説明

レーダ装置

【課題】各レーダで探知すべき覆域を最適化し、短いデータ更新間隔で要求覆域を探知できるレーダ装置を得る。
【解決手段】要求覆域を保持する要求覆域保持手段2と、レーダ情報を保持するレーダ情報保持手段3と、覆域境界を表す覆域境界情報を保持する覆域境界保持手段5と、要求覆域、レーダ情報及び覆域境界情報に基づき、複数のレーダのそれぞれの覆域を求め、覆域を探知するために必要な時間であるデータ更新間隔を評価するデータ更新間隔評価手段6と、データ更新間隔評価手段6の出力に基づき、覆域が隣接するレーダ間のデータ更新間隔の差が減少するように、覆域境界情報を修正して覆域境界保持手段5に記録する覆域境界修正手段7と、要求覆域、レーダ情報及び修正された覆域境界情報に基づき、複数のレーダの各々に対するレーダ諸元を算出するレーダ諸元算出手段8と、レーダ諸元に基づき、複数のレーダを制御するレーダ制御手段9とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、与えられた要求覆域を複数のレーダを用いて探知するレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のレーダ装置には、複数レーダの覆域が重複する部分で費やしていた時間やエネルギーを、覆域の谷間で使用することにより、全体の覆域の拡大を図るものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平5−297132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のレーダ装置は、覆域を拡大することを目的としているが、探知すべき覆域を具体的にどのように各レーダで分担すればよいのかについては不明であるという問題点があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、与えられた要求覆域に対して、各レーダで探知すべき覆域を最適化し、短いデータ更新間隔で要求覆域を探知することができるレーダ装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るレーダ装置は、複数のレーダを用いて、探知すべき範囲として予め設定された要求覆域を探知するレーダ装置であって、前記要求覆域を保持する要求覆域保持手段と、前記複数のレーダの設置位置を含むレーダ情報を保持するレーダ情報保持手段と、前記要求覆域内の前記複数のレーダの隣接した覆域の境界である覆域境界を表す覆域境界情報を保持する覆域境界保持手段と、前記要求覆域、前記レーダ情報、及び前記覆域境界情報に基づいて、前記複数のレーダのそれぞれの覆域を求め、前記覆域を探知するために必要な時間であるデータ更新間隔を評価するデータ更新間隔評価手段と、前記データ更新間隔評価手段の出力に基づいて、覆域が隣接するレーダ間のデータ更新間隔の差が減少するように、前記覆域境界情報を修正して前記覆域境界保持手段に記録する覆域境界修正手段と、前記要求覆域、前記レーダ情報、及び修正された前記覆域境界情報に基づいて、前記複数のレーダのそれぞれに対するレーダ諸元を算出するレーダ諸元算出手段と、前記レーダ諸元に基づいて、前記複数のレーダを制御するレーダ制御手段とを設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るレーダ装置は、与えられた要求覆域に対して、各レーダで探知すべき覆域を最適化し、短いデータ更新間隔で要求覆域を探知することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係るレーダ装置について図1から図10までを参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の構成を示す図である。なお、以降では、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0009】
図1において、この実施の形態1に係るレーダ装置は、レーダ1(1、1、・・・、1)と、要求覆域保持手段2と、レーダ情報保持手段3と、覆域境界初期化手段4と、覆域境界保持手段5と、データ更新間隔評価手段6と、覆域境界修正手段7と、レーダ諸元算出手段8と、レーダ制御手段9とが設けられている。
【0010】
また、覆域境界修正手段7は、データ更新間隔比較手段71と、覆域境界変形手段72とから構成されている。
【0011】
図1では、3台のレーダ1を明示的に表示しているが、本実施の形態1では、9台(n=9)のレーダ1を用いる。これらのレーダ1が探知すべき要求覆域は、要求覆域保持手段2にあらかじめ保持されている。各レーダ1それぞれに関する固有のレーダ情報は、レーダ情報保持手段3に保持されている。ここで「レーダ情報」には、例えば、レーダ1の設置位置、探知可能範囲などの情報が含まれている。但し,本実施の形態1では、各レーダ1の探知可能範囲に関する制約は、特にないものとする。
【0012】
つぎに、この実施の形態1に係るレーダ装置の動作について図面を参照しながら説明する。
【0013】
本実施の形態1で用いるレーダ1は、空間中に電磁波を放射し、目標からの反射波を受信して、目標を探知するレーダである。本実施の形態1では、異なる位置に設置されている複数台のレーダ1を用いる。レーダ1は固定式でも移動式でも良いが、レーダ1が移動した場合には、本実施の形態1に基づき、各レーダ1のレーダ諸元を再計算する必要がある。
【0014】
レーダ1によって探知すべき範囲は、あらかじめユーザによって設定されており、この領域を「要求覆域」と呼ぶ。この要求覆域は、実際には3次元空間の領域であるが、その高度方向の範囲が水平方向の範囲に対して小さい場合には、近似的に2次元平面の領域と考えてもよい。そこで、以下の説明においては、要求覆域は、2次元平面の領域であるものとし、また、その平面内に各レーダ1が設置されているものとする。
【0015】
この要求覆域は、用途に応じてあらかじめユーザによって設定される。図2は、この発明の実施の形態1に係るレーダ装置における要求覆域及びレーダ1(全部で9台:★印)の位置関係を示した図である。図2において、要求覆域は、角の丸い長方形形状をしている。以下、与えられたレーダ1を全て利用して、要求覆域を捜索することを考える。
【0016】
要求覆域を一通り捜索するために要する時間が短ければ、目標をより早期に発見して対処することが可能になる。従って、この要求覆域捜索時間は、できるだけ小さいことが望ましい。これを実現するためには、要求覆域を各レーダ1で適切に分担し、複数のレーダ1が重複して捜索する部分をなくすことが有効である。そのような状況の例を図3に示す。図3は、この発明の実施の形態1に係るレーダ装置における、9台のレーダ(A〜I:★印)の覆域の境界を示す図である。図3において、隣接するレーダの覆域の境界となる部分を「覆域境界」と呼ぶ。図3において、例えばレーダAが捜索する領域は、図4のハッチングを施した領域となる。このように、各レーダについて、そのレーダが捜索する領域のことを、以下「覆域」と呼ぶ。
【0017】
図3に示すように、覆域境界が定まると、各レーダA〜Iの覆域も定まることになり、さらに、各レーダA〜Iについて、覆域を一通り探知するために必要な時間が定まる。この時間のことを「データ更新間隔」と呼ぶ。また、全レーダのデータ更新間隔のうち、最大のものを「統合データ更新間隔」と呼ぶ。本発明の目的は、この統合データ更新間隔を小さくするような覆域境界を求め、求まった覆域境界に対応して定まるそれぞれの覆域を探知するように各レーダA〜Iを制御することである。
【0018】
ここで、図3に示すレーダA、B、・・・、Iのそれぞれに対応するデータ更新間隔がT(A)、T(B)、・・・、T(I)であるとする。さらに、統合データ更新間隔が、例えばT(A)=max(T(A)、T(B)、・・・、T(I))である場合を考える。この時、レーダAの覆域の一部を隣接するレーダB、C、・・・、Gのいずれかに移譲することによって、T(A)の値(つまり統合データ更新間隔)を下げることができる。このように、データ更新間隔が大きいレーダの覆域の一部を隣接するレーダに移譲する操作を反復することにより、データ更新間隔が均等化され、また統合データ更新間隔も削減される。
【0019】
従って、統合データ更新間隔が最小となる覆域境界に対しては、次の関係が成り立つこととなる。
T(A)=T(B)=・・・=T(I)
逆に、上記の関係が成り立つ覆域境界を求められれば、その時の統合データ更新間隔の値は最小にはならないまでも、小さくなることが期待される。本発明は、データ更新間隔を均等化する覆域境界を求めることにより、統合データ更新間隔を小さくするものである。
【0020】
覆域境界保持手段5は、覆域境界情報を保持する。覆域境界情報とは、覆域境界を表す情報であり、具体的には、地表面上に想定する有限個の境界指定点の位置情報、さらに、2つの境界指定点を端点とする線分、もしくは1つの境界指定点を端点とする半直線(これらを「覆域境界要素」と呼ぶ)の情報より構成される。但し、本実施の形態1では、覆域境界要素として、2つの境界指定点を端点とする線分のみを考える。
【0021】
本実施の形態1における境界指定点(●印)および覆域境界要素(線分)の例を図5に示す。図5に示すように、要求覆域は、覆域境界要素によって、レーダ数分の小領域に分割される。分割されたそれぞれの小領域は、各レーダA〜Iの覆域を表す。
【0022】
覆域境界保持手段5が保持する覆域境界情報は、覆域境界初期化手段4によって初期化される。覆域境界初期化手段4は、まず、各レーダA〜Iの設置位置を母点とするボロノイ図を生成する。このボロノイ図とは、平面を、「どの母点に最も近いか」によって、母点数分の小領域に分割してできる図である。ボロノイ図の作成方法については、例えば書籍「計算幾何学と地理情報処理 第2版」(監修:伊理正夫、編集:腰塚武志、発行所:共立出版株式会社、1993年3月第2版第1刷発行)の136〜141ページを参照のこと。そして、ボロノイ点を境界指定点、ボロノイ辺を覆域境界要素に対応させた覆域境界情報を作成する。但し、要求覆域の境界と交差する半直線のボロノイ辺については、そのボロノイ辺上の適切な位置に、新たな境界指定点を生成するものとする。
【0023】
各レーダA〜Iに探知可能領域の制約がある場合は、これを満たすよう、作成した覆域境界情報に修正を施す必要がある場合もある。しかし、本実施の形態1では、前述のように、探知可能範囲に関する制約は特に考えないため、覆域境界情報の修正作業を行う必要は無い。
【0024】
さて、レーダは、レーダ設置位置を基準とした探知距離が短い方が、一般にデータ更新間隔は小さくなる。従って、ボロノイ図によって上記のように求められる覆域境界においては、各レーダA〜Iのデータ更新間隔が比較的小さい値になっていることが期待される。従って、これを初期状態として、後述の手順に基づいて覆域境界の最適化を行うことにより、高速に準最適な覆域境界を得られる可能性が大きい。
【0025】
データ更新間隔評価手段6は、要求覆域保持手段2からの要求覆域、レーダ情報保持手段3からのレーダ情報、及び覆域境界保持手段5からの覆域境界情報に基づいて、それぞれのレーダの覆域を求め、さらにその覆域に対するデータ更新間隔を評価する。
【0026】
ここで、データ更新間隔の評価方法の一例を説明する。但し、ここではパルス圧縮を行う回転式のレーダを対象とする。まず、ある方向に向けたビームについて、レーダ方程式より次の式が成り立つ。
=K・DH
但し、Rは探知距離、Dはパルス圧縮率、Hはコヒーレント積分数(パルスヒット数)を表す。ここで、探知距離Rは、ビームの方向によって異なる。また、K(i=1、2、3、・・・)は定数を表す。
【0027】
デューティー比を一定とすると、D=K・PRT(但し、PRTはパルス繰り返し周期であり、Pulse Repetition Timeの略である)であり、データ更新間隔は次の式となる。但し、次の式における総和は、各ビームに対応して計算するものとする。
(データ更新間隔)=Σ(PRT・H)=K・ΣR
実際には「Hが整数」などの制約があるため、上記の式には多少の誤差があるが、ここでは無視するものとする。
【0028】
ここで、レーダから覆域を見込む角度を一定角度Δθで区切ることを考える。今、ビーム幅をBWと置くと、Δθの角度範囲内のビーム数をK・(Δθ/BW)と表すことができる。さらに、Δθ内ではRがほぼ一定であると考える。すると、データ更新間隔は一定角度刻みΔθで取った各方位θについての総和として整理しなおすことにより、次の式で表現できる。
(データ更新間隔)=K・Σ(R・Δθ)
ここで、定数を無視すると、データ更新間隔をθに関する総和ΣRによって評価することができることが結論付けられる。図6に、方位θに関する総和としてΣRを求める際の一定角度刻みΔθとRの関係を示す。
【0029】
覆域境界修正手段7は、データ更新間隔比較手段71と、覆域境界変形手段72とから構成され、データ更新間隔評価手段6の出力に基づいて、覆域が隣接するレーダ間のデータ更新間隔の差が減少するように、覆域境界情報を修正して覆域境界保持手段5に記録する。
【0030】
データ更新間隔比較手段71は、データ更新間隔評価手段6が出力するデータ更新間隔に基づいて、覆域が隣接するレーダ間のデータ更新間隔の大小関係を評価する。覆域境界変形手段72は、データ更新間隔比較手段71の出力において、データ更新間隔が大きいと判定されたレーダのデータ更新間隔が減少するように、一方、データ更新間隔が小さいと判定されたレーダのデータ更新間隔が増加するように、境界指定点を移動、もしくは半直線の覆域境界要素の方向を変えることによって覆域境界情報を変更する。但し、本実施の形態1では、半直線の覆域境界要素は存在しないので、覆域境界情報の変更は、境界指定点の移動のみによって実現する。そして、変更後の覆域境界情報を覆域境界保持手段5に記録する。
【0031】
図5において、レーダA、B、Cのデータ更新間隔がそれぞれT(A)、T(B)、T(C)であり、データ更新間隔評価手段6において、それぞれ以下のように評価された場合を考える。
T(A)=6、T(B)=7、T(C)=5。
【0032】
まず、覆域境界変形手段72による図5上の境界指定点aの移動について説明する。上記の場合、データ更新間隔比較手段71において、境界指定点aに対応するレーダA、B、Cのデータ更新間隔の大小関係が以下のように評価される。
T(C)<T(A)<T(B)
【0033】
従って、覆域境界変形手段72においては、レーダBのデータ更新間隔が減少するよう、一方、レーダCのデータ更新間隔が増加するように境界指定点aを移動する。境界指定点aの移動の具体的な例を図7に示す。図7では、移動前の境界指定点を白丸(○印)で、移動前の覆域境界要素を破線で表している。図7の場合、レーダBの覆域が減少、レーダCの覆域が増加するため、これに対応し、レーダBのデータ更新間隔が減少、レーダCのデータ更新間隔が増加する。これにより、レーダA、B、Cのデータ更新間隔の差が減少することが期待される。
【0034】
次に、覆域境界変形手段72による図5上の境界指定点bの移動について説明する。上記の場合、データ更新間隔比較手段71において、境界指定点bに対応するレーダB、Cのデータ更新間隔の大小関係が以下のように評価される。
T(C)<T(B)
【0035】
従って、覆域境界変形手段72においては、レーダBのデータ更新間隔が減少するよう、一方、レーダCのデータ更新間隔が増加するように境界指定点bを移動する。境界指定点bの移動の具体的な例を図8に示す。
【0036】
覆域境界変形手段72では、上記のような位置の移動を、全ての境界指定点に対して適用する。この覆域境界修正処理を反復することにより、各レーダA〜Iのデータ更新間隔が均等化され、結果的に統合データ更新間隔が小さくなることが期待できる。
【0037】
レーダ諸元算出手段8は、要求覆域保持手段2からの要求覆域、レーダ情報保持手段3からのレーダ情報、及び覆域境界保持手段5からの覆域境界情報に基づいて、対応する覆域を捜索するように、各レーダA〜Iのレーダ諸元を求める。
【0038】
覆域の形状に合わせて、レーダ設置位置から見た各方向の探知距離を変えるためには、例えばパルス幅、ヒット数などのレーダ諸元を変えることが考えられる。これらのレーダ諸元の適切な値は、レーダ方程式を利用すれば求めることができる。レーダ制御手段9は、レーダ諸元算出手段8で算出されたレーダ諸元に基づいてレーダ1〜1を制御する。
【0039】
つづいて、この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の動作についてフローチャートを参照しながら説明する。
【0040】
図9は、この発明の実施の形態1に係るレーダ装置のレーダ諸元最適化処理を示すフローチャートである。また、図10は、図9の覆域境界最適化処理の詳細を示すフローチャートである。
【0041】
まず始めに、ステップ101において、要求覆域保持手段2に要求覆域を、またレーダ情報保持手段3にレーダ情報を設定しておく。
【0042】
続いて、ステップ102において、覆域境界初期化手段4、覆域境界保持手段5、データ更新間隔評価手段6、覆域境界修正手段7は、覆域境界を、適切な初期設定から出発して徐々に修正を加えていくことにより、データ更新間隔が均等化するような覆域境界を求め、これにより覆域境界の最適化が行われる。
【0043】
そして、ステップ103〜104において、レーダ諸元算出手段8は、算出された覆域境界に合わせてレーダ諸元を導出し、それに基づいてレーダ制御手段9は、レーダ1〜1を制御する。
【0044】
ここで、図9のステップ102における覆域境界最適化処理の詳細について説明する。
【0045】
まず初めに、ステップ201において、覆域境界初期化手段4が、要求覆域保持手段2が保持する要求覆域と、レーダ情報保持手段3が保持するレーダ情報とに基づいて、覆域境界保持手段5が保持する覆域境界情報を初期化する。
【0046】
続いて、ステップ202において、要求覆域、レーダ情報、覆域境界情報に基づいて各レーダA〜Iの覆域が定まるので、それに基づいて、データ更新間隔評価手段6が、各レーダA〜Iのデータ更新間隔を評価する。
【0047】
そして、ステップ203において、この時点で、予め定められた終了条件が満たされた場合には、覆域境界最適化処理が終了する。終了条件としては、例えば「覆域境界最適化のループ数が一定回数に達した」や、「データ更新間隔の最大値と最小値との差が予め定めた閾値以下になった」などの条件を設定する。
【0048】
一方、ステップ204において、終了条件が満たされない場合は、データ更新間隔比較手段71、覆域境界変形手段72は、全ての境界指定点の位置を移動する。境界指定点の移動は、その周囲のレーダのデータ更新間隔の差が縮小する方向に行う。境界指定点の移動処理が完了すると、ステップ202に戻る。
【0049】
本実施の形態1によれば、覆域境界修正処理を、覆域が隣接したレーダのデータ更新間隔の差が縮小する方向に反復することにより、各レーダのデータ更新間隔が均等化され、結果的に統合データ更新間隔が小さいような覆域境界を得ることができる。最終的に得られた覆域境界に基づいてレーダを動作させることにより、短いデータ更新間隔で要求覆域を探知するレーダ装置が実現できる。
【0050】
さらに、覆域境界を、地表面上の有限個の境界指定点および、境界指定点を端点とする線分または半直線の覆域境界要素で表現可能なものに限定するので、最適化対象である変数の数が小さくなり、従って、データ更新間隔の均等化を高速に実施できる。
【0051】
さらに、各レーダの設置位置を母点とするボロノイ図によって覆域境界を初期化するので、覆域境界最適化の初期時点において、既に各レーダのデータ更新間隔がそれぞれ比較的小さい値になっていることが期待されるため、データ更新間隔の均等化を高速に実施できる。
【0052】
なお、本実施の形態1においては、説明を簡便とするために、要求覆域を2次元平面として説明したが、これに限定されない。要求覆域を3次元空間における領域として考えた場合についても、2次元と全く同様の考え方により、統合データ更新間隔を小さくする覆域境界を求めることができる。3次元空間の要求覆域を考える場合には、例えば、地表面上の覆域境界要素を鉛直方向に移動させた際の通過平面を覆域境界として、データ更新間隔の評価や、レーダ諸元算出を実施すれば良い。
【0053】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係るレーダ装置について図11から図13までを参照しながら説明する。図11は、この発明の実施の形態2に係るレーダ装置の構成を示す図である。
【0054】
この実施の形態2は、図11で示すように、覆域境界修正手段7の構成が、上記の実施の形態1と異なる。この実施の形態2における覆域境界修正手段7は、修正対象覆域境界選択手段73と、データ更新間隔比較手段71と、覆域境界変形手段72とから構成されている。それ以外の構成は、基本的に上記の実施の形態1と同じである。
【0055】
修正対象覆域境界選択手段73は、データ更新間隔評価手段6が算出したデータ更新間隔のうち最大のデータ更新間隔に対応するレーダを抽出し、そのレーダの覆域に対応する覆域境界情報を修正対象として選択して、データ更新間隔比較手段71に出力する。
【0056】
例えば、図5において、レーダA、B、C、D、E、F、G、H、Iのデータ更新間隔がそれぞれT(A)、T(B)、T(C)、T(D)、T(E)、T(F)、T(G)、T(H)、T(I)であり、データ更新間隔評価手段6において、それぞれ以下のように評価された場合を考える。
T(A)=9、T(B)=7、T(C)=5、T(D)=6.5、T(E)=8、T(F)=3、T(G)=6、T(H)=4、T(I)=5.5。
【0057】
この場合、修正対象覆域境界選択手段73は、最大のデータ更新間隔に対応するレーダとして、レーダAを抽出する。そして、レーダAの覆域に対応する覆域境界情報を修正対象として選択する。図12に、修正対象となる境界指定点を白丸(○印)で、修正対象となる覆域境界要素を破線で示す。
【0058】
データ更新間隔比較手段71および覆域境界変形手段72は、修正対象覆域境界選択手段73が出力した修正対象覆域境界情報のみを対象として、処理を実施する。その処理の内容は、上記の実施の形態1で記述したものと同様なので、ここでは省略する。
【0059】
つぎに、この発明の実施の形態2に係るレーダ装置の動作についてフローチャートを参照しながら説明する。レーダ装置全体の動作は、上記実施の形態1における図9のフローチャートと同一であり、ここでは説明を省略する。ここでは、図9の覆域境界最適化処理(ステップ102)の詳細について説明する。
【0060】
図13は、この発明の実施の形態2に係るレーダ装置の覆域境界最適化処理を示すフローチャートである。ステップ301〜303の処理は、上記実施の形態1における図10の対応するステップ201〜203の処理と同一である。
【0061】
ステップ304において、終了条件判定(ステップ303)後、終了条件が満たされない場合は、修正対象覆域境界選択手段73は、修正対象となる覆域境界情報を選択する。
【0062】
続いて、ステップ305において、データ更新間隔比較手段71、覆域境界変形手段72は、選択された覆域境界に属する境界指定点の位置を移動する。境界指定点の移動は、その周囲のレーダのデータ更新間隔の差が縮小する方向に行う。境界指定点の移動処理が完了すると、ステップ302に戻る。
【0063】
この実施の形態2によれば、修正対象とする覆域境界を、データ更新間隔が最大であるレーダの覆域に対応するものに絞るため、統合データ更新間隔の減少を高速に実施できる。
【0064】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係るレーダ装置について図14から図20までを参照しながら説明する。この実施の形態3は、図14で示すように、不正覆域境界検出手段10および不正覆域境界指定点修正手段11がさらに設けられている点が、上記の実施の形態1と異なる。
【0065】
図14は、この発明の実施の形態3に係るレーダ装置の構成を示す図である。この実施の形態3に係るレーダ装置は、上記の実施の形態1の構成に加え、不正覆域境界検出手段10および不正覆域境界指定点修正手段11を含んでいる。
【0066】
不正覆域境界検出手段10は、覆域境界保持手段5に保持される覆域境界情報に基づき、不正覆域境界要素を抽出する。この、不正覆域境界要素抽出処理は、レーダ毎に実施する。あるレーダに関する不正覆域境界要素抽出は、その覆域を構成する覆域境界要素で接続された一連の境界指定点を巡回した際に、レーダ設置位置を基準とした境界指定点の方向を示す角度の増減が逆転する場合にその覆域境界要素を不正と見做し、不正覆域境界要素として抽出するものである。
【0067】
あるレーダについて不正覆域境界要素が存在すると、レーダ設置位置と、その覆域内の特定の範囲に位置する点とを結ぶ線分が、そのレーダ以外のレーダの覆域を通過するという現象が起こる(図15や図18のレーダAが、その具体例となっている)。一方、通常のレーダの場合、レーダがある点pを捜索する場合、レーダ設置位置と点pを結んだ線分上の点も捜索することになる。そのため、不正覆域境界要素が存在した場合、複数のレーダで同じ領域を捜索するという冗長な状況になってしまう。従って、不正覆域境界要素の存在は好ましくない。
【0068】
以下、図15のレーダAについて不正覆域境界要素を抽出する場合を例にとって説明する。レーダAの覆域は、境界指定点a、b、c、d、e、f、aが、この順番に覆域境界要素で接続されて、構成されている。この時、各境界指定点について、レーダAの設置位置を基準とした角度を求める。図15においては、境界指定点aの角度θa、境界指定点bの角度θbを図示している。すると、境界指定点の接続の順番を横軸、角度を縦軸に取ったグラフは図16のようになる。これを見ると、境界指定点eと境界指定点fを結ぶ覆域境界要素の部分で、角度の増減が逆転していることが分かる。このような覆域境界要素を不正と見做し、不正覆域境界要素として抽出する。
【0069】
不正覆域境界要素の検出に続いて、不正覆域境界指定点修正手段11は、不正覆域境界要素の端点となる境界指定点の位置を移動することにより、不正を解消する。これは、具体的には、例えば不正覆域境界要素の端点となる境界指定点同士を重ねるように移動すれば良い。但し、この際に境界指定点間の(覆域境界要素による)接続関係は変えないものとする。そして、その結果に基づいて覆域境界保持手段5の内容を修正する。
【0070】
図15のレーダAの場合、前述のように、不正覆域境界検出手段10によって、境界指定点eとfを結ぶ線分が、不正覆域境界要素として検出される。不正覆域境界指定点修正手段11によって、不正覆域境界要素の端点となる境界指定点(つまりeとf)同士を重ねるようにして不正を解消した結果の例を、図17に示す。
【0071】
また、不正覆域境界要素の別の例を図18に示す。図18において、レーダAについては、境界指定点eとfを結ぶ線分が、不正覆域境界要素として検出される。これに対し、不正覆域境界要素の端点となる境界指定点(つまりeとf)同士を重ねるようにして不正を解消した結果の例を、図19に示す。
【0072】
つぎに、この発明の実施の形態3に係るレーダ装置の動作についてフローチャートを参照しながら説明する。レーダ装置全体の動作は、上記実施の形態1における図9のフローチャートと同一であり、ここでは説明を省略する。ここでは、図9の覆域境界最適化処理(ステップ102)の詳細について説明する。
【0073】
図20は、この発明の実施の形態3に係るレーダ装置の覆域境界最適化処理を示すフローチャートである。ステップ401〜404の処理は、上記実施の形態1の図10の対応するステップ201〜204の処理と同一である。
【0074】
ステップ404の処理の後、ステップ405において、不正覆域境界検出手段10と不正覆域境界指定点修正手段11は、各レーダ毎に、その覆域における不正覆域境界要素の検出、および不正があった場合には、不正の解消の処理を行う。不正の解消は、その両端の境界指定点を移動することにより行う。
【0075】
この実施の形態3によれば、複数レーダの覆域が重複して冗長になっている状況を処理せずに済むので、データ更新間隔の均等化を高速に実施できる。
【0076】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係るレーダ装置について図21から図27までを参照しながら説明する。この発明の実施の形態4は、図21で示すように、不正覆域境界接続関係修正手段12を含んでいる点が、上記の実施の形態3と異なる。
【0077】
図21は、この発明の実施の形態4に係るレーダ装置の構成を示す図である。この実施の形態4に係るレーダ装置は、上記実施の形態3の構成に加え、不正覆域境界接続関係修正手段12を含んでいる。
【0078】
不正覆域境界検出手段10は、覆域境界保持手段5に保持される覆域境界情報に基づき、不正覆域境界要素を抽出する。その処理内容は、上記実施の形態3で説明したものと同一である。
【0079】
不正覆域境界要素の検出に続いて、不正覆域境界接続関係修正手段12は、不正覆域境界要素の端点における、他の境界指定点との接続関係を変更して、変更後の覆域境界要素の情報を出力する。
【0080】
以下、接続関係の変更方法について説明する。まず、レーダAに関する不正覆域境界要素の両端の境界指定点を、それぞれ点p、点qと置く。一般に、点pと点qには、不正覆域境界要素以外の覆域境界要素が、それぞれ2本ずつ接続されている(そうでない不正覆域境界要素は、ここでは考えない)。点pに接続されている、不正覆域境界要素以外の覆域境界要素をα1、α2と置く。一方、点qに接続されている、不正覆域境界要素以外の覆域境界要素をβ1、β2と置く。この時、α1とα2のいずれかは、レーダAの覆域に属する。そこで、α1の方が、レーダAの覆域に属するものとする。同様に、β1とβ2のいずれかは、レーダAの覆域に属する。そこで、β1の方が、レーダAの覆域に属するものとする。この時、不正覆域境界接続関係修正手段12は、以下のいずれかの方法により、接続関係を変更する。
α1の端点を点pから点qに変更し、β2の端点を点qから点pに変更する。
α2の端点を点pから点qに変更し、β1の端点を点qから点pに変更する。
【0081】
図15のレーダAに関する、点eと点fを結ぶ不正覆域境界要素の接続関係を変更した例を、図22および図23に示す。
【0082】
以下、不正覆域境界接続関係修正の意義を述べる。例えば図15の場合、境界指定点fがレーダGからレーダAの側に押し出される形となっている。これは、レーダGの覆域をより大きく、レーダAの覆域をより小さくする方向に、境界指定点の移動が行われていることを意味する。一方、あるレーダに対し、一般に、その覆域を構成する境界指定点の数が大きい方が、より柔軟に覆域を広げることが可能となる。そのため、「レーダGの覆域をより大きく」との修正を、より容易とするためには、レーダGの覆域を構成する境界指定点の数を増やすことが望ましい。これを実現するために、不正覆域境界要素の接続関係を修正しているのである。実際に、図15ではレーダGの覆域を構成する境界指定点は4個であるが、図22もしくは図23では、5個に増えている(その代わり、レーダAの覆域を構成する境界指定点の数は、6個から5個に減っている)。
【0083】
不正覆域境界接続関係修正に引き続き、不正覆域境界指定点修正手段11は、不正覆域境界要素の端点となる境界指定点の位置を移動する。不正覆域境界接続関係修正後に不正が解消されていない場合でも、この操作によって、最終的に不正が解消されることが保証される。境界指定点の位置の移動の具体的方法は、上記実施の形態3と同一である。
【0084】
図22もしくは図23の状況に対して、不正覆域境界指定点修正手段11によって、境界指定点を移動した結果の例を図24に示す。
【0085】
また、図18に示すレーダAに関する点eと点fを結ぶ不正覆域境界要素について、不正覆域境界接続関係修正手段12によって、不正覆域境界接続関係修正を施した後の状況の例を図25に示す。
【0086】
図18の場合、境界指定点eがレーダCからレーダGの側に、境界指定点fがレーダGからレーダCの側に押し出される形となっている。これは、レーダGとレーダCの覆域をより大きくする方向に、境界指定点の移動が行われていることを意味する。一方、「レーダGとレーダCの覆域をより大きく」との修正を、より容易とするためには、レーダGとレーダCの覆域を構成する境界指定点の数を、それぞれ増やすことが望ましい。図25を見ると、不正覆域境界要素の接続関係の修正によって、実際にレーダGとレーダCの覆域を構成する境界指定点の数が増えていることが確認できる。
【0087】
また、図25の状況に対して、さらに、不正覆域境界指定点修正手段11によって、境界指定点を移動した後の状況の例を図26に示す。
【0088】
つぎに、この発明の実施の形態4に係るレーダ装置の動作についてフローチャートを参照しながら説明する。レーダ装置全体の動作は、上記実施の形態1における図9のフローチャートと同一であり、ここでは説明を省略する。ここでは、図9の覆域境界最適化処理(ステップ102)の詳細について説明する。
【0089】
図27は、この発明の実施の形態4に係るレーダ装置の覆域境界最適化処理を示すフローチャートである。ステップ501〜504の処理は、上記実施の形態1の図10の対応するステップ201〜204の処理と同一である。
【0090】
ステップ504の処理の後、ステップ505において、不正覆域境界検出手段10、不正覆域境界接続関係修正手段12、不正覆域境界指定点修正手段11は、各レーダ毎に、その覆域における不正覆域境界要素の検出、および不正があった場合には、不正の解消の処理を行う。不正の解消は、その両端の境界指定点の接続関係を変更し、さらに境界指定点を移動することにより行う。
【0091】
この実施の形態4によれば、覆域境界最適化における各レーダの覆域の増減の傾向に即して、覆域境界の接続関係を動的に変更するので、精度の良い覆域境界最適化を実施できる。
【0092】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5に係るレーダ装置について図28から図30までを参照しながら説明する。この実施の形態5は、図28で示すように、充分データ更新間隔保持手段13と、データ更新間隔変更手段14を含んでいる点が、上記の実施の形態1と異なる。
【0093】
図28は、この発明の実施の形態5に係るレーダ装置の構成を示す図である。この実施の形態5に係るレーダ装置は、上記実施の形態1の構成に加え、充分データ更新間隔保持手段13とデータ更新間隔変更手段14を含んでいる。
【0094】
充分データ更新間隔保持手段13は、各レーダに対する充分データ更新間隔を保持する。ここで、充分データ更新間隔は0以上の実数値であり、「充分データ更新間隔がX」とは、「そのレーダのデータ更新間隔がX以下であれば、そのレーダのデータ更新間隔に関する性能としては充分である」のことであり、事前にユーザが設定しておく。
【0095】
データ更新間隔変更手段14は、各レーダについて、データ更新間隔評価手段6が出力するデータ更新間隔と、充分データ更新間隔とを比較する。そして、データ更新間隔が充分データ更新間隔以下である場合は、データ更新間隔を元の値から減少させた数値を出力する。具体的には、例えば予め定めた十分小さい数値、例えば0を出力すれば良い。一方、データ更新間隔が充分データ更新間隔より大きい場合には、データ更新間隔評価手段6が出力したデータ更新間隔を、そのまま出力する。
【0096】
覆域境界修正手段7は、データ更新間隔変更手段14の出力に基づいて、覆域が隣接するレーダ間の(変更後の)データ更新間隔の差が減少するように、覆域境界情報を修正して覆域境界保持手段5に記録する。その具体的な動作は、上記実施の形態1で説明したものと同一である。
【0097】
例として、図5において、レーダA、B、Cのデータ更新間隔がそれぞれT(A)、T(B)、T(C)であり、データ更新間隔評価手段6において、それぞれ以下のように評価された場合を考える(上記実施の形態1の例と同じ)。
T(A)=6、T(B)=7、T(C)=5。
【0098】
さらに、充分データ更新間隔保持手段13に、レーダA、B、Cの充分データ更新間隔がそれぞれ8、4、4と記録されていたものとする。これは、「覆域境界の外部から飛来する目標は、覆域境界付近に設置されたレーダによって探知される可能性が大きいため、覆域境界の中心部に設置されたレーダに関しては、データ更新間隔が、多少大きくても構わない」との思想に基づく設定である。
【0099】
この場合、レーダAについては、データ更新間隔が充分データ更新間隔以下である。一方、レーダB、Cについては、データ更新間隔は充分データ更新間隔よりも大きい。従って、データ更新間隔変更手段14は、レーダAのデータ更新間隔を、元のデータ更新間隔よりも小さな値、例えば0に変更して出力する。一方、レーダB、Cについては、元のデータ更新間隔をそのまま出力する。結局、データ更新間隔変更手段14は、レーダA、B、Cの変更後のデータ更新間隔として、それぞれ0、7、5を出力することになる。
【0100】
この結果を受け、覆域境界修正手段7は、レーダBのデータ更新間隔が減少するよう、一方、レーダAのデータ更新間隔が増加するように、覆域境界を修正する。従って、覆域境界修正手段7によって、図5上の境界指定点aは、例えば図29に示すように移動する。このように、上記実施の形態1で示した例(境界指定点aの移動の例は図7を参照)と、データ更新間隔評価手段6の出力は同一であるにもかかわらず、異なる結果となることが分かる。
【0101】
つぎに、この発明の実施の形態5に係るレーダ装置の動作についてフローチャートを参照しながら説明する。レーダ装置全体の動作は、上記実施の形態1における図9のフローチャートと同一であり、ここでは説明を省略する。ここでは、図9の覆域境界最適化処理(ステップ102)の詳細について説明する。
【0102】
図30は、この発明の実施の形態5に係るレーダ装置の覆域境界最適化処理を示すフローチャートである。ステップ601、602の処理は、上記実施の形態1の図10の対応するステップ201、202の処理と同一である。
【0103】
ステップ602の処理の後、ステップ603において、データ更新間隔変更手段14は、各レーダについて、データ更新間隔評価手段6が出力するデータ更新間隔と、充分データ更新間隔とを比較し、データ更新間隔が充分データ更新間隔以下の場合には、データ更新間隔を元の値から減少させた数値を出力する。
【0104】
そして、ステップ604において、この時点で、予め定められた終了条件が満たされた場合には、覆域境界最適化処理が終了する。
【0105】
一方、ステップ605において、終了条件が満たされない場合は、覆域境界修正手段7は、全ての境界指定点の位置を移動する。境界指定点の移動は、その周囲のレーダの(データ更新間隔変更手段14による変更後の)データ更新間隔の差が縮小する方向に行う。境界指定点の移動処理が完了すると、ステップ602に戻る。
【0106】
この実施の形態5によれば、各レーダに対して要求されるデータ更新間隔に関する性能が異なる場合でも、それに即した覆域境界最適化を実施できる。
【0107】
実施の形態6.
この発明の実施の形態6に係るレーダ装置について図31及び図32を参照しながら説明する。この実施の形態6は、図31で示すように、データ更新間隔重み保持手段15と、データ更新間隔重み付け手段16を含んでいる点が、上記の実施の形態1と異なる。
【0108】
図31は、この発明の実施の形態6に係るレーダ装置の構成を示す図である。この実施の形態6に係るレーダ装置は、上記実施の形態1の構成に加え、データ更新間隔重み保持手段15と、データ更新間隔重み付け手段16を含んでいる。
【0109】
データ更新間隔重み保持手段15は、各レーダに対するデータ更新間隔重み係数を保持する。ここでデータ更新間隔重み係数は0以上の実数値であり、「各レーダのデータ更新間隔に関する重要度」を意味し、事前にユーザが設定しておく。
【0110】
データ更新間隔重み付け手段16は、各レーダについて、データ更新間隔評価手段6が出力するデータ更新間隔に対し、データ更新間隔重み係数によって、重み付けを行う。具体的には、例えばデータ更新間隔に対し、データ更新間隔重み係数を掛けた結果を出力すれば良い。
【0111】
覆域境界修正手段7は、データ更新間隔重み付け手段16の出力に基づいて、覆域が隣接するレーダ間の(重み付け後の)データ更新間隔の差が減少するように、覆域境界情報を修正して覆域境界保持手段5に記録する。その具体的な動作は、上記実施の形態1に記述したものと同一である。
【0112】
例として、図5において、レーダA、B、Cのデータ更新間隔がそれぞれT(A)、T(B)、T(C)であり、データ更新間隔評価手段6において、それぞれ以下のように評価された場合を考える(上記実施の形態1の例と同じ)。
T(A)=6、T(B)=7、T(C)=5。
【0113】
さらに、データ更新間隔重み保持手段15に、レーダA、B、Cのデータ更新間隔重み係数がそれぞれ0.5、1、1と記録されていたものとする。これは、「覆域境界の外部から飛来する目標は、覆域境界付近に設置されたレーダによって探知される可能性が大きいため、覆域境界の中心部に設置されたレーダに関しては、データ更新間隔に関する重要度が低い」との思想に基づく設定である。
【0114】
この場合、データ更新間隔重み付け手段16は、レーダA、B、Cの重み付け後のデータ更新間隔として、それぞれ3、7、5を出力することになる。
【0115】
この結果を受け、覆域境界修正手段7は、レーダBのデータ更新間隔が減少するよう、一方、レーダAのデータ更新間隔が増加するように、覆域境界を修正する。従って、覆域境界修正手段7によって、図5上の境界指定点aは、例えば図29に示すように移動する。このように、上記実施の形態1で示した例(境界指定点aの移動の例は図7を参照)と、データ更新間隔評価手段6の出力は同一であるにもかかわらず、異なる結果となることが分かる。
【0116】
つぎに、この発明の実施の形態6に係るレーダ装置の動作についてフローチャートを参照しながら説明する。レーダ装置全体の動作は、上記実施の形態1における図9のフローチャートと同一であり、ここでは説明を省略する。ここでは、図9の覆域境界最適化処理(ステップ102)の詳細について説明する。
【0117】
図32は、この発明の実施の形態6に係るレーダ装置の覆域境界最適化処理を示すフローチャートである。ステップ701、702の処理は、上記実施の形態1における図10の対応するステップ201、202の処理と同一である。
【0118】
ステップ702の処理の後、ステップ703において、データ更新間隔重み付け手段16は、各レーダについて、データ更新間隔評価手段6が出力するデータ更新間隔を、データ更新間隔重み係数によって重み付けする。
【0119】
そして、ステップ704において、この時点で、予め定められた終了条件が満たされた場合には、覆域境界最適化処理が終了する。
【0120】
一方、ステップ705において、終了条件が満たされない場合は、覆域境界修正手段7は、全ての境界指定点の位置を移動する。境界指定点の移動は、その周囲のレーダの(データ更新間隔重み付け手段16による重み付け後の)データ更新間隔の差が縮小する方向に行う。境界指定点の移動処理が完了すると、ステップ702に戻る。
【0121】
この実施の形態6によれば、各レーダのデータ更新間隔に関する重要度が異なる場合でも、それに即した覆域境界最適化を実施できる。
【0122】
実施の形態7.
この発明の実施の形態7に係るレーダ装置について図33から図35までを参照しながら説明する。この実施の形態7に係るレーダ装置の構成は、図1に示す通りであり、上記実施の形態1と同一である。
【0123】
しかし、覆域境界保持手段5が保持する覆域境界情報の内容が若干異なる。上記実施の形態1では、覆域境界要素として、2つの境界指定点を端点とする線分のみを考えていた。この実施の形態7では、2つの境界指定点を端点とする線分に加え、1つの境界指定点を端点とする半直線も、覆域境界要素として考慮する。以下、実施の形態1と異なる部分のみを説明する。
【0124】
本実施の形態7における境界指定点および覆域境界要素の例を図33に示す。図33は、上記実施の形態1で示した例に基づく図5とほとんど同じであるが、図33では、要求覆域の境界と交差する覆域境界要素が線分ではなく、半直線である(つまり、覆域境界要素の片側にしか境界指定点がない)点が異なっている。
【0125】
この実施の形態7における、覆域境界初期化手段4による初期化を説明する。覆域境界初期化手段4は、上記実施の形態1と同様、まず、各レーダの設置位置を母点とするボロノイ図を生成する。そして、ボロノイ点を境界指定点、ボロノイ辺を覆域境界要素に対応させた覆域境界情報を作成する。上記実施の形態1と異なり、要求覆域の境界と交差する半直線のボロノイ辺について、そのボロノイ辺上の適切な位置に、新たな境界指定点を生成することは行わない。
【0126】
次に、覆域境界変形手段72による、半直線の覆域境界要素の変更方法について説明する。上記実施の形態1でも記述したように、覆域境界変形手段72は、データ更新間隔比較手段71の出力において、データ更新間隔が大きいと判定されたレーダのデータ更新間隔が減少するように、一方、データ更新間隔が小さいと判定されたレーダのデータ更新間隔が増加するように、境界指定点を移動、もしくは半直線の覆域境界要素の方向を変えることによって覆域境界情報を変更する。そして、変更後の覆域境界情報を覆域境界保持手段5に記録する。
【0127】
図33上において、レーダA、B、Cのデータ更新間隔がそれぞれT(A)、T(B)、T(C)であり、データ更新間隔評価手段6において、それぞれ以下のように評価された場合を考える(上記実施の形態1の例と同じ)。
T(A)=6、T(B)=7、T(C)=5。
【0128】
この場合、データ更新間隔比較手段71において、境界指定点aに対応するレーダA、B、Cのデータ更新間隔の大小関係が以下のように評価される。
T(C)<T(A)<T(B)
【0129】
従って、覆域境界変形手段72においては、レーダBのデータ更新間隔が減少するよう、一方、レーダCのデータ更新間隔が増加するように境界指定点aを移動する。
【0130】
一方、データ更新間隔比較手段71において、半直線の覆域境界要素αに対応するレーダB、Cのデータ更新間隔の大小関係が以下のように評価される。
T(C)<T(B)
【0131】
従って、覆域境界変形手段72においては、レーダBのデータ更新間隔が減少するよう、一方、レーダCのデータ更新間隔が増加するように覆域境界要素αの方向を変える。
【0132】
境界指定点aの移動および、半直線の覆域境界要素αの方向変更の具体的な例を図34に示す。
【0133】
つぎに、この発明の実施の形態7に係るレーダ装置の動作についてフローチャートを参照しながら説明する。レーダ装置全体の動作は、上記実施の形態1における図9のフローチャートと同一であり、ここでは説明を省略する。ここでは、図9の覆域境界最適化処理(ステップ102)の詳細について説明する。
【0134】
図35は、この発明の実施の形態7に係るレーダ装置の覆域境界最適化処理を示すフローチャートである。ステップ801〜803の処理は、上記実施の形態1における図10の対応するステップ201〜203の処理と同一である。
【0135】
ステップ803による終了条件判定後、ステップ804において、終了条件が満たされない場合は、覆域境界修正手段7は、全ての境界指定点の位置および、半直線の覆域境界要素の方向を修正する。境界指定点の位置および半直線の覆域境界要素の方向の修正は、その周囲のレーダのデータ更新間隔の差が縮小する方向に行う。境界指定点の移動処理が完了すると、ステップ802に戻る。
【0136】
以上のように、要求覆域の境界と交差する覆域境界要素を線分ではなく、半直線とした場合でも、覆域境界最適化を適切に実施できる。
【0137】
実施の形態8.
この発明の実施の形態8に係るレーダ装置について図36及び図37を参照しながら説明する。この実施の形態8に係るレーダ装置の構成は、図1に示す通りであり、上記実施の形態1と同一である。しかし、前提となる要求覆域やレーダの配置が、上記実施の形態1とは異なる。
【0138】
図36は、この発明の実施の形態8に係るレーダ装置における要求覆域及びレーダ(全部で6台)の位置関係を示した図である。図36において、各レーダは、円状の探知可能領域を持つものとする。そして、全レーダの探知可能領域の和集合が、要求覆域になっているものとする。
【0139】
この場合、各レーダの探知可能領域の制約のため、要求覆域の境界上において、探知可能領域を示す円の交点部分に、必然的に境界指定点を置く必要が生じる。
【0140】
本実施の形態8における境界指定点および覆域境界要素の例を図37に示す。図37において、固定の覆域境界点は、二重丸で表現している。
【0141】
覆域境界初期化手段4による初期化では、上記の事情を考慮して、要求覆域の境界上に固定の境界指定点を設置する必要がある。従って、各レーダの設置位置を母点とするボロノイ図に基づいて覆域境界情報を作成した後、その覆域境界情報と、固定の境界指定点とが矛盾する場合には、覆域境界情報に修正を施す必要がある。但し、本実施の形態8の場合は、ボロノイ図に基づいて作成した覆域境界情報と、固定の境界指定点とが矛盾しないので、修正の必要はない。
【0142】
また、固定の境界指定点は、覆域境界最適化途中でも固定しておかなければならない。つまり、覆域境界変形手段72によって移動可能な境界指定点は、図37において、黒丸で示した境界指定点に限られる。
【0143】
以上のように、要求覆域が、各レーダの探知可能領域に基づいて定められる場合であっても、探知可能領域の制約に応じて境界指定点の配置、およびその移動を行えば、適切に覆域境界最適化を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の要求覆域及びレーダの位置関係を示した図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るレーダ装置において、9台のレーダの覆域の境界を示す図である。
【図4】図3のレーダAが捜索する領域を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るレーダ装置において、境界指定点(●印)と覆域境界要素(線分)の例を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るレーダ装置において、方位θに関する総和としてΣRを求める際の一定角度刻みΔθとRの関係を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るレーダ装置において、境界指定点aの移動の具体的な例を図7に示す図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係るレーダ装置において、境界指定点bの移動の具体的な例を図8に示す図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係るレーダ装置のレーダ諸元最適化処理を示すフローチャートである。
【図10】図9の覆域境界最適化処理の詳細を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態2に係るレーダ装置の構成を示す図である。
【図12】この発明の実施の形態2に係るレーダ装置において、修正対象となる境界指定点を白丸(○印)で、修正対象となる覆域境界要素を破線で示す図である。
【図13】この発明の実施の形態2に係るレーダ装置の覆域境界最適化処理を示すフローチャートである。
【図14】この発明の実施の形態3に係るレーダ装置の構成を示す図である。
【図15】この発明の実施の形態3に係るレーダ装置において、境界指定点aの角度θa、境界指定点bの角度θbを示す図である。
【図16】この発明の実施の形態3に係るレーダ装置において、境界指定点の接続の順番を横軸、角度を縦軸に取ったグラフを示す図である。
【図17】この発明の実施の形態3に係るレーダ装置において、不正覆域境界要素の端点となる境界指定点(eとf)同士を重ねるようにして不正を解消した結果の例を示す図である。
【図18】この発明の実施の形態3に係るレーダ装置において、不正覆域境界要素の別の例を示す図である。
【図19】この発明の実施の形態3に係るレーダ装置において、不正覆域境界要素の端点となる境界指定点(eとf)同士を重ねるようにして不正を解消した結果の例を示す図である。
【図20】この発明の実施の形態3に係るレーダ装置の覆域境界最適化処理を示すフローチャートである。
【図21】この発明の実施の形態4に係るレーダ装置の構成を示す図である。
【図22】この発明の実施の形態4に係るレーダ装置において、不正覆域境界要素の接続関係を変更した例を示す図である。
【図23】この発明の実施の形態4に係るレーダ装置において、不正覆域境界要素の接続関係を変更した例を示す図である。
【図24】この発明の実施の形態4に係るレーダ装置において、境界指定点を移動した結果の例を示す図である。
【図25】この発明の実施の形態4に係るレーダ装置において、不正覆域境界接続関係修正を施した後の状況の例を示す図である。
【図26】この発明の実施の形態4に係るレーダ装置において、境界指定点を移動した後の状況の例を示す図である。
【図27】この発明の実施の形態4に係るレーダ装置の覆域境界最適化処理を示すフローチャートである。
【図28】この発明の実施の形態5に係るレーダ装置の構成を示す図である。
【図29】この発明の実施の形態5に係るレーダ装置において、境界指定点aの移動例を示す図である。
【図30】この発明の実施の形態5に係るレーダ装置の覆域境界最適化処理を示すフローチャートである。
【図31】この発明の実施の形態6に係るレーダ装置の構成を示す図である。
【図32】この発明の実施の形態6に係るレーダ装置の覆域境界最適化処理を示すフローチャートである。
【図33】この発明の実施の形態7に係るレーダ装置の境界指定点と覆域境界要素の例を示す図である。
【図34】この発明の実施の形態7に係るレーダ装置において、境界指定点aの移動および、半直線の覆域境界要素αの方向変更の具体的な例を示す図である。
【図35】この発明の実施の形態7に係るレーダ装置の覆域境界最適化処理を示すフローチャートである。
【図36】この発明の実施の形態8に係るレーダ装置の要求覆域及びレーダの位置関係を示す図である。
【図37】この発明の実施の形態8に係るレーダ装置の境界指定点と覆域境界要素の例を示す図である。
【符号の説明】
【0145】
1 レーダ、2 要求覆域保持手段、3 レーダ情報保持手段、4 覆域境界初期化手段、5 覆域境界保持手段、6 データ更新間隔評価手段、7 覆域境界修正手段、8 レーダ諸元算出手段、9 レーダ制御手段、10 不正覆域境界検出手段、11 不正覆域境界指定点修正手段、12 不正覆域境界接続関係修正手段、13 充分データ更新間隔保持手段、14 データ更新間隔変更手段、15 データ更新間隔重み保持手段、16 データ更新間隔重み付け手段、71 データ更新間隔比較手段、72 覆域境界変形手段、73 修正対象覆域境界選択手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレーダを用いて、探知すべき範囲として予め設定された要求覆域を探知するレーダ装置であって、
前記要求覆域を保持する要求覆域保持手段と、
前記複数のレーダの設置位置を含むレーダ情報を保持するレーダ情報保持手段と、
前記要求覆域内の前記複数のレーダの隣接した覆域の境界である覆域境界を表す覆域境界情報を保持する覆域境界保持手段と、
前記要求覆域、前記レーダ情報、及び前記覆域境界情報に基づいて、前記複数のレーダのそれぞれの覆域を求め、前記覆域を探知するために必要な時間であるデータ更新間隔を評価するデータ更新間隔評価手段と、
前記データ更新間隔評価手段の出力に基づいて、覆域が隣接するレーダ間のデータ更新間隔の差が減少するように、前記覆域境界情報を修正して前記覆域境界保持手段に記録する覆域境界修正手段と、
前記要求覆域、前記レーダ情報、及び修正された前記覆域境界情報に基づいて、前記複数のレーダのそれぞれに対するレーダ諸元を算出するレーダ諸元算出手段と、
前記レーダ諸元に基づいて、前記複数のレーダを制御するレーダ制御手段と
を備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
前記覆域境界情報は、地表面上に想定する有限個の境界指定点の位置情報と、2つの境界指定点を端点とする線分、もしくは1つの境界指定点を端点とする半直線である覆域境界要素の情報とより構成され、
前記覆域境界修正手段は、
前記データ更新間隔評価手段が出力する前記データ更新間隔に基づいて、覆域が隣接するレーダ間のデータ更新間隔の大小関係を評価するデータ更新間隔比較手段と、
前記データ更新間隔比較手段の出力において、データ更新間隔が大きいと判定されたレーダのデータ更新間隔が減少するように、あるいは、データ更新間隔が小さいと判定されたレーダのデータ更新間隔が増加するように、前記境界指定点を移動、もしくは半直線の前記覆域境界要素の方向を変えることによって前記覆域境界情報を変更する覆域境界変形手段とを有する
ことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記覆域境界修正手段は、
前記データ更新間隔評価手段が算出した前記データ更新間隔のうち最大のデータ更新間隔に対応するレーダを抽出し、抽出したレーダの覆域に対応する覆域境界情報を修正対象として選択して前記データ更新間隔比較手段に出力する修正対象覆域境界選択手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項2記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記覆域境界保持手段に保持される修正された前記覆域境界情報に基づき、前記複数のレーダのそれぞれについて、レーダの覆域を構成する覆域境界要素で接続された一連の境界指定点を巡回した際に、レーダ設置位置を基準とした境界指定点の方向を示す角度の増減が逆転する場合に前記覆域境界要素を不正と見做し、不正覆域境界要素として抽出する不正覆域境界検出手段と、
前記不正覆域境界要素の端点となる境界指定点の位置を移動することにより不正を解消して、不正の解消に基づき前記覆域境界保持手段の内容を修正する不正覆域境界指定点修正手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項2記載のレーダ装置。
【請求項5】
前記覆域境界保持手段に保持される修正された前記覆域境界情報に基づき、前記複数のレーダのそれぞれについて、レーダの覆域を構成する覆域境界要素で接続された一連の境界指定点を巡回した際に、レーダ設置位置を基準とした境界指定点の方向を示す角度の増減が逆転する場合に前記覆域境界要素を不正と見做し、不正覆域境界要素として抽出する不正覆域境界検出手段と、
前記不正覆域境界要素の端点となる第1の境界指定点を起点とする前記不正覆域境界要素以外の覆域境界要素のうち一方を第1の覆域境界要素とし、前記不正覆域境界要素の端点となる第2の境界指定点を起点とする前記不正覆域境界要素以外の覆域境界要素のうち一方を第2の覆域境界要素とした場合に、第1の覆域境界要素の端点を第1の境界指定点から第2の境界指定点に、第2の覆域境界要素の端点を第2の境界指定点から第1の境界指定点に変更して、変更後の覆域境界要素の情報を出力する不正覆域境界接続関係修正手段と、
前記第1の境界指定点と前記第2の境界指定点の位置を移動することにより確実に不正を解消して、不正の解消に基づき前記覆域境界保持手段の内容を修正する不正覆域境界指定点修正手段とをさらに備えた
ことを特徴とする請求項2記載のレーダ装置。
【請求項6】
前記複数のレーダの設置位置を母点とするボロノイ図を生成し、ボロノイ点を前記境界指定点、ボロノイ辺を前記覆域境界要素に対応させた覆域境界情報を作成し、さらに各レーダの探知可能領域の制約を満たすよう最低限の修正を施して前記覆域境界保持手段に記録する覆域境界初期化手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項2記載のレーダ装置。
【請求項7】
前記複数のレーダのそれぞれに対する充分データ更新間隔を保持する充分データ更新間隔保持手段と、
各レーダについて、前記データ更新間隔評価手段が出力する前記データ更新間隔と前記充分データ更新間隔とを比較し、前記データ更新間隔が前記充分データ更新間隔以下である場合には前記データ更新間隔を元の値から減少させ、前記データ更新間隔が前記充分データ更新間隔より大きい場合には前記データ更新間隔を変更せずに、それぞれの場合の前記データ更新間隔を前記覆域境界修正手段に出力するデータ更新間隔変更手段とをさらに備えた
ことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項8】
前記複数のレーダのそれぞれに対するデータ更新間隔重み係数を保持するデータ更新間隔重み保持手段と、
各レーダについて、前記データ更新間隔評価手段が出力する前記データ更新間隔に対して、前記データ更新間隔重み保持手段が保持する前記データ更新間隔重み係数によって重み付けして前記覆域境界修正手段に出力するデータ更新間隔重み付け手段とをさらに備えた
ことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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