説明

ロールタイプ自動包装機における可動縦シールロール機構

【課題】縦シール位置の変更を容易に実施でき、当初の性能を長期間維持できる縦シールロール機構を提供する。
【解決手段】縦シールロール機構の縦ヒートシール部61、610は包装フィルムに対して縦ヒートシールを施す縦ヒートシール刃62、620と、縦ヒートシール刃と一体成型され、この縦ヒートシール部を縦ヒートシールロール軸本体に取り付ける固定ボス部63、630とから成り、上記縦ヒートシール刃と固定ボス部の間には、縦ヒートシールロール軸本体と直行する方向に第三のスリットS3が付設けられ、固定ボス部には、第三のスリットが設けられた位置の反対側に縦ヒートシールロール軸方向に沿った第一のスリットS1と、第三のスリットが設けられた位置に縦ヒートシールロール軸方向に沿った第二のスリットが付設されると共に、当該第二のスリットを挟んで締付ボルトを挿入するボルト挿入孔と締付ボルトを螺入するボルト螺入孔が付設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装フィルムに対して縦ヒートシール及び横ヒートシールを施して包装袋を製造するロールタイプ自動包装機の縦シールロール機構に関し、特に、縦シールロールの位置を動かすことが出来る可動縦シールロール機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のロールタイプ自動包装機は、原反ロール状の包装フィルムを繰り出し機構によって上方に引き出し、最上位置にあるガイドロールによって垂直下方に方向転換させ、折り畳み機構によって幅方向に二つ折りにし、次いでこの二つ折り状態の包装フィルムを一対の縦シールロールに導いて縦シールを施す。この縦シールによって二つ折りされた包装フィルムは両端部が接合して円筒状になり、その後、この円筒状包装フィルムは一対の第一横シールロールに導かれて横シールが施されて袋状になり、充填機構によって包装袋の内容物が投入された後、再び第一横シールロールによって包装袋の投入口に対して横シールが施されて封止状態となる。
【0003】
次に、第一横シールロールによって横シールされた部分に対して、一対の第二横シールロールを用いて再度横シールを施してシール強度を増やした後、この連包状態の包装袋は、第一及び第二のカッター装置に導かれ、横シール中央付近に対して切り離し加工若しくはミシン目加工が施されて個別包装袋となる。
【0004】
従来のロールタイプ自動充填包装機には、二つ折りされた包装フィルムを挟んで縦シールを施す一対の縦シールロール機構が適宜配備されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−312723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来のロールタイプ自動充填包装機において、製造する包装袋の幅寸法あるいは縦シール位置を変える場合は、図7に示すように、包装フィルムの幅寸法や縦シール位置に合わせて縦シールロール機構6の縦シールロール軸本体160に取り付け固定された可動縦ヒートシール部110を軸方向に移動調節し、包装袋の幅寸法に合わせて縦シール箇所を調整していた。
【0007】
図7は、従来の可動縦ヒートシール機構を表した概略図である。この場合、縦ヒートシールロール軸本体160の外周部に縦ヒートシール部110を挿通配設し、この縦ヒートシール部110を固定ボルト150などにより縦ヒートシールロール軸本体160に向けて螺着することにより、所定位置に縦ヒートシール部110を取り付け固定することができるが、縦ヒートシールロール軸本体160の軸芯に対し縦ヒートシール部のボス部130が固定ボルト150により圧着固定されているため、縦ヒートシールロール軸本体の軸芯に対してこのボス部130が大きく歪み、この歪みが縦ヒートシール部110の縦ヒートシール刃120に伝わって、この縦ヒートシール刃120が偏心し易く、この結果、一対の縦ヒートシール刃120間に挟まれて熱シールを施す際に加わる押圧力が変位し、この変位により対をなす縦ヒートシール刃120間のクリアランスが部分的に大きくなり、若しくは小さくなって、フィルムに対する押圧力が不足する箇所では、フィルムの接合面に溶融不足に起因した内容物漏れ出し現象が発生し、フィルムに対する押圧力が高すぎる箇所では、フィルムの接合面の溶融樹脂が押し出されて樹脂分減少に起因したシール強度低下現象が発生していた。
【0008】
また、特許文献1に記載されている縦ヒートシールロール軸本体と縦ヒートシール部の固定方法では以下のような問題点があった。
(1)縦ヒートシール部に設けられた環状溝部に嵌挿配置されたテーパリングを螺動締め付けする際にシール軸方向に微小なずれが発生し易く、一対の縦ヒートシール部表面に刻設された凸凹目の嵌合不具合によるシール面穴開き等のシール不良が発生する。
(2)縦ヒートシール部に設けられた環状溝部にテーパリングを嵌め込んで変形させる固定方法ため、位置変更を繰り返すと環状溝部若しくはテーパリングの変形が進行し、元の形状に戻る事が出来なくなり、取り付け位置移動動作若しくは固定動作そのものが出来なくなるという問題がある。
(3)また、特許文献1の固定方法では、固定に必要なネジ数が多く、作業の手間が掛かる上にネジの抜け落ちやネジ緩みのリスクも多くなる。
【0009】
本発明は、上記従来のロールタイプ自動包装機における縦シールロールにおいて、縦シール位置の変更を容易に実施でき、当初の性能を長期間維持できる縦シールロール機構を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る自動包装機用縦シールロール機構は、互いに折り曲げられた包装フィルムを垂直下方に引き下ろしながら重ね合わされた包装フィルムに対してヒートシールを施す自動包装機用縦シールロール機構であって、上記縦シールロール機構は、ヒータを内蔵し回転可能に設けられた一対の縦ヒートシールロール軸本体と、この縦ヒートシールロール軸本体に対して移動調整可能に設けられ、且つ、前記縦ヒートシールロール軸を挿通する取り付け孔が形成された縦ヒートシール部で構成され、上記縦ヒートシール部は、包装フィルムに対して縦ヒートシールを施す縦ヒートシール刃と、当該縦ヒートシール刃と一体成型され、この縦ヒートシール部を縦ヒートシールロール軸本体に取り付ける固定ボス部とから成り、上記縦ヒートシール刃と固定ボス部の間には、縦ヒートシールロール軸本体と直行する方向に第三のスリットが付設けられ、固定ボス部には、第三のスリットが設けられた位置の反対側に縦ヒートシールロール軸方向に沿った第一のスリットと、第三のスリットが設けられた位置に縦ヒートシールロール軸方向に沿った第二のスリットが付設されると共に、当該第二のスリットを挟んで締付ボルトを挿入するボルト挿入孔と締付ボルトを螺入するボルト螺入孔が付設されている。
【0011】
また、本発明の請求項2に係る自動包装機用縦シールロール機構の第一のスリットは、取り付け孔側から切り込みつつ固定ボス部を一部残して切断するように付設され、第二のスリットは、固定ボス部を全て切断するように付設され、第三のスリットは、縦ヒートシール刃と固定ボス部の間の半分以内を切断するように付設されている。
【0012】
また、本発明の請求項3に係る自動包装機用縦シールロール機構は、縦ヒートシール部を縦ヒートシールロール軸本体に固定する場合、ボルト挿入孔とボルト螺入孔に取り付けられた締付ボルトを回し締めて固定ボス部を縮径させ、固定された縦ヒートシール部を縦ヒートシールロール軸本体から緩めて移動させる場合、ボルト挿入孔とボルト螺入孔に取り付けられた締付ボルトを回し緩めて固定ボス部を膨径させ、前記第二のスリットは、上記固定ボス部の縮径動作に伴う当該スリット間隔の狭まり及び固定ボス部の膨径動作に伴う当該スリット間隔の拡がりを吸収するように作動し、第一のスリットと第三のスリットは、上記縮径固定作業及び膨径移動作業に伴って発生する固定ボス部のひずみを縦ヒートシール刃に伝えないように作動する。
【0013】
本発明の請求項1乃至請求項3に係る自動包装機用縦シールロール機構における縦ヒートシール部の固定方法は、縦ヒートシール部を縦ヒートシールロール軸と直行する方向に締め付けると共に、縦ヒートシールロール軸を掴むように締め付けるため、固定の際に軸方向若しくは回転方向にずれることが無くなる。
【0014】
また、縦ヒートシール部の位置変更を繰り返しても固定ボス部の変形が少なく、多少変形しても固定作業に与える影響が少なくて済むため、当初の性能を長期間維持できる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明に係るロールタイプ自動包装機の縦シール機構における縦ヒートシール部の固定方法は、縦ヒートシール部を縦ヒートシールロール軸と直行する方向に締め付けると共に、縦ヒートシールロール軸を掴むように締め付けるため、固定の際に軸方向若しくは回転方向にずれることが無くなる。このため、縦ヒートシールロールの位置変更に伴う目合わせ作業が容易になるという優れた効果を奏し得る。
【0016】
また、本発明に係るロールタイプ自動包装機の縦シール機構における縦ヒートシール部の固定方法は、縦ヒートシール部の位置変更を繰り返しても固定ボス部の変形が少なく、多少変形しても固定作業に与える影響が少なくて済むため、当初の性能を長期間維持できる可動縦シールロール機構を提供できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るロールタイプ自動包装機の一構成例を示す正面図である。
【図2】本発明に係る縦シール装置における縦シールロールの一構成例を示す正面図である。
【図3】本発明に係る縦ヒートシール部61を取り出して説明している側面図である。
【図4】本発明に係る縦ヒートシール部61を取り出して説明している正面図である。
【図5】図3において示したA−A間の一部断面図である。
【図6】本発明に係る他の縦ヒートシール部611を取り出して説明している側面図である。
【図7】従来の可動縦ヒートシール機構を表した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、図1を用いて、本発明に係るロールタイプ自動包装機の全体構成について説明する。図1は、本発明に係るロールタイプ自動包装機の一構成例を示す正面図である。図1に示すように、ロールタイプ自動包装機1(以下、自動包装機1と略す)の正面右側にはリールが設けられている。このリールには包装フィルムを巻回した原反ロールFHが脱着交換可能に保持されている。
【0019】
また、自動包装機1の上部にはフィルム折り返しロール2と包装フィルムを長手方向に二つ折りするフィルム折畳機構3とこの二つ折りされた包装フィルム内に二種類の内容物を送り込む充填パイプ4と充填パイプ5がある。
【0020】
自動包装機1前面には上側から第一縦シール装置6、第二縦シール装置7、第一横シール装置8、第二横シール装置9、刻印ロール装置10、ノッチカッター装置11、横カッター装置12、ダイカット装置13が備えられている。さらに、自動包装機1右側には自動包装機1の動作コントロール並びに動作指示を行っている制御ボックス14と操作ボックス15が設けられている。
【0021】
縦シール機構は、第一縦シール装置6と第二縦シール装置7で構成され、これら二つの縦シール装置として図1中においては、前面側の二つの縦シールロール(移動側シールロール)が表記されている。これに対して背面側(紙面裏側)の二つの縦シールロールは、前面側縦シールロールと紙面垂直方向に対向した状態で設けられ、自動包装機1に固定されている(固定側シールロール)。
【0022】
横シール機構は、第一横シール装置8と第二横シール装置9で構成され、これら二つの横シール装置として図1中においては、上記縦シール機構と同様に、前面側の二つの横シールロール(移動側シールロール)が表記されている。これに対して背面側(紙面裏側)の二つの横シールロールは、前面側横シールロールと紙面垂直方向に対向した状態で設けられ、自動包装機1の機台に固定されている(固定側シールロール)。
【0023】
また、包装フィルムは、透明又は半透明な材料から構成され、例えば、PET等のベースフィルム、このベースフィルムよりも融点の低いポリエチレン等のヒートシールフィルムから構成される。また、包装フィルムは、ベースフィルム、中間フィルム、ヒートシールフィルムの3層構造を有してもよい。
【0024】
包装フィルムは、リールに取り付けられた原反ロールFHから引き出される。引き出された包装フィルムFは、自動包装機1の上部の折り返しロール2に掛け渡されて直下のフィルム折畳機構3に送られる。このフィルム折畳機構3は、包装フィルムを長手方向に二つ折りするもので、二つ折りされた包装フィルムFXは、この二つ折りされた包装フィルム内に内容物を送り込む充填パイプ4と充填パイプ5を挟み込みつつ、縦シール機構の第一縦シール装置6に送られて二つ折りされた包装フィルムの両端部分に対して縦シールが施され、その後、第二縦シール装置7に送られて二つ折りされた包装フィルムの中央部分に対して縦シールが施され、包装フィルムFXは二つの筒状形態になる。
【0025】
二つの筒状の包装フィルムFXは、第一横シール装置8の横シールロールにより、包装フィルムの横方向(幅方向)にシールされ、この横シールにより包装袋の底部が形成される。二つの有底筒状に形成された包装フィルムFX内に充填パイプ4と充填パイプ5が挿入されており、この充填パイプ4と充填パイプ5を通して二種類の内容物が包装袋内に充填される。
【0026】
その後、第一横シール装置8の横シールロールは、二種類の内容物が充填された包装フィルムFXの開口側を横シールし、これにより、有底筒状の包装フィルムに充填された二種類の内容物は封止されてペアパック包装袋形態となる。この包装袋は直下の第二横シール装置9の横シールロールに送られる。この第二横シールロール9は、第一横シール装置8によって形成された横シール部分を再度横シールして、その横シール部分をより確実にするための線条シール等を形成する。
【0027】
そして、刻印ロール装置10により出来上がった連続包装袋の横シール部分に対して、番号若しくは記号等で構成された各種情報が刻印され、ノッチカッター装置11により縦シール部分に対して開封用の切り込みノッチが形成され、横カッター装置12により横シール中央部分に対してミシン目加工若しくは切断加工されて個別の包装袋形態とし、ダイカット装置13により個別包装袋の余分な部分を切り離して所定形状の包装袋になるように打ち抜かれる。
【0028】
なお、上記刻印ロール装置10、ノッチカッター装置11、横カッター装置12、ダイカット装置13は、自動包装機1によって作り上げられる包装袋の形態に応じて任意に選択可能な構成になっており、自動包装機1本体より着脱可能なユニット形式になっている。このような構成にすることによって、上記各装置自体の着脱が簡単になり、追加搭載工事の容易化と工事費用のコストダウンを可能にしている。
【0029】
図2は、本発明に係る縦シール装置における縦シールロールの一構成例を示す正面図である。図2に示すように、縦シールロール16は、縦ヒートシールロール軸本体60と二つの縦ヒートシール部61、610で構成され、この二つの縦ヒートシール部61、610は、縦ヒートシールロール軸本体60に挿通され、且つ、このロール軸方向に移動調整可能になっている。また、縦ヒートシール部61は、正面より見て左側の縦シール部分を担当し、縦ヒートシール部610は、正面より見て右側の縦シール部分を担当しており、それぞれ左右所定位置に配備できるように移動可能な構成になっている。
【0030】
そして、縦ヒートシールロール軸本体60の内部には、加熱手段(カートリッジヒータ等)と温度検出手段(熱電対等)が組み入れられており、縦ヒートシール動作を行う際には所定の温度に加熱維持されている。
【0031】
また、縦ヒートシール部61は、実際の縦ヒートシールを行う縦ヒートシール刃62と、この縦ヒートシール部61を縦ヒートシールロール軸本体60に取り付けている固定ボス部63とから成っている。この縦ヒートシール刃62には、縦ヒートシールを施す際に付与される模様となるシール目64が付設されており、この固定ボス部63には、縦ヒートシール部61を縦ヒートシールロール軸本体60に固定する際に回し締めする締付ボルト65が付設されている。
【0032】
さらに、この縦ヒートシール刃62と固定ボス63部の間には、縦ヒートシールロール軸本体と直行する方向にスリットS3が付設され、固定ボス部63には、スリットS3が設けられた位置の反対側に縦ヒートシールロール軸方向に沿ったスリットS1が付設されている。
【0033】
また、縦ヒートシール部610は、実際の縦ヒートシールを行う縦ヒートシール刃620と、この縦ヒートシール部610を縦ヒートシールロール軸本体60に取り付けている固定ボス部630とから成っている。この縦ヒートシール刃620には、縦ヒートシールを施す際に付与される模様となるシール目640が付設されており、この固定ボス部630には、縦ヒートシール部610を縦ヒートシールロール軸本体60に固定する際に回し締めする締付ボルト650が付設されている。
【0034】
さらに、この縦ヒートシール刃620と固定ボス630部の間には、縦ヒートシールロール軸本体と直行する方向にスリットS30が付設され、固定ボス部630には、スリットS30が設けられた位置の反対側に縦ヒートシールロール軸方向に沿ったスリットS10が付設されている。
【0035】
図3は、本発明に係る縦ヒートシール部61を取り出して説明している側面図であり、図4は、本発明に係る縦ヒートシール部61を取り出して説明している正面図であり、図5は、図3において示したA−A間の一部断面図である。図3に示すように、縦ヒートシール部61には、縦ヒートシールロール軸本体60が挿通される取り付け孔68が形成され、この取り付け孔68を同心として縦ヒートシール刃62と、固定ボス部63が一体形成されている。この縦ヒートシール刃62と固定ボス部63の間には、縦ヒートシールロール軸本体と直行する方向にスリットS3が付設されており、このスリットS3は、図3に示すように、縦ヒートシール刃62と固定ボス部63の間の接合面における半分以内の面を切断するように付設されている。即ち、図3では、B度の角度を有する範囲が切断され、このB度は、最大180度となるような値が採用されている。
【0036】
また、固定ボス63には、縦ヒートシールロール軸方向に沿った形で、スリットS3が設けられた位置の反対側にスリットS1が設けられ、同じく縦ヒートシールロール軸方向に沿った形で、スリットS3が設けられた位置にスリットS2が設けられている。そして、スリットS1は、取り付け孔68側から切断しつつ固定ボス部63を一部残して切断するように付設されており、スリットS2は、固定ボス部63を全て切断するように付設されている。
【0037】
また、スリットS2を挟んで締付ボルト65を挿入するボルト挿入孔66と締付ボルト65を螺入するボルト螺入孔67が付設されており、図3に示すように、締付ボルト65が螺動挿入されている。なお、このボルト挿入孔66は、締付ボルト65が自由に動くように僅かな隙間を有する筒状孔であり、ボルト螺入孔67は、締付ボルト65と螺動嵌合するようにネジ切りされたタップ孔である。
【0038】
この縦ヒートシール部61に付設されているスリット1とスリット3を別の角度から見たのが、図4と図5である。図4と図5に示すように、縦ヒートシール部61は、実際の縦ヒートシールを行う縦ヒートシール刃62と、この縦ヒートシール部61を縦ヒートシールロール軸本体60に取り付けている固定ボス部63とから成っている。この縦ヒートシール刃62には、縦ヒートシールを施す際に付与される模様となるシール目64が付設されており、この固定ボス部63には、縦ヒートシール部61を縦ヒートシールロール軸本体60に固定する際に回し締めする締付ボルト65が付設されている。
【0039】
さらに、この縦ヒートシール刃62と固定ボス部63の間には、縦ヒートシールロール軸本体と直行する方向にスリットS3が付設され、固定ボス部63には、スリットS3が設けられた位置の反対側に縦ヒートシールロール軸方向に沿ったスリットS1が付設されている。
【0040】
このスリットS1は、固定ボス部63における半分の範囲が切断されており、切断線の傾きは、図5に示すように、斜め45度の角度を持って切り落とされている。そして、本願発明における各スリットの切断幅の一例は、スリットS1では2mm幅、スリットS2では4mm幅、スリットS3では1mm幅という値を採用している。
【0041】
次に、縦ヒートシール部61を縦ヒートシールロール軸本体60に固定若しくは緩める場合の動きを説明する。即ち、固定ボス部63に付設されたボルト挿入孔66とボルト螺入孔67に取り付けられた締付ボルト65を回し締めて固定ボス部63を縮径させることにより、縦ヒートシール部61を縦ヒートシールロール軸本体60に固定しており、固定された縦ヒートシール部61を縦ヒートシールロール軸本体60から緩めて移動させる場合は、ボルト挿入孔66とボルト螺入孔67に取り付けられた締付ボルト65を回し緩めて固定ボス部63を膨径させることにより、固定された縦ヒートシール部61が縦ヒートシールロール軸本体60より緩められて移動可能の状態になる。
【0042】
このような縦ヒートシール部61の固定方法は、縦ヒートシール部61を縦ヒートシールロール軸と直行する方向に締め付けると共に、縦ヒートシールロール軸を掴むように締め付けるため、固定の際に軸方向若しくは回転方向にずれることが無くなり、締め付け前に実施した一対の縦ヒートシールロール同士の目合わせ作業を締め付け後に再度実施する必要が無くなる。また、縦ヒートシール部61の位置変更を繰り返しても固定ボス部63の変形が少なく、多少変形しても固定作業に与える影響が少なくて済むため、当初の性能を長期間維持できる。
【0043】
引き続き、各スリットの果たしている役割若しくは各スリットによる動きを説明する。各スリットの内スリット2は、上記のような固定ボス部63の縮径動作に伴う当該スリット間隔の狭まり及び固定ボス部63の膨径動作に伴う当該スリット間隔の拡がりを吸収するように作動し、スリット1とスリット3は、上記縮径固定作業及び膨径移動作業に伴って発生する固定ボス部63のひずみを縦ヒートシール刃62に伝えないように作動している。
【0044】
特に、スリット1とスリット3の切断具合は、縦ヒートシールロール軸本体60から縦ヒートシール部61へ伝わるヒータ熱の伝導具合と、縦ヒートシールロール軸本体60から固定ボス部63を経由して縦ヒートシール部61へ伝わるヒータ熱の伝導具合の合計値と、縦ヒートシール部61の固定強度具合と、固定ボス部63で発生するひずみの遮断具合を考慮して決定される。
【0045】
即ち、スリット1とスリット3の切断量が多いと、ひずみ遮断効果は高くなるが、一方で、縦ヒートシール部61の固定強度は低くなり、ヒータ熱の伝導効果も低くなる。また、スリット1とスリット3の切断量が少ないと、縦ヒートシール部61の固定強度は高くなり、ヒータ熱の伝導効果も高くなるが、一方で、ひずみ遮断効果は低くなる。
【0046】
図6は、本発明に係る他の縦ヒートシール部611を取り出して説明している側面図である。図6に示すように、縦ヒートシール部611は、実際の縦ヒートシールを行う縦ヒートシール刃621と、この縦ヒートシール部611を縦ヒートシールロール軸本体60に取り付けている固定ボス部631とから成っている。この縦ヒートシール刃621には、縦ヒートシールを施す際に付与される模様となるシール目641が付設されており、この固定ボス部631には、縦ヒートシール部611を縦ヒートシールロール軸本体60に固定する際に回し締めする締付ボルト651が付設されている。
【0047】
さらに、この縦ヒートシール刃621と固定ボス部631の間には、縦ヒートシールロール軸本体と直行する方向にスリットS31が付設され、固定ボス部631には、スリットS31が設けられた位置の反対側に縦ヒートシールロール軸方向に沿ったスリットS11が付設されている。この他の縦ヒートシール部611を構成している部材において、図4に示した例と異なる点は、縦ヒートシール刃621のシールロール軸方向の厚み寸法が薄くなっている点のみであり、他の構成部材や各スリットの付設状況は同じである。即ち、図6に示した例は、包装袋の縦ヒートシール幅とほぼ同じ縦ヒートシール刃621を用いた例であり、ペアパック包装袋形態における中央の縦ヒートシールを施す際などに用いられている。
【0048】
なお、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、特許請求の範囲における発明特定事項とそれぞれ対応関係を有するが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
【0049】
例えば、本願発明では、シール目64とシール目640及びシール目641に付加された模様を碁盤目の例で説明しているが、これに限定されるものではなく、模様のないベタ目や斜め線が交差した綾目等の模様を採用できる。
【0050】
また、本願発明では、スリット1の切断量を固定ボス部63における45度傾けた半分の範囲としており、スリット3の切断量を縦ヒートシール刃62と固定ボス部63の間の接合面における半分以内の面を切断するとしているが、これに限定されるものではなく、縦ヒートシール部61の材質(強度、熱による膨張率や伝導率等)によって適宜最適な値を採用できる。
【0051】
また、本願発明では、各スリットの切断幅の一例としてスリットS1では2mm幅、スリットS2では4mm幅、スリットS3では1mm幅という値を採用しているが、これに限定されるものではなく、縦ヒートシール部61の材質(強度、熱による膨張率や伝導率等)によって適宜最適な値を採用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 ロールタイプ自動包装機
2 フィルム折り返しロール
3 フィルム折畳機構
4、5 充填パイプ
6 第一縦シール装置
7 第二縦シール装置
8 第一横シール装置
9 第二横シール装置
10 刻印ロール装置
11 ノッチカッター装置
12 横カッター装置
13 ダイカット装置
14 制御ボックス
15 操作ボックス
16 縦シールロール
60 縦ヒートシールロール軸本体
61、610、611 縦ヒートシール部
62、620、621 縦ヒートシール刃
63、630、631 固定ボス部
64、640、641 シール目
65、650、651 締付ボルト
66 ボルト挿入孔
67 ボルト螺入孔
68 取り付け孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに折り曲げられた包装フィルムを垂直下方に引き下ろしながら重ね合わされた包装フィルムに対してヒートシールを施す自動包装機用縦シールロール機構であって、
上記縦シールロール機構は、加熱手段と温度検出手段を内蔵し回転可能に設けられた一対の縦ヒートシールロール軸本体と、この縦ヒートシールロール軸本体に対して移動調整可能に設けられ、且つ、前記縦ヒートシールロール軸を挿通する取り付け孔が形成された縦ヒートシール部で構成され、
上記縦ヒートシール部は、包装フィルムに対して縦ヒートシールを施す縦ヒートシール刃と、当該縦ヒートシール刃と一体成型され、この縦ヒートシール部を縦ヒートシールロール軸本体に取り付ける固定ボス部とから成り、
上記縦ヒートシール刃と固定ボス部の間には、縦ヒートシールロール軸本体と直行する方向に第三のスリットが付設され、固定ボス部には、第三のスリットが設けられた位置の反対側に縦ヒートシールロール軸方向に沿った第一のスリットと、第三のスリットが設けられた位置に縦ヒートシールロール軸方向に沿った第二のスリットが付設されると共に、当該第二のスリットを挟んで締付ボルトを挿入するボルト挿入孔と締付ボルトを螺入するボルト螺入孔が付設されていることを特徴とする自動包装機用縦シールロール機構。
【請求項2】
前記第一のスリットは、取り付け孔側から切り込みつつ固定ボス部を一部残して切断するように付設され、
第二のスリットは、固定ボス部を全て切断するように付設され、
第三のスリットは、縦ヒートシール刃と固定ボス部の間の半分以内を切断するように付設されていることを特徴とする請求項1記載の自動包装機用縦シールロール機構。
【請求項3】
前記縦ヒートシール部を縦ヒートシールロール軸本体に固定する場合、ボルト挿入孔とボルト螺入孔に取り付けられた締付ボルトを回し締めて固定ボス部を縮径させ、
固定された縦ヒートシール部を縦ヒートシールロール軸本体から緩めて移動させる場合、ボルト挿入孔とボルト螺入孔に取り付けられた締付ボルトを回し緩めて固定ボス部を膨径させ、
前記第二のスリットは、上記固定ボス部の縮径動作に伴う当該スリット間隔の狭まり及び固定ボス部の膨径動作に伴う当該スリット間隔の拡がりを吸収するように作動し、
第一のスリットと第三のスリットは、上記縮径固定作業及び膨径移動作業に伴って発生する固定ボス部のひずみを縦ヒートシール刃に伝えないように作動することを特徴とする請求項2記載の自動包装機用縦シールロール機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−81986(P2012−81986A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230242(P2010−230242)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】