説明

ロボットの動作設定方法

【課題】
作業や移動順序等の実行条件を位置に関して設定することで指定された位置で予め決められた作業を実行するロボットの動作設定方法を提供する。
【解決手段】
ロボットで実行可能にするために、実行条件を位置に関して設定する。そして、位置設定プログラム、作業及び動作プログラム及び位置設定プログラムで設定された位置のデータ及当該位置に関して設定された作業及び動作、設定された位置間の移動順序を設定する手段で設定された移動順序に基づいて、位置のデータと当該位置に設定されたプログラムとを一致させて、設定された位置間の移動途中においてプログラムに基づく所定の動作を実行させる制御命令が設定されて、定された制御命令が前記位置に関連して記憶される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロボットの動作設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット言語等のプログラミング言語のティーチング及び制御では命令の並びが主体であり、この命令を並び順に実行していくことによりロボットを動作させるようになっている。そして、作業を行う作業位置はプログラム中の単なる定数や変数として扱われ、また該作業位置問の移動については、単なる移動命令として他の命令と共に命令列の中に埋め込まれている。
しかしながら、汎用のロボットの場合、移動するための位置のデータと、作業指示内容が混在することから、ロボットの動作の中心を作業位置と作業位置間の移動と考えた場合、従来の命令列に基づくプログラム作成では該作業位置と作業位置間の移動及び作業位置と作業との関連などが把握しにくくなり、プログラムの作成と保守が難しくなるという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、ロボット言語等のプログラミング言語によらずに、位置設定プログラム及び作業及び当該作業の動作プログラムを用いて、設定された位置のデータと設定された作業と設定された位置間の移動順序により、該動位置のデータと該位置に設定された作業の作業プログラムとから設定された位置間の移動途中において前記作業プログラムに基づく所定の動作を実行させる制御命令が設定されて、該設定された制御命令が位置に関連して記憶されるようにすることで、
ロボットにおけるコンピュータ読み取り制御を可能とする、ロボットの動作設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は、指定された位置で予め決められた作業を実行するロボットの動作設定方法であって、位置設定プログラムにより作業を行わせる位置を設定するステップと、該位置指定プログラムで設定された複数の位置のデータを記憶するステップと、設定された位置に作業及び動作を実行するために複数の作業及び動作プログラムから選択するステップと、設定された位置に対して設定された作業及び動作をポイントデータとして記憶するステップと、前記設定された位置間の移動順序を設定するステップと、前記指定された位置における、前記設定された動作と、前記指定された位置間の設定された移動順序に基づき、該位置のデータと該位置に設定された作業及び動作プログラムとから前記設定された位置間の移動途中において前記作業及び動作プログラムに基づく所定の動作を実行させる制御命令を設定するステップと、該設定された制御命令が前記位置に関連して読み出し可能に記憶するステップと、からなることを特徴とするロボットの動作設定方法とすることで課題を解決した。
また、本発明は、指定された位置で予め決められた作業を実行するロボットの動作設定方法であって、作業及び動作を実行するために複数の作業及び動作プログラムから選択するステップと、前記作業び動作に関して、位置設定プログラムにより作業を行わせる位置を設定するステップと、該設定する位置指定プログラムで設定された複数の位置のデータを記憶するステップと、設定された位置に対して設定された作業及び動作をポイントデータとして記憶するステップと、前記設定された位置間の移動順序を設定するステップと、前記指定された位置における、前記記設定された動作と、前記指定された位置間の設定された移動順序に基づき、該位置のデータと該位置に設定された作業及び動作プログラムとから前記設定された位置間の移動途中において前記作業及び動作プログラムに基づく所定の動作を実行させる制御命令を設定するステップと、該設定された制御命令が前記位置に関連して読み出し可能に記憶するステップと、からなることを特徴とするロボットの動作設定方法とすることで課題を解決した。
【発明の効果】
【0005】
従来の汎用ロボットでの、難解なロボット言語の入力によらずに簡単に指示を与えることができ、また制御内容を直接指示するから、指示内容の確認及び修正・変更箇所の把握及び修正変更が簡単に行うことができる。
すなわち、通常の制御については、ロボット言語等のプログラミング言語を入力することを必要とし、この内容は命令の並びが主体であり、この命令を並び順に実行していくことによりロボットを動作させるようになっている。従って、作業を行う作業位置はプログラム中の単なる定数や変数として扱われ、また該作業位置問の移動については、単なる移動命令として他の命令と共に命令列の中に埋め込まれている。
従来の命令列に基づくプログラム作成では該作業位置と作業位置間の移動及び作業位置と作業との関連などが把握しにくくなり、プログラムの作成と保守が難しくなる。この問題を解決して、本発明によれば、汎用ロボットであっても、ロボット言語を知らなくとも、複数の作業と位置、順番の指示内容により、多目的に使用することができる。
従って、設定された位置に関して作業が設定され、また移動順や他の種々の条件を設定されているから、プログラミング或いはティーチングが簡単に行える効果がある。
そして、何れも設定された位置に関して設定されているから、プログラミングが表面に出ることがないから、ロボットへの使用が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
指定された位置で予め決められた作業を実行するロボットの動作設定方法として、
位置設定プログラムにより作業を行わせる位置を設定し、該位置指定プログラムで設定された複数の位置のデータを記憶する。設定された位置に複数の作業及び動作プログラムからプログラムを選択し、設定された位置に対して設定された作業及び動作をポイントデータとして記憶する。設定された位置間の移動順序を設定することで、指定された位置における、設定された動作と、指定された位置間の設定された移動順序に基づき、当該位置のデータとプログラムとを一致させて、設定された位置間の移動途中において作業及び動作プログラムに基づく所定の動作を実行させる制御命令を設定する。
該設定された制御命令を位置に関連して読み出し可能に記憶することで、各設定に基づいたロボットの動作を設定する。
【実施例】
【0007】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、マイクロコンピュータを主体に構成される制御装置1はこのロボット全体の制御を行っており、モータ駆動制御装置11に指令を出力し、ステッピングモータ12を駆動して各種の動作を実行させるようになっている。モータ駆動制御装置11とステッピングモータ12は必要とする任意の数だけ設けられており、ステッピングモータ12は必要とする作業及び動作を実行する機構(図示せず)が接続されるようになっている。また、ステッピングモータ12にかえて各種のアクチュエータが使用可能であり、クローズドループとすることも可能である。
【0008】
制御装置1には記録媒体10が接続可能になっており、必要なプログラムやデータを入力できるようなっている。記録媒体10のプログラムは特定作業/動作プログラム記憶装置2、他の作業/動作プログラム記憶装置3、位置設定プログラム記憶装置4にそれぞれ格納されるように構成されている。5は一時記憶装置である。
【0009】
操作装置7はキーボード等の入力装置や、ティーチングのためのハード的、ソフト的機構などであって、ロボットへのプログラムやデータへの入力を行うものである。
ユーザは操作装置7を用いて、作業をさせる位置を設定し、作業の内容を設定し、又移動の順番を設定できるようになっている。更に、移動の態様、条件に応じた移動経路の変更、移動途中の命令の出力、等を設定位置に関連して設定できるようになっている。
この実施形態では、位置設定プログラム記憶装置4と表示装置6を備えており、作業者は位置設定プログラム記憶装置4のプログラムにより作業を行わせる位置を設定できるようになっている。
【0010】
なおこの実施形態では、予め決められた仕事に関しては、汎用アプリケーションとして設定してあり、この汎用アプリケーションをそのまま使用したり、或いは変更を加えて使用したり、更には汎用アプリケーションとユーザが作成したアプリケーションとを混合して用いること等が可能になっている。
即ち特定作業/動作プログラム記憶装置2には予め決められた作業のプログラムが記憶されており、該特定作業における種々の動作プログラムが選択可能に記憶されている。
作業者は位置設定プログラム記憶装置4のプログラムにより作業を行わせる位置を設定し、表示装置6に表示された選択画面をみて、必要な動作を選択できるようになっている。各位置にはこの実施形態では、ポイント番号を付与し、該ポイント番号の座標を設定するように構成されている。
特定作業における動作は、特定作業/動作プログラム記憶装置2に記憶されたものから選択することなく、操作装置7或いは他の入力装置等を介して作業者がプログラムを設定することも可能に構成されている。更に選択と設定を両方行うこともできるようになっている。
【0011】
一方他の作業/動作プログラム記憶装置3には、前記予め決められた特定の作業以外の単数又は複数の作業プログラムが記憶されており、予め決められた特定作業以外の他の作業を選択できるようになっている。この選択も表示装置6に表示された選択画面により行うことが出来るようになっている。
他の作業/動作プログラム記憶装置3には更に該他の作業における種々の動作プログラムが選択可能に記憶されており、同様に表示装置6に表示された選択画面をみて、必要な動作を選択できるようになっている。
上記した他の作業は、他の作業/動作プログラム記憶装置3に記憶されたものから選択することなく、操作装置7或いは他の入力装置等を介して作業者がプログラムを設定することも可能に構成されている。更に選択と設定を両方行うこともできるようになっている。
また該他の作業における動作も同様に、他の作業/動作プログラム記憶装置3に記憶されたものから選択することなく、操作装置7或いは他の入力装置等を介して作業者がプログラムを設定することも可能に構成されている。また同様に選択と設定を両方行うこともできるようになっている。
【0012】
上記のように選択され或いは設定された作業と動作は各ポイント毎にデータ記憶装置8に夫々のデータ記憶部に記憶されるように構成されている。
図2にデータ記憶装置8の記憶状態の一例を示す。
ポイントデータ20にはポイント番号が付され、該ポイント番号毎に、その位置座標と、予め決められた作業Aと作業Aにおける動作と、その他の作業及びその動作とが選択或いは設定され、記憶されている。例えば、ポイント番号P1には、x1、y1、z1、θ1の座標と、作業Aと作業Aにおける動作a1が選択され、更にその他の作業Cと動作c1とが選択されている。
ポイント番号P2には、座標x2、y2、z2、θ2と動作a2とが設定され、その他の作業は設定されていない。以下同様にポイント番号Pnまで、作業者により座標と、予め決められた作業における動作と、他の作業及び他の作業における動作が選択或いは設定されている。
【0013】
制御装置1はデータ記憶装置8に格納された作業と動作を読み出して、特定作業/動作プログラム記憶装置2及び他の作業/動作プログラム記憶装置3に基づいて当該ポイント番号の座標位置において、作業及び動作を実行させるように構成されている。
【0014】
図3により塗布作業の場合を例に挙げて動作を説明する。
作業者が操作装置7を操作して、ポイント番号とその位置座標を入力し(ステップS1、2)、更に予め決められた作業における動作の種類を入力する(ステップS3)。
動作の種別が点塗布の場合にはその時間を入力し(ステップS5)、線塗布の終了の場合には塗布装置をオフとする(ステップS6)。また線塗布開始の場合には、速度を入力し(ステップS7)、塗布装置をオンとする(ステップS8)。次に、他の作業の追加がある場合には(ステップS9)、他の作業を選択し(ステップS10)、該他の作業における動作を選択する(ステップS 11)。
上記動作及び作業を全てのポイント番号について、選択或いは設定するまで繰り返す(ステップS12、13)。全てのポイント番号について、選択或いは設定が終わったら、該選択或いは設定に基づいて作業と動作を実行する。
【0015】
上記実施形態では各ポイントに作業内容と動作内容を割り付けた構成であるが、作業内容、動作内容だけではなく種々の制御内容を各ポイントに設定することが可能である。
【0016】
図4にポイントデータ20に設定できる内容の一形態を示す。
ここでは、ポイントの移動順を特定するポイント番号21と位置を特定する位置座標22を備えており、ここに前記したように作業データ40を設定してある。該位置座標22は、1点を特定するものであるが、パレットデータ等のように細かい移動などを指定する複数の位置を特定するデータが付随する場合がある。これについては後述する。
また移動先データ41は移動先を設定するデータであって、この移動先データ41によりポイント番号21を設定しないで、移動順を特定することが可能である。
【0017】
移動態様データ42は、移動に関する諸々のデータであって、PTP制御、直線補間、円弧補間、移動速度、移動加速度、移動時間等を設定するデータが設定可能である。
【0018】
更に移動条件データ43を設定することも可能である。この移動条件データ43はある条件においては次の移動先を飛ばして移動する等、多様な移動を行うためのデータである。
【0019】
移動中出力データ44は移動中に出力が必要なデータであり、このようなデータを設定することも可能である。例えば、所定距離移動したら、他の機器を始動するための信号を出力したり、或いはセンサや他の機器からの信号を入力したら、移動を停止するための信号を出力する場合等に使用する。
【0020】
サブ作業実行データ45は、エラー発生時の例外処理や、事前準備作業等の付随的な移動を伴う作業を行うために、実行命令データである。
【0021】
位置補正実行データ46は位置ずれ誤差の補正を実行させるための、実行命令データである。
【0022】
上記した各データはポイントデータ20内に直接設定しても良いし、参照データ30として別途設定しても良い。特に移動に関するデータはつながりデータ31として別に設定することも可能である。また、予め決められた既定値などは既定値データ32として別に設定しておき、適宜参照するように構成することにより効率化が図れる。
【0023】
図2では各ポイントに番号を付して、該番号順に移動して作業を実行する構成であるが、各ポイントへの移動、作業の実行の順序を設定できるように構成した実施形態を図5乃至図7により説明する。
【0024】
図5に示す実施形態では、ポイント間の移動経路を示すデータであるつながりデータ31がユーザにより設定できるようになっている。つながりデータ31には移動元と移動先を特定する移動元データ50と移動先データ51を格納し、各ポイント毎につながりデータ31を参照して次の移動先を認識して移動を実行するように構成されている。
【0025】
図6ではつながりデータ31を用いずに、ポイントデータ20に直接移動先データ41を設定するように構成されている。
更に図7の例は、ポイントデータ20を実行順に並べて、該並び順に移動して作業の実行を行うように構成されている。
以上のように図5乃至図7の実施例において、ポイントデータ20によりポイントを設定した後にユーザにより実行順序を決定することができ、作業手順の組み立てが行いやすくなる効果がある。
【0026】
図8と図9に移動態様データ42を各ポイントデータ20に設定した例を示す。 図8の実施形態では、ポイントデータ20において補間指定(PTP駆動、直線補間、円弧補間)のデータを設定し、更に詳細な移動態様データ42を個別ポイントデータ20に設定するか、或いは既定値を呼び出して使用するようにしている。既定値データ32には移動態様既定値データ52を設定しておき、ポイントデータ20における個別の移動態様データ42の設定がない場合には、既定値データ32に設定したデータを用いるように構成されている。
【0027】
図9の実施形態では、個別に移動態様データ42を設定する場合には、呼出しデータ60により参照データ30を呼び出して、参照データ30に設定された移動態様データ42を使用するようになっている。参照データ30には移動態様データ42を設定しておく。
また、個別指定がない場合には既定値データ32の移動態様既定値データ52を用いるようになっている。
【0028】
なお、移動態様データ42として、上記では補間指定と移動速度、加速度、時間の例を挙げたが、これに限定されるものではなく、他に種々の移動態様データ42を設定可能である。例えば、R軸回転速度やアーチモーションの設定などを行っても良い。
【0029】
図10と図11に移動条件データ43を設定することにより、移動経路の変更を行う実施形態を示す。
ポイントPOからP1に移動し、ここで順番ではP2に移動するが、P2のポイントデータ20に移動条件データ43を設定しておく。この例では呼出しデータ60を設定し、参照データ30に移動条件データ43を設定してある。移動条件データ43はここではある信号A10オンでA 11がオフというアンド条件となっている。
P1からP2に移動する前に、P2のポイントデータ20をチェックし、図11に示すように前記条件が満たされればポイントP2に移動し、満たされなければP3に移動する。
上記構成により条件に応じた移動経路の変更が可能になる。
【0030】
次に移動中に信号を出力したり、或いは移動中に信号を入力して移動停止等を行う構成を示す。
移動途中で装置に信号を出力する必要がある場合がある。例えば、移動開始から10mmの位置で装置をスタートさせる等の動作が必要な場合がある。また、装置やセンサからの信号により停止する等の制御が必要な場合がある。
図12と図13にこれらの機能を果たす構成の実施形態を示す。
【0031】
図12の実施形態では、つながりデータ31に移動中出力データ44を設定している。
座標(0、0、30)のポイントデータ20では、そのつながりデータ31に制御データ53を設定してあり、前記座標から座標(0、100、30)に移動するに際して、移動開始から10mmの位置で、 B 1をオンし、移動終了から30mm手前でB 1をオフするように設定してある。なお、距離ではなく時間を設定することも当然に可能である。
図13に信号B1のオンオフを示す。
座標(0、100、80)のポイントデータ20では、そのつながりデータ31に停止データ54を設定してあり、移動途中でA10がオンしたら移動を停止するように構成している。
【0032】
図14の実施形態はつながりデータ31に代えて、参照データ30に制御データ53と停止条件データ55を設定した構成になっている。ポイントデータ20には呼出しデータ60を設定し、参照データ30に制御データ53或いは停止条件データ55を設定してある。動作の内容は図12の実施形態と同じである。
以上の構成により、移動途中での様々な信号の出力や動作を実行できる。
【0033】
図15により、上記構成の動作を説明する。
データ記憶装置8にポイントデータの設定を行い、位置座標22を設定する。
必要によりポイント番号21も設定する(ステップS20)。次に、そのポイントでの作業或いは該作業における動作を設定し(ステップS21)、全てのポイントについて上記設定を行う(ステップS22)。
次に移動順の設定を行う(ステップS23)。つながりデータ31を用いる場合には、移動元データ50と移動先データ51を設定する。ポイントデータに直接設定する場合には移動先データ41を書き込む。ポイントデータの並び順を移動順とする場合には、並び順を設定する。
次に補間指定、速度、加速度、時間などの移動態様データ42を設定し、既定値を使う場合にはその旨の設定を行う(ステップS24)。そして、実行条件の設定を行い(ステップS25)、移動途中の出力の設定(ステップS26)、移動途中の停止条件の設定(ステップS27)、を行う。
なお、ステップS22の位置はどこに設けても良く、上記では先に全てのポイントデータを設定しているが、これに限定されるものではない。例えば1つのポイントデータを設定する際にステップS21以下の設定を同時に行う等も可能である。
【0034】
ロボットの動きの中に、細かい移動を繰り返す動作がある。例えばパレットにものを並べて置くというような動作の場合、規則的に位置をずらしながら移動を繰り返す動作になる。これらの動作を1つ1つティーチングしたり、座標を設定することは作業上面倒である上、メモリ容量の効率化の点でも不利である。
このような問題を解決するために、パレットと呼ばれるサブの位置設定データが用いられる。
【0035】
このようなパレットデータを必要に応じて各ポイントに設定することが可能である。
図16ではポイントデータ20に呼出しデータ60を設定しておき、該呼出しデータ60により呼び出されるパレットデータ33を設定している。パレットデータ33にはパレット移動データ70が設定されている。
【0036】
パレットデータは、0次元、1次元、2次元、3次元のものが可能である。0次元は1点を指定するデータであり、同一点で単数又は複数の作業を繰り返す。
1次元パレットは直線方向(並び)のみの移動、2次元パレットは縦横方向への移動、3次元パレットは縦横、高さへの移動を行う。
【0037】
図16のパレット1は1次元パレットであり、並び方向に4行移動することを示している。POはパレットの原点座標であり、 PAは一方向へのインクリメント量を示している。
パレット2は2次元パレットであり、4行4列の縦横に移動することを示している。POは同様にパレットの原点座標であり、PAは一方向へのインクリメント量、PBは他方向へのインクリメント量を示している。
【0038】
図17に上記パレット設定による動作の概略を示す。ポイントPOからポイントP1に移動すると、前記したようにP1ではパレット2が設定されており、POで定義されるP1−1からP1−16までPAとPBで指定されたインクリメント量で移動する。
上記により細かな移動の繰り返しをポイントデータ毎に簡単に設定することが可能になる。
【0039】
目的とする作業を実行するために一連の動作を順次実行させることが必要であるが、エラー発生時等の場合、特定の位置へ移動して例外的な処理を行う等、予定していた作業とは別の作業を行う必要が生ずる。
また、異なる位置で移動を伴う同一作業を行う必要が生ずる場合もある。
更に、目的とする作業を行う前に事前準備作業が必要になる場合もある。例えば、目的とするネジ締め作業の前にネジを取りに行く動作とか、目的とする半田付け作業の前にコテをクリーニングする等の事前の準備動作がある。
これらの付随的な移動を伴う作業を行うために、サブポイントデータを設定し、必要に応じて呼び出す構成とすることが望ましい。
【0040】
図18乃至図20に実施形態を示す。
図18において、ポイントデータ20にポイント番号21と位置座標22が設定され、更に作業データ40が設定されている。この作業データ40は作業の参照データ30を呼び出すもので、参照データ30には作業2のプログラムデータが格納されている。該プログラム中に呼出しデータ60が設定されており、条件が成立した時にサブポイントデータ34を呼び出すように構成されている。即ち、エラー発生などの条件が成立するとサブポイントデータ34が呼び出されるようになっている。
この例では2つのポイントP1とP2についてサブポイントデータ34が設定されており、それぞれのポイントで作業4と作業5を実行するようになっている。作業5は呼出しデータ60であって、参照データ30に作業5の内容が設定されている。
【0041】
図19では、ポイントデータ20に呼出しデータ60を設定し、サブポイントデータ34を呼び出すように構成されている。ここではポイントP1〜P5にサブポイントデータ34が設定され、作業2と作業4とを実行するようになっている。異なる位置で同一の作業を繰り返し行う場合に、このようなサブポイントデータ34の列を設定しておくと、効率的である。
【0042】
図20に示す実施形態では、ポイントデータ20に移動前呼出しデータ61を設定している。この移動前呼出しデータ61はそのポイントに移動する前に実行されるデータである。図20ではポイントP2とP3に移動前呼出しデータ61を設定してある。ポイントP1からポイントP2に移動する前に、移動前呼出しデータ61が参照され、サブポイントデータ34が呼び出される。そして、設定された作業2を実行した上でポイントP2に移動するように構成されている。
ポイントP3に設定された移動前呼出しデータ61も同様に処理される。
このように、当該ポイントに移動する前に、当該ポイントに設定された呼び出しデータを読み出して実行することにより、当該ポイントの事前準備動作などを実行できる。
【0043】
なお、移動前呼出しデータ61に代えて呼出しデータ60を移動前のポイントに設定しても同じ動作が得られる。即ち、P1にサブポイントデータ34を呼び出す呼出しデータ60を設定しても動作は同じである。しかし、その動作を必要とするポイントP2に移動前呼出しデータ61を設定するほうが、設定作業としては実際の動作の実感に近く設定作業が自然に行える効果がある。
【0044】
作業対象物であるワークの位置は作業中にずれが生ずることがある。ずれを放置したまま作業を続けると工作精度が著しく低下することになる。
この実施形態ではカメラ或いは適当なセンサにより、実際のワーク位置を逐次検出し、ロボット側に補正動作を行わせて、精度の高い作業を可能にしている。
即ちポイントデータ20に位置の補正量を設定し、移動に際して該補正量を加味した位置に移動するように制御している。これにより正確な位置に移動できる。
【0045】
図21において、ポイントP1のポイントデータ20には呼出しデータ60が設定され、参照データ30にZ方向の補正量を得る作業を行うようになっている。作業データ40において振動低減のため0.5秒待った後、ワークのZ方向位置を検出し、該検出値から補正量を算出する作業を行うようになっている。
一方ポイントP2には呼出しデータ60を設定し、位置補正データ35を呼び出すように構成しておく。位置補正データ35には参照データ30の作業データ40で算出された補正量が設定されており、この補正量をポイントP2の位置座標22に取り込む。即ち補正量(0,0,1.5)をP2の位置(100,120,30)に加算した位置(100,120,30)に移動させるように構成されている。
なお、X、 Y方向の補正も同様に行う。
以上の構成によりワークのズレが逐次補正されるから、位置精度の高い作業が行える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の一実施形態におけるデータ記憶装置8の記憶状態の一例を示す説明図。
【図3】本発明の一実施形態の動作を示すフローチャート図。
【図4】本発明のデータ構造の一例を示す説明図。
【図5】つながりデータ31を用いるデータ構造の説明図。
【図6】移動先データ41を用いるデータ構造の説明図。
【図7】データ並びによる移動順設定の説明図。
【図8】既定値データ32を用いた移動態様のデータ構造の説明図。
【図9】参照データ30を用いた移動態様のデータ構造の説明図。
【図10】条件により移動先をジャンプするデータ構造の説明図。
【図11】条件により移動先をジャンプする動作の説明図。
【図12】移動中に制御命令を出力する実施形態におけるデータ構造の説明図。
【図13】図12におけるタイミング図。
【図14】参照データ30を用いた移動中の制御命令出力のデータ構造の説明図。
【図15】全体動作を説明するフローチャート図。
【図16】パレット動作を行わせる実施形態のデータ構造の説明図。
【図17】パレット動作の説明図。
【図18】サブポイントデータ34のデータ構造の説明図。
【図19】呼び出しによるサブポイントデータ34のデータ構造の説明図。
【図20】移動前呼び出しによるサブポイントデータ34のデータ構造の説明図。
【図21】位置補正のデータ構造の説明図。
【符号の説明】
【0047】
1:制御装置、2:特定作業/動作プログラム記憶装置、3:他の作業/動作プログラム記憶装置、4:位置設定プログラム記憶装置、5:一時記憶装置、6:表示装置、7:操作装置、8:データ記憶装置、10:記録媒体、11:モータ駆動制御装置、12:ステッピングモータ、20:ポイントデータ、21:ポイント番号、22:位置座標、30:参照データ、31:つながりデータ、32:既定値データ、33:パレットデータ、34:サブポイントデータ、35:位置補正データ、40:作業データ、41:移動先データ、42:移動態様データ、43:移動条件データ、44:移動中出力データ、45:サブ作業実行データ、46:位置補正実行データ、50:移動元データ、51:移動先データ、52:移動態様既定値データ、53:制御データ、54:停止データ、55:停止条件データ、60:呼出しデータ、61:移動前呼出しデータ、70:パレット移動データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定された位置で予め決められた作業を実行するロボットの動作設定方法であって、
位置設定プログラムにより作業を行わせる位置を設定するステップと、
該位置指定プログラムで設定された複数の位置のデータを記憶するステップと、
設定された位置に作業及び動作を実行するために複数の作業及び動作プログラムから選択するステップと、
設定された位置に対して設定された作業及び動作をポイントデータとして記憶するステップと、
前記設定された位置間の移動順序を設定するステップと、
前記指定された位置における、前記設定された動作と、前記指定された位置間の設定された移動順序に基づき、
該位置のデータと該位置に設定された作業及び動作プログラムとから前記設定された位置間の移動途中において前記作業及び動作プログラムに基づく所定の動作を実行させる制御命令を設定するステップと、
該設定された制御命令が前記位置に関連して読み出し可能に記憶するステップと、
からなることを特徴とするロボットの動作設定方法。
【請求項2】
指定された位置で予め決められた作業を実行するロボットの動作設定方法であって、
作業及び動作を実行するために複数の作業及び動作プログラムから選択するステップと、
前記作業び動作に関して、位置設定プログラムにより作業を行わせる位置を設定するステップと、
該設定する位置指定プログラムで設定された複数の位置のデータを記憶するステップと、
設定された位置に対して設定された作業及び動作をポイントデータとして記憶するステップと、
前記設定された位置間の移動順序を設定するステップと、
前記指定された位置における、前記記設定された動作と、前記指定された位置間の設定された移動順序に基づき、
該位置のデータと該位置に設定された作業及び動作プログラムとから前記設定された位置間の移動途中において前記作業及び動作プログラムに基づく所定の動作を実行させる制御命令を設定するステップと、
該設定された制御命令が前記位置に関連して読み出し可能に記憶するステップと、
からなることを特徴とするロボットの動作設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−193846(P2007−193846A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108560(P2007−108560)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【分割の表示】特願2002−501210(P2002−501210)の分割
【原出願日】平成13年7月31日(2001.7.31)
【出願人】(000002244)蛇の目ミシン工業株式会社 (79)
【Fターム(参考)】