説明

ロケーションネットワークにおいて補助データを提供するためのシステム及び方法

全地球的航法衛星システム(GNSS)および位置判定ユニット装置の同期化ネットワークからなるロケーションシステムにおける位置受信器に補助を提供するためのシステムおよび方法が開示される。位置判定ユニット装置は、位置判定ユニット装置の同期化ネットワークに対する全地球的航法衛星システム(GNSS)信号の時間および周波数を観測する。これらの時間および周波数観測は、補助データとして、位置判定ユニット装置によって同報通信される位置判定信号上へ変調される。位置判定受信は、この補助データを復調し、位置判定信号を解析する。そして、位置受信器は、受信された位置判定信号の補助データおよび解析に応答した範囲で全地球的航法衛星システム(GNSS)信号を検索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的には、移動式装置に関する正確な位置判定を行うためのシステム及び方法に関する。特に、本発明は、正確な到着時間位置判定システムに適用される。本発明は、送信器ビーコンの間の物理的接続、各送信器に接続されている原子時標準の必要性、又は、差分修正技術の必要性の様な先行技術の要件には制約されない。
【背景技術】
【0002】
正確な到着時間位置判定が、使用されている送信器時計の精度次第であることは、当該技術では周知である。最も初歩的な形態では、既知の位置に配置されており、3つの同じ長さのケーブルで共通の時計に接続されている3つの送信器ビーコンであれば、到着時間位置判定システムのベースとして十分である。しかしながら、この初歩的な位置判定システムは、ビーコンの間の長い可能性のある距離に亘って高周波数のタイミング信号を配送する正確に時間合わせされたケーブルに対する要件のため、製造し設置するのは非常に非現実的ある。替わりに、非常にドリフト率の低い正確な原子時標準を各送信器ビーコンに装着し、既知の位置に配置され、基準時間ベースに接続されている基準受信器を使って監視してもよい。送信器ビーコンから受信した位置判定信号に応えて、時計修正値が、後でユーザーの装置に再送信するのに備えて、基準受信器からRFデータリンクを通じて各ビーコンへ送られる。GPSのような最新の衛星位置判定技術は、この技法を利用しており、各GPS衛星にはセシウム及びルビジウム時間標準が設置されており、GPS地上管制部は、全GPS衛星を連続的に監視し、時計修正値を、各衛星に24時間毎に伝送している。これらの修正値は、次に各衛星の航行メッセージを介して、GPSユーザー装置に再度同報通信されるので、GPSユーザー装置内の位置判定アルゴリズムは、衛星の時計誤差に責任を持つことができる。視界内に少なくとも4つのGPS衛星があれば、GPSユーザー装置内で、従来のコードベースのGPS位置解として知られている標準的な技法を使って、3次元の位置を判定することができる。この標準技法は、当業者には、一般的に「単一点位置」とも呼ばれている。
【0003】
従来型コードベースGPS位置解法(単一点位置)
従来型のコードベースGPSでは、地上に近いあらゆる点の緯度、経度、高度を、視界内の少なくとも4つのGPS衛星からの位置判定信号の伝播時間から計算することができる。GPS受信器は、内部的に生成された擬似乱数コード(PRN)シーケンスの各GPS衛星から受信した擬似乱数コードシーケンスとの相関関係に基づいて、範囲計算を行う。測定された範囲は、衛星上の時計とGPS受信器内の時計の間に時間差又はオフセットがあるため、擬似範囲と呼ばれる。衛星の擬似乱数コードシーケンス送信と、その擬似乱数コードシーケンスのGPS受信器による受信との間の経過時間を正確に測定するために、受信器の時計は、衛星配列の時計と確実に同期している必要がある。各衛星からは航行メッセージも送信され、これには、時間情報、衛星軌道情報及び衛星時計修正値の表現が含まれている。3次元の位置判定には、GPS受信器は、4つの未知の位置(x、y、z)と時間(t)を解くのに4つの衛星信号を必要とする。2次元(2−D)の位置判定の際は、高度が固定され、3つの未知の位置(x、y)と時間(t)を解くのに3つの衛星信号を必要とする。従来型のコードベースGPS位置解法は、視界内に少なくとも4つの衛星があれば、GPS受信器に、約10から20メートルの精度で絶対3次元(3−D)位置を判定できる能力を提供することができる。
【0004】
この従来型のコードベースのGPS位置解法は自律解法であり、基準受信器からの差分修正データ無しに、位置、速度及び時間(PVT)を判定することができる。従って、これは、当該技術では「単一点」位置解法として知られている。
【0005】
従来型コードベース差分GPS(相対位置判定)
正確な原子時間ベースが確立している状態では、GPS配列は、GPS受信器に、約10から20メートルの絶対3次元位置精度を提供できるのみである。これは、6つの主要誤差源、即ち(1)電離層遅延、(2)対流圏遅延、(3)暦表誤差、(4)衛星時計誤差、(5)GPS受信器ノイズ、(6)多重経路、による位置判定信号の改変によるものである。電離層遅延は、電磁波が電離層のイオン粒子の帯域を通過する際に電磁波から被る変動時間遅延である。対流圏遅延は、もっと低い大気圏内の水分の間を通過する際に電磁波から被る時間遅延である。暦表誤差は、実際の衛星位置と衛星の軌道データから推測される位置の間の差である。受信器ノイズは、GPS受信器の内部電子機器によって生じるノイズである。多重経路は、GPS受信器近くの局所的信号反射によって生じる信号遅延である。これら誤差源の多くは、比較的短い距離(例えば数十キロメートル)で空間的に相関関係がある。これは、互いに近接している2つの異なるGPS受信器が、同じ誤差を観測することを意味している。従って、「差分修正」として知られている技法を使用して空間的に相関関係にある誤差源を改良することができる。周知の位置に配置されている基準受信器は、検出した各衛星信号に対して想定される擬似範囲を計算する。基準受信器は、次に、GPS衛星から受信した擬似範囲を測定し、受信した擬似範囲から想定した擬似範囲を減じ、視界内の各衛星に対する差分範囲修正値を導き出す。基準受信器は、次いで、この修正値をデジタルデータとしてRFデータリンクを介してGPS受信器へ送る。GPS受信器は、位置解を計算する前に、この修正値を、(基準受信器にとって視界内の同じ衛星に関して)測定した擬似範囲に加える。この手続きによって、基準受信器とGPS受信器の両方に共通の誤差は、完全に取り除かれる。多重経路及び受信器ノイズのような相関関係の無い誤差源は、擬似範囲内に残り、従って位置精度を悪化させる。数メートル程度の位置精度は、低い多重経路環境であれば、コードベースの差分GPS修正によって実現することができる。
【0006】
従来型の搬送波ベース差分GPS(相対位置判定)
従来型の搬送波ベース差分GPS(CDGPS)は、基準受信器とユーザー受信器で測定される衛星の搬送波位相の間の差を使用して、基準位置とユーザー位置の間の差を計算する。周知の位置に設置されているCDGPS基準受信器は、視界内の全衛星について同時搬送波位相測定値を計算して、搬送波位相データを、RFデータリンクを介してユーザー受信器へ同報通信する。ユーザー受信器も、視界内の全衛星について同時搬送波位相測定値を計算し、次いで位相差を計算して、基準受信器位置に対するユーザー受信器の位置を判定する。搬送波位相測定値は、GPS衛星からの搬送波周波数に存在するドップラー周波数偏移に基づく移動サイクル計数である。各時期、この移動サイクル計数(先の時期からの値に、現在の時期の間の位相の進行を加えたもの)は、受信器から入手できる。更に具体的には、或る時期の間の搬送波位相の進行は、時期の間隔に亘る搬送波ドップラー偏移を積分することによって求められるので、積分搬送波位相と名付けられている。
【0007】
ユーザー受信器は、搬送波の端数の位相と任意の数の完全なサイクルの和を測定することができるが、擬似範囲内の完全サイクルの正確な数を直接求めることはできない。「整数サイクル曖昧性」として知られるこの数は、別の手段で求めなければならない。搬送波位相整数曖昧性を解決するための伝統的戦略は、検索方法、濾過方法及び地理的方法の3つの広範なクラスに分かれる。これらの伝統的方法は、瞬間的整数サイクル曖昧性の回答を生み出すものではない。非瞬間的整数サイクル曖昧性問題を克服するために、「ワイドレーニング(wide−laning)」として知られる技法が開発されている。ワイドレーニングを、2つの搬送波周波数(通常、GPS L1とL2の周波数)に乗じてフィルターに掛け、うなり周波数信号を形成する。このうなり周波数の波長は、2つの個々の搬送波よりかなり長い。その結果、擬似範囲を観察して、うなり周波数信号によって形成された広い「レーン(lanes)」の整数曖昧性を求めることによって、整数の解決を達成することができる。これは、次には、整数曖昧性を解決するために探究しなければならない整数の量を大きく低減する。
【0008】
CDGPS法に関する主要な制約は、第1に、RFデータリンクの保全性と待ち時間であり、第2に、ユーザー受信器における時間判定の欠如である。RFデータリンクのデータ帯域幅は、差分データ更新速度を制限するので、データ待ち時間を発生させ、位置精度を低下させる。物理的障害と多重経路によって生じる差分データの受信品質の低下は、データを改変し、最善の場合でも位置精度を低下させるので、全体的なリンク故障となり、最悪の場合は位置が更新されない。CDGPSの第2の欠点は、時間判定の欠如である。従来型の単一点位置解法は、4つの未知の位置(x、y、z)と時間(t)に対する解を出す。CDGPSは、「二重差」として知られている処理を使用して基準受信器とユーザー受信器両方に関する受信器時計の項を削除する。従って、ユーザー受信器は、基準受信器位置に対する正確な位置を判定することはできるが、時間を判定することはできない。ユーザーが単に位置のみに関心がある場合には、これは重要ではない。しかしながら、正確なシステム時間ベースの正確な知識は、コンピューターネットワーク及び電話通信システムを含む多くのユーザー装置にとって非常に有用である。時間判定の欠如は、CDGPS先行技術システムに関わる重要な問題である。
【0009】
疑似衛星増強
GPS位置判定を支援するのに使用されるもう1つの方法は、疑似衛星のような地上ベースの増強システムを使用することである。疑似衛星は、基盤要件を追加することなく、従来型のコード及び搬送波ベースの差分GPSシステムに組み込むことができる。疑似衛星は、追加の範囲設定信号として、そして差分修正値をユーザー装置に送るためのRFデータリンクとしても用いることができる。替わりに、疑似衛星をGPS時間ベースに同期化させることもできる。GPS受信器は、少なくとも4つのGPS衛星を使って、従来型のコードベースGPS解法からGPS時間を判定し、決定された時間を、同時配置された疑似衛星の送信器へ送る。GPS時間ベースの精度は、電離層及び対流圏遅延、衛星時間誤差、衛星位置誤差、受信器ノイズ、及び多重経路を含むGPS誤差源によって制限される。約50から100ナノ秒の時間精度は、GPS時間ベース法を使用することによって実現できるが、これは、数十メートル程度でしか位置精度に転換できない。この精度は、正確な航行システムには粗すぎる。
【0010】
「無指向性マーカー」疑似衛星を使用する搬送波ベース差分GPS
Cohenに発行の米国特許第5,583,513号「正確なコードベース及び搬送波位相位置判定を行うためのシステムと方法」は、いわゆる「無指向性マーカー」疑似衛星が、差分範囲設定の修正を行うための位置受信器に情報を中継するためのチャネルとして働く差分修正法について記載している(6欄、43行から46行)。無指向性マーカー疑似衛星は、GPS衛星信号が、既知の無指向性マーカー疑似衛星位置から位置受信器へ同位相で「反射される」隠喩的ミラーとして説明できる。従って、各ビーコンマーカー信号の出て行く搬送波及びPRNコード成分は、GPS信号内の入ってくる相手に関して正確に位相の一貫性がある(6欄、28行から32行)。上空を飛行する飛行機に設置されている位置受信器は、GPS衛星から位置判定信号を受信し、更に無指向性マーカー疑似衛星から「反射された」GPS位置判定信号も受信し、続いて差分範囲測定値を計算する。
【0011】
Cohenの差分法は、従来型のコード及び搬送波ベースの差分システムに必要な伝統的デジタルデータリンクの必要性を取り除く。しかしながら、無指向性マーカー位置受信器は、なおGPS衛星と無指向性マーカー信号の両方を受信し、差分範囲測定値を計算しなければならない。無指向性マーカー信号を受信するだけでは、位置計算はできない。更に、無指向性マーカーは、視界内の各GPS衛星に関する個々の搬送波及びPRN成分を生成し、送信しなければならず、無指向性マーカーを複雑且つ高価にする。現在、これには、1つの無指向性マーカーから12もの個別送信が必要である。更に、無指向性マーカー位置受信器には、従来型の差分GPS受信器の受信チャネルを倍にする必要があり、経費と複雑さが追加されることになる。
【0012】
地上トランシーバー擬似衛星を使った差分範囲の測定値
Sheynblatに発行の米国特許第6,121,928号「地上トランシーバーのネットワーク」は、いわゆる「地上送信機」ネットワークと「地上トランシーバー」擬似衛星が、ユーザー位置の差分を決定するための位置受信機に、情報を中継するためのチャンネルとして働く差分修正法について掲載している(5欄、31行から36行)。Sheynblatは、マスター時間の偏向(5欄、23行から36行)と地上トランシーバー装置から起こる線偏向(5欄、38行から67行、6欄、1行から23行)を克服する差分修正の使用法を説いている。Sheynblatの差分法と実施形態には、(i)ユーザー受信機と地上送信機信号を含めた地上トランシーバー信号の差分(5段、31行から36行と特許申請2)、(ii)ユーザー受信機と地上送信機信号を含めた多重マスター地上送信信号の差分(6欄、25行から67行、7段、1行から33行)(iii)ユーザー受信機と衛星信号との差分計算がなされた信号を含めた地上トランシーバーの差分(7欄、34行から67行、8段、1行から34行)が、あげられる。Sheynblatの特許は、新しい差分方法を説いているが、移動する位置受信機に、地上トランシーバーのネットワークからの単一点位置解法を、提供するような強く望まれているシステムの説明や提示または提案はない。
【0013】
衛星信号捕捉補助
移動式装置に位置判定能力を備える努力が払われている。このような移動式装置の多くに、GPSのような衛星位置判定システムが第一位置判定感知装置として使用されている。地上で生成される信号の多くに比べて、衛星システムは信号を捕捉するには弱く困難である。衛星システムから位置判定解法を取得するのにかかる時間を低減するために、衛星受信機がより速く捕捉できるような補助または補助技術を提供することに努力が払われ、その結果、より速い位置判定解法が可能になる。位置判定受信機が澄んだ空の視界にある場合、このような補助技術は、位置解法を取得する時間を低減し、その結果、エネルギー消費の低減にもなる。位置判定受信機が澄んだ空の視界にない場合でも、補助技術なしでは信号が弱いために不可能である位置解法が可能になる。
【0014】
衛星位置判定信号検出には、信号を発見する時間と周波数の空間を、探索する必要がある。一般的には時間と周波数の組み合わせで、信号のレベルが検出最低限度以上になるまで、連続的にとどまって探索される。位置受信機の電子ノイズ最低値と、受信機が時間と周波数の各ビンでとどまって探索できる時間の長さで、受信機の感度が決まる。探索時間が長くなれば弱い信号も検出できるが、各ビン探索時間が長くなるため、時間と周波数ビンを保護するための探索時間が長くなる。長くなる探索時間を、軽減する一つの方法として、時間と周波数ビンの幾つかを平行して探索することがあげられる。2004年3月9日付米国特許第6,704,348号でAbrahamが、このような平行して処理する技術の一つについて掲載している。平行技術はドエル時間を長くするが、衛星信号受信条件の多くが、時間と周波数空間を効果的に探索する補助を必要とする。
【0015】
衛星信号から位置受信機の位置を計算するには、衛星送信機の位置を知る必要がある。衛星の位置は、各衛星信号からの範囲(あるいは擬似範囲)測定値に基づいた位置計算を行うのに必要となる。伝統的なGPS受信機は、衛星位置は1秒あたり50ビットで同報通信される航行データから、衛星位置情報を入手する。ここで入手した航行データは、衛星位置情報を入手するために検波される。しかしながら、航行データビット入手は、受信機の最低感度の負担となる。このようなデータビットを検波するだけの十分な感度が、受信機には必要となる。一般的に弱い信号を探索する場合、ドエル時間は、衛星信号時間と周波数位置の予想される変化と、位置受信時間の安定性によって制約される。2004年3月9日付米国特許第6,704,348号のAbrahamや他の多くが、何十秒というドエル時間を、提供しており、伝統的GPS受信機の操作範囲からはるかに劣る感度でも可能となる。しかしながら、航行データビットには、ビット変化が20ミリセカンド毎になされ、したがって隣接した20ミリセカンド間で、受信機がデータビット変化の見分けができるような強度な信号が必要となる。GPSシステムでは、航行データビット変化が、受信信号の180度位相移動によって表示される。これによって航行データビット回収にかかるドエル時間を、最高20ミリセカンドに制限し、最低信号-ノイズ率(SNR)が基準ビットエラー率(BER)を保証する。航行データビットを検波する必要性から、明らかに、位置受信機の感度は、かなり長いドエル時間で取得した感度と関連性のあるものとなるだろう。この制約を軽減するために補助技術が使用され、航行データや同等の情報を位置受信機に提供する。2003年4月1日付LaManceの米国特許第6,542,820号が、このような技術の良い例である。
【0016】
信号が弱いために生じる問題には、次のようなものがあげられる:a)受信機からのより長いドエル時間のため、受信機の許容誤差を超える信号を検知する探索時間が長くなるb)航行データビットを解読できない、そしてc)信号は弱すぎるので受信機が検知できない。検知されるには弱すぎる信号の解決策はないが、2000年10月17日付Krasnerの米国特許第6,133,874号は、先行技術の具体例となり、衛星の弱い信号を入手する補助方法について説明する。この特許に掲載される方法には、位置受信機用の時間、周波数、航行データビット情報が含まれ、位置受信機はより短い探索時間とより小さな周波数探索空間を有するので、送信された信号からの航行データビットを解読する必要がない。掲載されている補助技術は、時間や周波数や航行データビット補助を提供するために、携帯電話ネットワークのような通信ネットワークを使用する必要がある。
【0017】
先行技術システムは、時間や周波数や航行データビット補助を、位置受信機に提供するため、通信ネットワークを使用する必要がある。航行データビット補助は、通信ネットワークに自然に適応するものの、時間や周波数補助を衛星ベースの位置受信機に提供する操作は、通信ネットワークの範囲をはるかに超えたものであり、従って通信ネットワークがその任務を果たすには、余分な構成要素を付け加える必要がある。それに加えて航行適用の多くは、位置受信機が位置判定を行うことを必要とするが、通信チャンネルは要らない。従って、通信送受信機を位置受信機に付け加えることは、望ましくない。通信ネットワークを持たない衛星をベースとした位置判定システム用補助情報を、提供できるようなシステムが、強く望まれる。補助情報を提供するシステムが、位置受信機が使用できる追加範囲設定信号を、提供することも強く望まれる。さらに、衛星をベースとした範囲設定信号の有無にかかわらず、操作するシステムのような、衛星をベースとした範囲設定信号に代わる位置判定能力を提供できるようなものも、強く望まれる。本発明は以下に説明するように、送受信器のシステム(以後、位置判定ユニット装置と呼ぶ)を、時系列的に同期化することによって、この望ましい目標を達成する。各位置判定ユニット装置は余分な通信チャンネルやネットワークを必要とせずに、固有範囲設定信号と衛星をベースとした位置判定システム用補助情報も提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、位置判定ユニット装置ネットワーク時間が同期化された自律ネットワークに関連して、全地球的航法衛星システム(GNSS)信号のうち少なくとも一つの位置判定ユニット装置到着時間を判定し、位置判定ユニット装置ネットワーク時間が同期化された自律ネットワーク内で操作して、位置受信機が全地球的航法衛星システム(GNSS)信号を捕捉する補助をするために、この到着時間を、位置受信機に提供することである。
【0019】
本発明の又別の目的は、同期化された位置判定ユニット装置の自律ネットワークのネットワーク周波数に関連して、全地球的航法衛星システム(GNSS)信号のうち少なくとも一つの位置判定ユニット装置到着周波数を判定し、同期化された位置判定ユニット装置ネットワークの自律ネットワーク内で操作して、位置受信機が全地球的航法衛星システム(GNSS)信号を捕捉する補助をするために、この到着周波数を位置受信機に提供することである。
【0020】
本発明の又別の目的は、全地球的航法衛星システム(GNSS)時間と位置判定ユニット装置ネットワーク時間が同期化された自律ネットワークの間にある時間のオフセットを、位置受信機に提供することである。
【0021】
本発明の又別の目的は、全地球的航法衛星システム(GNSS)周波数と位置判定ユニット装置ネットワーク周波数が同期化された自律ネットワークの間にある周波数のオフセットを、位置受信機に提供することである。
【0022】
本発明の又別の目的は、同期化された位置判定ユニット装置の自律ネットワーク内で操作している位置受信機に、全地球的航法衛星システム(GNSS)の衛星軌道情報を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の上記目的は、基準座標システムに対して既知の位置に配置されている位置判定ユニット装置を含んでいて、基準座標システムに対して既知の位置に配置されている基準送信器から1つ又は複数の基準位置判定信号を受信する位置判定システムによって実現される。基準送信器は、他の位置判定ユニット装置、広域増強システム(WASS)衛星、全地球的航法衛星システム(GNSS)衛星、疑似衛星、又はタイミング情報を組み込んでいる何らかの他の信号、を含んでいる。受信された基準位置判定信号は、それぞれ、搬送波成分、擬似乱数コード成分、及びデータ成分を有しているのが望ましい。位置判定ユニット装置は、受信した基準位置判定信号とその既知の位置に応えて、固有の位置判定信号を生成する。固有の位置判定信号は、受信した位置判定信号の1つ又は複数の搬送波成分に時系列的に同期化された搬送波成分と、受信した位置判定信号の1つ又は複数の擬似乱数コード成分に時系列的に同期化された擬似乱数コード成分と、受信した位置判定信号の1つ又は複数のデータ成分に時系列的に同期化されたデータ成分とを有している。位置判定ユニット装置が基準送信器に時系列的に同期化されると、ネットワークに入っている他の位置判定ユニット装置は、その固有の送信された位置判定信号を基準位置判定信号として使用することができる。時系列的に同期化された位置判定ユニット装置の地理的分散は、位置判定信号の、時間一貫性のあるネットワークを作る。それによって、本発明の方法は、非常に正確な時間ベースを実質的な地理領域に亘って伝播させる固有の能力を有することになる。
【0024】
本システムは、少なくとも1つの移動する位置受信器も含んでいる。移動する位置受信器は、受信された時系列的に同期化されている擬似乱数コード成分それぞれについて擬似範囲測定を行うことにより、コードベースの単一点位置判定を行うことができ、搬送波整数サイクル曖昧性が解決されると、受信された時系列的に同期化されている搬送波成分それぞれについて擬似範囲測定を行うことにより、搬送波ベースの単一点位置判定を行うことができる。時系列的に同期化される位置判定システムの形成は、移動する位置受信器に、差分修正の必要なしに、コードベースと正確な搬送波ベース両方の単一点位置の解を自律的に計算する能力を与える。更に、ネットワーク内の絶対時間精度に関する要件(先行技術では、通常、原子時標準によって導き出される)は、無くなる。
【0025】
位置判定ユニット装置が少なくとも1つの基準送信器に時系列的に同期化する上記方法を、以後「タイムロック」と呼ぶ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
位置判定ユニット装置は、専用の送受信器であり、既知の位置に配置されており、少なくとも1つの基準送信器から少なくとも1つの基準位置判定信号を受信する。基準送信器は、もう1つの位置判定ユニット装置又はWAAS衛星であるのが望ましい。受信した基準位置判定信号に応えて、位置判定ユニット装置は、内部に生成された位置判定信号を基準送信器時間ベースに対して時系列的に同期化させ、その固有の位置判定信号を視界内の他の全ての位置判定受信器へ送信する。自律的位置ネットワークを形成するための最低要件は、少なくとも2つの位置判定ユニット装置が1つの基準送信器に時系列的に同期化されていることである。移動する位置判定受信器は、この自律ネットワーク内の全ての送信信号の点に鑑み、差分修正の必要無しに、自律コードと、搬送波単一点位置の解とを求めることができる。更に、基準送信器の発振器は、先行技術のシステムが必要とする原子時標準の本来的な安定性を必要としないので、位置ネットワーク全体の基準時間ベースとして、安価な水晶体発振器を用いることができる。
【0027】
従って、以下に説明するように、位置判定ユニット装置は、時系列的に同期化された位置判定信号を移動する位置受信器に配送するための隠喩的「チャネル」として働く。これにより、移動する位置受信器は、位置判定ユニット装置の間の物理的接続の必要なしに、原子時標準又はGNSS時間ベースの必要なしに、そして差分修正の必要なしに、コードベース及び搬送波ベース両方の単一点位置判定を計算することができる。
【0028】
システム及び方法
図1は、コードベースと搬送波ベースの単一点位置計算を使って、正確な位置判定を生成する位置判定システムの1つの構成を示している。複数の位置判定ユニット装置101−1、101−2は、基準座標システムに関して既知の位置に配置されており、これも基準座標システムに関して既知の位置に配置されている少なくとも1つの基準送信器103によって同報通信される少なくとも1つの基準位置判定信号102をそれぞれ受信する。受信された基準位置判定信号102に応えて、位置判定ユニット装置101−1、101−2は、1つ又は複数の固有の位置判定信号104−1、104−2を送信し、それ等は基準送信器103に時系列的に同期化されている。装置101−1、102−2、103のネットワーク内に位置している移動する位置受信器105は、基準送信器103からの基準位置判定信号102と、位置判定ユニット装置101−1、101−2からの固有の位置判定信号104−1、104−2を受信し、時系列的に同期化された位置判定信号のネットワークから、コードベースと搬送波ベース両方の単一点位置判定を自律的に計算する。
【0029】
タイムロック
タイムロック位置判定ユニット装置は、共通の時系列的時間ベースに同期化するが、これは任意の値であってもよいし、任意の分散を有していてもよい。従って、水晶体発振器のような簡単で安価な時計源であっても、基準送信器内の基準時計として十分である。好適な実施形態では、温度補正水晶体発振器(TCXO)又はそれより優れたものが用いられている。位置判定ユニット装置は、先ず、基準送信器位置判定信号を入手し、基準送信器の既知の座標と位置判定ユニット装置の既知の座標から、いわゆる経過時間オフセットを計算する。経過時間オフセットは、基準送信器から位置判定ユニット装置へ移動する間に基準位置判定信号に生じる伝播時間遅延を考慮する。自由空間では、電磁波は、3ナノ秒毎に約1メートル移動する。次に、位置判定ユニット装置は、内部的に生成された位置判定信号に経過時間オフセットを適用し、この位置判定信号を入ってくる基準位置判定信号に整列させ、内部的に生成された位置判定信号を基準送信器と時系列的に整列させる。具体的には、タイムロックは、位置判定ユニット装置の内部的に生成された位置判定信号が、入ってくる基準位置判定信号と周波数一貫性を有しており、基準送信器時間ベースと時系列的一貫性を有しているときに実現される。
【0030】
基準位置判定信号は、基準送信器から無線周波数(RF)搬送波を介して送信される。基準位置判定信号は、位置判定ユニット装置、広域増強システム(WAAS)衛星、全地球的航法衛星システム(GNSS)衛星、疑似衛星、又は有効な源の何らかの組み合わせを含む、何らかの有効な時間源から生成することができる。図2では、基準送信器202から既知の距離に配置されている位置判定ユニット装置201は、基準送信器202が送信する基準位置判定信号203を受信する。基準位置判定信号203は、搬送波成分、固有擬似乱数コード成分、及びデータ成分を有している。位置判定ユニット装置201には、位置受信器204と同時配置された送信器205が組み込まれている。位置受信器204は、視界内の全ての基準位置判定信号からの位置判定信号203と、その同時配置されている送信器205からの位置判定信号とを受信することができる。位置判定ユニット装置201は、受信した基準位置判定信号203に応えて、いわゆる従属位置判定信号206をその送信器205から送信し、それは位置判定ユニット装置位置受信器204に受信される。従属位置判定信号206は、搬送波成分、固有の擬似乱数コード成分、及びデータ成分を有している。位置判定ユニット装置位置受信器204は、基準送信器202からの基準位置判定信号203と、同時配置されている送信器205からの従属位置判定信号206を受信し、同時にサンプル採取する。次に、受信した基準位置判定信号203と受信した従属位置判定信号206の間の送信時間差が計算される。好適な実施形態で用いられている送信時間の差は、
(a)基準位置判定信号203の搬送波成分から求められた積分搬送波位相(ICP)測定値と従属位置判定信号206を比較して、搬送波周波数の差を求める段階と、
(b)基準位置判定信号203からの航行データ成分と従属位置判定信号206を復調して比較し、粗い送信時間の差を求める段階と、
(c)基準位置判定信号203の擬似乱数コード成分から求められた擬似範囲測定値と従属位置判定信号206を比較し、コード擬似範囲の差を求める段階と、
(d)基準位置判定信号203の搬送波成分から求められた瞬間搬送波位相測定値と従属位置判定信号206を比較し、搬送波位相の差を求める段階と、
によって求められる。
【0031】
従属位置判定信号206を基準送信器202の時間ベースに正確に時間同期化するには、基準送信器アンテナ207と位置判定ユニット装置位置受信器アンテナ208の間の信号伝播遅延を考慮しなければならない。基準送信器のアンテナ207から位置判定ユニット装置位置受信器アンテナ208までの、メートルでの既知の地理的距離209は、経過時間=距離/光速の式によって単一の経過時間に変換できる。位置判定ユニット装置201には、制御(steering)される送信器時計210が組み込まれており、位置判定ユニット装置のCPU211によって周波数調整することができる。制御される送信器時計210への修正値は、位置判定ユニット装置のCPU211によって、基準位置判定信号203と、位置判定ユニット装置受信器204によって測定される従属位置判定信号206との間の時間差から決定され、基準位置判定信号の経過時間209によってオフセットされる。これにより、従属位置判定信号206は、基準送信器202の時間ベースと時系列的同期化される。
【0032】
受信した基準位置判定信号203の従属位置判定信号206との差を計算するプロセスは、位置判定ユニット装置の位置受信器時計項を削除するので、位置判定ユニット装置201は、局所位置判定ユニット装置発振器212によって生じる何らの時計バイアス無しに、基準送信器202の時間ベースに従うことができる。更に、同じ位置受信器204の2つのチャネルの間の差を計算することにより、位置受信器電子機器によって生じる全ての受信器配線バイアス又はグループ遅延が削除される。
【0033】
位置判定ユニット装置の制御状態
好適な実施形態では、位置判定ユニット装置は、以下の制御状態を使って、基準送信器にタイムロックする。
【0034】
状態0:リセット
全てのハードウェアをリセットする
【0035】
状態1:基準を入手
位置判定ユニット装置CPU211は、位置判定ユニット装置位置受信器204によって基準位置判定信号203の探索を開始する
【0036】
状態2:基準にロック
位置判定ユニット装置位置受信器204は、基準位置判定信号203を入手し、基準送信器202の位置と時間は、その航行データ成分から、位置判定ユニット装置CPU211によって復調される。
【0037】
状態3:従属を同期化
位置判定ユニット装置CPU211は、基準位置判定信号航行データ成分との粗い時間整列に配慮するために待機する。次に、内部時計生成器が、CPU211によって開始される。
【0038】
状態4:従属を初期化
位置判定ユニット装置CPU211は、この特定の位置判定ユニット装置201に関する適切且つ固有のPRNコードシーケンスを定め、このRPNコードシーケンスを位置判定ユニット装置送信器205に割り当てる。基準位置判定信号203の(位置判定ユニット装置発振器212に対する)現在の周波数オフセットも、位置判定ユニット装置CPU211によって、位置判定ユニット装置の制御される送信器時計210に割り当てられる。これは、位置判定ユニット装置送信器205を、基準位置判定信号203の周波数とほぼ同じ周波数に初期化するように作用する。位置判定ユニット装置CPU211は、更に、求められたPRNシーケンスを、位置判定ユニット装置位置受信器204内の自由受信器チャネルに割り当てる。受信器チャネルは、位置判定ユニット装置位置受信器204による従属位置判定信号206の入手を支援するため、位置判定ユニット装置送信器205と同じ周波数オフセット及び擬似乱数コード位相値で初期化される。位置判定ユニット装置は、次に、従属位置判定信号206の送信を開始する。
【0039】
状態5:従属を入手
位置判定ユニット装置位置受信器204は、従属位置判定信号206の探索を開始する。
【0040】
状態6:従属にロック
位置判定ユニット装置位置受信器204は、従属位置判定信号206を入手し、その航行データ成分から、粗い従属時間が復調される。
【0041】
状態7:基準/従属周波数ロック
基準位置判定信号203と従属位置判定信号206に対する同時積分周波数位相(ICP)測定値は、位置判定ユニット装置位置受信器204によって初期化(ゼロ化)され、差が計算される。この差の値は、基準位置判定信号203と従属位置判定信号206の間の周波数及び位相の差を示している。位置判定ユニット装置CPU211内の制御ループは、位置判定ユニット装置の制御される送信器時計210へ修正を継続的に適用し、基準位置判定信号203と従属位置判定信号206の間のICP差をゼロに維持し、周波数ロックを維持する。
代わりに、位置判定ユニット装置位置受信器204によって測定される、受信された基準位置判定信号周波数オフセット値を、位置判定ユニット装置の制御される送信器時計210へ直接供給し、いわゆる「周波数追跡システム」(FTS)を作ることもできる。制御される送信器時計210は、入ってくる基準位置判定信号203の周波数オフセットを単純にエミュレートし、周波数ロックを維持する。この方法は、位置判定ユニット装置発振器212が、位置受信器204と送信器205の間で共有されていなければならない。
【0042】
状態8:基準/従属コードロック
状態7の基準/従属周波数ロックが実現されると、基準位置判定信号203と従属位置判定信号206の間の時間差を正確に測定し、時間バイアスを削除することができる。基準/従属コードロックは、位置判定ユニット装置の制御される送信器時計210が必要な時間の量だけ回され、基準及び従属位置判定信号をPRNコードと整列させたときに実現される。経過時間値209は、測定された基準とスレーブの時間差をオフセットし、基準信号伝播遅延の影響を排除するのに用いられ、計算された時間差は、次に時計修正値として位置判定ユニット装置の制御される送信器時計210に適用される。時計修正は、周波数追跡システム(FTS)を係合させ、追加の周波数オフセットを所定の期間に対し制御される送信器時計210へ適用することによって実現される。この追加の周波数オフセットは、従属位置判定信号206が、基準送信器202の時間ベースと時間の一貫性が保てるようになるまで、回転できるようにする。この時間の回転が完了すると、制御ループが再係合される。代わりに、コードロックは、位置判定ユニット装置送信器205のPRNコード生成器を、周波数ロックを維持しながら必要量のコード位相(チップ)だけ回転させることによって、実現させることもできる。
コードロックはPRNコードの精度に基いており、PRNコードは本来的にノイズが多い。好適な実施形態では、静止位置判定ユニット装置は、PRNコードのノイズにフィルターを掛け、副搬送波サイクルレベルにする。
【0043】
状態9:基準/従属位相ロック
状態7の基準/従属周波数ロックと状態8の基準/従属コードロックが実現された状態では、(1)180度位相曖昧性と(2)経過時間位相オフセットの2つの時間誤差がまだ残っており、修正しなければならない。
【0044】
(1)180度位相曖昧性の修正:データは、当該技術では「コスタスループ」として周知の専用の位相ロックループを使って、PRNコード位置判定信号から復調される。コスタスループ技法は、本来的に180度位相曖昧性を組み込んでいるので、半サイクルの曖昧性で位置判定信号を入手し追跡することができる。この半サイクル曖昧性は、2.4ギガヘルツで約200ピコ秒の時間オフセットを示す。コスタスループ曖昧性は、一般的に前文と呼ばれるデータビットの所定のシーケンスを参照することによって解決し、ロケーションネットワーク内の送信器によって、航行データ成分で送信することができる。コスタスループ曖昧性が解決されると、周波数ロックされた基準の位置受信器位相レジスタと従属位置判定信号の間の任意固定位相差が明らかになる。この任意位相オフセットは、従属位置判定信号の任意位相によるものであり、以下の段階(2)で調整される。
【0045】
(2)経過時間位相オフセットの修正:端数サイクルの経過時間位相オフセットは、基準送信器アンテナ207と位置判定ユニット装置アンテナ208の間の基準位置判定信号伝播遅延のために存在する。基準送信器と位置判定ユニット装置の間の地理的距離209は、完全搬送波サイクル(整数成分)213の数と、端数搬送波サイクル(端数成分)214の和で表すことができる。経過時間位相オフセットは、基準送信器アンテナ207と位置判定ユニット装置アンテナ208の間の既知の地理的距離から計算される端数サイクル量214である。整数成分213は、上記状態8の基準/従属コードロック制御状態で修正される。しかしながら、端数成分214は、状態8の基準/従属コードロック状態で修正するには小さ過ぎるので、搬送波位相調整として修正しなければならない。周波数追跡システム(FTS)が係合され、位置判定ユニット装置の制御される送信器時計210が、(上記段階(1)で求められたその現在の測定された任意位相値から)新しく求められた経過時間位相値まで、必要な端数サイクル量だけ時間回転される。次にタイムロックループ(TLL)が再係合される。位置判定ユニット装置アンテナ208から発せられた位置判定ユニット装置搬送波位相従属位置判定信号206は、ここで、基準送信器アンテナ207から発せられる基準送信器202の搬送波位相位置判定信号と時系列的に同期化される。
【0046】
状態10:基準/従属全ロック
上記の状態が全て実現されると、CPU211はタイムロックを宣言し、位置判定ユニット装置201は、現在完全に同期化されている固有の位置判定信号215の送信を開始する。位置判定ユニット装置の固有の位置判定信号215は、ここで基準送信器202の時間ベースに、ピコ秒の正確さと実質的に先行技術の能力を超える能力で、時系列的に同期化される。
【0047】
固有の位置判定信号
好適な実施形態では、各位置判定ユニット装置は、搬送波成分、擬似乱数コード成分及び航行データ成分から成る固有の位置判定信号を送信する。搬送波成分は、2.4GHz ISM帯域で送信されるのが望ましい正弦波無線周波数波であるが、本発明の方法は他の周波数帯域にも等しく適用できる。擬似乱数番号(PRN)コード成分は、搬送波成分上で変調され、同じ搬送波周波数で他の装置によって送信される他の擬似乱数コードシーケンスの中にあっても識別できる固有コードシーケンスで構成されている。この技法は、コード分割多重アクセス(CDMA)として知られており、当該技術では周知である。航行データ成分は、擬似乱数コード成分上で変調される私有情報であり、航行情報を位置判定ユニット装置と移動する位置受信器へ伝送するための通信リンクを提供する。航行情報は、ネットワーク時間と、位置判定ユニット装置位置と、隠喩的「基準時計リンケージ」情報と、他の必要なネットワークデータを含んでいる。
【0048】
タイムロック構成
タイムロックは、多数の異なる構成で実施することができる。これらの構成には、
1.単一の位置判定ユニット装置に同報通信する単一の基準送信器
2.複数の位置判定ユニット装置に同報通信する単一の基準送信器
3.中間の位置判定ユニット装置を通して同報通信する1つ又は複数の基準送信器
4.1つ又は複数の位置判定ユニット装置に同報通信する複数の基準送信器
5.点位置時間同期化
が含まれている。
【0049】
単一の位置判定ユニット装置へ同報通信する単一の基準送信器
単一の基準送信器を使って、基準位置判定信号を単一の位置判定ユニット装置へ同報通信することができる。図2は、既知の場所に位置している位置判定ユニット装置201と、これも既知の場所に位置している基準送信器202とを示している。位置判定ユニット装置送信201は、基準送信器202が送信する基準位置判定信号203と、位置判定ユニット装置送信器205が送信する従属位置判定信号206を受信する。受信した基準位置判定信号203に応えて、位置判定ユニット装置201は、基準位置判定信号伝播遅延209を求め、適切な送信器時計修正を適用して、その内部的に生成された従属位置判定信号206の搬送波成分、固有のPRNコード成分及びデータ成分を、基準送信器位置判定信号203の搬送波成分、PRNコード成分及びデータ成分と、時系列的に同期化する。位置判定ユニット装置は、次いで、固有の位置判定信号215を送信し、位置判定信号215は、基準送信器202の時間ベースに時系列的に同期化される。
2つの位置判定信号では、移動する位置受信器の位置の解を求めるのに十分ではない。
しかしながら、基準送信器がWAAS衛星であれば、タイムロックされた位置判定ユニット装置の信号は、ピコ秒レベルまでGPS時間と同期しているので、位置受信器で、従来のコードベースのGPS解用の追加の正確な範囲設定源として使用することができる。
【0050】
複数の位置判定ユニット装置に同報通信する単一の基準送信器
複数の位置判定ユニット装置が基準送信器の明らかに視界内にあれば、単一の基準送信器を使用して位置判定ユニット装置のネットワークを形成することができる。
【0051】
図3は、既知の場所に位置している複数の位置判定ユニット装置301−1、301−2と、これも既知の場所に位置している基準送信器302とを示している。位置判定ユニット装置301−1、301−2は、基準送信器302が送信する基準位置判定信号303を受信する。受信した基準位置判定信号303に応えて、各位置判定ユニット装置301−1、301−2は、基準送信器302からの各信号伝播遅延304−1、304−2を求め、適切な送信器時計修正値を適用して、その内部的に生成された位置判定信号の搬送波成分、固有のPRNコード成分及びデータ成分を、基準送信器位置判定信号303の搬送波成分、PRNコード成分及びデータ成分に時系列的に同期化させる。各位置判定ユニット装置は、続いて固有の位置判定信号305−1、305−2を送信し、位置判定信号305−1、305−2は、基準送信器302の時間ベースに時系列的に同期化される。
【0052】
中間の位置判定ユニット装置を通して同報通信する1つ又は複数の基準送信器
全ての位置判定ユニット装置が基準送信器の明確な視界内になくても、1つ又は複数の時間同期化基準送信器を使って、位置判定ユニット装置のネットワークを形成することができる。この構成では、タイミング信号は、中間の位置判定ユニット装置を介して縦続伝送される。中間の位置判定ユニット装置がタイムロックを宣言すると、後続の位置判定ユニット装置は、この中間の位置判定ユニット装置をその基準位置判定信号として使用することができる。
【0053】
図4は、既知の場所に位置している基準送信器401と、これも既知の場所に位置している第1位置判定ユニット装置402を示している。第1位置判定ユニット装置402は、基準送信器401が送信する位置判定信号403を受信する。受信した基準位置判定信号403に応えて、第1位置判定ユニット装置402は、基準送信器401からの信号伝播遅延404を求め、適切な時計修正値を適用して、その内部的に生成された位置判定信号の搬送波成分、固有のPRNコード成分及びデータ成分を、基準送信器位置判定信号403の搬送波成分、PRNコード成分及びデータ成分に時系列的に同期化させる。第1位置判定ユニット装置402は、続けて固有の位置判定信号405を送信し、位置判定信号405は基準送信器401の時間ベースに時系列的に同期化される。
【0054】
既知の場所に位置しているが、建築物409によって生じる信号障害のために基準位置判定信号410の視界内にはない第2位置判定ユニット装置406は、続いて、第1位置判定ユニット装置402から位置判定信号405を受信する。受信した位置判定信号405に応えて、第2位置判定ユニット装置406は、第1位置判定ユニット装置402からの信号伝播遅延407を求め、適切な時計修正値を適用して、その内部的に生成された位置判定信号の搬送波成分、固有のPRNコード成分及びデータ成分を、第1位置判定ユニット装置の位置判定信号405の搬送波成分、PRNコード成分及びデータ成分に時系列的に同期化させる。第2位置判定ユニット装置406は、続けて、搬送波成分、PRNコード成分及びデータ成分を組み込んでいる固有の位置判定信号408を送信する。この固有の位置判定信号408は、第1位置判定ユニット装置402の時間ベースに時系列的に同期化され、この第1位置判定ユニット装置402の時間ベースは、基準送信器401の時間ベースに時系列的に同期化される。
【0055】
1つ又は複数の位置判定ユニット装置に同報通信する複数の基準送信器
複数の時間同期化された基準送信器を使って、基準位置判定信号を1つ又は複数の位置判定ユニット装置に同報通信することができる。この構成では、多重経路及び対流圏遅延のようなどの様な基準誤差源でも基準送信器の間で平均化して、時間ベースの精度を改良することができる。
【0056】
図5は、既知の場所に位置している位置判定ユニット装置501と、これも既知の場所に位置している、共通の時間ベースを有する複数の基準送信器502−1、502−2を示している。位置判定ユニット装置501は、基準送信器502−1、502−2が送信する基準位置判定信号503−1、503−2を受信する。受信した基準位置判定信号503−1、503−2に応えて、位置判定ユニット装置501は、各基準送信器502−1、502−2からの信号伝播遅延504−1、504−2を求め、適切な時計修正値を適用して、その内部的に生成された位置判定信号の搬送波成分、固有のPRNコード成分及びデータ成分を、2つの基準送信器位置判定信号503−1、503−2の搬送波成分、PRNコード成分及びデータ成分に時系列的に同期化させる。位置判定ユニット装置501は、続いて固有の位置判定信号505を送信し、位置判定信号505は基準送信器502−1、502−2の時間ベースに時系列的に同期化される。
【0057】
点位置タイムロック
位置判定ユニット装置は、基準送信器と位置判定ユニット装置の間の地理的距離(基準位置判定信号伝播遅延)が分かっていなくても、ネットワークの時間ベースに同期化することができる。タイムロックのこの実施形態では、少なくとも4つのタイムロックされた位置判定ユニット装置が視界内になければならない。ネットワークへ入ることを求めている位置判定ユニット装置は、その3次元の位置を、位置判定ユニット装置位置受信器時計オフセットを組み込んでいる単一点位置を計算することによって自己調査する。位置判定ユニット装置位置受信器時計オフセットは、位置判定ユニット装置の従属送信器が正確なネットワーク時間ベースとして利用することができる(局所位置受信器時計に対する)ネットワーク時間を正確に提供する。好適な実施形態では、位置判定ユニット装置は、単一点搬送波解法を使って、正確なネットワーク時間をピコ秒まで求めることができ、これは先行技術システムの能力を実質的に超える能力である。
【0058】
WAAS基準
この好適な実施形態では、基準送信器は広域増強システム(WAAS)衛星である。WAAS衛星は、静止通信衛星であり、GPS受信器にGPS差分修正値を送信する。WAAS衛星は、更に、固有の位置判定信号を、1575.42MHzのGPSL1搬送波周波数で送信する。この固有の位置判定信号は、UTCに提供される修正値でGPS時間に正確に同期化されている。従って、WAAS衛星は、UTCの世界標準時間ベースと同期している理想的な基準送信器になる。
【0059】
好適な実施形態では、位置判定ユニット装置の位置受信器は、2.4GHzISM帯域で他の位置判定ユニット装置から位置判定信号を、そしてL帯域周波数でWAAS及びGNSS衛星から位置判定信号を受信するための手段を組み込んでいる。位置判定ユニット装置は、WAAS衛星を基準送信器として使用し、その2.4GHzの従属位置判定信号を1575.42MHzのWAAS位置判定信号にタイムロックすることができる。異種の搬送波周波数の間のタイムロックは、入ってくるWAAS及び位置判定ユニット装置の搬送波を、位置判定ユニット装置位置受信器の共通のベースバンド周波数に一貫性をもってダウンコンバートすることによって開始される。次に、タイムロックは、先に述べた方法によって実行される。一貫したダウンコンバートには、位置判定ユニット装置の位置受信器の局所発振器が、共通の発振器で駆動されている必要がある。好適な実施形態では、共通の発振器は、位置受信器、送信器及び中央演算処理装置を含む位置判定ユニット装置の全構成要素に時計情報を生成する。周波数間のタイムロックを計算する場合、ダウンコンバート前のWAAS及び位置判定ユニット装置の搬送波周波数の受信経路が異なるために、配線バイアス及びグループ遅延が考慮される。
【0060】
図6では、位置判定ユニット装置601−1、601−2、601−3、601−4は、空がよく見えて、望ましくは丘の上602−1、602−2及び/又は高い建築物603−1、603−2のような高い位置にある既知の場所に配置されている。必要ならば、指向性受信アンテナ604−1、604−2、604−3、604−4を、各位置判定ユニット装置601−1、601−2、601−3、601−4に組み込んで、静止WAAS衛星605に向けてもよい(これら追加のアンテナは、好ましいが、本方法にとって不可欠ではない)。位置判定ユニット装置に指向性アンテナを展開すると、多重経路を減らし、WAAS信号の受信される信号対ノイズ比が改善され、その結果、基準時間ベース精度が改善される。各位置判定ユニット装置601−1、601−2、601−3、601−4は、WAAS衛星信号606にタイムロックされ、ピコ秒の精度を有する正確なUTC同期化ネットワークが作られる。歩行者608が保持している位置受信器607は、建築物609内に位置している。WAAS衛星信号606は、信号出力が低いため、建築物609を貫通できない。しかしながら、位置判定ユニット装置601−1、601−2、601−3、601−4からの位置判定ユニット装置信号610−1、610−2、610−3、610−4は、近接しているので、建築物609を貫通することができる。位置受信器607は、4つの位置判定ユニット装置の全てから位置判定ユニット装置の位置判定信号を受信することができるので、衛星から遮蔽された領域内でも正確な単一点位置判定を行うことができる。更に、位置受信器607が位置の解を算出すると、UTCを正確に判定することができる。従って、本発明は、更に、衛星遮蔽領域内でも正確なUTC時間伝送を提供する。更に、位置受信器607が建築物609を出ると、視界内のあらゆる位置判定ユニット装置601−1、601−2、601−3、601−4、WAAS衛星605又はGNSS衛星からの信号を用いて、過剰規定されている位置の解を形成し、歩行者計算位置に位置の完全性を追加する。
【0061】
中間のWAAS基準
別の実施形態では、WAAS衛星の明確な視界内に配置されている位置判定ユニット装置を、中間基準信号としても使用する。WAAS衛星信号を受信することができない位置判定ユニット装置は、その時間基準源として中間の「バックボーン」位置判定ユニット装置を使用することができる。従って、UTCは、全ての位置判定ユニット装置が基準WAAS衛星の明確な視界内になくても、ネットワーク中に配布される。
【0062】
位置判定ユニット装置基準
WAAS衛星が使用できない場合、少なくとも1つの位置判定ユニット装置が、位置判定ユニット装置のネットワーに時間ベースを提供するのが望ましい。図7では、既知の場所に位置している第1位置判定ユニット装置701は、基準送信器として規定されており、その内部的に生成された時計702からシステムの時間ベースを作り出す。既知の場所に位置している2つの後続の位置判定ユニット装置703、704は、第1位置判定ユニット装置の基準位置判定信号705にタイムロックされる。既知の場所ではあるが第1位置判定ユニット装置701の範囲外に位置している第4位置判定ユニット装置706は、第2位置判定ユニット装置の固有位置判定信号707にタイムロックされる。従って、システムは、中間位置判定ユニット装置を通して、正確に縦続接続された時間伝送を行うことができる。位置受信器708は、視界内の全ての位置判定ユニット装置701、703、704、706が送信する時間同期化位置判定信号709を受信し、続いて単一点位置の解を計算する。更に、位置受信器708で計算される時間は、基準位置判定ユニット装置701の基準時計702と時系列的に同期化される。ユーザーが位置判定のみに関心がある場合、位置判定ユニット装置701内の基準時計702の任意時間値は重要ではない。ユーザーが大域の時間ベースとの時間整列を行いたい場合は、基準位置判定ユニット装置701内の基準時計702をUTCに合わせる必要がある。
【0063】
GNSS時間ベースに制御される位置判定ユニット装置基準
WAAS衛星信号を使用することができず、ネットワークを全地球的時間ベースに整列させなければならない場合、基準位置判定ユニット装置をGNSS時間ベースによって制御しUTCに合わせるのが望ましい。GNSS時間ベースは、少なくとも1つのGNSS衛星を使って時間解を計算するのに、既知の場所に配置されている位置受信器を必要とする。この技法を使えば、50ナノ秒オーダーの時間精度を実現することができる。基準位置判定ユニット装置にタイムロックされている位置判定ユニット装置の間の相対的な時間精度は、ピコ秒レベルに留まる。
【0064】
ネットワーク内位置の解
複数の基準送信器を使用して、複数の自律ネットワークを作ることができる。自律ネットワークは、基準送信器によって生成される固有の時間ベースを有している。単一の自律ネットワーク内に位置している位置受信器は、単一点の位置の解を使って位置、速度及び時間(PVT)を判定することができる。位置受信器の時間は、ネットワーク時間ベースに対して判定され(即ち、基準送信器時計)イントラネットワーク位置解と称される。2つの自律ネットワークの境界に位置していて、位置判定ユニット装置からの位置判定信号を両方のネットワークから受信する位置受信器は、位置を判定する前に、先ず2つのネットワーク時間ベースの間で識別を行わなければならない。これは、ネットワーク内位置の解として説明することができ、移動する位置受信器は、先ず単一の時間ベースを選択し、単一点位置の解を計算する前に第2時間ベースに時計修正値を適用する必要がある。
【0065】
好適な実施形態では、位置判定ユニット装置は、ネットワークデータ内のネットワーク識別(ネットワークID)情報も含んでいる。ネットワークI.D.は、位置判定ユニット装置の基準時間相互接続性を、位置判定ユニット装置と位置受信器が、視界の中の各位置判定ユニット装置毎に、基準時計データの元の及び隠喩的「血統」を判定することができるように、マップする。これにより、2つの自律ネットワークの境界に位置する位置判定ユニット装置又は位置受信器が、どの位置判定ユニット装置が各ネットワークと関係付けられているか、従って、どの位置判定ユニット装置が、移動する位置受信器の位置計算で時計修正値を必要としているか、判定できるようになる。各位置判定ユニット装置は、視界内の他の全ての位置判定ユニット装置からネットワークI.D.情報を受信し、それに応えて、それ自身のネットワークI.D.情報を生成し、視界内の他の全ての位置判定ユニット装置及び移動する位置受信器に送信する。
【0066】
図8では、位置判定ユニット装置の2つの自律ネットワーク801、802を描いている。位置判定ユニット装置801−1、801−2及び801−3は、互いに視界内にあり、位置判定信号803−1、803−2及び803−3を介して互いに通信する。位置判定ユニット装置802−1、802−2及び802−3は、互いに視界内にあり、位置判定信号804−1、804−2及び804−3を介して互いに通信する。2つのネットワーク801−3の境界付近に位置する位置判定ユニット装置は、隣接するネットワーク位置判定ユニット装置802−3から位置判定ユニット装置の位置判定信号804−3を受信し、それ自身のネットワーク801の時間ベースに対する隣接ネットワーク時間ベースの時間ベースの差、即ち時計バイアスを測定する。位置判定ユニット装置801−3は、隣接するネットワーク位置判定ユニット装置802−1、802−2、802−3に関する時計修正値を、位置判定信号803−3内に組み込まれているネットワークデータで送信する。1つの自律ネットワーク内の全ての時計は時間に一貫性があるので、ネットワーク修正値を形成する際、位置判定ユニット装置801−3は、隣接するネットワークの位置判定ユニット装置802−3からの位置判定信号を1つだけ受信すればよい。更に、位置判定ユニット装置801−3の1つだけが、隣接するネットワークを測定すればよく、そうすれば、それ自身の位置判定信号803−3で送信されるネットワーク時計修正値が、それ自身のネットワーク内の他の位置判定ユニット装置に受信され、中継され、その後に続く送信803−1、803−2で、移動する位置判定受信器805に送信されることになる。
【0067】
位置判定ユニット装置801−3の位置判定信号803−3のネットワークデータで送信される修正値は、ネットワーク801と802の間を移動している位置受信器805に受信される。移動する位置受信器は、位置判定ユニット装置801−3から受信したネットワーク時計修正値を適用し、次いで、視界内の全ての位置判定ユニット装置の位置判定信号803−1、803−2及び803−3と、隣接するネットワークの位置判定ユニット装置の位置判定信号804−3とを使って、単一点位置の解を計算する。単一点位置の解が計算されると、移動する位置受信器805の時計は、時計修正値を提供するネットワーク801の時間ベースと時間一貫性を持つことになる。更に、隣接するネットワークの位置判定ユニット装置802−3は、第1位置判定ユニット装置801−3から位置判定信号803−3を受信し、自身のネットワーク802の時間ベースに対する第1ネットワーク801の時間ベース差を測定することができる。隣接するネットワークの位置判定ユニット装置802−3は、次に、その隣接するネットワークの位置判定ユニット装置801−1、801−2及び801−3に対する時計修正値を、その位置判定信号804−3内の自身のネットワークデータで送るので、必要であれば、移動する位置受信器805は、時間ベース間で選択できるようになる。
【0068】
GNSSと位置判定ユニット装置ネットワーク用タイムベース情報
GNSSは同期化されたネットワークであり、概念上、隣接する位置判定ユニット装置ネットワークや、一般的な位置判定ユニット装置ネットワークと同じものである。GNSSと位置判定ユニット装置ネットワークのタイムベースは、GNSSと位置判定ユニット装置ネットワークからの位置判定信号を監視し、位置判定ユニット装置の位置が分かっている場合は各ネットワークの時間の解を算定して、位置判定ユニット装置の位置が分かってない場合、位置、速度、時間の解を算定して位置判定ユニット装置によって算定される。位置判定ユニット装置のネットワークと隣接するGNSS間のタイムベース差分は、各ネットワークの観察タイムベースに基づいて、各位置判定ユニット装置が算定する。ネットワーク間のタイムベース差分は、位置判定ユニット装置ネットワークに関連するGNSSネットワークのオフセットとして算定される。それに代わって、オフセットは、GNSSネットワークに関連する位置判定ユニット装置ネットワークのオフセットとして、算定される。算定されたタイムベースオフセットは、位置判定ユニット装置によって、移動する位置受信機に、送信される。タイムベース差分には、時間差分、時間率(周波数)差分、時間加速(周波数‐率)、隣接するネットワーク間のその他のタイミング差分等も含まれる。
【0069】
位置受信機は、タイムベースオフセットを使って、GNSSネットワークから取得した測定値を、位置判定ユニット装置ネットワークと同じタイムベースに修正する。代わって、位置判定ユニット装置ネットワークタイムベースは、GNSSネットワークタイムベースに修正することもできる。さらに各ネットワークは、GNSSネットワークタイムベースや、位置判定ユニット装置ネットワークタイムベースのどれとも共通しない第3のタイムベースに、修正することもできる。一旦、測定値が同じタイムベースに修正されれば、このような測定値は位置判定解法を行う目的に使用できる。この種の自律測定値処理は、時には単一位置位置判定と呼ばれ、位置受信機に提供される情報も、GNSSと位置判定ユニット装置ネットワークが提供する情報以上のものは、要求されないので、強く望まれる。この概念は、単一GNSSネットワークや、単一位置判定ユニット装置ネットワークから、多重タイムベース修正を利用して、単一または複数の位置判定ユニット装置ネットワークや、単一または複数のGNSSネットワークにまで使用することができる。
【0070】
位置判定ユニット装置を移動する位置受信機用周波数基準として使用
GNSS受信機は、一定範囲の周波数全域で、GNSS信号を検索する必要がある。その理由として次のような事項が挙げられる:a)局所周波数基準の不定性、b)GNSS衛星の動きによって生じるドップラー現象、c)受信機の動きによって生じるドップラー現象。実例として挙げられるのは、地上位置受信機のGPS周波数検索空間は、次のものの組み合わせである、1)衛星が起こす最高約6kHzのドップラー、2)約1.5kHzの局所周波数基準の不定性(1575.42MHzに調整された1ppmGPS受信機用典型的基準に基づいている)3)位置受信機の動きによって生じる約220Hzドップラー(最高速度を時速150kmまたは秒速41.6mとして)。このような周波数不定性の組み合わせは、約8kHzであるので、典型的GPS受信機は、信号が見つかるまで、プラスマイナス8kHz周波数不定空間を検索することが必要となる。典型的GPS受信機は、整合的積分の1ミリ秒に値する500Hz範囲の周波数ビンを検索するので、典型的GPS受信機の全体周波数検索は、32種の周波数ビンで検索することが必要となる。
【0071】
位置判定ユニット装置信号は、GPS衛星と異なって、本発明の好適な実施形態で、掲載されるような固定位置に設置されている場合、受信機によるドップラーは発生しない。その結果、このネットワーク構成は、受信機の動きによって発生する6kHz周波数不定性を除去し、位置判定ユニット装置位置判定信号を検索するのにプラスマイナス約1.7kHz空間全体を検索できる。典型的な位置判定受信機は、全体で8つの周波数ビンで、この周波数不定範囲を検索できる。またGPS衛星検索に必要な時間の約5分の1の時間で検索できる。単一の位置判定ユニット装置信号を捕捉した後、最初の位置判定ユニット装置の送信周波数は、ネットワーク上の他の位置判定ユニット装置と同じなので、局所の周波数基準の不定性は除去される。さらに、検索対象となる周波数不定空間からの、局所周波数基準に関連した追加的な1.5kHzも除去する。その結果、それに続く位置判定ユニット装置の検索では、周波数不定は位置受信機の動きによってのみ発生する。多くの適応のために発生するドップラーの最高値は、大体220Hzである。その結果のプラスマイナス220Hz周波数検索は、単一の(500Hz)周波数ビンで十分できる。その結果、それ以後の位置判定ユニット装置位置判定信号の周波数検索の必要性はない。残る位置判定ユニット装置位置判定信号は、単一の周波数検索ビン内にはいる。
【0072】
周波数検索空間を減少することは、以後の位置判定ユニット装置検索だけではなくGNSS信号の以後検索にも適応する。好適な実施形態では、位置受信機は、まず位置判定ユニット装置位置判定信号を検索する。好適な実施形態で掲載されているような地上実施では、位置判定ユニット装置が、衛星ベースのシステムより強い、従って検知捕捉がより容易になる信号を提供する。最初の位置判定ユニット装置位置判定信号が捕捉された後、局所の周波数基準での1.5kHz不定は、32個の検索ビンのうち6個を除去し、周波数検索空間から除去することもできる。加えて、各位置判定ユニット装置は、位置判定ユニット装置ネットワーク時間に関連する位置判定ユニット装置で観察されるように、GNSS衛星ドップラーを送信する。GNSS衛星ドップラーは、位置判定ユニット装置によって、位置判定ユニット装置内でのGNSS位置判定信号を、追跡して算定される。GNSS衛星ドップラーまたはGNSS衛星ドップラー観察のモデルは、位置判定ユニット装置位置判定信号の航行データビット一連の成分に、配置される。そして位置受信機は、位置判定ユニット装置航行データによって提供されたGNSSドップラーを使って、位置判定ユニット装置ネットワーク時間に関連するGNSS衛星のドップラー周波数を、算定する。好適な実施形態で、位置受信機は、1)第一位置判定ユニット装置を捕捉する、2)第一の位置判定ユニット装置航行データビット一連からのGNSS衛星ドップラー情報を解読する、そして3)GNSS衛星ドップラー検索ビンを検索のために算定する。多くの場合、GNSS衛星の検索は、単一の周波数ビンだけですむようになる。
【0073】
位置判定ユニット装置は、全て、時系列的に同期化され、位置判定ユニット装置ネットワーク全体に共通する周波数基準を提供する。位置受信機の局所周波数基準は、位置判定ユニット装置からの位置判定信号を追跡するために使われるキャリア追跡ループから得るドップラー測定値を使って、換算される。従って、位置受信機の周波数基準は、単一の位置判定ユニット装置からの信号を使って、共通のネットワーク周波数基準に合うよう操作される。位置受信機の局所周波数基準の操作は、数学モデルを使ってなされるのが好ましい。代わりに、局所周波数基準は、位置判定ユニット装置周波数基準や、適切なGNSSシステムの周波数基準のような、適切な周波数基準に向けて物理的に操作されることも可能である。この方法は、安定した正確な周波数基準を提供し、位置判定ユニット装置位置判定信号やGNSS信号を捕捉するために使用されたり、また正確な周波数基準から、恩恵を受けるような位置受信機内のほかの機能にも使用される。加えて、位置判定ユニット装置位置判定信号から得たキャリア位相や積分搬送波位相(ICP)や、擬似範囲の変化やその他同種の測定値のような測定値は、局所周波数基準を共通のネットワーク周波数基準に修正したり、方向付けやモデル作りにも使用される。
【0074】
位置判定ユニット装置は、位置判定信号航行データビット一連上の位置判定ユニット装置の視界にある位置判定ユニット装置ネットワーク(単一または複数)と、GNSSネットワーク(単一または複数)間の、時間と周波数オフセットを、送信する。従って、位置受信機は、位置受信機の局所周波数基準に関連したGNSSシステム周波数を、決定することができる。まず、位置受信機局所周波数基準を、位置判定ユニット装置ネットワーク周波数(上記に掲載)に同期化する。次に、同期化された位置受信機局所周波数基準を、位置判定ユニット装置位置判定信号航行データビット一連に提供されたGNSSシステム周波数オフセットに調整する。位置受信機局所周波数基準が、GNSSシステム周波数にあわせて調整されると、GNSSシステム周波数は位置受信機に直接使用できる。
【0075】
好適な実施形態で、位置判定ユニット装置ネットワーク周波数は、位置判定ユニット装置ネットワーク時間と周波数を、GNSSシステム時間と周波数に同期化させて、GNSSシステム周波数にあわせて調整される。従って、位置判定ユニット装置ネットワークとGNSSシステムの時間と周波数は、実質同じとなり、捕捉の間に修正をする必要がなくなる。それに代わった形態では、位置判定ユニット装置ネットワークの時間と周波数は、GNSSシステムの時間と周波数基準に関連して移動することが許される。この形態では、位置判定ユニット装置ネットワーク時間と周波数を、調整するために必要となる数学的な修正は、位置判定ユニット装置内で算定される。そして、次に、各位置判定ユニット装置は、位置判定信号航行データ一連上で、位置判定ユニット装置ネットワークの時間と周波数を、GNSSシステムの時間と周波数に、調整するために必要となる数学モデルの要素を、送信する。
【0076】
移動する位置受信機に位置判定ユニット装置時間の同期化を使用する
位置判定ユニット装置の同期化したネットワーク内の位置受信機は、GNSSのような時間真実基準に関連して、GNSS衛星を検索するときの位置受信機の作業を改善するために、時間の知識を活用することもできる。作業を改善するために必要となる時間の知識は、何百ミリ秒から数分の間の粗い時間であることもある。このレベルの時間の知識は、ある一定の位置で、どの衛星が視界にあるかを決定するのに必要であったり、またはGNSS衛星信号測定値の時間標識を提供するのに必要となる。数ミリ秒またはそれに優るより精密なレベルの時間の知識は、他の目的に活用できる。
【0077】
単一の位置判定ユニット装置位置判定信号が一旦捕捉され、位置判定ユニット装置ネットワーク時間が算定されれば、位置判定ユニット装置ネットワークの粗時間は、位置受信機が位置や速度や時間(PVT)の解を算定しなくても、移動する位置受信機が使用できるようになる。位置、速度、時間(PVT)の解の算定がなされる前は、共通モード時間変更と呼ばれる位置受信機時計に関連した不定がある。このネットワーク粗時間の正確性は、位置受信機と位置判定ユニット装置との間の距離に、直接関係する。たとえば、10キロメートル離れた位置判定ユニット装置から得た時間には、受信機の約30マイクロ秒に、移動する受信機の位置を決定する前の共通モード時間偏向値を加えた時間内の時間標識誤差がある。この時間標識情報は、位置判定解法に使用できる。また追加の位置判定信号の捕捉や時間標識にも使用できる。
【0078】
位置判定ユニット装置の追加位置判定信号を捕捉するとき、位置判定受信機の共通モード時間偏向は、位置判定ユニット装置位置判定信号全てに共通する。この知識を利用して、他の位置判定ユニット装置位置判定信号を検索して、粗時間予想値を使って捕捉することができる。位置判定ユニット装置位置判定信号の残余は、最初の位置判定ユニット装置位置判定信号の約30マイクロ秒内であることになる。
【0079】
位置判定ユニット装置ネットワークの時間とGNSSシステムの時間の間にある時間のオフセットは、位置判定ユニット装置航行データビット一連で同報通信される。位置受信機が位置判定ユニット装置ネットワーク時間を設定すると、この時間のオフセットは、位置判定受信機に、GNSS時間を提供する。位置判定ユニット装置は、位置判定ユニット装置ネットワーク時間に関連したGNSS信号の相対遅延(擬似範囲)を追跡して、航行データビット一連上でこれらの相対遅延を同報通信する。GNSS信号から位置判定ユニット装置ネットワーク時間までの組み合わせに、位置判定ユニット装置共通モード時間偏向の知識を加えたものは、GNSS信号の捕捉を補助するために、時間を提供する。例をあげると、位置判定ユニット装置ネットワーク時間が、上記の例で掲載されているように、30マイクロ秒内であると分かっている場合、GNSS時間も30マイクロ秒内であると分かる。
【0080】
上記の時間が補助する例は、位置受信機内の相対遅延が、GNSS信号と位置判定ユニット装置信号に共通していると想定している。GNSSと位置判定ユニット装置の信号が同じ周波数である場合、これは一般に真実であろうが、GNSSと位置判定ユニット装置の信号が異なる周波数である場合、位置受信機の無線周波数(RF)成分の周波数従属遅延によって相対的なオフセットが生じる結果となる。しかしながら、周波数従属相対的RF遅延は、時間補助正確性が何十マイクロ秒で掲載され、典型的に時間補助に望まれる正確性よりはるかに小さいものである。
【0081】
GPS C/Aコード信号は、1.023Mbpsチッピング率で1ミリ秒ごとに繰り返す。その結果、GPS信号を発見するために、1,000マイクロ秒遅延空間を、検索する。従って、位置判定ユニット装置ネットワーク時間が、位置受信機に30マイクロ秒内に提供されれば、このGPS時間検索は、1,000マイクロ秒から60マイクロ秒(プラスマイナス30マイクロ秒)に、減少される。GNSSシステム時間の時間オフセットと組み合わされた場合、位置判定ユニット装置からの時間は、GNSS受信機が時間と空間を全部検索しなくてもGNSS衛星を捕捉することを可能にする。位置受信機が、位置と速度と時間(PVT)の解を算定するのに十分な数の位置判定ユニット装置位置判定信号を捕捉して、局所位置受信時間偏向が解決された場合、GNSS衛星を検索する時間と空間は、更に減少する。
【0082】
位置判定ユニット装置ネットワーク時間とGNSSシステム時間(単一または複数)間の時間修正に加えて、位置判定ユニット装置は、位置受信機がGNSS衛星の捕捉や追跡をする補助となる情報を提供する。GNSS衛星の数と衛星によって起こる予想されるドップラー、そしてその他の補助情報は、位置判定ユニット装置位置判定信号航行データ一連に、提供される。このことにより、位置受信機は、GNSS衛星信号をより速く捕捉することができる。そしてこの捕捉情報は、ネットワーク内の他の位置判定ユニット装置や、他の隣接するネットワークのためにも提供される。
【0083】
多重周波数タイムロック
好適な実施形態では、複数の位置判定信号は、各位置判定ユニット装置から複数の周波数で送信される。位置受信器は、次いで複数の位置判定信号を解釈して、整数搬送波サイクル曖昧性の解(AR)にいわゆるワイドレーンを作る。RF搬送波信号は、送信器と受信器の電子機器を通過する間に、「グループ遅延」として知られている時間遅延を経験する。グループ遅延は、周波数と周囲温度次第で数ナノ秒変動することもある。従って、共通の発振器から生成され、同じ送信経路を通して送信される複数の搬送波周波数は、搬送波周波数の差によって等しくない時間遅延を経験し、更に送信器電子機器の温度変化によって生じる変動する時間遅延を経験することになる。その結果、位相一貫性のない位置判定信号が送信されることになる。位相一貫性のない位置判定信号は、ワイドレーン曖昧性の解(AR)の段階に範囲誤差を誘発する。
【0084】
位置判定ユニット装置は、それぞれの入ってくる基準位置判定信号に個々にタイムロックされている複数の多様な周波数の位置判定信号を送信することにより、非一貫性の位相問題を基準送信器から削除することができる。位置判定ユニット装置は、複数の搬送波周波数で送信される複数の位置判定信号を制御することのできる複数の制御される送信器時計を組み込んでいる。位置判定ユニット装置の位置受信器は、複数の多様な周波数の基準位置判定信号を追跡し、複数の多様な周波数の従属位置判定信号も追跡する。位置判定ユニット装置は、多様な周波数の基準位置判定信号それぞれを、そのそれぞれの多様な周波数の従属位置判定信号に、各従属位置判定信号が基準送信器と時系列的に同期化されるようにタイムロックする。位置判定ユニット装置は、次に、基準送信器からのグループ遅延と時間一貫性のある、その複数の多様な周波数の位置判定信号を送信する。視界内に少なくとも3つのタイムロックされた位置判定ユニット装置があれば、位置受信器は、視界内の各位置判定ユニット装置からワイドレーン整数曖昧性の解(AR)を求めることができる。基準送信器のグループ遅延は、タイムロックされた位置判定ユニット装置には一般的なAR範囲誤差を作ってきた。従って、各位置判定ユニット装置の擬似範囲には、同一のAR誘発範囲誤差が明白に存在する。位置受信器は、この共通の擬似範囲誤差を受信器時計バイアスと解釈し、単一点位置計算内の誤差を削除する。
【0085】
ネットワーク座標フレーム
タイムロックの前提条件は、基準座標フレームに対する位置判定ユニット装置の位置が分かっていることである。有効な座標フレームであれば何を使用してもよいが、好適な実施形態では、地球中心地球固定(ECEF)座標フレームが用いられ、これはGPS及びWAASが使用している座標フレームでもある。好適な実施形態では、位置判定ユニット装置は、GNSS及び/又はWAAS及び/又は他の位置判定ユニット装置から自己調査し、ECEF座標を判定する。
【0086】
送信周波数
好適実施形態では、位置判定ユニット装置は、2.4GHzから2.48GHzの許可を与えられていない科学医療(ISM)帯域で送信する。2.4GHzのISM帯域は、規制を受ける制約無しに、そしてGPSのような現在の航行システムとの干渉無しに、位置判定ユニット装置のネットワークを展開することができる。2.4GHzのISM帯域は、直列拡散スペクトル位置判定信号の高速化したチッピング速度に用いることができる83.5MHzの帯域幅、又はワイドレーンの整数サイクル曖昧性解のための多重搬送波の使用も可能にする。
【0087】
位置判定ユニット装置ハードウェアの説明
好適な実施形態では、位置判定ユニット装置には、位置受信器、送信器、中央演算処理装置(CPU)及び共通の発振器が組み込まれている。位置受信器には、それぞれ搬送波成分、PRNコード成分及びデータ成分を備えている複数の位置判定信号を受信することのできる複数の受信チャネルが組み込まれている。送信器には、少なくとも1つのRF搬送波生成器と、少なくとも1つのPRNコード生成器と、少なくとも1つの制御される時計が組み込まれている。CPUは、位置受信器が受信した位置判定信号を解釈するための手段と、送信器の制御される時計を制御するための応答手段と、航行データを生成するための手段を備えている。共通の発振器は、位置判定ユニット装置の全構成要素に一貫する局所時間ベースを提供する。
【0088】
図9では、位置受信器902、送信器903、中央演算処理装置(CPU)904及び共通の発振器905が組み込まれている位置判定ユニット装置901を示している。位置受信器902には、複数の受信チャネル906が組み込まれており、送信器903には、1つ又は複数の搬送波生成器907と、1つ又は複数のコード生成器908と、1つ又は複数の制御される時計909が組み込まれている。CPU904には、位置受信器通信用の手段910と、送信器通信用の手段911と、送信器の制御される時計通信用の手段912が含まれている。
【0089】
位置判定ユニット装置の位置受信器
位置判定ユニット装置の位置受信器は、基準送信器からの少なくとも1つの基準位置判定信号を受信し復調することができる少なくとも1つの受信チャネルと、少なくとも1つの同時配置された送信器の従属位置判定信号を受信し復調することができる少なくとも1つの受信チャネルとを備えている。位置判定ユニット装置の位置受信器は、精度と保全性を増すために、複数の基準位置判定信号を受信できるのが望ましい。位置判定ユニット装置の位置受信器は、他の位置判定ユニット装置から2.4GHzのISM帯域で位置判定信号を、そしてWAAS及びGNSS衛星から電磁波L帯域周波数で送信している位置判定信号を受信できるのが望ましい。位置判定ユニット装置の位置受信器は、従来型のGPS受信器の設計で使用されているのと同じ方法を使って位置判定信号を追跡し、復調し、解釈する。GPS受信器の処理と設計は、当該技術では周知であり、本明細書で説明する問題ではない。
【0090】
位置判定ユニット装置の送信器
位置判定ユニット装置の送信器は、従来型のGPSの疑似衛星と多くの類似点を有し、主要且つ重要な1つの改良点が制御される送信器時計である。好適な実施形態では、制御される送信器時計は、直接デジタル合成(DDS)技法を使ってデジタルドメインで生成される。DDS技術は、ミリヘルツの精度まで周波数制御することのできる、デジタル的に生成される発振器を作り、送信器時計を、入ってくる基準信号に正確に「従属」させることができるようにする。送信器には、少なくとも1つの無線周波数(RF)搬送波生成器と、少なくとも1つの擬似乱数番号(PRN)コード生成器も組み込まれている。RF搬送波生成器は、正弦波無線周波数波で、望ましくは2.4GHzのISM帯域で送信される搬送波成分を作り、PRNコード生成器は、同じ搬送波周波数で送信される他の擬似乱数コードシーケンスの中で識別できる固有のコードシーケンスを備えたコード成分を作る。複数のコードを複数の周波数上で生成していわゆる「ワイドレーン」を作ることができ、そうすれば、搬送波整数サイクルの曖昧性を移動する位置受信器で解明することができる。好適な実施形態では、位置判定ユニット装置の送信器は、時分割多重アクセス(TDMA)方式でパルス状に駆動されるので、強力なCDMA位置判定信号は、同じ搬送波周波数で送信される弱いCDMA位置判定信号を妨害しない。この現象は「近/遠問題」として知られており、当該技術では周知である。
【0091】
位置判定ユニット装置の中央演算処理装置
位置判定ユニット装置のCPUは、以下の手段を備えている。
a)位置判定ユニット装置の現在の位置を判定するための手段。位置判定は、自己調査又は手動初期化の何れかを通して実現することができる。自己調査では、3次元の単一点位置の解を求めるには、位置判定ユニット装置が、少なくとも4つの他の基準位置判定ユニット装置の視界内に在るか、或いは、位置判定ユニット装置が、少なくとも3つのGNSS衛星と少なくとも1つの基準位置判定ユニット装置の視界内に在る必要がある。この実施形態では、基準位置判定ユニット装置は、視界内の全てのGNSS衛星に関するコードと搬送波両方の差分修正値を位置判定ユニット装置に供給する。すると、位置判定ユニット装置は、基準位置判定ユニット装置に対する正確な位置を計算する。
手動初期化は、所定の場所に位置判定ユニット装置を配置し、地理的座標値を位置判定ユニット装置メモリに手動入力することによって実現される。好適な実施形態では、第1位置判定ユニット装置は、正確に分かっている座標を使って手動で初期化され、次いでGNSS衛星及び第1位置判定ユニット装置からの位置判定ユニット装置の自己調査が行われる。
b)位置受信器による基準信号探索を開始する手段。
位置受信器の全チャネルは、視界内のあらゆる基準位置判定信号を探索するよう設定される。
c)少なくとも1つの基準位置判定信号を入手し、航行データ成分からネットワーク時間とネットワークデータを抽出する手段。
d)基準送信器から位置判定ユニット装置への単一の伝播遅延を判定する手段。
先ず、基準位置判定信号航行データから基準送信器の位置座標が抽出され、既知の位置判定ユニット装置の場所と比較される。基準送信器と位置判定ユニット装置の間の計算された地理的距離は、経過時間オフセットに変換される。
e)適切な固有のPRNコードによって従属送信器コード生成器を初期化する手段。
f)従属位置判定信号内の航行データ成分として送信される適切なネットワーク時間及びネットワークデータを生成して、送信器に送る手段。
航行データは、送信器で生成されるPRNコード上で変調され、続いて送信器で生成されるRF搬送波上で変調される。航行データは、週の時間情報と、位置判定ユニット装置の場所と、他の位置判定ユニット装置及びGNSS衛星の場所及び状態のような他のネットワークデータを含んでいる。
g)計算された経過時間オフセットを適用し、従属送信器を初期化して、ネットワークの時間と周波数に近似させる手段。
h)位置受信器を初期化して、従属位置判定信号を探索する手段。
i)従属位置判定信号を入手し、制御ループを適用して、基準位置判定信号と従属位置判定信号の間に周波数一貫性を得る手段。
CPUは、基準位置判定信号と従属位置判定信号の瞬間積分搬送波位相(ICP)差を測定し、「タイムロックループ(TLL)」として知られている制御ループを適用する。TLLの出力は、ICP差をゼロにするために、制御される送信器時計に修正値を適用する。
j)従属位置判定信号の航行データ成分から送信された従属時間を抽出し、基準位置判定信号と従属位置判定信号の間の時間差を求める手段。
k)制御される送信器時計を必要量タイムスルーして、基準位置判定信号と従属位置判定信号の間の時間差をゼロにして、従属位置判定信号が、基準送信器時間と時系列的に整列するようにする手段。
l)タイムロック状態を宣言する手段。
【0092】
共通の発振器
共通の発振器は、位置判定ユニット装置の全ての構成要素に一貫性のある局所時間ベースを提供する。特に、同じ発振器を使用して、位置受信器、CPU、及び制御される送信器時計を駆動している。一貫性のある局所時間ベースによって、いわゆる周波数追跡システム(FTS)を使って、受信した基準位置判定信号のオープンループ周波数を追跡できるようになる。受信した基準位置判定信号の、位置判定ユニット装置位置受信器が測定した周波数オフセットは、FTSで、位置判定ユニット装置の制御される送信器時計に直接送られる。制御される送信器時計は、入ってくる基準位置判定信号の周波数オフセット値を単純にエミュレートし、共通の発振器項を削除して、基準位置判定信号と従属位置判定信号の間の基準/従属周波数ロックを維持する。FTSは、従属位置判定信号の入手及び時間調整を支援する。
【0093】
移動システムの説明
移動する位置受信器は、望ましくは2.4GHzのISM帯域内で送信されている位置判定ユニット装置からの位置判定信号を受信し解釈することのできる複数の受信チャネルを備えているのが望ましい。移動する位置受信器は、更に、L帯域周波数で送信されているGNSS及びWASS衛星からの位置判定信号を受信し解釈できることが望ましい。移動する位置受信器は、視界内の全ての位置判定信号からのネットワークデータが組み込まれている航行データを復調できるのが望ましい。これにより、位置判定ユニット装置のネットワーク時間、GNSS時間、位置判定ユニット装置の場所、衛星の場所、及び他のネットワーク及びGNSSデータの判定が行えるようになる。好適な実施形態では、ネットワーク時間は、WASS衛星経由でGNSS時間から抽出されるので、ネットワーク時間とGNSS時間に時間の一貫性を持たせることができる。移動する位置受信器には、更に、視界内の各位置判定信号毎にコードベース擬似範囲測定を行う手段と、視界内の各位置判定信号毎に搬送波位相測定を行う手段と、単一点位置判定を使用して位置、速度及び時間(PVT)を解く手段が組み込まれているのが望ましい。単一点位置判定は、従来型のGPS位置解法を使用して実現することができるが、これは、一般的には、当該技術では周知の最小二乗回帰の形をしている。
【0094】
移動する位置受信器には、整数サイクル曖昧性を判定する手段が組み込まれているのが望ましい。好適な実施形態では、整数サイクルの曖昧性は、ワイドレーン技法を使って解かれる。整数サイクルの曖昧性が解明されると、移動する位置受信器から位置判定ユニット装置まで、正確な搬送波位相擬似範囲が求められる。搬送波擬似範囲は、整数の搬送波サイクル(整数成分)と、端数の搬送波サイクル(分数成分、即ち位相成分)の和から成り、位置受信器の時計バイアスが分かっていないため擬似範囲と称される。タイムロックされた位置判定ユニット装置は、10ピコ秒まで時間一貫性を呈するので、単一点位置の解を、正確な搬送波擬似範囲から、差分修正値の必要なしに形成することができる。
【0095】
位置受信器は、タイムロックされた位置判定ユニット装置のネットワークによって生成された位置判定信号を、従来型のGPS受信器設計で用いられているのと同じ方法で、追跡し、復調し、解釈する。GPS受信器の処理と設計は、ワイドレーンの曖昧性解析同様に、当該技術では周知であり、本明細書で説明すべき対象ではない。
【0096】
上記説明は本発明の例を示すためのものであり、上記及びその他の修正及び変更は、当業者には自明のように、本明細書に説明する本発明の広い範囲と領域内に入るものとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明によるタイムロックの或る実施形態の図であり、複数の位置判定ユニット装置に同報通信する単一の基準送信器と、自律した単一点位置の解を求める移動する位置受信器とが描かれている。
【図2】本発明によるタイムロックの別の実施形態の図であり、単一の位置判定ユニット装置に同報通信する単一の基準送信器が描かれている。
【図3】本発明によるタイムロックの別の実施形態の図であり、複数の位置判定ユニット装置に同報通信する単一の基準送信器が描かれている。
【図4】本発明によるタイムロックの別の実施形態の図であり、中継の位置判定ユニット装置を通して同報通信する基準送信器が描かれている。
【図5】本発明によるタイムロックの別の実施形態の図であり、単一の位置判定ユニット装置に同報通信する複数の基準送信器が描かれている。
【図6】本発明によるタイムロックの別の実施形態の図であり、4つの位置判定ユニット装置に同報通信する広域増強システム(WAAS)基準送信器が描かれている。位置判定ユニット装置は、次いで、その固有の時系列的に同期化された位置判定信号を、衛星から遮蔽された環境内に位置している移動する位置受信器へ送る。
【図7】本発明によるタイムロックの別の実施形態の図であり、3つの他の位置判定ユニット装置に同報通信する位置判定ユニット装置基準送信器が描かれている。位置判定ユニット装置は、続いて、その固有の時系列的に同期化された位置判定信号を、移動する位置受信器へ送信する。
【図8】本発明によるタイムロックの別の実施形態の図であり、位置判定ユニット装置の2つの自律的ネットワークと、2つのネットワークの境界上に位置している移動する位置受信器とが描かれている。境界上の位置判定ユニット装置は、続いて、移動する位置受信器にインターネットワークの修正を送る。
【図9】本発明による位置判定ユニット装置ハードウェアのブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全地球的航法衛星システム(GNSS)および位置判定ユニット装置の同期化されたネットワークからなるロケーションシステムにおける位置受信器に補助を提供するための方法であって、位置判定ユニット装置の前記同期化されたネットワークは同期化されたネットワーク時間および同期化されたネットワーク周波数を提供し、前記方法は、
a)補助データを決定するために、位置判定ユニット装置で全地球的航法衛星システム(GNSS)信号を処理する段階であって、
前記補助データは、
i)前記同期化されたネットワーク時間に対する全地球的航法衛星システム(GNSS)信号の到来時間と、
ii)前記同期化されたネットワーク周波数に対する全地球的航法衛星システム(GNSS)信号の周波数と、
を含む処理段階と、
b)前記位置判定ユニット装置によって送信される位置判定信号に前記決定された補助データを組み込む組込段階と、
c)前記位置受信器で前記位置判定信号を解析することで、
i)前記決定された補助データを取り出し、
ii)前記同期化されたネットワーク時間および前記同期化されたネットワーク周波数を決定する
解析段階と、
d)前記取り出された補助データおよび前記決定された同期化されたネットワーク時間並びに前記同期化されたネットワーク周波数に応答した範囲において前記位置受信器で全地球的航法衛星システム(GNSS)信号を検索する段階とを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記決定された同期化されたネットワーク時間が前記位置判定ユニット装置の相対受信時間オフセットを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、位置判定ユニット装置の前記同期化されたネットワークから前記位置受信器で、前記決定された同期化されたネットワーク時間が位置、速度及び時間(PVT)の解の算定から導出されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記補助データが、さらに、全地球的航法衛星システム(GNSS)システム時間と前記同期化されたネットワーク時間の間の時間オフセットを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記補助データが、さらに、全地球的航法衛星システム(GNSS)システム周波数と前記同期化されたネットワーク周波数の間の周波数オフセットを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記補助データが、さらに、前記全地球的航法衛星システム(GNSS)の衛星軌道情報を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、前記補助データが、さらに、前記全地球的航法衛星システム(GNSS)信号の周波数率を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、前記補助データが、さらに、前記全地球的航法衛星システム(GNSS)信号の周波数加速を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
全地球的航法衛星システム(GNSS)および位置判定ユニット装置の同期化されたネットワークからなるロケーションシステムにおける位置受信器に補助を提供するための方法であって、位置判定ユニット装置の前記同期化されたネットワークは同期化されたネットワーク時間を提供し、前記方法は、
a)前記同期化されたネットワーク時間に対する全地球的航法衛星システム(GNSS)信号の到来時間を含む補助データを決定するために、位置判定ユニット装置で全地球的航法衛星システム(GNSS)信号を処理する段階であって、
b)前記位置判定ユニット装置によって送信される位置判定信号に前記決定された補助データを組み込む組込段階と、
c)前記位置受信器で前記位置判定信号を解析することで、
i)前記決定された補助データを取り出し、
ii)前記同期化されたネットワーク時間を決定する
解析段階と、
d)前記取り出された補助データおよび前記決定された同期化されたネットワーク時間に応答した範囲において前記位置受信器で全地球的航法衛星システム(GNSS)信号を検索する段階とを備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、前記決定された同期化されたネットワーク時間が前記位置判定ユニット装置の相対受信時間オフセットを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法において、位置判定ユニット装置の前記同期化されたネットワークから前記位置受信器で、前記決定された同期化されたネットワーク時間が位置、速度及び時間(PVT)の解の算定から導出されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法において、前記補助データが、さらに、全地球的航法衛星システム(GNSS)システム時間と前記同期化されたネットワーク時間の間の時間オフセットを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法において、前記補助データが、さらに、前記全地球的航法衛星システム(GNSS)の衛星軌道情報を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
全地球的航法衛星システム(GNSS)および位置判定ユニット装置の同期化されたネットワークからなるロケーションシステムにおける位置受信器に補助を提供するための方法であって、位置判定ユニット装置の前記同期化されたネットワークは同期化されたネットワーク周波数を提供し、前記方法は、
a)前記同期化されたネットワーク周波数に対する全地球的航法衛星システム(GNSS)信号の周波数を含む補助データを決定するために、位置判定ユニット装置で全地球的航法衛星システム(GNSS)信号を処理する処理段階と、
b)前記位置判定ユニット装置によって送信される位置判定信号に決定された前記補助データを組み込む組込段階と、
c)前記位置受信器で前記位置判定信号を解析することで、
i)前記決定された補助データを取り出し、
ii)前記同期化されたネットワーク周波数を決定する
解析段階と、
d)取り出された前記補助データおよび前記決定された同期化されたネットワーク周波数に応答した範囲において前記位置受信器で全地球的航法衛星システム(GNSS)信号を検索する段階とを備えることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記補助データが、さらに、全地球的航法衛星システム(GNSS)システム周波数と前記同期化されたネットワーク周波数の間の周波数オフセットを含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法において、前記補助データが、さらに、前記全地球的航法衛星システム(GNSS)の衛星軌道情報を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法において、前記補助データが、さらに、前記全地球的航法衛星システム(GNSS)信号の周波数率を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項14に記載の方法において、前記補助データが、さらに、前記全地球的航法衛星システム(GNSS)信号の周波数加速を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−501384(P2007−501384A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522179(P2006−522179)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001030
【国際公開番号】WO2005/012935
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(505099864)ロケイタ コーポレイション (4)
【Fターム(参考)】