ロボットハンド及びロボットハンド間のワーク受け渡し方法
【課題】小型化、軽量化、及びコスト削減が可能なロボットハンドを提供する。また、ロボットハンド間でワークを受け渡しすることが可能なワーク受け渡し方法を提供する。
【解決手段】ワーク2の各位置決め用穴7の周縁に、ロボットハンド1の各基準ピン8の円錐形の各先端部10を当接させ、ワーク2をクランパ16によって引き込んだ。これにより、各位置決め用穴7の周縁に各基準ピン8の各先端部10が当接していれば、各位置決め用穴7を各基準ピン8の各先端部10で倣うことでワーク2が移動して各位置決め用穴7に各基準ピン8が嵌合し、ワーク2が位置決めされる。したがって、フローティング機構が不要になり、ロボットハンド1の小型化、軽量化、及びコスト削減が可能になる。また、ロボットハンド1間でワーク2を受け渡す場合に要求されるロボットハンド1間の位置決め精度が緩和され、当該ロボットハンド1間のワーク2の受け渡しが可能になる。
【解決手段】ワーク2の各位置決め用穴7の周縁に、ロボットハンド1の各基準ピン8の円錐形の各先端部10を当接させ、ワーク2をクランパ16によって引き込んだ。これにより、各位置決め用穴7の周縁に各基準ピン8の各先端部10が当接していれば、各位置決め用穴7を各基準ピン8の各先端部10で倣うことでワーク2が移動して各位置決め用穴7に各基準ピン8が嵌合し、ワーク2が位置決めされる。したがって、フローティング機構が不要になり、ロボットハンド1の小型化、軽量化、及びコスト削減が可能になる。また、ロボットハンド1間でワーク2を受け渡す場合に要求されるロボットハンド1間の位置決め精度が緩和され、当該ロボットハンド1間のワーク2の受け渡しが可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットハンド及びロボットハンド間のワーク受け渡し方法に関するもので、特に、ワークに配設される複数個の穴を利用してワークを位置決めさせるロボットハンド、及び該ロボットハンド間のワーク受け渡し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の部品加工ラインの各工程に設備される装置は、自動機と手作業機とに大別される。自動機は、大量生産に向けて有利であるが、トータルで比較した場合、コスト、フレキシビリティ(新規ワークに対する適応の柔軟性)の点において手作業機が有利である。このため、自動車の部品加工ライン等においては、近年、設備が手作業機へ移行される傾向にある。このような手作業機は、主に、加工装置(工作機械)と、作業者に代わって加工装置に対するワークの脱着を行う多関節型アームロボットとによって構成される。部品加工ラインに設備される多関節型アームロボットは、多くの場合、アームの先端部に、図12に示されるように、ワーク2をクランプ/アンクランプするロボットハンド21を備える。
【0003】
この図に示されるように、従来のロボットハンド21は、ベース26上に、先端部が円錐形状に形成された複数本(例えば、3本)の基準ピン28と、複数本(例えば、3本)の基準座22とが立設されており、ワーク2(例えば、自動車のエンジンのカムハウジング)の一側面2aに配設された各位置決め用穴27に、相対する各基準ピン28を嵌合させて、ワーク2の他側面2bに当接させたクランパ16により当該ワーク2をベース26側(図12における右方向)へ引き込む。そして、引き込んだワーク2(ワークの2一側面2a)をベース26上の各基準座22によって受ける、言い換えると、ワーク2(ワーク2の一側面2a)が基準座22に押付けられることで、当該ワーク2がロボットハンド21にクランプされる。
【0004】
上述したように、従来のロボットハンド21は、各基準ピン28をワーク2の相対する各位置決め用穴27に嵌合させてワーク2を位置決めさせるため、各基準ピン28と、相対する各位置決め用穴27との嵌め合いを大きく設定した場合、ロボットハンド21、ひいては、加工装置に対するワーク2の位置決め精度が低下することから、当該嵌め合いが小さく設定される。これにより、各基準ピン28を相対する各位置決め用穴27にアプローチさせる時の、各基準ピン28の、相対する各位置決め用穴27に対するクリアランスが厳しくなる(例えば、±0.2mm)。そこで、従来のロボットハンド21は、ベース26にフローティング機構(例えば、特許文献1参照)が設けられており、各基準ピン28を相対する各位置決め用穴27にアプローチさせる時に、ロボットハンド21をワーク2に対して移動、すなわち、各基準ピン28を相対する各位置決め用穴27に対して移動させることにより、各基準ピン28を相対する各位置決め用穴27に嵌合させていた。
【0005】
しかしながら、従来のロボットハンド21は、フローティング機構による大型化、重量化及びコスト増大が避けられず、これらが新たな問題になっていた。特に、ロボットハンド21の重量が大きい場合、相応の可搬能力を有する大型の多関節ロボットを用いる必要があり、設置スペースの拡大、及び、大幅なコストアップにつながる。また、従来のロボットハンド21は、各基準ピン28が相対する各位置決め用穴27に比較的厳しい公差で嵌合されるため、汎用の多関節ロボットを用いた場合、ロボットハンド21間でワークを受け渡すのは極めて困難である。
【特許文献1】特開平7−96487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、小型化、軽量化、及びコスト削減が可能なロボットハンドを提供することを課題としてなされたものである。
また、本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ロボットハンド間でワークを受け渡しする方法を提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のロボットハンドは、産業用ロボットのアームに装着されて、ワークに配設された複数個の位置決め用穴を用いてワークを位置決めさせるロボットハンドであって、先端部がテーパ状に形成されて該先端部の外径が位置決め用穴の直径よりも大きい基準ピンと、基準ピンがワークの各位置決め用穴に相対して配置されるベースと、ベースに設けられてワークをクランパによってベース側へ引き込んでクランプするクランプ機構と、各基準ピンを各基準ピンの初期位置に向けて突出させた状態で保持して、各基準ピンの各先端部が押圧されると、各基準ピンを軸方向へストロークさせて最終的に各ストロークエンドに位置決めさせる基準ピン保持機構と、を備えて、ワークの各位置決め用穴の周縁に相対する各基準ピンの各先端部を当接させた状態でワークをクランプ機構のクランパによって引き込んで、ワークの各位置決め用穴を相対する各基準ピンの各先端部で倣いつつワークをロボットハンドに対して移動させ、各位置決め用穴に相対する各基準ピンを嵌合させることにより、ワークを位置決めさせるように構成したことを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のロボットハンド間のワーク受け渡し方法は、上記請求項1に記載のロボットハンド間でワークを受け渡す方法であって、ワークの一側に配設された各位置決め用穴に相対する各基準ピンのテーパ状の各先端部を嵌合させてワークを位置決めすると共に該ワークをクランプ機構によって把持するワークを渡す側のロボットハンドと、ワークを受ける側のロボットハンドと、を向かい合わせに位置決めさせるステップと、ワークを渡す側のロボットハンドとワークを受ける側のロボットハンドとを相対移動させて、ワークの他側に配設された各位置決め用穴の周縁に、ワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンのテーパ状の各先端部を当接させるステップと、ワークの他側に配設された各位置決め用穴の周縁に、ワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンのテーパ状の各先端部を当接させた状態で、ワークを渡す側のロボットハンドのクランプ機構によるワークのクランプを解除するステップと、ワークを渡す側のロボットハンドのクランプ機構によるワークのクランプが解除された状態で、ワークを受ける側のロボットハンドのクランプ機構によってワークを受ける側のロボットハンド側へワークを引き込んで、ワークの他側に配設された各位置決め用穴をワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンの各先端部で倣いつつワークを受ける側のロボットハンドに対してワークを移動させ、ワークの他側に配設された各位置決め用穴に、ワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンを嵌合させて、ワークを受ける側のロボットハンドに対してワークを位置決めさせると共に該ワークを受ける側のロボットハンドのクランプ機構によってワークを把持するステップと、ワークを渡す側のロボットハンドとワークを受ける側のロボットハンドとを相対移動させて、ワークを渡す側のロボットハンドとワークを受ける側のロボットハンドとを離反させるステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、請求可能発明と称する)の態様を例示し、例示された各態様について説明する。ここでは、各態様を、特許請求の範囲と同様に、項に区分すると共に各項に番号を付し、必要に応じて他の項の記載を引用する形式で記載する。これは、請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載、実施形態の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得る。
なお、以下の各項において、(1)、(2)項の各々が、請求項1、2の各々に相当する。
【0010】
(1)産業用ロボットのアームに装着されて、ワークに配設された複数個の位置決め用穴を用いてワークを位置決めさせるロボットハンドであって、先端部がテーパ状に形成されて該先端部の外径が位置決め用穴の直径よりも大きい基準ピンと、基準ピンがワークの各位置決め用穴に相対して配置されるベースと、ベースに設けられてワークをクランパによってベース側へ引き込んでクランプするクランプ機構と、各基準ピンを各基準ピンの初期位置に向けて突出させた状態で保持して、各基準ピンの各先端部が押圧されると、各基準ピンを軸方向へストロークさせて最終的に各ストロークエンドに位置決めさせる基準ピン保持機構と、を備えて、ワークの各位置決め用穴の周縁に相対する各基準ピンの各先端部を当接させた状態でワークをクランプ機構のクランパによって引き込んで、ワークの各位置決め用穴を相対する各基準ピンの各先端部で倣いつつワークをロボットハンドに対して移動させ、各位置決め用穴に相対する各基準ピンを嵌合させることにより、ワークを位置決めさせるように構成したことを特徴とするロボットハンド。
本項に記載のロボットハンドによれば、ワークの各位置決め用穴の周縁に、ロボットハンドの相対する各基準ピンのテーパ状の各先端部を当接させる。この状態でワークをクランプ機構のクランパによって引き込んで、ワークの各位置決め用穴を相対する各基準ピンの各先端部で倣いつつ、ワークをロボットハンドに対して移動させ、各位置決め用穴に相対する各基準ピンを嵌合させることにより、ワークがロボットハンドに対して位置決めされる。また、クランプ機構のクランパによってワークが引き込まれるのに伴い、各基準ピンが軸方向へストロークされ、ワークは、最終的に、これら各基準ピンのストロークエンドによってクランプ(把持)される。
このように、本項のロボットハンドでは、ワークの各位置決め用穴の周縁に、ロボットハンドの相対する各基準ピンの各先端部の尖った部分が掛かっていれば、ワークの各位置決め用穴を相対する各基準ピンの各先端部で倣うことでワークをロボットハンドに対して移動させて、各位置決め用穴に相対する各基準ピンを嵌合させることにより、ワークをロボットハンドに対して位置決めすることができる。したがって、本項のロボットハンドによれば、ロボットハンドに対してワークを移動させることによりワークをロボットハンドに対して位置決めさせるので、従来のロボットハンドに設けられていたフローティング機構が不要になる。これにより、ロボットハンドの小型化、軽量化、及びコスト削減が可能になる。
本項の態様において、各基準ピンは、例えば、ベースの取付座に対して脱着可能な枠体に配置され、扱うワークが変更になった時には、ワークに応じて枠体を交換するだけで済むため、段取り替えを効率的に行うことができる。
また、基準ピンの先端部は、例えば、底面の直径が位置決め用穴の直径よりも大きい円錐形に形成される。この先端部はワークとの摩擦により摩耗するため、基準ピンの軸部に対して脱着可能な交換部品とするのが望ましい。
本項の態様において、クランプ機構は、例えば、スイングアーム式引き込みシリンダを用いて構成される。
本項の態様において、基準ピン支持機構は、例えば、基準ピンを軸方向へ案内する案内部と、案内部によって案内される基準ピンを突出側へ付勢、すなわち、ワークに向けて付勢する付勢手段(例えば、コイルばね)と、を含む。なお、基準ピンは、前進端(突出端)と後退端(ストロークエンド)との範囲でストロークが可能である。
【0011】
(2)上記(1)のロボットハンド間でワークを受け渡す方法であって、ワークの一側に配設された各位置決め用穴に相対する各基準ピンのテーパ状の各先端部を嵌合させてワークを位置決めすると共に該ワークをクランプ機構によって把持するワークを渡す側のロボットハンドと、ワークを受ける側のロボットハンドと、を向かい合わせに位置決めさせるステップと、ワークを渡す側のロボットハンドとワークを受ける側のロボットハンドとを相対移動させて、ワークの他側に配設された各位置決め用穴の周縁に、ワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンのテーパ状の各先端部を当接させるステップと、ワークの他側に配設された各位置決め用穴の周縁に、ワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンのテーパ状の各先端部を当接させた状態で、ワークを渡す側のロボットハンドのクランプ機構によるワークのクランプを解除するステップと、ワークを渡す側のロボットハンドのクランプ機構によるワークのクランプが解除された状態で、ワークを受ける側のロボットハンドのクランプ機構によってワークを受ける側のロボットハンド側へワークを引き込んで、ワークの他側に配設された各位置決め用穴をワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンの各先端部で倣いつつワークを受ける側のロボットハンドに対してワークを移動させ、ワークの他側に配設された各位置決め用穴に、ワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンを嵌合させて、ワークを受ける側のロボットハンドに対してワークを位置決めさせると共に該ワークを受ける側のロボットハンドのクランプ機構によってワークを把持するステップと、ワークを渡す側のロボットハンドとワークを受ける側のロボットハンドとを相対移動させて、ワークを渡す側のロボットハンドとワークを受ける側のロボットハンドとを離反させるステップと、を含むことを特徴とするロボットハンド間のワーク受け渡し方法。
本項に記載のロボットハンド間のワーク受け渡し方法によれば、ワークの各位置決め用穴の周縁に、ロボットハンドの相対する各基準ピンの各先端部の尖った部分が掛かっていれば、ワークの各位置決め用穴を相対する各基準ピンの各先端部で倣うことでワークをロボットハンドに対して移動させて、各位置決め用穴に相対する各基準ピンを嵌合させることによりワークをロボットハンドに対して位置決めすることができるロボットハンドを採用したので、ワークを渡す側のロボットハンドとワークを受ける側のロボットハンドとの要求される相対的な位置決め精度(例えば、一般的なエンジンのカムハウジングを受け渡しする際に要求される位置決め精度は±0.9mm)が、汎用のロボットハンドが保証する動作精度内で済み、当該ロボットハンド間でのワークの受け渡しが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
小型化、軽量化、及びコスト削減が可能なロボットハンドを提供することができる。また、ロボットハンド間でワークを受け渡しすることが可能なワーク受け渡し方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の一実施形態を図1〜図11に基いて説明する。なお、本実施形態では、多関節型アームロボット(産業用ロボット)のアームに取付けられるロボットハンド1を説明する。
図1に示されるように、本実施形態のロボットハンド1は、アームロボットのリスト3に取付けられる取付座4と該取付座4に脱着可能に取付けられる枠体5とによって構成されるベース6を有する。そして、アームロボットは、リスト3を回転軸θの回りに回転させることにより、当該ロボットハンド1を旋回させることができる。対象となるワーク2の一側面2aには、複数個(本実施形態では3個)の位置決め用穴7が配設され、ロボットハンド1の枠体5には、各位置決め用穴7に相対する複数個(本実施形態では3個)の各基準ピン8が配置される。
【0014】
基準ピン8は、軸部9と、該軸部9に脱着可能に取付けられる先端部10と、によって構成される。この先端部10は、底面中央にねじ軸が立設されており、該ねじ軸を軸部9の端面に螺設したねじ穴に螺合させることにより軸部9に取付けられる。また、図2に示されるように、先端部10は、底面の直径D1がワーク2の位置決め用穴7の直径D2よりも大きく形成されると共に45°の頂角を有する円錐形(テーパ状)をなす部分と、該円錐形をなす部分の底面の直径と同一の直径D1を有する高さT1の円柱形をなす部分とによって構成され、この円柱形の部分には、当該先端部10の脱着時に工具を係合させるための2面幅11が形成される。なお、先端部10は、円錐形(テーパ状)をなす部分と円柱形をなす部分とが一体であるため、円錐形をなす部分の底面とは、円柱形をなす部分との境界面のことである。
【0015】
基準ピン8は、枠体5に配設される円筒形のガイド12(基準ピン支持機構)によって軸方向へ案内される。また、基準ピン8は、先端部10とガイド12との間に介装されるコイルばね13のばね力によって前進側(図1における左側)へ付勢される。なお、基準ピン8は、基準ピン8の軸部9の基端部に固定されたストッパ14がガイド12の基端側端面(図1における右側端面)に当接されることにより前進端に位置決めされ、コイルばね13が完全に圧縮された状態で後退端(ストロークエンド)に位置決めされる。
【0016】
ロボットハンド1は、ワーク2をクランプ/アンクランプするクランプ機構を有する。該クランプ機構は、ベース6の取付座4に固定される流体シリンダ15と該流体シリンダ15のロッド15aに固定されるクランパ16とによって構成される。そして、ロボットハンド1は、ワーク2の各位置決め用穴7の周縁に、相対する各基準ピン8の円錐形(テーパ状)の各先端部10を当接させ、この状態で、クランプ機構の流体シリンダ15をクランプ側に作動させることにより、クランパ16が所定角度だけ旋回された後、ロッド15aが引き込まれ、ワーク2の他側面2bに当接されたクランパ16によって当該ワーク2がベース6側(図1における右側)へ引き込まれる。これにより、ワーク2の各位置決め用穴7を相対する各基準ピン8の各先端部10で倣うようにして、ワーク2を移動させる。
【0017】
そして、各位置決め用穴7に、相対する各基準ピン8が嵌合されることにより、ワーク2が当該ロボットハンド1に対して位置決めされる。これと同時に、クランプ機構のクランパ16によってワーク2が引き込まれるのに伴い、各基準ピン8が後退端側(図1における右側)へストロークされ、ワーク2は、最終的に、これら各基準ピン8のストロークエンドによってクランプ(把持)される。なお、図3に示される符号17は、ワーク2の受け渡し時にワーク2を支持してワーク2の落下を防止する複数本のサポートピンである。
【0018】
次に、本実施形態のロボットハンド1間でワーク2を受け渡す手順を説明する。
まず、ワーク2(本実施形態では、自動車のエンジンのカムハウジング)の一側面2aに配設された複数個(本実施形態では3個)の各位置決め用穴7に、相対する各基準ピン8の円錐形(テーパ状)の各先端部10を嵌合させて、ワーク2を渡す側のロボットハンド1A(以下、単にロボットハンド1Aという)によってワーク2を把持する。次に、図4に示されるように、このワーク2を把持したロボットハンド1Aと、ワーク2を受ける側のロボットハンド1B(以下、単にロボットハンド1Bという)とを向かい合わせに位置決めさせる。
【0019】
次に、図5に示されるように、ロボットハンド1Aとロボットハンド1Bとを相対移動させて、ワーク2の他側面2bに配設された各位置決め用穴7の周縁7bに、ロボットハンド1Bの相対する各基準ピン8の円錐形(テーパ状)の各先端部10を当接させる(図6参照)。なお、本実施形態において、各位置決め用穴7は貫通穴であり、ロボットハンド1Aが用いる位置決め用穴7とロボットハンド1Bが用いる位置決め用穴7とは同一である。次に、図7に示されるように、ワーク2の他側面2bの各位置決め用穴7の周縁7bに、ロボットハンド1Bの相対する各基準ピン8の各先端部10を当接させた状態で、ロボットハンド1Aのクランプ機構によるワーク2のクランプを解除する。これにより、図8に示されるように、ワーク2の自重によりワーク2がロボットハンド1Aに対して下方へずれて、ワーク2の一側面2aの各位置決め用穴7の周縁7aにロボットハンド1Bの相対する各基準ピン8の各先端部10が当接された状態になる。
【0020】
この状態(ロボットハンド1Aのクランプ機構によるワーク2のクランプが解除された状態)で、図9に示されるように、ロボットハンド1Bのクランプ機構によってワーク2をクランプする。このワーク2がロボットハンド1Bのクランプ機構によってクランプされる過程で、ロボットハンド1Bは、ワーク2の他側面2bの各位置決め用穴7を当該ロボットハンド1Bの相対する各基準ピン8の各先端部10で倣うことによりワーク2を移動させ、図10に示されるように、ワーク2の各位置決め用穴7に、当該ロボットハンド1Bの相対する各基準ピン8が嵌合されてワーク2が位置決めされると同時に、各基準ピン8がストロークされて各基準ピン8のストロークエンドでワーク2がクランプ(把持)される。そして、図11に示されるように、ロボットハンド1Aとロボットハンド1Bとを相対移動させることにより、ロボットハンド1Aとロボットハンド1Bとを離反させ、ロボットハンド1Aからロボットハンド1Bへのワーク2の受け渡しが完了する。
【0021】
この実施形態では以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、ワーク2の各位置決め用穴7の周縁7a(7b)に、ロボットハンド1の相対する各基準ピン8の円錐形(テーパ状)の各先端部10を当接させ、この状態でワーク2をクランプ機構のクランパ16によって引き込んで、ワーク2の各位置決め用穴7を相対する各基準ピン8の各先端部10で倣いつつワーク2を移動させ、各位置決め用穴7に相対する各基準ピン8を嵌合させることにより、ワーク2がロボットハンド1に対して位置決めされる。また、ワーク2が引き込まれるのに伴い、各基準ピン8が軸方向へストロークされ、ワーク2は、これら各基準ピン8のストロークエンドによってクランプ(把持)される。
これにより、本実施形態のロボットハンド1によれば、ワーク2の各位置決め用穴7の周縁7a(7b)に、相対する各基準ピン8の各先端部の尖った部分が掛かって(当接して)いれば、ワーク2の各位置決め用穴7を相対する各基準ピン8の各先端部10で倣うことでワーク2を移動させることにより、各位置決め用穴7に相対する各基準ピン8を嵌合させて当該ワーク2を位置決めすることができる。
したがって、本実施形態のロボットハンド1は、従来のロボットハンド21(図12参照)のようにロボットハンド21自体を移動させるのではなく、ワーク2を移動させることによりワーク2が位置決めされるので、従来のロボットハンド21において必須であったフローティング機構が不要になる。これにより、ロボットハンド1の小型化、軽量化、及びコスト削減が可能になる。また、ロボットハンド1A,1B間でワーク2を受け渡す場合に要求されるロボットハンド1A,1B間の位置決め精度が、汎用アームロボットが保証する位置決め精度内で収まるので、当該ロボットハンド1A,1B間のワーク2の受け渡しが可能になる。
また、従来のロボットハンド21においては、位置決め用穴27と基準ピン28との嵌め合い誤差がワーク2の位置決め精度に反映されるため、位置決め用穴27は、例えば、リーマ仕上げされた穴であり、このような仕上げ穴を別途加工することもあったが、本実施形態のロボットハンド1では、位置決め用穴7に該位置決め用穴7よりも直径が大きい円錐形の基準ピン8の先端部10を嵌合させるので、仕上げ加工がなされていないキリ穴を利用することができる。
【0022】
なお、実施形態は上記に限定されるものではなく、例えば次のように構成してもよい。
本実施形態では、ワーク2の位置決め用穴7として、当該ワーク2に配置された貫通穴を利用したが、所定深さの止まり穴であってもよい。この場合、ロボットハンド1Aが利用する位置決め用穴7とロボットハンド1Bが利用する位置決め用穴7とは、必ずしも同一軸線上に配置されていなくてもよく、同じ数である必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態のロボットハンドの説明図であり、断面で示されるワークをクランプ(把持)した状態を示す。
【図2】図1における要部拡大図であり、ワークの位置決め用穴に基準ピンの円錐形に形成された先端部が嵌合された状態を示す図である。
【図3】本実施形態のロボットハンドの斜視図である。
【図4】本実施形態のロボットハンド間のワーク受け渡し方法の説明図であり、ワークを渡す側のロボットハンドとワークを受ける側のロボットハンドとが向かい合って位置決めされた状態を示す図である。
【図5】図4の状態からワークを渡す側のロボットハンドとワークを受ける側のロボットハンドとを相対移動させて、ワークの各位置決め用穴にワークを受ける側のロボットハンドの各基準ピンの各先端部を当接させた状態を示す図である。
【図6】図5における要部拡大図であり、ワークの一側面の位置決め用穴に、ワークを渡す側のロボットハンドの基準ピンの先端部が嵌合されると共に、ワークの他側面の位置決め用穴の周縁に、ワークを受ける側のロボットハンドの基準ピンの先端部が当接された状態を示す図である。
【図7】図5の状態でワークを渡す側のロボットハンドのクランプをアンクランプさせた状態を示す図である。
【図8】図7における要部拡大図であり、ワークの一側面の位置決め用穴の周縁に、ワークを渡す側のロボットハンドの基準ピンの先端部が当接されると共に、ワークの他側面の位置決め用穴の周縁に、ワークを受ける側のロボットハンドの基準ピンの先端部が当接された状態を示す図である。
【図9】図7の状態でワークを受ける側のロボットハンドのクランプ機構によりワークをクランプした状態を示す図である。
【図10】図9における要部拡大図であり、ワークの一側面の位置決め用穴の周縁に、ワークを渡す側のロボットハンドの基準ピンの先端部が当接されると共に、ワークの他側面の位置決め用穴に、ワークを受ける側のロボットハンドの基準ピンの先端部が嵌合された状態を示す図である。
【図11】ワークを渡す側のロボットハンドからワークを受ける側のロボットハンドへのワークの受け渡しが完了した状態を示す図である。
【図12】従来のロボットハンドの説明図であり、断面で示されるワークをクランプ(把持)した状態を示す。
【符号の説明】
【0024】
1(1A,1B) ロボットハンド、2 ワーク、6 ベース、7 位置決め用穴、7a,7b (位置決め用穴の)周縁、8 基準ピン、10 先端部、12 ガイド(基準ピン支持機構)、15 流体シリンダ(クランプ機構)、16 クランパ(クランプ機構)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットハンド及びロボットハンド間のワーク受け渡し方法に関するもので、特に、ワークに配設される複数個の穴を利用してワークを位置決めさせるロボットハンド、及び該ロボットハンド間のワーク受け渡し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の部品加工ラインの各工程に設備される装置は、自動機と手作業機とに大別される。自動機は、大量生産に向けて有利であるが、トータルで比較した場合、コスト、フレキシビリティ(新規ワークに対する適応の柔軟性)の点において手作業機が有利である。このため、自動車の部品加工ライン等においては、近年、設備が手作業機へ移行される傾向にある。このような手作業機は、主に、加工装置(工作機械)と、作業者に代わって加工装置に対するワークの脱着を行う多関節型アームロボットとによって構成される。部品加工ラインに設備される多関節型アームロボットは、多くの場合、アームの先端部に、図12に示されるように、ワーク2をクランプ/アンクランプするロボットハンド21を備える。
【0003】
この図に示されるように、従来のロボットハンド21は、ベース26上に、先端部が円錐形状に形成された複数本(例えば、3本)の基準ピン28と、複数本(例えば、3本)の基準座22とが立設されており、ワーク2(例えば、自動車のエンジンのカムハウジング)の一側面2aに配設された各位置決め用穴27に、相対する各基準ピン28を嵌合させて、ワーク2の他側面2bに当接させたクランパ16により当該ワーク2をベース26側(図12における右方向)へ引き込む。そして、引き込んだワーク2(ワークの2一側面2a)をベース26上の各基準座22によって受ける、言い換えると、ワーク2(ワーク2の一側面2a)が基準座22に押付けられることで、当該ワーク2がロボットハンド21にクランプされる。
【0004】
上述したように、従来のロボットハンド21は、各基準ピン28をワーク2の相対する各位置決め用穴27に嵌合させてワーク2を位置決めさせるため、各基準ピン28と、相対する各位置決め用穴27との嵌め合いを大きく設定した場合、ロボットハンド21、ひいては、加工装置に対するワーク2の位置決め精度が低下することから、当該嵌め合いが小さく設定される。これにより、各基準ピン28を相対する各位置決め用穴27にアプローチさせる時の、各基準ピン28の、相対する各位置決め用穴27に対するクリアランスが厳しくなる(例えば、±0.2mm)。そこで、従来のロボットハンド21は、ベース26にフローティング機構(例えば、特許文献1参照)が設けられており、各基準ピン28を相対する各位置決め用穴27にアプローチさせる時に、ロボットハンド21をワーク2に対して移動、すなわち、各基準ピン28を相対する各位置決め用穴27に対して移動させることにより、各基準ピン28を相対する各位置決め用穴27に嵌合させていた。
【0005】
しかしながら、従来のロボットハンド21は、フローティング機構による大型化、重量化及びコスト増大が避けられず、これらが新たな問題になっていた。特に、ロボットハンド21の重量が大きい場合、相応の可搬能力を有する大型の多関節ロボットを用いる必要があり、設置スペースの拡大、及び、大幅なコストアップにつながる。また、従来のロボットハンド21は、各基準ピン28が相対する各位置決め用穴27に比較的厳しい公差で嵌合されるため、汎用の多関節ロボットを用いた場合、ロボットハンド21間でワークを受け渡すのは極めて困難である。
【特許文献1】特開平7−96487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、小型化、軽量化、及びコスト削減が可能なロボットハンドを提供することを課題としてなされたものである。
また、本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ロボットハンド間でワークを受け渡しする方法を提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のロボットハンドは、産業用ロボットのアームに装着されて、ワークに配設された複数個の位置決め用穴を用いてワークを位置決めさせるロボットハンドであって、先端部がテーパ状に形成されて該先端部の外径が位置決め用穴の直径よりも大きい基準ピンと、基準ピンがワークの各位置決め用穴に相対して配置されるベースと、ベースに設けられてワークをクランパによってベース側へ引き込んでクランプするクランプ機構と、各基準ピンを各基準ピンの初期位置に向けて突出させた状態で保持して、各基準ピンの各先端部が押圧されると、各基準ピンを軸方向へストロークさせて最終的に各ストロークエンドに位置決めさせる基準ピン保持機構と、を備えて、ワークの各位置決め用穴の周縁に相対する各基準ピンの各先端部を当接させた状態でワークをクランプ機構のクランパによって引き込んで、ワークの各位置決め用穴を相対する各基準ピンの各先端部で倣いつつワークをロボットハンドに対して移動させ、各位置決め用穴に相対する各基準ピンを嵌合させることにより、ワークを位置決めさせるように構成したことを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のロボットハンド間のワーク受け渡し方法は、上記請求項1に記載のロボットハンド間でワークを受け渡す方法であって、ワークの一側に配設された各位置決め用穴に相対する各基準ピンのテーパ状の各先端部を嵌合させてワークを位置決めすると共に該ワークをクランプ機構によって把持するワークを渡す側のロボットハンドと、ワークを受ける側のロボットハンドと、を向かい合わせに位置決めさせるステップと、ワークを渡す側のロボットハンドとワークを受ける側のロボットハンドとを相対移動させて、ワークの他側に配設された各位置決め用穴の周縁に、ワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンのテーパ状の各先端部を当接させるステップと、ワークの他側に配設された各位置決め用穴の周縁に、ワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンのテーパ状の各先端部を当接させた状態で、ワークを渡す側のロボットハンドのクランプ機構によるワークのクランプを解除するステップと、ワークを渡す側のロボットハンドのクランプ機構によるワークのクランプが解除された状態で、ワークを受ける側のロボットハンドのクランプ機構によってワークを受ける側のロボットハンド側へワークを引き込んで、ワークの他側に配設された各位置決め用穴をワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンの各先端部で倣いつつワークを受ける側のロボットハンドに対してワークを移動させ、ワークの他側に配設された各位置決め用穴に、ワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンを嵌合させて、ワークを受ける側のロボットハンドに対してワークを位置決めさせると共に該ワークを受ける側のロボットハンドのクランプ機構によってワークを把持するステップと、ワークを渡す側のロボットハンドとワークを受ける側のロボットハンドとを相対移動させて、ワークを渡す側のロボットハンドとワークを受ける側のロボットハンドとを離反させるステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、請求可能発明と称する)の態様を例示し、例示された各態様について説明する。ここでは、各態様を、特許請求の範囲と同様に、項に区分すると共に各項に番号を付し、必要に応じて他の項の記載を引用する形式で記載する。これは、請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載、実施形態の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得る。
なお、以下の各項において、(1)、(2)項の各々が、請求項1、2の各々に相当する。
【0010】
(1)産業用ロボットのアームに装着されて、ワークに配設された複数個の位置決め用穴を用いてワークを位置決めさせるロボットハンドであって、先端部がテーパ状に形成されて該先端部の外径が位置決め用穴の直径よりも大きい基準ピンと、基準ピンがワークの各位置決め用穴に相対して配置されるベースと、ベースに設けられてワークをクランパによってベース側へ引き込んでクランプするクランプ機構と、各基準ピンを各基準ピンの初期位置に向けて突出させた状態で保持して、各基準ピンの各先端部が押圧されると、各基準ピンを軸方向へストロークさせて最終的に各ストロークエンドに位置決めさせる基準ピン保持機構と、を備えて、ワークの各位置決め用穴の周縁に相対する各基準ピンの各先端部を当接させた状態でワークをクランプ機構のクランパによって引き込んで、ワークの各位置決め用穴を相対する各基準ピンの各先端部で倣いつつワークをロボットハンドに対して移動させ、各位置決め用穴に相対する各基準ピンを嵌合させることにより、ワークを位置決めさせるように構成したことを特徴とするロボットハンド。
本項に記載のロボットハンドによれば、ワークの各位置決め用穴の周縁に、ロボットハンドの相対する各基準ピンのテーパ状の各先端部を当接させる。この状態でワークをクランプ機構のクランパによって引き込んで、ワークの各位置決め用穴を相対する各基準ピンの各先端部で倣いつつ、ワークをロボットハンドに対して移動させ、各位置決め用穴に相対する各基準ピンを嵌合させることにより、ワークがロボットハンドに対して位置決めされる。また、クランプ機構のクランパによってワークが引き込まれるのに伴い、各基準ピンが軸方向へストロークされ、ワークは、最終的に、これら各基準ピンのストロークエンドによってクランプ(把持)される。
このように、本項のロボットハンドでは、ワークの各位置決め用穴の周縁に、ロボットハンドの相対する各基準ピンの各先端部の尖った部分が掛かっていれば、ワークの各位置決め用穴を相対する各基準ピンの各先端部で倣うことでワークをロボットハンドに対して移動させて、各位置決め用穴に相対する各基準ピンを嵌合させることにより、ワークをロボットハンドに対して位置決めすることができる。したがって、本項のロボットハンドによれば、ロボットハンドに対してワークを移動させることによりワークをロボットハンドに対して位置決めさせるので、従来のロボットハンドに設けられていたフローティング機構が不要になる。これにより、ロボットハンドの小型化、軽量化、及びコスト削減が可能になる。
本項の態様において、各基準ピンは、例えば、ベースの取付座に対して脱着可能な枠体に配置され、扱うワークが変更になった時には、ワークに応じて枠体を交換するだけで済むため、段取り替えを効率的に行うことができる。
また、基準ピンの先端部は、例えば、底面の直径が位置決め用穴の直径よりも大きい円錐形に形成される。この先端部はワークとの摩擦により摩耗するため、基準ピンの軸部に対して脱着可能な交換部品とするのが望ましい。
本項の態様において、クランプ機構は、例えば、スイングアーム式引き込みシリンダを用いて構成される。
本項の態様において、基準ピン支持機構は、例えば、基準ピンを軸方向へ案内する案内部と、案内部によって案内される基準ピンを突出側へ付勢、すなわち、ワークに向けて付勢する付勢手段(例えば、コイルばね)と、を含む。なお、基準ピンは、前進端(突出端)と後退端(ストロークエンド)との範囲でストロークが可能である。
【0011】
(2)上記(1)のロボットハンド間でワークを受け渡す方法であって、ワークの一側に配設された各位置決め用穴に相対する各基準ピンのテーパ状の各先端部を嵌合させてワークを位置決めすると共に該ワークをクランプ機構によって把持するワークを渡す側のロボットハンドと、ワークを受ける側のロボットハンドと、を向かい合わせに位置決めさせるステップと、ワークを渡す側のロボットハンドとワークを受ける側のロボットハンドとを相対移動させて、ワークの他側に配設された各位置決め用穴の周縁に、ワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンのテーパ状の各先端部を当接させるステップと、ワークの他側に配設された各位置決め用穴の周縁に、ワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンのテーパ状の各先端部を当接させた状態で、ワークを渡す側のロボットハンドのクランプ機構によるワークのクランプを解除するステップと、ワークを渡す側のロボットハンドのクランプ機構によるワークのクランプが解除された状態で、ワークを受ける側のロボットハンドのクランプ機構によってワークを受ける側のロボットハンド側へワークを引き込んで、ワークの他側に配設された各位置決め用穴をワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンの各先端部で倣いつつワークを受ける側のロボットハンドに対してワークを移動させ、ワークの他側に配設された各位置決め用穴に、ワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンを嵌合させて、ワークを受ける側のロボットハンドに対してワークを位置決めさせると共に該ワークを受ける側のロボットハンドのクランプ機構によってワークを把持するステップと、ワークを渡す側のロボットハンドとワークを受ける側のロボットハンドとを相対移動させて、ワークを渡す側のロボットハンドとワークを受ける側のロボットハンドとを離反させるステップと、を含むことを特徴とするロボットハンド間のワーク受け渡し方法。
本項に記載のロボットハンド間のワーク受け渡し方法によれば、ワークの各位置決め用穴の周縁に、ロボットハンドの相対する各基準ピンの各先端部の尖った部分が掛かっていれば、ワークの各位置決め用穴を相対する各基準ピンの各先端部で倣うことでワークをロボットハンドに対して移動させて、各位置決め用穴に相対する各基準ピンを嵌合させることによりワークをロボットハンドに対して位置決めすることができるロボットハンドを採用したので、ワークを渡す側のロボットハンドとワークを受ける側のロボットハンドとの要求される相対的な位置決め精度(例えば、一般的なエンジンのカムハウジングを受け渡しする際に要求される位置決め精度は±0.9mm)が、汎用のロボットハンドが保証する動作精度内で済み、当該ロボットハンド間でのワークの受け渡しが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
小型化、軽量化、及びコスト削減が可能なロボットハンドを提供することができる。また、ロボットハンド間でワークを受け渡しすることが可能なワーク受け渡し方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の一実施形態を図1〜図11に基いて説明する。なお、本実施形態では、多関節型アームロボット(産業用ロボット)のアームに取付けられるロボットハンド1を説明する。
図1に示されるように、本実施形態のロボットハンド1は、アームロボットのリスト3に取付けられる取付座4と該取付座4に脱着可能に取付けられる枠体5とによって構成されるベース6を有する。そして、アームロボットは、リスト3を回転軸θの回りに回転させることにより、当該ロボットハンド1を旋回させることができる。対象となるワーク2の一側面2aには、複数個(本実施形態では3個)の位置決め用穴7が配設され、ロボットハンド1の枠体5には、各位置決め用穴7に相対する複数個(本実施形態では3個)の各基準ピン8が配置される。
【0014】
基準ピン8は、軸部9と、該軸部9に脱着可能に取付けられる先端部10と、によって構成される。この先端部10は、底面中央にねじ軸が立設されており、該ねじ軸を軸部9の端面に螺設したねじ穴に螺合させることにより軸部9に取付けられる。また、図2に示されるように、先端部10は、底面の直径D1がワーク2の位置決め用穴7の直径D2よりも大きく形成されると共に45°の頂角を有する円錐形(テーパ状)をなす部分と、該円錐形をなす部分の底面の直径と同一の直径D1を有する高さT1の円柱形をなす部分とによって構成され、この円柱形の部分には、当該先端部10の脱着時に工具を係合させるための2面幅11が形成される。なお、先端部10は、円錐形(テーパ状)をなす部分と円柱形をなす部分とが一体であるため、円錐形をなす部分の底面とは、円柱形をなす部分との境界面のことである。
【0015】
基準ピン8は、枠体5に配設される円筒形のガイド12(基準ピン支持機構)によって軸方向へ案内される。また、基準ピン8は、先端部10とガイド12との間に介装されるコイルばね13のばね力によって前進側(図1における左側)へ付勢される。なお、基準ピン8は、基準ピン8の軸部9の基端部に固定されたストッパ14がガイド12の基端側端面(図1における右側端面)に当接されることにより前進端に位置決めされ、コイルばね13が完全に圧縮された状態で後退端(ストロークエンド)に位置決めされる。
【0016】
ロボットハンド1は、ワーク2をクランプ/アンクランプするクランプ機構を有する。該クランプ機構は、ベース6の取付座4に固定される流体シリンダ15と該流体シリンダ15のロッド15aに固定されるクランパ16とによって構成される。そして、ロボットハンド1は、ワーク2の各位置決め用穴7の周縁に、相対する各基準ピン8の円錐形(テーパ状)の各先端部10を当接させ、この状態で、クランプ機構の流体シリンダ15をクランプ側に作動させることにより、クランパ16が所定角度だけ旋回された後、ロッド15aが引き込まれ、ワーク2の他側面2bに当接されたクランパ16によって当該ワーク2がベース6側(図1における右側)へ引き込まれる。これにより、ワーク2の各位置決め用穴7を相対する各基準ピン8の各先端部10で倣うようにして、ワーク2を移動させる。
【0017】
そして、各位置決め用穴7に、相対する各基準ピン8が嵌合されることにより、ワーク2が当該ロボットハンド1に対して位置決めされる。これと同時に、クランプ機構のクランパ16によってワーク2が引き込まれるのに伴い、各基準ピン8が後退端側(図1における右側)へストロークされ、ワーク2は、最終的に、これら各基準ピン8のストロークエンドによってクランプ(把持)される。なお、図3に示される符号17は、ワーク2の受け渡し時にワーク2を支持してワーク2の落下を防止する複数本のサポートピンである。
【0018】
次に、本実施形態のロボットハンド1間でワーク2を受け渡す手順を説明する。
まず、ワーク2(本実施形態では、自動車のエンジンのカムハウジング)の一側面2aに配設された複数個(本実施形態では3個)の各位置決め用穴7に、相対する各基準ピン8の円錐形(テーパ状)の各先端部10を嵌合させて、ワーク2を渡す側のロボットハンド1A(以下、単にロボットハンド1Aという)によってワーク2を把持する。次に、図4に示されるように、このワーク2を把持したロボットハンド1Aと、ワーク2を受ける側のロボットハンド1B(以下、単にロボットハンド1Bという)とを向かい合わせに位置決めさせる。
【0019】
次に、図5に示されるように、ロボットハンド1Aとロボットハンド1Bとを相対移動させて、ワーク2の他側面2bに配設された各位置決め用穴7の周縁7bに、ロボットハンド1Bの相対する各基準ピン8の円錐形(テーパ状)の各先端部10を当接させる(図6参照)。なお、本実施形態において、各位置決め用穴7は貫通穴であり、ロボットハンド1Aが用いる位置決め用穴7とロボットハンド1Bが用いる位置決め用穴7とは同一である。次に、図7に示されるように、ワーク2の他側面2bの各位置決め用穴7の周縁7bに、ロボットハンド1Bの相対する各基準ピン8の各先端部10を当接させた状態で、ロボットハンド1Aのクランプ機構によるワーク2のクランプを解除する。これにより、図8に示されるように、ワーク2の自重によりワーク2がロボットハンド1Aに対して下方へずれて、ワーク2の一側面2aの各位置決め用穴7の周縁7aにロボットハンド1Bの相対する各基準ピン8の各先端部10が当接された状態になる。
【0020】
この状態(ロボットハンド1Aのクランプ機構によるワーク2のクランプが解除された状態)で、図9に示されるように、ロボットハンド1Bのクランプ機構によってワーク2をクランプする。このワーク2がロボットハンド1Bのクランプ機構によってクランプされる過程で、ロボットハンド1Bは、ワーク2の他側面2bの各位置決め用穴7を当該ロボットハンド1Bの相対する各基準ピン8の各先端部10で倣うことによりワーク2を移動させ、図10に示されるように、ワーク2の各位置決め用穴7に、当該ロボットハンド1Bの相対する各基準ピン8が嵌合されてワーク2が位置決めされると同時に、各基準ピン8がストロークされて各基準ピン8のストロークエンドでワーク2がクランプ(把持)される。そして、図11に示されるように、ロボットハンド1Aとロボットハンド1Bとを相対移動させることにより、ロボットハンド1Aとロボットハンド1Bとを離反させ、ロボットハンド1Aからロボットハンド1Bへのワーク2の受け渡しが完了する。
【0021】
この実施形態では以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、ワーク2の各位置決め用穴7の周縁7a(7b)に、ロボットハンド1の相対する各基準ピン8の円錐形(テーパ状)の各先端部10を当接させ、この状態でワーク2をクランプ機構のクランパ16によって引き込んで、ワーク2の各位置決め用穴7を相対する各基準ピン8の各先端部10で倣いつつワーク2を移動させ、各位置決め用穴7に相対する各基準ピン8を嵌合させることにより、ワーク2がロボットハンド1に対して位置決めされる。また、ワーク2が引き込まれるのに伴い、各基準ピン8が軸方向へストロークされ、ワーク2は、これら各基準ピン8のストロークエンドによってクランプ(把持)される。
これにより、本実施形態のロボットハンド1によれば、ワーク2の各位置決め用穴7の周縁7a(7b)に、相対する各基準ピン8の各先端部の尖った部分が掛かって(当接して)いれば、ワーク2の各位置決め用穴7を相対する各基準ピン8の各先端部10で倣うことでワーク2を移動させることにより、各位置決め用穴7に相対する各基準ピン8を嵌合させて当該ワーク2を位置決めすることができる。
したがって、本実施形態のロボットハンド1は、従来のロボットハンド21(図12参照)のようにロボットハンド21自体を移動させるのではなく、ワーク2を移動させることによりワーク2が位置決めされるので、従来のロボットハンド21において必須であったフローティング機構が不要になる。これにより、ロボットハンド1の小型化、軽量化、及びコスト削減が可能になる。また、ロボットハンド1A,1B間でワーク2を受け渡す場合に要求されるロボットハンド1A,1B間の位置決め精度が、汎用アームロボットが保証する位置決め精度内で収まるので、当該ロボットハンド1A,1B間のワーク2の受け渡しが可能になる。
また、従来のロボットハンド21においては、位置決め用穴27と基準ピン28との嵌め合い誤差がワーク2の位置決め精度に反映されるため、位置決め用穴27は、例えば、リーマ仕上げされた穴であり、このような仕上げ穴を別途加工することもあったが、本実施形態のロボットハンド1では、位置決め用穴7に該位置決め用穴7よりも直径が大きい円錐形の基準ピン8の先端部10を嵌合させるので、仕上げ加工がなされていないキリ穴を利用することができる。
【0022】
なお、実施形態は上記に限定されるものではなく、例えば次のように構成してもよい。
本実施形態では、ワーク2の位置決め用穴7として、当該ワーク2に配置された貫通穴を利用したが、所定深さの止まり穴であってもよい。この場合、ロボットハンド1Aが利用する位置決め用穴7とロボットハンド1Bが利用する位置決め用穴7とは、必ずしも同一軸線上に配置されていなくてもよく、同じ数である必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態のロボットハンドの説明図であり、断面で示されるワークをクランプ(把持)した状態を示す。
【図2】図1における要部拡大図であり、ワークの位置決め用穴に基準ピンの円錐形に形成された先端部が嵌合された状態を示す図である。
【図3】本実施形態のロボットハンドの斜視図である。
【図4】本実施形態のロボットハンド間のワーク受け渡し方法の説明図であり、ワークを渡す側のロボットハンドとワークを受ける側のロボットハンドとが向かい合って位置決めされた状態を示す図である。
【図5】図4の状態からワークを渡す側のロボットハンドとワークを受ける側のロボットハンドとを相対移動させて、ワークの各位置決め用穴にワークを受ける側のロボットハンドの各基準ピンの各先端部を当接させた状態を示す図である。
【図6】図5における要部拡大図であり、ワークの一側面の位置決め用穴に、ワークを渡す側のロボットハンドの基準ピンの先端部が嵌合されると共に、ワークの他側面の位置決め用穴の周縁に、ワークを受ける側のロボットハンドの基準ピンの先端部が当接された状態を示す図である。
【図7】図5の状態でワークを渡す側のロボットハンドのクランプをアンクランプさせた状態を示す図である。
【図8】図7における要部拡大図であり、ワークの一側面の位置決め用穴の周縁に、ワークを渡す側のロボットハンドの基準ピンの先端部が当接されると共に、ワークの他側面の位置決め用穴の周縁に、ワークを受ける側のロボットハンドの基準ピンの先端部が当接された状態を示す図である。
【図9】図7の状態でワークを受ける側のロボットハンドのクランプ機構によりワークをクランプした状態を示す図である。
【図10】図9における要部拡大図であり、ワークの一側面の位置決め用穴の周縁に、ワークを渡す側のロボットハンドの基準ピンの先端部が当接されると共に、ワークの他側面の位置決め用穴に、ワークを受ける側のロボットハンドの基準ピンの先端部が嵌合された状態を示す図である。
【図11】ワークを渡す側のロボットハンドからワークを受ける側のロボットハンドへのワークの受け渡しが完了した状態を示す図である。
【図12】従来のロボットハンドの説明図であり、断面で示されるワークをクランプ(把持)した状態を示す。
【符号の説明】
【0024】
1(1A,1B) ロボットハンド、2 ワーク、6 ベース、7 位置決め用穴、7a,7b (位置決め用穴の)周縁、8 基準ピン、10 先端部、12 ガイド(基準ピン支持機構)、15 流体シリンダ(クランプ機構)、16 クランパ(クランプ機構)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用ロボットのアームに装着されて、ワークに配設された複数個の位置決め用穴を用いて前記ワークを位置決めさせるロボットハンドであって、
先端部がテーパ状に形成されて該先端部の外径が前記位置決め用穴の直径よりも大きい基準ピンと、
前記基準ピンが前記ワークの各位置決め用穴に相対して配置されるベースと、
前記ベースに設けられて前記ワークをクランパによって前記ベース側へ引き込んでクランプするクランプ機構と、
各基準ピンを各基準ピンの初期位置に向けて突出させた状態で保持して、各基準ピンの各先端部が押圧されると、各基準ピンを軸方向へストロークさせて最終的に各ストロークエンドに位置決めさせる基準ピン保持機構と、
を備えて、
前記ワークの各位置決め用穴の周縁に相対する各基準ピンの各先端部を当接させた状態で前記ワークを前記クランプ機構の前記クランパによって引き込んで、前記ワークの各位置決め用穴を相対する各基準ピンの各先端部で倣いつつ前記ワークを前記ロボットハンドに対して移動させ、各位置決め用穴に相対する各基準ピンを嵌合させることにより、前記ワークを位置決めさせるように構成したことを特徴とするロボットハンド。
【請求項2】
上記請求項1に記載のロボットハンド間でワークを受け渡す方法であって、
前記ワークの一側に配設された各位置決め用穴に相対する各基準ピンのテーパ状の各先端部を嵌合させて前記ワークを位置決めすると共に該ワークをクランプ機構によって把持するワークを渡す側のロボットハンドと、前記ワークを受ける側のロボットハンドと、を向かい合わせに位置決めさせるステップと、
前記ワークを渡す側のロボットハンドと前記ワークを受ける側のロボットハンドとを相対移動させて、前記ワークの他側に配設された各位置決め用穴の周縁に、前記ワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンのテーパ状の各先端部を当接させるステップと、
前記ワークの他側に配設された各位置決め用穴の周縁に、前記ワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンのテーパ状の各先端部を当接させた状態で、前記ワークを渡す側のロボットハンドの前記クランプ機構による前記ワークのクランプを解除するステップと、
前記ワークを渡す側のロボットハンドの前記クランプ機構による前記ワークのクランプが解除された状態で、前記ワークを受ける側のロボットハンドの前記クランプ機構によって前記ワークを受ける側のロボットハンド側へ前記ワークを引き込んで、前記ワークの他側に配設された各位置決め用穴を前記ワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンの各先端部で倣いつつ前記ワークを受ける側のロボットハンドに対して前記ワークを移動させ、前記ワークの他側に配設された各位置決め用穴に、前記ワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンを嵌合させて、前記ワークを受ける側のロボットハンドに対して前記ワークを位置決めさせると共に該ワークを受ける側のロボットハンドのクランプ機構によって前記ワークを把持するステップと、
前記ワークを渡す側のロボットハンドと前記ワークを受ける側のロボットハンドとを相対移動させて、前記ワークを渡す側のロボットハンドと前記ワークを受ける側のロボットハンドとを離反させるステップと、
を含むことを特徴とするロボットハンド間のワーク受け渡し方法。
【請求項1】
産業用ロボットのアームに装着されて、ワークに配設された複数個の位置決め用穴を用いて前記ワークを位置決めさせるロボットハンドであって、
先端部がテーパ状に形成されて該先端部の外径が前記位置決め用穴の直径よりも大きい基準ピンと、
前記基準ピンが前記ワークの各位置決め用穴に相対して配置されるベースと、
前記ベースに設けられて前記ワークをクランパによって前記ベース側へ引き込んでクランプするクランプ機構と、
各基準ピンを各基準ピンの初期位置に向けて突出させた状態で保持して、各基準ピンの各先端部が押圧されると、各基準ピンを軸方向へストロークさせて最終的に各ストロークエンドに位置決めさせる基準ピン保持機構と、
を備えて、
前記ワークの各位置決め用穴の周縁に相対する各基準ピンの各先端部を当接させた状態で前記ワークを前記クランプ機構の前記クランパによって引き込んで、前記ワークの各位置決め用穴を相対する各基準ピンの各先端部で倣いつつ前記ワークを前記ロボットハンドに対して移動させ、各位置決め用穴に相対する各基準ピンを嵌合させることにより、前記ワークを位置決めさせるように構成したことを特徴とするロボットハンド。
【請求項2】
上記請求項1に記載のロボットハンド間でワークを受け渡す方法であって、
前記ワークの一側に配設された各位置決め用穴に相対する各基準ピンのテーパ状の各先端部を嵌合させて前記ワークを位置決めすると共に該ワークをクランプ機構によって把持するワークを渡す側のロボットハンドと、前記ワークを受ける側のロボットハンドと、を向かい合わせに位置決めさせるステップと、
前記ワークを渡す側のロボットハンドと前記ワークを受ける側のロボットハンドとを相対移動させて、前記ワークの他側に配設された各位置決め用穴の周縁に、前記ワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンのテーパ状の各先端部を当接させるステップと、
前記ワークの他側に配設された各位置決め用穴の周縁に、前記ワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンのテーパ状の各先端部を当接させた状態で、前記ワークを渡す側のロボットハンドの前記クランプ機構による前記ワークのクランプを解除するステップと、
前記ワークを渡す側のロボットハンドの前記クランプ機構による前記ワークのクランプが解除された状態で、前記ワークを受ける側のロボットハンドの前記クランプ機構によって前記ワークを受ける側のロボットハンド側へ前記ワークを引き込んで、前記ワークの他側に配設された各位置決め用穴を前記ワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンの各先端部で倣いつつ前記ワークを受ける側のロボットハンドに対して前記ワークを移動させ、前記ワークの他側に配設された各位置決め用穴に、前記ワークを受ける側のロボットハンドの相対する各基準ピンを嵌合させて、前記ワークを受ける側のロボットハンドに対して前記ワークを位置決めさせると共に該ワークを受ける側のロボットハンドのクランプ機構によって前記ワークを把持するステップと、
前記ワークを渡す側のロボットハンドと前記ワークを受ける側のロボットハンドとを相対移動させて、前記ワークを渡す側のロボットハンドと前記ワークを受ける側のロボットハンドとを離反させるステップと、
を含むことを特徴とするロボットハンド間のワーク受け渡し方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−95968(P2009−95968A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−272582(P2007−272582)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(507346856)株式会社チタ製作所 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(507346856)株式会社チタ製作所 (1)
【Fターム(参考)】
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