説明

ロータにかかる力に関連する量を決定する機器

応力や歪みの調査にも使用可能であるレオメータは、軸受面(19,20,21,22,23,24,26,27)に垂直な方向に調節可能な剛性を有する少なくとも1つの軸受(28;35)を有している。この機器はさらに、少なくとも1つの軸受(28;35)の剛性を調節するためのパラメータを制御するためのシステム(31,32,33,34;36,37)と、ロータ(8,5,6,7)とステータ(2)との間にかかる第2の力に関連する量の値を決定するとともに、決定される量に関連する力に対抗するためのシステム(10)と、第2の力に関連する量の決定値を、剛性を調節するためのパラメータを表す変数をパラメータとして有するマッピングを用いて取得されたバイアス値によって補正するためのデータ処理システムとを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ロータにかかる力に関連する量を決定するための機器であって、この機器は、
ロータと、
ステータと、
該ステータに対して少なくとも限られた変位を可能に前記ロータを取り付けるための少なくとも1つの軸受であって、該軸受は、対向する軸受面であって、使用されるときに、ロータ及びステータに対して適切な位置に通常は固定されて保持されるように配置された、対向する軸受面を含む、少なくとも1つの軸受と、
軸受面に垂直な方向に調節可能な剛性を有する少なくとも1つの軸受と、
少なくとも1つの軸受の剛性を調節するためのパラメータを制御するためのシステムと、
ロータとステータとの間にかかる第2の力に関連する量の値を決定するとともに、決定される量に関連する力に対抗するためのシステムと
を備えている機器に関する。
【0002】
また、本発明は、ロータにかかる力に関連する量を決定する方法であって、
ロータは、ステータに対して少なくとも限られた変位が可能に少なくとも1つの軸受によって取り付けられ、軸受は、対向する軸受面であって、それぞれがロータ及びステータに対して適切な位置に通常は固定されて保持される、対向する軸受面を含み、
少なくとも1つの軸受は、軸受面に垂直な方向に調節可能な剛性を有し、
この方法は、ロータとステータとの間にかかる第2の力に関連する量の値を決定することと、決定される量に関連する力に対抗することとを備えている方法に関する。
【0003】
また、本発明は、ロータにかかる力に関連する量を決定する機器を製造する方法であって、この機器は、
ロータと、
ステータと、
ステータに対して少なくとも限られた変位を可能にロータを取り付けるための少なくとも1つの軸受であって、軸受は、対向する軸受面であって、それぞれがロータ及びステータに対して適切な位置に通常は固定されて保持されるように配置された、対向する軸受面を含んでいる、少なくとも1つの軸受と、
軸受面に垂直な方向に調節可能な剛性を有する少なくとも1つの軸受と、
ロータとステータとの間にかかる第2の力に関連する量の値を決定するとともに、決定される量に関連する力に対抗するためのシステムと
を備えている機器を製造する方法に関する。
【0004】
また、本発明はコンピュータプログラムに関する。
US4,501,155は、試験片の流動学的特性の評価のための回転レオメータを開示している。試験片は、ポリマーからなる円盤の形で示され、固定台に固定されているとともに、レオメータの中央のロータに固定されたフランジを有する管状搬送部によって搬送されたプラテンに連結されている。ロータは、リニア空気軸受の形態である超低摩擦軸受によって、ステータ内の長軸の周りを回転するように軸架されている。モータが制御されて、トルクがシャフト、ひいてはロータに印加される。シャフトの角度位置と、長軸に沿ったシャフトの長手方向位置とに関する情報を提供するために、シャフト位置変換器が変換部に配置されている。本質的に、試験中に摩擦力に対して適切な補償が利用できるようになるように空気軸受を較正するために、制御には、試験片に対して順に行われるあらゆる試験の前に作動される補償システムが含まれている。補償システムでは、モータは、サーボループ内で用いられ、ロータを選択された角度位置へと駆動する。これらの位置の各々では、補償システムにより、確実に、モータによってロータに印加されたトルクが各位置において空気軸受内で生じた力によってロータに働く望ましくないトルクに正に対抗することになる。
【0005】
周知の機器の問題は、軸受に供給された空気の圧力、ひいてはその軸受の剛性を、試験片の評価の前に設定し、そして試験片の評価中には一定に維持しなければならないということである。試験片が高い粘度を有する場合には、空気圧力を高い値に設定して必要な剛性をもたらすことになる。低粘度を有する同一の試料、もしくは低粘度を有する異なる試料の測定に同一の値を用いると、不必要に不正確な測定結果がもたらされる可能性がある。その理由は、トルクの大きな測定値は、大きな摩擦値によって補償されることになり、試料に作用した、もしくは試料が作用させたトルク値が比較的低い値に達してしまうことになるからである。
【0006】
本発明の目的は、広範囲の値にわたって正確に測定することを可能にする、冒頭において上述された種類の機器、方法、及びコンピュータプログラムを提供することである。
この目的は、本発明に係る機器によって達成され、この機器は、この機器がさらに、第2の力に関連する量の決定値を、剛性を調節するためのパラメータを表す変数をパラメータとして有するマッピングを用いて取得されたバイアス値によって補正するためのデータ処理システムを備えていることを特徴としている。力に関連する量とは、その力自体、または、その力に直接関係する量、例えばトルクやモーメント等が対応し得る。
【0007】
剛性を調節するためのパラメータを表す変数をパラメータとして有するマッピングを使用することにより、機器を再較正するために測定を中断する必要なしに、軸受の剛性を調節できる。したがって、ロータ上に大きな力が予想される場合に、より大きな剛性を選択することが可能であるので、機器(主に軸受)への損傷を回避できる。バイアス値は一般的に大きめであるものの、相対的に言って必ずしも測定値を参照することはない。ロータ上に小さな力が予想される場合には、軸受の剛性がより低くされて、より低いバイアス力、かつ/または、ロータの予期せぬ変位が一般的に生じ得る。その場合、第2の力に関連する量の小さな値が小さなバイアス値によって補償され、機器の出力として決定される量の値に達する。調節可能な剛性を有する軸受の一般例である、空気圧軸受または磁気軸受では、軸受面に平行な、圧力の力または磁力の小さな成分が生じ、軸受面に垂直な方向の力を増大されるにつれて増大することになる。
【0008】
ある実施形態では、機器は、少なくとも1つの軸受の剛性を調節するためのパラメータの目標値を自動的に決定するための少なくとも1つのルーチンを実行するように構成されている。
【0009】
効果は、剛性を不正確に設定することにより、使用者が軸受または他の構成要素を損傷させたり、妥当でない結果を得ることを回避するのに役立つことである。使用者は、不適切な剛性値、例えば軸受面が過剰に動いてしまうような過剰に低い値を用いて測定を実行することができない。逆に、使用者は、予防措置として、剛性を過剰に高い値に設定する必要がないので、1つまたは複数の軸受におけるトルクバイアスが過剰に高いレベルであることに起因して測定が損なわれない。
【0010】
ある変形例では、ルーチンは、
ステータに対するロータの変位を表す変数と、
ロータとステータとの間に設定モーメントを作用させるための装置を調整する変数と、
標準化された操作手順を選択するためにインターフェイスを介して受ける入力と、
軸受面の間の実際の距離を表す変数と
のうちの少なくとも1つに基づいて目標値を決定する。
【0011】
ステータに対するロータの変位を表す変数、例えば、軸受面に垂直または平行な変位は、発生し得ることが予想されるバイアス力、および/または軸受の損傷のリスクに対する指針である。例えば、軸受面に垂直な変位は、軸受面が急速に近づくように動くときには、差し迫っている損傷の指標になるであろう。既知のモーメントをロータに加えた場合における軸受面に平行な高い速度は、低い反対方向モーメントの指標である。例えば、レオメータでは、既知のモーメントをロータに加えた場合における軸受面に平行な高い速度は、低粘度サンプルが存在することに相当する。このような状況では、軸受の剛性が低下し得る。高い設定モーメントを作用させる場合には、軸受はより剛性を高くされるべきである。標準化された操作手順を選択するためにインターフェイスを介して受けた入力によって、実行される測定の種類が決定される。軸受面の間の実際の距離を表す変数は、軸受に損傷の危険性があるか否かの有用な指標である。
【0012】
この機器のある実施形態は、決定される量が、調査される試料が歪みを受けるときに試料によってかかるモーメントに対応するように、ステータとロータとの間に試料を載置するためのシステムを備えている。
【0013】
機械的特性が大きく異なる材料サンプルが存在するので、このシステムは、この機器が基づく原理の有用な応用例である。ステータに対するロータの変位によって、試料に歪みが生じる。所定量の歪みを与えると、機器によって決定され、試料の材料の特性に依存する値を有する応力をもたらす。制御されたモーメントを与えると、同様に測定可能な歪みが生じる結果になる。これらの値を正確に補正することにより、試料の特徴を分析するためには、予め設定されたモーメントを本当に確実に試料が受けることが必要である。
【0014】
この実施形態の変形例は、ステータに対するロータの変位の少なくとも1つの態様を測定するためのシステムを備えている。
効果は、応力を歪みに関連付けさせられることである。その理由は、測定された変位に基づいて歪みを定量化できるからである。
【0015】
変形例は、歪みを受けている試料に対して行われる測定の間に、少なくとも1つの軸受の剛性を調節するためのパラメータの目標値を継続的に調節するための少なくとも1つのルーチンを実行するように構成されている。
【0016】
効果は、試料の幅広い弾性値/粘性値にわたって正確な測定を維持することである。試料の幅広い弾性値/粘性値にわたって正確な測定を維持することは、特に、試料内部で起こる相転移及び/または相反応を調査する際に有用である。一例は、硬化処理であろう。
【0017】
この機器のある実施形態では、ステータに固定された座標系内で回転運動が可能にロータが取り付けられる。
効果は、継続的な測定が可能になることである。
【0018】
この機器のある実施形態は、ステータに対するロータの位置を決定するためのシステムを備え、第2の力に関連する量の決定値をバイアス値によって補正するためのデータ処理システムは、ステータに対するロータの位置を表す変数をさらなるパラメータとして有するマッピングを用いて、バイアス値を取得するように構成されている。
【0019】
効果は、軸受面を互いに離して保持するために用いられるシステム内での軸受面での不規則性及び/または非直線性に起因する、不規則なバイアス力を補償することである。
この機器のある実施形態では、調節可能な剛性を有する少なくとも1つの軸受は、静圧流体軸受を備え、
剛性を調節するためのパラメータを制御するためのシステムは、静圧流体軸受に供給された流体の圧力を調節するためのシステムを含んでいる。
【0020】
効果は、軸受の条件に対してマッピングを適切に維持することである。このことは、使用中に、例えばロータの構成要素が帯磁可能な磁気軸受とは対照的である。別の効果は、機械的軸受には存在するような、軸受を運動させるのに必要なモーメントである「起動モーメント」がないことである。そのかわりに、非常に低いオフセットトルクが存在する。通常、例えば回転レオメータにおける機械的軸受には20 Nm程度の起動トルクがあるものと思われるが、一方、静圧空気軸受には100nNm程度のオフセットトルクが存在するであろう。
【0021】
別の局面によれば、本発明に係るロータにかかる力に関連する量を決定する方法は、第2の力に関連する量の決定値を、剛性を調節するためのパラメータを表す変数をパラメータとして有するマッピングを用いて取得されたバイアス値によって補正することを特徴とする。この方法によって、本発明に係る機器が使用の際に提供する効果と同等の効果が提供される。
【0022】
この方法のある実施形態では、少なくとも1つの軸受の剛性を調節するためのパラメータの目標値が自動的に決定される。
ある変形例では、目標値は、
ステータに対するロータの変位を表す変数と、
ロータとステータとの間に設定モーメントを作用させるための装置を調整する変数と、
標準化された操作手順を選択するために、インターフェイスを介して受ける入力と、
軸受面の間の実際の距離を表す変数と
のうちの少なくとも1つに基づいて決定される。
【0023】
この方法のある実施形態は、
調査される試料をステータとロータとの間に載置することと、
試料に歪みが生じるようにロータをステータに対して変位させることと
を備え、
決定される量は、試料が歪みを受ける際に試料によってかかるモーメントに対応している。
【0024】
この方法のある実施形態は、ステータに対するロータの変位の少なくとも1つの態様を測定することを含んでいる。
この方法のある実施形態は、試料に対して行われる測定の間に、少なくとも1つの軸受の剛性を調節するためのパラメータの目標値を継続的に調節することを含んでいる。
【0025】
この方法のある実施形態では、ステータに固定された座標系内で回転運動を可能にロータを取り付ける。
この方法のある実施形態は、
ステータに対するロータの位置を決定することと、
ステータに対するロータの位置を表す変数をさらなるパラメータとして有するマッピングを用いて、バイアス値を取得することと
を含んでいる。
【0026】
この方法のある実施形態は、調節可能な剛性を有する少なくとも1つの軸受は、静圧流体軸受を含み、本実施形態は、静圧流体軸受に供給された流体の圧力を調節することを含んでいる。
【0027】
別の局面によれば、本発明に係るロータにかかる力に関連する量を決定する機器を製造する方法は、ステータに対するロータの変位の方向を逆向きにしようとする量のバイアス値と、少なくとも、少なくとも1つの軸受の剛性を少なくとも部分的に決定するパラメータを表す変数との間のマッピングを表すデータを取得することを特徴とする。
【0028】
このようにして得られたマッピングにより、機器の使用中に、精度を維持しながら、軸受の剛性を調節することができる。
ある実施形態では、機器はさらに、ステータに対するロータの位置を決定するシステムを備え、この方法はさらに、バイアス値と、ステータに対するロータの位置を表す変数を備えるさらなるパラメータとの間のマッピングを取得することを備える。
【0029】
このようにして得られたマッピングは、軸受の特性の非直線性及び/または不規則性を補償できるので、精度がより高くなる。
本発明の別の局面によれば、機械が読取可能な媒体に組み込まれると、情報処理機能を有するシステムに本発明に係る方法を実行させることができる一組の命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0030】
本発明の別の局面は、ロータにかかる力に関連する量を決定するための機器を提供し、この機器は、
ロータと、
ステータと、
ステータに対して少なくとも限られた変位を可能にロータを取り付けるための少なくとも1つの軸受であって、この軸受は、対向する軸受面であって、使用のときに、それぞれがロータ及びステータに対して適切な位置に通常は固定されて保持されるように配置された、対向する軸受面を含む、少なくとも1つの軸受と、
軸受面に垂直な方向に調節可能な剛性を有する少なくとも1つの軸受と、
少なくとも1つの軸受の剛性を調節するための手段と、
ロータとステータとの間にかかる第2の力に関連する量の値を決定するとともに、決定される量に関連する力に対抗するためのシステムと
を備え、この機器は、
(i)ロータ上の力に関連する量の第1の測定値を、軸受の剛性をその量に対する上限に対応する値に調節するときに決定し、
(ii)軸受の剛性を前記第1の測定値に対応する値に調節し、
(iii)ロータ上の力に関連する量の第2の測定値を、軸受の剛性を第1の測定値に対応する値に調節するときに決定する
ように配置されている。
【0031】
この機器は、ロータ上の力に関連する量の第1の、もしくは予備の測定を、軸受の剛性をその量に対する上限に対応する値に調節するときに行うように配置されているので、この機器は、ロータが高い角加速度及び/または大きな角度による回転を受けた場合に生じ得る損傷から保護されている。第1の、もしくは予備の測定は、US4,501,155に開示されているレオメータに関して上述したように、軸受の剛性が通常は過剰に高いので、通常は正確ではないであろう。しかしながら、その後に、軸受の剛性を、第1の、もしくは予備の測定値に対応する値に調節し、ロータ上の力に関連する量の第2の、より正確な測定値を決定する。本発明のこの局面に係る機器が例えばレオメータである場合には、粘度が未知のサンプルを機器の損傷のリスクが低い状態で測定してもよい。サンプルが、偶然、比較的低粘度であった場合には、最初の粘度測定を軸受を高剛性に調節した状態で行うことによって、機器が保護される。次に、第2の、より正確な粘度測定を、軸受の剛性を第1の粘度測定値に対応する値まで低減させた状態で行うことによって、より正確な測定がもたらされる。
【0032】
この原理を拡大して、次に、軸受の剛性をロータ上の力に関連する量の第2の測定値に対応する値に設定し、その量の第3の測定値を決定し、よって第3の測定値は第2の測定値よりもより正確になるようにしてもよい。ロータ上の力に関連する量の第4の測定値、及びそれ以降の測定値を同様に決定して、より正確な測定値を次々と得られるようにしてもよい。機器は、連続測定が要求の範囲、または所定の範囲に収束すると、ロータ上の力に関連する量の測定を停止するように配置されていてもよい。
【0033】
少なくとも1つの軸受の剛性を調節するための手段は、剛性が少なくとも部分的にその関数となるパラメータを制御するためのシステムであってもよいと便利である。例えば、少なくとも1つの軸受が静圧空気軸受である場合、軸受の剛性は、軸受への空気供給の圧力を調節することによって調節されてもよい。軸受が磁気軸受の場合は、剛性は、軸受の電磁石を通過する電流を調節することによって制御されてもよい。
【0034】
必要に応じて、機器は、第2の力に関連する量の決定値を、剛性を調節するためのパラメータを表す変数をパラメータとして有するマッピングを用いて取得されたバイアス値によって補正するためのデータ処理システムを備えてもよい。
【0035】
本発明のさらなる局面は、ロータにかかる力に関連する量を決定する方法を提供する方法であって、ロータは、ステータに対して少なくとも限られた変位が可能に少なくとも1つの軸受によって取り付けられ、軸受は、対向する軸受面であって、それぞれがロータ及びステータに対して適切な位置に通常は固定されて保持される対向する軸受面を有し、少なくとも1つの軸受は、軸受面に垂直な方向に調節可能な剛性を有し、この方法は、ロータとステータとの間にかかる第2の力に関連する量の値を決定することと、決定される量に関連する力に対抗することとを含み、この方法は、
(i)ロータ上の力に関連する量の第1の測定値を、軸受の剛性をその量に対する上限に調節するときに決定する工程と、
(ii)軸受の剛性を第1の測定値に対応する値に調節する工程と、
(iii)ロータ上の力に関連する量の第2の測定値を、軸受の剛性を第1の測定値に対応する値に調節するときに決定する工程と
を備えている。
【0036】
この方法はさらに、
(iv)軸受の剛性を、ロータ上の力に関連する量の第2の測定値に対応する値に設定する工程と、
(v)前記量の第3の測定値を、軸受の剛性を前記第2の測定値に対応する値に設定するときに決定する工程と
を含んでもよい。
【0037】
この方法は、ロータ上の力に関連する量の一連の測定値を生成し、各測定値は、軸受の剛性を前記一連のうちの直前の測定値(もしくは、それまでの測定値の平均値、加重値等)に対応する値に調節するときに決定してもよい。
【0038】
測定された量の最終的な応答値は、十分に収束した値の反復を評価するとき、もしくは、所定の反復回数後に決定されてもよい。
必要に応じて、この方法は、第2の力に関連する量の決定値を、剛性を調節するためのパラメータを表す変数をパラメータとして有するマッピングを用いて取得されたバイアス値によって補正する工程を含んでもよい。
【0039】
添付の図面を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】回転レオメータにおける複数の構成要素の概略斜視図である。
【図2】空気軸受に取り付けられたレオメータにおけるロータの断面図である。
【図3】異なる供給空気圧にて静圧空気軸受によって発生したトルクオフセットのグラフを示す図である。
【図4】調節可能な剛性を有する静圧空気軸受を含むシステムの第1の変形例の概略図である。
【図5】調節可能な剛性を有する静圧空気軸受を含むシステムの第2の変形例の概略図である。
【図6】粘度測定データに対してトルクオフセット補正を適用する効果を示す第1の図である。
【図7】粘度測定データに対してトルクオフセット補正を適用する効果を示す第2の図である。
【図8】低トルク値での測定の精度に対して静圧空気軸受の剛性を低下させる効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
代表的な回転レオメータ1は、材料のサンプルを載置するためのサンプルプレート2を有している。図示された実施形態では、このサンプルプレートは温度制御部3の上方に載置されている。サンプルプレート2は、レオメータ1の本体に対して適切な位置に固定されている。サンプルプレート2は、サンプルを載置するための種々の構造の代表例にすぎない。サンプルプレート2と温度制御部3とをレオメータ1の本体に対して定位置に保持するための締め付けシステム4が存在するので、サンプルプレート2を交換することができる。そのため、例えば、材料のサンプルを保持するための(図示しない)カップを締め付けシステム4に挿入可能である。少なくとも、レオメータ1の構成要素であって、一般的にレオメータ1の本体に対して適切な位置に固定されて保持される構成要素を、本明細書では「ステータ」とも称する。
【0042】
レオメータ1は、プローブ6を保持するためのチャック5を有している。図示された実施形態では、プローブ6は、試料に接触するための、さらなるサンプルプレート7を有している。使用の際に、試料は2つのサンプルプレート2,7の間に挟まれる。試料は、一方の面ではプローブ6によって捕捉され、もう一方の面ではサンプルプレート2によって捕捉される。ここで動作に差がある場合、試料が変形する。レオメータ1を用いることによって、試料の歪みを試料に働く応力と関連付けている。
【0043】
サンプルプレート2,7の組み合わせは、加工対象物のジオメトリーの単なる例示である。主として分析される試料の種類によって、他の種類の加工対象物を使用可能である。例としては、カップとボブとの組み合わせ、コーンとプレートとの組み合わせ等が挙げられる。各加工対象物は、明確な流動学的条件において試料を捕捉する。
【0044】
図2も参照すると、以下により詳細に説明する軸受アセンブリ9によって取り付けられたシャフト8にチャック5が設けられている。シャフト8を作動させるために、モータ10が設けられている。ある実施形態では、モータ10は、慣性が比較的低く、過渡応答が短い誘導モータである。モータ10によって印加されるトルクは制御可能であり、温度補償により比較的正確に設定可能である。位置検出アセンブリ11によって、レオメータ1の本体、つまり(静止した)サンプルプレート2に対するロータの角度位置及び速度の測定が可能になる。位置検出アセンブリに含まれる位置センサは、一般的に非接触式であり、絶対角度位置に関連付けられ得る、差動位置を少なくとも測定することを可能にする。ある実施形態では、位置検出アセンブリ11はさらに、シャフト8の軸方向における変位の少なくとも1つの態様(速度、距離)を、少なくとも限られた範囲まで測定するように構成されている。後述するように、軸受アセンブリ9によって、限られた範囲までのこのような動きが可能になる。
【0045】
上述の構成要素は、本明細書では、軸受モータアセンブリ12と称されているユニットを形成している。軸受モータアセンブリ12は、レオメータの本体に対して直線的に、シャフト8の長軸にほぼ平行な方向に移動可能である。このアセンブリは、リニア軸受13によって案内及び支持されている。他の実施形態では、2つ以上のリニア軸受が存在してもよい。軸受モータアセンブリ12は、親ねじアセンブリ14を用いて位置決めされる。親ねじアセンブリ14は、予張力をかけたナット及び(詳細は図示しない)ステッピングモータを有しており、サンプルプレート2,7の間の間隙及びサンプルプレート2,7の間に置かれた試料に働く垂直力のうちの少なくとも1つを制御するために設けられている。なお、この垂直力は軸受アセンブリ9の一部にも作用することになる。
【0046】
図示されている実施形態において、軸受アセンブリ9は、調節可能な剛性を有する静圧空気軸受を備えている。この剛性は、対向する軸受面同士の間の間隔が、法線方向に与えられた力を受けて生じる変化を意味する。静圧空気軸受では、この剛性を、軸受への空気供給の圧力を調節することによって調節している。別の実施形態では、軸受アセンブリ9は磁気軸受を有しているか、または追加で有している。その場合、剛性の調整は、軸受に備えられた電磁石を通る電流を調節することによって行われる。
【0047】
図2を参照すると、軸受アセンブリ9は、多孔質挿入物状の第1軸受ステータ15及び第2軸受ステータ16を有している。軸受ステータ15,16は、例えば多孔質炭素でできていてもよい。第1給気口17及び第2給気口18は、空気をステータ15,16に送り込む。シャフト8上の第1ラジアル軸受面19は、第1軸受ステータ15の内面20に対向している。シャフト8上の第2ラジアル軸受面21は、第2軸受ステータ16の内面22に対向している。よって、2つのラジアル軸受が設けられている。第2軸受ステータ16の上側軸受面23は、シャフトと一体化されたスラスト軸受要素25の下側スラスト軸受面24に対向している。第1軸受ステータ15の下側軸受面26は、スラスト軸受要素25の上側スラスト軸受面27に対向している。
【0048】
実際には、軸受アセンブリ9は、シャフト8の無制限な回転運動を可能にする2つのラジアル軸受と、軸方向における非常に限られた範囲までの運動を可能にする1つのアキシャル軸受とを備えている。図示されている実施形態では、第1ステータ15のための給気口17が1つであるため、上側軸受面23と下側スラスト軸受面24との間の空気圧は、第1ラジアル軸受面19と内面20との間の空気圧と同じである。別の実施形態では、ラジアル軸受の剛性、または各ラジアル軸受の剛性は、アキシャル軸受の剛性とは独立して制御可能である。アキシャル軸受の剛性とは独立して制御可能であるということは、例えば、加圧空気供給を個別に用いるか、ラジアル軸受またはアキシャル軸受のいずれかに対して磁気軸受を追加で、もしくは代わりとして用いるかのいずれかによって達成され得る。
【0049】
実際には、軸受アセンブリ9、特に軸受面19,20,21,22,23,24,26,27は、完全に回転対称ではなく、また、これら軸受面は、完全に平滑ではない。このように表面は万全ではないので、シャフト8、チャック5、及びプローブ6のアセンブリの回転運動は、軸受アセンブリ9内での加圧空気のためにオフセットトルクによって対抗される。回転非対称であるために、オフセットトルクはシャフト8の位置に依存する。
【0050】
図示されたレオメータ1の各動作方式において、シャフト8とモータ10との間に働くトルクを決定する。別の実施形態では、レオメータの本体に対してサンプルプレート2に働くトルクを測定する。シャフト8の速度によって試料の剪断速度が決定され、また、シャフト8の速度も決定される。測定は振動方式で実行可能であり、振動方式では、シャフト8の振動振幅及び振動周波数を決定する。測定はまた、一定速度もしくは一定トルクで行うこともできる。別の測定方式では、特定の歪みを加えた後の試料の緩和を測定する。試料の応力に関連するトルクは、上述のトルクオフセットにより、測定されたトルクと同一ではない。さらに別の種類の測定では、サンプルの粘弾性応答を決定するために、非常に小さな設定応力をかけて歪み応答を測定する(クリープ測定)。図示されている機器では、最初に決定したトルクの値を、レオメータ1に備えられた、もしくは接続されたデータ処理システムによって、バイアス値を用いて補正する。このバイアス値は、位置検出アセンブリ11によって決定されたようなシャフト8の位置と軸受アセンブリ9に供給された空気の圧力を表すパラメータとの双方に対する、トルクオフセット値のマッピングを用いて得られる。
【0051】
軸受のマッピング及びマッピングの適用は、様々な空気圧値での離散的なマップ、様々な空気圧値にわたる補間されたマップ、様々な空気圧値にわたる推定されたマップ、または、複数の単一値のオフセット(つまり、複数の異なる空気圧値の各々に対する単一値)を用いたものであってもよい。
【0052】
静圧空気軸受アセンブリを有する回転レオメータの別の例におけるオフセットトルクの大きさを、異なる2つの空気圧値で図3に示す。各グラフは、シャフト8の角度位置に対するオフセットトルクを表示している。x軸に沿った各点は、測定が行われたシャフトの特定の角度位置に対応している。この2つのグラフの各々には、オフセットトルクの位置に応じた変化を示す(最小値から最大値までの)包絡線があることが分かる。しかしながら、2本の包絡線のうちの大きい方でさえも、2つのグラフの差よりも著しく小さい。このことは、空気圧がオフセットトルクに対してより大きな影響を与えることを示している。2つのグラフの包絡線が異なるので、軸受アセンブリ9内の静圧空気軸受の剛性を調節するためのパラメータを表す変数とレオメータ1の本体(及びサンプルプレート2を含む)に対するシャフト8の位置を表す変数の双方をパラメータとして有するマッピングによって、比較的正確な補正が可能になる。
【0053】
最近のレオメータは、例えば水や溶剤等といった非常に低い粘度の液体から例えば鋼鉄等といった非常に高い弾性率のサンプルにまで種類や特性が及ぶ、サンプルの流量パラメータや変形パラメータを決定可能であることを期待されている。
【0054】
ときには、この特性範囲が、1つのサンプルの中で見られることがあり、また、1つのサンプルの中で正確に測定される必要がある。例としては、構造接着剤の硬化プロファイルの測定がある。これらは最初の状態が2つのかなり低粘度の成分で開始されることが多く、双方を混合した後に必要であれば温度制御部3を用いて加熱する。時間がたつと、混合物の粘度が低くなっていく。硬化の活性化エネルギーに達すると、硬化処理が始まり、両成分は硬化して硬い、場合によっては脆性のある物質になる。この処理は、数秒(例えば紫外線による硬化等の活性化システムの場合)から数時間(周囲条件で硬化を行うサンプル)までかかり得る。サンプルの弾性率の変化は、開始から終了まで10桁または12桁ものオーダーとなり得る。
【0055】
別のケースは、処理条件の測定である。レオメータは、サンプルが当該サンプルの寿命までに受ける処理の正確なモデル化に利用可能であることが期待されている。典型的な例は、エマルジョン塗料によって構成されている。製造中、塗料を構成する粒子を粉砕して小粒子にし、その後に乳化する。これが高剪断処理である。乳化処理は、油相及び水相の状態を採り、界面活性剤を使用して、連続相である水中に懸濁する、分散相である(顔料を含有する)油の微小粒子を作成する。小粒子のサイズは、製品の長期間安定性に影響することになるので、この理由から粒子を高剪断を用いて粉砕する。一旦完成すると、塗料は長期間缶内でそのままの状態で存在することになり、沈殿しないことが期待される。保管中に塗料に働く応力は非常に低い。レオメータ1は、このような組成からなるサンプルの離漿や軟凝集に対する傾向を特徴化できることが要求されている。また、(例えば、製造中やその後の撹拌中に発生するような)高剪断を再現できることも必要である。
【0056】
表1は、レオメータ1が満たすように構成されている要件を示している。
【0057】
【表1】

【0058】
レオメータ1は、これらの相反する要件を満たす。その理由は、材料サンプルに行われる測定の間に、軸受アセンブリ9における少なくとも1つの軸受の剛性を調節するためのパラメータの目標値を継続的に調節するための少なくとも1つのルーチンを実行するように構成されているからである。したがって、例えば、硬化処理が進むにつれて、軸受の剛性が調節される。同時に、測定トルクを補正するための正確なトルクオフセット値を求めるのにマッピングを用いられる。
【0059】
このルーチンは、
・レオメータ1のハウジングに対するシャフト8の変位を表す変数と、
・設定モーメントをシャフト8に作用させるようにモータ10を調整する変数と、
・標準化された操作手順を選択するために、インターフェイスを介して受けた(例えば、レオメータ1に接続されたコンピュータによって与えられた、入力と、
・軸受面同士の間の実際の距離、具体的には、第2軸受ステータ16の上面23と下側スラスト軸受要素面24との間の実際の距離を表す変数と
のうちの少なくとも1つに基づいて空気圧の目標値を決定する。
【0060】
レオメータ1のハウジングに対するシャフト8の変位を表す変数に少なくとも基づいて、空気圧の適正値を自動的に決定するルーチンを用いて、軸受モータアセンブリ12をリニア軸受13に沿って下降させると、軸受の剛性を増大させることができる。代替として、もしくは追加として、軸受モータアセンブリ12の下降を含む標準の操作手順の選択に基づくルーチンを使用してもよい。
【0061】
非ゼロ値である比較的大きな第1の法線応力差を示すサンプルを測定するときには、標準化された操作手順を選択するために、インターフェイスを介して受けた(例えば、レオメータ1に接続されたコンピュータによって与えられた、入力及び/または軸受面同士の間の実際の距離、具体的には、第2軸受ステータ16の上面23と下側スラスト軸受要素面24との間の実際の距離を表す変数とを用いることが可能である。このようなサンプルは、回転で歪まされたときに軸方向に力を作用させる。第2軸受ステータ16の上面23と下側スラスト軸受要素面24との間の接触、または第1軸受ステータ15の下面26と上側スラスト軸受要素面27との間の接触による損傷を回避するためには、剛性がより高い軸受が必要とされる。また、サンプルのこのような特性の正確な測定を可能にするためにも、剛性がより高い軸受が必要とされる。
【0062】
要約すると、空気圧は、低回転速度での低トルク測定と、第2軸受ステータ16の上面23と下側スラスト軸受要素面24との間の間隙、及び、第1軸受ステータ15の下面26と上側スラスト軸受要素面27との間の間隙の変化が小さい場合での低軸力測定とでは、比較的低い値に設定される。以下の動作方式においては、空気圧は自動的に比較的高い値に設定される。
【0063】
・高トルク回転測定
・測定中の速度及び慣性の積が比較的高い回転測定
・第2軸受ステータ16の上面23と下側スラスト軸受要素面24との間の間隙、及び第1軸受ステータ15の下面26と上側スラスト軸受要素面27との間の間隙のサイズが変化するか、または比較的急激に変化すると予期されている測定
・プローブ6、ひいてはシャフト8に作用される軸力が比較的高いか、または比較的高いと予期されている状況における測定
・サンプルの載置または除去
・プローブ6の装着及び離脱
・アイドル方式または電源オフ方式
空気圧を動力学的に変化させて、正確なトルクマップデータを適用することにより、レオメータ1は、1nNmから300mNmまでのダイナミックレンジを有し得る。この機器はサンプルにおける動力学的変化を自動的に補償し、測定に対して最も適切な圧力設定を使用することになるので、このダイナミックレンジは、訓練されていない使用者でも利用可能であり、最良のデータをもたらすと同時に機器を保護する。
【0064】
図4に概略的に図示されている第1の変形例では、レオメータ1は、2つの圧力値のうちの一方で空気が選択的に供給される空気軸受28を備えている。このシステムは、比較的低圧に設定された精密レギュレータ31とバイパス管32とに供給源29とフィルタ30とを接続するための手段を備えている。制御部33は、精密レギュレータ31からの空気、あるいは、精密レギュレータ31を迂回する管からの空気を選択するための空気切換弁34へ選択信号を供給する。測定トルク値の補正に用いられるマッピングによって、測定データにおいて目立った飛び越しのない切換が可能になる。
【0065】
図5に図示された第2の変形例では、空気軸受35には、連続可変圧力レギュレータ36から空気が供給される。連続可変圧力レギュレータは、制御部37によって制御され、供給源38とフィルタ39とから空気が供給される。バイパス40は、機器への電力供給がオフ(供給源38は、一般的に、例えば実験室の給気源等のように、レオメータの外部にあることになる)のときに、空気軸受35の剛性を最大値に高めるために設けられている。
【0066】
図6,7,8は、軸受アセンブリ9の空気圧をパラメータとして有するマッピングを、粘度測定データに適用した効果を図示している。図6及び図7の図面におけるグラフは、試作機器を用いて、空気圧を3バールとして得られたものである。図8は、空気圧を低くすることの効果を示している。図8の双方のグラフは、トルクオフセット補正を用いて得られた。図6〜8の図面は、トルクオフセット補正によって、かなり低トルク値の正確な測定が可能となることを図示している。その理由は、平均粘度値からの偏差がより低いトルク値まで下がって、許容できる程度に低いままであるからである。図8は、低めのトルク値を正確に測定できる点で、軸受アセンブリ9に供給される空気圧を低減することの利点を示している。
【0067】
詳細を上述したレオメータ1は、軸受アセンブリ9内の軸受の剛性を自動的に調節する機器におけるこれらの特性を組み合わせて、軸受への損傷を防ぐとともに測定精度を向上させるための最適値にする。
【0068】
本発明のレオメータのさらなる例としては、図1及び図2に示された構造、及び、サンプルをステータ2に載置すると一連のトルク測定を行うように配置された手段が挙げられる。一連における第1の測定を行うために、静圧空気軸受の剛性を、予想され得るトルク値の範囲内でのトルクの最高値、つまり剛性の上限にマッピングされた剛性に対応するように調節する。言い換えると、第1の測定では、例えば、静圧空気軸受への空気供給圧を適切に制御することによって、高い軸受剛性を実現する。したがって、レオメータを、比較的低粘度のサンプルをステータ2に載置する場合に生じる可能性のある損傷から、ある程度保護することができる。このような場合、プローブ6、サンプルプレート7、及びシャフト8によってサンプルに印加される所定のトルクが、高剛性軸受がなければレオメータを損傷してしまうほど大きなシャフト8の角加速度もしくは角偏向を生じる可能性がある。第1のトルク測定が粘度を正確に指示することに対応していないことがあるものの、第1のトルク測定に対応する値にマッピングされた剛性に向かうように、軸受の剛性を低減するためにフィードバック構成において使用される。続いて第2のトルク測定を行い、この測定をフィードバック構成において用いて、さらに空気軸受の剛性を調節する。同様にして、次のトルク測定を行って、使用する。
【0069】
必要であれば、トルク測定を2回行い、第2の測定が粘度の最終的かつ正確な値を生成するために用いられるようにレオメータを構成してもよい。あるいは、レオメータを、精度が増していく粘度値に対応する一連のトルク測定を行うように構成してもよい。連続トルク測定の値が所定の範囲に収束するときに測定を停止してもよい。そのときは、一連のうちの最後の測定を用いて、サンプルの粘度値を決定する。レオメータは、サンプルの粘度の値を数分の一秒以内、例えば数ミリ秒以内または数十ミリ秒以内に定めてもよい。
【0070】
この例において、測定トルクと、使用される軸受の剛性(または、例えば空気軸受の空気圧や電磁軸受の電流等の、軸受の剛性に関連付けられるパラメータ)とを相互に関連付けるルックアップテーブル(もしくはアルゴリズム)が存在する。レオメータは、高剛性軸受を用いてサンプルの測定を始め、サンプルから測定した情報を用いて、軸受の剛性を測定されたトルクに適したレベルに低減する。用いられる軸受の剛性の値は2つ、つまり高剛性と低剛性としかなくてもよく、高剛性は測定されたトルクがしきい値を超える場合、例えば10-5Nmの場合に使用される(しかしながら、しきい値は10-5Nmよりも大きくてもよい)。レオメータは、必要に応じて、測定されたトルクのしきい値を超える軸受の剛性の最大値を使用するように、そして、しきい値より低い測定されたトルク値には、測定されたトルクに応じた、複数の離散的な軸受剛性値のうちの1つを使用するように構成することも可能である。あるいは、軸受の剛性を、しきい値より低い測定されたトルクに従って連続的に変化させることもできるであろう。さらに、特定の期間にわたって最大測定トルクまたは平均測定トルクを監視してもよく、軸受の剛性を、所定の期間の間に上述のような方法で、その最大トルクまたは平均トルクに対応する値に調節してもよい。したがって、一連の連続する期間の各々の中では軸受の剛性が固定されてもよいが、これらの期間の間では変化してもよい。
【0071】
この手法は、レオメータに不慣れな作業者が、ある特定のサンプルに対して過剰に軟質な(つまり、過剰に低い剛性を有する)軸受を使用することによってレオメータを誤って損傷する可能性を低減させるのに役立ち得る。
【0072】
もちろん、サンプルの粘度が経時変化する場合には、このシステムによって、現時点で測定されたトルク、またはトルクの予測値/選択値に適合するように、軸受の剛性を変化させてもよい。実施形態の中には、この「セーフモードでの自動起動」機能を、適切な認証コードを有する使用者によって使用可能/使用不可にすることができてもよいものがある。
【0073】
軸受アセンブリは、調節可能な剛性の磁気軸受を備えてもよく、この軸受の剛性は、軸受内に備えられている電磁石を通過する電流によって制御されてもよい。また、軸受の剛性は、少なくとも部分的に、シャフト8の軸位置の関数であってもよい。
【0074】
本発明は、上述の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の範囲内において変更可能である。本発明の原理を回転レオメータの例を用いて示してきたが、サンプルを中間に載置した状態で、ロータがステータに対して直線運動を生じさせるリニアレオメータに同様に適用可能である。ロータ上の力と、ロータとステータとの間の距離とによって決まるモーメントは、ロータの面とステータ表面とにおける摩擦力によって対抗される。本発明はまた、ロータに作用するモーメントを決定するための他の種類の回転式機器、例えばガルバノメータにおける応用が見いだされる。
[参照符号のリスト]


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ(8,5,6,7)にかかる力に関連する量を決定する機器であって、
ロータ(8,5,6,7)と、
ステータ(2)と、
前記ロータ(8,5,6,7)を取り付けて、前記ステータ(2)に対して少なくとも限られた変位を可能にするための少なくとも1つの軸受(28;35)であって、該軸受(28;35)は、対向する軸受面(19,20,21,22,23,24,26,27)であって、使用の際に、それぞれが前記ロータ(8,5,6,7)及び前記ステータ(2)に対して適切な位置に通常は固定されて保持されるように配置された、対向する軸受面(19,20,21,22,23,24,26,27)を含む、少なくとも1つの軸受(28;35)と、
前記軸受面(19,20,21,22,23,24,26,27)に垂直な方向に調節可能な剛性を有する少なくとも1つの軸受(28;35)と、
前記少なくとも1つの軸受(28;35)の剛性を調節するためのパラメータを制御するためのシステム(31,32,33,34;36,37)と、
前記ロータ(8,5,6,7)と前記ステータ(2)との間にかかる第2の力に関連する量の値を決定するとともに、決定される前記量に関連する前記力に対抗するためのシステム(10)と
を備える機器において、
該機器は、さらに、
前記第2の力に関連する前記量の決定値を、前記剛性を調節するための前記パラメータを表す変数をパラメータとして有するマッピングを用いて得られるバイアス値によって補正するためのデータ処理システムを備える
ことを特徴とする機器。
【請求項2】
請求項1に記載の機器であって、
前記少なくとも1つの軸受(28;35)の前記剛性を調節するための前記パラメータの目標値を自動的に決定するための少なくとも1つのルーチンを実行するように構成されている機器。
【請求項3】
請求項2に記載の機器であって、
前記ルーチンは、
前記ステータ(2)に対する前記ロータ(8,5,6,7)の変位を表す変数と、
前記ロータ(8,5,6,7)と前記ステータ(2)との間に設定モーメントを作用させるための装置(10)を調整する変数と、
標準化された操作手順を選択するためにインターフェイスを介して受けた入力と、
前記軸受面(19,20,21,22,23,24,26,27)の間の実際の距離を表す変数と
のうちの少なくとも1つに基づいて、前記目標値を決定する機器。
【請求項4】
前記請求項のうちのいずれか1つに記載の機器であって、
調査される試料が歪みを受ける際に、決定される前記量が該試料によって作用されるモーメントに対応するように、該試料を前記ステータ(2)と前記ロータ(8,5,6,7)との間に載置するためのシステムを備える機器。
【請求項5】
請求項4に記載の機器であって、
前記ステータ(2)に対する前記ロータ(8,5,6,7)の変位の少なくとも1つの態様を測定するためのシステムを備える機器。
【請求項6】
請求項4または5に記載の機器であって、
歪みを受けている前記試料に行われている測定の間において、前記少なくとも1つの軸受(28;35)の前記剛性を調節するための前記パラメータの目標値を継続的に調節する(もしくは時々繰り返し調節する)ための少なくとも1つのルーチンを実行するように構成されている機器。
【請求項7】
前記請求項のうちのいずれか1つに記載の機器であって、
前記ロータ(8,5,6,7)が取り付けられて、前記ステータ(2)に固定された座標系内における回転運動が可能である機器。
【請求項8】
前記請求項のうちのいずれか1つに記載の機器であって、
前記ステータ(2)に対する前記ロータ(8,5,6,7)の位置を決定するためのシステムを備え、
前記第2の力に関連する前記量の決定値をバイアス値によって補正するための前記データ処理システムは、前記ステータ(2)に対する前記ロータ(8,5,6,7)の前記位置を表す変数をさらなるパラメータとして有するマッピングを用いて前記バイアス値を取得するように構成されている機器。
【請求項9】
前記請求項のいずれか1つの記載の機器であって、
調節可能な剛性を有する前記少なくとも1つの軸受(28;35)は、静圧流体軸受を含み、
前記剛性を調節するためのパラメータを制御するための前記システム(31,32,33,34;36,37)は、前記静圧流体軸受に供給された流体の前記圧力を調節するためのシステムを含む機器。
【請求項10】
前記請求項のいずれかに記載の機器であって、
前記機器は、
(i)前記ロータ上の前記力に関連する前記量の第1の測定値を、前記軸受の前記剛性をその量に対する上限に対応する値に調節するときに決定し、
(ii)前記軸受の前記剛性を前記第1の測定値に対応する値に調節し、
(iii)前記ロータ上の前記力に関連する前記量の第2の測定値を、前記軸受の前記剛性を前記第1の測定値に対応する前記値に調節するときに決定する
ように配置されている機器。
【請求項11】
請求項10に記載の機器であって、
前記機器は、前記ロータ上の前記力に関連する前記量の一連の測定値を決定するように配置され、各測定値は、前記軸受の前記剛性を前記一連における直前の測定値に対応する値に調節するときに決定される機器。
【請求項12】
請求項11に記載の機器であって、
前記機器は、前記一連の測定値が所定の程度に収束すると、前記ロータ上の前記力に関連する前記量の測定値を決定することを停止するように配置されている機器。
【請求項13】
ロータ(8,5,6,7)上にかかる力に関連する量を決定する方法であって、
前記ロータ(8,5,6,7)は、ステータ(2)に対して少なくとも限られた変位が可能となるように、少なくとも1つの軸受によって取り付けられ、該軸受(28;35)は、対向する軸受面(19,20,21,22,23,24,26,27)であって、それぞれが前記ロータ(8,5,6,7)及び前記ステータ(2)に対して適切な位置に通常は固定されて保持される、対向する軸受面(19,20,21,22,23,24,26,27)を含み、
少なくとも1つの軸受(28;35)は、前記軸受面(19,20,21,22,23,24,26,27)に垂直な方向に調節可能な剛性を有し、
前記方法は、
前記ロータ(8,5,6,7)と前記ステータ(2)との間にかかる第2の力に関連する量の値を決定することと、決定される前記量に関連する前記力に対抗することとを含む、方法において、
前記第2の力に関連する前記量の前記決定値を、前記剛性を調節するための前記パラメータを表す変数をパラメータとして有するマッピングを用いて得られるバイアス値によって補正すること
を特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記少なくとも1つの軸受(28;35)の前記剛性を調節するための前記パラメータの目標値を自動的に決定する方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記目標値は、
前記ステータに対する前記ロータ(8,5,6,7)の変位を表す変数と、
前記ロータ(8,5,6,7)と前記ステータ(2)との間に設定モーメントを作用させるための装置を調整する変数と、
標準化された操作手順を選択するためにインターフェイスを介して受ける入力と、
前記軸受面(19,20,21,22,23,24,26,27)の間の実際の距離を表す変数と
のうちの少なくとも1つに基づいて決定される方法。
【請求項16】
請求項13〜15のうちのいずれか1つに記載の方法であって、
調査される試料を前記ステータ(2)と前記ロータ(8,5,6,7)との間に載置することと、
前記試料に歪みが生じるように、前記ステータに対して前記ロータ(8,5,6,7)を変位させることと
を備え、
決定される前記量は、前記試料が歪みを受けるときに該試料によってかかる前記モーメントに対応する方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記ステータ(2)に対する前記ロータ(8,5,6,7)の変位の少なくとも1つの態様を測定することを備える方法。
【請求項18】
請求項16または請求項17に記載の方法であって、
前記試料について行われる測定の間に、前記少なくとも1つの軸受(28;35)の前記剛性を調節するための前記パラメータの目標値を継続的に調節すること(もしくは時々繰り返し調節すること)を備える方法。
【請求項19】
請求項13〜16のうちのいずれか1つに記載の方法であって、
前記ステータ(2)に固定された座標系内での回転運動を可能に前記ロータ(8,5,6,7)を取り付ける方法。
【請求項20】
請求項13〜19のうちのいずれか1つに記載の方法であって、
前記ステータ(2)に対する前記ロータ(8,5,6,7)の位置を決定することと、
前記ステータ(2)に対する前記ロータ(8,5,6,7)の前記位置を表す変数をさらなるパラメータとして有するマッピングを用いて、前記バイアス値を取得することと
を備える方法。
【請求項21】
請求項13〜20のうちのいずれか1つに記載の方法であって、
調節可能な剛性を有する前記少なくとも1つの軸受(28;35)は、静圧流体軸受を含み、
前記方法は、前記静圧流体軸受に供給される流体の前記圧力を調節することを備える方法。
【請求項22】
請求項13〜21のうちのいずれかに記載の方法であって、
該方法は、
(i)前記ロータ上の前記力に関連する前記量の第1の測定値を、前記軸受の前記剛性をその量に対する上限に調節するときに決定する工程と、
(ii)前記軸受の前記剛性を前記第1の測定値に対応する値に調節する工程と、
(iii)前記ロータ上の前記力に関連する前記量の第2の測定値を、前記軸受の前記剛性を前記第1の測定値に対応する前記値に調節するときに決定する工程と
を備える方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、
前記ロータ上の前記力に関連する前記量の一連の測定値を決定し、各測定値は、前記軸受の前記剛性を前記一連のうちの直前の測定値に対応する値に調節するときに決定される方法。
【請求項24】
ロータ(8,5,6,7)にかかる力に関連する量を決定するための機器を製造する方法であって、
前記機器は、
ロータ(8,5,6,7)と、
ステータ(2)と、
前記ステータ(2)に対して少なくとも限られた変位を可能に、前記ロータ(8,5,6,7)を取り付けるための少なくとも1つの軸受(28;35)であって、該軸受(28;35)は、対向する軸受面(19,20,21,22,23,24,26,27)であって、それぞれが前記ロータ(8,5,6,7)及び前記ステータ(2)に対して適切な位置に通常は固定されて保持されるように配置された、対向する軸受面(19,20,21,22,23,24,26,27)を含んでいる、少なくとも1つの軸受(28;35)と、
前記軸受面(19,20,21,22,23,24,26,27)に垂直な方向に調節可能な剛性を有する少なくとも1つの軸受(28;35)と、
前記ロータ(8,5,6,7)と前記ステータ(2)との間にかかる第2の力に関連する量の値を決定するとともに、決定される前記量に関連する前記力に対抗するためのシステムと
を備える機器を製造する方法であって、
前記ステータ(2)に対する前記ロータ(8,5,6,7)の変位の方向に対抗しようとする前記量のバイアス値と、少なくとも、前記少なくとも1つの軸受(28;35)の前記剛性を少なくとも部分的に決定するパラメータを表す変数との間のマッピングを表すデータを取得することを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、
前記機器は、さらに、前記ステータ(2)に対する前記ロータ(8,5,6,7)の位置を決定するシステムを備え、
前記方法は、さらに、前記バイアス値と、前記ステータ(2)に対する前記ロータ(8,5,6,7)の前記位置を表す変数を備えるさらなるパラメータとの間のマッピングを取得することを備える方法。
【請求項26】
機械が読み取り可能な媒体に組み込まれると、情報処理機能を有するシステムに請求項10〜25のうちのいずれか1つに記載の方法を実行させることが可能な一組の命令を含むコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−523075(P2011−523075A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513047(P2011−513047)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001450
【国際公開番号】WO2009/150418
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(505307747)マルバーン インストゥルメンツ リミテッド (10)
【Fターム(参考)】