説明

ローラコンベヤ装置

【課題】磁気式動力伝達手段を採用し摩耗や発塵、接触騒音等を軽減するとともに、搬送力を確保して装置全体をコンパクトに配置できるローラコンベヤ装置を提供すること。
【解決手段】複数の搬送軸110が回転可能に並列配置されており、それぞれの搬送軸110に磁気式動力伝達手段130を介して駆動軸120が、搬送軸110と直交して設けられ、駆動軸120に駆動手段150からの回転を伝達する動力軸140が複数の搬送軸110と平行に設けられ、駆動軸120に設けられた磁気回転体と動力軸140に設けられた磁気回転体とが対向して動力伝達すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物の搬送面を構成する複数の搬送ローラと、該複数の搬送ローラを軸着して回転可能に並列配置された複数の搬送軸と、該複数の搬送軸に直交する方向に設けられ搬送軸を駆動する駆動軸と、該駆動軸に駆動手段からの回転を伝達する動力軸と、前記駆動軸に設けられた磁気回転体と各搬送軸に設けられた磁気回転体とが対向して動力伝達する磁気式動力伝達手段とを有するローラコンベヤ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ローラコンベヤ装置において、クリーンな環境でのハンドリングが要求される電子部品基板、液晶パネル、精密部品等を搬送するために、各軸間の動力伝達手段として摩耗や発塵、接触騒音等を軽減できる磁気式動力伝達手段を備えたものが知られている。
【0003】
公知のローラコンベヤ装置は、例えば図13、図14に示すように、複数の搬送軸510、610が回転可能に並列配置され、該搬送軸510、610にはそれぞれ搬送面を構成する複数の搬送ローラ(図示せず)が備えられて一体に回転して搬送物を搬送するよう構成されている。
【0004】
搬送軸510、610の側部には駆動軸520、620が直交方向に設けられ、該駆動軸520、620は磁気式動力伝達手段530、630を介して搬送軸510、610を駆動する。
磁気式動力伝達手段530、630は、駆動軸520、630に設けられた駆動用磁気回転体521、621と搬送軸510、610に設けられた被駆動用磁気回転体511、611とが空間を介して非接触で磁気的に駆動力を伝達するように構成されている。(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2648566号公報(第5頁、図4)
【特許文献2】特許第2683319号公報(第3頁、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図13に示す公知のローラコンベヤ装置500は、駆動軸520に設けられたプーリー591にベルト592を掛け回して駆動軸520に駆動手段(図示せず)からの回転を伝達するように構成されているため、プーリー591とベルト592の間の摩擦による摩耗や発塵、接触騒音等が発生するという問題があった。
【0007】
また、図14に示す公知のローラコンベヤ装置600は、駆動軸620に平行に駆動手段(図示せず)からの回転を伝達するための動力軸640が設けられ、該動力軸640に動力用磁気回転体641が設けられ、駆動軸620に設けられた駆動用磁気回転体621に非接触で磁気的に動力を伝達することで、摩耗や発塵、接触騒音等を軽減している。
【0008】
しかしながら、駆動軸620と動力軸640が長尺で撓み等が発生しやすいため、動力用磁気回転体641と駆動用磁気回転体621の間隔を小さくすることが困難であり、また、動力用磁気回転体641、駆動用磁気回転体621ともに円筒型のため容積当たりの伝達トルクが小さく、大きな動力を伝達するためには動力用磁気回転体641と駆動用磁気回転体621を大型化したり、軸受を大型化したりする必要があり、ローラコンベヤ装置全体を小型化することができないという問題があった。
【0009】
本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、磁気式動力伝達手段を採用し摩耗や発塵、接触騒音等を軽減するとともに、搬送力を確保して装置全体をコンパクトに配置できるローラコンベヤ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本請求項1に係る発明は、搬送物の搬送面を構成する複数の搬送ローラと、該複数の搬送ローラを軸着して回転可能に並列配置された複数の搬送軸と、該複数の搬送軸に直交する方向に設けられ搬送軸を駆動する駆動軸と、該駆動軸に駆動手段からの回転を伝達する動力軸と、前記駆動軸に設けられた磁気回転体と各搬送軸に設けられた磁気回転体とが対向して動力伝達する磁気式動力伝達手段とを有するローラコンベヤ装置において、前記動力軸が、前記複数の搬送軸と平行に設けられるとともに、前記駆動軸に設けられた磁気回転体と前記動力軸に設けられた磁気回転体とが対向して動力伝達することにより、前記課題を解決するものである。
【0011】
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載されたローラコンベヤ装置の構成に加えて、前記搬送軸に設けられた磁気回転体と対向する前記駆動軸に設けられた磁気回転体の少なくとも一つが、前記動力軸に設けられた磁気回転体と対向して動力伝達を行うように構成されていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0012】
本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載されたローラコンベヤ装置の構成に加えて、前記複数の搬送軸の少なくとも一つが、前記動力軸を兼ねていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0013】
本請求項4に係る発明は、請求項1に記載されたローラコンベヤ装置の構成に加えて、前記動力軸と駆動手段が、前記駆動軸に対して搬送軸側に複数の搬送軸と並列配置されていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0014】
本請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載されたローラコンベヤ装置の構成に加えて、前記動力軸に設けられた前記駆動軸に対向する磁気回転体が、前記搬送軸に設けられた前記駆動軸に対向する磁気回転体より大径に形成されていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のローラコンベヤ装置は、搬送物の搬送面を構成する複数の搬送ローラと、該複数の搬送ローラを軸着して回転可能に並列配置された複数の搬送軸と、該複数の搬送軸に直交する方向に設けられ搬送軸を駆動する駆動軸と、該駆動軸に駆動手段からの回転を伝達する動力軸と、駆動軸に設けられた磁気回転体と各搬送軸に設けられた磁気回転体とが対向して動力伝達する磁気式動力伝達手段とを有することにより、摩耗や発塵、接触騒音等を軽減できるとともに、以下のような格別の効果を奏することができる。
【0016】
すなわち、本請求項1に係る発明のローラコンベヤ装置は、動力軸が複数の搬送軸と平行に設けられるとともに、駆動軸に設けられた磁気回転体と動力軸に設けられた磁気回転体とが対向して動力伝達することによって、動力軸と駆動軸との動力伝達も非接触として摩耗や発塵、接触騒音等をさらに軽減できるとともに、動力軸が複数の搬送軸と平行に設けられ駆動軸を直交して配置されることにより、駆動軸に設けられた磁気回転体と動力軸に設けられた磁気回転体との間隔を独立して小さく設定できるため、大きな動力の伝達を可能としつつローラコンベヤ装置全体を小型化することができる。
【0017】
本請求項2に係る発明のローラコンベヤ装置は、請求項1に係るローラコンベヤ装置が奏する効果に加えて、搬送軸に設けられた磁気回転体と対向する駆動軸に設けられた磁気回転体の少なくとも一つが、動力軸に設けられた磁気回転体と対向して動力伝達を行うように構成されていることにより、動力軸からの動力を伝達するために駆動軸に追加的な磁気回転体を付加する必要がないため、さらにローラコンベヤ装置全体を小型化することができる。
【0018】
本請求項3に係る発明のローラコンベヤ装置は、請求項1または請求項2に係るローラコンベヤ装置が奏する効果に加えて、複数の搬送軸の少なくとも一つが動力軸を兼ねていることにより、搬送軸に設けられた磁気回転体が動力軸に設けられるべき磁気回転体を兼ねることができるため、磁気式動力伝達手段に何らの構成を付加する必要がなく、さらにローラコンベヤ装置全体を小型化することができる。
【0019】
本請求項4に係る発明のローラコンベヤ装置は、請求項1に係るローラコンベヤ装置が奏する効果に加えて、動力軸と駆動手段が、駆動軸に対して搬送軸側に複数の搬送軸と並列配置されていることにより、駆動装置を搬送部の外方に突出して設ける必要がないため、さらにローラコンベヤ装置全体を小型化することができる。
【0020】
本請求項5に係る発明のローラコンベヤ装置は、請求項1乃至請求項4のいずれか1つに係るローラコンベヤ装置が奏する効果に加えて、動力軸に設けられた駆動軸に対向する磁気回転体が、搬送軸に設けられた駆動軸に対向する磁気回転体より大径に形成されていることにより、動力軸と駆動軸の磁気式動力伝達手段が他の磁気式動力伝達手段より大きなトルクで動力伝達が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施例であるローラコンベヤ装置の斜視図。
【図2】図1に示す本発明の第1実施例であるローラコンベヤ装置の平面図。
【図3】図1に示す本発明の第1実施例であるローラコンベヤ装置の正面図。
【図4】図1の動力軸と駆動軸の磁気式動力伝達装置の拡大斜視図。
【図5】図1の動力軸と駆動軸の磁気式動力伝達装置の拡大平面図。
【図6】本発明の第2実施例であるローラコンベヤ装置の斜視図。
【図7】図6に示す本発明の第2実施例であるローラコンベヤ装置の平面図。
【図8】図6に示す本発明の第2実施例であるローラコンベヤ装置の正面図。
【図9】図6に示す本発明の第2実施例であるローラコンベヤ装置の拡大平面図。
【図10】本発明の第3実施例であるローラコンベヤ装置の拡大平面図。
【図11】本発明の磁気式動力伝達手段の一実施例の磁極配置の説明図。
【図12】本発明の磁気式動力伝達手段の他の実施例の磁極配置の説明図。
【図13】従来のローラコンベヤ装置の斜視図。
【図14】従来の他のローラコンベヤ装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のローラコンベヤ装置は、搬送物の搬送面を構成する複数の搬送ローラと、該複数の搬送ローラを軸着して回転可能に並列配置された複数の搬送軸と、該複数の搬送軸に直交する方向に設けられ搬送軸を駆動する駆動軸と、該駆動軸に駆動手段からの回転を伝達する動力軸と、駆動軸に設けられた磁気回転体と各搬送軸に設けられた磁気回転体とが対向して動力伝達する磁気式動力伝達手段とを有するローラコンベヤ装置において、動力軸が複数の搬送軸と平行に設けられるとともに、駆動軸に設けられた磁気回転体と動力軸に設けられた磁気回転体とが対向して動力伝達し、摩耗や発塵、接触騒音等を軽減するとともに、搬送力を確保して装置全体をコンパクトに配置できるものであれば、その具体的な実施態様は如何なるものであっても何ら構わない。
【0023】
すなわち、本発明で用いる磁気式動力伝達手段は、直交する駆動軸と搬送軸の間で動力伝達が行われるものであれば具体的な形態は如何なるものでも良く、駆動側及び被駆動側それぞれの磁気回転体は、円盤、円錐あるいは円筒のいずれの形状であっても良く、磁気回転体の磁極の配列は、駆動力を有効に伝達できるものであればいかなる配列であっても良い。
【0024】
特に、円筒表面に磁極を交互に配置した磁気円筒と円盤表面に磁極を交互に配置した磁気円盤を対向させたものであれば、小型で効率の良い動力伝達が可能となり好適であり、磁気円盤が、内周から外周に向けて放射曲線状に配置された磁極を有するものであれば、トルク変動が少なく騒音や振動が少なくなり、さらに好適である。
【0025】
そして、本発明で用いる搬送ローラについては、搬送軸と一体に回転するものであれば良く、搬送物の特性に応じてその形状は如何なるものであっても良い。例えば、一つの搬送軸に対して一つの円筒状のものであっても良く、複数に分割した円筒状のものや円盤状のものであっても良い。
【0026】
また、本発明で用いる搬送ローラの具体的な材料についても、搬送物の特性に応じて如何なるものを使用しても良く、搬送物と接触する外周表面のみを搬送に適した材料としても良い。
【実施例1】
【0027】
以下に、本発明の実施例であるローラコンベヤ装置について図面に基づいて説明する。
本発明の第1実施例であるローラコンベヤ装置100は、図1乃至図5に示すように、複数の搬送軸110が回転可能に並列配置されており、それぞれの搬送軸110の一端側には被駆動用磁気回転体111が設けられている。
また、それぞれの搬送軸110には搬送面を構成する複数の円盤状の搬送ローラ112が、搬送軸110と一体的に回転可能に設けられている。
【0028】
複数の搬送軸110の一端側には、該搬送軸110と直交して駆動軸120が設けられており、駆動軸120には複数の搬送軸110に駆動力を伝達する複数の駆動用磁気回転体121が設けられている。
被駆動用磁気回転体111と駆動用磁気回転体121は磁気式動力伝達手段130を構成してそれぞれの搬送軸110に駆動力を伝達する。
【0029】
駆動軸120の複数の搬送軸110と反対側には、動力軸140が搬送軸110と平行に設けられており、動力軸140は駆動装置150により回転駆動されるとともに、端部には動力用磁気回転体141が設けられ、駆動軸120に動力を伝達している。
【0030】
駆動装置150の回転出力は、図4及び図5に示すように、カップリング160を介して動力軸140に伝達され、動力軸140の端部に設けられた動力用磁気回転体141が、搬送軸110と駆動軸120との複数の磁気式動力伝達手段130の内の一つの駆動用磁気回転体121に対向して配置されることで、動力軸140の回転が駆動軸120に伝えられる。
【0031】
駆動用磁気回転体121は円筒表面に磁極を交互に配置した磁気円筒からなり、被駆動用磁気回転体111および動力用磁気回転体141は円盤表面に磁極を交互に配置した磁気円盤からなる。
【0032】
本実施例では、1つの駆動用磁気回転体121が被駆動用磁気回転体111および動力用磁気回転体141と対向して、動力軸140から駆動力を受けるとともに搬送軸110に駆動力を伝達することで、摩耗や発塵、接触騒音等を軽減できるとともに、駆動軸120に追加的な磁気回転体を付加する必要がなくローラコンベヤ装置100全体を小型化することができる。
【0033】
また、動力用磁気回転体141を被駆動用磁気回転体111よりも大径に形成することにより、他の磁気式動力伝達手段より大きなトルクで動力伝達が可能となる。
さらに、動力用磁気回転体141と対向する駆動用磁気回転体121を他の磁気式動力伝達手段より長くしても良い。
駆動用磁気回転体121と動力用磁気回転体141、被駆動用磁気回転体111それぞれの間隔は独立して調整することができるため、1組の磁気式動力伝達手段で大きなトルクを伝達することが可能となる。
【実施例2】
【0034】
次に、本発明の第2実施例であるローラコンベヤ装置について以下に詳しく説明する。
本発明の第2実施例であるローラコンベヤ装置200は、図6乃至図9に示すように、第1実施例と同様に、複数の搬送軸210が回転可能に並列配置されており、それぞれの搬送軸210の一端側には被駆動用磁気回転体211が設けられている。
また、それぞれの搬送軸210には搬送面を構成する複数の円盤状の搬送ローラ212が、搬送軸210と一体的に回転可能に設けられている。
【0035】
複数の搬送軸210の一端側には、該搬送軸210と直交して駆動軸220が設けられており、駆動軸220には複数の搬送軸210に駆動力を伝達する複数の駆動用磁気回転体221が設けられている。
被駆動用磁気回転体211と駆動用磁気回転体221は磁気式動力伝達手段230を構成してそれぞれの搬送軸210に駆動力を伝達する。
【0036】
複数の搬送軸210の駆動軸220と反対側には、駆動装置250が設けられており、駆動装置250の回転出力は、図9に示すように、カップリング260を介して複数の搬送軸210の内の一つに伝達されて動力軸を兼ね、該搬送軸210の端部に駆動軸220側端部に設けられた被駆動用磁気回転体211が磁気式動力伝達手段230の駆動用磁気回転体221に対向して配置されることで、動力軸を兼ねた搬送軸210の回転が駆動軸220に伝えられる。
駆動用磁気回転体221は円筒表面に磁極を交互に配置した磁気円筒からなり、被駆動用磁気回転体211は円盤表面に磁極を交互に配置した磁気円盤からなる。
【0037】
本実施例では、搬送軸210の内の1つが動力軸を兼ねることで、磁気式動力伝達手段230に何らの構成を付加する必要がなく、さらにローラコンベヤ装置全体を小型化することができる。
【0038】
また、動力軸を兼ねた搬送軸210の被駆動用磁気回転体211を他の搬送軸210の被駆動用磁気回転体211よりも大径に形成し、駆動用磁気回転体221を他の個所より長尺とすることにより、大きなトルクで動力伝達が可能となる。
【実施例3】
【0039】
次に、本発明の第3実施例であるローラコンベヤ装置について以下に詳しく説明する。
本発明の第3実施例であるローラコンベヤ装置300は、図10に示すように、第1実施例と同様に、複数の搬送軸310が回転可能に並列配置されており、それぞれの搬送軸310の一端側には被駆動用磁気回転体311が設けられている。
また、それぞれの搬送軸310には搬送面を構成する複数の円盤状の搬送ローラ312が、搬送軸310と一体的に回転可能に設けられている。
【0040】
複数の搬送軸310の一端側には、該搬送軸310と直交して駆動軸320が設けられており、駆動軸320には複数の搬送軸310に駆動力を伝達する複数の駆動用磁気回転体321が設けられている。
被駆動用磁気回転体311と駆動用磁気回転体321は磁気式動力伝達手段330を構成してそれぞれの搬送軸310に駆動力を伝達する。
【0041】
駆動軸320の搬送軸310側には、搬送軸310の間隔部に搬送ローラ312が構成する搬送面に干渉しない大きさの駆動装置350が設けられており、駆動装置350の回転出力(動力軸)の端部には動力用磁気回転体341が設けられている。
駆動軸320には被駆動用磁気回転体311の他に動力用駆動軸磁気回転体322が設けられ、前記駆動装置350の動力用磁気回転体341に対向して配置されて動力用磁気式動力伝達手段331が構成され、駆動装置350の回転が駆動軸320に伝えられる。
駆動用磁気回転体321および動力用駆動軸磁気回転体322は円筒表面に磁極を交互に配置した磁気円筒からなり、被駆動用磁気回転体311および動力用磁気回転体341は円盤表面に磁極を交互に配置した磁気円盤からなる。
【0042】
本実施例では、駆動装置350が駆動軸320に対して搬送軸310側に複数の搬送軸310と並列配置されているため、さらにローラコンベヤ装置全体を小型化することができる。
また、動力用磁気回転体341を搬送軸310の被駆動用磁気回転体311よりも大径に、動力用駆動軸磁気回転体322を駆動用磁気回転体321よりも大径に形成することにより、大きなトルクで動力伝達が可能となる。
【0043】
上記第1実施例乃至第3実施例の磁気式動力伝達手段は、例えば、図11及び図12に示すように、駆動用磁気回転体121(221、321)は円筒形状であり、被駆動用磁気回転体111(211、311)は円盤形状であって、駆動用磁気回転体121(221、321)と被駆動用磁気回転体111(211、311)の回転軸は同一平面上で直交している。
【0044】
駆動用磁気回転体121(221、321)と被駆動用磁気回転体111(211、311)の対向面には、回転によって磁極が交互に入れ替わるように配置されており、駆動用磁気回転体121(221、321)と被駆動用磁気回転体111(211、311)の対向する磁極同士の吸引、対向する隣の磁極との反発により回転が伝達される。図11に示す実施例では、交互に配置される磁極数は8極であるが、必要とするトルクと回転の静粛性に応じて適宜の数を設定することができる。
【0045】
図11に示すものは、被駆動用磁気回転体111(211、311)の磁極が、内周から外周に向けて放射曲線状に配置されており、駆動用磁気回転体121(221、321)の磁極はそれと対向するために傾斜して配置され、回転時に対向位置に来る磁極の境界線が連続的に移動するため、吸引力及び反発力を生じる位置が駆動用磁気回転体121(221、321)の円筒の軸方向、被駆動用磁気回転体111(211、311)の円盤の周方向に滑らかに変化し、回転振動やトルク変動が少ない回転が可能である。
【0046】
図12に示すものは、被駆動用磁気回転体111(211、311)の磁極が扇状に配置されており、駆動用磁気回転体121(221、321)の磁極はそれと対向するために直線状に配置され、構造が単純となる。駆動用磁気回転体121(221、321)は円筒形状であり、被駆動用磁気回転体111(211、311)は円盤形状であるため、磁極の周速が駆動用磁気回転体121(221、321)では一定であるのに対し、被駆動用磁気回転体111(211、311)では内周と外周で異なるため、扇状、直線状の配置であっても滑りを生じて回転振動やトルク変動を吸収し滑らかに回転可能である。
【0047】
図11及び図12に示すように、磁気式動力伝達手段が、駆動側に設けられて円筒表面に磁極を交互に配置した磁気円筒と、被駆動側に設けられて円盤表面に磁極を交互に配置した磁気円盤とを有し、磁気円筒と磁気円盤の回転軸が、同一平面上で直交するように配置されていることにより、搬送軸と駆動軸が直交しつつ、磁気円筒が磁気円盤の前面の空間から大きくはみ出すことがないため、磁気式動力伝達装置全体をコンパクトにできるとともに、効率が良く振動やトルク変動の少ない動力伝達が可能となりローラコンベヤ装置全体を小さくすることができる。
【0048】
なお、第3実施例の動力用磁気式動力伝達手段331も、図11または図12に示すような構成とすることで、同様の効果を得ることができる。
さらに、磁気式動力伝達手段および動力用磁気式動力伝達手段は、他の形状のものとしても良い。
【符号の説明】
【0049】
100、200、300、500、600 ・・・ローラコンベヤ装置
110、210、310、510、610 ・・・搬送軸
111、211、311、511、611 ・・・被駆動用磁気回転体
112、212、312 ・・・搬送ローラ
120、220、320、520、620 ・・・駆動軸
121、221、321、521、621 ・・・駆動用磁気回転体
322 ・・・動力用駆動軸磁気回転体
130、230、330、530、630 ・・・磁気式動力伝達手段
331 ・・・動力用磁気式動力伝達手段
140、 640 ・・・動力軸
141、 341、 641 ・・・動力用磁気回転体
150、250、350 ・・・駆動装置
160、260 ・・・カップリング
591 ・・・プーリー
592 ・・・ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物の搬送面を構成する複数の搬送ローラと、該複数の搬送ローラを軸着して回転可能に並列配置された複数の搬送軸と、該複数の搬送軸に直交する方向に設けられ搬送軸を駆動する駆動軸と、該駆動軸に駆動手段からの回転を伝達する動力軸と、前記駆動軸に設けられた磁気回転体と各搬送軸に設けられた磁気回転体とが対向して動力伝達する磁気式動力伝達手段とを有するローラコンベヤ装置において、
前記動力軸が、前記複数の搬送軸と平行に設けられるとともに、
前記駆動軸に設けられた磁気回転体と前記動力軸に設けられた磁気回転体とが対向して動力伝達することを特徴とするローラコンベヤ装置。
【請求項2】
前記搬送軸に設けられた磁気回転体と対向する前記駆動軸に設けられた磁気回転体の少なくとも一つが、前記動力軸に設けられた磁気回転体と対向して動力伝達を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のローラコンベヤ装置。
【請求項3】
前記複数の搬送軸の少なくとも一つが、前記動力軸を兼ねていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のローラコンベヤ装置。
【請求項4】
前記動力軸と駆動手段が、前記駆動軸に対して搬送軸側に複数の搬送軸と並列配置されていることを特徴とする請求項1に記載のローラコンベヤ装置。
【請求項5】
前記動力軸に設けられた前記駆動軸に対向する磁気回転体が、前記搬送軸に設けられた前記駆動軸に対向する磁気回転体より大径に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のローラコンベヤ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−222125(P2010−222125A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73920(P2009−73920)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】