説明

ロック装置

【課題】操作性が改善されると共に、がたつきおよび異音の発生を防止する。
【解決手段】第1ロッド部材60および第2ロッド部材70は、操作ノブ32の操作により回転変位するリンク部材33に一端部が回転可能に接続されると共に、台座部14に設けた貫通孔66に他端部側が挿通して位置規制され、リンク部材33の回転変位に伴い貫通孔66を中心に揺動しつつ進退移動して、係止突部62がインストルメントパネルに設けた係止受部に係脱する。第1ロッド部材60および第2ロッド部材70には、弾性変形が可能な支持片63が設けられる。グローブボックスには、前記支持片63と相対して該支持片63が弾力的に摺接するガイド壁15が設けられる。ガイド壁15は、支持片63との摺動面15Aが、対応のロッド部材60,70の移動に伴う該支持片63の移動軌跡に合わせて曲線状に延在形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の部材に設けられ、該第1の部材と第2の部材との相対的な移動を規制または許容するロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9に示すように、グローブボックスGBは、インストルメントパネルIPの意匠面を構成する前面パネル10と、該前面パネル10の裏側に取付けられ、物品が収容可能に上方へ開口した物品収納本体20と、ロック装置LU1とを備えている。そしてグローブボックスGBは、物品収納本体20に設けたヒンジ手段を介してインストルメントパネルIPの設置部100に枢支され、前面パネル10が該インストルメントパネルIPに整合した閉成姿勢(図9(a))および該前面パネル10が前方へ傾動した開放姿勢(図9(b))とに開閉自在となっている。
【0003】
グローブボックスGBに配設されたロック装置LU1は、図9および図10に示すように、前面パネル10に取付けられた操作機構部80と、棒状に形成されて前面パネル10の裏側に横方向へ進退移動可能に配設され、一端部が操作機構部80に連結された第1および第2のロッド部材81,82と、各ロッド部材81,82の他端に設けられて物品収納本体20に開設した通口90から外方へ延出し、インストルメントパネルIPの設置部100に設けた係止受部101(図9(b)参照)に係脱可能な係止突部83とを備えている。操作機構部80は、前面パネル10の外側に露出した操作ノブ84(図9参照)と、該操作ノブ84に連結されると共に、第1ロッド部材81が連結する第1連結ピン86および第2ロッド部材82が連結される第2連結ピン87が設けられたリンク部材85とを備えている。このようなロック装置LU1は、操作ノブ84を開放操作することで、リンク部材85が図10において反時計方向へ回転し、第1および第2の各ロッド部材81,82が、係止突部83が係止受部101に係止した係止位置(図10の状態)から、該係止突部83が該係止受部101から後退してロック解除された解除位置に移動するよう構成されている。なお、各通口90の開口付近には、ロッド部材81,82のがたつきを防止するため、対応する該ロッド部材81,82の係止突部83を進退移動方向と交差する方向から弾力的に支持する支持片91,91が設けられている。このようなロック装置LU1は、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−235794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図10に示したロック装置LU1および特許文献1のロック装置は、操作ノブ84の開放操作に伴うリンク部材85の回転変位時に、第1連結ピン86は上方へ突となる円弧状に移動すると共に、第2連結ピン87は下方へ突となる円弧状に移動する。すなわち第1連結ピン86は、第1ロッド部材81が係止位置および解除位置の間を進退移動するに際し、該係止位置における該第1連結ピン86と通口90とを結ぶ基準ラインL2より上方へ変位しながら移動する。このため第1ロッド部材81は、係止位置および解除位置の間を進退移動する際に第1連結ピン86に連結した一端部側が上方へ移動し、これにより該第1ロッド部材81は上方へ僅かに揺動しながら進退移動する。従って、第1ロッド部材81の係止突部83と該係止突部83の上側に位置する支持片91との干渉量が、該第1ロッド部材81の進退移動に伴って変化する。この際に、係止突部83が上側の支持片91に強く押付けられると、摺接負荷が大きくなって該第1ロッド部材81の円滑な進退移動が阻害され、ロック装置LU1の操作感が重くなるおそれがある。また、第1ロッド部材81の係止突部83と該係止突部83の下側に位置する支持片91との間に隙間が生じ、該第1ロッド部材81のがたつきが発生すると共にがたつきによる異音が発生する等の問題もある。なお、第2ロッド部材82も第1ロッド部材81と同じ問題が発生する。
【0006】
そこで本発明は、前述した従来の技術に内在している課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、操作性が改善されると共に、がたつきおよび異音の発生等を防止し得るロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を好適に達成するため、請求項1に記載の発明は、第1の部材に設けられ、該第1の部材と第2の部材との相対的な移動を規制または許容するロック装置において、
操作部の操作により回転変位する連動部に一端部が回転可能に接続されると共に他端部側がゲート部により位置規制され、前記連動部の回転変位に伴い前記ゲート部を中心に揺動しつつ前記第2の部材に対し進退移動して、他端部が前記第2の部材に係脱するロッド部材と、
前記ロッド部材の壁面から突出するよう設けられ、該壁面に対して弾性変形が可能な支持部と、
前記第1の部材に前記支持部と相対するように設けられ、該支持部が弾力的に摺接するガイド部とを備え、
前記ガイド部は、前記支持部との摺接面が、前記ロッド部材の移動に伴う該支持部の移動軌跡に合わせて曲線状に延在するよう形成されたことを要旨とする。
【0008】
従って、請求項1に係る発明によれば、ロッド部材に設けた支持部の移動軌跡に合わせて曲線状に延在するガイド部に、該ロッド部材の進退移動において該支持部が弾力的に摺接するよう構成した。これにより、ロッド部材が連動部の回転変位に伴ってゲート部を中心に揺動しつつ第2の部材に対し進退移動しても、支持部とガイド部との干渉量を一定にすることができる。従って、ロッド部材の進退移動の際に支持部とガイド部との摺接負荷が変わらないので、該ロッド部材の円滑な進退移動が確保され、ロック装置の操作性を改善することができる。また、支持部とガイド部との干渉量を一定に保つことができるので、ロッド部材のがたつきおよび異音の発生を抑えることもできる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、前記支持部およびガイド部の組は、前記ロッド部材を前記連動部の回転軸と交差する方向に挟んで対をなすように設けられたことを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、支持部およびガイド部の組がロッド部材を挟んで対をなすように設けられているので、進退移動するロッド部材をバランスよく適切に支持することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るロック装置によれば、操作性が改善されると共に、がたつきおよび異音の発生等を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例のロック装置が配設されたグローブボックスを、一部破断した状態で示す背面図である。
【図2】非操作状態にある実施例のロック装置を、一部省略して示す説明図である。
【図3】(a)は、図2のIIIa−IIIa線断面図、(b)は、図2のIIIb−IIIb線断面図である。
【図4】操作状態にある実施例のロック装置を、一部省略して示す説明図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】実施例のロック装置におけるロッド部材に設けた支持片および前面パネルの裏側に設けたガイド壁を示す斜視図である。
【図7】(a)は、前面パネルに設けられる上下のガイド壁が、第1ロッド部材に設けた上下の支持片の移動軌跡に合わせて形成されていることを示す説明図であり、(b)は、別に前面パネルに設けられる上下のガイド壁が、第2ロッド部材に設けた上下の支持片の移動軌跡に合わせて形成されていることを示す説明図である。
【図8】ロック装置における支持部およびガイド部の変更例を示す説明図である。
【図9】グローブボックスが配設されたインストルメントパネルの部分斜視図であって、(a)はグローブボックスの閉成状態を示し、(b)はグローブボックスの開放状態を示している。
【図10】図9に示すグローブボックスに配設された従来のロック装置を、該グローブボックスを一部破断した状態で示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係るロック装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。実施例では、第2の部材として図9に示した車両内装部材であるインストルメントパネルIPを、第1の部材として該インストルメントパネルIPに取付けられたグローブボックスGBを夫々例示し、このグローブボックスGBに配設されたロック装置LUを例示する。なお、以下の説明において、前後とは、インストルメントパネルIPを基準として指称するものとし、インストルメントパネルIPの乗員席側(車両後方側)を前側とし、インストルメントパネルIPの後側(車両前方側)を後側とする。また、左右とは、インストルメントパネルIPを前面から見た左右方向を基準として指称する。
【実施例】
【0013】
第2の部材としてのインストルメントパネルIPは、図9に示すように、所定の形状に形成されたパネル基材の上部外面に表皮材が配設され、助手席側の下部には、グローブボックスGBを収容可能な大きさに形成された設置部100が形成されている。そして、設置部100の両壁下部には、グローブボックスGBを回転可能に枢支するヒンジ手段としての支持孔(図示せず)が設けられていると共に、該両壁の上部には、ロック装置LUにおける各係止突部62,62が係脱可能に突入して係止する開口状の係止受部101,101が形成されている。
【0014】
第1の部材としてのグローブボックスGBは、図1および図9に示すように、インストルメントパネルIPの意匠面を構成する前面パネル10と、該前面パネル10の裏側に取付けられ、物品が収容可能に上方へ開口した物品収納本体20とを備えている。前面パネル10と物品収納本体20とに挟まれた上部分には、実施例のロック装置LUが収容可能な内部空間Sが画成されている。グローブボックスGBは、物品収納本体20の左右下部に設けたヒンジ手段としての支持軸21を、インストルメントパネルIPの設置部100に設けた支持孔に係合することで、前面パネル10が該インストルメントパネルIPに整合した閉成姿勢(図9(a))および該前面パネル10が前方へ傾動した開放姿勢(図9(b))に回転自在に配設される。なお、図示省略するが、物品収納本体20には回転規制手段が設けられており、グローブボックスGBは、開放姿勢でインストルメントパネルIPに停止保持されると共に該開放姿勢より前方への回転が規制される。
【0015】
物品収納本体20は、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の合成樹脂を材質とする成形部材であり、図1に示すように、左側壁22、右側壁23、前壁24および後壁25により所要容積の収納空間26が画成されたバケット形状に形成されている。そして、左側壁22の上部および右側壁23の上部には、外部と内部空間Sとを連通する矩形状の通口27,27が形成されている。左側壁22に形成された通口27には、ロック装置LUにおける左側のロッド部材60に設けた係止突部62が挿通し、右側壁23に形成された通口27には、ロック装置LUにおける右側のロッド部材70に設けた係止突部62が挿通する。
【0016】
前面パネル10は、ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂を材質とする成形部材であり、図1に示すように、設置部100の開口形状に合致する外形サイズ・形状に形成されている。そして、前面パネル10における右側上部には、後方へ陥凹すると共に前後に開口した凹部11が形成されており、ロック装置LUを構成する操作機構部30が該凹部11に配設されている。そして、図1に示すように、前面パネル10の外周から後方へ延出するパネル外周部12と物品収納本体20の前側外周に前方へ延出するよう設けた本体外周部28とを接合することで、前面パネル10が物品収納本体20の前側に固定されている。なお、物品収納本体20の上部は後側に膨出した形状に形成されており、これにより前面パネル10の裏側と物品収納本体20の前側との間に前述した内部空間Sが画成されている(図1参照)。
【0017】
このような実施例のグローブボックスGBは、前記閉成姿勢においては設置部100の開口に前面パネル10が整合して、該前面パネル10がインストルメントパネルIPの一部を構成する(図9(a))。一方、グローブボックスGBは、前面パネル10および物品収納本体20が前方へ傾動した前記開放姿勢においては収納空間26が設置部100から外方へ臨み、該収納空間26に対する物品の出し入れが可能となる(図9(b))。
【0018】
次に、実施例のロック装置LUについて、図1〜図7を参照して説明する。実施例のロック装置LUは、前面パネル10の凹部11に取付けられた操作機構部30と、棒状に形成されて内部空間S内において該操作機構部30から左方向へ略水平に延出するロッド部材(以降「第1ロッド部材」という)60と、同じく棒状に形成されて内部空間S内において該操作機構部30から右方向へ略水平に延出するロッド部材(以降「第2ロッド部材」という)70とを備えている。第1ロッド部材60および第2ロッド部材70は、長さが異なるが基本的な形態は同じであり、長手方向の一端部が操作機構部30に接続されており、該操作機構部30の開放操作により係止位置から解除位置へ移動すると共に、該操作機構部30の操作解除により解除位置から係止位置へ移動するようになっている。
【0019】
操作機構部30は、図1〜図3に示すように、前面パネル10の凹部11に固定されるベース部材31と、このベース部材31に姿勢変位可能に枢支されて前面パネル10の表側に露出する操作ノブ(操作部)32と、ベース部材31に姿勢変位可能に枢支されて前面パネル10の裏側に配設されて内部空間Sに臨むリンク部材(連動部)33とを備えている。ベース部材31は、図2に示すように、横長に形成されて外周にリブ34が形成された略六角形状の部材であって、左右の中央に厚み方向へ貫通する開口部35が形成されている。そして、ベース部材31における左端近傍および右端近傍には、前方へ突出する支持部36,36が一体に形成されており、両支持部36,36の左右方向で対向する面には、左右方向で水平に対向する第1支持軸37,37が設けられている。また、ベース部材31における開口部35を挟む左右両側には、後方へ突出する第2支持軸38,38が一体に形成されている。なおベース部材31は、リブ34の左右両側部分から後方へ突出する位置決めボスが前面パネル10に凹部11に形成した位置決め孔に各々嵌合して該凹部11に対する位置決めが図られると共に、ネジにより締結固定される。
【0020】
操作ノブ32は、図2および図3に示すように、前面パネル10の凹部11から前方へ露出する左右に長い板状の指掛け部32Aを備え、該指掛け部32Aの下縁に指先を引っ掛けることが可能となっている。そして、指掛け部32Aの後側には、左右に離間すると共に後方へ突出する取付部42,42が一体に形成され、両取付部42,42の側面には、第1支持軸37,37が夫々係合する支持孔43,43が形成されている。従って操作ノブ32は、各支持孔43,43に第1支持軸37,37が係合しているので、指掛け部32Aの下縁を前方へ引っ張ると左右に水平な軸回りでの回転が可能となっている。指掛け部32Aの裏側における左右の中央には、後方へ延出してベース部材31の開口部35を介して該ベース部材31の裏側へ突出する連係アーム44が一体に形成されており、この連係アーム44は、リンク部材33の後述する当受け部56に係合するようになっている。また、操作ノブ32には、該操作ノブ32の操作位置(図5参照)でベース部材31の第1当接受部45に当接する第1規制部46と、該操作ノブ32の非操作位置(図3参照)でベース部材の第2当接受部47に当接する第2規制部48とが形成されている。更に、ベース部材31の右端に形成した保持突部49には、該ベース部材31および操作ノブ32の夫々にアーム部が当接した第1捻りバネ(付勢手段)50が配設されており、操作ノブ32は、該第1捻りバネ50の付勢力によって非操作位置に向けて付勢されている。第1捻りバネ50は、第1ロッド部材60を係止位置側から解除位置側に向けて移動させるにつれて、操作ノブ32が非操作位置から操作位置へ姿勢変位することで反発抵抗が大きくなる。
【0021】
リンク部材33は、図2および図3に示すように、一方(実施例では左側)の第2支持軸(回転軸)38が貫通する支持孔51Aが形成された円筒状の支持筒部51を備え、該第2支持軸38を中心として回転可能に取付けられている。そしてリンク部材33は、支持筒部51から第2支持軸38の軸方向と直交する上方へ延出した第1レバー部52と、該支持筒部51から第2支持軸38の軸方向と直交しかつ第1レバー部52と反対の下方へ延出した第2レバー部53とを備えている。またリンク部材33は、第1レバー部52と第2レバー部53との間に、右方向へ延出して開口部35に臨む当受け部56が形成されている。第1レバー部52には、第2支持軸38から離間した先端側に第1ロッド部材60の一端部が連結される第1連結ピン(連結部)54が突設され、第2レバー部53には、第2支持軸38から離間した先端側に第2ロッド部材70の一端部が連結される第2連結ピン(連結部)55が突設されている。
【0022】
リンク部材33は、操作ノブ32の連係アーム44が当受け部56に上方から当接していることで、操作ノブ32の非操作位置に対応した非操作姿勢(図2参照)と、操作ノブ32の操作位置に対応した操作姿勢(図4参照)とに回転する。すなわちリンク部材33は、図2および図3に示す非操作姿勢では、該リンク部材33が配設された第2支持軸38の中心を垂直に通過する垂直基準ラインL1に対し、第1レバー部52が左斜め上方へ延出して第1連結ピン54が該垂直基準ラインL1より左側に位置すると共に、第2レバー部53が右斜め下方へ延出して第2連結ピン55が該垂直基準ラインL1より右側に位置している。またリンク部材33は、操作ノブ32を前述のように開放操作して操作位置に変位すると、連係アーム44の先端が下方へ移動して当受け部56が下方へ押されて移動する結果として、図4に示すように、第2支持軸38を中心として前側から見て右回転(図4では左回転)して非操作姿勢から操作姿勢へ変位する。そしてリンク部材33は、図4および図5に示す操作姿勢では、垂直基準ラインL1に対し、第1レバー部52が右斜め上方へ延出して第1連結ピン54が該垂直基準ラインL1より右側に位置すると共に、第2レバー部53が左斜め下方へ延出して第2連結ピン55が該垂直基準ラインL1より左側に位置している。すなわち、リンク部材33が非操作姿勢から操作姿勢へ回転するに際し、第1連結ピン54は第2支持軸38を中心とした上方へ突となる円弧に沿って曲線的に移動し、第2連結ピン55は第2支持軸38を中心とした下方へ突となる円弧に沿って曲線的に移動する。換言すると、第1連結ピン54および第2連結ピン55は、リンク部材33の非操作姿勢から操作姿勢への回転に際して、第1ロッド部材60の係止位置における該第1連結ピン54と後述するゲート部としての貫通孔66の中心とを結ぶ基準ラインL2上から離間する方向へ移動するようになっている。
【0023】
また、リンク部材33の支持筒部51には、図2および図3(b)に示すように、ベース部材31および該リンク部材33の夫々にアーム部が当接した第2捻りバネ(付勢手段)57が配設されている。この第2捻りバネ57は、常にリンク部材33を非操作姿勢に向けて付勢しており(第1ロッド部材60を係止位置に向けて付勢しており)、操作ノブ32を非操作時には該リンク部材33を非操作姿勢に付勢保持する。そして第2捻りバネ57は、第1ロッド部材60を係止位置側から解除位置側に向けて移動させるにつれて、リンク部材33が非操作姿勢から操作姿勢へ回転することで反発抵抗が大きくなる。
【0024】
第1ロッド部材60は、図1および図2に示すように左右に長い棒状に形成されて、長手方向における操作機構部30側の一端部である右端部には、第1連結ピン54に係合する連結孔61が形成されており、該連結孔61に第1連結ピン54が嵌合することでリンク部材33に該右端部が連結される。また、第1ロッド部材60の長手方向の他端部である左端部には、通口27を介して物品収納本体20の外方へ延出し、インストルメントパネルIPの設置部100に設けた係止受部101に対して係脱可能な係止突部62が設けられている。そして第1ロッド部材60は、操作ノブ32の非操作位置(リンク部材33の非操作姿勢)においては、図1および図2に示すように、係止突部62が通口27から外方へ延出して係止受部101に対し突入係止可能な係止位置に保持される。また第1ロッド部材60は、操作ノブ32の操作位置(リンク部材33の操作姿勢)においては、図4に示すように、係止突部62が通口27から突出しない位置まで移動して係止受部101に対し係止不能となる解除位置に移動して保持される。しかも前述したように、第1連結ピン54が基準ラインL2より上方において上方へ突となる円弧状に移動する。従って第1ロッド部材60は、係止突部62側を支持した貫通孔66を中心として、右端部が上下に変位して揺動しながら係止受部101に対し進退移動するようになっている。
【0025】
また第1ロッド部材60には、図1、図2および図6に示すように、係止突部62に隣接した部位に、前面パネル10の裏面に設けたガイド壁(ガイド部)15の摺動面15Aに弾力的に摺接可能な支持片(支持部)63が設けられている。すなわち第1ロッド部材60は、前後に開口する矩形状の矩形枠部64が係止突部62に隣接して形成されており、この矩形枠部64の上壁部64Aおよび下壁部64Bに夫々相対して支持片63が1つずつ設けられている。このうち、上壁部64Aに相対して設けた上側の支持片63は、第1ロッド部材60に一体に形成されて「へ」字形をなす板片であって、右端が矩形枠部64の角部に一体に連設された固定端63Aとされ、左端が矩形枠部64から離間した自由端63Bとなっている。そして、固定端63Aから左上がりに傾斜すると共に自由端63Bから右上がりに傾斜し、固定端63Aと自由端63Bの中間が最も上方へ突出した当接縁63Cとなっている。これにより上側の支持片63は、当接縁63Cが下方へ押されると、固定端63Aを中心として自由端63B側が下方へ変位するよう弾性変形が可能となっている。一方、下壁部64Bに相対して設けた下側の支持片63は、第1ロッド部材60に一体に形成されて上側の支持片63と上下対称形状の逆「へ」字形をなす板片であって、右端が矩形枠部64の角部に一体に連設された固定端63Aとされ、左端が矩形枠部64から離間した自由端63Bとなっている。そして、固定端63Aから左下がりに傾斜すると共に自由端63Bから右下がりに傾斜し、固定端63Aと自由端63Bの中間が最も下方へ突出した当接縁63Cとなっている。これにより下側の支持片63は、当接縁63Cが上方へ押されると、固定端63Aを中心として自由端63B側が上方へ変位するよう弾性変形が可能となっている。
【0026】
前面パネル10の裏側左上部において第1ロッド部材60に対応する部位には、該前面パネル10の裏面から第1ロッド部材60に向けて後方へ突出する台座部14が立設されている。この台座部14は、上側の支持片63に上方から相対する上側のガイド壁(ガイド部)15と、下側の支持片63に下方から相対する下側のガイド壁(ガイド部)15が設けられている。上側の支持片63および上側のガイド壁15は、第2支持軸38の軸心方向と交差する方向である上下方向、すなわち第1ロッド部材60の第2支持軸38を中心として円弧状に移動する右端部が該第2支持軸38の径方向において変位する方向で相対するようになっている。また、下側の支持片63および下側のガイド壁15も、該第2支持軸38の軸心方向と交差する方向である上下方向、すなわち第1ロッド部材60の第2支持軸38を中心として円弧状に移動する右端部が該第2支持軸38の径方向において変位する方向で相対するようになっている。
【0027】
そして、台座部14の左縁端から後方へ立設した壁部(前記ガイド壁15の左側)には、第1ロッド部材60に設けた係止突部62が所要の隙間を確保しながら挿通する前述した貫通孔66が設けられている。この貫通孔66は、図6に示すように、前記ガイド壁15を挟んで前記リンク部材33と反対側(ガイド壁15の左側)に設けられ、前記パネル10における第1ロッド部材60の係止突部62側に設けられている。また貫通孔66は、前記第1ロッド部材60の短手方向における該係止突部62の断面形状に対し、僅かなクリアランス(例えば、0.1〜0.2mm)をもって相似形状に開口形成されている。従って貫通孔66は、挿通した係止突部62が係止受部101に対し進退移動する方向(左右方向)では該係止突部62の移動を許容し、該進退移動する方向と交差する方向(上下方向および前後方向)では該係止突部62を位置規制するようになっている。
【0028】
ガイド壁15,15は、図2、図4、図6および図7(a)に示すように、左右方向へ延在すると共に後方へ水平に延出した壁状を呈している。このうち上側のガイド壁15は、第1ロッド部材60が係止位置と解除位置との間を揺動しつつ進退移動する際の上側の支持片63の移動軌跡に合わせて、摺動面15Aが左右の両端を結ぶラインL3より中間が上方へ突となる曲線となるように延在形成されている。また、下側のガイド壁15は、第1ロッド部材60が揺動しつつ進退移動する際の下側の支持片63の移動軌跡に合わせて、摺動面15Aが左右の両端を結ぶラインL3より中間が上方へ突となる曲線となるように延在形成されている。このように、上下のガイド壁15,15が左右中間が上方へ突となる曲線に形成してあるのは、前述したように、第1ロッド部材60が貫通孔66を支点として右端部が上方へ揺動しながら係止位置と解除位置との間を進退移動するからである。
【0029】
従って、実施例のロック装置LUでは、組をなす上側の支持片63および上側のガイド壁15と、組をなす下側の支持片63と下側のガイド壁15とが、第1ロッド部材60を第2支持軸38の軸心方向と交差する上下方向に挟んで対をなすように設けられている。すなわち、第1ロッド部材60が係止位置と解除位置との間を進退移動する際に該第1ロッド部材60が上方へ揺動しても、上側の支持片63と上側のガイド壁15の摺動面15Aとの間隔が一定に保持されるので、上側の支持片63と上側のガイド壁15とは干渉量が一定に保持されながら摺接するようになる。これにより、第1ロッド部材60の進退移動に際して、ガイド壁15に対する支持片63の押付け力が増大せず、摺接負荷が一定となって第1ロッド部材60が進退移動し難くなることが防止される。一方、第1ロッド部材60が係止位置と解除位置との間を進退移動する際に該第1ロッド部材60が上方へ揺動しても、下側の支持片63と下側のガイド壁15の摺動面15Aとの間隔が一定に保持されるので、下側の支持片63と下側のガイド壁15とは干渉量が一定に保持されながら摺接するようになる。これにより、第1ロッド部材60の進退移動に際して下側の支持片63が下側のガイド壁15から離間しないから、該支持片63とガイド壁15との間に隙間が形成されず、該第1ロッド部材60が上下方向にがたつくことが防止されると共に異音の発生も抑えられる。
【0030】
なお、図6に示すように、上下のガイド壁15,15における各摺動面15Aの上下方向での間隔H1は、上側の支持片63および下側の支持片63の自然状態(非変形状態)における両当接縁63C,63C間の上下幅H2より僅かに小さく(例えば1.0mm程度)なるように設定されている。そして、上側の支持片63と上側のガイド壁15とのラップ量および下側の支持片63と下側のガイド壁15とのラップ量は、何れも略同じで0.5mm程度となっていると共に、第1ロッド部材60の係止位置と解除位置との間の進退移動時において一定となるように構成されている。これにより、上下の支持片63,63は、第1ロッド部材60が係止位置および解除位置の間で進退移動する際に、常に上下のガイド壁15,15の摺動面15Aに弾力的に接触した状態に摺接可能となっている。従って第1ロッド部材60は、係止位置での停止時、解除位置での停止時、係止位置と解除位置との間の進退移動時において、支持片63によりがたつきが抑えられて異音の発生を防止できる。
【0031】
また第1ロッド部材60には、図6に示すように、係止突部62に隣接した部位に、前面パネル10の裏面に設けた当接壁16に弾力的に当接可能な当接片65が設けられている。すなわち、第1ロッド部材60に形成した矩形枠部64の前側開口に相対して、1つの当接片65が設けられている。この当接片65は、支持片63と同様に第1ロッド部材60に一体に形成されて「へ」字形をなす板片である。また当接壁16は、前面パネル10の裏側左上に立設した前述の台座部14において、上側の支持片63と下側の支持片63との間に後方に向けて設けられ、当接片65に対して前方から相対して該当接片65が摺接するようになっている。この当接壁16は、左右方向へ延在すると共に後方へ垂直に延出したリブであって、その後端面に摺接面16Aが設けられている。
【0032】
第2ロッド部材70は、図1に示すように、第1ロッド部材60とは長さが異なると共に、配設向きが逆となっていることで係止位置および解除位置の間の進退移動方向が逆となっているが、基本的な構成は該第1ロッド部材60と同じである。従って、第1ロッド部材60と同一の部位については、同一の符号を付して説明は省略する。なお、第2ロッド部材70が連結されるリンク部材33の第2連結ピン55が、図4に示すように、リンク部材33の非操作姿勢から操作姿勢への回転に際して、第2ロッド部材70の係止位置における該第2連結ピン55と貫通孔66とを結ぶ基準ラインL2上から下方へ離間して下方に突となる円弧に沿って曲線的に移動する。これにより第2ロッド部材70は、他端部である右端部側の貫通孔66を中心として一端部である左端部が下方に揺動しながら係止位置と解除位置との間を進退移動するため、上側の支持片63の移動軌跡および下側の支持片63の移動軌跡は、下方へ突となる曲線となっている。従って下側のガイド壁15は、図2、図4、図6および図7(b)に示すように、第2ロッド部材70の係止位置と解除位置との間の進退移動時における下側の支持片63の移動軌跡に合わせて、摺動面15Aが左右の両端を結ぶラインL3より中間が下方へ突となる曲線となるように延在形成されている。また上側のガイド壁15は、第2ロッド部材70の進退移動時における上側の支持片63の移動軌跡に合わせて、摺動面15Aが左右の両端を結ぶラインL3より中間が下方へ突となる曲線となるように延在形成されている。すなわち、組をなす上側の支持片63および上側のガイド壁15と、組をなす下側の支持片63と下側のガイド壁15とが、第2ロッド部材70を第2支持軸38の軸心方向と交差する上下方向に挟んで対をなすように設けられている。
【0033】
従って、第2ロッド部材70が係止位置と解除位置との間を進退移動する際に該第2ロッド部材70が下方へ揺動しても、下側の支持片63と下側のガイド壁15の摺動面15Aとの間隔が一定に保持されるので、下側の支持片63と下側のガイド壁15とは干渉量が一定に保持されながら摺接するようになる。これにより、第2ロッド部材70の進退移動に際して、ガイド壁15に対する支持片63の押付け力が増大せずに摺接負荷が一定となり、該第2ロッド部材70が進退移動し難くなることが防止される。一方、第2ロッド部材70が係止位置と解除位置との間を進退移動する際に該第2ロッド部材70が下方へ揺動しても、上側の支持片63と上側のガイド壁15の摺動面15Aとの間隔が一定に保持されるので、上側の支持片63と上側のガイド壁15とは干渉量が一定に保持されながら摺接するようになる。これにより、第2ロッド部材70の進退移動に際して上側の支持片63が上側のガイド壁15から離間しないから、該支持片63と該ガイド壁15との間に隙間が形成されず、該第2ロッド部材70が上下方向にがたつくことが防止されると共に異音の発生も抑えられる。
【0034】
また、第2ロッド部材70に設けた当接片65と当接壁16との関係は、第1ロッド部材60に設けた当接片65と当接壁16との左右の関係が逆になっているだけで基本的な構成は同じである。
【0035】
従って、前述のように構成された実施例のロック装置LUでは、第1ロッド部材60および第2ロッド部材70が、リンク部材33の回転変位に伴って貫通孔66を中心に揺動しつつ係止位置および解除位置の間で円滑に進退移動するようになり、操作ノブ32による開放操作時の操作性が好適に改善される。そして、ガイド壁15の摺動面15A、貫通孔66および通口27の開口端等の第1ロッド部材60および第2ロッド部材70が接触し得る部分にグリス等の潤滑剤を塗布する必要がなくなり、該潤滑材の材料費や塗布作業工数が増えないからグローブボックスGBの製造コストを抑えることができる。また、異音発生防止のため、通口27の周囲にフェルトやスポンジ等の緩衝部材を配設する必要もなくなり、該緩衝部材の材料費や装着作業工数が増えないからグローブボックスGBの製造コストを更に抑えることができる。
【0036】
(変更例)
(1)実施例では、各ロッド部材60,70に設けた矩形枠部64の上壁部64Aおよび下壁部64Bにおける外側に支持部としての支持片63,63を設け、前面パネル10における矩形枠部64の外側に、各支持片63,63が摺接するガイド部としてのガイド壁15を設けた構成を例示したが、支持片63およびガイド壁15の構成は、図8に示すような形態であってもよい。すなわち、各ロッド部材60,70における矩形枠部64の内側に支持部としての支持片63,63を設け、前面パネル10における矩形枠部64の内側に対応する部位に、各支持片63が摺接するガイド部としてのガイド壁15を設けた構成であってもよい。
(2)上側のガイド壁15および下側のガイド壁15の摺動面15Aの曲線形状は、各ロッド部材60,70における連結孔61と貫通孔66との間の距離や、第1連結ピン54および第2連結ピン55の移動軌跡等により決定されるものであり、実施例に示した曲線形状に限定されるものではない。
(3)実施例では、各ロッド部材60,70を挟んで上下に、支持部および該支持部が摺接するガイド部の組を対となるよう設けた構成を例示したが、該支持部およびガイド部の数は、何れか1組であってよい。
(4)実施例では、ゲート部として閉じた開口の貫通孔66を例示したが、このゲート部は、上下方向から対向した突片や突ピンの端縁部等で構成してもよい。
(5)実施例では、ゲート部として貫通孔66を例示したが、該ゲート部は、前記通口27であってもよい。この通口27をゲート部とする場合には、該通口27と前記係止突部62とのクリアランスを0.1〜0.2mmとすることで、前記貫通孔66を設けなくてもよい。
(6)実施例では、第1の部材としてグローブボックスを例示すると共に、第2の部材としてインストルメントパネルを例示したが、第1の部材はこれに限定されず、例えば扉部材や蓋部材等であってもよい。また第2の部材は、インストルメントパネルに限定されず、フロアコンソールやドアパネル等であってもよい。また、第2の部材は、車両内装部材に限定されない。
【符号の説明】
【0037】
15 ガイド壁(ガイド部),15A 摺動面,32 操作ノブ(操作部)
33 リンク部材(連動部),60 第1ロッド部材(ロッド部材),63 支持片(支持部)
66 貫通孔(ゲート部),70 第2ロッド部材(ロッド部材)
GB グローブボックス(第1の部材),IP インストルメントパネル(第2の部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材に設けられ、該第1の部材と第2の部材との相対的な移動を規制または許容するロック装置において、
操作部の操作により回転変位する連動部に一端部が回転可能に接続されると共に他端部側がゲート部により位置規制され、前記連動部の回転変位に伴い前記ゲート部を中心に揺動しつつ前記第2の部材に対し進退移動して、他端部が前記第2の部材に係脱するロッド部材と、
前記ロッド部材の壁面から突出するよう設けられ、該壁面に対して弾性変形が可能な支持部と、
前記第1の部材に前記支持部と相対するように設けられ、該支持部が弾力的に摺接するガイド部とを備え、
前記ガイド部は、前記支持部との摺接面が、前記ロッド部材の移動に伴う該支持部の移動軌跡に合わせて曲線状に延在するよう形成された
ことを特徴とするロック装置。
【請求項2】
前記支持部およびガイド部の組は、前記ロッド部材を前記連動部の回転軸と交差する方向に挟んで対をなすように設けられた請求項1記載のロック装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−23159(P2013−23159A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162505(P2011−162505)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】