説明

ロボット及びその製造方法

【課題】樹脂で形成された加工精度の高い軽量なロボットアームを備えたロボットを提供する。
【解決手段】第1アーム10に連結された第1アクチュエータ20と、第1アクチュエータ20を収容する第1収容部105を有する関節フレーム100を備え、第1収容部105は、樹脂Aの硬化物により形成された基礎フレーム101と、樹脂Aの硬化物よりも高い融解温度を有する樹脂Bの硬化物により形成された第1フレーム102とを接合して構成され、第1アクチュエータ20は、第1フレーム102に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットやサービスロボットは、一般にロボットアームを形成する材料として、鉄やアルミニウムなどの金属材の成形加工品が用いられる。一方、高速化や小型化を目的として軽量化が求められており、そのロボットの一例としては、特許文献1に記載の繊維強化プラスチック製リンク構造体の関節構造が挙げられる。この特許文献1の繊維強化プラスチック製リンク構造体の関節構造では、プラスチック及び金属との複合体によりロボットの関節を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−195998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記繊維強化プラスチック製リンク構造体の関節構造は、プラスチックと金属との複合体であり、高い加工精度が要求される部位には金属が設けられている。また、金属を含むため、軽量化には限界があるといった課題があった。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、樹脂で形成された加工精度の高い軽量なロボットアームを備えたロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、第1アームに連結された第1アクチュエータと、前記第1アクチュエータを収容する第1収容部を有する関節フレームとを備え、前記第1収容部は、樹脂Aの硬化物により形成された基礎フレームと、前記樹脂Aの硬化物よりも高い融解温度を有する樹脂Bの硬化物により形成された第1フレームとを接合して構成され、前記第1アクチュエータは、前記第1フレームに固定されたロボットアームを備えたロボットが適用される。
また、上記課題を解決するため、本発明の他の観点によれば、第1アームに連結された第1アクチュエータを収容する第1収容部を有し、前記第1収容部は、樹脂Aの硬化物により形成された基礎フレームと、前記樹脂Aの硬化物よりも高い融解温度を有する樹脂Bの硬化物により形成された第1フレームとを接合して構成された関節フレームを備えたロボットアームを有するロボットの製造方法であって、前記樹脂Bにより前記第1フレームを形成する工程と、前記第1フレームを金型に設置し、前記樹脂Bの硬化物の融解温度よりも低い温度により、前記金型に前記樹脂Aを射出成形することにより前記基礎フレームを形成する工程と、を有することを特徴とするロボットの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ロボットのアームを構成する関節フレームを樹脂により高精度に形成することができるようになり、大幅な軽量化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態に係るロボットアームについて説明するための説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るロボットアームの関節フレームについて説明するための説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るロボットアームの関節フレームの製造方法について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。なお、同一の構成については同一の符号を付することにより、重複説明を適宜省略する。
【0010】
<1.第1実施形態>
(1−1.ロボットアームの構成)
まず、図1を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係るロボットアームについて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るロボットアームについて説明するための説明図である。また、図2は、本発明の第1実施形態に係るロボットアームの関節フレームについて説明するための説明図である。
【0011】
図1及び図2に示すように、本発明の第1実施形態に係るロボットアーム1は、第1アーム10と、その先端側(エンドエフェクタ側)に連結された第2アーム30の間に介在し、関節フレーム100、第1アーム10に接続された第1アクチュエータ20、及び第2アーム30に接続された第2アクチュエータ40とを備える。
以下、これらの構成について詳細に説明する。なお、本実施形態におけるロボットアーム1は、1軸以上のロボットアームを有するロボットの一例を示すものであって、当該ロボットアームと類似構造を有し、複数の自由度を持つ多関節型のロボットに適用されてもよいことはいうまでもない。
【0012】
関節フレーム100は、基礎フレーム101と第1フレーム102、及び基礎フレーム101と第2フレーム103が接合されて構成され、接合された部分には、それぞれ第1収容部105及び第2収容部106を有する。第1収容部105には、第1アクチュエータ20が収容されて第1フレーム102に固定され、第2収容部106には、第2アクチュエータ40が収容されて第2フレーム103に固定される。
【0013】
基礎フレーム101は、後述する樹脂Aの硬化物により形成され、関節フレーム100の主骨格を形成する。基礎フレーム101と第1フレーム102の接合面は、第1フレーム102の外周面が基礎フレーム101に内接するように成形される。また、基礎フレーム101と第2フレーム103の接合面は、内・外輪を有する略円(リング)形状に成形される。
【0014】
第1フレーム102は、第1アクチュエータ20の固定される面の形状に合わせて略円板形状に成形され、第1アクチュエータ20を固定するための後述するボルト50が挿入されるボルト穴が設けられる。
また、第1フレーム102と第1アクチュエータ20をボルトで締結した際、クリープの発生により、締め付けトルクが低下することを防止する必要がある。そこで、第1フレーム102を形成する樹脂Bには、樹脂Aよりもさらにガラス転移温度が高い、または弾性率の高い硬化物となる樹脂が用いられる。
【0015】
第2フレーム103は、第2アクチュエータ40が装着される外周形状に合わせてリング形状に成形され、第2アクチュエータ40のフランジ部分を固定するための後述するボルト60が挿入されるボルト穴が設けられる。
また、第2フレーム103の内周面は、第2アクチュエータ40の外殻43の外周面が内接し、略合致して装着されるように高い精度(寸法公差:0.05mm以下)が要求される。そこで、上記のリング形状のように比較的単純な形状を単独で成形し、さらに樹脂を充填する際、成形器内部の温度、及び成形器内部にかかる圧力分布を均一にすることにより、樹脂の熱収縮時の不均一化を抑え、高精度の加工を行なうことができる。
第2フレーム103を形成する樹脂は、基礎フレーム101を形成する樹脂Aよりもさらにガラス転移温度が高い、または弾性率の高い硬化物となる第1フレーム102と同様の樹脂Bが用いられる。
【0016】
第1収容部105は、上記基礎フレーム101と上記第1フレーム102とが接合されて、その内方に形成され、第1アクチュエータ20を収容して保持するスペースである。
【0017】
第2収容部106は、上記基礎フレーム101と上記第2フレーム103とが接合されて、その内方に形成され、第2アクチュエータ40を収容して保持するスペースである。
【0018】
プリプレグ104は、炭素繊維にポリイミドあるいはポリオレフィン系の高耐熱性樹脂等を含浸させた複合材料であり、基礎フレーム101と第1フレーム102、及び基礎フレーム101と第2フレーム103との接合面に介在して互いを強固に接合する。
なお、プリプレグ104を介せず、樹脂Aで形成される基礎フレーム101と樹脂Bで形成される第1フレーム102、及び樹脂Aで形成される基礎フレーム101と樹脂Bで形成される第2フレーム103を、それぞれの樹脂の化学的結合による接着力を利用して直接接合してもよいことはいうまでもない。この場合、例えばそれぞれの接合面に互いに嵌合する凹凸面を形成することにより、さらに強固に接合することができる。
【0019】
ボルト50は、第1収容部105に収容された第1アクチュエータ20と、第1フレーム102、及び第2収容部106に収容された第2アクチュエータ40と、第2フレーム103を締結することにより、より強固に接合することができる。
【0020】
第1アクチュエータ20は、アクチュエータの一例であって、本体21、出力軸22、及び外殻23を備える。本体21は、モータ、シャフト、減速機、ブレーキ、及びエンコーダ等から構成され、モータ駆動時には、減速機、ブレーキ、あるいはエンコーダによりシャフトの回転角度及び回転速度等の制御が行なわれる。出力軸22は、第1アーム10に連結され、シャフトの回転に伴って、減速機から動力が伝達されるように構成されている。また、外殻23は、本体21を覆い固定するとともに、関節フレーム100の第1収容部105に収容されて、第1フレーム102に固定される。本体21内のモータが駆動することによって、本体21及び外殻23が回動し、外殻23を固定した関節フレーム100が連動する。この動作により関節フレーム100から先端側(エンドエフェクタ側)に連結されたロボットアームの姿勢変更が行なわれる。
【0021】
第2アクチュエータ40は、アクチュエータの一例であって、本体41、出力軸42、及び外殻43を備える。本体41は、モータ、シャフト、減速機、ブレーキ、及びエンコーダ等から構成され、モータ駆動時には、減速機、ブレーキ、あるいはエンコーダによりシャフトの回転角度及び回転速度等の制御が行なわれる。出力軸42は、第2アーム30に連結され、シャフトの回転に伴って、減速機から動力が伝達されるように構成されている。また、外殻43は、本体41を覆い固定するとともに、関節フレーム100の第2収容部106に収容されて、第2フレーム103に固定される。本体41内のモータが駆動することによって、出力軸42が回動し、それに連結された第2アーム30が連動する。この動作により第2アーム30から先端側(エンドエフェクタ側)に連結されたロボットアームの姿勢変更が行なわれる。
【0022】
(1−2.関節フレームの製造方法)
次に、本発明における関節フレーム100の製造方法について説明する。図3は、本発明の第1実施形態に係るロボットアームの関節フレームの製造方法について説明するための説明図である。
本実施形態における関節フレームの製造方法についての一例を下記(1)〜(3)に示す。なお、本実施形態で用いた金型は、理解を容易にするため各要素を模式的に示しており、本構造により特に制約を受けるものではない。
【0023】
(1)第1フレーム及び第2フレームの成形
第1フレーム102及び第2フレーム103は、高精度の寸法が求められる。特に、第2フレーム103は、円筒形の第2アクチュエータ40の外周面が、第2フレーム103に内接して装着されるように、第2フレーム103の内径寸法は、特に高精度に成形されることが要求される。このため、別の成形器を用い、各々の成形器(図示せず)に樹脂Bを充填・硬化させて作製する。なお、高い加工精度を確保するため、成形時には射出温度及び金型温度を一定に保つことが重要であり、成形器の大幅な温度変化を生じさせないためには、1ロットを連続して成形することが好ましい。
【0024】
(2)第1フレーム及び第2フレームの金型への設置
次に、上述により作製された第1フレーム102及び第2フレーム103を予熱する。予熱温度は、樹脂の種類にもよるが、概ね100℃程度で余熱すればよい。その後、ポリイミドあるいはポリオレフィン系樹脂を主材とする高耐熱性のプリプレグ104を、第1フレーム102及び第2フレーム103の基礎フレーム101と接合される面に設置する。そして、第1フレーム102及び第2フレーム103を金型200内の下型201の所定位置に配置し、上型202及びスライド型203を設置する。
また、プリプレグ104の接着力を高めるために、予め該接合される面をサンドペーパ等を用いて荒らしてもよい。プリプレグ104は、後段の射出成形時に金型200の温度を上げることにより硬化して接着材の役割を果たす。
【0025】
(3)基礎フレームの成形
上述の金型200を射出成形機(図示せず)に設置して、所定の樹脂加熱温度、金型温度、成形圧の条件に設定し、樹脂Aを注入ゲート204から注入する。樹脂Aの注入を終え、所定の温度で所定時間放置して樹脂が固まった後、上型202及びスライド型203を取り外すことにより、基礎フレーム101、第1フレーム102及び第2フレーム103が一体化した関節フレーム100の成形体を取り出すことができる。
例えば、樹脂Aに、ガラス短繊維30%含有−ポリブチレンテレフタレートを用いた場合、樹脂加熱温度:260℃、金型温度:80℃、及び成形圧:175.5MPa(90%)の条件において射出成形を行い、一定の保圧後、60秒放置した後に金型の取り外しを行うと、関節フレーム100が完成する。
【0026】
上記のように、予め硬化物の融解温度が樹脂Aよりも高い樹脂Bを用い、第1フレーム102及び第2フレーム103を、各々専用の成形器により高精度の成形を行なう。その後、金型200を用いて、該金型200の所定位置に第1フレーム102及び第2フレーム103を設置して樹脂Aを射出成形し、基礎フレーム101、第1フレーム102及び第2フレーム103を接合して一体化する。以上により、基礎フレーム101の成形時(樹脂Aの射出成形時)に、第1フレーム102及び第2フレーム103が熱的影響を受けることなく高精度な成形を行なうことができるとともに、樹脂による軽量の関節フレーム100の製造が可能となる。
【0027】
(1−3.樹脂の種類及び評価)
(1)樹脂の種類について
基礎フレーム101を形成した樹脂A、及び第1フレーム102、第2フレーム103を形成した樹脂Bについて説明する。使用した樹脂は下記の通りであり、表1に樹脂の構成とその特性値を示す。
(イ)ポリプロピレン(PP)
(ロ)ガラス短繊維30%含有ポリブチレンテレフタレート(GF30%PBT)
(ハ)ガラス短繊維30%含有ポリフェニレンサルファイド(GF 30%PPS)
(ニ)ガラス短繊維30%含有芳香族ナイロン(GF 30%PA)
(ホ)ガラス繊維&鉱物粒子50%含有ポリフェニレンサルファイド
〔(GF+MD)50%PPS〕
(ヘ)ガラス短繊維30%含有(GF30%PEEK)
(ト)ガラス短繊維30%含有液晶ポリマー(GF30%LCP)
【0028】
【表1】


GF:ガラス繊維,MD:鉱物粒子
【0029】
(2)加工精度の評価について
上記製造方法により関節フレーム100を作製し、その寸法を測定することにより加工精度についての評価を行なった。本評価に試供した基礎フレーム101〔樹脂A〕と、第1フレーム102・第2フレーム103〔樹脂B〕の組み合わせを表2に示す。なお、樹脂A及び樹脂Bの構成、及びその組み合わせは一例であり、これらに限定されない。
【0030】
【表2】

【0031】
表2の組み合わせにより作製された関節フレーム100について、特に高い加工精度が要求され、第2アクチュエータ40が固定される第2フレーム103の接触面の寸法精度について検証した。長手方向の寸法L(図2)が160mmの関節フレーム100について、第2フレーム103の内径の寸法は、要求される寸法公差0.05mm以下となっており、高精度の真円度が確保されることを確認した。
また、基礎フレーム101と第2フレーム103との接合部分における熱膨張差は80ppm以下であり、第1アクチュエータ20及び第2アクチュエータ40駆動時の発熱による変形、及び接合面の接合強度の低下が生じる可能性は無視できる程度に小さいことが分かった。
【0032】
なお、樹脂Aとしては、例1〜3に用いた樹脂に限定されるものではなく、ポリエチレン、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ナイロン、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレートを用いることができる。また、樹脂Bとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマーの樹脂を用いることも可能である。
【0033】
(3)クリープ発生の評価について
同様の製造方法により関節フレーム100を作製し、第1フレーム102及び第1アクチュエータ20をボルト50により所定のトルクで締結した。その後、80℃の雰囲気下に一定時間放置する工程を経て、各ボルト50の締結トルクを測定することによりクリープ発生の評価を行なった。本評価に試供した基礎フレーム101〔樹脂A〕と、第1フレーム102・第2フレーム103〔樹脂B〕の組み合わせを表3に示す。なお、樹脂A及び樹脂Bの構成、及びその組み合わせは一例であり、これらに限定されない。
【0034】
【表3】

【0035】
表3の組み合わせにより作製された関節フレーム100について、特に耐クリープ性が要求される第1フレーム102における第1アクチュエータ20とを締結したボルト50の締結トルクについて検証した。
いずれの例についても、ロボットアームの動作に支障を与える程の締結トルクの大幅な低下は認められなかった。また、実際にロボットアームに組み込んで動作試験を行った際にも、第1アクチュエータ20は強固に固定されており、締結トルクの大幅な低下は認められなかった。
例えば、第1フレーム102と第1アクチュエータ20とをボルト50により、初期トルク1.74N・mで締結し、60℃で50日間保持したところ、残留トルクは1〜1.2N・mとなり、初期締結トルクの60〜70%を維持することができた。その後、ロボットアームの先端部を固定壁に接触させ、ロボットを動作させて、ぶつけ位置再現精度試験を行った。第1アクチュエータのモータ定格トルクの200%に達するまで電流値を徐々に増加させ、ダイヤルゲージを用いて位置のズレ幅を検証した。その結果、5回(サンプル:n=5)の試験において最大のズレ幅は0.15mmであった。要求される仕様は0.2mm以下であることから、仕様をクリアするとともに、締結トルクの大幅な低下の要因となるクリープは発生しないことを確認した。
また基礎フレーム101と第1フレーム102との接合部分における熱膨張差は10ppm以下であり、第1アクチュエータ20及び第2アクチュエータ40駆動時の発熱による変形、及び接合面の接合強度の低下は生じにくいことが分かった。このように、例3または例5の樹脂Bに供した芳香族ナイロンまたはポリエーテルエーテルケトンは、ガラス転移温度が高く、温度上昇による影響を受けにくいため、クリープの発生を防止する効果が高いことが分かった。また例4及び例6の樹脂Bは、ガラス繊維や鉱物粒子が多く含有されているために弾性率が高く、クリープの発生を防止する効果が高いことが分かった。
【0036】
なお、例3〜6に用いた樹脂に限定されるものではなく、樹脂Bとしては、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド樹脂およびガラス繊維や鉱物粒子が高充填されたポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いることも可能である。
【0037】
(1−4.本実施形態による効果の一例)
以上説明したように、本実施形態に係るロボットアーム1は、ロボットアームを構成する関節フレーム100を樹脂で高精度に形成することができるようになり、金属製のロボットアームに比べて大幅な軽量化が可能になる。
また、樹脂Bは、樹脂Aの硬化物に対し、ガラス転移温度が高い、または曲げ弾性率が高い硬化物となる樹脂を選定することにより、ボルト締結時のクリープの発生を低減し、ボルトの緩みを防止する効果を得ることができる。
さらに、樹脂Bは、樹脂Aの硬化物に対し、引張破断強度が大きい硬化物となる樹脂を選定することにより高強度の関節フレーム100を成形することができ、硬度が大きい硬化物となる樹脂を選定することにより、精度の高い加工を行なうことができるようになる。
また、ポリイミドあるいはポリオレフィン系の高耐熱性樹脂を主材とするプリプレグ104を、第1フレーム102及び第2フレーム103の基礎フレーム101と接合される面に使用することにより、より強固に接合することが可能である。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明した。ただし、いわゆる当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、上記実施形態から適宜変更が可能であり、また、上記実施形態と変更例による手法を適宜組み合わせて利用することも可能である。すなわち、このような変更等が施された技術であっても、本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。
【0039】
例えば、第1フレーム102と第2フレーム103は同じ樹脂Bにより成形したが、上記の知見に基づいて、異なる樹脂により成形することも可能である。また、第1フレーム102は円板形状に成形され、第2フレーム103はリング形状に成形されているが、必要に応じてその形状を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、電動機を備えた工作機械などにも適用できる。
【符号の説明】
【0041】
1 ロボットアーム
10 第1アーム
20 第1アクチュエータ
21 本体
22 出力軸
23 外殻
30 第2アーム
40 第2アクチュエータ
41 本体
42 出力軸
43 外殻
50 ボルト
60 ボルト
100 関節フレーム
101 基礎フレーム
102 第1フレーム
103 第2フレーム
104 プリプレグ
105 第1収容部
106 第2収容部
200 金型
201 下型
202 上型
203 スライド型
204 注入ゲート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アームに連結された第1アクチュエータと、前記第1アクチュエータを収容する第1収容部を有する関節フレームとを備え、
前記第1収容部は、樹脂Aの硬化物により形成された基礎フレームと、前記樹脂Aの硬化物よりも高い融解温度を有する樹脂Bの硬化物により形成された第1フレームとを接合して構成され、
前記第1アクチュエータは、前記第1フレームに固定されたロボットアームを備えたことを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記第1アクチュエータの回転軸に対して垂直の回転軸を有し、第2アームに連結された第2アクチュエータをさらに備え、
前記関節フレームは、前記第2アクチュエータを収容する第2収容部をさらに有し、
前記第2収容部は、前記基礎フレームと、前記樹脂Bの硬化物により形成された第2フレームを接合して構成されるとともに、
前記第2アクチュエータは、前記第2フレームに固定されたロボットアームを備えたことを特徴とする請求項1記載のロボット。
【請求項3】
前記樹脂Bの硬化物のガラス転移温度は、前記樹脂Aの硬化物のガラス転移温度よりも高いことを特徴とする請求項1記載のロボット。
【請求項4】
前記樹脂Bの硬化物の曲げ弾性率は、前記樹脂Aの硬化物の曲げ弾性率よりも高いことを特徴とする請求項1記載のロボット。
【請求項5】
前記樹脂Bの硬化物の引張破断強度は、前記樹脂Aの硬化物の引張破断強度よりも大きいことを特徴とする請求項1記載のロボット。
【請求項6】
前記樹脂Bの硬化物の硬度は、前記樹脂Aの硬化物の硬度よりも大きいことを特徴とする請求項1記載のロボット。
【請求項7】
前記第基礎フレームと前記第1フレーム、または前記基礎フレームと前記第2フレームは、プリプレグを介して接合されたことを特徴とする請求項1記載のロボット。
【請求項8】
第1アームに連結された第1アクチュエータを収容する第1収容部を有し、前記第1収容部は、樹脂Aの硬化物により形成された基礎フレームと、前記樹脂Aの硬化物よりも高い融解温度を有する樹脂Bの硬化物により形成された第1フレームとを接合して構成された関節フレームを備えたロボットアームを有するロボットの製造方法であって、
前記樹脂Bにより前記第1フレームを形成する工程と、
前記第1フレームを金型に設置し、前記樹脂Bの硬化物の融解温度よりも低い温度により、前記金型に前記樹脂Aを射出成形することにより前記基礎フレームを形成する工程と、を有することを特徴とするロボットの製造方法

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate