説明

ロスバスタチンカルシウム塩の改良された製造

特に、高コレステロール血症、高リポタンパク血症、およびアテローム性動脈硬化症の治療に対して有効な医薬を製造する上で有用な(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩〔式(1)〕を製造するための改良された方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、化学プロセス、特に、とりわけ高コレステロール血症、高リポタンパク血症、およびアテローム性動脈硬化症の治療に対して有効な医薬を製造する上で有用な(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩(1)(下記)を製造するための化学プロセスの改良に関する。
【0002】
【化1】

【0003】
化合物(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸〔以後、‘エージェント(Agent)’と呼ぶ〕のナトリウム塩(2)とカルシウム塩(1)がヨーロッパ特許0521471に開示された。この特許はさらに、下記のスキーム1に示すように、ナトリウム塩(2)を介してカルシウム塩(1)を合成する方法も説明している。このようにして形成されるカルシウム塩を採取し、乾燥し、必要に応じてさらに処理することができる。
【0004】
【化2】

【0005】
我々の国際特許出願WO00/49014は、化合物BEM(3)からナトリウム塩(2)を介してカルシウム塩(1)に至る代替経路を説明している(下記のスキーム2に示す)。
【0006】
【化3】

【0007】
WO00/49014に説明されているように、BEM(3)からカルシウム塩(1)への変換は、スキーム2に示すように、メチルアミン塩(4)を介して行うことができる。この中間の結晶質メチルアミン塩を単離することにより、再結晶によって精製してから最終的に(非晶質の)カルシウム塩を形成させることができる。
【0008】
我々の同時係属出願WO2004/014872は、水溶性の塩からカルシウム塩を単離するための改良されたプロセス(たとえば、上記のスキーム2における、メチルアミン塩(4)からカルシウム塩(1)への変換)を説明しており、このとき改良点は、任意の物理的形態の生成物が得られるように、温度パラメーターと時間パラメーターを調節することにある。
【0009】
我々は驚くべきことに、カルシウム塩製造プロセスに対する改良を見出した。この改良により、全収率が向上し、BEM(3)からカルシウム塩(1)への変換を果たすための工程の数が減り、これにより中間の塩を単離する工程を省くことができる。驚くべきことに、得られるカルシウム塩生成物の品質は悪影響を受けない。本発明の方法はさらに、tert-ブチルエステルであるBEM(3)以外の試剤のアルキルエステルに対しても適用することができる。
【0010】
本発明によれば、(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を作製するための改良された方法が提供され、前記方法は、
a) 水混和性有機溶媒中に溶解した(E)-(6-{2-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル]ビニル}(4R,6S)-2,2-ジメチル[1,3]ジオキサン-4-イル)酢酸の(1-6)Cアルキルエステルと水性酸(aqueous acid)とを高温で反応させる工程;
b) 工程a)において得られる溶液と水性アルカリ金属水酸化物(an aqueous alkali metal hydroxide)とを反応させ、得られるアルカリ金属塩水溶液を必要に応じて適切な有機溶媒で洗浄する工程;
c) 工程b)において得られる溶液のpHをpH6〜pH11に調節する工程;
d) 水混和性有機溶媒を除去する工程;
e) 工程d)において得られる混合物を必要に応じて濾過する工程;
f) (E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を形成するように、濾液に水溶性のカルシウム塩を加える工程;および
g) 工程f)の生成物を単離する工程;
を含む。
【0011】
言うまでもないことであるが、この方法は、酸の中間体の塩を単離することなく、エステルからカルシウム塩(1)への転化を達成する。
【0012】
工程a)
工程a)に対する適切な溶媒は、一般にはあらゆる水混和性有機溶媒(たとえば、アセトニトリルやアセトン)である。好ましい溶媒はアセトニトリルである。
【0013】
適切な水性酸は、それらのカルシウム塩が水溶性であって、したがって工程f)において沈殿しないような酸である。1つの実施態様においては、水性酸は塩酸である。この実施態様の1つの態様においては、塩酸水溶液(aqueous hydrochloric acid)は約0.1Mである。この実施態様の他の態様においては、塩酸水溶液は≦約0.1Mである。塩酸水溶液は<0.05M(たとえば0.02M)であるのが好都合である。
【0014】
エージェントの(1-6C)アルキルエステルと水性酸との反応は30〜50℃で行うのが適切であり、35〜40℃で行うのが好都合である。
エージェントの(1-6C)アルキルエステルをアセトニトリル中に35℃で溶解し、これを塩酸水溶液と35℃で反応させるのがさらに適切である。
【0015】
エージェントの適切な(1-6C)アルキルエステルは、たとえば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、n-ブチルエステル、イソブチルエステル、ペンチルエステル、またはヘキシルエステルである。BEMは、(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸の(1-6C)アルキルエステルの好ましい例である。
【0016】
出発物質であるBEMは、WO00/49014に記載のように作製することができる。BEMの類縁体を類似の方法によって作製することができる(後記の実施例において示す)。
【0017】
工程b)
工程b)は約10℃〜約40℃の温度で行うことができる。工程b)は周囲温度(一般には20〜25℃を意味しており、好都合なのは約25℃である)で行うのが好都合である。
【0018】
水性アルカリ金属水酸化物は、水性水酸化カリウム(aqueous potassium hydroxide)または水性水酸化ナトリウム(aqueous sodium hydroxide)であるのが適切である。
1つの実施態様においては、水性アルカリ金属水酸化物は水酸化ナトリウムである。本実施態様においては、水性水酸化ナトリウムは約1Mであるのが適切であり、ナトリウム塩(2)を形成するよう充分な量を加える。言うまでもないが、ナトリウム塩(2)は単離せず、工程b)の生成物はナトリウム塩水溶液である。さらに、このナトリウム塩水溶液はアセトニトリルも含有することは言うまでもない。
【0019】
工程c)を行う前に、必要に応じて、アルカリ金属塩水溶液をトルエンや他の適切な有機溶媒で洗浄して、未反応のエージェントの(1-6C)アルキルエステル(たとえばBEM(3))や他の望ましくない少量成分を除去することができる。この洗浄工程に対する適切な有機溶媒は一般に、水に対しては不混和性であるが、工程a)において使用される水混和性有機溶媒に対しては混和性であるような有機溶媒である。工程a)における水混和性有機溶媒がアセトニトリルであるとき、洗浄工程に対する適切な有機溶媒は、当業界に公知のエステル、エーテル、および炭化水素溶媒である。こうした適切な溶媒の例としては、キシレン(炭化水素溶媒)、メチル-t-ブチルエーテル(MTBE)(エーテル溶媒)、および酢酸エチル(エステル溶媒)などが挙げられる。トルエンや他の適切な有機溶媒は、相分離によってプロセスから適切に除去することができる。相分離後に溶媒が残留している場合、こうした溶媒は工程d)において除去することができる。溶媒はトルエンであるのが好ましい。
【0020】
1つの実施態様においては、水性アルカリ金属塩は水性ナトリウム塩である。本実施態様では、工程b)において、ナトリウム塩水溶液を適切な有機溶媒で洗浄する。本実施態様の1つの態様においては、ナトリウム塩水溶液を、トルエン、キシレン、MTBE、または酢酸エチルで洗浄する。本実施態様の他の態様においては、ナトリウム塩水溶液をトルエンまたはキシレンで洗浄する。本実施態様のさらに他の態様においては、ナトリウム塩水溶液をトルエンで洗浄する。本実施態様のさらに他の態様においては、ナトリウム塩水溶液をMTBEで洗浄する。本実施態様のさらに他の態様においては、ナトリウム塩水溶液を酢酸エチルで洗浄する。
【0021】
他の実施態様では、工程b)において、ナトリウム塩水溶液を適切な有機溶媒で洗浄しない。
本発明の別の実施態様においては、水性アルカリ金属水酸化物は水酸化カリウムである。言うまでもないが、本実施態様においては、ナトリウム塩(2)に対応するカリウム塩同等物が結果として形成される。本実施態様においては、適切な温度、水酸化カリウムの適切な濃度、および適切な洗浄溶媒は、水酸化ナトリウムに関して適切であると上記した場合と同じである。
【0022】
工程c)
水溶液をpH6〜11に調節することは、塩酸(たとえば、0.02〜1Mの塩酸水溶液)を加えることによって適切に行われる。1つの実施態様においては、溶液をpH8〜11に調節する。他の実施態様においては、溶液をpH9〜11(たとえば、約pH9〜10.5)に調節する。溶液を、≦0.1Mの塩酸を使用して約pH9〜10.5に調節するのが適切である。溶液を、約0.1Mの塩酸を使用して約pH10.5に調節するのがさらに適切である。溶液を、適切には0.02Mの塩酸水溶液を使用して約pH9に調節するのが好ましい。無機酸のカルシウム塩が水溶性であって、したがって工程f)において沈殿しないのであれば、当業界に公知の他の無機酸も使用することができる。
【0023】
工程d)
水混和性有機溶媒(および上記工程b)における洗浄液として使用した有機溶媒の残留量)は一般に、適切には減圧下にて行なう蒸留によって除去することができる。
【0024】
水混和性有機溶媒がアセトニトリルであるとき、蒸留は、たとえば、≦55ミリバールの減圧と≦45℃の温度を使用して行うのが適切である。減圧が約52ミリバールであって、温度が約33℃であるのが好都合である。当業者には言うまでもないことであるが、水は、蒸留時にアセトニトリルと共に共沸的に除去され、したがって蒸留プロセス時に混合物にさらなる水を加えるのが望ましい。蒸留を行うための適切な方法が、後述の実施例に記載されている(但し、実施例によって限定されることはない)。
【0025】
工程e)
工程d)からの混合物を濾過して、未反応の出発物質、または工程d)の蒸留プロセス時に沈殿した不溶性の不純物を除去する。濾過器を洗浄するのに水を使用できることは言うまでもない。当業界において適切であることが知られているいかなる濾過器も使用することができる。製造規模においては、GaF濾過器〔たとえば、ヘイウッド・インダストリアル・プロダクツ社(Haywood Industrial Products)製造のGaF濾過器E6-1825〕を使用するのが好都合である。
【0026】
この濾過は常に必要であるとは限らず、省略できることもあるのは言うまでもない。
工程f)
一般に、水溶性のカルシウム塩は、工程g)における単離後に生成物を洗浄することによって簡単に除去されるように、その対イオンがナトリウムと水溶性の塩を形成するような塩であるのが適切である。適切な水溶性カルシウム塩としては、塩化カルシウム、臭化カルシウム、および酢酸カルシウムがある。塩化カルシウムまたは臭化カルシウムを使用するのが最も適切である。
【0027】
1つの実施態様においては、水溶性カルシウム塩は塩化カルシウムである。
本実施態様においては、塩化カルシウムは二水和物形として供給されるのが好都合であり、濾液に水溶液として加えるのが適切である。わずかに過剰の塩化カルシウムを使用することができる(たとえば、エージェントと比較して0.6モル当量)。塩化カルシウムは0.1g/mlの水溶液として加えるのが適切である。反応混合物の温度は、付加プロセス時において32〜43℃に保持するのが適切であり、約40℃に保持するのがさらに適切である。塩化カルシウムの付加速度は、反応混合物の温度がそのように保持されるように調節することができる。塩化カルシウムは、15〜30分で加えるのが適切である。反応混合物をある時間(以後“保持時間(hold time)”と呼ぶ)にわたって付加温度に保持してからカルシウム塩を単離することができる。1つの実施態様においては、保持時間は少なくとも10分である。他の実施態様においては、保持時間は少なくとも20分である。さらに他の実施態様においては、保持時間は少なくとも30分である。
【0028】
工程g)
カルシウム塩の単離は、約20℃での濾過によって適切に行うことができる(以後“濾過温度”と呼ぶ)。濾過の前に、混合物をある時間(たとえば10〜20分、適切には15分)にわたって濾過温度に保持することができる。濾液を洗浄するのに水を使用できることは言うまでもない。
【0029】
本発明によれば、
a) アセトニトリル中に溶解した(E)-(6-{2-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル]ビニル}(4R,6S)-2,2-ジメチル[1,3]ジオキサン-4-イル)アセテート(BEM)と塩酸水溶液とを高温で反応させる工程;
b) 工程a)において得られる溶液と水性水酸化ナトリウムとを反応させる工程;
c) 工程b)において得られる溶液のpHをpH6〜pH11に調節する工程;
d) アセトニトリルを除去する工程;
e) 工程d)において得られる混合物を濾過する工程;
f) (E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を形成するように、濾液に塩化カルシウムを加える工程;および
g) 工程f)の生成物を単離する工程;
を含む、(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を作製するための改良された方法が提供される。
【0030】
本発明のさらなる態様においては、上記の工程a)、b)、c)、d)、f)、およびg)を含む、(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を作製する改良された方法が提供される。
【0031】
本発明によれば、
a’) アセトニトリル中に溶解した(E)-(6-{2-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル]ビニル}(4R,6S)-2,2-ジメチル[1,3]ジオキサン-4-イル)酢酸と塩酸水溶液とを高温で反応させる工程;
b) 工程a)において得られる溶液と水性水酸化ナトリウムとを反応させる工程;
c) 工程b)において得られる溶液のpHをpH6〜pH11に調節する工程;
d) アセトニトリルを除去する工程;
e) 工程d)において得られる混合物を濾過する工程;
f) (E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を形成するように、濾液に塩化カルシウムを加える工程;および
g) 工程f)の生成物を単離する工程;
を含む、(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を作製するための改良された方法が提供される。
【0032】
本発明のさらなる態様においては、上記の工程a’)、b)、c)、d)、f)、およびg)を含む、(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を作製するための改良された方法が提供される。
【0033】
さらなる実施態様においては、本発明は、
a) アセトニトリル中に溶解したtert-ブチル(E)-(6-{2-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル]ビニル}(4R,6S)-2,2-ジメチル[1,3]ジオキサン-4-イル)アセテート(BEM)と塩酸水溶液とを35〜40℃で反応させる工程;
b) 工程a)において得られる溶液と1Mの水酸化ナトリウムとを周囲温度で反応させ、得られるナトリウム塩水溶液を、必要に応じて適切な有機溶媒で洗浄する工程;
c) 工程b)において得られる溶液のpHを、<0.05Mの塩酸水溶液を加えることによって約pH9に調節する工程;
d) アセトニトリルを、50〜55ミリバールの圧力および30〜35℃の温度での蒸留によって除去する工程;
e) 工程d)において得られる混合物を濾過する工程;
f) (E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を形成するよう、32〜43℃にて濾液に塩化カルシウム二水和物の水溶液を加える工程;および
g) 工程f)の生成物を約20℃での濾過によって単離する工程;
を含む、(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を作製するための改良された方法を提供する。
【0034】
さらなる実施態様においては、本発明は、
a’) アセトニトリル中に溶解した(E)-(6-{2-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル]ビニル}(4R,6S)-2,2-ジメチル[1,3]ジオキサン-4-イル)酢酸の(1-6C)アルキルエステルと塩酸水溶液とを35〜40℃で反応させる工程;
b) 工程a)において得られる溶液と1Mの水酸化ナトリウムとを周囲温度で反応させ、得られるナトリウム塩水溶液を、必要に応じて適切な有機溶媒で洗浄する工程;
c) 工程b)において得られる溶液のpHを、<0.05Mの塩酸水溶液を加えることによって約pH9に調節する工程;
d) アセトニトリルを、50〜55ミリバールの圧力および30〜35℃の温度での蒸留によって除去する工程;
e) 工程d)において得られる混合物を濾過する工程;
f) (E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を形成するよう、32〜43℃にて濾液に塩化カルシウム二水和物の水溶液を加える工程;および
g) 工程f)の生成物を約20℃での濾過によって単離する工程;
を含む、(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を作製するための改良された方法を提供する。
【0035】
さらなる実施態様においては、本発明は、
a) アセトニトリル中に溶解したtert-ブチル(E)-(6-{2-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル]ビニル}(4R,6S)-2,2-ジメチル[1,3]ジオキサン-4-イル)アセテート(BEM)と塩酸水溶液とを35〜40℃で反応させる工程;
b) 工程a)において得られる溶液と1Mの水酸化ナトリウムとを周囲温度で反応させ、得られるナトリウム塩水溶液を、必要に応じて適切な有機溶媒で洗浄する工程;
c) 工程b)において得られる溶液のpHを、≦0.1Mの塩酸水溶液を使用して約pH9〜10.5に調節する工程;
d) アセトニトリルを、50〜55ミリバールの圧力および30〜35℃の温度での蒸留によって除去する工程;
e) 工程d)において得られる混合物を濾過する工程;
f) (E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を形成するよう、32〜43℃にて濾液に塩化カルシウム二水和物の水溶液を加える工程;および
g) 工程f)の生成物を約20℃での濾過によって単離する工程;
を含む、(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を作製するための改良された方法を提供する。
【0036】
さらなる実施態様においては、本発明は、
a’) アセトニトリル中に溶解した(E)-(6-{2-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル]ビニル}(4R,6S)-2,2-ジメチル[1,3]ジオキサン-4-イル)酢酸の(1-6C)アルキルエステルと塩酸水溶液とを35〜40℃で反応させる工程;
b) 工程a)において得られる溶液と1Mの水酸化ナトリウムとを周囲温度で反応させ、得られるナトリウム塩水溶液を、必要に応じて適切な有機溶媒で洗浄する工程;
c) 工程b)において得られる溶液のpHを、≦0.1Mの塩酸水溶液を使用して約pH9〜10.5に調節する工程;
d) アセトニトリルを、50〜55ミリバールの圧力および30〜35℃の温度での蒸留によって除去する工程;
e) 工程d)において得られる混合物を濾過する工程;
f) (E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を形成するよう、32〜43℃にて濾液に塩化カルシウム二水和物の水溶液を加える工程;および
g) 工程f)の生成物を約20℃での濾過によって単離する工程;
を含む、(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を作製するための改良された方法を提供する。
【0037】
さらなる実施態様においては、本発明は、
a’) アセトニトリル中に溶解した(E)-(6-{2-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル]ビニル}(4R,6S)-2,2-ジメチル[1,3]ジオキサン-4-イル)酢酸の(1-6C)アルキルエステルと塩酸水溶液とを35〜40℃で反応させる工程;
b) 工程a)において得られる溶液と1Mの水酸化ナトリウムとを周囲温度で反応させ、得られるナトリウム塩水溶液を、必要に応じて適切な炭化水素溶媒、エステル溶媒、またはエーテル溶媒で洗浄する工程;
c) 工程b)において得られる溶液のpHを、≦0.1Mの塩酸水溶液を使用して約pH9〜10.5に調節する工程;
d) アセトニトリルを、50〜55ミリバールの圧力および30〜35℃の温度での蒸留によって除去する工程;
e) 工程d)において得られる混合物を濾過する工程;
f) (E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を形成するよう、32〜43℃にて濾液に塩化カルシウム二水和物の水溶液を加える工程;および
g) 工程f)の生成物を約20℃での濾過によって単離する工程;
を含む、(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を作製するための改良された方法を提供する。
【0038】
さらなる実施態様においては、本発明は、
a’) アセトニトリル中に溶解した(E)-(6-{2-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル]ビニル}(4R,6S)-2,2-ジメチル[1,3]ジオキサン-4-イル)酢酸の(1-6C)アルキルエステルと塩酸水溶液とを35〜40℃で反応させる工程;
b) 工程a)において得られる溶液と1Mの水酸化ナトリウムとを周囲温度で反応させ、得られるナトリウム塩水溶液を、必要に応じてトルエン、キシレン、MTBE、または酢酸エチルで洗浄する工程;
c) 工程b)において得られる溶液のpHを、≦0.1Mの塩酸水溶液を使用して約pH9〜10.5に調節する工程;
d) アセトニトリルを、50〜55ミリバールの圧力および30〜35℃の温度での蒸留によって除去する工程;
e) 工程d)において得られる混合物を濾過する工程;
f) (E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を形成するよう、32〜43℃にて濾液に塩化カルシウム二水和物の水溶液を加える工程;および
g) 工程f)の生成物を約20℃での濾過によって単離する工程;
を含む、(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を作製するための改良された方法を提供する。
【0039】
さらなる実施態様においては、本発明は、
a’) アセトニトリル中に溶解した(E)-(6-{2-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル]ビニル}(4R,6S)-2,2-ジメチル[1,3]ジオキサン-4-イル)酢酸の(1-6C)アルキルエステルと塩酸水溶液とを35〜40℃で反応させる工程;
b) 工程a)において得られる溶液と1Mの水酸化ナトリウムとを周囲温度で反応させ、得られるナトリウム塩水溶液を、必要に応じてトルエンで洗浄する工程;
c) 工程b)において得られる溶液のpHを、≦0.1Mの塩酸水溶液を使用して約pH9〜10.5に調節する工程;
d) アセトニトリルを、50〜55ミリバールの圧力および30〜35℃の温度での蒸留によって除去する工程;
e) 工程d)において得られる混合物を濾過する工程;
f) (E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を形成するよう、32〜43℃にて濾液に塩化カルシウム二水和物の水溶液を加える工程;および
g) 工程f)の生成物を約20℃での濾過によって単離する工程;
を含む、(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を作製するための改良された方法を提供する。
【0040】
さらなる実施態様においては、本発明は、
a’) アセトニトリル中に溶解した(E)-(6-{2-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル]ビニル}(4R,6S)-2,2-ジメチル[1,3]ジオキサン-4-イル)酢酸の(1-6C)アルキルエステルと塩酸水溶液とを35〜40℃で反応させる工程;
b) 工程a)において得られる溶液と1Mの水酸化ナトリウムとを周囲温度で反応させ、得られるナトリウム塩水溶液を、適切な炭化水素溶媒、エステル溶媒、またはエーテル溶媒で洗浄する工程;
c) 工程b)において得られる溶液のpHを、≦0.1Mの塩酸水溶液を使用して約pH9〜10.5に調節する工程;
d) アセトニトリルを、50〜55ミリバールの圧力および30〜35℃の温度での蒸留によって除去する工程;
e) 工程d)において得られる混合物を濾過する工程;
f) (E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を形成するよう、32〜43℃にて濾液に塩化カルシウム二水和物の水溶液を加える工程;および
g) 工程f)の生成物を約20℃での濾過によって単離する工程;
を含む、(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を作製するための改良された方法を提供する。
【0041】
さらなる実施態様においては、本発明は、
a’) アセトニトリル中に溶解した(E)-(6-{2-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル]ビニル}(4R,6S)-2,2-ジメチル[1,3]ジオキサン-4-イル)酢酸の(1-6C)アルキルエステルと塩酸水溶液とを35〜40℃で反応させる工程;
b) 工程a)において得られる溶液と1Mの水酸化ナトリウムとを周囲温度で反応させ、得られるナトリウム塩水溶液を、トルエン、キシレン、MTBE、または酢酸エチルで洗浄する工程;
c) 工程b)において得られる溶液のpHを、≦0.1Mの塩酸水溶液を使用して約pH9〜10.5に調節する工程;
d) アセトニトリルを、50〜55ミリバールの圧力および30〜35℃の温度での蒸留によって除去する工程;
e) 工程d)において得られる混合物を濾過する工程;
f) (E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を形成するよう、32〜43℃にて濾液に塩化カルシウム二水和物の水溶液を加える工程;および
g) 工程f)の生成物を約20℃での濾過によって単離する工程;
を含む、(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を作製するための改良された方法を提供する。
【0042】
さらなる実施態様においては、本発明は、
a’) アセトニトリル中に溶解した(E)-(6-{2-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル]ビニル}(4R,6S)-2,2-ジメチル[1,3]ジオキサン-4-イル)酢酸の(1-6C)アルキルエステルと塩酸水溶液とを35〜40℃で反応させる工程;
b) 工程a)において得られる溶液と1Mの水酸化ナトリウムとを周囲温度で反応させ、得られるナトリウム塩水溶液をトルエンで洗浄する工程;
c) 工程b)において得られる溶液のpHを、≦0.1Mの塩酸水溶液を使用して約pH9〜10.5に調節する工程;
d) アセトニトリルを、50〜55ミリバールの圧力および30〜35℃の温度での蒸留によって除去する工程;
e) 工程d)において得られる混合物を濾過する工程;
f) (E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を形成するよう、32〜43℃にて濾液に塩化カルシウム二水和物の水溶液を加える工程;および
g) 工程f)の生成物を約20℃での濾過によって単離する工程;
を含む、(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を作製するための改良された方法を提供する。
【0043】
さらなる実施態様においては、本発明は、上記もしくは後記のいずれかの態様または実施態様に記載の工程a’)〜g)を含み、このとき工程b)において、水酸化ナトリウムの代わりに水酸化カリウムが使用される、(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を作製するための改良された方法を提供する。
【0044】
本発明の方法により、一般には、全体としての収率(%)〔BEMまたは他の(1-6C)アルキルエステルからスタートして〕が向上し、当業界に公知の方法と比較して工程数が少なくなる。言うまでもないことであるが、収率が高くなるということは、製造が工業的規模で行われている場合は大きなコストメリットをもたらす。本発明の方法では工程数が減少することで製造時の操作プロセスが少なくなり、したがってより堅牢な方法となる。本発明の方法では工程数が減少することで物質の処理が少なくなり、したがって生成物が劣化したり汚染されたりする可能性が低くなる。さらに、特定の化学物質が不必要になり、廃棄物および/または排出物の総量が減少し、したがって環境面でのメリットをもたらす。
【0045】
本発明のさらなる態様は、前記したプロセス工程a)〜g)によって作製される化合物(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を提供する。
【0046】
本発明のさらなる態様は、前記したいずれかの態様または実施態様に記載のプロセス工程a’)〜g)によって作製される化合物(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を提供する。
【0047】
したがって本発明のさらなる態様は、本発明の方法によって得ることができる生成物を提供する。
本発明の他の態様は、本発明の方法によって得られる生成物を提供する。
【0048】
言うまでもないが、本発明の方法は、エージェントの別の塩を作製するのにも適用することができる〔たとえば、工程f)において適切なマグネシウム塩(たとえば塩化マグネシウム)を使用することによって、エージェントのマグネシウム塩を作製することができる〕。このようにして得られる塩は、当業界に公知の方法によってカルシウム塩に転化させることができる。したがって本発明の他の態様においては、前記の工程a)〜g)を含み、このとき工程f)において、水溶性のカルシウム塩(たとえば塩化カルシウム)の代わりに水溶性のマグネシウム塩(たとえば塩化マグネシウム)が加えられる、エージェントのマグネシウム塩を作製するための方法が提供される。
【0049】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
BEM(20.0g)を40℃にてアセトニトリル(440ml)中に溶解し、35℃に冷却してから、塩酸(0.02M,35ml)を35℃にて加えた。得られた溶液を、反応が完了するまで35℃で攪拌し、次いで25℃に冷却した。25℃にて水酸化ナトリウム(1.0M,38ml)を加え、本混合物を、反応が完了するまでこの温度で攪拌した。塩酸水溶液(1M)を加えて、溶液のpHをpH9に調節した。約100mlのアセトニトリル/水が除去されるまで、本溶液を減圧(52ミリバール,≦40℃)にて蒸留した。水(100ml)を加え、さらに100mlのアセトニトリル/水が除去されるまで蒸留を続けた。得られた混合物を、フィルターパッドを通して濾過し、フィルターを水(30ml)で洗浄し、濾液を40℃に加熱してから、反応混合物の温度を38〜41℃に保持しつつ、塩化カルシウム二水和物(3.07g)の水(29.5ml)溶液を20分で加えた。
【0050】
反応混合物を40℃でさらに15分攪拌し、次いで20℃に冷却し、この温度でさらに15分攪拌した。得られた懸濁液を濾過し、水(3×50ml)で洗浄し、そして乾燥して(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩(15.8g,収率84%)を得た。
【0051】
(実施例2)
BEMの類縁体(イソプロピル類縁体)の合成について以下に説明する。他の類縁体も、同様の手順によって作製することができる。
【0052】
イソプロピル(E)-(6-{2-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル]ビニル}(4R,6S)-2,2-ジメチル[1,3]ジオキサン-4-イル)アセテート
ジフェニル[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イルメチル]ホスフィンオキシド(40.43g,75ミリモル)をTHF(477.1ml)中に混合して得た溶液を冷却し、この溶液に、温度を−65℃に保持しながら、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(80.47ml,THF中1.0M)を−65℃にて30分で滴下した。この溶液に、温度を−65℃に保持しながら、イソプロピル-2-[(4R,6S)-6-ホルミル-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-4-イル]アセテートのトルエン溶液(21.68g)を35分で滴下した。容器の内容物を−65℃で15分保持し、次いで80分で10℃に均一に加温した。水(40.4ml)を、次いで酢酸(6.87g,114ミリモル)を加えて、2つの相からなる淡黄色の溶液を得た。次いでこのバッチを大気圧にて蒸留して約485mlの留出物を除去した。この溶液を、水(84ml)、7.0重量%の重炭酸ナトリウム(92.6g)、1.8重量%の重炭酸ナトリウム(91.1g)、および水(63.5ml)で逐次洗浄した。得られた有機相を270ミリバールの減圧で蒸留して、約95mlの溶液を蒸留フラスコ中に残した(約229mlの留出物を除去した)。フラコスに50℃にてメタノール(202ml)を仕込み、本溶液を大気圧で蒸留して、約134mlの留出物を除去した。50℃にてさらなるメタノール(229ml)を溶液に加え、本バッチを30分にわたって40℃に冷却した。本バッチを、30分にわたって25℃に冷却し、30分にわたって0〜5℃に冷却し、次いで20分にわたって−8℃に冷却し、そしてこの温度で30分保持した。減圧濾過によって固体を採取し、−8℃に冷却したメタノールで2回洗浄し(2×80.6ml)、次いで200ミリバールの圧力と50℃の温度にて減圧オーブン中で乾燥した。収量28.9g(収率68.3%)。
【0053】
【化4】

【0054】
イソプロピル2-[(4R,6S)-6-ホルミル-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-4-イル]アセテート
−60℃にてトルエン(373.3ml,16相対体積)に塩素ガス(2469.6ml,118ミリモル)を仕込んだ。次いで、内容物を−60℃に保持しつつ、冷却した溶液にジメチルスルフィド(11.67ml,121ミリモル)を30分で滴下した。この温度で30分後、内部温度を−60℃に保持しつつ、イソプロピル-2-[(4R,6S)-6-ヒドロキシメチル-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-4-イル]アセテート(24.56g,95ミリモル)のトルエン(46.7ml)溶液を30分で容器に滴下した。反応混合物を−60℃で30分攪拌し、次いでトリエチルアミン(26.36g,261ミリモル)を30分で滴下し、内部温度を−50℃に上昇させた。反応混合物を75分にわたって25℃に均一に加温した。得られたスラリーを25℃で30分攪拌し、水(77ml)を加え、混合物を30分攪拌した。水性層を分離し、pHをチェックした(pHは7.5〜8.5でなければならない)。得られた有機部分を水(23.3ml)で洗浄し、有機部分を分離して、150ミリバールにて減圧蒸留を行った。約350mlのトルエンが除去されるまで蒸留を続けた。フラスコにトルエン(350ml)を加え、150ミリバールにて減圧蒸留を繰り返して、約350mlのトルエンを除去した。得られた溶液を、4オングストロームの活性化モレキュラーシーブを含有するフラスコに移し、室温で一晩放置した。この溶液を、カップリング段階に対して直接使用した。
【0055】
イソプロピル2-[(4R,6S)-6-ヒドロキシメチル-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-4-イル]アセテート
この化合物は、EP0319847に記載の方法を使用して作製することができる。異なったエステル基Rを有する類縁体も、同様の方法によって作製することができる。
【0056】
ジフェニル[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イルメチル]ホスフィンオキシド
この化合物は、特許出願WO00/49014に記載のように作製することができる。
【0057】
(実施例3:工程b)において洗浄を使用する方法)
BEM(20.0g)を40℃にてアセトニトリル(140ml)中に溶解し、35℃に冷却してから、35℃にて塩酸(0.02M,35ml)を徐々に加えた。得られた溶液を、反応が完了するまで35℃で攪拌し、次いで25℃に冷却した。さらなるアセトニトリル(8ml)を加えてから、水酸化ナトリウム(1.0M,38ml)を25℃で加え、得られた混合物を、反応が完了するまでこの温度で攪拌した。塩酸水溶液(0.1M)を加えて、溶液のpHを約pH10.5に調節した。加えた0.1Mの塩酸(pH調節工程からの)と水との合計体積が100mlとなるように水を加えた。次いでトルエン(125ml)を加え、混合物を40℃で30分攪拌してから、40℃で1時間放置した。40℃にて、水性相を有機相から分離した。水性相を、体積が135mlに減少するまで減圧にて蒸留した(53ミリバール,≦40℃)。得られた水溶液を、フィルターパッドを通して濾過し、得られる水溶液の全体積が170mlになるよう、フィルターを水で洗浄した。この溶液を40℃に加熱してから、反応混合物の温度を38〜41℃に保持しながら、塩化カルシウム二水和物(3.05g)の水(29.5ml)溶液を20分で加えた。
【0058】
反応混合物を40℃でさらに15分攪拌してから20℃に冷却し、この温度でさらに15分攪拌した。得られた懸濁液を濾過し、水で洗浄し(3×53ml)、そして乾燥して(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を得た(100%濃度にて14.7g,収率85%)。
【0059】
【化5】

【0060】
[1H-NMRは、d6DMSO中3重量%溶液として行った(d5DMSO=2.51δ)]
* 部分的に不明瞭

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 水混和性有機溶媒中に溶解した(E)-(6-{2-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル]ビニル}(4R,6S)-2,2-ジメチル[1,3]ジオキサン-4-イル)酢酸の(1-6)Cアルキルエステルと水性酸とを高温で反応させる工程;
b) 工程a)において得られる溶液と水性アルカリ金属水酸化物とを反応させ、得られるアルカリ金属塩水溶液を必要に応じて適切な有機溶媒で洗浄する工程;
c) 工程b)において得られる溶液のpHをpH6〜pH11に調節する工程;
d) 水混和性有機溶媒を除去する工程;
e) 工程d)において得られる混合物を必要に応じて濾過する工程;
f) (E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を形成するように、濾液に水溶性のカルシウム塩を加える工程;および
g) 工程f)の生成物を単離する工程;
を含む、(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を作製するための方法。
【請求項2】
水混和性有機溶媒がアセトニトリルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a)における水性酸が塩酸である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程b)が、得られる溶液と水性水酸化ナトリウムとを反応させ、得られるナトリウム塩水溶液を適切な炭化水素、エステル、または他の溶媒で洗浄することを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ナトリウム塩水溶液を、トルエン、キシレン、MTBE、または酢酸エチルで洗浄する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ナトリウム塩水溶液をトルエンで洗浄する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
(1-6C)アルキルエステルがtert-ブチルエステルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程a)を35〜40℃で行う、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程b)を周囲温度で行う、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程b)における水性アルカリ金属水酸化物が水酸化カリウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
工程c)が、塩酸水溶液を加えることによって溶液のpHを約pH9〜10.5に調節することを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程d)を≦55ミリバールの圧力および≦45℃の温度で行う、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
工程f)における水溶性のカルシウム塩が塩化カルシウムである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
工程f)におけるカルシウム塩を32〜43℃で加える、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載のプロセス工程a)〜g)によって作製される化合物(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩。
【請求項16】
請求項7に記載のプロセス工程a)〜g)によって作製される化合物(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 水混和性有機溶媒中に溶解した(E)-(6-{2-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル]ビニル}(4R,6S)-2,2-ジメチル[1,3]ジオキサン-4-イル)酢酸の(1-6)Cアルキルエステルと水性酸とを高温で反応させる工程;
b) 工程a)において得られる溶液と水性アルカリ金属水酸化物とを反応させ、得られるアルカリ金属塩水溶液を必要に応じて適切な有機溶媒で洗浄する工程;
c) 工程b)において得られる溶液のpHをpH6〜pH11に調節する工程;
d) 水混和性有機溶媒を除去する工程;
e) 工程d)において得られる混合物を必要に応じて濾過する工程;
f) (E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を形成するように、濾液に水溶性のカルシウム塩を加える工程;および
g) 工程f)の生成物を単離する工程;
を含む、(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を作製するための方法。
【請求項2】
水混和性有機溶媒がアセトニトリルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a)における水性酸が塩酸である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程b)が、得られる溶液と水性水酸化ナトリウムとを反応させ、得られるナトリウム塩水溶液を適切な炭化水素、エステル、または他の溶媒で洗浄することを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ナトリウム塩水溶液を、トルエン、キシレン、MTBE、または酢酸エチルで洗浄する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ナトリウム塩水溶液をトルエンで洗浄する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
(1-6C)アルキルエステルがtert-ブチルエステルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程a)を35〜40℃で行う、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程b)を周囲温度で行う、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程b)における水性アルカリ金属水酸化物が水酸化カリウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
工程c)が、塩酸水溶液を加えることによって溶液のpHを約pH9〜10.5に調節することを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程d)を≦55ミリバールの圧力および≦45℃の温度で行う、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
工程f)における水溶性のカルシウム塩が塩化カルシウムである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
工程f)におけるカルシウム塩を32〜43℃で加える、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載のプロセス工程a)〜g)によって作製される化合物(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩。
【請求項16】
請求項7に記載のプロセス工程a)〜g)によって作製される化合物(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩。
【請求項17】
請求項1に記載のプロセス工程a)〜g)によって作製される化合物(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-ヘプト-6-エン酸カルシウム塩を投与することを含んでなる治療方法。

【公表番号】特表2006−526602(P2006−526602A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508394(P2006−508394)
【出願日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002373
【国際公開番号】WO2004/108691
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(300022113)アストラゼネカ・ユーケイ・リミテッド (39)
【氏名又は名称原語表記】AstraZeneca UK Limited
【住所又は居所原語表記】15 Stanhope Gate, London W1K 1LN, United Kingdom
【Fターム(参考)】