説明

ロッド付アクチュエータ

【課題】メンテナンス性を向上させることができるロッド付アクチュエータを提供する。
【解決手段】空気圧シリンダ11は、ピストンロッド23及びガイドロッド28が貫挿され、各ロッド23,28の軸方向に沿って移動可能なプレート43を備えている。このプレート43は、シリンダケース12の上端面に装着されてエレメントを第1及び第2凹部内に保持する装着状態と上端面から離間した非装着状態とを取り得る。また、空気圧シリンダ11は、プレート43を上端面に装着状態とする装着手段を備えている。そして、プレート43を装着状態から非装着状態とする取付ビス54の螺退方向は、各ロッド23,28の軸方向に直交する方向となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ本体の端面から出没するロッドを備え、前記アクチュエータ本体からの前記ロッドの突出端にエンドプレートを備えるロッド付アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
ロッド付アクチュエータとしての流体圧シリンダは、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。前記流体圧シリンダは、シリンダケースのシリンダ孔内にピストンが収容され、前記ピストンにはロッドが固定されている。このロッドの突出端にはエンドプレートが固定され、該エンドプレートは設備機器に固定されている。
【0003】
上記流体圧シリンダにおいて、シリンダケースのロッド突出側の面には、外部スクレーパが装着されている。この外部スクレーパの中央部のロッド挿通孔にはロッドが挿通されている。そして、前記ロッド挿通孔の周面はロッドの外周面に常に摺接してロッド外周面に付着した異物を掻き取るようになっている。外部スクレーパによって掻き取られた異物は、外部スクレーパとシリンダケースとの間に介在する隙間に溜まるようになっている。
【0004】
また、前記シリンダ孔のロッド突出側開口を閉塞するロッドカバーには、コイルスクレーパが収容されている。このコイルスクレーパはロッドの外周面に常に摺接してロッド外周面に付着した異物を掻き取るようになっている。そして、外部スクレーパによって掻き取りきれず、外部スクレーパよりもシリンダケース内部側へ達した異物は前記コイルスクレーパによって掻き取られるようになっている。
【特許文献1】特開平11−311210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の流体圧シリンダにおいて、前記外部スクレーパは、該外部スクレーパの四隅に形成された取付孔から前記ロッド突出側の面に穿設された貫通孔にボルトを螺入することにより前記ロッド突出側の面に装着されている。そして、この外部スクレーパの上側には、ロッドの突出端に固定されたエンドプレートが位置し、該エンドプレートは設備機器に固定されている。
【0006】
このため、例えば、前記隙間に溜まった異物を除去するために、貫通孔及び取付孔からボルトを抜き取り、外部スクレーパをシリンダケースから取り外そうとしても、エンドプレートが障害となり、ボルトの抜き取り作業、及び外部スクレーパの取外作業を容易に行うことができない。したがって、特許文献1に記載の流体圧シリンダは、異物除去をはじめとした流体圧シリンダのメンテナンス性が非常に悪いという問題があった。
【0007】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、メンテナンス性を向上させることができるロッド付アクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、アクチュエータ本体の端面から出没するロッドを備え、前記アクチュエータ本体からの前記ロッドの突出端にエンドプレートを備えるロッド付アクチュエータであって、前記端面には前記ロッドが配設された位置に該ロッドの周囲を囲む凹部が設けられており、該凹部に着脱可能に装着されて前記ロッドの周面に摺接する摺接部材と、前記ロッドが貫挿され、該ロッドの軸方向に沿って移動可能であり、前記端面に装着されて前記摺接部材を前記凹部内に保持する装着状態と前記端面から離間した非装着状態とを取り得るプレートと、前記プレートを前記端面に装着状態とする装着手段とを備え、前記プレートは、前記装着手段の操作によって前記装着状態と非装着状態とを取り得るようになっており、前記装着状態から非装着状態とする際の前記装着手段の操作方向を前記ロッドの軸方向に直交する方向としたことを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のロッド付アクチュエータにおいて、前記装着手段は、前記プレートに形成された溝と、前記アクチュエータ本体に形成された溝と、前記両溝に挿入される板ナットと、前記板ナットに螺合可能な取付ビスと、前記両溝に形成された係止部とから構成され、前記プレートは、前記板ナットに取付ビスが螺合されて板ナットが係止部に係止することで前記装着状態とされる一方で、板ナットから取付ビスが螺退されることで前記非装着状態とされ、前記取付ビスの螺退方向が前記ロッドの軸方向に直交する方向に設定されていることを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のロッド付アクチュエータにおいて、前記アクチュエータ本体はシリンダケースであるとともに、前記ロッドは前記シリンダケースに収容されたピストンに作用する流体圧に基づいて移動するピストンロッドであり、前記アクチュエータ本体の溝は、前記ロッドに取り付けられたピストンのシリンダケース内での位置を検出する位置検出スイッチを装着するためのスイッチ溝であることを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のロッド付アクチュエータにおいて、前記装着手段は、前記プレートに取り付けられたL字金具と、前記アクチュエータ本体にて前記L字金具が挿入される溝と、該溝に螺刻されたねじ山と、前記L字金具を貫通して前記ねじ山に螺合可能なボルトとから構成され、前記プレートは、前記L字金具を貫通して前記ねじ山にボルトが螺合されることで前記装着状態とされる一方で、ねじ山からボルトが螺退されることで前記非装着状態とされ、前記ボルトの螺退方向が前記ロッドの軸方向に直交する方向に設定されていることを要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載のロッド付アクチュエータにおいて、前記プレートには、前記ロッドの周面に付着した異物を掻き取るスクレーパが設けられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、メンテナンス性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、本発明のロッド付アクチュエータを空気圧シリンダに具体化した第1の実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。なお、以下の説明において、空気圧シリンダ11の「前」「後」「左」「右」「上」「下」は、図1に示す矢印Y1の方向を前後方向、矢印Y2の方向を左右方向、矢印Y3の方向を上下方向とする。
【0015】
図1に示すように、ロッド付アクチュエータとしての空気圧シリンダ11は、アクチュエータ本体としてのシリンダケース12と、該シリンダケース12の端面たる上端面12a(図2参照)に装着されるプレート43とを備えている。
【0016】
まず、前記シリンダケース12について説明する。シリンダケース12は、アルミ等の金属押出材よりなるシリンダチューブであり、平面視が矩形状をなす直方体状をなしている。図2に示すように、シリンダケース12の上端面12aにおける長辺方向(図2では左右方向)中央部には、シリンダケース12の上下方向に沿って延びる断面円形状のシリンダ孔13が形成されている。このシリンダ孔13の一方(上方)の開口はロッドカバー14によって封止され、シリンダ孔13の他方(下方)の開口はヘッドカバー15によって封止されている。ロッドカバー14及びヘッドカバー15はそれぞれCリング16,17によってシリンダケース12から抜け止めされている。したがって、シリンダケース12内にてシリンダ孔13は、前記ロッドカバー14及びヘッドカバー15によって気密に保持されたシリンダ室となっている。
【0017】
前記シリンダ室には、ピストン19がシリンダケース12の上下方向に沿って摺動可能に収容されている。ピストン19の周面にはピストンパッキン20が装着されている。したがって、前記シリンダ室は、ピストン19によってロッドカバー14側のロッド側シリンダ室21とヘッドカバー15側のヘッド側シリンダ室22とに区画されている。また、ピストン19の周面であって前記ピストンパッキン20より上側には磁石Mが装着されている。このため、磁石Mは前記ピストン19とともにシリンダケース12の上下方向へ移動する構成とされている。
【0018】
ピストン19の上端面には、ロッドとしての円柱状のピストンロッド23が一体的に設けられ、該ピストンロッド23はシリンダケース12に対して上下方向へ延びている。このピストンロッド23の一側(上側)は、シリンダケース12の上端面12aからシリンダケース12外へ突出している。前記ピストンロッド23のシリンダケース12からの突出端(上端)には、設備機器(図示せず)に固定されるエンドプレート25がボルト26によってねじ止めされている。このエンドプレート25は矩形板状に形成されている。前記ピストンロッド23は、エンドプレート25の中心部に固定されている。
【0019】
シリンダケース12において、上端面12aの前記長辺方向に沿った前記シリンダ室(シリンダ孔13)の両側には、それぞれシリンダケース12の上下方向に沿って延びるガイドロッド挿通孔27(図2では右側のガイドロッド挿通孔27のみ図示)が形成されている。各ガイドロッド挿通孔27には、それぞれガイドロッド28がシリンダケース12の上下方向、すなわちピストン19の摺動方向に沿って摺動可能に収容されている。なお、ガイドロッド挿通孔27の周面には、ガイドロッド28の摺動抵抗を低減するための軸受29が設けられている。
【0020】
両ガイドロッド28の一側(上側)は、ピストンロッド23と同様にシリンダケース12の上端面12aからシリンダケース12外へ突出している。そして、シリンダケース12には、3本のロッド(1本のピストンロッド23と2本のガイドロッド28)が並設されている。両ガイドロッド28の突出端(上端)は、前記エンドプレート25の両側にボルト26によってねじ止めされている。
【0021】
そして、ピストンロッド23がシリンダケース12の上端面12aから出没すると、それに伴って両ガイドロッド28も上端面12aから出没し、両ガイドロッド28がピストンロッド23の出没をガイドする。そして、一対のガイドロッド28がエンドプレート25の両端部に固定されることによってピストンロッド23の回り止めが図られている。
【0022】
シリンダケース12の上端面12aに対して直交し、かつ、前記ピストンロッド23及びガイドロッド28の軸方向に対して平行に延びる面であり、空気圧シリンダ11のメンテナンスを行う場合に該作業者と対向する面をシリンダケース12の前面12bとする。図1に示すように、前記前面12bには、シリンダケース12に形成された溝としてのT溝よりなる一対のスイッチ溝30が形成されている。このスイッチ溝30は、シリンダケース12の上下方向、すなわち、ピストン19の摺動方向に沿って形成されている。
【0023】
スイッチ溝30におけるシリンダケース12の前面12b側の開口縁には、互いに相対向する係止部30aが形成され、該係止部30aによりスイッチ溝30は平面T字状に形成されている。そして、スイッチ溝30にはピストン19の位置検出用の位置検出スイッチSが装着されるようになっている。この位置検出スイッチSは、ピストン19とともに移動する前記磁石Mを検出することにより、シリンダケース12内でのピストン19の位置を検出する。
【0024】
また、シリンダケース12の左面12cには、第1給排ポート32及び第2給排ポート33が形成されている。図2に示すように、第1給排ポート32は、ヘッド側シリンダ室22に連通している。第2給排ポート33は、ロッド側シリンダ室21に連通している。したがって、第1給排ポート32からヘッド側シリンダ室22に流体としての空気を供給するとともに第2給排ポート33からロッド側シリンダ室21の空気を排出する。
【0025】
すると、流体圧としての空気圧によってピストン19がロッド側シリンダ室21側へ摺動してピストンロッド23がシリンダケース12から突出される(図1参照)。一方、第1給排ポート32からヘッド側シリンダ室22の流体としての空気を排出するとともに第2給排ポート33からロッド側シリンダ室21に空気を供給する。すると、流体圧としての空気圧によってピストン19がヘッド側シリンダ室22へ摺動してピストンロッド23がシリンダケース12に没入される。すなわち、空気圧シリンダ11は、空気の給排によってシリンダケース12の上端面12aから出没するピストンロッド23を備えている。さらに、シリンダケース12の前面12bの右側には、取着溝34が形成されている。
【0026】
図2に示すように、シリンダケース12の上端面12aには、前記ピストンロッド23が配設された位置に該ピストンロッド23を囲む第1凹部40が凹設されている。この第1凹部40は、円孔状をなすシリンダ孔13のロッドカバー14側に設けられている。また、シリンダケース12の上端面12aには、両ガイドロッド28が配設された位置にガイドロッド28を囲む円孔状の第2凹部41が凹設されている(図2では右側の第2凹部41のみ図示)。
【0027】
前記第1凹部40内にて、前記ロッドカバー14の内周面には、ピストンロッド23を囲む収容凹部40aが形成されている。そして、第1凹部40内にて前記収容凹部40aには、摺接部材としての円環状のエレメント42が第1凹部40に着脱可能に装着されている。また、第2凹部41には、摺接部材としての円環状のエレメント42が第2凹部41に着脱可能に装着されている。このエレメント42は、ポリビニルアルコールを原料とした樹脂材料を焼き固めた多孔質体よりなり、多数の気孔部分を有している。このため、エレメント42は前記気孔部分によって、粉塵、ダスト等の異物を絡め取ることが可能とされ、さらに、グリス等を保持可能とされている。
【0028】
また、第1凹部40内の前記収容凹部40aに収容されるエレメント42の内径は、ピストンロッド23の直径よりも小径に形成されている。第1凹部40内に収容されたエレメント42の上端面は、前記Cリング16の上面と同一高さとなっている。一方、第2凹部41に収容されるエレメント42の内径は、ガイドロッド28の直径よりも小径に形成されている。第2凹部41に収容されたエレメント42は、その厚みが第2凹部41の深さと同じに設定されている。このため、第2凹部41に収容されたエレメント42の上面は、上端面12aと面一になっている。
【0029】
そして、第1及び第2凹部40,41に収容されたエレメント42は、ピストンロッド23及びガイドロッド28の出没に伴い両ロッド23,28の周面の全周に摺接され、周面に付着した異物を掻き取るようになっている。また、エレメント42は、その内周面と各ロッド23,28の周面の間からシリンダ孔13及びガイドロッド挿通孔27内に異物が侵入することを防止する。加えて、エレメント42にはグリスが保持されており、エレメント42の内周面に各ロッド23,28が摺接する毎に、各ロッド23,28の周面にグリスが供給されるようになっている。
【0030】
次に、前記プレート43について説明する。前記プレート43は、長方形状の板材よりなる。プレート43の板厚は、ピストン19の下端面がヘッドカバー15に接触したときに、エンドプレート25の下面とシリンダケース12の上端面12aとの間に形成される隙間よりも薄くなるように設定されている。
【0031】
プレート43の長辺方向中央及び長辺方向両側には、ピストンロッド23及びガイドロッド28が貫挿されるロッド挿通孔45が形成されている(図2ではプレート43の中央及び右側のロッド挿通孔45を図示)。前記ロッド挿通孔45にて、プレート43の上面43a側にはスクレーパ46が設けられている。前記スクレーパ46は、ロッド挿通孔45内に装着されたリップシール47を備えている。また、スクレーパ46は、前記リップシール47をロッド挿通孔45内に位置決めするために、ロッド挿通孔45内に圧入されたリングケース48を備えている。そして、前記スクレーパ46のリップシール47は、そのリップ部がピストンロッド23又はガイドロッド28の周面に摺接することで、該周面に付着した異物を掻き取るようになっている。
【0032】
図1に示すように、プレート43の前面にて長辺方向中央には、プレート43に形成された溝としてのT溝よりなる一対の取付溝52が形成されており、この取付溝52は、プレート43の厚み方向(上下方向)へ延びるように形成されている。また、取付溝52の平面形状は、前記スイッチ溝30の平面形状と同形状をなしている。そして、取付溝52におけるプレート43の前面側の開口縁には、互いに相対向する係止部52aが形成されている。プレート43がシリンダケース12の上端面12aに装着された状態では、取付溝52はスイッチ溝30と合致し、係止部52aも係止部30aと合致するようになっている。
【0033】
そして、上記プレート43は、ピストンロッド23及びガイドロッド28の軸方向に沿って移動可能であり、プレート43が前記第1及び第2凹部40,41に被せられて該第1及び第2凹部40,41内にエレメント42を保持する装着状態を取り得るようになっている。また、プレート43は、該プレート43をピストンロッド23及びガイドロッド28の軸方向に沿って移動させ、上端面12aから離間させることで、上端面12aに対する非装着状態を取り得るようになっている。
【0034】
空気圧シリンダ11は、プレート43を上端面12aに対して装着状態とする装着手段を備えている。前記装着手段は、シリンダケース12のスイッチ溝30と、プレート43の取付溝52と、スイッチ溝30及び取付溝52に挿入可能な板ナット53と、該板ナット53に螺合可能な取付ビス54と、前記取付溝52とスイッチ溝30の係止部30a,52aより構成されている。そして、プレート43は、上記装着手段の操作によって、前記上端面12aに対する装着状態と非装着状態とを取り得るようになっている。
【0035】
前記装着手段を構成する板ナット53は金属製の長方体状をなし、一対の取付孔53aが貫通形成されている。そして、上記装着手段によりプレート43を上端面12aに対して装着状態とするには、プレート43の取付溝52及び該取付溝52に合致したスイッチ溝30に前記板ナット53を挿入配置する。このとき、取付孔53aがシリンダケース12の前面12b側へ臨み、取付孔53aはシリンダケース12の前面12bに対して直交する方向へ板ナット53を貫通している。すなわち、取付孔53aは、ピストンロッド23及びガイドロッド28の軸方向(上下方向)に対して直交する方向(前後方向)へ延びている。
【0036】
そして、板ナット53の一端面(上端面)をプレート43の上面と面一とした状態で、工具を用いて上側の取付孔53aに取付ビス54を螺合し、該取付ビス54を取付溝52内面に押し付ける。同様に、工具を用いて下側の取付孔53aに取付ビス54を螺合し、該取付ビス54をスイッチ溝30内面に押し付ける。このとき、取付孔53aの板ナット53の貫通方向は、ピストンロッド23及びガイドロッド28の軸方向(上下方向)に直交する方向(前後方向)へ延びている。このため、取付孔53aに対する取付ビス54の螺合方向は、ピストンロッド23及びガイドロッド28の軸方向に対して直交方向(前後方向)となっている。したがって、ピストンロッド23及びガイドロッド28が、工具を用いた取付ビス54の螺合作業の妨げとなることがない。
【0037】
すると、取付ビス54の取付孔53aに対する螺合に伴い板ナット53が係止部30a,52a側に引き寄せられる。そして、板ナット53に取付ビス54が螺着された状態では、板ナット53が係止部30a,52aに係止される。すると、板ナット53、スイッチ溝30の係止部30a、取付溝52の係止部52a及び取付ビス54によりプレート43とシリンダケース12が連結され、プレート43がシリンダケース12の上端面12aに装着される。したがって、工具を用いて板ナット53に取付ビス54を螺合する作業は装着手段の操作であり、該操作によってプレート43は上端面12aに対して装着状態を取り得るようになっている。
【0038】
図2に示すように、プレート43が上端面12aに装着された状態において、ピストンロッド23が挿通されたロッド挿通孔45と、前記第1凹部40との間には、円環状をなすリングアダプタ49が介在されている。このリングアダプタ49は、第1凹部40内のエレメント42及びCリング16上に配設されている。そして、プレート43が上端面12aに装着された状態では、前記リングアダプタ49がエレメント42をロッドカバー14に押し付けて該エレメント42を第1凹部40内に保持している。
【0039】
また、プレート43が上端面12aに装着された状態において、ガイドロッド28が挿通されたロッド挿通孔45と、前記第2凹部41との間には、円環状をなす座金50が介在されている。この座金50は、第2凹部41内のエレメント42上に配設されている。そして、プレート43が上端面12aに装着された状態では、前記座金50がエレメント42を軸受29に押し付けて該エレメント42を第2凹部41内に保持している。
【0040】
さらに、プレート43が上端面12aに装着された状態では、プレート43とシリンダケース12の上端面12aとの間、具体的には前記リングアダプタ49とリップシール47との間、及び座金50とリップシール47との間にはそれぞれ隙間51が介在されている。そして、この隙間51には、ピストンロッド23及びガイドロッド28の周面にリップシール47が摺接することで掻き取った異物が入り込む構成となっている。
【0041】
空気圧シリンダ11において、装着手段の操作によって前記装着状態にあるプレート43を非装着状態とするには、板ナット53の取付孔53aに螺合された取付ビス54を工具を用いて取付孔53aから螺退させる。すなわち、プレート43を装着状態から非装着状態とするために、装着手段たる取付ビス54を操作する(螺退させる)。このとき、板ナット53は、シリンダケース12の前面12b及びプレート43の前面に取り付けられている。このため、取付ビス54の螺退作業は、空気圧シリンダ11におけるシリンダケース12の前面12b側で行われる。
【0042】
また、取付孔53aが板ナット53を貫通する方向は、シリンダケース12の前面12b(スイッチ溝30の内面)に対して直交し、ピストンロッド23及びガイドロッド28の軸方向(上下方向)と直交する方向(前後方向)となっている。このため、プレート43を装着状態から非装着状態とするために、工具を用いて取付ビス54を板ナット53から螺退させる方向(操作方向)は、ピストンロッド23及びガイドロッド28の軸方向に直行している。その結果として、取付ビス54の螺退方向に沿ってピストンロッド23及びガイドロッド28は存在せず、さらには、螺退方向の延長線上にエンドプレート25は存在していない。したがって、工具を用いて取付ビス54を板ナット53から螺退する作業は、エンドプレート25が障害となることなく行われる。
【0043】
そして、取付ビス54が各板ナット53の下側の取付孔53aから螺退されると、板ナット53及び取付ビス54によるシリンダケース12とプレート43との装着状態が解除される。したがって、工具を用いて板ナット53から取付ビス54を螺退する作業は装着手段の操作であり、該操作によってプレート43は上端面12aに対して非装着状態を取り得るようになっている。
【0044】
そして、隙間51の異物を除去するには、図3及び図4に示すように、プレート43を両ロッド23,28の軸方向に沿って上側へ移動させ、該プレート43の下面43bと、シリンダケース12の上端面12aとを離間させてプレート43を上端面12aに対して非装着状態とする。すると、各ロッド挿通孔45内のリップシール47と、リングアダプタ49及び座金50とが離間され、隙間51が開放されて隙間51内の異物の除去作業等が可能となる。
【0045】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)プレート43は、装着手段によりシリンダケース12の上端面12aに装着状態とされている。そして、プレート43を装着状態から非装着状態とする際の装着手段の操作方向(取付ビス54の螺退方向)を、ピストンロッド23及びガイドロッド28の軸方向と直交する方向とした。このため、取付ビス54の螺退方向に沿ってピストンロッド23及びガイドロッド28、さらにはエンドプレート25が配置されていない。したがって、ピストンロッド23、ガイドロッド28及びエンドプレート25が取付ビス54の螺退作業の妨げとなることがなく、プレート43を上端面12aに対して装着状態から非装着状態とする作業、すなわち、プレート43を上端面12aから離間させる作業を容易に行うことができる。その結果として、隙間51の異物除去をはじめ、第1及び第2凹部40,41内のエレメント42のメンテナンス及びグリスの補給作業、スクレーパ46のメンテナンス等を容易に行うことができ、空気圧シリンダ11のメンテナンス性を良好とすることができる。
【0046】
(2)また、プレート43を装着状態から非装着状態とする装着手段の操作方向(板ナット53からの取付ビス54の螺退方向)を、ピストンロッド23及びガイドロッド28の軸方向と直交する方向とした。このため、取付ビス54を板ナット53から螺退する作業を容易に行うことができ、プレート43のシリンダケース12に対する装着状態を容易に解除することができる。したがって、例えば、エンドプレート25が存在することから、シリンダケース12からプレート43を取り外すことができず、空気圧シリンダ11内部のメンテナンスのためにエンドプレート25と設備機器とを分解する必要がある場合に比して空気圧シリンダ11内部のメンテナンスを容易とすることができる。
【0047】
(3)板ナット53は、シリンダケース12に位置検出スイッチSを装着するために、シリンダケース12に予め形成されたスイッチ溝30に挿入され、該板ナット53を用いてプレート43は上端面12aに対して装着状態とされる。このため、プレート43を上端面12aに装着状態とするためにシリンダケース12に新たな構成を設ける必要がなく、空気圧シリンダ11の構成の複雑化を防止して製造コストの増大を抑えることができる。
【0048】
(4)プレート43は、シリンダケース12のスイッチ溝30及びプレート43の取付溝52に板ナット53を挿入し、該板ナット53の取付孔53aに取付ビス54を螺合し、板ナット53を係止部30a,52aに係止させることでシリンダケース12に装着される。ここで、板ナット53は直方体状をなす金属体に取付孔53aを螺刻して形成されており、板ナット53は簡易な構成となっている。したがって、板ナット53といった簡易な構成の部材を用い、さらに、シリンダケース12に予め設けられていたスイッチ溝30といった簡易な構成を用いることでプレート43をシリンダケース12に装着することができる。その結果として、メンテナンス性を良好とした空気圧シリンダ11の構成を簡易化することができる。
【0049】
(5)プレート43にスクレーパ46を一体化し、スクレーパ46によりピストンロッド23及びガイドロッド28の周面に付着した異物を掻き取る構成とした。したがって、空気圧シリンダ11においては、各ロッド23,28の軸方向に沿ってスクレーパ46とエレメント42の2つの異物掻き取り手段が設けられている。その結果として、異物がロッド側シリンダ室21へ入り込む不具合の発生を抑制して、ピストンパッキン20の破損といった不具合の発生を抑制することができる。
【0050】
(6)エレメント42は多孔質体であり、グリスを封入可能としているため、各ロッド23,28の周面とエレメント42の内周面との摺動を円滑にすることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明のロッド付アクチュエータを空気圧シリンダ11に具体化した第2の実施形態を図5にしたがって説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態のプレート、及び装着手段を変更した構成であるため、同様の部分についてはその重複する説明を省略する。
【0051】
図5に示すように、第2の実施形態のプレート60は、その短辺方向への長さがシリンダケース12の上端面12aの短辺方向への長さよりも短くなっている。また、プレート60の前面側にはL字金具61がボルト62によって取り付けられている。L字金具61がプレート60に取り付けられた状態では、プレート60の下面からL字金具61の下側が突出している。シリンダケース12の上端面12aにプレート60を装着した状態では、プレート60の前後両面は、シリンダケース12の前面12b及び後面より内側に位置している。
【0052】
シリンダケース12の上端面12aにおいて、スイッチ溝30の両側には、シリンダケース12の溝としてのU字溝12dが凹設されている。このU字溝12dは、シリンダケース12の上端面12a及び前面12bを切り欠いて形成されている。また、前記U字溝12d内であり、シリンダケース12の前面12bにはねじ山12fが螺刻されている。
【0053】
そして、第2の実施形態の空気圧シリンダ11において、プレート60を上端面12aに対して装着状態とするには、プレート60に取り付けられたL字金具61の下側をU字溝12d内に挿入する。さらに、L字金具61の下側を貫通したボルト63を、U字溝12d内の前記ねじ山12fに螺合することでL字金具61をシリンダケース12に固定し、プレート60が上端面12aに対して装着状態とされる。
【0054】
そして、第2の実施形態では、L字金具61、U字溝12d、該U字溝12d内のねじ山12fと、前記ボルト63は、プレート60を上端面12aに装着状態とする装着手段を構成している。また、第2の実施形態の空気圧シリンダ11においては、前記ボルト63をねじ山12fから螺退させることで、プレート60のシリンダケース12に対する装着状態を解除し、非装着状態とすることができる。そして、プレート60を前記装着状態から非装着状態とする際の装着手段の操作方向、すなわち、ボルト63の螺退方向はピストンロッド23及びガイドロッド28の軸方向に直交している。
【0055】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第1の実施形態では、板ナット53の下側の取付孔53aに螺合された取付ビス54を螺退したが、板ナット53の上側の取付孔53aに螺合された取付ビス54を螺退してプレート43を上端面12aに対して非装着状態としてもよい。又は、板ナット53に螺合された全ての取付ビス54を螺退してプレート43を上端面12aに対して非装着状態としてもよい。
【0056】
○ 第1の実施形態において、プレート43の前側の下面43bに突部を一体形成し、該突部に取付ビス54が螺合可能な取付孔を形成してもよい。そして、シリンダケース12のスイッチ溝30に突部を挿入し、取付孔に取付ビス54を螺合してプレート43をシリンダケース12に装着する構成としてもよい。このとき、前記突部、スイッチ溝30、係止部30a、及び取付ビス54は、プレート43を上端面12aに装着する装着手段を構成している。逆に、シリンダケース12の上端面12aに突部を一体形成し、該突部に取付ビス54が螺合可能な取付孔を形成してもよい。そして、プレート43の取付溝52に突部を挿入し、取付孔に取付ビス54を螺合してプレート43を上端面12aに装着する構成としてもよい。このとき、前記突部、取付溝52、係止部52a、及び取付ビス54は、プレート43を上端面12aに装着する装着手段を構成している。
【0057】
○ 第2の実施形態において、プレート60の前側にL字金具61を取り付けた状態と同状態となる様に下面側へ延びる突部を一体形成し、該突部をボルト63が貫通可能に形成する。そして、シリンダケース12のU字溝12dにプレート60に一体形成された突部を挿入し、該突部を貫通したボルト63をU字溝12d内のねじ山12fに螺合してプレート60をシリンダケース12に装着する構成としてもよい。このとき、前記突部、U字溝12d、ねじ山12f、及びボルト63は、プレート60を上端面12aに装着する装着手段を構成している。
【0058】
○ 第1の実施形態において、スイッチ溝30をシリンダケース12の左面12c、後面及び右面のいずれかに形成するとともに、取付溝52をプレート43の左面、後面及び右面のいずれかに形成してもよい。そして、合致したスイッチ溝30と取付溝52に板ナット53を挿入し、該板ナット53の取付孔53aに取付ビス54を螺合してプレート43をシリンダケース12に装着する構成としてもよい。
【0059】
○ 各実施形態において、取着溝34を用いてプレート43,60を上端面12aに装着する構成としてもよい。
○ 各実施形態において、摺接部材をフェルトによって形成してもよい。
【0060】
○ 各実施形態において、空気圧シリンダ11を、シリンダケース12に一本のピストンロッド23のみを備え、ガイドロッド28を備えないタイプとしてもよい。このとき、シリンダケース12を円筒状に形成してもよい。また、シリンダケース12に複数本(例えば二本)のピストンロッド23のみを備えたタイプとしてもよい(ガイドロッド28を備えない)。又は、空気圧シリンダ11をシリンダケース12に一本のピストンロッド23を備えるとともに一本のガイドロッド28を備えたタイプとしてもよい。
【0061】
○ ロッド付アクチュエータを、流体圧としての油圧によってピストンロッド23が出没する油圧シリンダに具体化してもよい。
○ ロッド付アクチュエータを、例えばモータを駆動源とした電動アクチュエータに具体化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】第1の実施形態の空気圧シリンダを示す斜視図。
【図2】第1の実施形態の空気圧シリンダを示す縦断面図。
【図3】プレートを上端面に対して非装着状態とした状態を示す斜視図。
【図4】プレートを上端面に対して非装着状態とした状態を示す部分縦断面図。
【図5】第2の実施形態の空気圧シリンダを示す斜視図。
【符号の説明】
【0063】
S…位置検出スイッチ、11…ロッド付アクチュエータとしての空気圧シリンダ、12…アクチュエータ本体としてのシリンダケース、12a…端面としての上端面、12d…装着手段を構成する溝としてのU字溝、12f…装着手段を構成するねじ山、19…ピストン、23…ロッドとしてのピストンロッド、25…エンドプレート、28…ロッドとしてのガイドロッド、30…装着手段を構成する溝としてのスイッチ溝、30a,52a…装着手段を構成する係止部、40…凹部としての第1凹部、41…凹部としての第2凹部、42…摺接部材としてのエレメント、43,60…プレート、46…スクレーパ、52…装着手段を構成する溝としての取付溝、53…装着手段を構成する板ナット、54…装着手段を構成する取付ビス、61…装着手段を構成するL字金具、63…装着手段を構成するボルト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータ本体の端面から出没するロッドを備え、前記アクチュエータ本体からの前記ロッドの突出端にエンドプレートを備えるロッド付アクチュエータであって、
前記端面には前記ロッドが配設された位置に該ロッドの周囲を囲む凹部が設けられており、該凹部に着脱可能に装着されて前記ロッドの周面に摺接する摺接部材と、
前記ロッドが貫挿され、該ロッドの軸方向に沿って移動可能であり、前記端面に装着されて前記摺接部材を前記凹部内に保持する装着状態と前記端面から離間した非装着状態とを取り得るプレートと、
前記プレートを前記端面に装着状態とする装着手段とを備え、
前記プレートは、前記装着手段の操作によって前記装着状態と非装着状態とを取り得るようになっており、前記装着状態から非装着状態とする際の前記装着手段の操作方向を前記ロッドの軸方向に直交する方向としたことを特徴とするロッド付アクチュエータ。
【請求項2】
前記装着手段は、前記プレートに形成された溝と、前記アクチュエータ本体に形成された溝と、前記両溝に挿入される板ナットと、前記板ナットに螺合可能な取付ビスと、前記両溝に形成された係止部とから構成され、
前記プレートは、前記板ナットに取付ビスが螺合されて板ナットが係止部に係止することで前記装着状態とされる一方で、板ナットから取付ビスが螺退されることで前記非装着状態とされ、
前記取付ビスの螺退方向が前記ロッドの軸方向に直交する方向に設定されている請求項1に記載のロッド付アクチュエータ。
【請求項3】
前記アクチュエータ本体はシリンダケースであるとともに、前記ロッドは前記シリンダケースに収容されたピストンに作用する流体圧に基づいて移動するピストンロッドであり、前記アクチュエータ本体の溝は、前記ロッドに取り付けられたピストンのシリンダケース内での位置を検出する位置検出スイッチを装着するためのスイッチ溝である請求項2に記載のロッド付アクチュエータ。
【請求項4】
前記装着手段は、前記プレートに取り付けられたL字金具と、前記アクチュエータ本体にて前記L字金具が挿入される溝と、該溝に螺刻されたねじ山と、前記L字金具を貫通して前記ねじ山に螺合可能なボルトとから構成され、
前記プレートは、前記L字金具を貫通して前記ねじ山にボルトが螺合されることで前記装着状態とされる一方で、ねじ山からボルトが螺退されることで前記非装着状態とされ、
前記ボルトの螺退方向が前記ロッドの軸方向に直交する方向に設定されている請求項1に記載のロッド付アクチュエータ。
【請求項5】
前記プレートには、前記ロッドの周面に付着した異物を掻き取るスクレーパが設けられている請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載のロッド付アクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−10078(P2007−10078A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−193908(P2005−193908)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】