ローラハースキルンおよびローラ従動端連結部材
【課題】被処理物の搬送速度のばらつきを抑制可能なローラハースキルンおよびローラ従動端連結部材を提供することを課題とする。
【解決手段】ローラハースキルン1は、ローラアセンブリ3を有する。ローラアセンブリ3は、駆動端300と従動端301と回転軸B1と中心軸B2とを有し、被処理物90を搬送する同径状のローラ30と、駆動端300において回転軸B1に対して中心軸B2がぶれるように、駆動端300に取り付けられるローラ駆動端連結部材31と、従動端301において回転軸B1に対して中心軸B2が偏心するように、従動端301が取り付けられるローラ従動端連結部材32と、を有する。
【解決手段】ローラハースキルン1は、ローラアセンブリ3を有する。ローラアセンブリ3は、駆動端300と従動端301と回転軸B1と中心軸B2とを有し、被処理物90を搬送する同径状のローラ30と、駆動端300において回転軸B1に対して中心軸B2がぶれるように、駆動端300に取り付けられるローラ駆動端連結部材31と、従動端301において回転軸B1に対して中心軸B2が偏心するように、従動端301が取り付けられるローラ従動端連結部材32と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転するローラにより被処理物を搬送するローラハースキルン、およびローラに取り付けられるローラ従動端連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
図9(a)に、理想的な搬送状態で被処理物を搬送する従来のローラハースキルンの模式上面図を示す。図9(b)に、実際の搬送状態で被処理物を搬送する従来のローラハースキルンの模式上面図を示す。
【0003】
図9(a)、図9(b)に示すように、ローラハースキルン100は、多数のローラ101を備えている。多数のローラ101は、被処理物110の搬送方向(左右方向)に沿って並べられている。多数のローラ101は、各々、自身の軸回りに回転可能である。上流側(左側)のローラ101から下流側(右側)のローラ101に次々と被処理物110が受け継がれることにより、被処理物110は炉内を搬送される。すなわち、被処理物110は、搬入区間A100→熱処理区間A101→搬出区間A102と連なる搬送経路を、多数のローラ101により搬送される。
【0004】
ローラ101を軸回りに回転させるためには、ローラ101に駆動力を加える必要がある。並びに、ローラ101を回転可能に支持する必要がある。このため、ローラ101の軸方向(前後方向)両端は、ローラハースキルン100のハウジングから、外部に突出している。
【0005】
図10に、従来のローラハースキルンのローラの斜視図を示す。図11に、図10のX−X方向断面図を示す。なお、図10、図11においては、ローラ101と駆動端キャップ102との間に区画される隙間C100を強調して示す。図10、図11に示すように、ローラ101の駆動端(前端)は、円筒状の駆動端キャップ102に収容されている。ローラ101の従動端(後端)は、左右一対のタイヤ104により、回転可能に支持されている。ローラ101は、駆動端から従動端に亘って、同軸、同径の円筒状(直管状)を呈している。
【0006】
ローラ101は、駆動端キャップ102に対して、空回りしないように取り付けられている。駆動端キャップ102の前端には、スプロケット103が取り付けられている。スプロケット103には、チェーン(図略)を介して、モータ(図略)からの駆動力が伝達される。当該駆動力により、ローラ101は、左右一対のタイヤ104上を、軸回りに回転する。
【0007】
以下、被処理物110の配置方向について、左右方向を「行」、前後方向を「列」と称する。図9(a)、図9(b)においては、説明の便宜上、一列ごとに被処理物110にハッチングを施して示す。
【0008】
図9(a)、図9(b)に示すように、多数のローラ101には、熱処理の効率を上げるため、多数の被処理物110が、比較的密に並んだ状態で搭載されている。すなわち、多数の被処理物110は、三行に並んだ状態で搬送されている。
【0009】
被処理物110に熱処理を施すと、ローラ101も加熱される。このため、ローラ101は径方向に熱膨張する。そこで、図11に示すように、ローラ101の駆動端の外周面と、駆動端キャップ102の内周面と、の間には、ローラ101の熱膨張スペースを確保するため、隙間C100が区画されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5−215466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、隙間C100を区画すると、ローラ101が回転する際、図11に示すように、駆動端において、ローラ101の回転軸B100に対して、ローラ101の中心軸B101が、径方向にぶれてしまう。したがって、図11に一点鎖線で示すように、駆動端が、駆動端キャップ102内において、がたつきやすくなる。
【0012】
これに対して、図10に示すように、ローラ101の従動端は、左右一対のタイヤ104上に載置されているだけである。このため、従動端においては、回転軸に対して中心軸が径方向にぶれない。したがって、従動端はがたつかない。
【0013】
図12に、回転状態のローラの模式斜視図を示す。駆動端のがたつき量は、駆動端キャップ102の内周面により規制される。このため、図12に示すように、ローラ101の回転状態が、あたかも、半径R100(=駆動端キャップ102内周面の半径)の駆動端と、半径R101(=ローラ外周面の半径R)の従動端と、を有するテーパ状のローラ101が回転しているような状態になる。この場合、駆動端の周方向移動量は、従動端の周方向移動量よりも、大きくなる。したがって、図9(a)に示す理想的な搬送状態に対して、図9(b)に示す実際の搬送状態では、駆動端に近い行の被処理物110の方が、従動端に近い行の被処理物110よりも、速く搬送されることになる。よって、駆動端側の被処理物110と従動端側の被処理物110とで、熱処理時間がばらついてしまう。例えば、駆動端側の被処理物110の熱処理時間を所定の熱処理時間に合わせると、従動端側の被処理物110の熱処理時間が、長くなってしまう。
【0014】
また、図9(a)に示す理想的な搬送状態に対して、図9(b)に示す実際の搬送状態では、下流側において、同じ列に属する三つの被処理物110の列幅W100が広がってしまう。列幅W100が広がると、熱処理区間A101から搬出区間A102に被処理物110を払い出す際、列ごとに区切って被処理物110を払い出すことが困難になる。
【0015】
この点、特許文献1には、ローラの駆動端とスプロケット駆動軸部材との間に、連結パイプと自在継手とが介装されたローラハースキルンが開示されている。同文献の[0014]、[図2]に示すように、ローラの駆動端は、連結パイプの一端に挿入されている。連結パイプの他端は、自在継手を介して、スプロケット駆動軸部材に連結されている。同文献記載のローラハースキルンによると、スプロケット駆動軸部材に対する連結パイプの軸折れを許容することができる。しかしながら、連結パイプに対するローラの駆動端のがたつきを抑制することはできない。
【0016】
本発明のローラハースキルンおよびローラ従動端連結部材は、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、被処理物の搬送速度のばらつきを抑制可能なローラハースキルンおよびローラ従動端連結部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)上記課題を解決するため、本発明のローラハースキルンは、駆動力が伝達される駆動端と、該駆動端の軸方向反対側に配置される従動端と、該駆動力により軸回りに回転する際の回転中心である回転軸と、径方向中心に配置され該駆動端から該従動端まで軸方向に延在する中心軸と、を有し、被処理物を搬送する同径状のローラと、該駆動端に該駆動力を伝達し、該駆動端において該回転軸に対して該中心軸がぶれるように、該駆動端に取り付けられるローラ駆動端連結部材と、該従動端において該回転軸に対して該中心軸が偏心するように、該従動端が取り付けられるローラ従動端連結部材と、を有するローラアセンブリを備え、該ローラを回転させることにより該被処理物を搬送することを特徴とする(請求項1に対応)。ここで、「同径状」とは、駆動端から従動端に亘って、ローラの径が一定であることをいう。
【0018】
本発明のローラハースキルンは、少なくとも一つのローラアセンブリを備えている。ローラアセンブリは、ローラと、ローラ駆動端連結部材と、ローラ従動端連結部材と、を備えている。ローラ駆動端連結部材は、ローラの駆動端に、駆動力を伝達する。ローラ駆動端連結部材は、ローラの駆動端に取り付けられている。駆動端においては、回転軸に対して中心軸がぶれてしまう。すなわち、回転軸に対して中心軸が径方向に変位してしまう。
【0019】
一方、ローラ従動端連結部材は、ローラの従動端に取り付けられている。ローラに従動端連結部材を取り付けると、ローラの従動端において、回転軸に対して中心軸を偏心させることができる。すなわち、回転軸に対して中心軸を径方向にずらすことができる。このため、従動端の回転状態を、図12に示すローラ101の駆動端の回転状態に、近似させることができる。したがって、被処理物の搬送速度のばらつきを抑制することができる。
【0020】
また、ローラ従動端連結部材を、既設のローラハースキルンのローラの従動端に取り付けるだけで、被処理物の搬送速度のばらつきを抑制することができる。
【0021】
ここで、被処理物の搬送速度のばらつきを抑制するためには、ローラの駆動端において、回転軸と中心軸とを一致させることも考えられる。しかしながら、この場合、ローラの駆動端と駆動端連結部材との軸合わせ精度が要求される。
【0022】
例えば、図10、図11に示すローラ101の駆動端と駆動端キャップ102の場合、隙間C100をできるだけ小さくする必要がある。このため、高い部品精度が要求される。したがって、コスト高になる。また、特に、ローラがセラミックス製の場合、高い部品精度を確保しにくい。
【0023】
また、被処理物が加熱されるため、ローラの熱膨張を考慮すると、隙間C100は必要不可欠である。したがって、ローラの駆動端において、回転軸と中心軸とを一致させることは困難である。
【0024】
これに対して、本発明のローラハースキルンは、駆動端において回転軸と中心軸とを一致させる代わりに、従動端において回転軸と中心軸とをずらしている。このように、本発明のローラハースキルンは、被処理物の搬送速度の高速化因子(ばらつき因子)がローラの駆動端にあることを敢えて許容しながら、従動端にも搬送速度の高速化因子を付加することにより、搬送速度のばらつきを抑制するものである。
【0025】
(1−1)好ましくは、上記(1)の構成において、前記ローラはセラミックス製である構成とする方がよい。ローラが金属製の場合(この場合も勿論(1)の構成に含まれる。)は、ローラの加工性が高い。このため、搬送速度がばらつきにくいように、ローラの形状を所望のテーパ状にすることが容易である。これに対して、ローラがセラミックス製の場合、ローラの加工性が低い。このため、ローラの形状を、所望のテーパ状に形成することが困難である。このように、ローラの加工性が低い場合に、本発明のローラハースキルンのローラ従動端連結部材は、特に有効である。
【0026】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記ローラ従動端連結部材は、転動体に回転可能に支持され、前記回転軸を中心とする円弧状の外周面を有する被支持部と、該外周面の径方向内側に配置され、前記従動端が収容され、前記中心軸を中心とする円弧状の内周面を有する従動端収容室と、を備える構成とする方がよい(請求項2に対応)。本構成によると、従動端収容室に従動端を収容するだけで、従動端において、回転軸と中心軸とをずらすことができる。
【0027】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記ローラ駆動端連結部材は、前記駆動端が収容され、前記回転軸を中心とする円弧状の内周面を有する駆動端収容室を備え、該駆動端の外周面と該駆動端収容室の内周面との間には隙間が区画されている構成とする方がよい(請求項3に対応)。
【0028】
本構成によると、駆動端収容室は、回転軸を中心に回転する。しかしながら、駆動端の外周面と駆動端収容室の内周面との間には、隙間が区画されている。このため、駆動端において、回転軸に対して中心軸がぶれてしまう。この点、本発明のローラハースキルンによると、従動端において、回転軸と中心軸とをずらすことができる。このため、被処理物の搬送速度のばらつきを抑制することができる。このように、本発明のローラハースキルンは、本構成のような駆動端取付構造を有するローラハースキルンとして具現化するのに、特に好適である。
【0029】
(4)また、上記課題を解決するため、本発明のローラ従動端連結部材は、駆動力が伝達される駆動端と、該駆動端の軸方向反対側に配置される従動端と、該駆動力により軸回りに回転する際の回転中心である回転軸と、径方向中心に配置され該駆動端から該従動端まで軸方向に延在する中心軸と、を有し、該駆動端において該回転軸に対して該中心軸がぶれる同径状のローラの、該従動端に取り付けられ、該従動端において該回転軸に対して該中心軸を偏心させて保持することを特徴とする(請求項4に対応)。ここで、「同径状」とは、駆動端から従動端に亘って、ローラの径が一定であることをいう。
【0030】
本発明のローラ従動端連結部材は、上記(1)〜(3)の構成とは別に、ローラハースキルン以外の機器に用いることができる。本発明のローラ従動端連結部材によると、上記(1)に記載したように、従動端の回転状態を駆動端の回転状態に近似させることができる。したがって、被搬送物の搬送速度のばらつきを抑制することができる。また、本発明のローラ従動端連結部材を、既設のローラコンベアのローラの従動端に取り付けるだけで、被搬送物の搬送速度のばらつきを抑制することができる。
【0031】
(4−1)好ましくは、上記(4)の構成において、前記ローラはセラミックス製である構成とする方がよい。ローラが金属製の場合(この場合も勿論(4)の構成に含まれる。)は、ローラの加工性が高い。このため、搬送速度がばらつきにくいように、ローラの形状を、所望のテーパ状にすることが容易である。これに対して、ローラがセラミックス製の場合、ローラの加工性が低い。このため、ローラの形状を、所望のテーパ状に形成することが困難である。このように、ローラの加工性が低い場合に、本発明のローラハースキルンのローラ従動端連結部材は、特に有効である。
【0032】
(5)好ましくは、上記(4)の構成において、転動体に回転可能に支持され、前記回転軸を中心とする円弧状の外周面を有する被支持部と、該外周面の径方向内側に配置され、前記従動端が収容され、前記中心軸を中心とする円弧状の内周面を有する従動端収容室と、を備える構成とする方がよい(請求項5に対応)。本構成によると、従動端収容室に従動端を収容するだけで、従動端において、回転軸と中心軸とをずらすことができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によると、被処理物の搬送速度のばらつきを抑制することが可能なローラハースキルンおよびローラ従動端連結部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第一実施形態のローラハースキルンの長手方向一部の斜視図である。
【図2】図1のII−II方向断面図である。
【図3】図2の枠III内の拡大図である。
【図4】同ローラハースキルンのローラアセンブリの後端付近の拡大斜視図である。
【図5】(a)は図4のV−V方向断面図である。(b)は、ローラが180°回転した場合の図4のV−V方向断面図である。
【図6】同ローラハースキルンの模式上面図である。
【図7】同ローラハースキルンの回転状態のローラの模式斜視図である。
【図8】第二実施形態のローラハースキルンのローラアセンブリの後端付近の拡大斜視図である。
【図9】(a)は理想的な搬送状態で被処理物を搬送する従来のローラハースキルンの模式上面図である。(b)は実際の搬送状態で被処理物を搬送する従来のローラハースキルンの模式上面図である。
【図10】従来のローラハースキルンのローラの斜視図である。
【図11】図10のX−X方向断面図である。
【図12】従来のローラハースキルンの回転状態のローラの模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明のローラハースキルンの実施の形態について説明する。なお、以下の説明は、本発明のローラ従動端連結部材の説明を兼ねるものである。
【0036】
<第一実施形態>
[ローラハースキルンの構成]
まず、本実施形態のローラハースキルンの構成について説明する。図1に、本実施形態のローラハースキルンの長手方向(左右方向)一部の斜視図を示す。図2に、図1のII−II方向断面図を示す。
【0037】
図1、図2に示すように、ローラハースキルン1は、ハウジング2と、多数のローラアセンブリ3と、多数のヒータ4と、を備えている。なお、ローラハースキルン1の左側が、上流側(搬入側)に相当する。また、ローラハースキルン1の右側が、下流側(搬出側)に相当する。
【0038】
(ハウジング2)
ハウジング2は、ハウジング本体20と、熱処理室21と、多数のローラ挿通孔22と、多数のヒータ挿通孔23と、駆動側ブラケット24と、従動側ブラケット25と、を備えている。
【0039】
ハウジング本体20は、外壁200と、断熱材201と、を備えている。外壁200は、ステンレス鋼(SUS)製であって、薄肉の角筒状を呈している。外壁200は、左右方向に延在している。断熱材201は、セラミックファイバー製あるいは耐火煉瓦製であって、厚肉の角筒状を呈している。断熱材201は、外壁200の内側に配置されている。熱処理室21は、断熱材201の内側に区画されている。
【0040】
多数のローラ挿通孔22は、ハウジング本体20の前後両壁の、上下方向中央付近に配置されている。ローラ挿通孔22は、熱処理室21とハウジング本体20の外部とを連通している。多数のローラ挿通孔22は、左右方向に所定間隔ずつ離間して、配置されている。前壁のローラ挿通孔22と後壁のローラ挿通孔22とは、前後方向に対向している。
【0041】
多数のヒータ挿通孔23は、ハウジング本体20の前後両壁において、ローラ挿通孔22を挟んで、上下二段に配置されている。ヒータ挿通孔23は、熱処理室21とハウジング本体20の外部とを連通している。多数のヒータ挿通孔23は、左右方向に所定間隔ずつ離間して、配置されている。また、前壁のヒータ挿通孔23と後壁のヒータ挿通孔23とは、前後方向に対向している。
【0042】
駆動側ブラケット24は、SUS製であって、L字状を呈している。駆動側ブラケット24は、ハウジング本体20の前壁に配置されている。駆動側ブラケット24は、多数の軸受部240を備えている。多数の軸受部240は、駆動側ブラケット24の立壁部の前面に配置されている。多数の軸受部240は、左右方向に所定間隔ずつ離間して、配置されている。
【0043】
従動側ブラケット25は、SUS製であって、L字状を呈している。従動側ブラケット25は、ハウジング本体20の後壁に配置されている。従動側ブラケット25は、多数のタイヤ250を備えている。タイヤ250は、本発明の転動体に含まれる。多数のタイヤ250は、従動側ブラケット25の立壁部の後面に配置されている。多数のタイヤ250は、左右方向に所定間隔ずつ離間して、配置されている。
【0044】
(ヒータ4)
ヒータ4は、電熱ヒータである。ヒータ4は、炭化ケイ素(SiC)製であって、前後方向に延びる円筒状を呈している。ヒータ4は、左右方向に並んで、熱処理室21に、多数配置されている。多数のヒータ4は、後述するローラ30を挟んで、上下二段に配置されている。ヒータ4の前後方向両端は、各々、ヒータ挿通孔23を介して、熱処理室21からハウジング本体20の外部に突出している。ヒータ4は、外部の電源(図略)に、電気的に接続されている。
【0045】
(ローラアセンブリ3)
ローラアセンブリ3は、ローラ30と、駆動端キャップ31と、従動端キャップ32と、を備えている。駆動端キャップ31は、本発明のローラ駆動端連結部材に含まれる。従動端キャップ32は、本発明のローラ従動端連結部材に含まれる。
【0046】
ローラ30は、ムライト製であって、軸方向全長に亘って同径の、円筒状を呈している。ローラ30は、前後方向に延在している。ローラ30は、左右方向に並んで、熱処理室21に多数配置されている。ローラ30の前端および後端は、各々、ローラ挿通孔22を介して、熱処理室21からハウジング本体20の外部に突出している。ローラ30の前端は、本発明の駆動端に含まれる。ローラ30の後端は、本発明の従動端に含まれる。
【0047】
図3に、図2の枠III内の拡大図を示す。図3に示すように、駆動端キャップ31は、ローラ30の前端300に取り付けられている。駆動端キャップ31は、キャップ本体310と、一対のばね部材311と、駆動端収容室312と、駆動軸部材収容室313と、を備えている。
【0048】
キャップ本体310は、円筒状を呈している。キャップ本体310の外周面には、一対の凹部310aと、一対のばね部材挿通孔310bと、が配置されている。一対の凹部310aは、キャップ本体310の前端付近に配置されている。凹部310aは、外周面に凹設されている。一対の凹部310aは、180°対向して配置されている。一対のばね部材挿通孔310bは、キャップ本体310の後端付近に配置されている。ばね部材挿通孔310bは、キャップ本体310を径方向に貫通している。一対のばね部材挿通孔310bは、180°対向して配置されている。一対のばね部材挿通孔310bの径方向内側には、前端300に穿設された、一対のばね部材挿通孔300bが連なっている。凹部310aとばね部材挿通孔310bとは、前後方向に並んでいる。
【0049】
駆動端収容室312は、キャップ本体310の径方向内側に配置されている。駆動端収容室312は、キャップ本体310の後方部分に配置されている。駆動端収容室312には、ローラ30の前端300が収容されている。駆動端収容室312は、ローラ30の回転軸B1(回転軸B1は、駆動端キャップ31と従動端キャップ32とにより決定される。)を中心とする円弧状の内周面を有している。駆動端収容室312の内周面の半径は、ローラ30の外周面の半径よりも、大きい。このため、前端300の外周面と駆動端収容室312の内周面との間には、隙間が区画されている。当該隙間は、前端300の径方向の熱膨張スペースである。
【0050】
駆動軸部材収容室313は、キャップ本体310の径方向内側に配置されている。駆動軸部材収容室313は、駆動端収容室312の前方に連なっている。駆動軸部材収容室313には、駆動軸部材91の後端が収容されている。キャップ本体310と駆動軸部材91とは、空回りしないように、連結されている。図2に示すように、駆動軸部材91は、軸受部240に、回転可能に支持されている。駆動軸部材91の前端には、スプロケット92が固定されている。スプロケット92には、図示しないチェーンを介して、モータの駆動力が伝達される。当該駆動力により、ローラアセンブリ3は、図3に示す回転軸B1の軸回りに、回転可能である。
【0051】
ばね部材311は、ばね鋼製であって板状を呈している。ばね部材311は、固定端311aと自由端311bとを備えている。固定端311aは、ばね部材311の前端に配置されている。固定端311aは、キャップ本体310の凹部310aに、収容されている。固定端311aは、スクリュー93により、凹部310aに固定されている。自由端311bは、径方向内側に向かって尖る、V字状を呈している。自由端311bは、ばね部材311の後端に配置されている。ばね部材311は、固定端311aを支点として弾性変形可能である。このため、図3に両端矢印で示すように、自由端311bは、キャップ本体310のばね部材挿通孔310bを介して、前端300のばね部材挿通孔300bに、係脱可能である。自由端311bがばね部材挿通孔300bに係合することにより、キャップ本体310とローラ30とは、空回りしないように、連結されている。
【0052】
ローラ30に駆動端キャップ31を取り付ける場合は、相対的に後方から前端300を駆動端収容室312に挿入する。前端300の端面に押されて、ばね部材311の自由端311bは、付勢力を蓄積しながら、径方向外側に逃げる。前端300の端面が駆動端収容室312の底面に到達すると、自由端311bの径方向内側に、ばね部材挿通孔300bが到達する。このため、自由端311bは、付勢力を解放しながら、ばね部材挿通孔300bに進入する。このように、ワンタッチでローラ30に駆動端キャップ31を取り付けることができる。
【0053】
図4に、本実施形態のローラハースキルンのローラアセンブリの後端付近の拡大斜視図を示す。図5(a)に、図4のV−V方向断面図を示す。図5(b)に、ローラが180°回転した場合の図4のV−V方向断面図を示す。図4、図5(a)、図5(b)に示すように、従動端キャップ32は、ローラ30の後端301に取り付けられている。従動端キャップ32は、キャップ本体320と、従動端収容室322と、被支持部323と、ピン324と、を備えている。
【0054】
キャップ本体320は、SUS製であって、前方に向かって開口する段付きカップ状(有底円筒状)を呈している。従動端収容室322は、キャップ本体320の径方向内側に配置されている。従動端収容室322には、ローラ30の後端301が収容されている。従動端収容室322は、ローラ30の中心軸B2を中心とする円弧状の内周面を有している。被支持部323は、キャップ本体320の前方部分に配置されている。被支持部323は、ローラ30の回転軸B1を中心とする円弧状の外周面を有している。被支持部323は、従動側ブラケット25の左右一対のタイヤ250上に、回転可能に支持されている。
【0055】
キャップ本体320の前後方向略中央部分には、180°対向して、ピン挿通孔320aが穿設されている。また、ローラ30の後端301には、180°対向して、ピン挿通孔301aが穿設されている。ピン324は、これらピン挿通孔320a、301aを、径方向に貫通している。ピン324により、キャップ本体320とローラ30とは、空回りしないように、連結されている。
【0056】
[ローラハースキルンの動き]
次に、本実施形態のローラハースキルンの動きについて説明する。図6に、本実施形態のローラハースキルンの模式上面図を示す。以下、被処理物90の配置方向について、左右方向を「行」、前後方向を「列」と称する。図6においては、説明の便宜上、一列ごとに被処理物90にハッチングを施して示す。
【0057】
図6に示すように、多数のローラ30には、熱処理の効率を上げるため、多数の被処理物90(上方に開口する箱状のケースに入れられた粉体)が、比較的密に並んだ状態で搭載されている。すなわち、多数の被処理物90は、三行に並んだ状態で搬送されている。被処理物90は、回転する多数のローラ30により、搬入区間A1→熱処理区間A2→搬出区間A3と連なる搬送経路を搬送される。熱処理区間A2には、図1に示す熱処理室21が配置されている。搬送中の被処理物90には、上下二段の多数のヒータ4により、所定の温度パターンで熱処理が施される。
【0058】
図7に、回転状態のローラの模式斜視図を示す。前端300のがたつき量は、図3に示す駆動端収容室312の内周面により規制される。このため、図7に示すように、前端300の外周面の回転半径R1(がたつき量が最大の場合の回転半径)は、駆動端収容室312の内周面の半径に一致する。前端300の外周面の回転半径R1は、ローラ30の外周面の半径R3よりも、大きくなる。
【0059】
一方、後端301の偏心量は、図5(a)、図5(b)に示す回転軸B1に対する中心軸B2のずれ量L1により決定される。図7に示すように、後端301の外周面の回転半径R2は、ローラ30の外周面の半径R3よりも大きくなる。
【0060】
また、ローラ30の前後方向中央部分の外周面の回転半径R4は、前端300および後端301の回転状態により決定される。前端300ががたつきながら、後端301が偏心しながら、それぞれ回転するため、外周面の回転半径R4は、ローラ30の外周面の半径R3よりも大きくなる。
【0061】
このように、ローラ30の回転状態は、あたかも、回転半径R1の前端300と、回転半径R2の後端301と、を有する両テーパ状(軸方向両端から軸方向中央に向かって縮径するテーパ状)のローラ30が回転しているような状態になる。このため、前端300の周方向移動量と、後端301の周方向移動量と、前後方向中央部分の周方向移動量と、の差が小さくなる。
【0062】
[作用効果]
次に、本実施形態のローラハースキルンの作用効果について説明する。本実施形態のローラハースキルン1によると、図5(a)、図5(b)に示すように、後端301において、回転軸B1に対して中心軸B2を偏心させることができる。このため、後端301の回転状態を、前端300の回転状態に近似させることができる。したがって、図6に示すように、最前行の被処理物90の搬送速度と、最後行の被処理物90の搬送速度と、を近似させることができる。
【0063】
また、本実施形態のローラハースキルン1によると、図7に示すように、ローラ30の前後方向中央部分の外周面の回転半径R4は、ローラ30の外周面の半径R3よりも大きい。このため、ローラ30の前後方向中央部分の回転状態を、前端300および後端301の回転状態に近づけることができる。したがって、図6に示すように、中央行の被処理物90の搬送速度を、最前行および最後行の被処理物90の搬送速度に、近づけることができる。よって、図6と図9(b)とを比較して判るように、被処理物90の搬送速度のばらつきを抑制することができる。また、同じ列に属する三つの被処理物90の熱処理時間のばらつきを、抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態のローラハースキルン1によると、図7に点線ハッチングで示すように、前端300と後端301とが同期した状態(回転角度が一致した状態)で、ローラ30が回転する場合もある。この場合、さらにローラ30の前後方向中央部分の回転状態を、前端300および後端301の回転状態に近づけることができる。
【0065】
また、本実施形態のローラハースキルン1によると、図6と図9(b)とを比較して判るように、下流側において、同じ列に属する三つの被処理物90の列幅W1が広がりにくい。したがって、熱処理区間A2から搬出区間A3に被処理物90を払い出す際、列ごとに区切って被処理物90を払い出しやすい。
【0066】
また、従動端キャップ32を、既設のローラハースキルン1のローラ30の後端301に取り付けるだけで、被処理物90の搬送速度のばらつきを抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態のローラハースキルン1によると、ローラ30の前端300において、回転軸B1と中心軸B2とを一致させる場合と比較して、前端300と駆動端キャップ31との軸合わせ精度が要求されない。このため、製造コストが低い。また、前端300の外周面と、駆動端収容室312の内周面と、の間に隙間を確保することができる。このため、ローラ30の熱膨張に対応することができる。
【0068】
また、本実施形態の従動端キャップ32によると、図5(a)、図5(b)に示すように、従動端収容室322に後端301を収容するだけで、後端301において、回転軸B1と中心軸B2とをずらすことができる。
【0069】
また、本実施形態のローラハースキルン1によると、図3に示すように、ワンタッチでローラ30に駆動端キャップ31を取り付けることができる。このため、取り付け作業が簡単である。
【0070】
なお、ローラ30の後端301と被支持部323の外周面とが同心状の場合でも、後端301の外周面と従動端収容室322の内周面との間に隙間を確保すれば、前端300同様に、後端301をがたつかせることができる。しかしながら、この場合、後端301のがたつき量のチューニングが困難である。また、前端300および後端301が、共に不規則に回転するため、搬送状態が不安定になる。これに対して、本実施形態のローラハースキルン1によると、後端301の回転軌跡が一定である。すなわち、後端301が規則的に回転する。このため、搬送状態が不安定になりにくい。
【0071】
また、ローラ30が金属製の場合は、ローラ30の加工性が高い。このため、搬送速度がばらつきにくいように、ローラ30の形状を、図7に示すような両テーパ状にすることが容易である。ところが、熱処理室21の雰囲気や、被処理物90の特性(例えばコンタミネーションを嫌うなど)によっては、金属製のローラ30が使えない場合がある。この場合、ムライトやSiCなど、セラミックス製のローラ30が用いられる。ローラ30がセラミックス製の場合、ローラ30の加工性が低い。このため、ローラ30の形状を、両テーパ状に形成することが困難である。このように、ローラ30の加工性が低い場合に、本実施形態のローラハースキルン1の従動端キャップ32は、特に有効である。
【0072】
<第二実施形態>
本実施形態のローラハースキルンと、第一実施形態のローラハースキルンと、の相違点は、従動端キャップが従動軸に連なっている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0073】
図8に、本実施形態のローラハースキルンのローラアセンブリの後端付近の拡大斜視図を示す。なお、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。図8に示すように、キャップ本体320の後端には、従動軸部材95が固定されている。従動軸部材95は、軸受部(図略)により、軸回りに回転可能に支持されている。従動軸部材95の中心軸B3は、キャップ本体320の中心軸B4(=ローラ30の後端301の中心軸)に対して、偏心している。中心軸B3は、ローラ30の回転軸に一致している。
【0074】
本実施形態のローラハースキルンは、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態のローラハースキルンと同様の作用効果を有する。また、本実施形態のローラハースキルンによると、図4に示すタイヤ250および被支持部323が不要である。このため、キャップ本体320の外周面の面形状が簡単になる。また、同心有底円筒状のキャップ本体320に対する従動軸部材95の径方向位置を変えるだけで、後端301の偏心量を調整することができる。
【0075】
<その他>
以上、本発明のローラハースキルンの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0076】
上記実施形態においては、従動端キャップ32をローラハースキルン1のローラ30に取り付けたが、一般のローラコンベアのローラに取り付けてもよい。この場合、被搬送物が加熱されなくてもよい。
【0077】
また、ローラ30の外周面の径方向断面は、円形でなくてもよい。三角形、四角形などの多角形でもよい。ローラ30の外周面が、軸方向全長に亘って同径であればよい。また、ローラ30は、中空状でも中実状でもよい。また、駆動側ブラケット24、従動側ブラケット25の形状は、L字状でなくてもよい。
【0078】
また、外壁200、駆動側ブラケット24、従動側ブラケット25、ローラ30、ヒータ4など、各部材の材質も特に限定しない。例えば、外壁200をアルミニウム、鉄などの金属、あるいはカーボンなどにより形成してもよい。また、ローラ30を、SiC製、アルミナ製としてもよい。また、ローラ30、ヒータ4を、金属製(例えば、SUS製、インコネル製、ハステロイ製)としてもよい。
【0079】
また、被処理物90の処理に応じて、適宜、熱処理室21に、窒素ガス、アルゴンガス、一酸化炭素ガスなどの雰囲気ガスを供給してもよい。また、ヒータ4の代わりに、あるいはヒータ4と共に、マイクロ波、バーナーなどを用いて被処理物90を加熱してもよい。
【0080】
雰囲気ガスやマイクロ波やバーナーを用いる場合は、図6に示す熱処理区間A2と搬出区間A3との間に、開閉扉が必要になる。このため、列ごとに被処理物90を払い出す必要性が高くなる。このような場合に、本発明のローラハースキルン1は特に適している。
【0081】
また、上記実施形態においては、全てのローラ30の後端301に従動端キャップ32を取り付けたが、一部のローラ30だけに従動端キャップ32を取り付けてもよい。すなわち、従動端キャップ32の配置数は、被処理物90の搬送速度のばらつきの程度(例えば、図6に示す同じ列に属する三つの被処理物90の列幅W1)に応じて、増減すればよい。こうすると、全てのローラ30の後端301に従動端キャップ32を取り付ける場合と比較して、ローラハースキルン1の設備コストが低くなる。
【0082】
また、図7に示すように、従動端キャップ32において、回転軸B1に対する中心軸B2の偏心量を大きく設定すれば、後端301の外周面の回転半径R2が大きくなる。このため、偏心量を大きく設定することにより、従動端キャップ32の配置数を減らすことができる。
【0083】
なお、図12に示す従来のローラ101と、図7に示す上記実施形態のローラ30とでは、回転時の動き(特に後端301付近の動き)が異なる。このため、従来のローラ101(上流側)から上記実施形態のローラ30(下流側)に被処理物90が受け渡される際、後端301付近の被処理物90は、あたかもローラ30に乗り上げるように移動する。この際、ローラ30の後端301付近に、被処理物90の重量が集中しやすくなる。この場合は、タイヤ250の取付位置を上下方向に適宜調整することにより、ローラ30の後端301付近に被処理物90の重量が集中するのを、抑制することができる。
【符号の説明】
【0084】
1:ローラハースキルン、2:ハウジング、3:ローラアセンブリ、4:ヒータ。
20:ハウジング本体、21:熱処理室、22:ローラ挿通孔、23:ヒータ挿通孔、24:駆動側ブラケット、25:従動側ブラケット、30:ローラ、31:駆動端キャップ(ローラ駆動端連結部材)、32:従動端キャップ(ローラ従動端連結部材)、90:被処理物、91:駆動軸部材、92:スプロケット、93:スクリュー、95:従動軸部材。
200:外壁、201:断熱材、240:軸受部、250:タイヤ(転動体)、300:前端(駆動端)、300b:ばね部材挿通孔、301:後端(従動端)、301a:ピン挿通孔、310:キャップ本体、310a:凹部、310b:ばね部材挿通孔、311:ばね部材、311a:固定端、311b:自由端、312:駆動端収容室、313:駆動軸部材収容室、320:キャップ本体、320a:ピン挿通孔、322:従動端収容室、323:被支持部、324:ピン。
A1:搬入区間、A2:熱処理区間、A3:搬出区間、B1:回転軸、B2:中心軸。
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転するローラにより被処理物を搬送するローラハースキルン、およびローラに取り付けられるローラ従動端連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
図9(a)に、理想的な搬送状態で被処理物を搬送する従来のローラハースキルンの模式上面図を示す。図9(b)に、実際の搬送状態で被処理物を搬送する従来のローラハースキルンの模式上面図を示す。
【0003】
図9(a)、図9(b)に示すように、ローラハースキルン100は、多数のローラ101を備えている。多数のローラ101は、被処理物110の搬送方向(左右方向)に沿って並べられている。多数のローラ101は、各々、自身の軸回りに回転可能である。上流側(左側)のローラ101から下流側(右側)のローラ101に次々と被処理物110が受け継がれることにより、被処理物110は炉内を搬送される。すなわち、被処理物110は、搬入区間A100→熱処理区間A101→搬出区間A102と連なる搬送経路を、多数のローラ101により搬送される。
【0004】
ローラ101を軸回りに回転させるためには、ローラ101に駆動力を加える必要がある。並びに、ローラ101を回転可能に支持する必要がある。このため、ローラ101の軸方向(前後方向)両端は、ローラハースキルン100のハウジングから、外部に突出している。
【0005】
図10に、従来のローラハースキルンのローラの斜視図を示す。図11に、図10のX−X方向断面図を示す。なお、図10、図11においては、ローラ101と駆動端キャップ102との間に区画される隙間C100を強調して示す。図10、図11に示すように、ローラ101の駆動端(前端)は、円筒状の駆動端キャップ102に収容されている。ローラ101の従動端(後端)は、左右一対のタイヤ104により、回転可能に支持されている。ローラ101は、駆動端から従動端に亘って、同軸、同径の円筒状(直管状)を呈している。
【0006】
ローラ101は、駆動端キャップ102に対して、空回りしないように取り付けられている。駆動端キャップ102の前端には、スプロケット103が取り付けられている。スプロケット103には、チェーン(図略)を介して、モータ(図略)からの駆動力が伝達される。当該駆動力により、ローラ101は、左右一対のタイヤ104上を、軸回りに回転する。
【0007】
以下、被処理物110の配置方向について、左右方向を「行」、前後方向を「列」と称する。図9(a)、図9(b)においては、説明の便宜上、一列ごとに被処理物110にハッチングを施して示す。
【0008】
図9(a)、図9(b)に示すように、多数のローラ101には、熱処理の効率を上げるため、多数の被処理物110が、比較的密に並んだ状態で搭載されている。すなわち、多数の被処理物110は、三行に並んだ状態で搬送されている。
【0009】
被処理物110に熱処理を施すと、ローラ101も加熱される。このため、ローラ101は径方向に熱膨張する。そこで、図11に示すように、ローラ101の駆動端の外周面と、駆動端キャップ102の内周面と、の間には、ローラ101の熱膨張スペースを確保するため、隙間C100が区画されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5−215466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、隙間C100を区画すると、ローラ101が回転する際、図11に示すように、駆動端において、ローラ101の回転軸B100に対して、ローラ101の中心軸B101が、径方向にぶれてしまう。したがって、図11に一点鎖線で示すように、駆動端が、駆動端キャップ102内において、がたつきやすくなる。
【0012】
これに対して、図10に示すように、ローラ101の従動端は、左右一対のタイヤ104上に載置されているだけである。このため、従動端においては、回転軸に対して中心軸が径方向にぶれない。したがって、従動端はがたつかない。
【0013】
図12に、回転状態のローラの模式斜視図を示す。駆動端のがたつき量は、駆動端キャップ102の内周面により規制される。このため、図12に示すように、ローラ101の回転状態が、あたかも、半径R100(=駆動端キャップ102内周面の半径)の駆動端と、半径R101(=ローラ外周面の半径R)の従動端と、を有するテーパ状のローラ101が回転しているような状態になる。この場合、駆動端の周方向移動量は、従動端の周方向移動量よりも、大きくなる。したがって、図9(a)に示す理想的な搬送状態に対して、図9(b)に示す実際の搬送状態では、駆動端に近い行の被処理物110の方が、従動端に近い行の被処理物110よりも、速く搬送されることになる。よって、駆動端側の被処理物110と従動端側の被処理物110とで、熱処理時間がばらついてしまう。例えば、駆動端側の被処理物110の熱処理時間を所定の熱処理時間に合わせると、従動端側の被処理物110の熱処理時間が、長くなってしまう。
【0014】
また、図9(a)に示す理想的な搬送状態に対して、図9(b)に示す実際の搬送状態では、下流側において、同じ列に属する三つの被処理物110の列幅W100が広がってしまう。列幅W100が広がると、熱処理区間A101から搬出区間A102に被処理物110を払い出す際、列ごとに区切って被処理物110を払い出すことが困難になる。
【0015】
この点、特許文献1には、ローラの駆動端とスプロケット駆動軸部材との間に、連結パイプと自在継手とが介装されたローラハースキルンが開示されている。同文献の[0014]、[図2]に示すように、ローラの駆動端は、連結パイプの一端に挿入されている。連結パイプの他端は、自在継手を介して、スプロケット駆動軸部材に連結されている。同文献記載のローラハースキルンによると、スプロケット駆動軸部材に対する連結パイプの軸折れを許容することができる。しかしながら、連結パイプに対するローラの駆動端のがたつきを抑制することはできない。
【0016】
本発明のローラハースキルンおよびローラ従動端連結部材は、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、被処理物の搬送速度のばらつきを抑制可能なローラハースキルンおよびローラ従動端連結部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)上記課題を解決するため、本発明のローラハースキルンは、駆動力が伝達される駆動端と、該駆動端の軸方向反対側に配置される従動端と、該駆動力により軸回りに回転する際の回転中心である回転軸と、径方向中心に配置され該駆動端から該従動端まで軸方向に延在する中心軸と、を有し、被処理物を搬送する同径状のローラと、該駆動端に該駆動力を伝達し、該駆動端において該回転軸に対して該中心軸がぶれるように、該駆動端に取り付けられるローラ駆動端連結部材と、該従動端において該回転軸に対して該中心軸が偏心するように、該従動端が取り付けられるローラ従動端連結部材と、を有するローラアセンブリを備え、該ローラを回転させることにより該被処理物を搬送することを特徴とする(請求項1に対応)。ここで、「同径状」とは、駆動端から従動端に亘って、ローラの径が一定であることをいう。
【0018】
本発明のローラハースキルンは、少なくとも一つのローラアセンブリを備えている。ローラアセンブリは、ローラと、ローラ駆動端連結部材と、ローラ従動端連結部材と、を備えている。ローラ駆動端連結部材は、ローラの駆動端に、駆動力を伝達する。ローラ駆動端連結部材は、ローラの駆動端に取り付けられている。駆動端においては、回転軸に対して中心軸がぶれてしまう。すなわち、回転軸に対して中心軸が径方向に変位してしまう。
【0019】
一方、ローラ従動端連結部材は、ローラの従動端に取り付けられている。ローラに従動端連結部材を取り付けると、ローラの従動端において、回転軸に対して中心軸を偏心させることができる。すなわち、回転軸に対して中心軸を径方向にずらすことができる。このため、従動端の回転状態を、図12に示すローラ101の駆動端の回転状態に、近似させることができる。したがって、被処理物の搬送速度のばらつきを抑制することができる。
【0020】
また、ローラ従動端連結部材を、既設のローラハースキルンのローラの従動端に取り付けるだけで、被処理物の搬送速度のばらつきを抑制することができる。
【0021】
ここで、被処理物の搬送速度のばらつきを抑制するためには、ローラの駆動端において、回転軸と中心軸とを一致させることも考えられる。しかしながら、この場合、ローラの駆動端と駆動端連結部材との軸合わせ精度が要求される。
【0022】
例えば、図10、図11に示すローラ101の駆動端と駆動端キャップ102の場合、隙間C100をできるだけ小さくする必要がある。このため、高い部品精度が要求される。したがって、コスト高になる。また、特に、ローラがセラミックス製の場合、高い部品精度を確保しにくい。
【0023】
また、被処理物が加熱されるため、ローラの熱膨張を考慮すると、隙間C100は必要不可欠である。したがって、ローラの駆動端において、回転軸と中心軸とを一致させることは困難である。
【0024】
これに対して、本発明のローラハースキルンは、駆動端において回転軸と中心軸とを一致させる代わりに、従動端において回転軸と中心軸とをずらしている。このように、本発明のローラハースキルンは、被処理物の搬送速度の高速化因子(ばらつき因子)がローラの駆動端にあることを敢えて許容しながら、従動端にも搬送速度の高速化因子を付加することにより、搬送速度のばらつきを抑制するものである。
【0025】
(1−1)好ましくは、上記(1)の構成において、前記ローラはセラミックス製である構成とする方がよい。ローラが金属製の場合(この場合も勿論(1)の構成に含まれる。)は、ローラの加工性が高い。このため、搬送速度がばらつきにくいように、ローラの形状を所望のテーパ状にすることが容易である。これに対して、ローラがセラミックス製の場合、ローラの加工性が低い。このため、ローラの形状を、所望のテーパ状に形成することが困難である。このように、ローラの加工性が低い場合に、本発明のローラハースキルンのローラ従動端連結部材は、特に有効である。
【0026】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記ローラ従動端連結部材は、転動体に回転可能に支持され、前記回転軸を中心とする円弧状の外周面を有する被支持部と、該外周面の径方向内側に配置され、前記従動端が収容され、前記中心軸を中心とする円弧状の内周面を有する従動端収容室と、を備える構成とする方がよい(請求項2に対応)。本構成によると、従動端収容室に従動端を収容するだけで、従動端において、回転軸と中心軸とをずらすことができる。
【0027】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記ローラ駆動端連結部材は、前記駆動端が収容され、前記回転軸を中心とする円弧状の内周面を有する駆動端収容室を備え、該駆動端の外周面と該駆動端収容室の内周面との間には隙間が区画されている構成とする方がよい(請求項3に対応)。
【0028】
本構成によると、駆動端収容室は、回転軸を中心に回転する。しかしながら、駆動端の外周面と駆動端収容室の内周面との間には、隙間が区画されている。このため、駆動端において、回転軸に対して中心軸がぶれてしまう。この点、本発明のローラハースキルンによると、従動端において、回転軸と中心軸とをずらすことができる。このため、被処理物の搬送速度のばらつきを抑制することができる。このように、本発明のローラハースキルンは、本構成のような駆動端取付構造を有するローラハースキルンとして具現化するのに、特に好適である。
【0029】
(4)また、上記課題を解決するため、本発明のローラ従動端連結部材は、駆動力が伝達される駆動端と、該駆動端の軸方向反対側に配置される従動端と、該駆動力により軸回りに回転する際の回転中心である回転軸と、径方向中心に配置され該駆動端から該従動端まで軸方向に延在する中心軸と、を有し、該駆動端において該回転軸に対して該中心軸がぶれる同径状のローラの、該従動端に取り付けられ、該従動端において該回転軸に対して該中心軸を偏心させて保持することを特徴とする(請求項4に対応)。ここで、「同径状」とは、駆動端から従動端に亘って、ローラの径が一定であることをいう。
【0030】
本発明のローラ従動端連結部材は、上記(1)〜(3)の構成とは別に、ローラハースキルン以外の機器に用いることができる。本発明のローラ従動端連結部材によると、上記(1)に記載したように、従動端の回転状態を駆動端の回転状態に近似させることができる。したがって、被搬送物の搬送速度のばらつきを抑制することができる。また、本発明のローラ従動端連結部材を、既設のローラコンベアのローラの従動端に取り付けるだけで、被搬送物の搬送速度のばらつきを抑制することができる。
【0031】
(4−1)好ましくは、上記(4)の構成において、前記ローラはセラミックス製である構成とする方がよい。ローラが金属製の場合(この場合も勿論(4)の構成に含まれる。)は、ローラの加工性が高い。このため、搬送速度がばらつきにくいように、ローラの形状を、所望のテーパ状にすることが容易である。これに対して、ローラがセラミックス製の場合、ローラの加工性が低い。このため、ローラの形状を、所望のテーパ状に形成することが困難である。このように、ローラの加工性が低い場合に、本発明のローラハースキルンのローラ従動端連結部材は、特に有効である。
【0032】
(5)好ましくは、上記(4)の構成において、転動体に回転可能に支持され、前記回転軸を中心とする円弧状の外周面を有する被支持部と、該外周面の径方向内側に配置され、前記従動端が収容され、前記中心軸を中心とする円弧状の内周面を有する従動端収容室と、を備える構成とする方がよい(請求項5に対応)。本構成によると、従動端収容室に従動端を収容するだけで、従動端において、回転軸と中心軸とをずらすことができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によると、被処理物の搬送速度のばらつきを抑制することが可能なローラハースキルンおよびローラ従動端連結部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第一実施形態のローラハースキルンの長手方向一部の斜視図である。
【図2】図1のII−II方向断面図である。
【図3】図2の枠III内の拡大図である。
【図4】同ローラハースキルンのローラアセンブリの後端付近の拡大斜視図である。
【図5】(a)は図4のV−V方向断面図である。(b)は、ローラが180°回転した場合の図4のV−V方向断面図である。
【図6】同ローラハースキルンの模式上面図である。
【図7】同ローラハースキルンの回転状態のローラの模式斜視図である。
【図8】第二実施形態のローラハースキルンのローラアセンブリの後端付近の拡大斜視図である。
【図9】(a)は理想的な搬送状態で被処理物を搬送する従来のローラハースキルンの模式上面図である。(b)は実際の搬送状態で被処理物を搬送する従来のローラハースキルンの模式上面図である。
【図10】従来のローラハースキルンのローラの斜視図である。
【図11】図10のX−X方向断面図である。
【図12】従来のローラハースキルンの回転状態のローラの模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明のローラハースキルンの実施の形態について説明する。なお、以下の説明は、本発明のローラ従動端連結部材の説明を兼ねるものである。
【0036】
<第一実施形態>
[ローラハースキルンの構成]
まず、本実施形態のローラハースキルンの構成について説明する。図1に、本実施形態のローラハースキルンの長手方向(左右方向)一部の斜視図を示す。図2に、図1のII−II方向断面図を示す。
【0037】
図1、図2に示すように、ローラハースキルン1は、ハウジング2と、多数のローラアセンブリ3と、多数のヒータ4と、を備えている。なお、ローラハースキルン1の左側が、上流側(搬入側)に相当する。また、ローラハースキルン1の右側が、下流側(搬出側)に相当する。
【0038】
(ハウジング2)
ハウジング2は、ハウジング本体20と、熱処理室21と、多数のローラ挿通孔22と、多数のヒータ挿通孔23と、駆動側ブラケット24と、従動側ブラケット25と、を備えている。
【0039】
ハウジング本体20は、外壁200と、断熱材201と、を備えている。外壁200は、ステンレス鋼(SUS)製であって、薄肉の角筒状を呈している。外壁200は、左右方向に延在している。断熱材201は、セラミックファイバー製あるいは耐火煉瓦製であって、厚肉の角筒状を呈している。断熱材201は、外壁200の内側に配置されている。熱処理室21は、断熱材201の内側に区画されている。
【0040】
多数のローラ挿通孔22は、ハウジング本体20の前後両壁の、上下方向中央付近に配置されている。ローラ挿通孔22は、熱処理室21とハウジング本体20の外部とを連通している。多数のローラ挿通孔22は、左右方向に所定間隔ずつ離間して、配置されている。前壁のローラ挿通孔22と後壁のローラ挿通孔22とは、前後方向に対向している。
【0041】
多数のヒータ挿通孔23は、ハウジング本体20の前後両壁において、ローラ挿通孔22を挟んで、上下二段に配置されている。ヒータ挿通孔23は、熱処理室21とハウジング本体20の外部とを連通している。多数のヒータ挿通孔23は、左右方向に所定間隔ずつ離間して、配置されている。また、前壁のヒータ挿通孔23と後壁のヒータ挿通孔23とは、前後方向に対向している。
【0042】
駆動側ブラケット24は、SUS製であって、L字状を呈している。駆動側ブラケット24は、ハウジング本体20の前壁に配置されている。駆動側ブラケット24は、多数の軸受部240を備えている。多数の軸受部240は、駆動側ブラケット24の立壁部の前面に配置されている。多数の軸受部240は、左右方向に所定間隔ずつ離間して、配置されている。
【0043】
従動側ブラケット25は、SUS製であって、L字状を呈している。従動側ブラケット25は、ハウジング本体20の後壁に配置されている。従動側ブラケット25は、多数のタイヤ250を備えている。タイヤ250は、本発明の転動体に含まれる。多数のタイヤ250は、従動側ブラケット25の立壁部の後面に配置されている。多数のタイヤ250は、左右方向に所定間隔ずつ離間して、配置されている。
【0044】
(ヒータ4)
ヒータ4は、電熱ヒータである。ヒータ4は、炭化ケイ素(SiC)製であって、前後方向に延びる円筒状を呈している。ヒータ4は、左右方向に並んで、熱処理室21に、多数配置されている。多数のヒータ4は、後述するローラ30を挟んで、上下二段に配置されている。ヒータ4の前後方向両端は、各々、ヒータ挿通孔23を介して、熱処理室21からハウジング本体20の外部に突出している。ヒータ4は、外部の電源(図略)に、電気的に接続されている。
【0045】
(ローラアセンブリ3)
ローラアセンブリ3は、ローラ30と、駆動端キャップ31と、従動端キャップ32と、を備えている。駆動端キャップ31は、本発明のローラ駆動端連結部材に含まれる。従動端キャップ32は、本発明のローラ従動端連結部材に含まれる。
【0046】
ローラ30は、ムライト製であって、軸方向全長に亘って同径の、円筒状を呈している。ローラ30は、前後方向に延在している。ローラ30は、左右方向に並んで、熱処理室21に多数配置されている。ローラ30の前端および後端は、各々、ローラ挿通孔22を介して、熱処理室21からハウジング本体20の外部に突出している。ローラ30の前端は、本発明の駆動端に含まれる。ローラ30の後端は、本発明の従動端に含まれる。
【0047】
図3に、図2の枠III内の拡大図を示す。図3に示すように、駆動端キャップ31は、ローラ30の前端300に取り付けられている。駆動端キャップ31は、キャップ本体310と、一対のばね部材311と、駆動端収容室312と、駆動軸部材収容室313と、を備えている。
【0048】
キャップ本体310は、円筒状を呈している。キャップ本体310の外周面には、一対の凹部310aと、一対のばね部材挿通孔310bと、が配置されている。一対の凹部310aは、キャップ本体310の前端付近に配置されている。凹部310aは、外周面に凹設されている。一対の凹部310aは、180°対向して配置されている。一対のばね部材挿通孔310bは、キャップ本体310の後端付近に配置されている。ばね部材挿通孔310bは、キャップ本体310を径方向に貫通している。一対のばね部材挿通孔310bは、180°対向して配置されている。一対のばね部材挿通孔310bの径方向内側には、前端300に穿設された、一対のばね部材挿通孔300bが連なっている。凹部310aとばね部材挿通孔310bとは、前後方向に並んでいる。
【0049】
駆動端収容室312は、キャップ本体310の径方向内側に配置されている。駆動端収容室312は、キャップ本体310の後方部分に配置されている。駆動端収容室312には、ローラ30の前端300が収容されている。駆動端収容室312は、ローラ30の回転軸B1(回転軸B1は、駆動端キャップ31と従動端キャップ32とにより決定される。)を中心とする円弧状の内周面を有している。駆動端収容室312の内周面の半径は、ローラ30の外周面の半径よりも、大きい。このため、前端300の外周面と駆動端収容室312の内周面との間には、隙間が区画されている。当該隙間は、前端300の径方向の熱膨張スペースである。
【0050】
駆動軸部材収容室313は、キャップ本体310の径方向内側に配置されている。駆動軸部材収容室313は、駆動端収容室312の前方に連なっている。駆動軸部材収容室313には、駆動軸部材91の後端が収容されている。キャップ本体310と駆動軸部材91とは、空回りしないように、連結されている。図2に示すように、駆動軸部材91は、軸受部240に、回転可能に支持されている。駆動軸部材91の前端には、スプロケット92が固定されている。スプロケット92には、図示しないチェーンを介して、モータの駆動力が伝達される。当該駆動力により、ローラアセンブリ3は、図3に示す回転軸B1の軸回りに、回転可能である。
【0051】
ばね部材311は、ばね鋼製であって板状を呈している。ばね部材311は、固定端311aと自由端311bとを備えている。固定端311aは、ばね部材311の前端に配置されている。固定端311aは、キャップ本体310の凹部310aに、収容されている。固定端311aは、スクリュー93により、凹部310aに固定されている。自由端311bは、径方向内側に向かって尖る、V字状を呈している。自由端311bは、ばね部材311の後端に配置されている。ばね部材311は、固定端311aを支点として弾性変形可能である。このため、図3に両端矢印で示すように、自由端311bは、キャップ本体310のばね部材挿通孔310bを介して、前端300のばね部材挿通孔300bに、係脱可能である。自由端311bがばね部材挿通孔300bに係合することにより、キャップ本体310とローラ30とは、空回りしないように、連結されている。
【0052】
ローラ30に駆動端キャップ31を取り付ける場合は、相対的に後方から前端300を駆動端収容室312に挿入する。前端300の端面に押されて、ばね部材311の自由端311bは、付勢力を蓄積しながら、径方向外側に逃げる。前端300の端面が駆動端収容室312の底面に到達すると、自由端311bの径方向内側に、ばね部材挿通孔300bが到達する。このため、自由端311bは、付勢力を解放しながら、ばね部材挿通孔300bに進入する。このように、ワンタッチでローラ30に駆動端キャップ31を取り付けることができる。
【0053】
図4に、本実施形態のローラハースキルンのローラアセンブリの後端付近の拡大斜視図を示す。図5(a)に、図4のV−V方向断面図を示す。図5(b)に、ローラが180°回転した場合の図4のV−V方向断面図を示す。図4、図5(a)、図5(b)に示すように、従動端キャップ32は、ローラ30の後端301に取り付けられている。従動端キャップ32は、キャップ本体320と、従動端収容室322と、被支持部323と、ピン324と、を備えている。
【0054】
キャップ本体320は、SUS製であって、前方に向かって開口する段付きカップ状(有底円筒状)を呈している。従動端収容室322は、キャップ本体320の径方向内側に配置されている。従動端収容室322には、ローラ30の後端301が収容されている。従動端収容室322は、ローラ30の中心軸B2を中心とする円弧状の内周面を有している。被支持部323は、キャップ本体320の前方部分に配置されている。被支持部323は、ローラ30の回転軸B1を中心とする円弧状の外周面を有している。被支持部323は、従動側ブラケット25の左右一対のタイヤ250上に、回転可能に支持されている。
【0055】
キャップ本体320の前後方向略中央部分には、180°対向して、ピン挿通孔320aが穿設されている。また、ローラ30の後端301には、180°対向して、ピン挿通孔301aが穿設されている。ピン324は、これらピン挿通孔320a、301aを、径方向に貫通している。ピン324により、キャップ本体320とローラ30とは、空回りしないように、連結されている。
【0056】
[ローラハースキルンの動き]
次に、本実施形態のローラハースキルンの動きについて説明する。図6に、本実施形態のローラハースキルンの模式上面図を示す。以下、被処理物90の配置方向について、左右方向を「行」、前後方向を「列」と称する。図6においては、説明の便宜上、一列ごとに被処理物90にハッチングを施して示す。
【0057】
図6に示すように、多数のローラ30には、熱処理の効率を上げるため、多数の被処理物90(上方に開口する箱状のケースに入れられた粉体)が、比較的密に並んだ状態で搭載されている。すなわち、多数の被処理物90は、三行に並んだ状態で搬送されている。被処理物90は、回転する多数のローラ30により、搬入区間A1→熱処理区間A2→搬出区間A3と連なる搬送経路を搬送される。熱処理区間A2には、図1に示す熱処理室21が配置されている。搬送中の被処理物90には、上下二段の多数のヒータ4により、所定の温度パターンで熱処理が施される。
【0058】
図7に、回転状態のローラの模式斜視図を示す。前端300のがたつき量は、図3に示す駆動端収容室312の内周面により規制される。このため、図7に示すように、前端300の外周面の回転半径R1(がたつき量が最大の場合の回転半径)は、駆動端収容室312の内周面の半径に一致する。前端300の外周面の回転半径R1は、ローラ30の外周面の半径R3よりも、大きくなる。
【0059】
一方、後端301の偏心量は、図5(a)、図5(b)に示す回転軸B1に対する中心軸B2のずれ量L1により決定される。図7に示すように、後端301の外周面の回転半径R2は、ローラ30の外周面の半径R3よりも大きくなる。
【0060】
また、ローラ30の前後方向中央部分の外周面の回転半径R4は、前端300および後端301の回転状態により決定される。前端300ががたつきながら、後端301が偏心しながら、それぞれ回転するため、外周面の回転半径R4は、ローラ30の外周面の半径R3よりも大きくなる。
【0061】
このように、ローラ30の回転状態は、あたかも、回転半径R1の前端300と、回転半径R2の後端301と、を有する両テーパ状(軸方向両端から軸方向中央に向かって縮径するテーパ状)のローラ30が回転しているような状態になる。このため、前端300の周方向移動量と、後端301の周方向移動量と、前後方向中央部分の周方向移動量と、の差が小さくなる。
【0062】
[作用効果]
次に、本実施形態のローラハースキルンの作用効果について説明する。本実施形態のローラハースキルン1によると、図5(a)、図5(b)に示すように、後端301において、回転軸B1に対して中心軸B2を偏心させることができる。このため、後端301の回転状態を、前端300の回転状態に近似させることができる。したがって、図6に示すように、最前行の被処理物90の搬送速度と、最後行の被処理物90の搬送速度と、を近似させることができる。
【0063】
また、本実施形態のローラハースキルン1によると、図7に示すように、ローラ30の前後方向中央部分の外周面の回転半径R4は、ローラ30の外周面の半径R3よりも大きい。このため、ローラ30の前後方向中央部分の回転状態を、前端300および後端301の回転状態に近づけることができる。したがって、図6に示すように、中央行の被処理物90の搬送速度を、最前行および最後行の被処理物90の搬送速度に、近づけることができる。よって、図6と図9(b)とを比較して判るように、被処理物90の搬送速度のばらつきを抑制することができる。また、同じ列に属する三つの被処理物90の熱処理時間のばらつきを、抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態のローラハースキルン1によると、図7に点線ハッチングで示すように、前端300と後端301とが同期した状態(回転角度が一致した状態)で、ローラ30が回転する場合もある。この場合、さらにローラ30の前後方向中央部分の回転状態を、前端300および後端301の回転状態に近づけることができる。
【0065】
また、本実施形態のローラハースキルン1によると、図6と図9(b)とを比較して判るように、下流側において、同じ列に属する三つの被処理物90の列幅W1が広がりにくい。したがって、熱処理区間A2から搬出区間A3に被処理物90を払い出す際、列ごとに区切って被処理物90を払い出しやすい。
【0066】
また、従動端キャップ32を、既設のローラハースキルン1のローラ30の後端301に取り付けるだけで、被処理物90の搬送速度のばらつきを抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態のローラハースキルン1によると、ローラ30の前端300において、回転軸B1と中心軸B2とを一致させる場合と比較して、前端300と駆動端キャップ31との軸合わせ精度が要求されない。このため、製造コストが低い。また、前端300の外周面と、駆動端収容室312の内周面と、の間に隙間を確保することができる。このため、ローラ30の熱膨張に対応することができる。
【0068】
また、本実施形態の従動端キャップ32によると、図5(a)、図5(b)に示すように、従動端収容室322に後端301を収容するだけで、後端301において、回転軸B1と中心軸B2とをずらすことができる。
【0069】
また、本実施形態のローラハースキルン1によると、図3に示すように、ワンタッチでローラ30に駆動端キャップ31を取り付けることができる。このため、取り付け作業が簡単である。
【0070】
なお、ローラ30の後端301と被支持部323の外周面とが同心状の場合でも、後端301の外周面と従動端収容室322の内周面との間に隙間を確保すれば、前端300同様に、後端301をがたつかせることができる。しかしながら、この場合、後端301のがたつき量のチューニングが困難である。また、前端300および後端301が、共に不規則に回転するため、搬送状態が不安定になる。これに対して、本実施形態のローラハースキルン1によると、後端301の回転軌跡が一定である。すなわち、後端301が規則的に回転する。このため、搬送状態が不安定になりにくい。
【0071】
また、ローラ30が金属製の場合は、ローラ30の加工性が高い。このため、搬送速度がばらつきにくいように、ローラ30の形状を、図7に示すような両テーパ状にすることが容易である。ところが、熱処理室21の雰囲気や、被処理物90の特性(例えばコンタミネーションを嫌うなど)によっては、金属製のローラ30が使えない場合がある。この場合、ムライトやSiCなど、セラミックス製のローラ30が用いられる。ローラ30がセラミックス製の場合、ローラ30の加工性が低い。このため、ローラ30の形状を、両テーパ状に形成することが困難である。このように、ローラ30の加工性が低い場合に、本実施形態のローラハースキルン1の従動端キャップ32は、特に有効である。
【0072】
<第二実施形態>
本実施形態のローラハースキルンと、第一実施形態のローラハースキルンと、の相違点は、従動端キャップが従動軸に連なっている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0073】
図8に、本実施形態のローラハースキルンのローラアセンブリの後端付近の拡大斜視図を示す。なお、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。図8に示すように、キャップ本体320の後端には、従動軸部材95が固定されている。従動軸部材95は、軸受部(図略)により、軸回りに回転可能に支持されている。従動軸部材95の中心軸B3は、キャップ本体320の中心軸B4(=ローラ30の後端301の中心軸)に対して、偏心している。中心軸B3は、ローラ30の回転軸に一致している。
【0074】
本実施形態のローラハースキルンは、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態のローラハースキルンと同様の作用効果を有する。また、本実施形態のローラハースキルンによると、図4に示すタイヤ250および被支持部323が不要である。このため、キャップ本体320の外周面の面形状が簡単になる。また、同心有底円筒状のキャップ本体320に対する従動軸部材95の径方向位置を変えるだけで、後端301の偏心量を調整することができる。
【0075】
<その他>
以上、本発明のローラハースキルンの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0076】
上記実施形態においては、従動端キャップ32をローラハースキルン1のローラ30に取り付けたが、一般のローラコンベアのローラに取り付けてもよい。この場合、被搬送物が加熱されなくてもよい。
【0077】
また、ローラ30の外周面の径方向断面は、円形でなくてもよい。三角形、四角形などの多角形でもよい。ローラ30の外周面が、軸方向全長に亘って同径であればよい。また、ローラ30は、中空状でも中実状でもよい。また、駆動側ブラケット24、従動側ブラケット25の形状は、L字状でなくてもよい。
【0078】
また、外壁200、駆動側ブラケット24、従動側ブラケット25、ローラ30、ヒータ4など、各部材の材質も特に限定しない。例えば、外壁200をアルミニウム、鉄などの金属、あるいはカーボンなどにより形成してもよい。また、ローラ30を、SiC製、アルミナ製としてもよい。また、ローラ30、ヒータ4を、金属製(例えば、SUS製、インコネル製、ハステロイ製)としてもよい。
【0079】
また、被処理物90の処理に応じて、適宜、熱処理室21に、窒素ガス、アルゴンガス、一酸化炭素ガスなどの雰囲気ガスを供給してもよい。また、ヒータ4の代わりに、あるいはヒータ4と共に、マイクロ波、バーナーなどを用いて被処理物90を加熱してもよい。
【0080】
雰囲気ガスやマイクロ波やバーナーを用いる場合は、図6に示す熱処理区間A2と搬出区間A3との間に、開閉扉が必要になる。このため、列ごとに被処理物90を払い出す必要性が高くなる。このような場合に、本発明のローラハースキルン1は特に適している。
【0081】
また、上記実施形態においては、全てのローラ30の後端301に従動端キャップ32を取り付けたが、一部のローラ30だけに従動端キャップ32を取り付けてもよい。すなわち、従動端キャップ32の配置数は、被処理物90の搬送速度のばらつきの程度(例えば、図6に示す同じ列に属する三つの被処理物90の列幅W1)に応じて、増減すればよい。こうすると、全てのローラ30の後端301に従動端キャップ32を取り付ける場合と比較して、ローラハースキルン1の設備コストが低くなる。
【0082】
また、図7に示すように、従動端キャップ32において、回転軸B1に対する中心軸B2の偏心量を大きく設定すれば、後端301の外周面の回転半径R2が大きくなる。このため、偏心量を大きく設定することにより、従動端キャップ32の配置数を減らすことができる。
【0083】
なお、図12に示す従来のローラ101と、図7に示す上記実施形態のローラ30とでは、回転時の動き(特に後端301付近の動き)が異なる。このため、従来のローラ101(上流側)から上記実施形態のローラ30(下流側)に被処理物90が受け渡される際、後端301付近の被処理物90は、あたかもローラ30に乗り上げるように移動する。この際、ローラ30の後端301付近に、被処理物90の重量が集中しやすくなる。この場合は、タイヤ250の取付位置を上下方向に適宜調整することにより、ローラ30の後端301付近に被処理物90の重量が集中するのを、抑制することができる。
【符号の説明】
【0084】
1:ローラハースキルン、2:ハウジング、3:ローラアセンブリ、4:ヒータ。
20:ハウジング本体、21:熱処理室、22:ローラ挿通孔、23:ヒータ挿通孔、24:駆動側ブラケット、25:従動側ブラケット、30:ローラ、31:駆動端キャップ(ローラ駆動端連結部材)、32:従動端キャップ(ローラ従動端連結部材)、90:被処理物、91:駆動軸部材、92:スプロケット、93:スクリュー、95:従動軸部材。
200:外壁、201:断熱材、240:軸受部、250:タイヤ(転動体)、300:前端(駆動端)、300b:ばね部材挿通孔、301:後端(従動端)、301a:ピン挿通孔、310:キャップ本体、310a:凹部、310b:ばね部材挿通孔、311:ばね部材、311a:固定端、311b:自由端、312:駆動端収容室、313:駆動軸部材収容室、320:キャップ本体、320a:ピン挿通孔、322:従動端収容室、323:被支持部、324:ピン。
A1:搬入区間、A2:熱処理区間、A3:搬出区間、B1:回転軸、B2:中心軸。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力が伝達される駆動端と、該駆動端の軸方向反対側に配置される従動端と、該駆動力により軸回りに回転する際の回転中心である回転軸と、径方向中心に配置され該駆動端から該従動端まで軸方向に延在する中心軸と、を有し、被処理物を搬送する同径状のローラと、
該駆動端に該駆動力を伝達し、該駆動端において該回転軸に対して該中心軸がぶれるように、該駆動端に取り付けられるローラ駆動端連結部材と、
該従動端において該回転軸に対して該中心軸が偏心するように、該従動端が取り付けられるローラ従動端連結部材と、
を有するローラアセンブリを備え、
該ローラを回転させることにより該被処理物を搬送するローラハースキルン。
【請求項2】
前記ローラ従動端連結部材は、転動体に回転可能に支持され、前記回転軸を中心とする円弧状の外周面を有する被支持部と、該外周面の径方向内側に配置され、前記従動端が収容され、前記中心軸を中心とする円弧状の内周面を有する従動端収容室と、を備える請求項1に記載のローラハースキルン。
【請求項3】
前記ローラ駆動端連結部材は、前記駆動端が収容され、前記回転軸を中心とする円弧状の内周面を有する駆動端収容室を備え、該駆動端の外周面と該駆動端収容室の内周面との間には隙間が区画されている請求項1または請求項2に記載のローラハースキルン。
【請求項4】
駆動力が伝達される駆動端と、該駆動端の軸方向反対側に配置される従動端と、該駆動力により軸回りに回転する際の回転中心である回転軸と、径方向中心に配置され該駆動端から該従動端まで軸方向に延在する中心軸と、を有し、該駆動端において該回転軸に対して該中心軸がぶれる同径状のローラの、該従動端に取り付けられ、該従動端において該回転軸に対して該中心軸を偏心させて保持するローラ従動端連結部材。
【請求項5】
転動体に回転可能に支持され、前記回転軸を中心とする円弧状の外周面を有する被支持部と、
該外周面の径方向内側に配置され、前記従動端が収容され、前記中心軸を中心とする円弧状の内周面を有する従動端収容室と、
を備える請求項4に記載のローラ従動端連結部材。
【請求項1】
駆動力が伝達される駆動端と、該駆動端の軸方向反対側に配置される従動端と、該駆動力により軸回りに回転する際の回転中心である回転軸と、径方向中心に配置され該駆動端から該従動端まで軸方向に延在する中心軸と、を有し、被処理物を搬送する同径状のローラと、
該駆動端に該駆動力を伝達し、該駆動端において該回転軸に対して該中心軸がぶれるように、該駆動端に取り付けられるローラ駆動端連結部材と、
該従動端において該回転軸に対して該中心軸が偏心するように、該従動端が取り付けられるローラ従動端連結部材と、
を有するローラアセンブリを備え、
該ローラを回転させることにより該被処理物を搬送するローラハースキルン。
【請求項2】
前記ローラ従動端連結部材は、転動体に回転可能に支持され、前記回転軸を中心とする円弧状の外周面を有する被支持部と、該外周面の径方向内側に配置され、前記従動端が収容され、前記中心軸を中心とする円弧状の内周面を有する従動端収容室と、を備える請求項1に記載のローラハースキルン。
【請求項3】
前記ローラ駆動端連結部材は、前記駆動端が収容され、前記回転軸を中心とする円弧状の内周面を有する駆動端収容室を備え、該駆動端の外周面と該駆動端収容室の内周面との間には隙間が区画されている請求項1または請求項2に記載のローラハースキルン。
【請求項4】
駆動力が伝達される駆動端と、該駆動端の軸方向反対側に配置される従動端と、該駆動力により軸回りに回転する際の回転中心である回転軸と、径方向中心に配置され該駆動端から該従動端まで軸方向に延在する中心軸と、を有し、該駆動端において該回転軸に対して該中心軸がぶれる同径状のローラの、該従動端に取り付けられ、該従動端において該回転軸に対して該中心軸を偏心させて保持するローラ従動端連結部材。
【請求項5】
転動体に回転可能に支持され、前記回転軸を中心とする円弧状の外周面を有する被支持部と、
該外周面の径方向内側に配置され、前記従動端が収容され、前記中心軸を中心とする円弧状の内周面を有する従動端収容室と、
を備える請求項4に記載のローラ従動端連結部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−144965(P2011−144965A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4304(P2010−4304)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(390008431)高砂工業株式会社 (53)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(390008431)高砂工業株式会社 (53)
【Fターム(参考)】
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