つに、マルチパスがある。使用しているレーダ装置からの送信波が通信相手、又は検知目標に至るまでには様々な経路があり、電波もこれらの経路を通って通信相手、又は検知目標に到達する。このため、それぞれの経路を通って到達した電波間には位相差が起こり、この位相差によって相互に強めあったり、打ち消しあったりするのがマルチパスである。
【0004】
レーダ使用時にマルチパスによって目標から反射される受信電力が低くなると、正しい検知ができなくなって、未検知、誤検知の原因ともなる。なお、レーダ装置からミリ波を発射してターゲットを補足する方式では、FM−CW、2周波CW、パルス、スペクトラム拡散(SS)方式等、様々な変調方式があるが、いずれの場合もマルチパスが問題とされる。
【0005】
干渉を含む電波障害による誤検知を防止する車載用レーダ装置としては、送信波の中心周波数を周期的にシフトし、それぞれの周波数において検出された障害物の位置情報の中で多数決を行い、電波障害で誤った障害物検知結果がある場合にそれを排除するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−109046号公報
【特許文献2】特開平6−66934号公報
【特許文献3】特開2004−117246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、検知目標であるターゲットが移動する場合、その移動によってマルチパスの電波間の位相差が変化し、ターゲットのレーダからの距離によっては、受信レベルが低下して検知不能となる場合が生じるという問題点があった。
【0008】
本件はこのような点に鑑みてなされたものであり、受信電力がピークとなる周波数に切り替えて電波を送信することによって、未検知、誤検知を防ぐようにしたレーダ装置及び周波数制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、レーダ装置が提供される。このレーダ装置は、送信波を出力する送信部と、前記送信波のターゲットによって反射された反射波を受信する受信部と、前記受信部で受信された前記反射波に基づいて、所定範囲の受信レベルの前記ターゲットが存在することを検知した場合に、前記送信部が出力する前記送信波の周波数を変更する制御部と、を有する。
【0010】
また、上記課題を解決するために、送信波を出力する送信部と、前記送信波のターゲットによって反射された反射波を受信する受信部とを備えたレーダ装置の周波数制御プログラムが提供される。この周波数制御プログラムは、コンピュータを、前記受信部で受信された前記反射波に基づいて、所定範囲の受信レベルの前記ターゲットが存在することを検知した場合に、前記送信部が出力する前記送信波の周波数を変更する制御手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
開示のレーダ装置及び周波数制御プログラムによれば、ターゲットの未検知、誤検知を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態に係るレーダ装置を示す図である。
【図2】マルチパスのイメージを説明する図である。
【図3】図2のA−B間の距離とA点での反射波の受信レベルとの関係を示す図である。
【図4】第2の実施の形態に係るミリ波レーダ装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図5】図4のCPUの機能ブロック図である。
【図6】周波数条件を振った計算結果を示す図である。
【図7】周波数変更後の受信電力を説明する図である。
【図8】周波数の変更タイミングを説明する図である。
【図9】経路間の距離を求める手順を説明する図である。
【図10】周波数可変の別のタイミング例を説明する図である。
【図11】レーダ装置の周波数切り替え時の動作手順を示すフローチャートである。
【図12】レーダ装置を交差点における車両接近検知に用いる一例を示す図である。
【図13】レーダ装置を投擲距離の計測に用いる一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、第1の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、第1の実施の形態に係るレーダ装置を示す図である。図1に示すように、レーダ装置10は、送信部1、受信部2及び制御部3を有している。送信部1と受信部2は、レーダ装置10のアンテナ4に接続されている。図1には、レーダ装置10によって検知されるターゲット5も示してある。
【0014】
送信部1は、所定周波数に設定した電波をアンテナ4からターゲット5に向けて出力する。この電波はターゲット5によって反射され、受信部2はアンテナ4を介してこの反射された電波(反射波)を受信する。
【0015】
制御部3は、受信部2によって受信された反射波に基づいて、所定範囲の受信レベルのターゲット5が存在することを検知した場合に、送信部1の送信波の周波数を変更する。
次に、マルチパスの一例を説明する。
【0016】
図2は、マルチパスのイメージを説明する図である。図2では、レーダ装置10がA点にあり、その検知対象であるターゲット5がB点にあるとして、両者は直線距離にしてR1だけ離れて位置しているものとする。
【0017】
A点にあるレーダ装置10は、B点にあるターゲット5の存在を検知するために、アンテナ4から複数の方向に向けて電波を送信する。そのとき、ターゲット5に到達する電波のルートとしては、直接波RABと複数の間接波が想定される。複数の間接波のうち、レーダ装置10のターゲット5の検出に影響を与える代表的なものとして、大地Gの中央(A点とB点の中央のC点)で反射してターゲット5に到達する間接波RACBが考えられる。
【0018】
すなわち、ターゲット5には、直接波RABと間接波RACBとが到達し、ターゲット5の受ける電波の電力は、この二つの電波を合成した電力となる。そして、直接波RABと間接波RACBの位相差に応じて、ターゲット5の受ける電波の電力は変化する。
【0019】
例えば、ターゲット5において、直接波RABと間接波RACBが、同相で到達すればターゲット5の受ける電力は大きくなるが、逆相で到達すれば小さくなる。
ターゲット5の受ける電波の電力が小さくなれば、ターゲット5から反射される反射波の電力も小さくなる。そうすると、レーダ装置10が受信する反射波の電力も小さくなり、ターゲット5の未検知、誤検知が生じる。
【0020】
ターゲット5に到来する直接波RABと間接波RACBの位相差φは、レーダ装置10で設定される電波の波長λ、検知対象であるターゲット5とアンテナ4との距離R1、及びそれぞれアンテナ4とターゲット5の大地Gからの高さh1,h2によって決まる。距離R1の直接波RABと、経路長R2の間接波RACBの間で生じる位相差φは、次の式(1)によって示される。
【0021】
φ=(R2−R1)・2π/λ …(1)
図3は、図2のA−B間の距離とA点での反射波の受信レベルとの関係を示す図である。図3では、一例として、電波の周波数が76GHz、直接波RAB及び間接波RACBのターゲット5への到来電力が同一であるとした場合に、A点での電波の電力レベルを計算した結果を示している。ここでは、レーダ装置10のアンテナ4の地上高h1を1m、ターゲット5の地上高h2を1mと、同じ高さにあると想定している。
【0022】
レーダ装置10で受信される反射波に対して及ぼすマルチパスの影響としては、図3から以下のような現象を指摘することができる。
ターゲットまでの距離(A−B間距離)が遠くなると、A点での受信レベル(dB)が低くなるだけでなく、反射波の受信ができなくなるヌル(null)点が周期的に発生する。また、レーダ装置10からターゲット5までの距離が遠方になるほどヌル点の幅が広がるため、ターゲット5の不検知範囲も大きくなる。なお、図3には、レーダ装置10がターゲット5の存在を検知する閾値の例を示している。図3では、閾値は、例えば、−50dBである。レーダ装置10は、反射波の受信レベルが−50dBより小さい場合、ターゲット5が存在しないと判断する。
【0023】
すなわち、距離が百m以下の場合には不検知範囲が連続しても1m以下であるが、遠方になるにつれて不検知範囲が長く続くようになり、134〜136mの2m範囲や154〜158mの4m範囲で不検知範囲が連続してしまう。このことは、走行車両をターゲットとして検知するためのレーダ装置の場合に、一旦、不検知範囲に入った車両は、数mの範囲にわたって不検知状態が連続することになり、レーダシステムを構成する上で大きな問題であった。
【0024】
ところで、上述したようにヌル点の発生は波長λに関係している。したがって、レーダ装置10は、電波の設定周波数を切り替えて、その波長λを変えることでマルチパスの影響を低減することが可能となる。
【0025】
そこで、レーダ装置10の制御部3は、受信部2によって受信された反射波に基づいて、所定範囲の受信レベルのターゲット5が存在することを検知した場合に、送信部1の送信波の周波数を変更する。すなわち、レーダ装置10の制御部3は、例えば、ターゲット5が不検知範囲に近づこうとしている場合、送信波の周波数を変更して、ヌル点を移動する。
【0026】
例えば、図3の例において、制御部3は、受信部2によって受信された反射波の受信レベルが、−50dB以上で−45dB以下である場合に、送信部1の送信波の周波数を変更する。これにより、ヌル点が移動し、レーダ装置10は、ターゲット5の未検知や誤検知を防ぐことができる。
【0027】
また、レーダ装置10は、反射波の受信レベルが所定範囲にある場合に送信波の周波数を変化させる。すなわち、レーダ装置10は、ターゲット5が存在する場合に送信波の周波数を、ターゲット5を検知しやすい周波数に変え、ターゲット5が存在しない場合には、送信波の周波数を変えない。これにより、レーダ装置10は、消費電力を抑制することができる。
【0028】
次に、第2の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図4は、第2の実施の形態に係るミリ波レーダ装置のハードウェア構成例を示す図である。
【0029】
ミリ波レーダ装置100は、レーダ送受信部11、受信電力測定部12、受信周波数測定部13、CPU14、メモリ15、信号発生部16、スキャナ制御部17を有している。このミリ波レーダ装置100では、スキャナ制御部17によって上下方向に回転制御されるスキャナ18、及びこのスキャナ18と一体に回転する平面アンテナとしてのレーダアンテナ19を備えている。
【0030】
レーダ送受信部11では、レーダアンテナ19によりミリ波を送信するとともに、受信したターゲットからの反射波の信号処理を行う。
受信電力測定部12では、受信信号の電力を測定することにより、ターゲットの抽出に必要な受信レベル情報をCPU14に出力する。
【0031】
受信周波数測定部13は、受信されたミリ波信号の周波数を測定して、距離測定に必要な周波数情報をCPU14に出力する。
CPU14は、スキャナ制御部17を介してスキャナ18の回転を制御する。また、CPU14は、信号発生部16におけるミリ波の送信周波数を制御する。
【0032】
メモリ15には、CPU14が信号発生部16の周波数制御を行うためのプログラムが格納される。また、メモリ15には、ターゲットまでの距離測定等、CPU14の処理に必要な各種データ等も格納されている。
【0033】
レーダアンテナ19は、スキャナ18を回転制御しながら所定の送信周波数に設定されたミリ波を送信する。ここでは、図示しないターゲットを捉えたときにそこから反射される電波をレーダアンテナ19で受信することにより、百数十m程度の範囲の状況を探知可能なミリ波帯の電波を用いたレーダシステムが構成される。
【0034】
ミリ波レーダ装置100では、直進性に優れたミリ波を利用することから、霧の中や降雨・降雪時においても使用可能であり、例えば衝突軽減を目的とする車載レーダとしての利用が可能である。ミリ波として現在、利用できる周波数帯は60GHz帯及び76GHz帯であり、小電力ミリ波レーダとして種々の技術的条件が規定されている。
【0035】
ミリ波レーダ装置100の場合、受信電力測定部12における電力レベルに対して閾値を設定して、閾値よりも電力レベルが高ければターゲットの存在を検知し、電力レベルが下回ればターゲットが存在しないと判断する。
【0036】
図5は、図4のCPUの機能ブロック図である。
CPU14は、離間距離測定部141、マルチパス経路長測定部142、及び周波数算出部143を有する。
【0037】
離間距離測定部141は、受信周波数測定部13から受信周波数信号を受け取って、アンテナ4とターゲット5の間の距離を算出する。
マルチパス経路長測定部142は、離間距離測定部141で算出された距離を基に、マルチパスの経路長を算出する。
【0038】
周波数算出部143は、受信周波数測定部13で測定された反射波の周波数と、離間距離測定部141で算出された距離と、マルチパス経路長測定部142で算出されたマルチパスの経路長とに基づいて、変更する送信波の周波数を算出する。周波数算出部143は、受信電力測定部12で測定された反射波の受信レベルが、例えば、初期設定で設定された所定の閾値範囲内にある場合、変更する送信波の周波数を算出する。例えば、周波数算出部143は、図3で説明したように、反射波の受信レベルが−50dBから−45dBの間にある場合に前記のパラメータに基づいて、変更する送信波の周波数を算出する。
【0039】
メモリ15には、上述した離間距離測定部141、マルチパス経路長測定部142、及び周波数算出部143での演算結果が一時的に格納される。周波数算出部143は、信号発生部16及びメモリ15と接続され、ここに記憶された演算結果に基づいて新たに設定する周波数値を算出する。
【0040】
図6は、周波数条件を振った計算結果を示す図である。
ここには、図3に対して周波数条件を振った計算結果を示しており、レーダ周波数(=λ)を変えることで変化するヌル点の発生距離を示している。
【0041】
図6で、ターゲットまでの距離(A−B間距離)が154〜158mにおいて、76GHzの受信レベルはヌル点となっており、この範囲にターゲットが存在する場合は不検知となってしまう。一方、同じ距離範囲でも82GHzの受信レベルをみるとほぼピーク値を示しており、そのような電波を送信すれば、ターゲット検知に必要な受信レベルが十分に確保される。こうした現象を利用して、送信波の周波数を受信電力に応じて変換することによって、不検知エリアをなくすことが可能になる。
【0042】
次にマルチパスによりピークを示す周波数、レーダ高さと距離の関係を考える。
マルチパスの影響を受けた代表的な受信電力は図2で直接波の電力と大地との反射波の電力の合成となり、次式(2)で表される。
【0043】
Pm=Pd・Pr|cosφ| …(2)
式(2)より|cosφ|=1の時、Pmはピークとなるのでφ=nπ(nは整数)となる時の波長λ(周波数)を求めれば良い。また式(1)より、この式は2πδ/λ=nπ(nは整数)となるため、次式(3)のようになる。
【0044】
2δ/λ=n(nは整数、λは送信波の波長) …(3)
図2の場合と同様、レーダ地上高h1=1m、検知対象地上高h2=1mの条件で、レーダ周波数を76GHzとしたとき、A−B間距離156mとすると式(3)の左辺は6.5となる。この6.5の小数点以下を切り上げ、整数である7とすると、この時のレーダ周波数は82GHzとなる。一方、6.5の小数点以下を切り下げ、整数である6とすると、この時のレーダ周波数は70.3GHzとなる。
【0045】
図7は、周波数変更後の受信電力を説明する図である。
図に示すように、nを7に切り上げた場合の82GHzでも、小数点以下を切り捨てて6にした場合の70.3GHzでも、ターゲットまでの距離154〜158mに生じるヌル点を補完するだけの受信レベルが得られる。
【0046】
このように式(3)の左辺を計算し、小数点以下を切り上げ又は切り下げることによって受信電力がピークとなる周波数(ヌル点となるレーダー周波数の近傍)を求め切り替えを行えば、図7のように、76GHzでヌル点となったエリアの受信電力を70.3GHz、又は82GHzにレーダ周波数を切り替えることでピークとすることができ、検知するのに十分な受信電力を確保することができる。
【0047】
図8は、周波数の変更タイミングを説明する図である。
ここでは、移動するターゲットBがA点に設置されたレーダ装置10から伸びる直線上で遠ざかる同図(A)の場合と、移動する複数のターゲットC,DがA点に設置されたレーダ装置10によって検知される同図(B)の場合について説明する。
【0048】
図8(A)のようにB1のターゲットについて、例えば82GHzのレーダ周波数で検知している場合であっても、ターゲットがB2に移動した時点で不検知となってしまうことがある。そのような場合には、例えば、もとの76GHzにレーダ周波数を再度切り替えることで、ヌル点を回避することができる。
【0049】
なお、ここではレーダ装置10の検知可能距離を100mとする。レーダ装置10は、検知可能距離100m内にターゲットが存在しなくなった場合、レーダ周波数をもとの76GHzに切り替えるようにしてもよい。
【0050】
図8(B)では、2つのターゲットC,Dを同時に検知しているとき、いずれか一方のターゲットC,Dの検知もできなくなったとき、レーダ周波数を例えば82GHzに切り替える。
【0051】
なお、この場合もレーダ装置10は、検知可能距離100m内にターゲットが存在しなくなった場合、レーダ周波数をもとの76GHzに切り替えるようにしてもよい。
図9は、経路間の距離を求める手順を説明する図である。
【0052】
ここでは、図2のマルチパスのイメージとは、別のイメージを想定している。すなわち、レーダ装置10が地上からh3の高さのA点に設置され、ターゲットBが地上からh4に存在する場合を考える。
【0053】
A点のレーダ装置10は、スキャナによって角度θに振った時点でターゲットBからの反射波を検知したとする。すると、この角度θとA−B間の直線距離R3とから直角三角形ABCにおける距離AB及びACを求めることができる。したがって、中間点Dで反射してターゲットに到達する間接波の経路距離R4(=R41+R42)を求めて、直接波の直線距離R3との経路差δ(=R4−R3)を得ることができる。
【0054】
ところで、レーダ装置10は、図3で説明したように、受信された反射波の受信レベルが、ターゲットの存在を検知するための閾値(例えば、図3で説明した−50dB)と、この閾値より大きい閾値(例えば、図3で説明した−45dB)との間にある場合、例えば、ターゲット5は不検知領域に近づいていると判断して送信波の周波数を変化した。以下では、受信電力の雑音電力値を基に周波数を変える例について説明する。
【0055】
図10は、周波数可変の別のタイミング例を説明する図である。ミリ波レーダ装置100の受信電力測定部12では、ターゲットを捉えていないときには、受信電力として雑音電力値が現れている。ここでは、この雑音電力値の平均値を雑音受信レベルと呼ぶ。
【0056】
ミリ波レーダ装置100は、受信された反射波の受信レベルが、雑音受信レベル201より大きい閾値202と、閾値202より大きい閾値203との間に存在する場合、送信波の周波数を変更する。すなわち、ミリ波レーダ装置100は、例えば、閾値203以上にあった反射波の受信レベルが徐々に低下し、閾値202と閾値203の間に入ったとき、ターゲット5が不検知領域に近づいていると判断し、送信波の周波数を変化する。なお、ミリ波レーダ装置100は、受信レベルが閾値202より小さい場合、ターゲット5は存在しないと判断する。この場合、ミリ波レーダ装置100は、送信波の周波数を変更しない。
【0057】
雑音受信レベル201は、周囲の環境等によって変化する場合がある。そこで、閾値202は、雑音受信レベル201に所定のレベルを加算した値とし、閾値203は、閾値202に所定のレベルを加算した値とする。例えば、閾値202は、雑音受信レベル201+5dBとなるようにする。閾値203は、例えば、閾値202+5dBとなるようにする。これにより、ミリ波レーダ装置100は、周囲の環境等に応じて、適切な周波数の変更が可能となる。なお、各閾値間の差分は上記例に限るものではなく、閾値201と閾値202との差分、閾値202と閾値203との差分は、異なる値であっても良い。また例えば、ターゲットの検知精度として、より高い精度が求められる場合は、各閾値間の差分を上記例示よりも大きな値にすることが考えられる。また例えば、ターゲットの反射散乱断面積(RCS)が小さい場合には、反射散乱断面積が大きいターゲットの場合と比較して、各閾値間の差分をより小さくすることが考えられる。
【0058】
図11は、レーダ装置の周波数切り替え時の動作手順を示すフローチャートである。
ステップS11において、CPU14は、周波数切り替えを行うための閾値を設定する。例えば、図3で説明した−50dB〜−45dB、又は、図10で説明した閾値202,203を設定する。
【0059】
ステップS12において、レーダ送受信部11では、所定周波数に設定されたミリ波をレーダアンテナ19から送信する。
ステップS13において、スキャナ制御部17から所定の角速度で回転するようにスキャナ18を起動する。
【0060】
ステップS14において、ターゲットとしての物体からレーダアンテナ19に戻ってきた反射波を受信すると、次にステップS15〜S17が実行される。反射波の受信は周期的に行われる。ステップS15においては、反射波の受信レベルが受信電力測定部12で測定される。また、ステップS16において、CPU14ではスキャナ制御部17からの回転角度データに基づいて、物体の存在する方向が判別される。さらに、ステップS17において、受信された反射波の周波数が受信周波数測定部13で測定され、ステップS18に進む。
【0061】
ステップS18において、離間距離測定部141はレーダ装置から物体までの離間距離を測定する。
ステップS19において、ステップS15で測定された受信レベルがステップS11で設定された閾値と比較される。このとき、受信レベルが閾値範囲外にある場合には、ステップS20に進み、ミリ波の送信周波数の切り替えを行わない。例えば、CPU14は、受信レベルが上限の閾値より大きい場合は、現在の周波数でターゲットを十分検知できるので周波数の切り替えは行わない。また、CPU14は、受信レベルが下限の閾値より小さい場合は、ターゲット5が存在しないと判断し、周波数切り替えを行わない。
【0062】
一方、CPU14は、受信レベルが閾値範囲内にある場合、ステップS21に進んで、送信周波数の切り替えを実行する。
ステップS22において、ステップS18で測定された物体までの離間距離と、ステップS16で測定された回転角度データとを基に、マルチパスの経路長を算出する。
【0063】
ステップS23において、ステップS18で測定された物体までの離間距離を基に、物体との間で生じる、直接波とマルチパスによる間接波との経路差δを算出する。
ステップS24において、ステップS23で算出された経路差δと、ステップS17で測定された反射波の周波数を基に、受信された波長λと2δとの比の値(2δ/λ)を算出する。
【0064】
ステップS25において、ステップS24で算出された比の値(2δ/λ)から、その小数点以下を切り上げ、あるいは切り下げることによって、整数値nを求める。
ステップS26において、ステップS25で求められた整数値nを基に、信号発生部16におけるミリ波の送信周波数fを算出する。
【0065】
ステップS27において、CPU14により算出された送信周波数fを信号発生部16に指示し、送信波の周波数を変更する。
以上の手順により、レーダ使用時にマルチパスによって目標から反射される受信電力が低くなった場合に、レーダ装置での周波数を切り替えて、ターゲットを正しく検知することができる。なお、レーダ装置からミリ波を送信してターゲットを補足する方式として、FM−CW、2周波CW、パルス、スペクトラム拡散(SS)方式等、様々な変調方式を採用することが可能である。
【0066】
また、ミリ波レーダ装置100は、反射波の受信レベルが所定範囲にある場合に送信波の周波数を変化させる。これにより、ミリ波レーダ装置100は、消費電力を抑制することができる。
【0067】
上述したミリ波レーダ装置100は、遠方から走行してくる自動車、電車などの車両を検知して接近を知らせるレーダシステムとして利用できる。
図12は、レーダ装置を交差点における車両接近検知に用いる一例を示す図である。
【0068】
ここでは、交差点に接近する直進車両V1,V2を検知して、右折する対向車両V3にその旨を知らせるために設置されたミリ波レーダ装置Mを示している。ミリ波レーダ装置Mは、長距離検知によって交差点に直進車両V1,V2が接近していることを対向車両V3の運転者に知らせる。
【0069】
これにより、交差点を右折しようとする場合の安全を図ることができるだけでなく、マルチパスの影響による不検知範囲内に車両が存在したとしても未検知とならないため、直進車両の確実な検知が可能である。
【0070】
上述したミリ波レーダ装置は、投擲競技などにおいて距離を測定するレーダシステムとしても利用できる。
図13は、レーダ装置を投擲距離の計測に用いる一例を示す図である。
【0071】
ミリ波レーダ装置Mは、投擲された砲丸Baを検知して、その落下地点までの距離を割り出すものである。投擲された砲丸Baがマルチパスの影響による不検知範囲内に存在した場合でも、確実に検知して距離計測が可能である。
【0072】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、レーダ装置10が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記憶装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD、DVD−RAM、CD−ROM/RWなどがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0073】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0074】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0075】
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)などの電子回路で実現することもできる。
【符号の説明】
【0076】
1 送信部
2 受信部
3 制御部
4 アンテナ
5 ターゲット
10 レーダ装置
【技術分野】
【0001】
本件は、ターゲットを検知するレーダ装置及び周波数制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーダ装置を自動車の走行支援に用いる場合には、距離計測範囲は数m〜百数十m程度まで、計測速度は0km/h〜±200km/h程度までの範囲で、かつ気象条件や時間帯によらないで、歩行者、バイク、大型車両まで種々の物体を安定して検出することが求められる。また、同時に直線路、カーブ路を問わず、自車の進行方向前方に存在する先行車両が車両制御に必要な自レーン上に存在する車両か、隣接レーンに存在する車両かを識別する必要もある。そのために相対横位置(角度)を検出することが要求され、発射される電波を所定の角度範囲にスキャンする必要がある。
【0003】
通信用の電子機器を使用する場合と同様、このようなレーダ装置で度々発生する電波障害の一つに、マルチパスがある。使用しているレーダ装置からの送信波が通信相手、又は検知目標に至るまでには様々な経路があり、電波もこれらの経路を通って通信相手、又は検知目標に到達する。このため、それぞれの経路を通って到達した電波間には位相差が起こり、この位相差によって相互に強めあったり、打ち消しあったりするのがマルチパスである。
【0004】
レーダ使用時にマルチパスによって目標から反射される受信電力が低くなると、正しい検知ができなくなって、未検知、誤検知の原因ともなる。なお、レーダ装置からミリ波を発射してターゲットを補足する方式では、FM−CW、2周波CW、パルス、スペクトラム拡散(SS)方式等、様々な変調方式があるが、いずれの場合もマルチパスが問題とされる。
【0005】
干渉を含む電波障害による誤検知を防止する車載用レーダ装置としては、送信波の中心周波数を周期的にシフトし、それぞれの周波数において検出された障害物の位置情報の中で多数決を行い、電波障害で誤った障害物検知結果がある場合にそれを排除するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−109046号公報
【特許文献2】特開平6−66934号公報
【特許文献3】特開2004−117246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、検知目標であるターゲットが移動する場合、その移動によってマルチパスの電波間の位相差が変化し、ターゲットのレーダからの距離によっては、受信レベルが低下して検知不能となる場合が生じるという問題点があった。
【0008】
本件はこのような点に鑑みてなされたものであり、受信電力がピークとなる周波数に切り替えて電波を送信することによって、未検知、誤検知を防ぐようにしたレーダ装置及び周波数制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、レーダ装置が提供される。このレーダ装置は、送信波を出力する送信部と、前記送信波のターゲットによって反射された反射波を受信する受信部と、前記受信部で受信された前記反射波に基づいて、所定範囲の受信レベルの前記ターゲットが存在することを検知した場合に、前記送信部が出力する前記送信波の周波数を変更する制御部と、を有する。
【0010】
また、上記課題を解決するために、送信波を出力する送信部と、前記送信波のターゲットによって反射された反射波を受信する受信部とを備えたレーダ装置の周波数制御プログラムが提供される。この周波数制御プログラムは、コンピュータを、前記受信部で受信された前記反射波に基づいて、所定範囲の受信レベルの前記ターゲットが存在することを検知した場合に、前記送信部が出力する前記送信波の周波数を変更する制御手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
開示のレーダ装置及び周波数制御プログラムによれば、ターゲットの未検知、誤検知を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態に係るレーダ装置を示す図である。
【図2】マルチパスのイメージを説明する図である。
【図3】図2のA−B間の距離とA点での反射波の受信レベルとの関係を示す図である。
【図4】第2の実施の形態に係るミリ波レーダ装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図5】図4のCPUの機能ブロック図である。
【図6】周波数条件を振った計算結果を示す図である。
【図7】周波数変更後の受信電力を説明する図である。
【図8】周波数の変更タイミングを説明する図である。
【図9】経路間の距離を求める手順を説明する図である。
【図10】周波数可変の別のタイミング例を説明する図である。
【図11】レーダ装置の周波数切り替え時の動作手順を示すフローチャートである。
【図12】レーダ装置を交差点における車両接近検知に用いる一例を示す図である。
【図13】レーダ装置を投擲距離の計測に用いる一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、第1の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、第1の実施の形態に係るレーダ装置を示す図である。図1に示すように、レーダ装置10は、送信部1、受信部2及び制御部3を有している。送信部1と受信部2は、レーダ装置10のアンテナ4に接続されている。図1には、レーダ装置10によって検知されるターゲット5も示してある。
【0014】
送信部1は、所定周波数に設定した電波をアンテナ4からターゲット5に向けて出力する。この電波はターゲット5によって反射され、受信部2はアンテナ4を介してこの反射された電波(反射波)を受信する。
【0015】
制御部3は、受信部2によって受信された反射波に基づいて、所定範囲の受信レベルのターゲット5が存在することを検知した場合に、送信部1の送信波の周波数を変更する。
次に、マルチパスの一例を説明する。
【0016】
図2は、マルチパスのイメージを説明する図である。図2では、レーダ装置10がA点にあり、その検知対象であるターゲット5がB点にあるとして、両者は直線距離にしてR1だけ離れて位置しているものとする。
【0017】
A点にあるレーダ装置10は、B点にあるターゲット5の存在を検知するために、アンテナ4から複数の方向に向けて電波を送信する。そのとき、ターゲット5に到達する電波のルートとしては、直接波RABと複数の間接波が想定される。複数の間接波のうち、レーダ装置10のターゲット5の検出に影響を与える代表的なものとして、大地Gの中央(A点とB点の中央のC点)で反射してターゲット5に到達する間接波RACBが考えられる。
【0018】
すなわち、ターゲット5には、直接波RABと間接波RACBとが到達し、ターゲット5の受ける電波の電力は、この二つの電波を合成した電力となる。そして、直接波RABと間接波RACBの位相差に応じて、ターゲット5の受ける電波の電力は変化する。
【0019】
例えば、ターゲット5において、直接波RABと間接波RACBが、同相で到達すればターゲット5の受ける電力は大きくなるが、逆相で到達すれば小さくなる。
ターゲット5の受ける電波の電力が小さくなれば、ターゲット5から反射される反射波の電力も小さくなる。そうすると、レーダ装置10が受信する反射波の電力も小さくなり、ターゲット5の未検知、誤検知が生じる。
【0020】
ターゲット5に到来する直接波RABと間接波RACBの位相差φは、レーダ装置10で設定される電波の波長λ、検知対象であるターゲット5とアンテナ4との距離R1、及びそれぞれアンテナ4とターゲット5の大地Gからの高さh1,h2によって決まる。距離R1の直接波RABと、経路長R2の間接波RACBの間で生じる位相差φは、次の式(1)によって示される。
【0021】
φ=(R2−R1)・2π/λ …(1)
図3は、図2のA−B間の距離とA点での反射波の受信レベルとの関係を示す図である。図3では、一例として、電波の周波数が76GHz、直接波RAB及び間接波RACBのターゲット5への到来電力が同一であるとした場合に、A点での電波の電力レベルを計算した結果を示している。ここでは、レーダ装置10のアンテナ4の地上高h1を1m、ターゲット5の地上高h2を1mと、同じ高さにあると想定している。
【0022】
レーダ装置10で受信される反射波に対して及ぼすマルチパスの影響としては、図3から以下のような現象を指摘することができる。
ターゲットまでの距離(A−B間距離)が遠くなると、A点での受信レベル(dB)が低くなるだけでなく、反射波の受信ができなくなるヌル(null)点が周期的に発生する。また、レーダ装置10からターゲット5までの距離が遠方になるほどヌル点の幅が広がるため、ターゲット5の不検知範囲も大きくなる。なお、図3には、レーダ装置10がターゲット5の存在を検知する閾値の例を示している。図3では、閾値は、例えば、−50dBである。レーダ装置10は、反射波の受信レベルが−50dBより小さい場合、ターゲット5が存在しないと判断する。
【0023】
すなわち、距離が百m以下の場合には不検知範囲が連続しても1m以下であるが、遠方になるにつれて不検知範囲が長く続くようになり、134〜136mの2m範囲や154〜158mの4m範囲で不検知範囲が連続してしまう。このことは、走行車両をターゲットとして検知するためのレーダ装置の場合に、一旦、不検知範囲に入った車両は、数mの範囲にわたって不検知状態が連続することになり、レーダシステムを構成する上で大きな問題であった。
【0024】
ところで、上述したようにヌル点の発生は波長λに関係している。したがって、レーダ装置10は、電波の設定周波数を切り替えて、その波長λを変えることでマルチパスの影響を低減することが可能となる。
【0025】
そこで、レーダ装置10の制御部3は、受信部2によって受信された反射波に基づいて、所定範囲の受信レベルのターゲット5が存在することを検知した場合に、送信部1の送信波の周波数を変更する。すなわち、レーダ装置10の制御部3は、例えば、ターゲット5が不検知範囲に近づこうとしている場合、送信波の周波数を変更して、ヌル点を移動する。
【0026】
例えば、図3の例において、制御部3は、受信部2によって受信された反射波の受信レベルが、−50dB以上で−45dB以下である場合に、送信部1の送信波の周波数を変更する。これにより、ヌル点が移動し、レーダ装置10は、ターゲット5の未検知や誤検知を防ぐことができる。
【0027】
また、レーダ装置10は、反射波の受信レベルが所定範囲にある場合に送信波の周波数を変化させる。すなわち、レーダ装置10は、ターゲット5が存在する場合に送信波の周波数を、ターゲット5を検知しやすい周波数に変え、ターゲット5が存在しない場合には、送信波の周波数を変えない。これにより、レーダ装置10は、消費電力を抑制することができる。
【0028】
次に、第2の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図4は、第2の実施の形態に係るミリ波レーダ装置のハードウェア構成例を示す図である。
【0029】
ミリ波レーダ装置100は、レーダ送受信部11、受信電力測定部12、受信周波数測定部13、CPU14、メモリ15、信号発生部16、スキャナ制御部17を有している。このミリ波レーダ装置100では、スキャナ制御部17によって上下方向に回転制御されるスキャナ18、及びこのスキャナ18と一体に回転する平面アンテナとしてのレーダアンテナ19を備えている。
【0030】
レーダ送受信部11では、レーダアンテナ19によりミリ波を送信するとともに、受信したターゲットからの反射波の信号処理を行う。
受信電力測定部12では、受信信号の電力を測定することにより、ターゲットの抽出に必要な受信レベル情報をCPU14に出力する。
【0031】
受信周波数測定部13は、受信されたミリ波信号の周波数を測定して、距離測定に必要な周波数情報をCPU14に出力する。
CPU14は、スキャナ制御部17を介してスキャナ18の回転を制御する。また、CPU14は、信号発生部16におけるミリ波の送信周波数を制御する。
【0032】
メモリ15には、CPU14が信号発生部16の周波数制御を行うためのプログラムが格納される。また、メモリ15には、ターゲットまでの距離測定等、CPU14の処理に必要な各種データ等も格納されている。
【0033】
レーダアンテナ19は、スキャナ18を回転制御しながら所定の送信周波数に設定されたミリ波を送信する。ここでは、図示しないターゲットを捉えたときにそこから反射される電波をレーダアンテナ19で受信することにより、百数十m程度の範囲の状況を探知可能なミリ波帯の電波を用いたレーダシステムが構成される。
【0034】
ミリ波レーダ装置100では、直進性に優れたミリ波を利用することから、霧の中や降雨・降雪時においても使用可能であり、例えば衝突軽減を目的とする車載レーダとしての利用が可能である。ミリ波として現在、利用できる周波数帯は60GHz帯及び76GHz帯であり、小電力ミリ波レーダとして種々の技術的条件が規定されている。
【0035】
ミリ波レーダ装置100の場合、受信電力測定部12における電力レベルに対して閾値を設定して、閾値よりも電力レベルが高ければターゲットの存在を検知し、電力レベルが下回ればターゲットが存在しないと判断する。
【0036】
図5は、図4のCPUの機能ブロック図である。
CPU14は、離間距離測定部141、マルチパス経路長測定部142、及び周波数算出部143を有する。
【0037】
離間距離測定部141は、受信周波数測定部13から受信周波数信号を受け取って、アンテナ4とターゲット5の間の距離を算出する。
マルチパス経路長測定部142は、離間距離測定部141で算出された距離を基に、マルチパスの経路長を算出する。
【0038】
周波数算出部143は、受信周波数測定部13で測定された反射波の周波数と、離間距離測定部141で算出された距離と、マルチパス経路長測定部142で算出されたマルチパスの経路長とに基づいて、変更する送信波の周波数を算出する。周波数算出部143は、受信電力測定部12で測定された反射波の受信レベルが、例えば、初期設定で設定された所定の閾値範囲内にある場合、変更する送信波の周波数を算出する。例えば、周波数算出部143は、図3で説明したように、反射波の受信レベルが−50dBから−45dBの間にある場合に前記のパラメータに基づいて、変更する送信波の周波数を算出する。
【0039】
メモリ15には、上述した離間距離測定部141、マルチパス経路長測定部142、及び周波数算出部143での演算結果が一時的に格納される。周波数算出部143は、信号発生部16及びメモリ15と接続され、ここに記憶された演算結果に基づいて新たに設定する周波数値を算出する。
【0040】
図6は、周波数条件を振った計算結果を示す図である。
ここには、図3に対して周波数条件を振った計算結果を示しており、レーダ周波数(=λ)を変えることで変化するヌル点の発生距離を示している。
【0041】
図6で、ターゲットまでの距離(A−B間距離)が154〜158mにおいて、76GHzの受信レベルはヌル点となっており、この範囲にターゲットが存在する場合は不検知となってしまう。一方、同じ距離範囲でも82GHzの受信レベルをみるとほぼピーク値を示しており、そのような電波を送信すれば、ターゲット検知に必要な受信レベルが十分に確保される。こうした現象を利用して、送信波の周波数を受信電力に応じて変換することによって、不検知エリアをなくすことが可能になる。
【0042】
次にマルチパスによりピークを示す周波数、レーダ高さと距離の関係を考える。
マルチパスの影響を受けた代表的な受信電力は図2で直接波の電力と大地との反射波の電力の合成となり、次式(2)で表される。
【0043】
Pm=Pd・Pr|cosφ| …(2)
式(2)より|cosφ|=1の時、Pmはピークとなるのでφ=nπ(nは整数)となる時の波長λ(周波数)を求めれば良い。また式(1)より、この式は2πδ/λ=nπ(nは整数)となるため、次式(3)のようになる。
【0044】
2δ/λ=n(nは整数、λは送信波の波長) …(3)
図2の場合と同様、レーダ地上高h1=1m、検知対象地上高h2=1mの条件で、レーダ周波数を76GHzとしたとき、A−B間距離156mとすると式(3)の左辺は6.5となる。この6.5の小数点以下を切り上げ、整数である7とすると、この時のレーダ周波数は82GHzとなる。一方、6.5の小数点以下を切り下げ、整数である6とすると、この時のレーダ周波数は70.3GHzとなる。
【0045】
図7は、周波数変更後の受信電力を説明する図である。
図に示すように、nを7に切り上げた場合の82GHzでも、小数点以下を切り捨てて6にした場合の70.3GHzでも、ターゲットまでの距離154〜158mに生じるヌル点を補完するだけの受信レベルが得られる。
【0046】
このように式(3)の左辺を計算し、小数点以下を切り上げ又は切り下げることによって受信電力がピークとなる周波数(ヌル点となるレーダー周波数の近傍)を求め切り替えを行えば、図7のように、76GHzでヌル点となったエリアの受信電力を70.3GHz、又は82GHzにレーダ周波数を切り替えることでピークとすることができ、検知するのに十分な受信電力を確保することができる。
【0047】
図8は、周波数の変更タイミングを説明する図である。
ここでは、移動するターゲットBがA点に設置されたレーダ装置10から伸びる直線上で遠ざかる同図(A)の場合と、移動する複数のターゲットC,DがA点に設置されたレーダ装置10によって検知される同図(B)の場合について説明する。
【0048】
図8(A)のようにB1のターゲットについて、例えば82GHzのレーダ周波数で検知している場合であっても、ターゲットがB2に移動した時点で不検知となってしまうことがある。そのような場合には、例えば、もとの76GHzにレーダ周波数を再度切り替えることで、ヌル点を回避することができる。
【0049】
なお、ここではレーダ装置10の検知可能距離を100mとする。レーダ装置10は、検知可能距離100m内にターゲットが存在しなくなった場合、レーダ周波数をもとの76GHzに切り替えるようにしてもよい。
【0050】
図8(B)では、2つのターゲットC,Dを同時に検知しているとき、いずれか一方のターゲットC,Dの検知もできなくなったとき、レーダ周波数を例えば82GHzに切り替える。
【0051】
なお、この場合もレーダ装置10は、検知可能距離100m内にターゲットが存在しなくなった場合、レーダ周波数をもとの76GHzに切り替えるようにしてもよい。
図9は、経路間の距離を求める手順を説明する図である。
【0052】
ここでは、図2のマルチパスのイメージとは、別のイメージを想定している。すなわち、レーダ装置10が地上からh3の高さのA点に設置され、ターゲットBが地上からh4に存在する場合を考える。
【0053】
A点のレーダ装置10は、スキャナによって角度θに振った時点でターゲットBからの反射波を検知したとする。すると、この角度θとA−B間の直線距離R3とから直角三角形ABCにおける距離AB及びACを求めることができる。したがって、中間点Dで反射してターゲットに到達する間接波の経路距離R4(=R41+R42)を求めて、直接波の直線距離R3との経路差δ(=R4−R3)を得ることができる。
【0054】
ところで、レーダ装置10は、図3で説明したように、受信された反射波の受信レベルが、ターゲットの存在を検知するための閾値(例えば、図3で説明した−50dB)と、この閾値より大きい閾値(例えば、図3で説明した−45dB)との間にある場合、例えば、ターゲット5は不検知領域に近づいていると判断して送信波の周波数を変化した。以下では、受信電力の雑音電力値を基に周波数を変える例について説明する。
【0055】
図10は、周波数可変の別のタイミング例を説明する図である。ミリ波レーダ装置100の受信電力測定部12では、ターゲットを捉えていないときには、受信電力として雑音電力値が現れている。ここでは、この雑音電力値の平均値を雑音受信レベルと呼ぶ。
【0056】
ミリ波レーダ装置100は、受信された反射波の受信レベルが、雑音受信レベル201より大きい閾値202と、閾値202より大きい閾値203との間に存在する場合、送信波の周波数を変更する。すなわち、ミリ波レーダ装置100は、例えば、閾値203以上にあった反射波の受信レベルが徐々に低下し、閾値202と閾値203の間に入ったとき、ターゲット5が不検知領域に近づいていると判断し、送信波の周波数を変化する。なお、ミリ波レーダ装置100は、受信レベルが閾値202より小さい場合、ターゲット5は存在しないと判断する。この場合、ミリ波レーダ装置100は、送信波の周波数を変更しない。
【0057】
雑音受信レベル201は、周囲の環境等によって変化する場合がある。そこで、閾値202は、雑音受信レベル201に所定のレベルを加算した値とし、閾値203は、閾値202に所定のレベルを加算した値とする。例えば、閾値202は、雑音受信レベル201+5dBとなるようにする。閾値203は、例えば、閾値202+5dBとなるようにする。これにより、ミリ波レーダ装置100は、周囲の環境等に応じて、適切な周波数の変更が可能となる。なお、各閾値間の差分は上記例に限るものではなく、閾値201と閾値202との差分、閾値202と閾値203との差分は、異なる値であっても良い。また例えば、ターゲットの検知精度として、より高い精度が求められる場合は、各閾値間の差分を上記例示よりも大きな値にすることが考えられる。また例えば、ターゲットの反射散乱断面積(RCS)が小さい場合には、反射散乱断面積が大きいターゲットの場合と比較して、各閾値間の差分をより小さくすることが考えられる。
【0058】
図11は、レーダ装置の周波数切り替え時の動作手順を示すフローチャートである。
ステップS11において、CPU14は、周波数切り替えを行うための閾値を設定する。例えば、図3で説明した−50dB〜−45dB、又は、図10で説明した閾値202,203を設定する。
【0059】
ステップS12において、レーダ送受信部11では、所定周波数に設定されたミリ波をレーダアンテナ19から送信する。
ステップS13において、スキャナ制御部17から所定の角速度で回転するようにスキャナ18を起動する。
【0060】
ステップS14において、ターゲットとしての物体からレーダアンテナ19に戻ってきた反射波を受信すると、次にステップS15〜S17が実行される。反射波の受信は周期的に行われる。ステップS15においては、反射波の受信レベルが受信電力測定部12で測定される。また、ステップS16において、CPU14ではスキャナ制御部17からの回転角度データに基づいて、物体の存在する方向が判別される。さらに、ステップS17において、受信された反射波の周波数が受信周波数測定部13で測定され、ステップS18に進む。
【0061】
ステップS18において、離間距離測定部141はレーダ装置から物体までの離間距離を測定する。
ステップS19において、ステップS15で測定された受信レベルがステップS11で設定された閾値と比較される。このとき、受信レベルが閾値範囲外にある場合には、ステップS20に進み、ミリ波の送信周波数の切り替えを行わない。例えば、CPU14は、受信レベルが上限の閾値より大きい場合は、現在の周波数でターゲットを十分検知できるので周波数の切り替えは行わない。また、CPU14は、受信レベルが下限の閾値より小さい場合は、ターゲット5が存在しないと判断し、周波数切り替えを行わない。
【0062】
一方、CPU14は、受信レベルが閾値範囲内にある場合、ステップS21に進んで、送信周波数の切り替えを実行する。
ステップS22において、ステップS18で測定された物体までの離間距離と、ステップS16で測定された回転角度データとを基に、マルチパスの経路長を算出する。
【0063】
ステップS23において、ステップS18で測定された物体までの離間距離を基に、物体との間で生じる、直接波とマルチパスによる間接波との経路差δを算出する。
ステップS24において、ステップS23で算出された経路差δと、ステップS17で測定された反射波の周波数を基に、受信された波長λと2δとの比の値(2δ/λ)を算出する。
【0064】
ステップS25において、ステップS24で算出された比の値(2δ/λ)から、その小数点以下を切り上げ、あるいは切り下げることによって、整数値nを求める。
ステップS26において、ステップS25で求められた整数値nを基に、信号発生部16におけるミリ波の送信周波数fを算出する。
【0065】
ステップS27において、CPU14により算出された送信周波数fを信号発生部16に指示し、送信波の周波数を変更する。
以上の手順により、レーダ使用時にマルチパスによって目標から反射される受信電力が低くなった場合に、レーダ装置での周波数を切り替えて、ターゲットを正しく検知することができる。なお、レーダ装置からミリ波を送信してターゲットを補足する方式として、FM−CW、2周波CW、パルス、スペクトラム拡散(SS)方式等、様々な変調方式を採用することが可能である。
【0066】
また、ミリ波レーダ装置100は、反射波の受信レベルが所定範囲にある場合に送信波の周波数を変化させる。これにより、ミリ波レーダ装置100は、消費電力を抑制することができる。
【0067】
上述したミリ波レーダ装置100は、遠方から走行してくる自動車、電車などの車両を検知して接近を知らせるレーダシステムとして利用できる。
図12は、レーダ装置を交差点における車両接近検知に用いる一例を示す図である。
【0068】
ここでは、交差点に接近する直進車両V1,V2を検知して、右折する対向車両V3にその旨を知らせるために設置されたミリ波レーダ装置Mを示している。ミリ波レーダ装置Mは、長距離検知によって交差点に直進車両V1,V2が接近していることを対向車両V3の運転者に知らせる。
【0069】
これにより、交差点を右折しようとする場合の安全を図ることができるだけでなく、マルチパスの影響による不検知範囲内に車両が存在したとしても未検知とならないため、直進車両の確実な検知が可能である。
【0070】
上述したミリ波レーダ装置は、投擲競技などにおいて距離を測定するレーダシステムとしても利用できる。
図13は、レーダ装置を投擲距離の計測に用いる一例を示す図である。
【0071】
ミリ波レーダ装置Mは、投擲された砲丸Baを検知して、その落下地点までの距離を割り出すものである。投擲された砲丸Baがマルチパスの影響による不検知範囲内に存在した場合でも、確実に検知して距離計測が可能である。
【0072】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、レーダ装置10が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記憶装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD、DVD−RAM、CD−ROM/RWなどがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0073】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0074】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0075】
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)などの電子回路で実現することもできる。
【符号の説明】
【0076】
1 送信部
2 受信部
3 制御部
4 アンテナ
5 ターゲット
10 レーダ装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信波を出力する送信部と、
前記送信波がターゲットによって反射された反射波を受信する受信部と、
前記受信部で受信された前記反射波に基づいて、所定範囲の受信レベルの前記ターゲットが存在することを検知した場合に、前記送信部が出力する前記送信波の周波数を変更する制御部と、
を有することを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記送信部から前記ターゲットに直接到達する電波経路とマルチパスの電波経路との差δを算出し、前記送信部での設定周波数を、
2δ/λ=n(nは整数、λは前記送信波の波長)
となるように変更することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記受信部によって受信された反射波の受信レベルが、前記ターゲットの存在の有無を判断するための第1の閾値と、前記第1の閾値より大きい第2の閾値との間にある場合に、前記送信部が出力する前記送信波の周波数を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記受信部によって受信された反射波の受信レベルが、前記反射波の雑音受信レベルより大きい第1の閾値と、前記第1の閾値より大きい第2の閾値との間にある場合に、前記送信部が出力する前記送信波の周波数を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載のレーダ装置。
【請求項5】
送信波を出力する送信部と、前記送信波のターゲットによって反射された反射波を受信する受信部とを備えたレーダ装置の周波数制御プログラムにおいて、
コンピュータを、
前記受信部で受信された前記反射波に基づいて、所定範囲の受信レベルの前記ターゲットが存在することを検知した場合に、前記送信部が出力する前記送信波の周波数を変更する制御手段、
として機能させることを特徴とする周波数制御プログラム。
【請求項1】
送信波を出力する送信部と、
前記送信波がターゲットによって反射された反射波を受信する受信部と、
前記受信部で受信された前記反射波に基づいて、所定範囲の受信レベルの前記ターゲットが存在することを検知した場合に、前記送信部が出力する前記送信波の周波数を変更する制御部と、
を有することを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記送信部から前記ターゲットに直接到達する電波経路とマルチパスの電波経路との差δを算出し、前記送信部での設定周波数を、
2δ/λ=n(nは整数、λは前記送信波の波長)
となるように変更することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記受信部によって受信された反射波の受信レベルが、前記ターゲットの存在の有無を判断するための第1の閾値と、前記第1の閾値より大きい第2の閾値との間にある場合に、前記送信部が出力する前記送信波の周波数を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記受信部によって受信された反射波の受信レベルが、前記反射波の雑音受信レベルより大きい第1の閾値と、前記第1の閾値より大きい第2の閾値との間にある場合に、前記送信部が出力する前記送信波の周波数を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載のレーダ装置。
【請求項5】
送信波を出力する送信部と、前記送信波のターゲットによって反射された反射波を受信する受信部とを備えたレーダ装置の周波数制御プログラムにおいて、
コンピュータを、
前記受信部で受信された前記反射波に基づいて、所定範囲の受信レベルの前記ターゲットが存在することを検知した場合に、前記送信部が出力する前記送信波の周波数を変更する制御手段、
として機能させることを特徴とする周波数制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−196757(P2011−196757A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62158(P2010−62158)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]