ロボット
【課題】本発明は、高精度の把持と柔軟な把持を同一の機構で実現するとともに、対象物との密着性も十分確保し、対象物の種別によらず安定な把持が可能となるロボットを提供する。
【解決手段】複数個のリンク4と、前記リンク4を連接する関節とからなるリンク連接機構と、指部5を備えたロボットにおいて、前記指部5は、第1の部材7と、前記第1の部材7よりも剛性が低い少なくとも1つの部材を備えたものである。
【解決手段】複数個のリンク4と、前記リンク4を連接する関節とからなるリンク連接機構と、指部5を備えたロボットにおいて、前記指部5は、第1の部材7と、前記第1の部材7よりも剛性が低い少なくとも1つの部材を備えたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットが備えるリンク連接機構の表面および内部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットには各種作業を行なわせるためのハンド装置が具備されているが、近年、小型軽量部品を器用に操ることを目的とし、人間の指に相当するリンク連接機構を複数備える多指多関節のハンド装置が提案されている。このリンク連接機構は、複数個のリンクを関節で連接した構造になっているが、特に指先に相当する最先端部のリンクにおいて、対象物を摘む・操るなどの複雑な作業を確実に行うためには、把持する際の対象物とリンクとの密着性を高くすることが求められる。
【0003】
しかしながら、従来のハンド装置ではリンクが単層構造であり、対象物を把持する際の指部の変位量がその材質の特性に依存していた。すなわちロボットの指部の材質を変位量の多いものにすると表面に傷がつきやすく、長期使用に耐え得ない問題があり、またこれを避けるために指部の材質を変位量の少ないものにすると対象物及び指部間の密着性が悪くなって当該対象物の確実な把持等を行い得なくなる問題があった。
【0004】
この課題を解決するため、人間の指に相当するリンクに人間の骨・肉・皮に相当する複数層の構造を持たせ、各層の剛性を異なるものに設定するという方策が提案されている(例えば、特許文献1)。以下図に基づいて説明する。図11は特許文献1に示す実施例の構成を示す側断面図である。図において、50は指の先端に配置されたリンクである。リンク50は、骨に相当する第1の部材51と、前記第1の部材51の表面に密着され、肉に相当する第2の部材52と、前記第2の部材を覆うように配置され、皮に相当する第3の部材53と、前記第3の部材の表面の一部に配置され、爪に相当する第4の部材54とから構成される多層構造となっている。
【0005】
さらに特許文献1では、各部材の剛性(硬度)を第1の部材51、第3の部材53、第2の部材52の順に高く設定している。これにより本ロボットは、対象物を把持する際に、第2の部材52の柔軟性によって指先端部を対象物の表面形状に応じて凹む方向に弾力的かつ柔軟に変位させて当該対象物に密着させることができることから、確実な把持が可能になる。また指表面に第1の部材51よりは剛性が低いが第2の部材52よりは剛性が高い第3の部材53を設けることにより、第2の部材52が直接対象物に接する場合と比較して指表面が損傷し難く、長期使用にも実用上十分耐えるようになされている。
【0006】
この他に、第2の部材52の過剰な変形を防ぐため、爪に相当する第4の部材54と、骨に相当する第1の部材51とを直結した構造も提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2においても、指リンクを骨・肉・皮の3層構造とし、肉に相当する第2の部材の剛性を、他の第1の部材および第3の部材よりも低く設定するようにしている。
また、指の表面側の剛性の高い部材と、指の内側の剛性の低い部材にそれぞれ凹凸を設けて、相互に嵌合することで指の表面のせん断特性を変化させられるようにした提案もある(例えば、特許文献3)。以下図に基づいて説明する。図12は特許文献3に示す実施例の構成を示す指先部材の説明図である。図において、凹凸形状で剛性の高い指表面側部材と、凹凸形状で剛性の低い指内側部材を相互に嵌合されている。このようにすることで、特許文献1のように指の内側よりも剛性の高い部材を指表面に設けているので対象物を把持する動作を繰り返した場合、指表面が損傷し難いことと、X方向とY方向のせん断特性が異なっているため、対象物によって把持方法を選ぶことができるようになっている。
【特許文献1】特開2004−174625号公報(第9−11頁、図15)
【特許文献2】特開2005−88096号公報(第2−11頁、図4)
【特許文献3】特開2006−321018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のリンク連接機構の構造、特に指先端部における多層構造では、高精度の把持と柔軟な把持を同一の機構で実現しえないという問題点があった。すなわち、高い剛性を有する重量物体を従来の多層構造を有する指リンクで把持しようとすると、剛性の低い柔軟部材である第2の部材がバネ要素となって作用し、把持物体の振動や位置ずれを発生して所望の位置に位置決めするための精度が確保できない。これを回避するために第2の部材の剛性を高く設定すると、今度は軽量物体を把持する際の指先の柔軟性が失われ、安定した把持が実現できないという問題点があった。また、指表面を覆う第3の部材の剛性が高いため、第2の部材が直接表面に露出している場合と比較すると、変位量が限定されて対象物との密着性が十分確保できないという問題もあった。この問題は特許文献3にも共通の問題であり、この問題点について実際に多指ロボットハンドの指先に多層構造を適用した場合の具体例として図を用いて説明する。図13は多指ロボットハンドに多層構造の指先を用いた場合の構造図であり、ここでは説明を簡単にするため、3自由度の指2本を互いに対向して配置した構成で説明する。図において、100は2本の指の根元を固定配置するためのハンドベース部、110は3自由度の指であり、各関節部はサーボモータと減速機を一体に構成したアクチュエータ117によって直接駆動するものとする。従来例の指先形状で把持対象物401を把持する場合、対象物の一部が剛性の高い一様な指表面部材に接触し、アクチュエータ117の駆動力を増すごとに対象物からの反力が剛性の高い指表面部材から剛性の低い指の内側部材に伝わることで、対象物との接触部が大きく変位するようになる。つまり、指表面と対象物との接触部が窪むように変形するようになるのである。このように、従来例では対象物と指表面との接触部が窪むように変形することで、対象物に接する指の表面積が増大して摩擦力が大きくなるため滑りにくくなる効果が得られる。しかしながら、従来例のような指の表面が一様な部材で構成された多層構造の場合、把持した後に重力に逆らって対象物を持ち上げようとすると対象物と接触部との間の摩擦力を大きくする必要があるため、把持対象物401の重量が大きくなると、指先の部材自体を摩擦係数の大きい部材に取り替えるか、アクチュエータ117が発生するトルクを増大するという方法しか選択肢がない。一般に、多指ロボットハンドは、様々な対象物を把持・運搬できるように汎用設計されているので、対象物ごとに指先を交換することは稀であるため、アクチュエータ117のトルクを増大することで対象物の重量によって把持力を変化させている。ところが、多指ロボットハンドはマニピュレータのエンドエフェクタとして機能することが目的であるため、各関節を駆動するアクチュエータ117は、小型かつ軽量のものが必然的に採用されるため、大きなトルクを発生させることができず、この結果、摩擦力を大きくすることができないため、重量物を持ち上げるのが難しいという問題に至るのである。
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、高精度の把持と柔軟な把持を同一の機構で実現するとともに、対象物との密着性も十分確保し、対象物の種別によらず安定な把持が可能となるロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1に記載の発明は、複数個のリンクと、前記リンクを連接する関節とからなるリンク連接機構と、指部を備えたロボットにおいて、前記指部が、第1の部材と、前記第1の部材よりも剛性が低い少なくとも1つの部材を備えたものである。
請求項2に記載の発明は、前記指部が、前記第1の部材が前記リンクに接続され、前記第1の部材よりも剛性の低い少なくとも1つの部材が被覆されることで形成されたものである。
請求項3に記載の発明は、前記剛性の低い部材が、外皮に向かうにしたがって剛性が低い少なくとも2種類の材料から形成されたものである。
請求項4に記載の発明は、前記第1の部材に爪部が備えられたものである。
請求項5に記載の発明は、複数個のリンクと、前記リンクを連接する関節とからなるリンク連接機構と、指部を備えたロボットにおいて、前記指部は、対象物に直接接触する少なくとも1つの部材を有し、前記部材の一端は、第1の部材に連結され、前記部材の他方端は、前記指部表面から出し入れ自在に配置されたものである。
請求項6に記載の発明は、前記第1の部材よりも剛性が低い前記部材が、前記第1の部材から可動する機構を備えたものである。
請求項7に記載の発明は、前記第1の部材よりも剛性が低い部材が、前記第1の部材に取り付けられるとともに、第2の部材に形成された孔部に沿って稼動するものである。
請求項8に記載の発明は、前記第1の部材に、前記部材を収納する少なくとも1つの凹部が形成されたものである。
請求項9に記載の発明は、小さな把持力で対象物を扱う際には、前記部材が前記対象物に密着して把持し、大きな把持力で対象物を扱う際には、前記部材が、第2の部材表面まで移動し、前記第2の部材で把持するものである。
請求項10に記載の発明は、複数個のリンクと、前記リンクを連接する関節とからなるリンク連接機構と、指部を備えたロボットにおいて、前記指部が、対象物に直接接触する少なくとも1つの部材を有し、前記部材の一端は、第1の部材に連結され、前記部材の他方端は、前記指部表面から出し入れ自在に配置され、前記指部内部に前記部材を移動可能なアクチュエータを備えたものである。
請求項11に記載の発明は、前記アクチュエータは、前記対象物を把持する前に、前記対象物の種別を判断し、前記指部表面から前記部材の突出量を調整するものである。
請求項12に記載の発明は、前記アクチュエータは、第2の部材に形成された孔部に沿って前記部材が移動するように構成され、電磁的手段からなる駆動制御されるものである。
請求項13に記載の発明は、複数個のリンクと、前記リンクを連接する関節とからなるリンク連接機構と、指部を備えたロボットにおいて、前記リンクおよび指部の少なくとも一方の把持表面に、少なくとも2種類からなる弾性部材が備えられたものである。
請求項14に記載の発明は、少なくとも2種類からなる前記弾性部材が、弾性率が異なる部材で前記把持表面に備えられたものである。
請求項15に記載の発明は、少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材は小さな外力により容易に変形する柔軟で摩擦係数の大きい材質からなるものであり、第2の弾性部材は、前記第1の弾性部材よりも硬質な材質からなるものである。
請求項16に記載の発明は、少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材は第2の弾性部材よりも突出するように配置されたものである。
請求項17に記載の発明は、少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材は第2の弾性部材に隣接するように配置されたものである。
請求項18に記載の発明は、少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材と第2の弾性部材とが、指部先端方向に向かって交互に線状に配置されたものである。
請求項19に記載の発明は、少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材と第2の弾性部材とが、リンクおよび指部の各々の表面に格子状に交互に配置されたものである。
請求項20に記載の発明は、少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材と第2の弾性部材とが、リンクおよび指部の各々の表面に略同心円状に交互に配置されたものである。
請求項21に記載の発明は、少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材が第2の弾性部材の凹部に配置されたものである。
請求項22に記載の発明は、表面が平坦で摩擦係数が小さい物体を把持する場合、第1の弾性部材が第2の弾性部材に拘束されながら前記物体との接触面性が大きくなるように変形して把持するものである。
請求項23に記載の発明は、把持する物体が重力方向に自重が作用して持ち上げる場合、第1の弾性部材が前記第1の弾性部材の自重による変形を第2の弾性部材に拘束されながら前記物体把持するものである。
請求項24に記載の発明は、表面に凹凸形状を有する物体を把持する場合、把持力により第1の弾性部材が凹部と密着するように変形し、第2の弾性部材が凸部に引っ掛かるように把持するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1から12に記載の発明によると、軽い対象物を小さい把持力で扱う際には、柔軟性の高い部材により、十分な変位量を確保して対象物との密着性を高め、安定した把持が実現できる。一方で重い対象物を大きな把持力で扱う際には、剛性の高い部材により、振動や位置ずれのない、精度の良い把持が実現できる。また大きな把持力によって部材が損傷することを防ぐことができる。また、部材を指先端部に対する突出量を任意に設定することができことから、対象物の重量や硬さに応じた把持動作をより自由に選択することができる。
また、請求項13から24に記載の発明によると、弾性率の異なる少なくとも2種類の弾性部材を指部表面に配置したことで、柔軟性の高い部材および剛性の高い部材に対しても密着性良く、把持することができる。このために精度良い把持ができるとともに振動や位置ずれが生じることなく把持することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。なお、以降の実施例では発明を実施するための最良の形態として、ロボットのハンド装置に適用した例を示す。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるハンド装置の構成を示す側面図である。図において、1はハンド基部、2aおよび2bはハンド基部上に配置された指部である。指部2aは人間の親指に、指部2bは人間の人差し指に相当し、互いに略対向する。ここでは、説明を簡潔にするために2本の指部を有するハンド装置について説明するが、指部は3本以上の多指であっても同様である。指部2aは指駆動手段3a〜3cをリンク4a〜4cで連結した構成になっている。リンク4cの先端には指先端部5aが、さらに指先端部5aの外面には爪部6aが取り付けられている。指部2bは指駆動手段3d〜3fをリンク4d〜4fで連結した構成になっている。リンク4fの先端には指先端部5bが、さらに指先端部5bの外面には爪部6bが取り付けられている。指駆動手段3a〜3fのうち、3a、3c、3eおよび3fは図のX軸方向に回転軸を有し、指の屈曲伸展方向の動作が可能である。一方で3bおよび3dは図のZ軸方向に回転軸を有し、指をV字に開閉する方向の動作が可能である。
【0013】
本発明の第1の実施の形態における指先端部5aの詳細な側断面図を図2に示す。7aはリンク4cに直結された第1の部材であり、人間の骨に相当する。たとえば、アルミニウム合金やステンレス合金等の金属合金や、ガラス繊維製の強化プラスチック等から形成されている。8aは前記第1の部材の表面に密着される第2の部材であり、人間の肉および皮に相当する。第2の部材8aの剛性は、第1の部材7aの剛性よりも低く設定されており、ナイロン系の合成樹脂から形成されている。9aは第2の部材8aの表面の一部に設けられた第3の部材9aである。第3の部材9aの剛性は、第2の部材8aの剛性よりもさらに低く構成されており、合成樹脂の中でも特に弾性率の低い可とう性基材を有する塩化ビニール系の材料から形成されている。10aは第1の部材7aおよび第2の部材8aに設けられた孔部10aである。11aは一端を第3の部材9aに固定された摺動体であり、窒化ケイ素合金、セラミックスやフッ素樹脂等の低摩擦かつ耐磨耗性の材料から形成されている。第3の部材9aとともに前記孔部10aに沿って摺動自在に構成されている。摺動体11aの剛性は、第3の部材9aの剛性よりも高く設定されている。12aは前記摺動体11aと前記第1の部材7aとの間隙を伸縮自在に支持する弾性体であり、本実施例では圧縮バネを使用している。13は把持対象物である。
ここで、第3の部材9aは摺動体11aの先端に配置されているように図示し、説明したが、この限りではなく、第2の部材8aの表面に密着するように配置されてもよく、指先端部5aの外皮に配置され、把持対象物13にはじめに接する部分に配置されていればよいものである。
【0014】
本発明が従来技術と異なる部分は、最も剛性が低く柔軟性を有する第3の部材を、対象物と直接接触する指の表面に出し入れ自在に配置したことである。通常は図2(a)に示すように、第3の部材9aは弾性体12aの付勢力によって第2の部材8aよりも外側に突出している。これにより、軽い対象物13を小さい把持力で扱う際には、柔軟性の高い第3の部材9aにより、十分な変位量を確保して対象物との密着性を高め、安定した把持が実現できる。一方で指駆動手段3cほかによって指の把持力を高くすると、図2(b)に示すように、第3の部材9aおよび摺動体11aは弾性体12aの付勢力に抗し孔部10aに沿って指先端部5aの内部に埋没する。これにより、重い対象物13を大きな把持力で扱う際には、第3の部材9aよりも剛性の高い第2の部材8aにより、振動や位置ずれのない、精度の良い把持が実現できる。また大きな把持力によって第3の部材9aが損傷することを防ぐことができる。これにより、長期使用にも十分耐え得る性能を確保できる。
【0015】
さらに摺動体11aを設けることにより、第3の部材9aを孔部10aに沿って変形せず安定して摺動させることができる。また弾性体12aを設けることにより、指先に力が加わらない状態では常に第3の部材9aを第2の部材8aよりも表面に突出した状態に保つことができる。なお、図には記載されていないが、第1の部材7aあるいは第2の部材8aには、第3の部材9aおよび摺動体11aが指先端部5aから過剰に突出しないための抑止機構が取り付けられている。
尚、本実施例では、第3の部材を指先端部の1箇所に備える例について説明したが、たとえば、リンクのフレームに取り付けたり、第3の部材に複数個備えるようにしても良い。
【実施例2】
【0016】
本発明の第2の実施の形態における指先端部5aの詳細な側断面図を図3に示す。本実施の形態では、弾性体12aの代わりに、シャフト14aおよびシャフト駆動部15aから構成される直動アクチュエータを有している。シャフト14aの一端は摺動体11aに固定されている。シャフト駆動部15aは図示しないケーブルから電流を入り切りすることにより、シャフト14aを孔部10aに沿った方向に駆動制御する。本構成により、第3の部材9aの指先端部5aに対する突出量を任意に設定することができる。例えば、図示しない環境認識機能等により事前に対象物の種別を判断し、あらかじめ登録しておいたデータベースから対象物の重量・表面形状・摩擦係数等を取得する。そして重量が大きいときは突出量を小さく、逆に重量が小さい場合には突出量を小さくするなど、対象物の特性に応じて第3の部材9aの指先端部5aに対する突出量を調整する。これにより、対象物の重量や硬さに応じた最適な把持動作を選択することができる。
【実施例3】
【0017】
図4は、本発明の多指ロボットハンドの構成図であり、ここでは説明を簡単にするため、3自由度の指の2本をお互いに対向して配置した構成で説明する。図において、100は2本の指の根元を固定配置するためのハンドベース部、110は3自由度の指であり、リンク部(112、113、114)にて各関節部(115、116、117)を直列に接続して構成されている。同様に120も3自由度の指で、リンク(122、123、124)にて各関節部(125、126、127)を直列に接続して構成されている。2本の3自由度の指(110、120)は、根元の接続リンク111および121にてハンドベース部100に固定されている。このリンク部(112、113、114、122、123、124)、接続リンク(111、121)およびハンドベース部100はアルミニウムまたはマグネシウム合金などを主材料とした軽量の金属やFRPなど軽量かつ高強度の
プラスチックで製作されている。
また、この多指ロボットハンドの各関節部(115、116、117、125、126、127)には、サーボモータと減速機を一体に構成したアクチュエータが配置されており、このアクチュエータによって各関節をダイレクトに駆動制御するようになっているため、各関節に配置したアクチュエータの回転角を制御することで対象物の把持動作が行えるようになっている。
118、128は、指110、120が対象物を把持する際に対象物と接触する把持部であり、表面にはリンク部(112、113、114、122、123、124)よりも柔軟な2種類の材質のものが交互に配置されている。
本発明が従来技術および実施例1と実施例2と異なる部分は、多指ロボットハンドの把持面を柔軟かつ摩擦係数の大きな第1の部材と第1の部材よりも硬質な材料で構成した第2の部材を交互に配置するように構成し、第1の部材を第2の部材よりも突出させた部分である。
【0018】
次に、図5を用いて把持部118、128の表面構造を説明するが、各指の表面構造は同じ構造であるため、ここでは1本の指110を用いて説明する。
図5において、指110の把持部118には、小さな外力により容易に変形する柔軟で摩擦係数の大きい材質(例えば、(株)ジェルテック社の登録商標であるαGEL)で構成
した第1の部材201と、前記第1の部材201よりも硬質で第1の部材201が変形するような力では大きく変形しない材質(例えば、ウレタンゴムやシリコンゴム、天然ゴムなど)で構成した第2の部材202をそれぞれ交互に配置している。また、A−A’ 断
面のように柔軟な第1の部材201の余盛り高さを第2の部材202よりも高くして、第1の部材201を第2の部材202より突出するようになっている。
図6および図7は、本発明の表面構造を多指ロボットハンドに適用して、様々な形状の対象物を把持した様子を説明した図である。 図6は、把持対象物の把持面が一様に平坦で摩擦係数の小さい物体を把持する場合の説明図である。図6において、3−aは多指ロボットハンドを用いて対象物301を把持した場合の一形態であり、対象物301を指110および指120で挟み込むとともに対象物301に力を加えることで対象物301を拘束するようになっている。3−bは3−aの指110の把持面と対象物301との接触した部分302を拡大した図である。指110および指120が対象物301に把持力を加えると、柔軟な材質で第2の部材202よりも突出した第1の部材201は、対象物301からの反力を受けて201′のように対象物301の表面に拘束されながら対象物301との接触面積が大きくなるように変形する。把持した対象物301を多指ロボットハンドで持ち上げる際、対象物301の反力を受けて変形した第1の部材201′は、対象物301の自重によって重力方向に変形しようとするが、第1の部材201よりも硬質な材質で構成された第2の部材202によって拘束されるため、第1の部材201′はほとんど変形することがない。このように、柔軟な材質で構成された第1の部材201が大きく変形することで、対象物301との接触面積を大きくし、摩擦力を高める効果と、対象物301を持ち上げる際に対象物301の自重によって第1の部材201′が重力方向に変形するのを硬質の第2の部材202で堰きとめるようにして防ぐことができるため、指110の把持部と対象物301との接触面積を安定に確保することができ、表面が平坦で摩擦係数が小さい物体でも安定に把持できるようになっている。
これに対して、把持対象物の把持面が一様ではなく凹凸形状の物体を把持する場合を説明したのが図7である。図7において、4−aは多指ロボットハンドを用いて対象物401を把持した場合の一形態である。4−bは4−aの指110の把持面と対象物401が接触した部分402を拡大した図である。指110および指120が対象物401に把持力を加えると、柔軟で第2の部材202よりも突出した第1の部材201は、対象物401からの反力を受けて201″のように変形する。そして、対象物401の凸の部分は硬質な材料で構成された第2の部材202に引っ掛かるようになる。対象物401を持ち上げる際には、対象物401の自重が第2の部材202に作用するが、第2の部材202は硬質な材質で構成しているため、柔軟な第1の部材のように大きく変形することはない。このため、対象物401は接触面の摩擦力ではなく第2の部材202に拘束によって持ち上げられるようになっている。このように、重力に逆らって対象物を持ち上げる場合、本発明を適用した場合は摩擦力に頼って持ち上げるのではなく、対象物を引っ掛けるような拘束力によって持ち上げることができるので、比較的小さなトルクしか発生することができないアクチュエータを各関節に用いた場合でも重量の大きな対象物を持ち上げることができるという点が従来例とは全く異なるものである。
【0019】
以上のように第1の部材と第2の部材を交互に配置し、第1の部材を第2の部材よりも突出するようにすれば、図5のような配置に限らず、図8のように第1の部材501と第2の部材502を複眼状または格子状に交互に配置したり、図9のように第1の部材601と第2の部材602を同心円状あるいは楕円状に交互に配置しても同様の効果を得ることができる。更に、第1の部材と第2の部材が対象物と接触する面に露出すればよいため、図10のように波状の第2の部材の凹部に第1の部材を突出するように配置しても同様の効果を得ることができる。また、説明では指先のリンク部(114、124)の把持面について第1の部材と第2の部材を交互に配置するようにしたが、指を構成する他のリンクが対象物と接触する面にも同様に第1の部材と第2の部材を交互に配置しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本実施例は多指多関節ハンドの指先端部の構造を例にとって説明したが、指先端部に限らず、途中のリンクや掌の構造として用いても、同様の効果が期待できる。また、指に限らず、ロボットの腕や脚などのリンク連接機構にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるハンド装置の構成を示す側面図
【図2】本発明の第1の実施の形態における指先端部5aの詳細な側断面図
【図3】本発明の第2の実施の形態における指先端部5aの詳細な側断面図
【図4】本発明の多指ロボットハンドの構成図
【図5】本発明の多指ロボットハンドの表面構造説明図
【図6】対象物把持の説明図
【図7】対象物把持の説明図
【図8】本発明の多指ロボットハンドの表面構造説明図
【図9】本発明の多指ロボットハンドの表面構造説明図
【図10】本発明の多指ロボットハンドの表面構造説明図
【図11】従来例における指先端部の構成を示す側断面図
【図12】従来例における指先表面構造
【図13】従来例における対象物把持の説明図
【符号の説明】
【0022】
1 ハンド基部
2 指部
3 指駆動手段
4 リンク
5 指先端部
6 爪部
7 第1の部材
8 第2の部材
9 第3の部材
10 孔部
11 摺動体
12 弾性体
13 把持対象物
14 シャフト
15 シャフト駆動部
50 リンク
51 第1の部材
52 第2の部材
53 第3の部材
54 第4の部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットが備えるリンク連接機構の表面および内部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットには各種作業を行なわせるためのハンド装置が具備されているが、近年、小型軽量部品を器用に操ることを目的とし、人間の指に相当するリンク連接機構を複数備える多指多関節のハンド装置が提案されている。このリンク連接機構は、複数個のリンクを関節で連接した構造になっているが、特に指先に相当する最先端部のリンクにおいて、対象物を摘む・操るなどの複雑な作業を確実に行うためには、把持する際の対象物とリンクとの密着性を高くすることが求められる。
【0003】
しかしながら、従来のハンド装置ではリンクが単層構造であり、対象物を把持する際の指部の変位量がその材質の特性に依存していた。すなわちロボットの指部の材質を変位量の多いものにすると表面に傷がつきやすく、長期使用に耐え得ない問題があり、またこれを避けるために指部の材質を変位量の少ないものにすると対象物及び指部間の密着性が悪くなって当該対象物の確実な把持等を行い得なくなる問題があった。
【0004】
この課題を解決するため、人間の指に相当するリンクに人間の骨・肉・皮に相当する複数層の構造を持たせ、各層の剛性を異なるものに設定するという方策が提案されている(例えば、特許文献1)。以下図に基づいて説明する。図11は特許文献1に示す実施例の構成を示す側断面図である。図において、50は指の先端に配置されたリンクである。リンク50は、骨に相当する第1の部材51と、前記第1の部材51の表面に密着され、肉に相当する第2の部材52と、前記第2の部材を覆うように配置され、皮に相当する第3の部材53と、前記第3の部材の表面の一部に配置され、爪に相当する第4の部材54とから構成される多層構造となっている。
【0005】
さらに特許文献1では、各部材の剛性(硬度)を第1の部材51、第3の部材53、第2の部材52の順に高く設定している。これにより本ロボットは、対象物を把持する際に、第2の部材52の柔軟性によって指先端部を対象物の表面形状に応じて凹む方向に弾力的かつ柔軟に変位させて当該対象物に密着させることができることから、確実な把持が可能になる。また指表面に第1の部材51よりは剛性が低いが第2の部材52よりは剛性が高い第3の部材53を設けることにより、第2の部材52が直接対象物に接する場合と比較して指表面が損傷し難く、長期使用にも実用上十分耐えるようになされている。
【0006】
この他に、第2の部材52の過剰な変形を防ぐため、爪に相当する第4の部材54と、骨に相当する第1の部材51とを直結した構造も提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2においても、指リンクを骨・肉・皮の3層構造とし、肉に相当する第2の部材の剛性を、他の第1の部材および第3の部材よりも低く設定するようにしている。
また、指の表面側の剛性の高い部材と、指の内側の剛性の低い部材にそれぞれ凹凸を設けて、相互に嵌合することで指の表面のせん断特性を変化させられるようにした提案もある(例えば、特許文献3)。以下図に基づいて説明する。図12は特許文献3に示す実施例の構成を示す指先部材の説明図である。図において、凹凸形状で剛性の高い指表面側部材と、凹凸形状で剛性の低い指内側部材を相互に嵌合されている。このようにすることで、特許文献1のように指の内側よりも剛性の高い部材を指表面に設けているので対象物を把持する動作を繰り返した場合、指表面が損傷し難いことと、X方向とY方向のせん断特性が異なっているため、対象物によって把持方法を選ぶことができるようになっている。
【特許文献1】特開2004−174625号公報(第9−11頁、図15)
【特許文献2】特開2005−88096号公報(第2−11頁、図4)
【特許文献3】特開2006−321018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のリンク連接機構の構造、特に指先端部における多層構造では、高精度の把持と柔軟な把持を同一の機構で実現しえないという問題点があった。すなわち、高い剛性を有する重量物体を従来の多層構造を有する指リンクで把持しようとすると、剛性の低い柔軟部材である第2の部材がバネ要素となって作用し、把持物体の振動や位置ずれを発生して所望の位置に位置決めするための精度が確保できない。これを回避するために第2の部材の剛性を高く設定すると、今度は軽量物体を把持する際の指先の柔軟性が失われ、安定した把持が実現できないという問題点があった。また、指表面を覆う第3の部材の剛性が高いため、第2の部材が直接表面に露出している場合と比較すると、変位量が限定されて対象物との密着性が十分確保できないという問題もあった。この問題は特許文献3にも共通の問題であり、この問題点について実際に多指ロボットハンドの指先に多層構造を適用した場合の具体例として図を用いて説明する。図13は多指ロボットハンドに多層構造の指先を用いた場合の構造図であり、ここでは説明を簡単にするため、3自由度の指2本を互いに対向して配置した構成で説明する。図において、100は2本の指の根元を固定配置するためのハンドベース部、110は3自由度の指であり、各関節部はサーボモータと減速機を一体に構成したアクチュエータ117によって直接駆動するものとする。従来例の指先形状で把持対象物401を把持する場合、対象物の一部が剛性の高い一様な指表面部材に接触し、アクチュエータ117の駆動力を増すごとに対象物からの反力が剛性の高い指表面部材から剛性の低い指の内側部材に伝わることで、対象物との接触部が大きく変位するようになる。つまり、指表面と対象物との接触部が窪むように変形するようになるのである。このように、従来例では対象物と指表面との接触部が窪むように変形することで、対象物に接する指の表面積が増大して摩擦力が大きくなるため滑りにくくなる効果が得られる。しかしながら、従来例のような指の表面が一様な部材で構成された多層構造の場合、把持した後に重力に逆らって対象物を持ち上げようとすると対象物と接触部との間の摩擦力を大きくする必要があるため、把持対象物401の重量が大きくなると、指先の部材自体を摩擦係数の大きい部材に取り替えるか、アクチュエータ117が発生するトルクを増大するという方法しか選択肢がない。一般に、多指ロボットハンドは、様々な対象物を把持・運搬できるように汎用設計されているので、対象物ごとに指先を交換することは稀であるため、アクチュエータ117のトルクを増大することで対象物の重量によって把持力を変化させている。ところが、多指ロボットハンドはマニピュレータのエンドエフェクタとして機能することが目的であるため、各関節を駆動するアクチュエータ117は、小型かつ軽量のものが必然的に採用されるため、大きなトルクを発生させることができず、この結果、摩擦力を大きくすることができないため、重量物を持ち上げるのが難しいという問題に至るのである。
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、高精度の把持と柔軟な把持を同一の機構で実現するとともに、対象物との密着性も十分確保し、対象物の種別によらず安定な把持が可能となるロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1に記載の発明は、複数個のリンクと、前記リンクを連接する関節とからなるリンク連接機構と、指部を備えたロボットにおいて、前記指部が、第1の部材と、前記第1の部材よりも剛性が低い少なくとも1つの部材を備えたものである。
請求項2に記載の発明は、前記指部が、前記第1の部材が前記リンクに接続され、前記第1の部材よりも剛性の低い少なくとも1つの部材が被覆されることで形成されたものである。
請求項3に記載の発明は、前記剛性の低い部材が、外皮に向かうにしたがって剛性が低い少なくとも2種類の材料から形成されたものである。
請求項4に記載の発明は、前記第1の部材に爪部が備えられたものである。
請求項5に記載の発明は、複数個のリンクと、前記リンクを連接する関節とからなるリンク連接機構と、指部を備えたロボットにおいて、前記指部は、対象物に直接接触する少なくとも1つの部材を有し、前記部材の一端は、第1の部材に連結され、前記部材の他方端は、前記指部表面から出し入れ自在に配置されたものである。
請求項6に記載の発明は、前記第1の部材よりも剛性が低い前記部材が、前記第1の部材から可動する機構を備えたものである。
請求項7に記載の発明は、前記第1の部材よりも剛性が低い部材が、前記第1の部材に取り付けられるとともに、第2の部材に形成された孔部に沿って稼動するものである。
請求項8に記載の発明は、前記第1の部材に、前記部材を収納する少なくとも1つの凹部が形成されたものである。
請求項9に記載の発明は、小さな把持力で対象物を扱う際には、前記部材が前記対象物に密着して把持し、大きな把持力で対象物を扱う際には、前記部材が、第2の部材表面まで移動し、前記第2の部材で把持するものである。
請求項10に記載の発明は、複数個のリンクと、前記リンクを連接する関節とからなるリンク連接機構と、指部を備えたロボットにおいて、前記指部が、対象物に直接接触する少なくとも1つの部材を有し、前記部材の一端は、第1の部材に連結され、前記部材の他方端は、前記指部表面から出し入れ自在に配置され、前記指部内部に前記部材を移動可能なアクチュエータを備えたものである。
請求項11に記載の発明は、前記アクチュエータは、前記対象物を把持する前に、前記対象物の種別を判断し、前記指部表面から前記部材の突出量を調整するものである。
請求項12に記載の発明は、前記アクチュエータは、第2の部材に形成された孔部に沿って前記部材が移動するように構成され、電磁的手段からなる駆動制御されるものである。
請求項13に記載の発明は、複数個のリンクと、前記リンクを連接する関節とからなるリンク連接機構と、指部を備えたロボットにおいて、前記リンクおよび指部の少なくとも一方の把持表面に、少なくとも2種類からなる弾性部材が備えられたものである。
請求項14に記載の発明は、少なくとも2種類からなる前記弾性部材が、弾性率が異なる部材で前記把持表面に備えられたものである。
請求項15に記載の発明は、少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材は小さな外力により容易に変形する柔軟で摩擦係数の大きい材質からなるものであり、第2の弾性部材は、前記第1の弾性部材よりも硬質な材質からなるものである。
請求項16に記載の発明は、少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材は第2の弾性部材よりも突出するように配置されたものである。
請求項17に記載の発明は、少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材は第2の弾性部材に隣接するように配置されたものである。
請求項18に記載の発明は、少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材と第2の弾性部材とが、指部先端方向に向かって交互に線状に配置されたものである。
請求項19に記載の発明は、少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材と第2の弾性部材とが、リンクおよび指部の各々の表面に格子状に交互に配置されたものである。
請求項20に記載の発明は、少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材と第2の弾性部材とが、リンクおよび指部の各々の表面に略同心円状に交互に配置されたものである。
請求項21に記載の発明は、少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材が第2の弾性部材の凹部に配置されたものである。
請求項22に記載の発明は、表面が平坦で摩擦係数が小さい物体を把持する場合、第1の弾性部材が第2の弾性部材に拘束されながら前記物体との接触面性が大きくなるように変形して把持するものである。
請求項23に記載の発明は、把持する物体が重力方向に自重が作用して持ち上げる場合、第1の弾性部材が前記第1の弾性部材の自重による変形を第2の弾性部材に拘束されながら前記物体把持するものである。
請求項24に記載の発明は、表面に凹凸形状を有する物体を把持する場合、把持力により第1の弾性部材が凹部と密着するように変形し、第2の弾性部材が凸部に引っ掛かるように把持するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1から12に記載の発明によると、軽い対象物を小さい把持力で扱う際には、柔軟性の高い部材により、十分な変位量を確保して対象物との密着性を高め、安定した把持が実現できる。一方で重い対象物を大きな把持力で扱う際には、剛性の高い部材により、振動や位置ずれのない、精度の良い把持が実現できる。また大きな把持力によって部材が損傷することを防ぐことができる。また、部材を指先端部に対する突出量を任意に設定することができことから、対象物の重量や硬さに応じた把持動作をより自由に選択することができる。
また、請求項13から24に記載の発明によると、弾性率の異なる少なくとも2種類の弾性部材を指部表面に配置したことで、柔軟性の高い部材および剛性の高い部材に対しても密着性良く、把持することができる。このために精度良い把持ができるとともに振動や位置ずれが生じることなく把持することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。なお、以降の実施例では発明を実施するための最良の形態として、ロボットのハンド装置に適用した例を示す。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるハンド装置の構成を示す側面図である。図において、1はハンド基部、2aおよび2bはハンド基部上に配置された指部である。指部2aは人間の親指に、指部2bは人間の人差し指に相当し、互いに略対向する。ここでは、説明を簡潔にするために2本の指部を有するハンド装置について説明するが、指部は3本以上の多指であっても同様である。指部2aは指駆動手段3a〜3cをリンク4a〜4cで連結した構成になっている。リンク4cの先端には指先端部5aが、さらに指先端部5aの外面には爪部6aが取り付けられている。指部2bは指駆動手段3d〜3fをリンク4d〜4fで連結した構成になっている。リンク4fの先端には指先端部5bが、さらに指先端部5bの外面には爪部6bが取り付けられている。指駆動手段3a〜3fのうち、3a、3c、3eおよび3fは図のX軸方向に回転軸を有し、指の屈曲伸展方向の動作が可能である。一方で3bおよび3dは図のZ軸方向に回転軸を有し、指をV字に開閉する方向の動作が可能である。
【0013】
本発明の第1の実施の形態における指先端部5aの詳細な側断面図を図2に示す。7aはリンク4cに直結された第1の部材であり、人間の骨に相当する。たとえば、アルミニウム合金やステンレス合金等の金属合金や、ガラス繊維製の強化プラスチック等から形成されている。8aは前記第1の部材の表面に密着される第2の部材であり、人間の肉および皮に相当する。第2の部材8aの剛性は、第1の部材7aの剛性よりも低く設定されており、ナイロン系の合成樹脂から形成されている。9aは第2の部材8aの表面の一部に設けられた第3の部材9aである。第3の部材9aの剛性は、第2の部材8aの剛性よりもさらに低く構成されており、合成樹脂の中でも特に弾性率の低い可とう性基材を有する塩化ビニール系の材料から形成されている。10aは第1の部材7aおよび第2の部材8aに設けられた孔部10aである。11aは一端を第3の部材9aに固定された摺動体であり、窒化ケイ素合金、セラミックスやフッ素樹脂等の低摩擦かつ耐磨耗性の材料から形成されている。第3の部材9aとともに前記孔部10aに沿って摺動自在に構成されている。摺動体11aの剛性は、第3の部材9aの剛性よりも高く設定されている。12aは前記摺動体11aと前記第1の部材7aとの間隙を伸縮自在に支持する弾性体であり、本実施例では圧縮バネを使用している。13は把持対象物である。
ここで、第3の部材9aは摺動体11aの先端に配置されているように図示し、説明したが、この限りではなく、第2の部材8aの表面に密着するように配置されてもよく、指先端部5aの外皮に配置され、把持対象物13にはじめに接する部分に配置されていればよいものである。
【0014】
本発明が従来技術と異なる部分は、最も剛性が低く柔軟性を有する第3の部材を、対象物と直接接触する指の表面に出し入れ自在に配置したことである。通常は図2(a)に示すように、第3の部材9aは弾性体12aの付勢力によって第2の部材8aよりも外側に突出している。これにより、軽い対象物13を小さい把持力で扱う際には、柔軟性の高い第3の部材9aにより、十分な変位量を確保して対象物との密着性を高め、安定した把持が実現できる。一方で指駆動手段3cほかによって指の把持力を高くすると、図2(b)に示すように、第3の部材9aおよび摺動体11aは弾性体12aの付勢力に抗し孔部10aに沿って指先端部5aの内部に埋没する。これにより、重い対象物13を大きな把持力で扱う際には、第3の部材9aよりも剛性の高い第2の部材8aにより、振動や位置ずれのない、精度の良い把持が実現できる。また大きな把持力によって第3の部材9aが損傷することを防ぐことができる。これにより、長期使用にも十分耐え得る性能を確保できる。
【0015】
さらに摺動体11aを設けることにより、第3の部材9aを孔部10aに沿って変形せず安定して摺動させることができる。また弾性体12aを設けることにより、指先に力が加わらない状態では常に第3の部材9aを第2の部材8aよりも表面に突出した状態に保つことができる。なお、図には記載されていないが、第1の部材7aあるいは第2の部材8aには、第3の部材9aおよび摺動体11aが指先端部5aから過剰に突出しないための抑止機構が取り付けられている。
尚、本実施例では、第3の部材を指先端部の1箇所に備える例について説明したが、たとえば、リンクのフレームに取り付けたり、第3の部材に複数個備えるようにしても良い。
【実施例2】
【0016】
本発明の第2の実施の形態における指先端部5aの詳細な側断面図を図3に示す。本実施の形態では、弾性体12aの代わりに、シャフト14aおよびシャフト駆動部15aから構成される直動アクチュエータを有している。シャフト14aの一端は摺動体11aに固定されている。シャフト駆動部15aは図示しないケーブルから電流を入り切りすることにより、シャフト14aを孔部10aに沿った方向に駆動制御する。本構成により、第3の部材9aの指先端部5aに対する突出量を任意に設定することができる。例えば、図示しない環境認識機能等により事前に対象物の種別を判断し、あらかじめ登録しておいたデータベースから対象物の重量・表面形状・摩擦係数等を取得する。そして重量が大きいときは突出量を小さく、逆に重量が小さい場合には突出量を小さくするなど、対象物の特性に応じて第3の部材9aの指先端部5aに対する突出量を調整する。これにより、対象物の重量や硬さに応じた最適な把持動作を選択することができる。
【実施例3】
【0017】
図4は、本発明の多指ロボットハンドの構成図であり、ここでは説明を簡単にするため、3自由度の指の2本をお互いに対向して配置した構成で説明する。図において、100は2本の指の根元を固定配置するためのハンドベース部、110は3自由度の指であり、リンク部(112、113、114)にて各関節部(115、116、117)を直列に接続して構成されている。同様に120も3自由度の指で、リンク(122、123、124)にて各関節部(125、126、127)を直列に接続して構成されている。2本の3自由度の指(110、120)は、根元の接続リンク111および121にてハンドベース部100に固定されている。このリンク部(112、113、114、122、123、124)、接続リンク(111、121)およびハンドベース部100はアルミニウムまたはマグネシウム合金などを主材料とした軽量の金属やFRPなど軽量かつ高強度の
プラスチックで製作されている。
また、この多指ロボットハンドの各関節部(115、116、117、125、126、127)には、サーボモータと減速機を一体に構成したアクチュエータが配置されており、このアクチュエータによって各関節をダイレクトに駆動制御するようになっているため、各関節に配置したアクチュエータの回転角を制御することで対象物の把持動作が行えるようになっている。
118、128は、指110、120が対象物を把持する際に対象物と接触する把持部であり、表面にはリンク部(112、113、114、122、123、124)よりも柔軟な2種類の材質のものが交互に配置されている。
本発明が従来技術および実施例1と実施例2と異なる部分は、多指ロボットハンドの把持面を柔軟かつ摩擦係数の大きな第1の部材と第1の部材よりも硬質な材料で構成した第2の部材を交互に配置するように構成し、第1の部材を第2の部材よりも突出させた部分である。
【0018】
次に、図5を用いて把持部118、128の表面構造を説明するが、各指の表面構造は同じ構造であるため、ここでは1本の指110を用いて説明する。
図5において、指110の把持部118には、小さな外力により容易に変形する柔軟で摩擦係数の大きい材質(例えば、(株)ジェルテック社の登録商標であるαGEL)で構成
した第1の部材201と、前記第1の部材201よりも硬質で第1の部材201が変形するような力では大きく変形しない材質(例えば、ウレタンゴムやシリコンゴム、天然ゴムなど)で構成した第2の部材202をそれぞれ交互に配置している。また、A−A’ 断
面のように柔軟な第1の部材201の余盛り高さを第2の部材202よりも高くして、第1の部材201を第2の部材202より突出するようになっている。
図6および図7は、本発明の表面構造を多指ロボットハンドに適用して、様々な形状の対象物を把持した様子を説明した図である。 図6は、把持対象物の把持面が一様に平坦で摩擦係数の小さい物体を把持する場合の説明図である。図6において、3−aは多指ロボットハンドを用いて対象物301を把持した場合の一形態であり、対象物301を指110および指120で挟み込むとともに対象物301に力を加えることで対象物301を拘束するようになっている。3−bは3−aの指110の把持面と対象物301との接触した部分302を拡大した図である。指110および指120が対象物301に把持力を加えると、柔軟な材質で第2の部材202よりも突出した第1の部材201は、対象物301からの反力を受けて201′のように対象物301の表面に拘束されながら対象物301との接触面積が大きくなるように変形する。把持した対象物301を多指ロボットハンドで持ち上げる際、対象物301の反力を受けて変形した第1の部材201′は、対象物301の自重によって重力方向に変形しようとするが、第1の部材201よりも硬質な材質で構成された第2の部材202によって拘束されるため、第1の部材201′はほとんど変形することがない。このように、柔軟な材質で構成された第1の部材201が大きく変形することで、対象物301との接触面積を大きくし、摩擦力を高める効果と、対象物301を持ち上げる際に対象物301の自重によって第1の部材201′が重力方向に変形するのを硬質の第2の部材202で堰きとめるようにして防ぐことができるため、指110の把持部と対象物301との接触面積を安定に確保することができ、表面が平坦で摩擦係数が小さい物体でも安定に把持できるようになっている。
これに対して、把持対象物の把持面が一様ではなく凹凸形状の物体を把持する場合を説明したのが図7である。図7において、4−aは多指ロボットハンドを用いて対象物401を把持した場合の一形態である。4−bは4−aの指110の把持面と対象物401が接触した部分402を拡大した図である。指110および指120が対象物401に把持力を加えると、柔軟で第2の部材202よりも突出した第1の部材201は、対象物401からの反力を受けて201″のように変形する。そして、対象物401の凸の部分は硬質な材料で構成された第2の部材202に引っ掛かるようになる。対象物401を持ち上げる際には、対象物401の自重が第2の部材202に作用するが、第2の部材202は硬質な材質で構成しているため、柔軟な第1の部材のように大きく変形することはない。このため、対象物401は接触面の摩擦力ではなく第2の部材202に拘束によって持ち上げられるようになっている。このように、重力に逆らって対象物を持ち上げる場合、本発明を適用した場合は摩擦力に頼って持ち上げるのではなく、対象物を引っ掛けるような拘束力によって持ち上げることができるので、比較的小さなトルクしか発生することができないアクチュエータを各関節に用いた場合でも重量の大きな対象物を持ち上げることができるという点が従来例とは全く異なるものである。
【0019】
以上のように第1の部材と第2の部材を交互に配置し、第1の部材を第2の部材よりも突出するようにすれば、図5のような配置に限らず、図8のように第1の部材501と第2の部材502を複眼状または格子状に交互に配置したり、図9のように第1の部材601と第2の部材602を同心円状あるいは楕円状に交互に配置しても同様の効果を得ることができる。更に、第1の部材と第2の部材が対象物と接触する面に露出すればよいため、図10のように波状の第2の部材の凹部に第1の部材を突出するように配置しても同様の効果を得ることができる。また、説明では指先のリンク部(114、124)の把持面について第1の部材と第2の部材を交互に配置するようにしたが、指を構成する他のリンクが対象物と接触する面にも同様に第1の部材と第2の部材を交互に配置しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本実施例は多指多関節ハンドの指先端部の構造を例にとって説明したが、指先端部に限らず、途中のリンクや掌の構造として用いても、同様の効果が期待できる。また、指に限らず、ロボットの腕や脚などのリンク連接機構にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるハンド装置の構成を示す側面図
【図2】本発明の第1の実施の形態における指先端部5aの詳細な側断面図
【図3】本発明の第2の実施の形態における指先端部5aの詳細な側断面図
【図4】本発明の多指ロボットハンドの構成図
【図5】本発明の多指ロボットハンドの表面構造説明図
【図6】対象物把持の説明図
【図7】対象物把持の説明図
【図8】本発明の多指ロボットハンドの表面構造説明図
【図9】本発明の多指ロボットハンドの表面構造説明図
【図10】本発明の多指ロボットハンドの表面構造説明図
【図11】従来例における指先端部の構成を示す側断面図
【図12】従来例における指先表面構造
【図13】従来例における対象物把持の説明図
【符号の説明】
【0022】
1 ハンド基部
2 指部
3 指駆動手段
4 リンク
5 指先端部
6 爪部
7 第1の部材
8 第2の部材
9 第3の部材
10 孔部
11 摺動体
12 弾性体
13 把持対象物
14 シャフト
15 シャフト駆動部
50 リンク
51 第1の部材
52 第2の部材
53 第3の部材
54 第4の部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のリンクと、前記リンクを連接する関節とからなるリンク連接機構と、指部を備えたロボットにおいて、
前記指部は、第1の部材と、前記第1の部材よりも剛性が低い少なくとも1つの部材を備えたことを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記指部は、前記第1の部材が前記リンクに接続され、前記第1の部材よりも剛性の低い少なくとも1つの部材が被覆されることで形成されたことを特徴とする請求項1記載のロボット。
【請求項3】
前記剛性の低い部材は、外皮に向かうにしたがって剛性が低い少なくとも2種類の材料から形成されたことを特徴とする請求項1記載のロボット。
【請求項4】
前記第1の部材に爪部が備えられたことを特徴とする請求項1記載のロボット。
【請求項5】
複数個のリンクと、前記リンクを連接する関節とからなるリンク連接機構と、指部を備えたロボットにおいて、
前記指部は、対象物に直接接触する少なくとも1つの部材を有し、前記部材の一端は、第1の部材に連結され、前記部材の他方端は、前記指部表面から出し入れ自在に配置されたことを特徴とするロボット。
【請求項6】
前記第1の部材よりも剛性が低い前記部材が、前記第1の部材から可動する機構を備えたことを特徴とする請求項5記載のロボット。
【請求項7】
前記第1の部材よりも剛性が低い部材が、前記第1の部材に取り付けられるとともに、第2の部材に形成された孔部に沿って稼動することを特徴とする請求項5記載のロボット。
【請求項8】
前記第1の部材に、前記部材を収納する少なくとも1つの凹部が形成されたことを特徴とする請求項5記載のロボット。
【請求項9】
小さな把持力で対象物を扱う際には、前記部材が前記対象物に密着して把持し、大きな把持力で対象物を扱う際には、前記部材が、第2の部材表面まで移動し、前記第2の部材で把持することを特徴とする請求項5記載のロボット。
【請求項10】
複数個のリンクと、前記リンクを連接する関節とからなるリンク連接機構と、指部を備えたロボットにおいて、
前記指部は、対象物に直接接触する少なくとも1つの部材を有し、前記部材の一端は、第1の部材に連結され、前記部材の他方端は、前記指部表面から出し入れ自在に配置され、前記指部内部に前記部材を移動可能なアクチュエータを備えたことを特徴とするロボット。
【請求項11】
前記アクチュエータは、前記対象物を把持する前に、前記対象物の種別を判断し、前記指部表面から前記部材の突出量を調整することを特徴とする請求項10記載のロボット。
【請求項12】
前記アクチュエータは、第2の部材に形成された孔部に沿って前記部材が移動するように構成され、電磁的手段からなる駆動制御されることを特徴とする請求項10記載のロボット。
【請求項13】
複数個のリンクと、前記リンクを連接する関節とからなるリンク連接機構と、指部を備えたロボットにおいて、
前記リンクおよび指部の少なくとも一方の把持表面に、少なくとも2種類からなる弾性部材が備えられたことを特徴とするロボット。
【請求項14】
少なくとも2種類からなる前記弾性部材は、弾性率が異なる部材で前記把持表面に備えられたことを特徴とする請求項13記載のロボット。
【請求項15】
少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材は小さな外力により容易に変形する柔軟で摩擦係数の大きい材質からなるものであり、第2の弾性部材は、前記第1の弾性部材よりも硬質な材質からなることを特徴とする請求項13記載のロボット。
【請求項16】
少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材は第2の弾性部材よりも突出するように配置されたことを特徴とする請求項15記載のロボット。
【請求項17】
少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材は第2の弾性部材に隣接するように配置されたことを特徴とする請求項15記載のロボット。
【請求項18】
少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材と第2の弾性部材とが、指部先端方向に向かって交互に線状に配置されたことを特徴とする請求項15記載のロボット。
【請求項19】
少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材と第2の弾性部材とが、リンクおよび指部の各々の表面に格子状に交互に配置されたことを特徴とする請求項15記載のロボット。
【請求項20】
少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材と第2の弾性部材とが、リンクおよび指部の各々の表面に略同心円状に交互に配置されたことを特徴とする請求項15記載のロボット。
【請求項21】
少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材が第2の弾性部材の凹部に配置されたことを特徴とする請求項15記載のロボット。
【請求項22】
表面が平坦で摩擦係数が小さい物体を把持する場合、第1の弾性部材が第2の弾性部材に拘束されながら前記物体との接触面性が大きくなるように変形して把持することを特徴とする請求項13記載のロボット。
【請求項23】
把持する物体が重力方向に自重が作用して持ち上げる場合、第1の弾性部材が前記第1の弾性部材の自重による変形を第2の弾性部材に拘束されながら前記物体把持することを特徴とする請求項13記載のロボット。
【請求項24】
表面に凹凸形状を有する物体を把持する場合、把持力により第1の弾性部材が凹部と密着するように変形し、第2の弾性部材が凸部に引っ掛かるように把持することを特徴とする請求項13記載のロボット。
【請求項1】
複数個のリンクと、前記リンクを連接する関節とからなるリンク連接機構と、指部を備えたロボットにおいて、
前記指部は、第1の部材と、前記第1の部材よりも剛性が低い少なくとも1つの部材を備えたことを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記指部は、前記第1の部材が前記リンクに接続され、前記第1の部材よりも剛性の低い少なくとも1つの部材が被覆されることで形成されたことを特徴とする請求項1記載のロボット。
【請求項3】
前記剛性の低い部材は、外皮に向かうにしたがって剛性が低い少なくとも2種類の材料から形成されたことを特徴とする請求項1記載のロボット。
【請求項4】
前記第1の部材に爪部が備えられたことを特徴とする請求項1記載のロボット。
【請求項5】
複数個のリンクと、前記リンクを連接する関節とからなるリンク連接機構と、指部を備えたロボットにおいて、
前記指部は、対象物に直接接触する少なくとも1つの部材を有し、前記部材の一端は、第1の部材に連結され、前記部材の他方端は、前記指部表面から出し入れ自在に配置されたことを特徴とするロボット。
【請求項6】
前記第1の部材よりも剛性が低い前記部材が、前記第1の部材から可動する機構を備えたことを特徴とする請求項5記載のロボット。
【請求項7】
前記第1の部材よりも剛性が低い部材が、前記第1の部材に取り付けられるとともに、第2の部材に形成された孔部に沿って稼動することを特徴とする請求項5記載のロボット。
【請求項8】
前記第1の部材に、前記部材を収納する少なくとも1つの凹部が形成されたことを特徴とする請求項5記載のロボット。
【請求項9】
小さな把持力で対象物を扱う際には、前記部材が前記対象物に密着して把持し、大きな把持力で対象物を扱う際には、前記部材が、第2の部材表面まで移動し、前記第2の部材で把持することを特徴とする請求項5記載のロボット。
【請求項10】
複数個のリンクと、前記リンクを連接する関節とからなるリンク連接機構と、指部を備えたロボットにおいて、
前記指部は、対象物に直接接触する少なくとも1つの部材を有し、前記部材の一端は、第1の部材に連結され、前記部材の他方端は、前記指部表面から出し入れ自在に配置され、前記指部内部に前記部材を移動可能なアクチュエータを備えたことを特徴とするロボット。
【請求項11】
前記アクチュエータは、前記対象物を把持する前に、前記対象物の種別を判断し、前記指部表面から前記部材の突出量を調整することを特徴とする請求項10記載のロボット。
【請求項12】
前記アクチュエータは、第2の部材に形成された孔部に沿って前記部材が移動するように構成され、電磁的手段からなる駆動制御されることを特徴とする請求項10記載のロボット。
【請求項13】
複数個のリンクと、前記リンクを連接する関節とからなるリンク連接機構と、指部を備えたロボットにおいて、
前記リンクおよび指部の少なくとも一方の把持表面に、少なくとも2種類からなる弾性部材が備えられたことを特徴とするロボット。
【請求項14】
少なくとも2種類からなる前記弾性部材は、弾性率が異なる部材で前記把持表面に備えられたことを特徴とする請求項13記載のロボット。
【請求項15】
少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材は小さな外力により容易に変形する柔軟で摩擦係数の大きい材質からなるものであり、第2の弾性部材は、前記第1の弾性部材よりも硬質な材質からなることを特徴とする請求項13記載のロボット。
【請求項16】
少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材は第2の弾性部材よりも突出するように配置されたことを特徴とする請求項15記載のロボット。
【請求項17】
少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材は第2の弾性部材に隣接するように配置されたことを特徴とする請求項15記載のロボット。
【請求項18】
少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材と第2の弾性部材とが、指部先端方向に向かって交互に線状に配置されたことを特徴とする請求項15記載のロボット。
【請求項19】
少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材と第2の弾性部材とが、リンクおよび指部の各々の表面に格子状に交互に配置されたことを特徴とする請求項15記載のロボット。
【請求項20】
少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材と第2の弾性部材とが、リンクおよび指部の各々の表面に略同心円状に交互に配置されたことを特徴とする請求項15記載のロボット。
【請求項21】
少なくとも2種類からなる前記弾性部材について、第1の弾性部材が第2の弾性部材の凹部に配置されたことを特徴とする請求項15記載のロボット。
【請求項22】
表面が平坦で摩擦係数が小さい物体を把持する場合、第1の弾性部材が第2の弾性部材に拘束されながら前記物体との接触面性が大きくなるように変形して把持することを特徴とする請求項13記載のロボット。
【請求項23】
把持する物体が重力方向に自重が作用して持ち上げる場合、第1の弾性部材が前記第1の弾性部材の自重による変形を第2の弾性部材に拘束されながら前記物体把持することを特徴とする請求項13記載のロボット。
【請求項24】
表面に凹凸形状を有する物体を把持する場合、把持力により第1の弾性部材が凹部と密着するように変形し、第2の弾性部材が凸部に引っ掛かるように把持することを特徴とする請求項13記載のロボット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−101424(P2009−101424A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270453(P2007−270453)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】
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