ロボット塗装における吐出塗料制御システム
【課題】
ロボット塗装の汎用性は高いが、被塗装物の塗装部位に応じた噴霧調整のなかで、塗料吐出量の適応性に不十分で塗料の有効使用や精度の高い塗装に改善の余地が残されている。
【解決手段】
スプレーガンを搭載し教示されたデータに基づき作動されるマニピュレータと、該マニピュレータ及び前記搭載されたスプレーガン等の作動を制御する制御装置とを備えた塗装ロボットの、前記制御装置によって作動制御される塗料供給装置を、前記制御装置からの出力信号により回転数を制御されるサーボモータにより駆動されるギアポンプと圧力センサとで構成し、防爆仕様とするとともに、塗装位置に配置されたマニピュレータの近傍に設置し、前記スプレーガンと接続する塗料ホースの長さを至近距離とする。ギアポンプは前記教示データと連動して制御され、スプレー信号と同期により動作が行われる。
ロボット塗装の汎用性は高いが、被塗装物の塗装部位に応じた噴霧調整のなかで、塗料吐出量の適応性に不十分で塗料の有効使用や精度の高い塗装に改善の余地が残されている。
【解決手段】
スプレーガンを搭載し教示されたデータに基づき作動されるマニピュレータと、該マニピュレータ及び前記搭載されたスプレーガン等の作動を制御する制御装置とを備えた塗装ロボットの、前記制御装置によって作動制御される塗料供給装置を、前記制御装置からの出力信号により回転数を制御されるサーボモータにより駆動されるギアポンプと圧力センサとで構成し、防爆仕様とするとともに、塗装位置に配置されたマニピュレータの近傍に設置し、前記スプレーガンと接続する塗料ホースの長さを至近距離とする。ギアポンプは前記教示データと連動して制御され、スプレー信号と同期により動作が行われる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、塗装ロボットによる塗装仕上げに関わる吐出量の設定を被塗装物の塗装部位によって適応させ、塗料の有効使用と塗装仕上げの精度向上を可能にする塗料制御システムに関する。
【背景技術】
【０００２】
ロボット塗装においては、予め被塗装物に対する塗装軌跡を教示し、これを繰り返し再生作動させることによって自動的に安定した塗装が行なわれる。現在では高精度の動作制御が可能であり、教示により適正なデータをプログラムすることで品質の高い塗装が自動的に得られることから多種多様な被塗装物へ利用が高まっている。
【０００３】
通常スプレー塗装では被塗装物に応じてスプレーパターンの調整が行われ、被塗装物の塗装部位に対して有効適切な塗装、すなわち最も単純な例としては広い面積には大きなパターンで塗装し、狭い範囲の塗装部分にはパターンを小さくして塗料の無駄がないように塗装されることが望ましい。
【０００４】
塗装ロボットにおいてもこれらの調整は、スプレーガンへのパターン調整空気の供給圧力を制御することで可能であり、塗装ロボットの教示の際に動作の軌跡と共に、スプレーガンの吹付け作動と共に前記パターン調整空気の供給と圧力調整を含めてスプレー制御を記憶させて、被塗装物の塗装条件に合った適切な塗装を行わせることがすでに行われている。
【０００５】
さらにパターンが小さいときは塗料吐出量もこれに応じて少なくすることが塗料の節約、有効利用となるが、スプレーガンに吐出量調整弁を設けることは困難で、一般的にはスプレーガンに供給する塗料の供給圧力を調整することによって、塗料ノズルから噴出する塗料の量が変化することから、スプレーガンは塗料弁を開閉するだけとし、塗料供給装置もしくは圧力調整弁からの供給圧力を設定して吐出量の調整を行っている。
【０００６】
これまで、塗料の供給圧力を調整することで吐出量を調整する技術は、特開平１１−７６８８７等に示されているが、塗料圧力の設定による場合はスプレーガンの塗料ノズルから噴出する圧力を、塗料ホースの長さや設置状態、スプレーガンの高さ位置による圧力変化等により変動し、設定した一定の圧力で噴出させることが困難となる。
【０００７】
また、塗料の圧力調整を含めた供給装置からスプレーガンまでの長さは応答性に影響し、実際にスプレーガンの塗料ノズルから噴出する圧力が、調整制御した供給圧力となるまでに時間を要することから、直ちに前記スプレーパターンに応じた吐出量に変更することは非常に困難となる。
【０００８】
このため通常は吐出量を一定にした状態で塗装を行うか、前記文献に見られるように供給制御機器もしくはポンプからスプレーガンまでの距離を短くすることによって対応せざるを得ない状態になる。しかしこれらの方法では複雑な塗料の供給路を塗装ロボットのアームに取付けなければならず、関連機器のメンテナンス負荷の増加や塗装ロボットの操作性を損なう問題が生ずることになる。
【０００９】
一方、塗料供給の定量性では安定して正確な吐出量を得られる装置としてギアポンプが知られる。このポンプの場合回転数に比例する排除容積が得られ、サーボモータの駆動回転数制御により制御が容易であるため、特に少吐出量で精密な塗装を行う場合に効果がある。
【００１０】
これらの塗料供給方法は特開２００３−１０７４２号公報にも示され吐出量の監視を図ることによって確実に吐出量を管理する技術も開示されている。反面、ギアポンプは吐出量が回転で決まるために、スプレーガン側で詰まりが生ずると供給ホース内の圧力が増大し破裂に至る問題がある。すなわち塗装面に向けて自在に動かされるスプレーガンは塗料供給装置との間を柔軟性のある塗料ホースで接続されるため、前記の耐圧的な危険性が残されることになる。また金属製のように剛性が高くないため、供給ホース内の圧力変動による蓄圧により塗料ノズルからの吐出時に変動が生ずる傾向があり、これは供給ホースが長いほど多いことになる。
【特許文献１】特開平１１−７６８８７号公報
【特許文献２】特開２００３−１０７４２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
ロボット塗装の汎用性は高いが、被塗装物の塗装部位に応じた噴霧調整のなかで、塗料吐出量の適応性に不十分で塗料の有効使用や精度の高い塗装に改善の余地が残されている。本発明は、多様化する被塗装物に対し、それぞれの塗装部位に応じたスプレーパターンに適した塗料の吐出量を、塗装ステップ毎に設定教示可能として、マニピュレータの動作と連動し、都度適正な塗装（吐出量）での塗装を可能とすることによってロボット塗装の利用拡大を図ることができるシステムを提供することにある。また本システムの実施にあたり、前記した従来の問題点を改善し、簡潔で安全に使用される装置として提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
スプレーガンを搭載し教示されたデータに基づき作動されるマニピュレータと、該マニピュレータ及び前記搭載されたスプレーガン等の作動を制御する制御装置とを備えた塗装ロボットの、前記制御装置によって作動制御される塗料供給装置を、前記制御装置からの出力信号により回転数を制御されるサーボモータにより駆動されるギアポンプと圧力センサとで構成し、ギアポンプの駆動信号は前記塗装ロボットの教示データのステップ毎に記憶されたデータに連動して、スプレー信号と同期させて前記ギアポンプを作動させる。
【００１３】
圧力センサの検出値は制御装置に送られ、異常検出によりギアポンプの停止及びそれに伴う警告表示を出力させる。
【００１４】
塗料供給装置は、防爆仕様とするとともに、塗装位置に配置されたマニピュレータの近傍に設置し、前記スプレーガンと接続する塗料ホースの長さを至近距離とする。
【発明の効果】
【００１５】
上記構成により、本発明を実施することにより塗装ロボットを使用した塗装が各塗装ステップにおいて適正な塗料吐出量で行うことができ、高精度の塗料吐出量管理のもとで高い塗着効率と精密な塗装を行うことができる。特に被塗装物の塗装部位により吐出量条件を調整して適正な吐出量での塗装を行うことが望まれる場合に、塗装のステップ毎に教え込まれたデータをもとに、その時そのときに必要とする値の吐出量で塗装することができ、しかもその精度を高い精度で行うことができるため塗料の無駄が無く、塗装コストの削減、環境改善につなげることができる。
【００１６】
スプレーガン側が何らかの不具合によって、例えば塗料ノズルに詰まりが生じても圧力センサを設けたことによって、直ちに異常圧力を検出し、ギアポンプの作動を停止し塗料ホースの破裂などの問題を引き起こさないようにして、安全に使用することができる。
【００１７】
また塗料供給装置は防爆仕様とすることによって塗装位置での設置を可能とし、塗装ロボットに操作されるスプレーガンとの距離を近づけ、これらを接続する塗料供給ホースの長さを最小限として、調整される塗料吐出量の変化に対する実用上問題のないレベルまで応答性を高めることができる。
【００１８】
本発明によればギアポンプの使用によって、塗装部位に合わせた塗料吐出量によって無駄のない噴霧塗装を行ことができるようになり、塗料消費量の節減を図れるだけでなく、ギアポンプの使用によって生ずる問題を改善して安全に使用できるシステムとすることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
以下、本発明の実施の形態について説明する。 図１は、本発明の塗装における塗料制御システムの概要を説明するための図を示している。個々の設備とその構成については、すでに幾つかの実施事例や技術情報により明らかにされているものであり、ここでは詳細を省略している。
【００２０】
図１に示すように、本発明の制御システムは、記憶再生型のマニピュレータとして幾つかの自由度（作動制御可能な軸数）をもって駆動されるアーム１を持った塗装ロボット本体と、その本体を駆動制御するための制御装置２とを有するロボット塗装装置が使用される。
【００２１】
塗装は、アーム１に搭載されたスプレーガン３により、図示されていない被塗装物に対して、その塗装面に応じて移動しながら順次行われる。通常スプレーガン３の移動及び吹付け制御は、熟練した塗装技術に基づいて吹付け作動の軌跡及び作動条件として教示され、記憶されたそのときのデータが制御装置２より塗装ロボット本体、スプレーガンもしくはガンコントローラ、塗料供給装置等に出力され、教示された塗装条件と同じ状態で再生が繰り返えされる。
【００２２】
ガンコントローラ４はスプレーガン３の作動条件を特定し、適正な塗装を行うために必要な作動を制御するもので、スプレーのON-OFF、吹付けパターンの制御などが行われる。一般にこのようなロボット塗装では、吹付け空気圧力の供給によってスプレーガン３が作動し、吹付けが行われる自動スプレーガンが使用されるため、ここでは必要な圧力の圧縮空気を供給もしくは停止する機器が設けられて制御される。
【００２３】
また必要によりパターン調整空気の制御手段を別途に設けたスプレーガンに対して、このパターン調整用空気の供給圧力を任意に制御することによって噴霧パターンの大きさを変化させ、被塗装物の塗装部位によって必要なパターン幅に調整することも可能であり、その制御手段としてパターン調整圧力制御弁を備えることもある。
【００２４】
なお、塗料の吐出を制御する塗料弁は、ほとんどの場合前記スプレーの際に供給される吹付け空気圧力によって開閉が連動され、個別に制御されるものではない。
【００２５】
供給装置５は、塗料容器１５の塗料をスプレーガン３に供給するポンプとしてギアポンプ６が使用される。ギアポンプ６は、歯の回転により空間容積に吸い込まれた定量の塗料が送り出されるもので、歯の形状構成に限定されるものではなく、回転により一定量が吐出されるものであれば良く市販されている幾つかのギアポンプと呼ばれるものが用いられる。
【００２６】
定量供給のためこれらのギアポンプ６は、サーボモータ等の駆動モータ７によって駆動され、その回転数制御は前記塗装ロボットの制御装置２より出力された信号によって行われる。これらの回転数制御は、予め特定されたギアポンプ６の仕様に基づき、必要な吐出量に対応する回転数が記憶された制御装置２より駆動モータ７に出力されて制御される。本発明では被塗装物の塗装部位に応じてステップ毎に記憶されたデータに基づいて駆動モータ７が回転し、その塗装部位に応じた吐出量で吹付けが行われることになる。
【００２７】
回転に見合った塗料が吐出されるギアポンプ６では、出力された制御装置２からの出力により駆動モータ７が回転した分の塗料が吐出され、塗料ホース８を通してスプレーガン３に供給され、そのままの吐出量でがスプレーガン３から吐出される。しかし前述のように、スプレーガンの塗料ノズルが何らかの理由により詰まりを生じた場合、吐出側の圧力は増大し供給用の塗料ホース８が破損する危険が生ずることになる。
【００２８】
このため本発明ではギアポンプ６の吐出側に圧力センサ９を設け、吐出側通路に異常圧力上昇があった場合に、この圧力を検出し、制御装置２によって直ちにギアポンプ６の駆動を停止し、異常を知らせる構成を備えている。
【００２９】
また供給装置５は防爆仕様として、爆発性雰囲気の中での使用を可能に構成することによって塗装位置に設置されるマニピュレータの近傍に設置可能となり、スプレーガン３に塗料を供給する塗料ホース８を短くすることができる。塗料ホースは長くなるほど塗料の供給圧力によって内部に蓄圧される容積が多くなり塗料ノズルから噴出する塗料の応答性が低下する。したがって被塗装物によって、精密な塗装を要求される場合には、上記の構成にすることによって直ちに塗装部位の変化に対応して塗料吐出量を適正値に
変更することができる。
【００３０】
制御装置２は前述の通り、塗装ロボットの制御装置としての記憶装置と演算処理装置を含み、関連する機器の制御出力を行う。図においては本発明に直接関係する塗装ロボット本体として作動するマニピュレータ制御２１と塗料の供給装置制御２２が示されている。これらの制御のための入力、出力、演算結果あるいは前記異常圧力上昇時の警告等における表示２３が必要に応じて設けられ、操作の容易化が図られている。
【００３１】
なお、塗料とギアポンプ６の中間に設けられた切替バルブ１０は、塗料の変更時等に洗浄液１１との経路切替えを行うために設けられ、制御装置２の指令で作動される構成になっている。またスプレーガン３への供給経路に設けられたドレンバルブ１２は、同じく洗浄による廃液を回収するための切替えバルブである。
【産業上の利用可能性】
【００３２】
塗装ロボットによる塗装仕様に塗料吐出量を塗装部位ごとに調整管理できるシステムにより、これまで不向きであった、少吐出量で高価な塗料を使用する高級精密な塗装分野にも利用拡大ができ、塗装ロボットの効果である作業能率の大幅な向上、塗装コストの削減等これまで以上に広範な活用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００３３】
【図１】本発明の塗装制御システムの概要を説明するための図である。
【符号の説明】
【００３４】
１ ロボットアーム
２ 制御装置
３ スプレーガン
４ ガンコントローラ
５ 供給装置
６ ギアポンプ
７ 駆動モータ
８ 塗料ホース
９ 圧力センサ
１０ 切替バルブ
１１ 洗浄液
１２ ドレンバルブ
１５ 塗料容器
１６ 廃液
２１ マニピュレータ制御
２２ 供給装置制御
２３ 表示
【技術分野】
【０００１】
本発明は、塗装ロボットによる塗装仕上げに関わる吐出量の設定を被塗装物の塗装部位によって適応させ、塗料の有効使用と塗装仕上げの精度向上を可能にする塗料制御システムに関する。
【背景技術】
【０００２】
ロボット塗装においては、予め被塗装物に対する塗装軌跡を教示し、これを繰り返し再生作動させることによって自動的に安定した塗装が行なわれる。現在では高精度の動作制御が可能であり、教示により適正なデータをプログラムすることで品質の高い塗装が自動的に得られることから多種多様な被塗装物へ利用が高まっている。
【０００３】
通常スプレー塗装では被塗装物に応じてスプレーパターンの調整が行われ、被塗装物の塗装部位に対して有効適切な塗装、すなわち最も単純な例としては広い面積には大きなパターンで塗装し、狭い範囲の塗装部分にはパターンを小さくして塗料の無駄がないように塗装されることが望ましい。
【０００４】
塗装ロボットにおいてもこれらの調整は、スプレーガンへのパターン調整空気の供給圧力を制御することで可能であり、塗装ロボットの教示の際に動作の軌跡と共に、スプレーガンの吹付け作動と共に前記パターン調整空気の供給と圧力調整を含めてスプレー制御を記憶させて、被塗装物の塗装条件に合った適切な塗装を行わせることがすでに行われている。
【０００５】
さらにパターンが小さいときは塗料吐出量もこれに応じて少なくすることが塗料の節約、有効利用となるが、スプレーガンに吐出量調整弁を設けることは困難で、一般的にはスプレーガンに供給する塗料の供給圧力を調整することによって、塗料ノズルから噴出する塗料の量が変化することから、スプレーガンは塗料弁を開閉するだけとし、塗料供給装置もしくは圧力調整弁からの供給圧力を設定して吐出量の調整を行っている。
【０００６】
これまで、塗料の供給圧力を調整することで吐出量を調整する技術は、特開平１１−７６８８７等に示されているが、塗料圧力の設定による場合はスプレーガンの塗料ノズルから噴出する圧力を、塗料ホースの長さや設置状態、スプレーガンの高さ位置による圧力変化等により変動し、設定した一定の圧力で噴出させることが困難となる。
【０００７】
また、塗料の圧力調整を含めた供給装置からスプレーガンまでの長さは応答性に影響し、実際にスプレーガンの塗料ノズルから噴出する圧力が、調整制御した供給圧力となるまでに時間を要することから、直ちに前記スプレーパターンに応じた吐出量に変更することは非常に困難となる。
【０００８】
このため通常は吐出量を一定にした状態で塗装を行うか、前記文献に見られるように供給制御機器もしくはポンプからスプレーガンまでの距離を短くすることによって対応せざるを得ない状態になる。しかしこれらの方法では複雑な塗料の供給路を塗装ロボットのアームに取付けなければならず、関連機器のメンテナンス負荷の増加や塗装ロボットの操作性を損なう問題が生ずることになる。
【０００９】
一方、塗料供給の定量性では安定して正確な吐出量を得られる装置としてギアポンプが知られる。このポンプの場合回転数に比例する排除容積が得られ、サーボモータの駆動回転数制御により制御が容易であるため、特に少吐出量で精密な塗装を行う場合に効果がある。
【００１０】
これらの塗料供給方法は特開２００３−１０７４２号公報にも示され吐出量の監視を図ることによって確実に吐出量を管理する技術も開示されている。反面、ギアポンプは吐出量が回転で決まるために、スプレーガン側で詰まりが生ずると供給ホース内の圧力が増大し破裂に至る問題がある。すなわち塗装面に向けて自在に動かされるスプレーガンは塗料供給装置との間を柔軟性のある塗料ホースで接続されるため、前記の耐圧的な危険性が残されることになる。また金属製のように剛性が高くないため、供給ホース内の圧力変動による蓄圧により塗料ノズルからの吐出時に変動が生ずる傾向があり、これは供給ホースが長いほど多いことになる。
【特許文献１】特開平１１−７６８８７号公報
【特許文献２】特開２００３−１０７４２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
ロボット塗装の汎用性は高いが、被塗装物の塗装部位に応じた噴霧調整のなかで、塗料吐出量の適応性に不十分で塗料の有効使用や精度の高い塗装に改善の余地が残されている。本発明は、多様化する被塗装物に対し、それぞれの塗装部位に応じたスプレーパターンに適した塗料の吐出量を、塗装ステップ毎に設定教示可能として、マニピュレータの動作と連動し、都度適正な塗装（吐出量）での塗装を可能とすることによってロボット塗装の利用拡大を図ることができるシステムを提供することにある。また本システムの実施にあたり、前記した従来の問題点を改善し、簡潔で安全に使用される装置として提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
スプレーガンを搭載し教示されたデータに基づき作動されるマニピュレータと、該マニピュレータ及び前記搭載されたスプレーガン等の作動を制御する制御装置とを備えた塗装ロボットの、前記制御装置によって作動制御される塗料供給装置を、前記制御装置からの出力信号により回転数を制御されるサーボモータにより駆動されるギアポンプと圧力センサとで構成し、ギアポンプの駆動信号は前記塗装ロボットの教示データのステップ毎に記憶されたデータに連動して、スプレー信号と同期させて前記ギアポンプを作動させる。
【００１３】
圧力センサの検出値は制御装置に送られ、異常検出によりギアポンプの停止及びそれに伴う警告表示を出力させる。
【００１４】
塗料供給装置は、防爆仕様とするとともに、塗装位置に配置されたマニピュレータの近傍に設置し、前記スプレーガンと接続する塗料ホースの長さを至近距離とする。
【発明の効果】
【００１５】
上記構成により、本発明を実施することにより塗装ロボットを使用した塗装が各塗装ステップにおいて適正な塗料吐出量で行うことができ、高精度の塗料吐出量管理のもとで高い塗着効率と精密な塗装を行うことができる。特に被塗装物の塗装部位により吐出量条件を調整して適正な吐出量での塗装を行うことが望まれる場合に、塗装のステップ毎に教え込まれたデータをもとに、その時そのときに必要とする値の吐出量で塗装することができ、しかもその精度を高い精度で行うことができるため塗料の無駄が無く、塗装コストの削減、環境改善につなげることができる。
【００１６】
スプレーガン側が何らかの不具合によって、例えば塗料ノズルに詰まりが生じても圧力センサを設けたことによって、直ちに異常圧力を検出し、ギアポンプの作動を停止し塗料ホースの破裂などの問題を引き起こさないようにして、安全に使用することができる。
【００１７】
また塗料供給装置は防爆仕様とすることによって塗装位置での設置を可能とし、塗装ロボットに操作されるスプレーガンとの距離を近づけ、これらを接続する塗料供給ホースの長さを最小限として、調整される塗料吐出量の変化に対する実用上問題のないレベルまで応答性を高めることができる。
【００１８】
本発明によればギアポンプの使用によって、塗装部位に合わせた塗料吐出量によって無駄のない噴霧塗装を行ことができるようになり、塗料消費量の節減を図れるだけでなく、ギアポンプの使用によって生ずる問題を改善して安全に使用できるシステムとすることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
以下、本発明の実施の形態について説明する。 図１は、本発明の塗装における塗料制御システムの概要を説明するための図を示している。個々の設備とその構成については、すでに幾つかの実施事例や技術情報により明らかにされているものであり、ここでは詳細を省略している。
【００２０】
図１に示すように、本発明の制御システムは、記憶再生型のマニピュレータとして幾つかの自由度（作動制御可能な軸数）をもって駆動されるアーム１を持った塗装ロボット本体と、その本体を駆動制御するための制御装置２とを有するロボット塗装装置が使用される。
【００２１】
塗装は、アーム１に搭載されたスプレーガン３により、図示されていない被塗装物に対して、その塗装面に応じて移動しながら順次行われる。通常スプレーガン３の移動及び吹付け制御は、熟練した塗装技術に基づいて吹付け作動の軌跡及び作動条件として教示され、記憶されたそのときのデータが制御装置２より塗装ロボット本体、スプレーガンもしくはガンコントローラ、塗料供給装置等に出力され、教示された塗装条件と同じ状態で再生が繰り返えされる。
【００２２】
ガンコントローラ４はスプレーガン３の作動条件を特定し、適正な塗装を行うために必要な作動を制御するもので、スプレーのON-OFF、吹付けパターンの制御などが行われる。一般にこのようなロボット塗装では、吹付け空気圧力の供給によってスプレーガン３が作動し、吹付けが行われる自動スプレーガンが使用されるため、ここでは必要な圧力の圧縮空気を供給もしくは停止する機器が設けられて制御される。
【００２３】
また必要によりパターン調整空気の制御手段を別途に設けたスプレーガンに対して、このパターン調整用空気の供給圧力を任意に制御することによって噴霧パターンの大きさを変化させ、被塗装物の塗装部位によって必要なパターン幅に調整することも可能であり、その制御手段としてパターン調整圧力制御弁を備えることもある。
【００２４】
なお、塗料の吐出を制御する塗料弁は、ほとんどの場合前記スプレーの際に供給される吹付け空気圧力によって開閉が連動され、個別に制御されるものではない。
【００２５】
供給装置５は、塗料容器１５の塗料をスプレーガン３に供給するポンプとしてギアポンプ６が使用される。ギアポンプ６は、歯の回転により空間容積に吸い込まれた定量の塗料が送り出されるもので、歯の形状構成に限定されるものではなく、回転により一定量が吐出されるものであれば良く市販されている幾つかのギアポンプと呼ばれるものが用いられる。
【００２６】
定量供給のためこれらのギアポンプ６は、サーボモータ等の駆動モータ７によって駆動され、その回転数制御は前記塗装ロボットの制御装置２より出力された信号によって行われる。これらの回転数制御は、予め特定されたギアポンプ６の仕様に基づき、必要な吐出量に対応する回転数が記憶された制御装置２より駆動モータ７に出力されて制御される。本発明では被塗装物の塗装部位に応じてステップ毎に記憶されたデータに基づいて駆動モータ７が回転し、その塗装部位に応じた吐出量で吹付けが行われることになる。
【００２７】
回転に見合った塗料が吐出されるギアポンプ６では、出力された制御装置２からの出力により駆動モータ７が回転した分の塗料が吐出され、塗料ホース８を通してスプレーガン３に供給され、そのままの吐出量でがスプレーガン３から吐出される。しかし前述のように、スプレーガンの塗料ノズルが何らかの理由により詰まりを生じた場合、吐出側の圧力は増大し供給用の塗料ホース８が破損する危険が生ずることになる。
【００２８】
このため本発明ではギアポンプ６の吐出側に圧力センサ９を設け、吐出側通路に異常圧力上昇があった場合に、この圧力を検出し、制御装置２によって直ちにギアポンプ６の駆動を停止し、異常を知らせる構成を備えている。
【００２９】
また供給装置５は防爆仕様として、爆発性雰囲気の中での使用を可能に構成することによって塗装位置に設置されるマニピュレータの近傍に設置可能となり、スプレーガン３に塗料を供給する塗料ホース８を短くすることができる。塗料ホースは長くなるほど塗料の供給圧力によって内部に蓄圧される容積が多くなり塗料ノズルから噴出する塗料の応答性が低下する。したがって被塗装物によって、精密な塗装を要求される場合には、上記の構成にすることによって直ちに塗装部位の変化に対応して塗料吐出量を適正値に
変更することができる。
【００３０】
制御装置２は前述の通り、塗装ロボットの制御装置としての記憶装置と演算処理装置を含み、関連する機器の制御出力を行う。図においては本発明に直接関係する塗装ロボット本体として作動するマニピュレータ制御２１と塗料の供給装置制御２２が示されている。これらの制御のための入力、出力、演算結果あるいは前記異常圧力上昇時の警告等における表示２３が必要に応じて設けられ、操作の容易化が図られている。
【００３１】
なお、塗料とギアポンプ６の中間に設けられた切替バルブ１０は、塗料の変更時等に洗浄液１１との経路切替えを行うために設けられ、制御装置２の指令で作動される構成になっている。またスプレーガン３への供給経路に設けられたドレンバルブ１２は、同じく洗浄による廃液を回収するための切替えバルブである。
【産業上の利用可能性】
【００３２】
塗装ロボットによる塗装仕様に塗料吐出量を塗装部位ごとに調整管理できるシステムにより、これまで不向きであった、少吐出量で高価な塗料を使用する高級精密な塗装分野にも利用拡大ができ、塗装ロボットの効果である作業能率の大幅な向上、塗装コストの削減等これまで以上に広範な活用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００３３】
【図１】本発明の塗装制御システムの概要を説明するための図である。
【符号の説明】
【００３４】
１ ロボットアーム
２ 制御装置
３ スプレーガン
４ ガンコントローラ
５ 供給装置
６ ギアポンプ
７ 駆動モータ
８ 塗料ホース
９ 圧力センサ
１０ 切替バルブ
１１ 洗浄液
１２ ドレンバルブ
１５ 塗料容器
１６ 廃液
２１ マニピュレータ制御
２２ 供給装置制御
２３ 表示
【特許請求の範囲】
【請求項１】
スプレーガンを搭載し教示されたデータに基づき作動されるマニピュレータと、該マニピュレータ及び前記搭載されたスプレーガン等の作動を制御する制御装置とを備えた塗装ロボットの、前記制御装置によって作動制御される塗料供給装置を、前記制御装置からの出力信号により回転数を制御されるサーボモータにより駆動されるギアポンプと圧力センサとで構成し、ギアポンプの駆動信号は前記塗装ロボットの教示データのステップ毎に記憶されたデータに連動して、スプレー信号と同期させて前記ギアポンプを作動させるロボット塗装における吐出塗料制御システム。
【請求項２】
圧力センサの検出値は制御装置に送られ、異常検出によりギアポンプの停止及び／またはそれに伴う警告表示を出力させる請求項１の吐出塗料制御システム。
【請求項３】
塗料供給装置は、防爆仕様とするとともに、塗装位置に配置されたマニピュレータの近傍に設置し、前記スプレーガンと接続する塗料ホースの長さを至近距離とする請求項１の吐出塗料制御システム。
【請求項１】
スプレーガンを搭載し教示されたデータに基づき作動されるマニピュレータと、該マニピュレータ及び前記搭載されたスプレーガン等の作動を制御する制御装置とを備えた塗装ロボットの、前記制御装置によって作動制御される塗料供給装置を、前記制御装置からの出力信号により回転数を制御されるサーボモータにより駆動されるギアポンプと圧力センサとで構成し、ギアポンプの駆動信号は前記塗装ロボットの教示データのステップ毎に記憶されたデータに連動して、スプレー信号と同期させて前記ギアポンプを作動させるロボット塗装における吐出塗料制御システム。
【請求項２】
圧力センサの検出値は制御装置に送られ、異常検出によりギアポンプの停止及び／またはそれに伴う警告表示を出力させる請求項１の吐出塗料制御システム。
【請求項３】
塗料供給装置は、防爆仕様とするとともに、塗装位置に配置されたマニピュレータの近傍に設置し、前記スプレーガンと接続する塗料ホースの長さを至近距離とする請求項１の吐出塗料制御システム。
【図１】
【公開番号】特開２００７−２６０５３１（Ｐ２００７−２６０５３１Ａ）
【公開日】平成１９年１０月１１日（２００７．１０．１１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−８７３８２（Ｐ２００６−８７３８２）
【出願日】平成１８年３月２８日（２００６．３．２８）
【出願人】（３９００２８４９５）アネスト岩田株式会社 (224)
【出願人】（０００００６２０８）三菱重工業株式会社 (10,378)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年１０月１１日（２００７．１０．１１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年３月２８日（２００６．３．２８）
【出願人】（３９００２８４９５）アネスト岩田株式会社 (224)
【出願人】（０００００６２０８）三菱重工業株式会社 (10,378)
【Ｆターム（参考）】
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