説明

ロボット玩具

【課題】液晶画面とタッチセンサとを備えるのみならず、今までにない作動をさせることで、新規な面白みを持たせたロボット玩具を提供する。
【解決手段】ロボット玩具10の顔位置に設けられて表情を表示する液晶表示装置14と、前記液晶表示装置14の表面に設けられてユーザの操作を検出するタッチセンサ19と、前記タッチセンサ19からの入力を基に可動部位13,16を作動させる動作実行手段140と、を備えるようにした。これにより、液晶表示装置14に表示された顔を撫でるなどすると、タッチセンサ19が反応して可動部位13,16が作動するので、感覚的かつ繊細な操作でロボット玩具10を動作させることができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶画面を備えたロボット玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶画面やタッチパネルを備えた玩具が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、液晶ディスプレイを備えたロボット玩具が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、液晶表示面に目、鼻、口で構成される顔の画像を表示し、液晶表示面上に配置されたタッチセンサ面に所定の入力操作をすることで喜び等の顔表情を演出するようにした玩具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−311974号公報
【特許文献2】特開2009−207730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記した特許文献1記載の玩具は、単に液晶ディスプレイを備えたに過ぎず、遊戯者が玩具を操作したとしても液晶ディスプレイの表示が変わるだけであり、面白みに欠けていた。
【0007】
また、上記した特許文献2記載の玩具は、タッチパネルという入力手段を備えているものの、やはり玩具の反応は液晶表示のみであり、面白みに欠けていた。
【0008】
そこで、本発明は、液晶画面とタッチセンサとを備えるのみならず、今までにない作動をさせることで、新規な面白みを持たせたロボット玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0010】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
【0011】
すなわち、請求項1に記載のロボット玩具は、少なくとも1以上の可動部位を備えたロボット玩具であって、ロボット玩具の顔位置に設けられて表情を表示する液晶表示装置と、前記液晶表示装置の表面に設けられてユーザの操作を検出するタッチセンサと、前記タッチセンサからの入力を基に前記可動部位を作動させる動作実行手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0013】
すなわち、前記液晶表示装置を設けた頭部を前記可動部位としたことを特徴とする。
【0014】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項2記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0015】
すなわち、前記頭部が作動しているときに前記タッチセンサが操作を検知すると、前記頭部がホームポジションに移動することを特徴とする。
【0016】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0017】
すなわち、前記動作実行手段は、モータを制御することによって前記可動部位を作動させるものであって、前記可動部位は、前記モータを正回転させた時に作動する第1の可動部位と、前記モータを逆回転させた時に作動する第2の可動部位と、からなることを特徴とする。
【0018】
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0019】
すなわち、前記液晶表示装置以外の部分に押下スイッチを設け、この押下スイッチが操作されたことを契機として前記液晶表示装置及び前記可動部位が制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、ロボット玩具の顔位置に設けられて表情を表示する液晶表示装置と、前記液晶表示装置の表面に設けられてユーザの操作を検出するタッチセンサと、前記タッチセンサからの入力を基に前記可動部位を作動させる動作実行手段と、を備えている。このため、液晶表示装置に表示された顔を撫でるなどすると、タッチセンサが反応して可動部位が作動するので、液晶表示装置の表示を変化させるのみならず、感覚的かつ繊細な操作でロボット玩具を動作させることができる。
【0021】
また、請求項2に記載の発明は上記の通りであり、前記液晶表示装置を設けた頭部を前記可動部位としたため、表示対象かつ操作対象の部位が動くこととなり、遊んでいる者に新規な印象を与えることができる。
【0022】
また、請求項3に記載の発明は上記の通りであり、前記頭部が作動しているときに前記タッチセンサが操作を検知すると、前記頭部がホームポジションに移動する。このため、前記液晶表示装置を設けた頭部を前記可動部位とした場合でも、前記液晶表示装置上の操作(タッチセンサの操作)に不都合が生じない。
【0023】
また、請求項4に記載の発明は上記の通りであり、前記可動部位は、モータを正回転させた時に作動する第1の可動部位と、モータを逆回転させた時に作動する第2の可動部位と、からなる。このため、1つのモータで複数の動作を実現することができる。
【0024】
また、請求項5に記載の発明は上記の通りであり、前記液晶表示装置以外の部分に押下スイッチを設け、この押下スイッチが操作されたことを契機として前記液晶表示装置及び前記可動部位が制御される。このため、例えば頭や手足などに押下スイッチを設け、これらを操作することでロボット玩具と触れ合うような態様を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ロボット玩具の外観斜視図である。
【図2】液晶表示装置の表示例を示す図である。
【図3】ロボット玩具の可動例を示す図である。
【図4】ロボット玩具の入出力の構成を示すブロック図である。
【図5】頭部の分解図である。
【図6】駆動機構のうちのモータと接続される部分の分解図である。
【図7】駆動機構の分解図である。
【図8】切り替え部材の作動を示す図であって、耳部が作動するときの説明図である。
【図9】切り替え部材の作動を示す図であって、頭部が作動するときの説明図である。
【図10】駆動機構の作動を示す図であって、ホームポジションの状態を示す説明図である。
【図11】駆動機構の作動を示す図であって、耳部が作動した後の状態を示す説明図である。
【図12】駆動機構の作動を示す図であって、頭部が作動した後の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
【0027】
本実施形態に係るロボット玩具10は、図1に示すように、動物の形態を模したペット玩具であり、樹脂製のケースで覆われた内部に駆動機構30を備えることによって、頭部13と耳部16とが揺動するものである。
【0028】
このロボット玩具10の顔位置には、図1に示すように液晶表示装置14が嵌め込まれており、この液晶表示装置14によって表情を表示するように形成されている。
【0029】
すなわち、図2にしめすように、動物の目・口・鼻を液晶表示装置14に表示し、これによってロボット玩具10の顔を表示する。なお、後述するように、この液晶表示装置14の表面には、液晶表示装置14上を触れるなどしたユーザの操作を検出するタッチセンサ19が設けられている。このタッチセンサ19によって操作が検出されると、後述する制御装置100に信号が出力され、この信号を契機として液晶表示装置14の表示が切り替わる。
【0030】
例えば図2(a)に示すように、液晶表示装置14に表示された目の部分を撫でることにより、図2(b)に示すように、液晶表示装置14にびっくりした表情が表示されたり、図2(c)に示すように、液晶表示装置14にウインクした表情が表示されたりする。また、図2(d)に示すように、液晶表示装置14に表示された口の部分を撫でることにより、図2(e)に示すように、液晶表示装置14に舌を出した表情が表示されたりする。また、図2(f)に示すように、液晶表示装置14に表示された目の部分を何度も擦ることにより、図2(g)に示すように、液晶表示装置14にきょろきょろと周りを見渡す画像が表示されたり、図2(h)に示すように、液晶表示装置14に目を回した表情が表示されたりする。
【0031】
また、タッチセンサ19によって操作が検出されて後述する制御装置100に信号が出力されると、上記した液晶表示装置14の表示切り替えに代えて、又は、上記した液晶表示装置14の表示切り替えと併せて、可動部位である頭部13や耳部16が作動する。
【0032】
すなわち、耳部16は、図3(a)に示すような先端が立ち上がったホームポジションから、図3(b)に示すような先端が垂れ下がったエンドポジションまでの範囲で上下に揺動可能となっており、制御装置100によって制御されて所定の位置まで揺動するように形成されている。
【0033】
また、頭部13は、図3(a)に示すような前を向いた状態をホームポジションとして、図3(c)に示すような左向きポジションから、図3(e)に示すような右向きポジションまでの範囲で左右に揺動可能となっており、制御装置100によって制御されて所定の位置まで揺動するように形成されている。
【0034】
なお、この耳部16及び頭部13の揺動は、後述するように、制御装置100が制御する単一のモータ23によって実現されている。この単一のモータ23の回転方向を切り替えることによって、耳部16を揺動させるか、頭部13を揺動させるかを決定するようになっている。具体的には、モータ23が正回転している場合には頭部13が揺動し、モータ23が逆回転している場合には耳部16が揺動するように形成されている。このため、耳部16と頭部13とが同時に揺動することはないが、例えば図3(c)及び(d)に示すように、頭部13が右を向いた状態で耳部16を上下させたり、図3(e)及び(f)に示すように、頭部13が左を向いた状態で耳部16を上下させたりすることは可能である。
【0035】
なお、図1に示すように、このロボット玩具10の頭部13の頭頂部付近には、押下で反応する頭部スイッチ15が設けられている。同様に、このロボット玩具10の胴体部11の一部である左後脚の肉球部分には、押下で反応する肉球スイッチ12が設けられている。これらのスイッチは、上記したタッチセンサ19と同様に液晶表示装置14の表示切り替えや頭部13や耳部16の作動の契機となるものである。すなわち、頭部スイッチ15や肉球スイッチ12の押下が検出されると、その検出信号が制御装置100に出力され、制御装置100は液晶表示装置14の表示を切り替えたり、モータ23を駆動させて耳部16や頭部13を作動させたりすることができる。
【0036】
ところで、このようなロボット玩具10の動作は、ロボット玩具10に内蔵された制御装置100(図4参照)によって制御される。
【0037】
この制御装置100は、特に図示しないが、CPUを中心に構成され、ROM、RAM、I/O等を備えている。そして、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、各種の入力装置及び出力装置を制御するように構成されている。これらのCPU、ROM、RAM、I/O等は、メイン基板21に実装され(図5参照)、液晶表示装置14の裏面に配置される。
【0038】
以下、この制御装置100を中心としたロボット玩具10の内部構成について説明する。
【0039】
(入力装置)
制御装置100の入力装置としては、図4に示すように、タッチセンサ19、頭部スイッチ15、肉球スイッチ12、頭回転検出スイッチ60、耳回転検出スイッチ61が設けられている。なお、入力装置としては、上記した各入力装置に限定されず、他の入力装置を備えていてもよい。
【0040】
(タッチセンサ19)
タッチセンサ19は、前述したように、液晶表示装置14の表面に設けられてユーザの操作を検出するものであり、ユーザがタッチペンや指などで液晶表示装置14の表面に接触したときに、その座標や動作(タッチ動作やスライド動作など)を検知し、所定の入力操作をできるようにしたものである。
【0041】
このタッチセンサ19が入力を検知すると、その検知信号が制御装置100に出力されて処理される。検知信号を受け取った制御装置100は、例えば、液晶表示装置14によって表示されている「目」「鼻口」のいずれに対応する箇所がタッチされたかを座標で計算するとともに動作(タッチ動作やスライド動作など)を判別し、液晶表示装置14の表示を変更したり、頭部13や耳部16を作動させるなど、操作内容に応じた処理を行う。
【0042】
(頭部スイッチ15)
頭部スイッチ15は、前述したように、ロボット玩具10の頭部13の頭頂部付近に設けられた押下スイッチである。このため、この頭部スイッチ15は、ユーザがロボット玩具10の頭部13を撫でる動作をしたときに押下される。この頭部スイッチ15が押下されると、その押下信号が制御装置100に出力されて処理される。押下信号を受け取った制御装置100は、液晶表示装置14の表示を変更したり、頭部13や耳部16を作動させるなど、操作内容に応じた処理を行う。
【0043】
(肉球スイッチ12)
肉球スイッチ12は、前述したように、ロボット玩具10の左後脚に設けられた押下スイッチである。このため、この肉球スイッチ12は、ユーザがロボット玩具10の左後脚を握る動作をしたときに押下される。この肉球スイッチ12が押下されると、その押下信号が制御装置100に出力されて処理される。押下信号を受け取った制御装置100は、液晶表示装置14の表示を変更したり、頭部13や耳部16を作動させるなど、操作内容に応じた処理を行う。
【0044】
(頭回転検出スイッチ60)
頭回転検出スイッチ60は、頭用カム48(図7参照)によって押下される押下スイッチであり、頭部13が作動したときに、制御装置100が頭部13の現在位置を把握するためのものである。
【0045】
なお、頭用カム48は、頭部13が作動したときに回転する部材であって、中心から外周部までの距離が一定でない歪んだ形状をしている。この頭用カム48は、この歪んだ外周部が頭回転検出スイッチ60に臨むようになっており、回転に伴って頭回転検出スイッチ60をON/OFFするようになっている。
【0046】
具体的には、頭用カム48は、頭部13が外側(左右どちらか)からホームポジションに移動しているときには、頭回転検出スイッチ60を押下(ON)するように形成されており、この状態から頭回転検出スイッチ60の押下が解除された(ON→OFF)ときにホームポジションとなったことを検知できるようになっている。また、頭部13がホームポジションから外側(左右どちらか)に移動しているときには、頭回転検出スイッチ60を解除(OFF)するように形成されており、この状態から頭回転検出スイッチ60の押下が検出された(OFF→ON)ときに左向きポジション又は右向きポジションとなったことを検知できるようになっている。
【0047】
これにより、制御装置100は、頭回転検出スイッチ60からの押下信号のON/OFFを受信することで、頭部13が現在どのような状態にあるのかを把握できるように形成されている。
【0048】
(耳回転検出スイッチ61)
耳回転検出スイッチ61は、耳用カム43(図7参照)によって押下される押下スイッチであり、耳部16が作動したときに、制御装置100が耳部16の現在位置を把握するためのものである。
【0049】
なお、耳用カム43は、耳部16が作動したときに回転する部材であって、中心から外周部までの距離が一定でない歪んだ形状をしている。この耳用カム43は、この歪んだ外周部が耳回転検出スイッチ61に臨むようになっており、回転に伴って耳回転検出スイッチ61をON/OFFするようになっている。
【0050】
具体的には、耳用カム43は、耳部16が上(ホームポジションの方向)に移動しているときには、耳回転検出スイッチ61を押下(ON)するように形成されており、この状態から耳回転検出スイッチ61の押下が解除された(ON→OFF)ときにホームポジションとなったことを検知できるようになっている。また、耳部16がホームポジションから下(エンドポジションの方向)に移動しているときに、耳回転検出スイッチ61を解除(OFF)するように形成されており、この状態から耳回転検出スイッチ61の押下が検出された(OFF→ON)ときにエンドポジションとなったことを検知できるようになっている。
【0051】
これにより、制御装置100は、耳回転検出スイッチ61からの押下信号のON/OFFを受信することで、耳部16が現在どのような状態にあるのかを把握できるように形成されている。
【0052】
(出力装置)
制御装置100の出力装置としては、図4に示すように、液晶表示装置14、LED20a、スピーカ22、モータ23が設けられている。なお、出力装置としては、上記した各出力装置に限定されず、他の出力装置を備えていてもよい。
【0053】
(液晶表示装置14)
液晶表示装置14は、前述したように、ロボット玩具10の顔位置に設けられて表情を表示するものである。
【0054】
(LED20a)
LED20aは、液晶表示装置14の裏面から液晶表示装置14を照らすものであり、3色のLEDの出力を組み合せて7色の発色が可能なものである。このLED20aは、液晶表示装置14の表示と併せて切り替えられ、ロボット玩具10の顔色を変えて更に表情を豊かにするためのものである。
【0055】
(スピーカ22)
スピーカ22は、ロボット玩具10の喋り声などの音声を出力するためのものであり、胴体部11の内部に収容されている。
【0056】
(モータ23)
モータ23は、頭部13及び耳部16を作動させるためのものであり、胴体部11の内部に収容された電池(図示せず)を動力源として回転駆動するものである。
【0057】
(制御装置100)
次に、制御装置100について詳述する。
【0058】
制御装置100は、上記した各種入出力装置を制御するものであり、例えば、ステータス管理手段110、動作パターン記憶手段120、動作選択手段130、動作実行手段140、表示制御手段150、スピーカ制御手段160、などの各手段として機能する。
【0059】
なお、制御装置100としては、上記した各手段に限定されるものではなく、他の手段を含んでいても良い。
【0060】
(ステータス管理手段110)
ステータス管理手段110は、ロボット玩具10の名前、性格、年齢などのパラメータを管理するプログラムである。すなわち、本実施形態に係るロボット玩具10は、名前などの初期設定を登録できるとともに、ユーザの操作によって徐々に成長するように形成されている。このステータス管理手段110は、この初期設定や成長の度合いをパラメータなどで管理し、不揮発性のメモリに記憶することで、後述する動作選択手段130の作動に影響を与えるようにしたものである。
【0061】
(動作パターン記憶手段120)
動作パターン記憶手段120は、液晶表示装置14の表示データ、LED20aの発光パターン、スピーカ22が出力する音声、モータ23の作動パターンなどのデータを記憶する手段(具体的にはROMで構成される)である。
【0062】
(動作選択手段130)
動作選択手段130は、上記したステータス管理手段110が管理するパラメータやユーザによる操作の種類などを参照して、上記動作パターン記憶手段120から任意の動作パターンを抽出するプログラムである。
【0063】
この動作選択手段130による動作パターンの選択は、例えば、タッチセンサ19が操作を検出したことや、頭部スイッチ15や肉球スイッチ12が操作されたことを契機として実行される。これにより、ユーザがロボット玩具10に対して何らかの操作を行ったときに、それに対応した動作パターンが動作選択手段130により選択され、実行されるようになっている。
【0064】
なお、本実施形態に係るロボット玩具10は、液晶表示装置14を設けた頭部13が可動部位となっている。このため、頭部13が作動している場合には、液晶表示装置14が見づらかったり、タッチセンサ19による入力が困難だったりする可能性がある。このため、頭部13が作動しているときにタッチセンサ19が操作を検知すると、動作選択手段130によって頭部13がホームポジションに移動する動作パターンが選択される。これによって、頭部13が作動しているときにタッチセンサ19が操作を検知すると、頭部13がホームポジションに移動し、入力を受け付ける状態となるように形成されている。
【0065】
(動作実行手段140)
動作実行手段140は、上記した動作選択手段130が選択した動作パターンがモータ23を作動させるものであった場合に、モータ23を制御して頭部13や耳部16を作動させるものである。
【0066】
なお、動作パターンによって、頭部13や耳部16を何回揺動させるかや、頭部13や耳部16をどの位置で停止させるかが指定されているので、この動作実行手段140は、頭回転検出スイッチ60や耳回転検出スイッチ61からの信号を基に揺動回数や位置を把握し、動作パターンに指定された動きを実現する。
【0067】
(表示制御手段150)
表示制御手段150は、上記した動作選択手段130が選択した動作パターンが液晶表示装置14の表示を切り替えるものであった場合に、液晶表示装置14を制御して表示を切り替えるものである。
【0068】
(スピーカ制御手段160)
スピーカ制御手段160は、上記した動作選択手段130が選択した動作パターンがスピーカ22から音声を出力するものであった場合に、スピーカ22を制御して音声を出力するものである。
【0069】
(頭部13の構造について)
図5は頭部13の構造を示す図である。
【0070】
この図5が示すように、頭部13は、前顔枠17と後顔枠18とで形成するハウジングの内部に、液晶表示装置14、LED20aを実装したLED基板20、メイン基板21、駆動機構30を収容したものである。
【0071】
この頭部13の上部には、耳部16の回動軸16aが揺動可能に軸支されている。
【0072】
また、前顔枠17の中央には液晶窓17aが開口しており、内部に収容した液晶表示装置14のディスプレイが外部から視認できるようになっている。
【0073】
また、頭部13の後方には駆動機構30を駆動させるためのモータ23が配置されている。このモータ23は、胴体部11に固定されており、一方、駆動機構30は頭部13に固定されている。このため、モータ23が正回転して頭部13が動く際には、頭部13は駆動機構30と一体的に胴体部11に対して揺動する。
【0074】
(駆動機構30の構造について)
次に、本実施形態に係る駆動機構30の構造について説明する。
【0075】
図6に示すように、モータ23は、前モータホルダー36及び後モータホルダー37に収容されており、この前モータホルダー36及び後モータホルダー37が胴体部11に固定されることで間接的に胴体部11に固定されている。
【0076】
モータ23の回転軸の先端にはピニオンギア38が固定されており、モータ23の回転力を共通ギア機構39に伝達するように形成されている。すなわち、モータ23が回転すると、互いに噛合する複数のギアで構成された共通ギア機構39が作動するようになっている。
【0077】
共通ギア機構39が作動すると、その回転力は切り替え接続ギア40に伝達される。この切り替え接続ギア40には、図8及び図9に示すように、切り替え部材41が接続されており、切り替え部材41に回転力を付与できるようになっている。
【0078】
切り替え部材41は、モータ23の回転方向に従って頭部13と耳部16とのいずれを作動させるかを切り替えるためのものであり、図8及び図9に示すように、アーム状の揺動部41aの一端に揺動軸孔41bが設けられている。この揺動軸孔41bには、切り替え接続ギア40の回転軸40aが挿通され、これにより、切り替え部材41は切り替え接続ギア40の回転軸40aを中心として所定範囲で揺動可能となっている。また、アーム状の揺動部41aの他端には、ギア部41cが回転可能に軸支されている。このギア部41cは切り替え接続ギア40の小ギア部40bと噛合しており、切り替え接続ギア40が回転したときに回転するように形成されている。
【0079】
このため、図8に示すように、モータ23が逆回転することで、切り替え接続ギア40が図8において時計回りに回転すると、切り替え接続ギア40の小ギア部40bと噛合する切り替え部材41のギア部41cが時計回りに付勢され、切り替え部材41が切り替え部材接続軸40aと中心として揺動する。これにより、切り替え部材41のギア部41cが耳用ギア42の方向に移動して間接的に耳用ギア42と噛合し、耳用ギア42へと回転力を与えるように形成されている。
【0080】
また、図9に示すように、モータ23が正回転することで、切り替え接続ギア40が図8において反時計回りに回転すると、切り替え接続ギア40の小ギア部40bと噛合する切り替え部材41のギア部41cが反時計回りに付勢され、切り替え部材41が切り替え部材接続軸40aと中心として揺動する。これにより、切り替え部材41のギア部41cが頭用ギア47の方向に移動して間接的に頭用ギア47と噛合し、頭用ギア47へと回転力を与えるように形成されている。
【0081】
耳用ギア42へと回転力が付与された場合、図10及び図11に示すように、耳用ギア42の裏面に設けられた偏心保持部42aに接続された耳用ロッド44が、耳用ギア42の回転に従って上下動し、耳用ロッド44が上下動することで耳用ロッド44に接続された耳用リンク45が揺動するようになっている。なお、耳用リンク45には耳用クラッチ46(図7参照)のリング部46aが固定されており、耳用リンク45が揺動したときに耳用クラッチ46の足部46bが耳駆動ギア31を揺動させるようになっている。
【0082】
この耳駆動ギア31は耳部16の裏面ギア16bと噛合しているため、耳駆動ギア31が揺動すると耳部16も揺動するようになっている。
【0083】
なお、耳用クラッチ46の足部46bは板バネ状に曲折可能であり、この曲折可能な足部46bで耳駆動ギア31を挟持しているため、仮に耳部16が押さえつけられるなどして揺動できない状態で耳用クラッチ46が耳駆動ギア31を揺動させようとした場合でも、足部46bが曲折するため、ギア等の破損を防止できるようになっている。
【0084】
また、図7に示すように、耳用ギア42には耳用カム43が固定されており、両者が一体的に回転するように固定されている。このため、耳用ギア42が回転して耳部16が作動したときには耳用カム43も回転するようになっている。そして、前述したように、耳用カム43が回転すると耳回転検出スイッチ61をON/OFFするため、この耳回転検出スイッチ61を監視することで、制御装置100が耳部16の現在位置を把握できるようになっている。
【0085】
一方、頭用ギア47へと回転力が付与された場合、図10及び図12に示すように、頭用ギア47の裏面に設けられた偏心保持部47aに接続された頭用ロッド49が、頭用ギア47の回転に従って左右に移動する。この頭用ロッド49は、基部49aが頭用ギア47に接続されるとともに、先端部49bが頭用クラッチ50のリング部50aの内周に配置されている。
【0086】
頭用クラッチ50は、前モータホルダー36の前端に固定される首リング35に固定されるものであり、詳しくは、頭用クラッチ50の足部50bが首リング35のクラッチ保持部35aに差し込まれて固定される。
【0087】
上記のような配置により、頭用ロッド49が左右に移動すると、頭用ロッド49の先端部49bが頭用クラッチ50のリング部50aの内周を左右に押圧する。このとき、頭用クラッチ50は胴体部11に間接的に固定されて移動できないため、頭用ロッド49の基部49aが接続された頭部13の側が相対的に左右に押動されることになる。これにより、頭部13は、首リング35の外周に沿って揺動する。
【0088】
なお、頭用クラッチ50の足部50bも板バネ状に曲折可能であり、この曲折可能な足部50bで首リング35のクラッチ保持部35aを挟持しているため、仮に頭部13が押さえつけられるなどして揺動できない状態で頭用クラッチ50のリング部50aの内周が押圧された場合でも、足部50bが曲折するため、ギア等の破損を防止できるようになっている。
【0089】
また、図7に示すように、頭用ギア47には頭用カム48が固定されており、両者が一体的に回転するように固定されている。このため、頭用ギア47が回転して頭部13が作動したときには頭用カム48も回転するようになっている。そして、前述したように、頭用カム48が回転すると頭回転検出スイッチ60をON/OFFするため、この頭回転検出スイッチ60を監視することで、制御装置100が頭部13の現在位置を把握できるようになっている。
【0090】
以上説明したように、本実施形態に係るロボット玩具10によれば、ロボット玩具10の顔位置に設けられて表情を表示する液晶表示装置14と、前記液晶表示装置14の表面に設けられてユーザの操作を検出するタッチセンサ19と、前記タッチセンサ19からの入力を基に可動部位13,16を作動させる動作実行手段140と、を備えている。このため、液晶表示装置14に表示された顔を撫でるなどすると、タッチセンサ19が反応して可動部位13,16が作動するので、液晶表示装置14の表示を変化させるのみならず、感覚的かつ繊細な操作でロボット玩具10を動作させることができる。
【0091】
また、前記液晶表示装置14を設けた頭部13を可動部位としたため、表示対象かつ操作対象の部位が動くこととなり、遊んでいる者に新規な印象を与えることができる。
【0092】
また、前記頭部13が作動しているときに前記タッチセンサ19が操作を検知すると、前記頭部13がホームポジションに移動する。このため、前記液晶表示装置14を設けた頭部13を可動部位とした場合でも、前記液晶表示装置14上の操作(タッチセンサ19の操作)に不都合が生じない。
【0093】
また、前記可動部位13,16は、モータ23を正回転させた時に作動する第1の可動部位13と、モータ23を逆回転させた時に作動する第2の可動部位16と、からなる。このため、1つのモータ23で複数の動作を実現することができる。
【0094】
また、前記液晶表示装置14以外の部分に押下スイッチ12,15を設け、この押下スイッチ12,15が操作されたことを契機として前記液晶表示装置14及び前記可動部位13,16が制御される。これにより、頭や手足などに押下スイッチを設け、これらを操作することでロボット玩具10と触れ合うような態様となっている。
【符号の説明】
【0095】
10 ロボット玩具
11 胴体部
12 肉球スイッチ(押下スイッチ)
13 頭部(第1の可動部位)
14 液晶表示装置
15 頭部スイッチ(押下スイッチ)
16 耳部(第2の可動部位)
16a 回動軸
16b 裏面ギア
17 前顔枠
17a 液晶窓
18 後顔枠
19 タッチセンサ
20 LED基板
20a LED
21 メイン基板
22 スピーカ
23 モータ
30 駆動機構
31 耳駆動ギア
32 耳駆動ギア支持部材
33 ボックス前カバー
34 ボックス後カバー
35 首リング
35a クラッチ保持部
36 前モータホルダー
37 後モータホルダー
38 ピニオンギア
39 共通ギア機構
40 切り替え接続ギア
40a 回転軸
40b 小ギア部
41 切り替え部材
41a 揺動部
41b 揺動軸孔
41c ギア部
42 耳用ギア
42a 偏心保持部
43 耳用カム
44 耳用ロッド
44a ギア接続部
44b リンク接続部
45 耳用リンク
45a クラッチ保持部
46 耳用クラッチ
46a リング部
46b 足部
47 頭用ギア
47a 偏心保持部
48 頭用カム
49 頭用ロッド
49a 基部
49b 先端部
50 頭用クラッチ
50a リング部
50b 足部
60 頭回転検出スイッチ
61 耳回転検出スイッチ
100 制御装置
110 ステータス管理手段
120 動作パターン記憶手段
130 動作選択手段
140 動作実行手段
150 表示制御手段
160 スピーカ制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1以上の可動部位を備えたロボット玩具であって、
ロボット玩具の顔位置に設けられて表情を表示する液晶表示装置と、
前記液晶表示装置の表面に設けられてユーザの操作を検出するタッチセンサと、
前記タッチセンサからの入力を基に前記可動部位を作動させる動作実行手段と、
を備えることを特徴とする、ロボット玩具。
【請求項2】
前記液晶表示装置を設けた頭部を前記可動部位としたことを特徴とする、請求項1記載のロボット玩具。
【請求項3】
前記頭部が作動しているときに前記タッチセンサが操作を検知すると、前記頭部がホームポジションに移動することを特徴とする、請求項2記載のロボット玩具。
【請求項4】
前記動作実行手段は、モータを制御することによって前記可動部位を作動させるものであって、
前記可動部位は、前記モータを正回転させた時に作動する第1の可動部位と、前記モータを逆回転させた時に作動する第2の可動部位と、からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のロボット玩具。
【請求項5】
前記液晶表示装置以外の部分に押下スイッチを設け、この押下スイッチが操作されたことを契機として前記液晶表示装置及び前記可動部位が制御されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のロボット玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−239557(P2012−239557A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110671(P2011−110671)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(599131996)株式会社シャイン (9)
【出願人】(511120015)株式会社キューアンドキュー (1)
【Fターム(参考)】