説明

ローターディスク

【解決手段】
本発明は、高分子を処理するための収容容器(2)内に入れられるローターディスク(1)であって、上面(4)に混合及び/又は粉砕部材(5)を備えることができ、反対側の下面(6)に内側から外側にのびる複数個の搬送リブ(7)を備えたディスク本体(3)を有し、運転中、高分子粒子が、搬送リブにより外側に向かって搬送されるか、又は、運転中、搬送リブ(7)により捕捉された高分子粒子に、搬送リブが、ローターディスク(1)の中心(8)から外側に向かう力を及ぼす。本発明によれば、ディスク本体(3)の厚さを、外側に近付くにつれて減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、請求項1の従来技術事項部に記載したローターディスクに関する。
【背景技術】
【0002】
こうしたローターディスクは、いくつかの構造のものが、先行技術において知られている。これらのものは、収容容器又はカッターコンパクタの床部近傍に大抵設けられて、熱可塑性高分子を処理加工し、上面に、混合及び/又は粉砕部材を備えたディスク状支持体を実質的に構成する。運転中、ローターディスクは、回転し、混合及び/又は粉砕部材は、収容容器内にある合成樹脂材料を加熱しながら、捕捉し、必要に応じて粉砕する。さらに、合成樹脂材料を、混合し連続的に撹拌して、収容容器内に混合噴水を形成する。
【0003】
おおむね、高分子を処理する手段は、例えば、オーストリア特許第375,867号B公報、オーストリア特許第407,970号B公報又は国際公開公報第98/18902号等の先行技術によっても知られている。回転する混合部材支持体又は混合部材により、被処理合成樹脂材料は、収容容器の側壁に叩き付けられる。合成樹脂材料の一部は、収容容器の側壁に沿って上昇し、混合噴水の形で回転し、最終的には、収容容器の中央部に落下しながら戻る。このようにして、収容容器内で被処理合成樹脂粒子に所望の滞留時間がもたらされるため、収容容器に投入される合成樹脂材料は、十分に混合され、生成される摩擦熱により適切に加熱され、混合部材が、合成樹脂材料を粉砕する場合には、適切に粉砕される。
【0004】
しかしながら、合成樹脂材料の全体全てが、収容容器の側壁に叩きつけられるのではなく、一部は、最下位の混合部材の下、すなわち、最下位の混合部材支持体を構成するディスクの下に、落下することが分かった。そこに落下した合成樹脂材料の部分は、摩擦でくっ付くこともある。
【0005】
この種のディスクの下面に搬送リブを設けることにより、こうした問題を解消することが試みられていた。この点に関し、先行技術において、ディスク又は混合部材支持体の下面に直線的な放射状リブを設けて、カッターコンパクタの床部と混合部材支持体の下面との間の箇所に落下する合成樹脂材料を、再び外側に運ぶことにより、この箇所から排除することが知られている。
【0006】
しかしながら、こうした対応策は、十分に満足が行くものではなかった。特に、収容容器の規模が大きく、これに応じて、合成樹脂材料の充填量が数百kgにもなる場合には、大径を持つ十分な大きさのディスクを使用する必要がある。一方、こうしたディスクは、許容誤差が厳しく、極めて静音かつ均一に回転する必要がある。これは、ディスクと床部との間の距離が、数mmしかないからである。大形のカッターコンパクタでは、上述したように、一方において移動される必要があり、他方において、ディスクと床部の間の箇所に自重により激しく落下する、多量の被処理材料があるので、極めて高い搬送リブの搬送性能を持つことがもめられる。
【0007】
こうした装置を改良するには、公知のディスクの搬送性能は、小型の収容容器では適切に機能しても、大形の収容容器では、問題の箇所から十分に排除することはできないことが分かった。さらに、合成樹脂材料に上昇運動力を与え、滞留時間を増加するのに必要な混合部材の回転数は、任意に増加できない。これは、摩擦が大きいと、発熱が多くなり、フレークの局部溶融を生ずることがあるからである。
【0008】
高分子フレークは、床部とディスク間の外方箇所に繰り返し入って、そこにいつまでも滞留する。こうなると、この箇所では、温度上昇が生じ、フレークは、塊になり、粘りつき、融けて多くのフレーク同士がくっつき合うこともある。その後には、ディスクは、ガタガタ音を出して、最終的には止まってしまう。したがって、粒子が、搬送リブと収容容器の床部の間で捕捉される場合には、こうした粒子をできるだけ早く再び解放にし、問題の箇所から効率的に実質的に取り出すことが望まれる。
【0009】
さらに、ディスクの下の問題の箇所に入るのは、かなり大きなフレークだけでなく、極めて小さいちり粒子の場合もあり、ちり粒子は、ディスクの回転方向により先まで移動して、滞留する。こうした高分子微粒子も、高熱化し、問題の箇所に隔離されて捕捉される。
【0010】
おおむね、小径のディスクの場合にも問題となる。これは、特に重量が重い材料を処理する場合、回転数が低下し、すなわち、周速を比較的低速にするからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の目的は、特に、大容量かつ大形でも、高分子粒子が、ディスクと収容容器の床部との間の問題の箇所に達することを効率的に防止し、及び/又は、高分子粒子が、再び解放されてこの箇所から除去できるローターディスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、ディスク本体の厚さが、外側に近付くにつれて減少するという、請求項1の特徴要件事項部に記載した構成により達成される。
【0013】
こうして、充填量が高く、これに応じて落下圧力が大きくても、ディスクの端部部分にのみ移動する傾向を持つかなり大形で粗い高分子フレークは、より外側寄りに移動するちり微粒子とともに、外側に運ばれて、問題の箇所が、こうした粒子から実質的に解放されることが、合成樹脂粒子の処理加工において、効率的に達成される。
【0014】
特に、大形の粒子が、床部とディスクの間に押し込まれ、ディスクが停止してしまうことが、こうして効率的に回避される。もし、粒子が、床部とディスクの下部との間の小空間部に予想以上に長く留まる虞がある場合でも、ディスクの厚みが、外側に近付くにつれて減少するので、粒子を極めて容易に解放して外側に運ぶ。
【0015】
このため、収容容器内での合成樹脂材料の効率的かつ均質な処理が可能となる。さらに、ディスクの停止により生ずる休止及び停止時間が、回避される。局所的な過熱や溶融が、回避されるので、被処理材料の質も良好になる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に以下のように記載してある。
【0017】
本発明の好ましい実施形態の一つでは、ディスク本体の厚さは、ディスク本体の厚さの差が、中央すなわち内側中央領域と外端との間で、測定する場合、少なくとも1mm、好ましくは、1.5乃至3.5mmの間で減少する。驚くべきことに、このような僅かな変化でも、大きな向上をもたらすことが分かった。
【0018】
特に好ましい実施形態では、搬送リブは、外側に近付くにつれて高さが、増加する。
【0019】
特に、ディスク本体は、搬送リブが、外側に近付くにつれて高さが増加するのと同じ割合で外側に近付くにつれて厚さが減少する、すなわち、ローターディスク全体の厚さは、その放射状部分に亘って等しく一定であることが好ましい。こうすると、静音回転の程度が向上し、高分子粒子が問題の箇所から効率的に運ばれる。
【0020】
ディスク本体の厚さは、内側部分では一定であり、当該厚さは、ローターディスクの中心から離れた距離から、好ましくは、ローターディスクの半径の60%の距離から、特に好ましくは、60%と70%の間の距離から減少が始まることも好ましい。同様に、搬送リブの高さは、内側領域で一定であり、ローターディスクの中心から離れた距離から、好ましくは、ローターディスクの半径の60%の距離から、特に60%と70%の間の距離から増加が始まることが好ましい。寸法変化は、外側放射状領域、すなわち、粗いフレークが、かろうじて入る可能性がある領域にのみ行う。こうして、粗い粒子は、微粒子と同様に、外側に効率的に運ばれる。
【0021】
好ましい実施形態では、ディスク本体の上面は、水平面であり、及び/又は、当該水平面は、上面と平行である。こうした構成は、製造を比較的容易化し、極めてスムーズな運転になる。
【0022】
特に効率的なローターディスクは、ディスク本体の、厚さが減少する領域内の下面は、面取りされ、上面に向かって、及び/又は水平面に向かって、特に、3°未満の、特に0.4°と0.6°の間の角度で傾斜する。こうすると、ディスクは、ほぼ切頭円錐形状になるので、ずれが若干で、角度方向が若干であっても、効率的な効果を十分に達成できる。
【0023】
簡易な実施形態では、ディスク本体の厚さの減少は、面全体で連続しており、これにより、スイベルを複数個設けることが回避され、静音運転が確保される。
【0024】
しかしながら、ローターディスクは、ディスク本体の厚さの減少が、不連続又は段階的、必要に応じて一段階であっても、有効である。連続的な減少及び不連続的な減少のいずれが、好ましいかは、例えば、被処理材料の種類、形状及び寸法により、又は、フィルム、フレーク又は粒子をリサイクルするのか否かにより定まる。
【0025】
この点、外側へのより効率的な搬送を可能にするには、ローターディスクの搬送リブが、凹となるように湾曲すると、ファン効果を著しく向上させる利点があるという驚くべきことが分った。こうした構成は、厚さの減少による効果を相乗的に助長して、驚くほど、厚さの減少による効果をより一層増大させる。例えば、処理が、予期せず中断し、撹拌を停止する必要があるときに、粒子が、問題の箇所に落下して入り込む恐れがある場合、粒子を再び迅速に除去できる。
【0026】
湾曲は、等しくかつ円弧であると好ましいことが分かった。
【0027】
この点に関し、搬送リブの全ての曲率は、等しいことが特に好ましい。こうしたローターディスクは、設計が極めて容易である。
【0028】
搬送リブは、少なくとも2個のグループが、中心から異なる距離で、すなわち、内側中央領域からと外側中央領域から交互に始まると、ディスクの内側部分で、隣接する搬送リブ同士が、極めて近接するのが、回避されるので、設計が容易化する。
【0029】
驚くべきことに、搬送リブが、中心方向に放射状に揃っておらず、搬送リブの外側端部部分は、ローターディスクの端部に対してほぼ接線方向に、特に、0°と25°の間の、好ましくは、12°と18度の間の外側交角で接していると搬送効果にとって好ましいことが分かった。
【0030】
また、搬送リブの内側形成開始部分は、内側中央領域及び/又は外側中央領域に対して、0°と45°の間の、好ましくは、15°と30°の間の交角β又はβで、設けられると好ましい。交角βは、交角βよりも大であることが好ましい。
【0031】
各交角は、搬送リブのロータ−ディスクの端部、又は内側中央領域及び/又は外側中央領域との交差箇所すなわち開始箇所で測定する。交角は、交差箇所での搬送リブに対する接線と交差箇所での内側中央領域及び/又は外側中央領域に対する接線との間の箇所である。
【0032】
運転中、ローターディスクは、凹状に湾曲する方向に回転する。
【0033】
この点に関し、搬送リブが、走行方向において直線で、下面に対して実質的に垂直に揃えられた搬送面と、走行方向下流に向かって傾斜した、面取りされた平坦な側面とを備えた、実質的に三角形状の断面を有することも好ましい。こうすると、粒子が、ディスクの下に入っても、粒子は迅速に解放され、再び外側に運ばれ、ディスクが、停止したり、速度が落ちたりすることがなくなる。
【0034】
搬送ディスクが、被処理合成樹脂材料の温度にも影響を及ぼすようにするには、ディスク本体に空洞部を形成して、必要に応じて冷媒で満たされ又はかん流されるようにする。
【0035】
さらに、本発明では、ローターディスクが、底部との距離が短いカッターコンパクタに設けられてもよい。合成樹脂材料の処理加工に特に好ましい装置は、収容容器を特に脱気可能にして、本発明によるローターディスクを、床面近傍に平行に設けることである。こうすると、ローターディスクは、実質的に垂直なシャフトにより、具合よく支持され駆動されて、収容容器内の合成樹脂材料に、シャフトの軸線を中心とする回転運動がもたらされる。
【0036】
特に好ましい実施形態では、搬送リブの、ローターディスクからから最も離れた最外箇所又は最外端と収容容器の床面との距離は、ディスク本体の厚さよりも小で、好ましくは、3と15mmの間、さらに好ましくは、4と8mmの間の範囲である。
【0037】
本発明のこの他の特有の効果及びこの他の実施形態は、以下の説明及び添付図面に開示してある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
以下、本発明を、添付図面に示すとともに、添付図面を参照しながら特に好ましい実施形態に基づいて説明する。
【図1】本発明によるローターディスクを下から見た図である。
【図2】図1に示したローターディスクの中心を通る断面図である。
【図3】図2に示した断面図の拡大図である。
【図4】図2及び図3に示した断面図の右側部分の詳細を示すものである。
【図5】図1の矢印B−Bにおける部分図である。
【図6】図1の矢印Aの箇所の部分図である。
【図7】ディスクを内部に設けた収容容器の部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1には、効率が特によく好ましいローターディスク1が、例示として示してあり、図1は、ローターディスク1を下から見た状態、すなわち、運転中に収容容器の床側から見た状態を示している。実際、こうしたローターディスク1は、多量の高分子材料を量に応じて重量が重くなった状態で収容する大容量収容容器2で、通常用いられる。このため、ローターディスク1には、大きな圧力が加わる。このような場合、こうしたローターディスク1の直径は、約2m以上の範囲内にある。
【0040】
ローターディスク1は、ディスク本体3を備え、その上面4には、混合及び
/又は粉砕部材5を備えることができる。ディスク本体3の反対側の下面6には、複数個の搬送リブ7が、内側から外側に向かって延びるように設けられる。全ての搬送リブ7は、ローターディスク1の回転方向に凹となるように湾曲して、湾曲が、等しい円弧になっている。搬送リブ7の曲率半径は、ローターディスク1の半径よりも小、例えば、その65%である。さらに、全ての搬送リブ7の曲率は、ほぼ等しい。
【0041】
2個のグループの搬送リブが、すなわち長いリブのグループと短いリブのグループが交互になって設けられる。長い方の搬送リブ7は、半径がローターディスク1の約30%である内側円形中央領域14から始まる。短い方の搬送リブ7は、半径がローターディスク1の約50%である外側円形中央領域15から始まる。搬送リブ7の全ては、ディスク本体3のローターディスク1の外端まで連続して延びる。
【0042】
搬送リブ7は、ローターディスク1の中心8に向かっては、放射状に揃っていはいない。
【0043】
こうして、全ての搬送リブ7の外縁部分は、ローターディスクの外端に対してほぼ接線方向にあり、すなわち、搬送リブ7の外端すなわち外周に対する形成開始箇所で測定して、外端に対する接線と搬送リブ7に対する接線とがなす外側交角αが約14°をなして、搬送リブ7は、外端すなわち外周と接する。
【0044】
長い方の搬送リブ7の内側形成開始部分は、常に搬送リブ7の形成開始箇所で測定して、内側円形中央領域14に対する接線と搬送リブ7に対する接線とがなす第1内側交角βが約15°をなして、搬送リブ7は、内側円形中央領域14と接する。
【0045】
短い方の搬送リブ7の内側形成開始部分は、常に搬送リブ7の形成開始箇所で測定して、外側円形中央領域15に対する接線と搬送リブ7に対する接線とがなす第1内側交角βが約35°乃至40°をなして、搬送リブ7は、外側円形中央領域15と接する。
【0046】
βがβよりも大である場合が、好ましい。
【0047】
内側円形中央領域14と外側円形中央領域15との接触部分では、搬送リブ7の先端は、尖っている。
【0048】
こうした形状の搬送リブ7により、大小の高分子粒子は、運転中に、外側に運ばれることができ、ローターディスク7の中心8から外側に向かう力が、搬送リブ7により捕捉された高分子粒子に及ぼされる。一般に、高分子粒子に及ぼされる搬送効果は、処理が通常減圧状態で行われるので、搬送リブ7の機械的作用によりもたらされる。しかしながら,処理は、大気圧下でも同様に可能なので、機械的な接触に加えて、搬送リブ7と高分子粒子間での流動効果もある。
【0049】
図2、3及び4には、ローターディスク1が、中心8を通る断面図で示してある。運転中、収容容器と向かい合う、ディスク本体3の上面4には、混合及び/又は粉砕部材5を備えることができる。図示の実施形態では、こうした部材を図示していない。混合及び/又は粉砕部材5は、スクープ状又はナイフ状等とすることができる。混合及び/又は粉砕部材は、高分子粒子を捕捉して高分子粒子に回転運動を与えて、収容容器内で混合噴水を形成する。さらに、高分子粒子は、加熱され、一定の混合状態に維持されて、高温でも互いにくっ付き合わない。大形の粒子は、裁断又は粉砕される。
【0050】
ディスク本体3の下面3には、搬送リブ7が設けられる。ディスク本体3の厚さは、内側部分9では一定で均一である。この内側部分9は、ローターディスク1の半径の約3分の2に亘っている。ディスク本体3の厚さは、ローターディスク1の中心8から一定の距離18の箇所から減少する。図示の例では、半径方向距離18は、ローターディスク1の半径の約68%である。この半径距離から搬送リブ7の高さが、外側に近付くにつれて次第に増加する一方、搬送リブ7の高さは、内側部分9では一定で均一である。
【0051】
図2乃至4から分るように、ディスク本体3の厚さは、若干減少し、すなわち、図示の例では、2mmだけ減少する。同様に、同じ範囲で、搬送リブ7の高さは、外側に近付くにつれて増加し、ローターディスク1全体の厚さは、その全放射状部分に亘って均一かつ一定である。外側領域では、ディスク本体3又は下面6と搬送リブ7の上面箇所との間の距離が、大きくなり、すなわち、搬送リブ7間の領域が、多少高くなる。
【0052】
上面4から最も離れた搬送リブ7の箇所又は領域は、ディスク本体3の上面4と平行に揃った水平面10を形成する。
【0053】
図示の例では、ディスク本体3の厚さの減少は、連続し、適切な面に亘って続いている。ディスク本体3の下面6は、外側領域では、面取りされて、厚さが減少し、上面4に向かって約0.5%の角度γで傾斜する。こうして、ローターディスク1又はディスク本体3は、いわば、外周端が平坦になった接頭円錐形の形を有する。
【0054】
以上の他に取り得る実施形態によれば、ディスク本体3の厚さは、不連続的に、又は段階的に減少させてもよく、こうすることは、ある種のリサイクル材料の場合に好ましいとなる。
【0055】
ディスク本体3の内部に、空洞13を形成して、ローターディスクを冷却する冷媒により少なくともかん流されることができるようにしてもよい。
【0056】
図5は、搬送リブ7を通る断面図を示すものである。各搬送リブ7は、下面6に実質的に垂直な搬送面11と、走行方向に対して下流側に、10°と35°の間、特に約15°の角度δの傾斜側面12とを備えた、実質的に三角形状断面を有する。
【0057】
図6は、ローターディスク1の側面から斜めに見た搬送リブ7の図である。図示のように、傾斜側面12は、連続して、直接に、すなわち、鋭角で、下面6に繋がっておらず、端部又は段部20を介している。しかしながら、移行部分は、段部20が無くてもよい。
【0058】
図7は、運転中の本発明のローターディスク1を、合成樹脂材料を処理し加工する装置に設けた場合を示すものである。図7は、こうした装置の左側底部を示している。ローターディスク1は、全く水平な床面17と、垂直な側壁18とを備えた脱気可能な収容容器2内に設けられる。ローターディスク1は、床に近接し、床面17に平行に設けられ、実質的に垂直にされたシャフト19により支持される。収容容器2内の合成樹脂材料は、ローターディスク1の回転により、特に混合及び/粉砕部材5の働きにより移動され、シャフト19の軸心を中心として移動する。
【0059】
ローターディスク1、すなわち、水平面10の搬送リブ7の最外箇所、外縁又は外端と、床面17との間の距離21は、比較的小さく、約5乃至6mmの間の範囲にある。図6は、床面17とローターディスク1との間の距離を、スケール通りではないが概略的に示してある。ローターディスクは、直径が約2,000mmの場合、約10乃至300rpm、例えば、約20乃至150rpmで回転する。
【0060】
装置の特に好ましい実施形態は、円形の断面を持ち、軸線が垂直な脱気可能な収容容器2を持ち、処理すべき合成樹脂材料、特に、ボトル、ボトル型、フィルム、フレーク等の形態をしたPET(ポリエチレン・テレフタレート)等の熱可塑性材料が、入口開口を通じて頂部から内部に投入される。合成樹脂材料を、真空引き状態で処理する必要がある場合には、複動式シリンダにより往復移動できる2個のスライドで、閉塞室を閉塞できるロック手段を入口開口に接続して設ける。ロック手段は、合成樹脂材料が、バッチ式に投入され、又はベルトコンベア等の供給手段により連続して投入される、投入ファンネルに頂部で接続される。閉塞室は、真空引き手段に通じている真空引きラインに接続される。収容容器2からは、真空引き手段に別の真空引きラインが、通じている。
【0061】
収容容器2は、垂直側壁18と水平床17とを有する。床17近傍には、水平な円形ローターディスク1により構成される混合及び/又は粉砕部材支持体が、設けられ、ローターディスクは、真空気密状態で床17を貫通するシャフト19に載っている。シャフト19は、駆動機により、矢印の方向に駆動される。ローターディスク1の上面4には、その円周方向に亘って均一間隔で、数個の混合及び/又は粉砕部材5が、配置され、混合及び/又は粉砕部材は、ローターディスク1が回転すると収容容器2内で合成樹脂材料に作用を及ぼす。一方において、この作用により、軸心19を中心として合成樹脂材料を回転させながら、他方において、遠心力により、合成樹脂材料を側壁18に向かうように放射状に移動させる。こうして、合成樹脂材料に一部は、側壁18に沿って這い上がり、回転しながら最高点に達してから、収容容器の軸心近傍領域に落下して戻る混合噴水を形成する。しかしながら、合成樹脂材料の、ローターディスク1からスピンアウトされた部分は、特に、収容容器内に多量の合成樹脂材料がある場合、ローターディスク1の下の限定的な空間部に入る。
【0062】
図示の実施形態では、この効果を抑えるため、ローターディスク1は、複数個の傾斜したスクープ部を、ローターディスクの外周に亘って一定間隔で備える。こうしたスクープ部は、混合及び/又は粉砕部材5からスピンアウトされた合成樹脂材料に、好ましい上昇移動をもたらし、合成樹脂材料の一部が、混合及び/又は粉砕部材支持体のローターディスク1の下の空間部に入るのをある程度防止する。
【0063】
しかしながら、この効果は、本発明による搬送リブ7が、限定的な空間部に入り又は押し入る合成樹脂材料が、側壁18の方向に運ばれるように、ローターディスク1の下面4に設けられる場合にのみ、最適化される。合成樹脂材料は、スクープにより捕捉され、再び上方に運ばれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面(4)に、混合及び/又は粉砕部材を備えることができ、下面(6)に、内側から外側に延びる複数個の搬送リブ(7)を備えるディスク本体(3)を有し、搬送リブにより、運転中に、高分子粒子を外側に運び、又は、搬送リブにより、運転中に搬送リブ(7)により捕捉された高分子材料に、ローターディスク(1)の中心(8)から外側に向かう力を及ぼす、高分子処理用収容容器内に設けるローターディスク(1)において、前記ディスク本体(3)の厚さは、外側に近付くにつれて減少することを特徴とするローターディスク。
【請求項2】
前記ディスク本体(3)の厚さは、少なくとも1mm、好ましくは、1.5mmと3.5mmの間の値で減少することを特徴とする請求項1に記載のローターディスク。
【請求項3】
前記搬送リブ(7)は、外側に近付くにつれて高さが、増加することを特徴とする請求項1又は2に記載のローターディスク。
【請求項4】
前記ディスク本体(3)は、前記搬送リブ(7)が、外側に近付くにつれて高さが増加するにつれて、同じ比率で外側に近付くにつれて厚さが減少することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載のローターディスク。
【請求項5】
前記ローターディスク(1)の全体的な厚さは、その放射状部分に亘って等しくかつ一定であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載のローターディスク。
【請求項6】
前記ディスク本体(3)の内側部分(9)の厚さは、一定であり、当該厚さは、前記ローターディスク(1)の中心(8)から離れた距離(18)から、好ましくは、前記ローターディスクの半径の60%の距離(18)から、特に、前記ローターディスクの半径の60%と70%の間の距離から減少が始まり、及び/又は、前記搬送リブ(7)の高さは、内側領域(9)で一定であり、前記ローターディスク(1)の中心(8)から離れた距離(18)から、好ましくは、前記ローターディスクの半径の60%の距離から、特に60%と70%の間の距離から増加が始まることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載のローターディスク。
【請求項7】
前記搬送リブ(7)の前記上面(4)から最も離れた箇所又は部分は、水平面を形成又はなすことを特徴とする請求項1乃至6のいずれが1に記載のローターディスク。
【請求項8】
前記ディスク本体(3)の上面(4)は、水平面であり、及び/又は、当該水平面(10)は、前記上面(4)と平行であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれが1に記載のローターディスク。
【請求項9】
前記ディスク本体(3)の、厚さが減少する領域内の下面(6)は、面取りされ、前記上面(4)に向かって、及び/又は水平面(10)に向かって、特に、3°未満の、特に0.4°と0.6°の間の角度γで傾斜することを特徴とする請求項1乃至8のいずれが1に記載のローターディスク。
【請求項10】
前記ディスク本体(3)の厚さの減少は、連続していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれが1に記載のローターディスク。
【請求項11】
前記ディスク本体(3)の厚さの減少は、不連続又は段階的、必要に応じて一段階であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれが1に記載のローターディスク。
【請求項12】
前記搬送リブ(7)は、回転すなわち走行方向に凹となるように湾曲することを特徴とする請求項1乃至10のいずれが1に記載のローターディスク。
【請求項13】
前記搬送リブ(7)の全ての湾曲は、等しく、及び/又は、当該湾曲は、一定又は不変的で、好ましくは、円弧であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれが1に記載のローターディスク。
【請求項14】
前記搬送リブ(7)は、少なくとも2個のグループが、前記中心(8)から異なる距離で、すなわち、内側中央領域(14)からと外側中央領域(15)から交互に始まることを特徴とする請求項1乃至13のいずれが1に記載のローターディスク。
【請求項15】
前記搬送リブ(7)の外側端部部分は、前記ローターディスク(1)の端部に対してほぼ接線方向に、特に、0°と25°の間の、好ましくは、12°と18度の間の外側交角αで、揃っており、及び/又は、前記搬送リブ(7)の内側形成開始部分は、前記内側中央領域(14)又は前記外側中央領域(15)に対して、0°と45°の間の、好ましくは、15°と30°の間の第1及び第2交角β及びβで、設けられ、第2交角βは、好ましくは、第1交角βよりも大で、これら交角は、前記搬送リブ(7)に対する接線と前記ローターディスク(1)の端部又は前記内側中央領域(14)又は前記外側中央領域(15)に対する接線との間で、これら接線の交差箇所、又は前記搬送リブ(7)の開始箇所で絶えず測定されることを特徴とする請求項1乃至14のいずれが1に記載のローターディスク。
【請求項16】
前記搬送リブ(7)は、回転方向において直線で、前記下面(6)に対して実質的に垂直に揃えられた搬送面(11)と、回転方向下流に向かって傾斜した、面取りされた平坦な側面(12)とを備えた、特に実質的に三角形状の断面を有し、当該傾斜した側面(12)は、10°と35°の間の、特に約15°の角度δに揃えられることを特徴とする請求項1乃至15のいずれが1に記載のローターディスク。
【請求項17】
前記ディスク本体(3)内に、空洞部(13)が形成され、必要に応じて、冷媒で満たされ又はかん流されることを特徴とする請求項1乃至16のいずれが1に記載のローターディスク。
【請求項18】
均一に平坦な床面(17)と側壁(18)とを備えた収容容器(2)を有し、当該床面(17)近傍で平行に、請求項1乃至17のいずれか1によるローターディスク(1)を備える、合成樹脂材料を処理し加工する装置において、当該ローターディスク(1)は、実質的に垂直に設けられたシャフト(19)により特に支持され駆動されることにより、当該収容容器内の合成樹脂材料が、移動されることを特徴とする装置。
【請求項19】
搬送リブ(7)の、前記ローターディスク(1)及び前記床面(17)から最も離れた最外箇所又は最外端の距離は、ディスク本体(3)の厚さよりも小で、好ましくは、3と15mmの間、さらに好ましくは、4と8mmの間であることを特徴とする請求項18に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−517116(P2013−517116A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548305(P2012−548305)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【国際出願番号】PCT/AT2011/000005
【国際公開番号】WO2011/085419
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(503433958)エレマ エンジニアリング リサイクリング マシネン ウント アンラーゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトフング (27)
【Fターム(参考)】