説明

ロスインウェイト式供給装置

【課題】ロードセルで重量を検出し、サンプリング時間毎に減った重量を演算し、設定値と比較して、移送排出装置の速度を増減するロスインウェイト式供給装置において、供給物の最大重量に比べて装置全体の重量が大きく、最大荷重の大きいロードセルを使用して制御精度が低下したり、分解能の良い高価なロードセルを使用しなければならない。
【解決手段】モーターや駆動装置を移送排出装置から分離してコモンベースに取付、動力がロードセルに荷重として作用しない磁石カップリングなどの伝達手段を用いて、最大荷重の小さいロードセルに替えたり、カウンターバランスにより装置の重量を相殺して、その分最大荷重の小さいロードセルを使用することにより、ロードセルの測定範囲に占める供給物の変動範囲の比率を大きくして、制御精度を高めたり、精度の低い安価なロードセルを使用したり、最大荷重の小さい小型で安価なロードセルを使用してコストを下げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変定量的に設定した供給量に制御しながら粉粒体や液体を供給するロスインウェイト式供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
供給材である粉粒体又は液体の重量と、これらの供給材を投入するホッパーやタンクなどの貯留容器1の重量と、供給材を貯留容器1から移送排出するスクリューフィーダー、ベルトコンベア、ディスクフィーダー、ポンプなどの移送排出装置2の重量と、これらの移送排出装置2を駆動するための駆動装置3の重量と、駆動源であるモーター4の重量とを、一体の重量として1乃至複数のロードセルで計測し、移送排出装置2により供給材が排出されるのに伴って供給材の重量の減少する速度を、設定された供給速度と比較、演算してモーター4の回転速度を制御し、移送排出装置2の供給速度を制御している。
【0003】
ロードセルは、歪ゲージを内装した検出部と、重量により変化をする電圧を正確に検出し増幅するアンプから成り、検出部とアンプの総合した精度即ち分解能は最大荷重の1/1000〜1/10000のものが一般に使用され、精度の良い物ほど高価である。
【0004】
重量を測定するロードセルの検出部は、荷重を圧縮によって検出するものや、引張りによるものや、せん断によるものが使用されている。
【0005】
供給材の最大重量が20Kgで、供給装置の重量が80Kgで、最大荷重が100Kgで分解能が1/10000のロードセルを使用すると、供給材の変動は全重量の20%なので、実質の分解能は20%、つまり1/2000の分解能で供給量を制御していることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ロードセルの性能を有効に利用して供給量の制御精度を高めたロスインウェイト式供給装置を提供する。
【0007】
供給量の制御精度を保持したまま、分解能の低い安価なロードセルを使用してロスインウェイト式供給装置のコストを下げる。
【0008】
最大荷重の小さい、小型の安価なロードセルを使用してロスインウェイト式供給装置のコストを下げる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
駆動源であるモーター4や、減速機3などの駆動装置をスクリューフィーダーなどの移送排出装置2から分離し、駆動力は伝えるがロードセル6に荷重が掛らない伝達部品を使用し、ロードセル6に掛る重量を低減し、最大荷重の小さなロードセルを使用することにより、最大荷重に占める供給材の重量の比率を高め、分解能に占める供給材の比率を高めて供給量の制御精度を高める。
【0010】
供給装置の一部乃至全部の重量を相殺するカウンターバランス8によりロードセル6に掛る荷重を低減し、相殺された残りの供給装置の重量と供給材の重量とを合算した重量を満たす最大荷重の小さなロードセルを使用することにより、最大荷重に占める供給材の重量の比率を高め、分解能に占める供給材の比率を高めて供給量の制御精度を高める。
【0011】
モーター4や駆動装置3を分離して、ロードセル6の最大荷重に占める供給材の重量が50%になれば、ロードセル6の分解能が1/4000であっても供給量は1/2000の分解能で制御出来るし、カウンターバランス8で供給装置の重量を相殺して供給材の重量がロードセル6の最大荷重の80%にすれば、ロードセル6の分解能が1/2500であっても供給量は1/2000の分解能で制御出来るので、分解能が低くて価格の安いロードセルを使用しても供給量の制御精度は確保出来る。
【0012】
モーター4や駆動装置3を分離したり、カウンターバランス8で供給装置の重量を相殺すれば、最大荷重が小さく、小型の、価格の安いロードセルを使用してロスインウェイト式供給装置のコストを下げられる。
【発明の効果】
【0013】
ロードセル6の分解能に占める供給材の比率が高まるので供給量の制御精度を格段に高められる。
【0014】
分解能の低い安価なロードセルを使用しても、必要な供給量の制御精度が得られるのでロスインウェイト式供給装置のコストを下げられる。
【0015】
最大荷重の小さな、小型の安価なロードセルを使用出来るのでロスインウェイト式供給装置のコストを下げられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】スクリューフィーダーを移送排出装置2に使用したロスインウェイト式供給装置において、一体化したモーター4と駆動装置3をスクリューフィーダーから分離してモーター4と駆動装置3の重量がロードセル6に掛らないように、ロードセルを載せているコモンベース7に取付け、回転力が荷重としてロードセル6に作用しないよう非接触の磁石カップリング5Aによって回転力をスクリューフィーダーに伝える本発明によるロスインウェイト式供給装置を示す図面である。
【図2】スクリューフィーダーを移送排出装置2に使用した一般的なロスインウェイト式供給装置を示す図面である。
【図3】カウンターバランス8によって供給装置の重量の一部乃至全部を相殺し、ロードセル6に掛る荷重を低減した、スクリューフィーダーを移送排出装置2使用したロスインウェイト式供給装置を示す図面である。
【図4】ディスクフィーダーを移送排出装置2に使用したロスインウェイト式供給装置において、一体化したモーター4と駆動装置3をディスクフィーダーから分離してモーター4と駆動装置3の重量がロードセル6に掛らないようにコモンベース7に取付け、回転力が荷重としてロードセル6に作用しないボールスプライン5Bによって回転力をディスクフィーダーに伝える本発明によるロスインウェイト式供給装置を示す図面である。
【図5】カウンターバランス8によって供給装置の重量を相殺し、ロードセル6に掛る荷重を低減したディスクフィーダーを使用したロスインウェイト式供給装置を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ロスインウェイト式供給装置は、供給装置の重量と投入された供給材の重量を合わせてロードセル6で検出し、供給材が排出されるに従い、供給装置の重量と残っている供給材の重量を合わせてロードセル6で検出し、排出前後の重量の差をサンプリング時間で割ることにより単位時間の供給量を演算し、設定された供給量と比較して差異が有ればその差異に応じて移送排出装置2の回転数を増減するフィードバック回路を構成して制御されている。
【0018】
ロードセル6は最大荷重に耐える剛性体とその剛性体に貼り付けられた歪ゲージにより、荷重に比例した抵抗の変化を電圧の変化として取り出し、コントローラーで電圧の変化を1/1000〜1/10000に分割し、最大荷重を1000〜10000ディジットで割った数値を重量として表示したり、演算に使用する。
【0019】
図2により説明する。モーター4を20Kg、駆動装置3を30Kg、移送排出装置2を30Kg、貯留容器1を10Kg、供給材の最大投入重量を10Kgと仮定し、最大荷重が100Kgで分解能が1/10000のロードセル6を使用するとモーター4、駆動装置3、移送排出装置2、貯留容器1の合計は90Kgで9000ディジットとなり変化はしないが、供給材は最大10Kgなので、排出に伴い10000ディジットから9000ディジットまで1000ディジット変化する。
【0020】
供給材が10Kgから排出されて0Kgになるとき、10000ディジットから9000ディジットまで1000ディジット変化するので、供給量は1/1000の精度で制御出来、1ディジットは10gに相当するので供給誤差は±10gの範囲に収めることが出来る。
【0021】
図1により説明する。モーター4と駆動装置3を移送排出装置2から切り離して、ロードセルが取付られているコモンベース7に取付け、磁石カップリング5Aで非接触で回転を伝えると、モーター4と駆動装置3の合計重量50Kgはロードセル6に掛らないので、最大荷重50Kgのロードセル6が使用出来、分解能が同じく1/10000だと、供給材10Kgの排出に伴い10000ディジットから8000ディジットまで2000ディジット変化する。
【0022】
10000ディジットから8000ディジットまで2000ディジット変化するので、供給量は1/2000の精度で制御出来、1ディジットは5gに相当するので供給誤差は±5gの範囲に収めることが出来、図2に示す従来のロスインウェイト式供給装置に比べて、図1に示す本発明によるロスインウェイト式供給装置は、±10gから±5gへと供給精度を2倍に出来る。
【0023】
図2に示す従来のロスインウェイト式供給装置に比べて、図1に示す本発明によるロスインウェイト式供給装置に、価格の安い分解能が1/5000のロードセルを使用しても、従来の供給精度である±10gを保ちながら、ロスインウェイト式供給装置のコストを下げられる。
【0024】
図3により説明する。カウンターバランス8と位置調整可能な分銅8Aにより、モーター4、駆動装置3、移送排出装置2、貯留容器1に相当する重量を相殺し、投入される供給材の重量に相当する最大荷重10Kgのロードセルを使用し、分解能が同じく1/10000だと、供給材の排出に伴い最大10000ディジットから0ディジットまで変化する。
【0025】
10000ディジットから0ディジットまで変化するので、供給量は1/10000の精度で制御出来、1ディジットは1gに相当するので、図2に示す従来のロスインウェイト式供給装置に比べて、図3に示す本発明によるロスインウェイト式供給装置は、±10gから±1gへと供給精度を10倍にして制御出来る。
【0026】
図2に示す従来のロスインウェイト式供給装置に比べて、図3に示す本発明によるロスインウェイト式供給装置に、価格の安い、分解能が1/1000のロードセルを使用しても、従来の供給精度である±10gを保ちながら、ロスインウェイト式供給装置のコストを下げられる。
【0027】
図4により説明する。ディスク型の移送排出装置2によるロスインウェイト式供給装置において、モーター4と駆動装置3をコモンベース7に取付け、上下方向の荷重がロードセル6に掛からないボールスプライン5Bで回転を移送排出装置2に伝えると、モーター4と駆動装置3の重量分だけ最大荷重の小さなロードセルが使用でき、分解能に占める供給材の比率が上がり、1ディジット当たりの重量が少なくなり、少なくなった分だけ供給精度を上げられる。
【0028】
図5により説明する。カウンターバランス8と位置調整可能な分銅8Aにより、モーター4、駆動装置3、移送排出装置2、貯留容器1に相当する重量を相殺し、投入される供給材の重量に相当する最大荷重の小さなロードセルが使用でき、分解能に占める供給材の比率を100%にまで高めることが出来るので、1ディジット当たりの供給材の重量も少なくなり、その分供給精度を上げられる。
【0029】
ロードセルの最大荷重に占める供給材の比率が高くなると供給精度が上がるが、供給精度が過剰品質と見なされる用途には、分解能が低く安価なロードセルに置き換えて、ロスインウェイト式供給装置のコストを下げられる。
【0030】
また、最大荷重が小さくなった分、小型で安価なロードセルを使用して、ロスインウェイト式供給装置のコストを下げられる。
【0031】
図4においては動力の伝達にボールスプライン使用した例を示しているが、ロードセルに荷重が掛らなければよいので、荷重方向に力の掛らないシュミットカップリングや円筒型磁石カップリングなども使用出来る。
【0032】
分銅8Aを使用するカウンターバランス8に替えてスプリングを使用したり、エアシリンダー又は油圧シリンダーをカウンターバランスとして使用して装置の重量の一部乃至全部を相殺することも出来る。
【0033】
図3及び図5に示される押上げ式のカウンターバランス8に替えて、装置を上に引き上げるカウンターバランスにより装置の重量を相殺することも出来る。
【産業上の利用可能性】
【0034】
薬剤の配合、食品、飲料の調味料などの添加材は僅かな量でも大きな効能が有るので、少しでも供給精度が高いロスインウェイト式供給装置が求められているこれらの用途に応用出来る。
【0035】
プラスチックの射出成型材料には炭酸カルシュームなどのフィラーの他に高価な顔料や添加材が配合されているが、これらの高価な素材を決められた最低限の割合で連続して、比率精度良く供給するロスインウェイト式供給装置として利用出来るので、本発明により供給精度を上げたロスインウェイト式供給装置のユーザーは、プラスマイナスの誤差分を余分に供給している高価な顔料や添加材の使用量を減らして成形材料のコストを下げられる。
【0036】
炭水化物と蛋白質の割合を調整した配合飼料、窒素、リン酸、カリウムの比率を調整した配合肥料などの配合においては、貯留容器に大きくて重いサイロなどが利用されているが、本発明により、小さくて、分解能の低い、安価なロードセルを使用して、供給精度を保持しながら、ロスインウェイト式供給装置のコストを下げられる。
【0037】
ロードセルを複数使用して装置全体の重量を受けることにより、最大荷重の小さいロードセルを使用しているロスインウェイト式供給装置においては、本発明によりロードセルに掛る全荷重を減らせるので、ロードセルの使用数を減らしてロスインウェイト式供給装置のコストを下げられる。
【符号の説明】
【0038】
1 貯留容器
2 移送排出装置
3 駆動装置
4 モーター
5A 磁石カップリング
5B ボールスプライン
6 ロードセル
7 コモンベース
8 カウンターバランス
8A 分銅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給材を貯留する貯留容器と、供給材を貯留容器から移送し排出する移送排出装置と、移送排出装置を駆動するためのモーターと、重量を測定するためのロードセルと、ロードセルで測定された重量を、設定された供給量と比較演算してモーターの回転数を増減させるコントローラーとを具備したロスインウェイト式供給装置において、移送排出装置を駆動するモーターの重量がロードセルに検知出来ないように設置して成るロスインウェイト式供給装置。
【請求項2】
供給材を貯留する貯留容器と、供給材を貯留容器から移送し排出する移送排出装置と、移送排出装置を駆動するためのモーターと、重量を測定するためのロードセルと、ロードセルで測定された重量を、設定された供給量と比較演算してモーターの回転数を増減させるコントローラーとを具備したロスインウェイト式供給装置において、供給装置の一部乃至全体の重量を相殺出来るカウンターバランスを具備して成るロスインウェイト式供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate