説明

ロータリスイッチ

【課題】電子機器の誤動作を防ぎ、ポジション切り替え時における、切り替え前後のコードが混在して出力されることのないロータリスイッチを提供することを目的とする。
【解決手段】ロータ裏面に各出力コードに対応する凹凸カムの他に、コモン接片用の凹凸カムも設け、コモン接片も開閉できるようにし、ポジション切り替え時にコモン接片と固定接片間が開離し、接触片が閉接した後、前記コモン接片と前記固定接片間が再度閉接し、次のコードを出力するようにしたため、ポジション切り替え前後の混在したコードを出力することをなくし、各種電子機器の誤動作を防ぐロータリスイッチを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の信号系を切り替えるロータリスイッチに係り、特に小形で組立が容易であるとともに、ポジション切り替え時にコモン接片の開閉に特徴を持たせたロータリスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種電子機器の信号系を切り替えるロータリスイッチは、図4に示すようにポジションを切り替える際に、ロータが回転することにより、ロータ裏面部に設けた凹凸カムが可動接片の接触片を押下し、固定接片と接触することで各コードを出力していた。
【特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような従来のロータリスイッチは図4、図5に示すように、コモン接片が常に閉接されており、また、他の接片は全て同じタイミングで開閉が行われておらず、開閉のタイミングに微妙なズレが生じていた。そこで、本発明は上記問題を解決する目的で、コモン接片の開閉に特徴を持たせたロータリスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記目的を達成するために、ロータリスイッチにおいて、前記ロータの裏面部に凹凸カムを形成し、前記凹凸カムにコモン接片用の凹凸も設け、さらに前記コモン接片用の凹凸により上下動する可動接片の接触片とコモン接片とを構成し、コモン接片も開閉できるようにした。
【発明の効果】
【0005】
本発明のロータリスイッチは、ロータ裏面に凹凸カムを形成し、該凹凸カムにコモン接片用の凹凸も設け、さらに前記コモン接片用の凹凸により上下動する可動接片の接触片とコモン接片とを構成し、コモン接片も開閉できるようにした。該コモン接片はポジション切り替え時に、固定接片と開離し、接触片が閉接した後、前記固定接片と再度閉接し、次のコードを出力するようにしたためポジションを切り替える際の前後のコードが混在して出力されることがなくなり、機器の予期せぬ誤動作を防ぐことができる。
【0006】
また、コモン接片用凹凸カムを最外周に設けたことにより、内側に設けるよりも凹凸カムの斜面部の角度を緩やかにすることができるので、ロータ回転時に凹凸カムとコモン接片との磨耗を減らし、スイッチの寿命を延ばすことができ、さらには、凹凸カムの凸部と前記コモン接片との接触時間を長くすることができるので、ロータが微動してしまった場合でも誤コードの出力を防ぎ、接触裕度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のロータリスイッチは、ハウジングとベースで構成し、前記ハウジングの上面より突出した操作部と、該操作部と一体的に形成されスイッチ本体内に配設されるロータと、前記ベースの内底面に配設された複数の固定接片と対向して配設される弾性部材で形成した可動接片と、前記操作部の回転操作に連動して回転する前記ロータから構成され、前記ロータの裏面構造に特徴を持たせることにより、ポジションを切り替えるごとにコモン接片を開閉させ、切り替え前後の混在したコード出力を無くし、各種電子機器の誤動作を防ぐことができる。
【実施例1】
【0008】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の実施例を表すロータリスイッチの分解斜視図、図2は本発明のロータリスイッチのロータの裏面図、図3は本発明の実施例を示すロータリスイッチの各ポジションにおける出力コード、図4は従来のロータリスイッチのロータ裏面図、図5は従来のロータリースイッチの各ポジションにおける出力コードである。
【0009】
図1において、ハウジング101とベース107でスイッチ本体部分を構成するとともに、ロータ105の上面に設けた凹凸105aと、板バネ103の固定部103aから伸びる腕部103bに設けた突起103cで切換節度機構を形成するロータ105の操作部105bを、上面に貫通孔101aを形成するハウジング101の内側から組み入れ、スイッチ本体内部には、ロータ105の回動に伴い、ロータ105の裏面部に設けた凹凸カム105cに連動する切換機構として、複数の端子107aを突出させたベース107の内底面に突起107bを設け、固定接片107cに対応して接触する、複数の接触片106aとコモン接片106bを設けた可動接片106を組み込む構成としている。
【0010】
なお、上部のOリング102はハウジング101とロータ105間の摺動部をシーリングし、また下方のOリング104はハウジング101の溝に装着してフラックス等の浸入を防止するためのものである。
【0011】
図2は本発明のロータの裏面図である。この図に示すように、矢印の方向にロータが回転を行い、各コードに対応するロータ裏面の凸部が可動接片106の接触片106aとコモン接片106bを押下し、前記接触片106aと前記コモン接片106bが固定接片107cに接触し、各コードが出力される。
【0012】
例えば、ポジションを1から2へ切り替える際には、図2(a)に示すように固定接点COMと固定接片1がコードCOMとコード1の凸部により接触片とそれぞれ閉接し、コード1が出力される。次に、図2(b)に示すようにコード1からコード2へ回転する途中では、固定接片1の開離と固定接片2の閉接が起こるが、コードCOMの斜面部によりコモン接片と固定接片COMは開離し、コードは出力されない。最後に図2(c)に示すように、コモン接片が再び固定接片COMと閉接し、コード2が出力される。
【0013】
図3は本発明の実施例を示すロータリスイッチの各接片の出力コードである。この図に示すように、0から9の出力コードは2進化10進法により1、2、4、8の各接片の開閉による組み合わせにより出力される。この組み合わせにコモン接片の開閉を組み合わせ切り替え前後の混在したコードが出力されることをなくした。
【0014】
また、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明のロータリスイッチは、ポジションを切り替える際に前後のコードが混在して出力されることがなく、各種電子機器の信号系を切り替える際のロータリスイッチに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例を表すロータリスイッチの分解斜視図である。
【図2】本発明のローターリスイッチのロータ裏面図である。
【図3】本発明のロータリスイッチの各ポジションにおける出力コードである。
【図4】従来のロータリスイッチのロータ裏面図である。
【図5】従来のロータリスイッチの各ポジションにおける出力コードである。
【符号の説明】
【0017】
101 ハウジング
101a 貫通孔
102、104 Oリング
103 板バネ
103a 固定部
103b 腕部
103c 突起
105 ロータ
105a 凹凸
105b 操作部
105c 凹凸カム
106 可動接片
106a 接触片
106b コモン接片
107 ベース
107a 端子
107b 突起
107c 固定接片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ本体をハウジングとベースで構成し、前記ハウジングの上面より突出した操作部と、該操作部と一体的に形成されスイッチ本体内に配設されるロータと、前記ベースの内底面に配設された複数の固定接片と対向して配設される弾性部材で形成した可動接片と、前記操作部の回転操作に連動して回転する前記ロータにより前記可動接片を上下動させて電路の開閉をなすロータリスイッチにおいて、前記ロータの裏面部に前記可動接片の接触片とコモン接片を上下動させて各出力コードを開閉する凹凸カムを形成し、出力コード切り替え時に前記コモン接片をも上下動させて前記固定接片間を開閉することを特徴とするロータリスイッチ。
【請求項2】
請求項1記載のロータリスイッチにおいて、出力コード切り替え時に前記コモン接片と前記固定接片間が開離し、前記接触片が閉接した後、前記コモン接片と前記固定接片間が再度閉接し、次のコードを出力するように前記ロータの裏面部に凹凸を構成したことを特徴とするロータリスイッチ。
【請求項3】
請求項1記載のロータリスイッチにおいて、前記コモン接片を押下する前記ロータ裏面の凹凸カムを最外周に設けたことを特徴とするロータリスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−79837(P2006−79837A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−259415(P2004−259415)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(000230722)日本開閉器工業株式会社 (79)
【Fターム(参考)】