説明

ローラチェーン、スプロケットおよびローラチェーン伝動装置

【課題】 所望の音を強調させることができるローラチェーン、スプロケットおよびローラチェーン伝動装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係るローラチェーン(60)は、スプロケットに噛み合う複数のリンクが連結されて構成されたローラチェーンであって、複数のリンクは、ピッチの大きい大ピッチリンクと、ピッチの小さい小ピッチリンクと、を含み、大ピッチリンクおよび小ピッチリンクの少なくとも一方が周期的に配置されていることを特徴とするものである。本発明に係るローラチェーンによれば、大ピッチリンクおよび小ピッチリンクの少なくとも一方が周期的に配置されている。それにより、ローラチェーンがスプロケットと噛み合う場合において、ローラチェーンとスプロケットとの噛み合い強制力を周期的に変化させることができる。その結果、所望の音を強調させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はローラチェーン、スプロケットおよびローラチェーン伝動装置、特にエンジンのバルブ駆動用のローラチェーン、スプロケットおよびローラチェーン伝動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両用エンジンのバルブ駆動用動力伝動装置としては、従来の歯付ベルトを用いたベルト伝動装置に代えて、ローラチェーンおよびスプロケットを用いたローラチェーン伝動装置の採用が増加している。ローラチェーン伝動装置では、ローラチェーンとスプロケットとの噛み合い時に、チェーン打音が発生する。そこで、最近では、チェーン打音を低減させる技術が開発されてきている。
【0003】
例えば特許文献1には、チェーンカバー内に収容される複数のカムスプロケット間のタイミングチェーン(ローラチェーン)に弛みが生じた際にそのタイミングチェーンの弛み方向への変位挙動に追従させるように付勢する付勢手段と、カムスプロケット間のタイミングチェーンに張りが生じた際にそのタイミングチェーンの張り方向への変位挙動をチェーンカバー内において収集されたオイルによりダンピングするダンピング手段と、を備えたタイミングチェーン挙動抑制装置に関する技術が開示されている。この技術によれば、チェーンカバー内のオイルによるダンピング効果を利用した簡単でかつ安価な構成でもって、各カムスプロケット間におけるタイミングチェーンのばたつきによるチェーン打音を低減させることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2006−207779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
チェーン打音は、主として、ローラチェーンとスプロケットとの噛み合い時における噛み合い強制力(チェーンとスプロケットとの噛み合う力)により発生すると考えられる。この点、特許文献1の技術は、ローラチェーンのばたつきによるチェーン打音を低減させることを目的としている。そのため、ローラチェーンのばたつきを抑制することによってチェーン打音を全体的に低減させることはできるが、所望の音を強調させることは困難である。
【0006】
本発明は、所望の音を強調させることができるローラチェーン、スプロケットおよびローラチェーン伝動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るローラチェーンは、スプロケットに噛み合う複数のリンクが連結されて構成されたローラチェーンであって、複数のリンクは、ピッチの大きい大ピッチリンクと、ピッチの小さい小ピッチリンクと、を含み、大ピッチリンクおよび小ピッチリンクの少なくとも一方が周期的に配置されていることを特徴とするものである。本発明に係るローラチェーンによれば、大ピッチリンクおよび小ピッチリンクの少なくとも一方が周期的に配置されている。それにより、ローラチェーンがスプロケットと噛み合う場合において、ローラチェーンとスプロケットとの噛み合い強制力を周期的に変化させることができる。その結果、所望の音を強調させることができる。
【0008】
本発明に係るローラチェーン伝動装置は、スプロケットと、スプロケットに噛み合うローラチェーンと、を備えるローラチェーン伝動装置であって、ローラチェーンは請求項1記載のローラチェーンであることを特徴とするものである。本発明に係るローラチェーン伝動装置によれば、ローラチェーンとして、請求項1記載のローラチェーンを用いている。それにより、所望の音を強調させることができる。
【0009】
上記構成において、スプロケットは18個の歯を有し、ローラチェーンは、2つの大ピッチリンクと、1つの小ピッチリンクと、を備える単位リンク群が複数連結されて構成されていてもよい。この構成によれば、3つのリンクのうち2つのリンク(大ピッチリンク)から生じるチェーン打音を相対的に小さくし、3つのリンクのうち1つのリンク(小ピッチリンク)から生じるチェーン打音を相対的に大きくすることができる。その結果、3つのリンクのうち1つのリンク(小ピッチリンク)から生じるチェーン打音を強調させることができる。それにより、18次音の3分の1の周波数に相当する音(6次音)を強調させることができる。また、この構成によれば、噛み合い強制力を低減させることができることから、ローラチェーン伝動装置の駆動効率を向上させることができる。
【0010】
本発明に係るスプロケットは、ローラチェーンに噛み合う複数の歯を有するスプロケットであって、複数の歯には、ローラチェーンとの噛み合い時における摩擦を低減させるための表面処理が施されている歯が周期的に配置されていることを特徴とするものである。本発明に係るスプロケットによれば、複数の歯の中に、ローラチェーンとの噛み合い時における摩擦を低減させるための表面処理が施されている歯が周期的に配置されている。それにより、表面処理が施されている歯とローラチェーンとの噛み合い強制力は、表面処理が施されている歯を除く歯とローラチェーンとの噛み合い強制力に比較して、小さくなる。その結果、表面処理が施されている歯とローラチェーンとのチェーン打音を相対的に小さくすることができることから、表面処理が施されている歯を除く歯とローラチェーンとのチェーン打音を強調させることができる。したがって、本発明に係るスプロケットによれば、所望の音を強調させることができる。
【0011】
本発明に係るローラチェーン伝動装置は、ローラチェーンと、ローラチェーンに噛み合うスプロケットと、を備えるローラチェーン伝動装置であって、スプロケットは、請求項4記載のスプロケットであることを特徴とするものである。本発明に係るローラチェーン伝動装置によれば、スプロケットとして請求項4記載のスプロケットを用いている。それにより、所望の音を強調させることができる。
【0012】
上記構成において、スプロケットは、駆動スプロケットと、駆動スプロケットに従動する従動スプロケットと、を含み、ローラチェーンは、駆動スプロケットの表面処理が施された歯および従動スプロケットの表面処理が施された歯に同時に噛み合ってもよい。この構成によれば、ローラチェーンは、駆動スプロケットの表面処理が施された歯および従動スプロケットの表面処理が施された歯に同時に噛み合う。それにより、ローラチェーンが駆動スプロケットの表面処理が施された歯および従動スプロケットの表面処理が施された歯に同時に噛み合わない場合に比較して、所望の音をより強調させることができる。
【0013】
上記構成において、スプロケットは、18個の歯を有し、かつ連続して配置されている3つの歯のうち少なくとも1つに表面処理が施されている単位歯群の繰り返しによって構成されていてもよい。この構成によれば、スプロケットが、例えば3つの歯のうち2つの歯に表面処理が施されている単位歯群の繰り返しによって構成されている場合には、3つの歯のうち2つの歯から生じるチェーン打音を低減させることができる。その結果、3つの歯のうち1つの歯から生じるチェーン打音を強調させることができる。したがって、この構成によれば、18次音の3分の1の周波数に相当する音(6次音)を強調させることができる。また、スプロケットが、例えば3つの歯のうち1つの歯に表面処理が施されている単位歯群の繰り返しによって構成されている場合には、3つの歯のうち1つの歯から生じるチェーン打音を低減させることができる。その結果、3つの歯のうち2つの歯から生じるチェーン打音を強調させることができる。したがって、この構成によれば、18次音の3分の2の周波数に相当する音(12次音)を強調させることができる。また、この構成によれば、噛み合い強制力を低減させることができることから、ローラチェーン伝動装置の駆動効率を向上させることができる。
【0014】
上記構成において、ローラチェーンは、請求項1記載のローラチェーンであり、かつスプロケットの歯に噛み合うローラを有し、大ピッチリンクのローラチェーンの走行方向後方側にあるローラは、表面処理が施された歯に噛み合い、小ピッチリンクのローラチェーンの走行方向後方側にあるローラは、表面処理が施された歯以外の歯に噛み合ってもよい。この構成によれば、大ピッチリンクのローラチェーン走行方向後方側にあるローラとスプロケットとの噛み合い強制力を低減させることができる。また、小ピッチリンクのローラチェーン走行方向後方側にあるローラとスプロケットとの噛み合い強制力を増大させることができる。その結果、大ピッチリンクにより生じるチェーン打音を相対的に小さくし、小ピッチリンクにより生じるチェーン打音を強調させることができる。したがって、この構成によれば、所望の音を強調させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、所望の音を強調させることができるローラチェーン、スプロケットおよびローラチェーン伝動装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【実施例1】
【0017】
本発明の実施例1に係るローラチェーン伝動装置150について説明する。図1は、本発明の実施例1に係るローラチェーン伝動装置150が用いられるエンジン200の模式図である。図1に示すように、エンジン200は、エンジン本体10と、クランクスプロケット20と、アイドラスプロケット30と、右バンク用カムスプロケット40と、左バンク用カムスプロケット50と、プライマリーチェーン60と、右バンク用カムチェーン70と、左バンク用カムチェーン80と、を備える。エンジン本体10としては、特に限定されないが、例えばV型エンジンを用いることができる。エンジン本体10として、V型エンジンを用いた場合、エンジン本体10は、右バンク210(図1において向かって左側)と、左バンク220(図1において向かって右側)と、を有している。
【0018】
クランクスプロケット20は、クランクシャフト(図示せず)に接続されている。クランクスプロケット20は、クランクシャフトと同じ周期で回転する。図2は、クランクスプロケット20を示す模式図である。図2に示すように、クランクスプロケット20は、外周に複数の歯21を有している。本実施例においては、クランクスプロケット20は、回転方向の外周に一定のピッチで連続的に配置された18個の歯21を有している。クランクスプロケット20としては、周知のスプロケットを用いることができる。なお、歯21の先端を歯先22といい、隣り合う歯21と歯21との間の部位を歯底23という。また、図2において、クランクスプロケット20の回転方向は矢印で示されている。
【0019】
図1に示すように、アイドラスプロケット30は、右バンク210と左バンク220との間に配置されている。具体的には、アイドラスプロケット30は、プライマリーチェーン60の走行軌道の外側からプライマリーチェーン60に噛み合うように、右バンク210と左バンク220との間に配置されている。アイドラスプロケット30は、プライマリーチェーン60の走行軌道を規制する機能を有する。アイドラスプロケット30は、図2に示すクランクスプロケット20と同様の構成を有している。つまり、アイドラスプロケット30は、回転方向の外周に一定のピッチで連続的に配置された18個の歯21を有している。アイドラスプロケット30としては、周知のスプロケットを用いることができる。
【0020】
図1に示すように、右バンク用カムスプロケット40は、右バンク210の吸気カムシャフト(図示せず)に接続された第1右バンク吸気カムスプロケット41と、右バンク210の吸気カムシャフトに接続された第2右バンク吸気カムスプロケット42と、右バンク210の排気カムシャフト(図示せず)に接続された右バンク排気カムスプロケット43と、を含んで構成される。第1右バンク吸気カムスプロケット41、第2右バンク吸気カムスプロケット42および右バンク排気カムスプロケット43の歯数は、特に限定されない。本実施例においては、第2右バンク吸気カムスプロケット42の歯数は、クランクスプロケット20の歯数の2倍である。また、第1右バンク吸気カムスプロケット41の歯数は、第2右バンク吸気カムスプロケット42の歯数の2分の1である。また、右バンク排気カムスプロケット43の歯数は、第1右バンク吸気カムスプロケット41の歯数と同じである。つまり、本実施例においては、クランクスプロケット20が2回転(720°)すると、右バンク210の吸気カムシャフトおよび右バンク210の排気カムシャフトがそれぞれ1回転(360°)する。
【0021】
左バンク用カムスプロケット50は、左バンク220の吸気カムシャフト(図示せず)に接続された第1左バンク吸気カムスプロケット51と、左バンク220の吸気カムシャフトに接続された第2左バンク吸気カムスプロケット52と、左バンク220の排気カムシャフト(図示せず)に接続された左バンク排気カムスプロケット53と、を含んで構成される。第1左バンク吸気カムスプロケット51、第2左バンク吸気カムスプロケット52および左バンク排気カムスプロケット53の歯数は、特に限定されない。本実施例においては、第2左バンク吸気カムスプロケット52の歯数は、クランクスプロケット20の歯数の2倍である。また、第1左バンク吸気カムスプロケット51の歯数は、第2左バンク吸気カムスプロケット52の歯数の2分の1である。また、左バンク排気カムスプロケット53の歯数は、第1左バンク吸気カムスプロケット51の歯数と同じである。つまり、本実施例においては、クランクスプロケット20が2回転(720°)すると、左バンク220の吸気カムシャフトおよび左バンク220の排気カムシャフトがそれぞれ1回転(360°)する。
【0022】
プライマリーチェーン60は、クランクシャフトの回転によって生じる駆動力をカムシャフトに伝達する機能を有する、いわゆるタイミングチェーンである。プライマリーチェーン60は、複数のリンクが曲折可能に連結された無端状のリング形状をなしている。プライマリーチェーン60は、クランクスプロケット20、第2右バンク吸気カムスプロケット42、アイドラスプロケット30および第2左バンク吸気カムスプロケット52に巻き掛けられている。プライマリーチェーン60のこれらのスプロケットへの巻き掛け方は、特に限定されない。本実施例においては、プライマリーチェーン60は、クランクスプロケット20、第2右バンク吸気カムスプロケット42および第2左バンク吸気カムスプロケット52に、プライマリーチェーン60の走行軌道の内側から巻き掛けられている。また、プライマリーチェーン60は、アイドラスプロケット30に、プライマリーチェーン60の走行軌道の外側から巻き掛けられている。プライマリーチェーン60の詳細については、後述する。
【0023】
右バンク用カムチェーン70は、第1右バンク吸気カムスプロケット41および右バンク排気カムスプロケット43に巻き掛けられている。左バンク用カムチェーン80は、第1左バンク吸気カムスプロケット51および左バンク排気カムスプロケット53に巻き掛けられている。右バンク用カムチェーン70および左バンク用カムチェーン80としては、それぞれ周知のカムチェーンを用いることができる。
【0024】
図1に示すエンジン200においては、クランクシャフトの回転に伴ってクランクスプロケット20が回転する。クランクスプロケット20の回転により、プライマリーチェーン60が走行する。それにより、第2右バンク吸気カムスプロケット42、アイドラスプロケット30および第2左バンク吸気カムスプロケット52が回転する。また、第2右バンク吸気カムスプロケット42が回転することにより、右バンク210の吸気カムシャフトが回転し、右バンク210の吸気カムシャフトの回転に伴って第1右バンク吸気カムスプロケット41は回転する。第1右バンク吸気カムスプロケット41が回転することにより、右バンク用カムチェーン70が走行する。右バンク用カムチェーン70が走行することによって、右バンク排気カムスプロケット43は回転する。
【0025】
同様に、第2左バンク吸気カムスプロケット52が回転することにより、左バンク220の吸気カムシャフトが回転する。左バンク220の吸気カムシャフトの回転に伴って第1左バンク吸気カムスプロケット51が回転する。第1左バンク吸気カムスプロケット51が回転することにより、左バンク用カムチェーン80が走行する。左バンク用カムチェーン80が走行することによって、左バンク排気カムスプロケット53が回転する。
【0026】
なお、図1において、プライマリーチェーン60の走行方向としては、特に限定されない。本実施例においては、プライマリーチェーン60は、プライマリーチェーン60を構成する各リンクが、クランクスプロケット20、第2右バンク吸気カムスプロケット42、アイドラスプロケット30および第2左バンク吸気カムスプロケット52の順に通るように、走行する。図1において、プライマリーチェーン60の走行方向は、矢印で示されている。
【0027】
なお、図1において、クランクスプロケット20、アイドラスプロケット30およびプライマリーチェーン60は、本実施例に係るローラチェーン伝動装置150に相当する。また、図1において、クランクスプロケット20が駆動スプロケットに相当し、アイドラスプロケット30が駆動スプロケットに従動する従動スプロケットに相当する。
【0028】
図3(a)は、プライマリーチェーン60の一部を模式的に示す上面図である。図3(b)は、プライマリーチェーン60の一部を模式的に示す正面図である。図3(a)および図3(b)を参照して、プライマリーチェーン60の詳細について説明する。なお、図3(a)において、プライマリーチェーン60の走行方向は矢印で示されている。
【0029】
まず、プライマリーチェーン60は、内リンクと外リンクとを複数有している。また、プライマリーチェーン60は、クランクスプロケット20と噛み合うローラを有している。具体的には、プライマリーチェーン60は、クランクスプロケット20と噛み合う1対のローラを備える内リンクと、隣接する内リンク同士を、内リンクのローラ内にローラの回転軸方向から挿入されたピンで連結する外リンクと、を複数有している。なお、図3(a)および図3(b)においては、プライマリーチェーン60を構成する複数の内リンクおよび複数の外リンクのうち、3つのリンクを例示している。具体的には、図3(a)および図3(b)において、プライマリーチェーン60の走行方向前方側から順に、第1内リンク100、第1外リンク110および第2内リンク120が、例示されている。
【0030】
第1内リンク100は、軸線が所定間隔を有して平行に並ぶように配置された1対のブッシュ101,102と、ブッシュ101の外側に回転可能に被嵌されたローラ103と、ブッシュ102の外側に回転可能に被嵌されたローラ104と、ブッシュ101,102の軸線方向の両端に連結された一対の内プレート105,106と、を備える。
【0031】
第2内リンク120は、軸線が所定間隔を有して平行に並ぶように配置されて1対のブッシュ121,122と、ブッシュ121の外側に回転可能に被嵌されたローラ123と、ブッシュ122の外側に回転可能に被嵌されたローラ124と、ブッシュ121,122の軸線方向の両端に連結された一対の内プレート125,126と、を備える。
【0032】
第1外リンク110は、外プレート111,112と、ピン113,114と、を備える。外プレート111は、第1外リンク110の走行方向前方側に配置されている内プレート105および第1外リンク110の走行方向後方側に配置されている内プレート125の外側に配置されている。外プレート112は、第1外リンク110の走行方向前方側に配置されている内プレート106および第1外リンク110の走行方向後方側に配置されている内プレート126の外側に配置されている。ピン113は、外プレート111側から外プレート112側へ貫通するように(あるいは外プレート112側から外プレート111側へ貫通するように)、ブッシュ102内に挿入されている。ピン114は、外プレート111側から外プレート112側へ貫通するように(あるいは外プレート112側から外プレート111側へ貫通するように)、ブッシュ121内に挿入されている。
【0033】
なお、第1内リンク100の走行方向前方側には、他の外リンク(図示せず)が、ピン115によって連結されている。また、第2内リンク120の走行方向後方側には、他の外リンク(図示せず)が、ピン116によって連結されている。
【0034】
プライマリーチェーン60においては、ローラがクランクスプロケット20の歯21と当接することによって、プライマリーチェーン60とクランクスプロケット20とが噛み合う。また、内リンクと外リンクとはピンによって曲折可能に連結されている。それにより、プライマリーチェーン60はクランクスプロケット20の回転に伴って走行する。なお、本実施例において、プライマリーチェーン60の内プレート(内プレート105,106,125,126)および外プレート(外プレート111,112)の形状は特に限定されない。
【0035】
また、本実施例においては、プライマリーチェーン60は、ピッチの大きい大ピッチリンクと、ピッチの小さい小ピッチリンクと、を含み、大ピッチリンクまたは小ピッチリンクの少なくとも一方が周期的に配置されていることを特徴としている。例えば、本実施例においては、プライマリーチェーン60は、2つの大ピッチリンクと1つの小ピッチリンクとを備えた単位リンク群が複数連結された構成を有している。なお、リンクのピッチとは、隣接するローラの回転軸線間の距離をいう。
【0036】
例えば、図3(a)および図3(b)に示すように、第1内リンク100のピッチ(以下、第1内リンクピッチ108と称する)および第1外リンク110のピッチ(以下、第1外リンクピッチ118と称する)のピッチは、それぞれ大ピッチである。一方、第2内リンク120のピッチ(以下、第2内リンクピッチ128と称する)のピッチは、小ピッチである。また、本実施例においては、第1内リンクピッチ108と第1外リンクピッチ118とは同じ値である。つまり、第1内リンク100および第1外リンク110が大ピッチリンクに相当し、第2内リンク120が小ピッチリンクに相当する。また、第2内リンク120の走行方向後方側には、次の単位リンク群の外リンク(大ピッチリンクに相当する)、内リンク(大ピッチリンクに相当する)および外リンク(小ピッチリンクに相当する)が、順に連結されている。なお、内リンクのピッチは、内プレートの長手方向(走行方向)の寸法を調整することによって、調整される。外リンクのピッチは、外プレートの長手方向(走行方向)の寸法を調整することによって、調整される。
【0037】
続いて、大ピッチおよび小ピッチについて説明する。本実施例においては、大ピッチとしては、大ピッチリンクのプライマリーチェーン60の走行方向後方側にあるローラがスプロケットの歯底23から噛み合い始めるピッチを用いることができる。また、小ピッチとしては、小ピッチリンクのプライマリーチェーン60の走行方向後方側にあるローラがスプロケットの歯先22付近から噛み合い始めるピッチを用いることができる。
【0038】
図4(a)は、大ピッチを説明するための模式図である。図4(b)は、小ピッチを説明するための模式図である。具体的には、図4(a)は、図3(b)に示すプライマリーチェーン60のローラ104が、クランクスプロケット20の歯底23から噛み合い始めている様子を示す模式図である。また、図4(b)は、図3(b)に示すプライマリーチェーン60のローラ124が、クランクスプロケット20の歯先22付近から噛み合い始めている様子を示す模式図である。なお、図4(a)および図4(b)のプライマリーチェーン60において、ローラ103、ローラ104、ローラ123およびローラ124以外は、破線で図示されている。
【0039】
図4(a)に示すように、大ピッチリンク(第1内リンク100)の走行方向後方側にあるローラ104は、クランクスプロケット20の歯底23から噛み合い始めている。この場合、ローラ104とクランクスプロケット20との噛み合い始めにおける接触面積を大きく確保することができる。その結果、ローラ104とクランクスプロケット20との噛み合い始めにおける噛み合い強制力を小さくすることができる。なお、図4(a)において、他の大ピッチリンク(第1外リンク110)の走行方向後方側にあるローラ123も、クランクスプロケット20の歯底23から噛み合い始める。
【0040】
図4(b)に示すように、小ピッチリンク(第2内リンク120)の走行方向後方側にあるローラ124は、クランクスプロケット20の歯先22付近から噛み合い始めている。この場合、ローラ124とクランクスプロケット20との噛み合い始めにおける接触面積は小さくなる。その結果、ローラ124とクランクスプロケット20との噛み合い始めにおける噛み合い強制力を大きくすることができる。
【0041】
つまり、図4(a)および図4(b)に示すように、大ピッチとして、大ピッチリンクのプライマリーチェーン60の走行方向後方側にあるローラがクランクスプロケット20の歯底23から噛み合い始めるピッチを用いることにより、大ピッチリンクとクランクスプロケット20との噛み合い始めにおける噛み合い強制力を相対的に小さくすることができる。また、小ピッチとして、小ピッチリンクのプライマリーチェーン60の走行方向後方側にあるローラがクランクスプロケット20の歯先22付近から噛み合い始めるピッチを用いることにより、小ピッチリンクとクランクスプロケット20との噛み合い始めにおける噛み合い強制力を相対的に大きくすることができる。
【0042】
ここで、チェーン打音は、プライマリーチェーン60とクランクスプロケット20との噛み合い時、特に噛み合い始めにおける噛み合い強制力の大きさに影響される。つまり、噛み合い強制力が大きい程、チェーン打音は大きくなる。また、噛み合い強制力が小さい程、チェーン打音は小さくなる。
【0043】
したがって、本実施例に係るローラチェーン伝動装置150においては、大ピッチリンクの走行方向後方側にあるローラにより生じるチェーン打音(以下、このチェーン打音を、大ピッチリンクにより生じるチェーン打音と称する)は、相対的に小さくなる。また、小ピッチリンクの走行方向後方側にあるローラにより生じるチェーン打音(以下、このチェーン打音を、小ピッチリンクにより生じるチェーン打音と称する)は相対的に大きくなる。それにより、小ピッチリンクにより生じるチェーン打音を強調させることができる。具体的には、図3(a)、図3(b)、図4(a)および図4(b)に示すように、本実施例に係るローラチェーン伝動装置150においては、3つのリンクのうち1つのリンク(小ピッチリンク)により生じるチェーン打音を強調させることができる。
【0044】
続いて、チェーン打音と音色との関係について説明する。まず、プライマリーチェーン60のピッチが全て同じ場合を想定する。この場合、クランクシャフトが1回転すると、クランクシャフトに接続されたクランクスプロケット20は1回転する。また、クランクスプロケット20の歯数は18個であるため、クランクシャフトが1回転するときに、プライマリーチェーン60とクランクスプロケット20とは18回噛み合う。つまり、クランクスプロケット20の歯数が18枚で、プライマリーチェーン60のピッチが全て等しい場合には、クランクシャフト1回転あたり、チェーン打音は18回生じる。したがって、クランクスプロケット20の歯数が18枚で、プライマリーチェーン60のピッチが全て同じ場合には、18次音が発生する。なお、n次音とは、エンジン回転周期のn倍の周波数に相当する音をいう。例えば、エンジン回転数が1000rpm〜6000rpmとした場合、この18次音は、300Hz〜1.8kHz程度の音に相当する。この周波数は、運転者にとって、いわゆる「異音」として聞き取られる。したがって、18次音が発生した場合には、車両の運転者は、不快な感じを受けることとなる。
【0045】
この点、本実施例に係るローラチェーン伝動装置150によれば、図4(a)および図4(b)において説明したように、3つの連続するリンクのうち、1つのリンク(小ピッチリンク)によって生じるチェーン打音が強調されることとなる。つまり、18次音の3分の1の周波数に相当する音、すなわち6次音を強調させることができる。例えば、エンジン回転数が1000rpm〜6000rpmとした場合、この6次音は、100Hz〜600Hz程度の音に相当する。この周波数は、運転者にとって、「すっきりした音」として聞き取られる。つまり、18次音よりも6次音の方が、運転者にとって好ましい音である。
【0046】
なお、大ピッチとしては、平均ピッチより大きいピッチであれば、必ずしも大ピッチリンクの走行方向後方側にあるローラがクランクスプロケット20の歯底23から噛み合い始めるピッチでなくてもよい。大ピッチが平均ピッチよりも大きければ、大ピッチリンクの走行方向後方側にあるローラは、クランクスプロケット20のピッチ円直径に相当する部位よりも歯底23側から噛み合い始める。そのため、大ピッチリンクのピッチが平均ピッチである場合に比較して、大ピッチリンクにより生じるチェーン打音を相対的に小さくすることができるからである。但し、大ピッチが、大ピッチリンクの走行方向後方側にあるローラがクランクスプロケット20の歯底23から噛み合い始めるピッチである方が、大ピッチリンクにより生じるチェーン打音を特に小さくし、小ピッチリンクにより生じるチェーン打音を強調することができる点で、好ましい。
【0047】
また、小ピッチとしては、平均ピッチより小さいピッチであれば、小ピッチリンクの走行方向後方側にあるローラがクランクスプロケット20の歯先22付近から噛み合い始めるピッチでなくてもよい。小ピッチが平均ピッチよりも小さければ、小ピッチリンクの走行方向後方側にあるローラは、クランクスプロケット20のピッチ円直径に相当する部位よりも歯先22側から噛み合い始める。そのため、小ピッチリンクのピッチが平均ピッチである場合に比較して、小ピッチリンクにより生じるチェーン打音を相対的に大きくすることができるからである。但し、小ピッチが、小ピッチリンクの走行方向後方側にあるローラがクランクスプロケット20の歯先22付近から噛み合い始めるピッチである方が、小ピッチリンクにより生じるチェーン打音を特に大きくし、小ピッチリンクにより生じるチェーン打音を強調することができる点で、好ましい。
【0048】
以上説明したように、本実施例に係るローラチェーン伝動装置150によれば、プライマリーチェーン60(ローラチェーン)は、大ピッチリンクおよび小ピッチリンクの少なくとも一方が周期的に配置されている。それにより、プライマリーチェーン60がクランクスプロケット20(スプロケット)と噛み合う場合において、プライマリーチェーン60とクランクスプロケット20との噛み合い強制力を周期的に変化させることができる。その結果、所望の音を強調させることができる。
【0049】
例えば大ピッチリンクが周期的に配置されている場合には、大ピッチリンクによって生じるチェーン打音を相対的に小さくすることができる。その結果、大ピッチリンクを除くリンクによって生じるチェーン打音を強調させることができる。例えば、小ピッチリンクが周期的に配置されている場合には、小ピッチリンクによって生じるチェーン打音を相対的に大きくすることができる。それにより、小ピッチリンクにより生じるチェーン打音を強調させることができる。また、例えば、図3(a)、図3(b)、図4(a)および図4(b)に示したように、大ピッチリンクと小ピッチリンクとが周期的に配置されている場合には、大ピッチリンクにより生じるチェーン打音を相対的に小さくし、小ピッチリンクによるチェーン打音を相対的に大きくすることができることから、小ピッチリンクにより生じるチェーン打音をより強調させることができる。
【0050】
また、本実施例に係るローラチェーン伝動装置150によれば、図4(a)および図4(b)に示すように、クランクスプロケット20は18個の歯21を有し、プライマリーチェーン60は、2つの大ピッチリンクと1つの小ピッチリンクとを備える単位リンク群が複数連結されて構成されている。この構成によれば、3つのリンクのうち2つのリンク(大ピッチリンク)から生じるチェーン打音を相対的に小さくし、3つのリンクのうち1つのリンク(小ピッチリンク)から生じるチェーン打音を相対的に大きくすることができる。その結果、3つのリンクのうち1つのリンク(小ピッチリンク)から生じるチェーン打音を強調させることができる。それにより、18次音の3分の1である6次音を強調させることができる。また、この構成によれば、噛み合い強制力を低減させることができることから、ローラチェーン伝動装置150の駆動効率を向上させることができる。
【実施例2】
【0051】
続いて本発明の実施例2に係るローラチェーン伝動装置150aについて説明する。図5は、本実施例に係るローラチェーン伝動装置150aが用いられるエンジン200aの模式図である。図5に示すエンジン200aは、ローラチェン伝動装置150の代わりにローラチェーン伝動装置150aを備える点において、図1に示すエンジン200と異なる。図5に示すローラチェーン伝動装置150aは、プライマリーチェーン60の代わりにプライマリーチェーン60aを備える点と、クランクスプロケット20の代わりにクランクスプロケット20aを備える点と、アイドラスプロケット30の代わりにアイドラスプロケット30aを備える点と、において、図1に示すローラチェーン伝動装置150と異なる。その他の構成は、図1に示すローラチェーン伝動装置150と同じため、説明を省略する。
【0052】
図5に示すプライマリーチェーン60aは、大ピッチリンクおよび小ピッチリンクが周期的に配置されていない点において、図1に示すプライマリーチェーン60と異なる。つまり、本実施例に係るプライマリーチェーン60aの各リンク(内リンクおよび外リンク)のピッチは全て同じである。
【0053】
図5に示すクランクスプロケット20aおよびアイドラスプロケット30aはそれぞれ、歯21に所定の表面処理が施されている点において、図1に示すクランクスプロケット20およびアイドラスプロケット30と異なる。具体的には、図5に示すクランクスプロケット20aおよびアイドラスプロケット30aはそれぞれ、プライマリーチェーン60aに噛み合う複数の歯21を有するスプロケットであり、かつ、複数の歯21には、プライマリーチェーン60aとの噛み合い時における摩擦を低減させるための表面処理が施されている歯21が周期的に配置されていることを特徴とするものである。
【0054】
図6は、クランクスプロケット20aを示す模式図である。図6に示すように、クランクスプロケット20aは、外周に一定のピッチで連続的に配置された18個の歯21を有している。そして、クランクスプロケット20aは、複数の歯21のうち所定の歯21に表面処理が施されている。なお、図6において、表面処理が施されている歯21は、斜線で図示されている。また、アイドラスプロケット30aは、図6に示すクランクスプロケット20aと同様の構成を有する。
【0055】
なお、表面処理が施されている歯21の配置方法としては、周期的に配置されているのであれば、特に限定されない。本実施例においては、クランクスプロケット20aは、連続して配置されている3つの歯21の少なくとも1つに表面処理が施されている単位歯群25の繰り返しによって構成されている。具体的には、クランクスプロケット20aは、連続して配置されている3つの歯21のうち2つの歯21に表面処理が施されている単位歯群25の繰り返しによって構成されている。
【0056】
表面処理としては、クランクスプロケット20aとプライマリーチェーン60aとの噛み合い時における摩擦を低減できるものであれば、特に限定されない。表面処理としては、例えば、フッ素樹脂コーティング、ウレタン樹脂コーティング等の樹脂コーティングを用いることができる。
【0057】
本実施例に係るローラチェーン伝動装置150aによれば、複数の歯21の中にプライマリーチェーン60a(ローラチェーン)との噛み合い時における摩擦を低減させるための表面処理が施されている歯21が周期的に配置されている。それにより、表面処理が施されている歯21とプライマリーチェーン60aとの噛み合い強制力は、表面処理が施されている歯21を除く歯21とプライマリーチェーン60aとの噛み合い強制力に比較して小さくなる。その結果、表面処理が施されている歯21とプライマリーチェーン60aとのチェーン打音を相対的に小さくすることができることから、表面処理が施されている歯21を除く歯21とプライマリーチェーン60aとのチェーン打音を強調させることができる。したがって、本実施例に係るローラチェーン伝動装置150aによれば、所望の音を強調させることができる。
【0058】
また、本実施例に係るローラチェーン伝動装置150aによれば、クランクスプロケット20aは、連続して配置されている3つの歯21の少なくとも1つに表面処理が施されている単位歯群25の繰り返しによって構成されている。具体的には、クランクスプロケット20aは、連続して配置されている3つの歯21のうち2つの歯21に表面処理が施されている単位歯群25の繰り返しによって構成されている。この構成によれば、3つの歯21のうち2つの歯21から生じるチェーン打音を低減させることができる。その結果、3つの歯21のうち1つの歯21から生じるチェーン打音を強調させることができる。したがって、この構成によれば、18次音の3分の1の周波数に相当する音(6次音)を強調させることができる。また、この構成によれば、噛み合い強制力を低減させることができることから、ローラチェーン伝動装置150aの駆動効率を向上させることができる。
【0059】
なお、プライマリーチェーン60a(ローラチェーン)は、クランクスプロケット20a(駆動スプロケット)の表面処理が施された歯21およびアイドラスプロケット30a(従動スプロケット)の表面処理が施された歯21に同時に噛み合ってもよい。この構成によれば、プライマリーチェーン60aがクランクスプロケット20aの表面処理が施された歯21およびアイドラスプロケット30aの表面処理が施された歯21に同時に噛み合わない場合に比較して、所望の音をより強調させることができる。
【0060】
また、表面処理が施されている歯21の配置方法としては、図6に示す配置方法に限られない。例えば、クランクスプロケット20aは、連続して配置されている3つの歯21のうち1つの歯21に表面処理が施されている単位歯群25の繰り返しによって構成されていてもよい。この構成によれば、3つの歯21のうち1つの歯21から生じるチェーン打音を低減させることができる。その結果、3つの歯21のうち2つの歯21から生じるチェーン打音を強調させることができる。したがって、この構成によれば、18次音の3分の2の周波数に相当する音(12次音)を強調させることができる。また、この構成によれば、噛み合い強制力を低減させることができることから、ローラチェーン伝動装置150aの駆動効率を向上させることができる。
【0061】
また、プライマリーチェーン60a(ローラチェーン)としては、図3(a)および図3(b)に示すような実施例1に係るプライマリーチェーン60を用いてもよい。この場合、大ピッチリンクの走行方向後方側にあるローラがスプロケット(クランクスプロケット20aおよび/またはアイドラスプロケット30a)の表面処理が施された歯21に噛み合い、小ピッチリンクの走行方向後方側にあるローラがスプロケット(クランクスプロケット20aおよび/またはアイドラスプロケット30a)の表面処理が施された歯21以外の歯21に噛み合うように、プライマリーチェーン60aとスプロケット(クランクスプロケット20aおよび/またはアイドラスプロケット30a)が配置されていてもよい。この構成によれば、大ピッチリンクの走行方向後方側にあるローラとスプロケット(クランクスプロケット20aおよび/またはアイドラスプロケット30a)との噛み合い強制力を低減させることができる。また、小ピッチリンクの走行方向後方側にあるローラとスプロケット(クランクスプロケット20aおよび/またはアイドラスプロケット30a)との噛み合い強制力を増大させることができる。その結果、大ピッチリンクにより生じるチェーン打音を相対的に小さくし、小ピッチリンクにより生じるチェーン打音を強調させることができる。したがって、この構成によれば、所望の音を強調させることができる。
【0062】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係るローラチェーン伝動装置が用いられるエンジンの模式図である。
【図2】図2は、実施例1に係るクランクスプロケットを示す模式図である。
【図3】図3(a)は、実施例1に係るプライマリーチェーンの一部を模式的に示す上面図である。図3(b)は、実施例1に係るプライマリーチェーンの一部を模式的に示す正面図である。
【図4】図4(a)は、大ピッチを説明するための模式図である。図4(b)は、小ピッチを説明するための模式図である。
【図5】図5は、実施例2に係るローラチェーン伝動装置が用いられるエンジンの模式図である。
【図6】図6は、実施例2に係るクランクスプロケットを示す模式図である。
【符号の説明】
【0064】
10 エンジン本体
20 クランクスプロケット
21 歯
22 歯先
23 歯底
25 単位歯群
30 アイドラスプロケット
40 右バンク用カムスプロケット
41 第1右バンク吸気カムスプロケット
42 第2右バンク吸気カムスプロケット
43 右バンク排気カムスプロケット
50 左バンク用カムスプロケット
51 第1左バンク吸気カムスプロケット
52 第2左バンク吸気カムスプロケット
53 左バンク排気カムスプロケット
60 プライマリーチェーン
70 右バンク用カムチェーン
80 左バンク用カムチェーン
100 第1内リンク
101,102 ブッシュ
103,104 ローラ
105,106 内プレート
108 第1内リンクピッチ
110 第1外リンク
111,112 外プレート
113,114,115,116 ピン
118 第1外リンクピッチ
120 第2内リンク
121,122 ブッシュ
123,124 ローラ
125,126 内プレート
128 第2内リンクピッチ
200 エンジン
210 右バンク
220 左バンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプロケットに噛み合う複数のリンクが連結されて構成されたローラチェーンであって、
前記複数のリンクは、ピッチの大きい大ピッチリンクと、ピッチの小さい小ピッチリンクと、を含み、
前記大ピッチリンクおよび前記小ピッチリンクの少なくとも一方が周期的に配置されていることを特徴とするローラチェーン。
【請求項2】
スプロケットと、前記スプロケットに噛み合うローラチェーンと、を備えるローラチェーン伝動装置であって、
前記ローラチェーンは請求項1記載のローラチェーンであることを特徴とするローラチェーン伝動装置。
【請求項3】
前記スプロケットは18個の歯を有し、
前記ローラチェーンは、2つの前記大ピッチリンクと、1つの前記小ピッチリンクと、を備える単位リンク群が複数連結されて構成されていることを特徴とする請求項2記載のローラチェーン伝動装置。
【請求項4】
ローラチェーンに噛み合う複数の歯を有するスプロケットであって、
前記複数の歯には、前記ローラチェーンとの噛み合い時における摩擦を低減させるための表面処理が施されている歯が周期的に配置されていることを特徴とするスプロケット。
【請求項5】
ローラチェーンと、前記ローラチェーンに噛み合うスプロケットと、を備えるローラチェーン伝動装置であって、
前記スプロケットは、請求項4記載のスプロケットであることを特徴とするローラチェーン伝動装置。
【請求項6】
前記スプロケットは、駆動スプロケットと、前記駆動スプロケットに従動する従動スプロケットと、を含み、
前記ローラチェーンは、前記駆動スプロケットの前記表面処理が施された歯および前記従動スプロケットの前記表面処理が施された歯に同時に噛み合うことを特徴とする請求項5記載のローラチェーン伝動装置。
【請求項7】
前記スプロケットは、18個の歯を有し、かつ連続して配置されている3つの歯のうち少なくとも1つに前記表面処理が施されている単位歯群の繰り返しによって構成されていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のローラチェーン伝動装置。
【請求項8】
前記ローラチェーンは、請求項1記載のローラチェーンであり、かつ前記スプロケットの歯に噛み合うローラを有し、
前記大ピッチリンクの前記ローラチェーンの走行方向後方側にある前記ローラは、前記表面処理が施された歯に噛み合い、前記小ピッチリンクの前記ローラチェーンの走行方向後方側にある前記ローラは、前記表面処理が施された歯以外の歯に噛み合うことを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載のローラチェーン伝動装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−121640(P2009−121640A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298662(P2007−298662)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】