説明

ロール支持機構、画像形成装置及び組立体

【課題】導通部材70Bと第1転写ロール26との間における導通の信頼性を確保しつつ、第1転写ロール26の回転抵抗を低減する。
【解決手段】支持体70の絶縁部材70Aが第1転写ロール26に接触する接触面積は、導通部材70Bが第1転写ロール26に接触する接触面積よりも小さくされている。このため、絶縁部材70Aの第1転写ロール26への接触面積が、導通部材70Bの第1転写ロール26への接触面積よりも大きい場合に比べ、導通部材70Bと第1転写ロール26との間における導通の信頼性を確保しつつ、第1転写ロール26の回転抵抗が低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール支持機構、画像形成装置及び組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、高圧電源基盤15に接点23を設け、コイルばね部24aとリング接点部24bを備えた接点ばね24を取付用ケース25によって接点23に導通するように且つリング接点部24bがケース外に突出するように取り付け、一方、転写ローラ10には導電性の軸受17を介して転写ばね18を導通させておき、単に高圧電源基盤15を所定位置に挿入するのみで、接点ばね24のリング接点部24bが転写ばね18に接触し、高圧電源基盤15の接点23を転写ローラ10に導通させる構成が開示されている。
【0003】
特許文献2には、帯電装置において、複数の給電経路を有し、該複数の給電経路として少なくとも、前記帯電部材を回転自在に支持する導電性の軸受けとしての第1の給電部材を介して前記帯電部材と前記電極とを連結する給電経路と、前記帯電部材の回転軸の軸周面に当接した第2の給電部材を介して前記帯電部材と前記電極とを連結する給電経路とを有し、前記第1の給電部材を介して前記帯電部材を被帯電体に圧接させる弾性体と前記第2の給電部材を前記回転軸の軸周面に圧接させる弾性体とが同一の部材である構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−319239号公報(図4)
【特許文献2】特開平10−207185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、導通部と被導通ロールとの間における導通の信頼性を確保しつつ、被導通ロールの回転抵抗を低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、被導通ロールの外周の周方向一部に接触して前記被導通ロールと導通する導通部と、前記被導通ロールの外周の周方向他部に前記導通部よりも小さい面積で接触し絶縁材料で形成された絶縁部と、で前記被導通ロールを回転可能に支持するロール支持機構である。
【0007】
請求項2の発明は、前記導通部を前記被導通ロールへ押し付けると共に、前記導通部と導通する押付部材を備える請求項1に記載のロール支持機構である。
【0008】
請求項3の発明は、前記押付け部材は、前記被導通ロールと前記導通部との接触位置よりも前記被導通ロールの回転軸方向外側で前記導通部を前記被導通ロールへ押し付ける請求項2に記載のロール支持機構である。
【0009】
請求項4の発明は、前記導通部は、前記被導通ロールの外周に沿って接触する曲面部を有し、前記絶縁部は、前記被導通ロールの外周に対してそれぞれが接触する一対の接触部と、前記被導通ロールの外周に沿って前記接触部の一方から他方へかけて曲率が変化するように形成され前記被導通ロールの外周が非接触とされた曲面部と、を有する請求項3に記載のロール支持機構である。
【0010】
請求項5の発明は、画像を保持する画像保持体と、前記画像が転写される転写体と、電圧が印加されることで前記画像保持体から前記転写体へ前記画像を転写する、前記被導通ロールとしての転写ロールと、前記導通部と前記絶縁部とで前記転写ロールを回転可能に支持すると共に、前記導通部を通じて、前記転写ロールに電圧を印加する請求項1〜4のいずれか1項に記載のロール支持機構と、を備える画像形成装置である。
【0011】
請求項6の発明は、電圧が印加されることで被帯電体を帯電させる、前記被導通ロールとしての帯電ロールと、前記帯電ロールによって帯電した被帯電体を露光して潜像を形成する露光装置と、前記露光装置によって形成された潜像を現像する現像装置と、前記導通部と前記絶縁部とで前記転写ロールを回転可能に支持すると共に、前記導通部を通じて、前記転写ロールに電圧を印加する請求項1〜4のいずれか1項に記載のロール支持機構と、を備える画像形成装置である。
【0012】
請求項7の発明は、画像を保持する画像保持体と、前記画像が転写される転写体と、電圧が印加されることで前記画像保持体から前記転写体へ前記画像を転写する、前記被導通ロールとしての転写ロールと、前記導通部と前記絶縁部とで前記転写ロールを回転可能に支持すると共に、前記導通部を通じて、前記転写ロールに電圧を印加する請求項1〜4のいずれか1項に記載のロール支持機構と、が装置本体に一体に着脱可能に組み立てられた組立体である。
【0013】
請求項8の発明は、電圧が印加されることで被帯電体を帯電させる、前記被導通ロールとしての帯電ロールと、前記導通部と前記絶縁部とで前記転写ロールを回転可能に支持すると共に、前記導通部を通じて、前記転写ロールに電圧を印加する請求項1〜4のいずれか1項に記載のロール支持機構と、が装置本体に一体に着脱可能に組み立てられた組立体である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1の構成によれば、絶縁部の被導通ロールへの接触面積が導通部の被導通ロールへの接触面積よりも大きい場合に比べ、導通部と被導通ロールとの間における導通の信頼性を確保しつつ、被導通ロールの回転抵抗を低減することできる。
【0015】
本発明の請求項2の構成によれば、導通部を被導通ロールへ押し付けない場合に比べ、導通部と被導通ロールとの間における導通の信頼性を確保できる。
【0016】
本発明の請求項3の構成によれば、押付け部材が、被導通ロールと導通部との接触位置で導通部を被導通ロールへ押し付ける場合に比べ、ロール支持機構における、被導通ロールの半径方向に沿ったロール支持機構全体の寸法を小さくできる。
【0017】
本発明の請求項4の構成によれば、導通部と絶縁部とによって形成された孔形状が真円である場合に比べ、導通部と被導通ロールとの間における導通の信頼性を確保しつつ、被導通ロールの回転抵抗を低減することできる。
【0018】
本発明の請求項5の構成によれば、ロール支持機構を備えない場合に比べ、導通部と被導通ロールとの間における導通の信頼性を確保しつつ、転写ロールの回転抵抗を低減することできる。
【0019】
本発明の請求項6の構成によれば、ロール支持機構を備えない場合に比べ、導通部と被導通ロールとの間における導通の信頼性を確保しつつ、帯電ロールの回転抵抗を低減することできる。
【0020】
本発明の請求項7の構成によれば、ロール支持機構を備えない場合に比べ、導通部と被導通ロールとの間における導通の信頼性を確保しつつ、転写ロールの回転抵抗を低減することできる。
【0021】
本発明の請求項8の構成によれば、ロール支持機構を備えない場合に比べ、導通部と被導通ロールとの間における導通の信頼性を確保しつつ、帯電ロールの回転抵抗を低減することできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る中間転写ユニットの構成を示す概略斜視図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る転写ユニットの構成を示す概略斜視図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る転写ユニットの構成を示す概略断面図である。
【図5】図5は、図4に示す構成において、転写ユニットの非電圧印加側端部の拡大図である。
【図6】図6は、図4に示す構成において、転写ユニットの電圧印加側端部の拡大図である。
【図7】図7は、本実施形態に係る導通部材の構成を示す概略斜視図である。
【図8】図8は、導通部材及び絶縁部材によって形成された孔形状を説明するための説明図である。
【図9】図9は、図3におけるa−a線断面図である。
【図10】図10は、本実施形態に係る絶縁部の変形例を示す概略断面図である。
【図11】図11は、本実施形態に係る転写ユニットの構成を帯電ユニットに適用した場合の構成を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0024】
(本実施形態に係る画像形成装置の構成)
まず、本実施形態に係る画像形成装置の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。なお、図中に示す矢印UPは鉛直方向上方を示す。
【0025】
画像形成装置10は、図1に示すように、各構成部品が内部に収容される画像形成装置本体11を備えている。
【0026】
画像形成装置本体11の内部には、用紙等の記録媒体Pが収容される記録媒体収容部12と、記録媒体Pに画像を形成する画像形成部14と、記録媒体収容部12から画像形成部14へ記録媒体Pを搬送する搬送部16と、画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20とが設けられている。また、画像形成装置本体11の上部には、画像形成部14によって画像が形成された記録媒体Pが排出される記録媒体排出部18が設けられている。
【0027】
画像形成部14は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像を形成する画像形成ユニット22Y、22M、22C、22K(以下、22Y〜22Kと示す)と、画像形成ユニット22Y〜22Kで形成されたトナー画像が転写される転写体の一例としての中間転写ベルト24と、画像形成ユニット22Y〜22Kで形成されたトナー画像を中間転写ベルト24に転写するための第1転写部材の一例としての第1転写ロール26(被導通ロールの一例)と、第1転写ロール26によって中間転写ベルト24に転写されたトナー画像を中間転写ベルト24から記録媒体Pへ転写するための第2転写部材の一例としての第2転写ロール28と、第2転写ロール28によって中間転写ベルト24から記録媒体Pへ転写されたトナー画像を記録媒体Pに定着させる定着装置30と、を備えている。
【0028】
画像形成ユニット22Y〜22Kは、水平方向に対して傾斜した状態で、画像形成装置10の上下方向中央部に並んで配置されている。また、画像形成ユニット22Y〜22Kは、画像を保持する画像保持体として、一方向(図1における時計回り方向)へ回転する感光体32をそれぞれ有している。なお、画像形成ユニット22Y〜22Kは、同様に構成されているので、図1において、画像形成ユニット22M、22C、22Kの各部の符号を省略している。
【0029】
各感光体32の周囲には、感光体32の回転方向上流側から順に、感光体32を帯電させる帯電装置の一例としての帯電ロール34と、帯電ロール34によって帯電した感光体32を露光して感光体32に静電潜像を形成する露光装置36と、露光装置36によって感光体32に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置38と、感光体32に形成されたトナー画像が中間転写ベルト24に転写された後に感光体32に残留しているトナーを除去する除去装置40と、が設けられている。
【0030】
露光装置36は、制御部20から送られた画像信号に基づき静電潜像を形成するようになっている。制御部20から送られる画像信号としては、例えば、制御部20が外部装置から取得した画像信号がある。
【0031】
現像装置38は、感光体32へ現像剤を供給する現像剤供給体38Aと、現像剤供給体38Aへ付与される現像剤を攪拌しながら搬送する複数の搬送部材38Bとを備えている。
【0032】
中間転写ベルト24は、図1に示すように、環状に形成されると共に、画像形成ユニット22Y〜22Kの上側に配置されている。中間転写ベルト24の内周側に、中間転写ベルト24が巻き掛けられる巻掛ロール42、44が設けられている。中間転写ベルト24は、巻掛ロール42、44のいずれかが回転駆動することによって、感光体32と接触しながら一方向(図1における反時計回り方向)へ循環移動(回転)するようになっている。
【0033】
なお、巻掛ロール42は、第2転写ロール28に対向する対向ロールとされている。
【0034】
また、中間転写ベルト24は、巻掛ロール42、44と、その巻掛ロール42、44を回転可能に支持する支持体43とを含んで、中間転写ユニット45を構成している。
【0035】
図2に示すように、中間転写ユニット45は、画像形成装置本体11に対して着脱可能に設けられており、画像形成装置本体11に一体に着脱可能に組み立てられた組立体(プロセスカートリッジ)の一例をなしている。
【0036】
なお、中間転写ユニット45の支持体43は、後述の転写ユニット60及び画像形成ユニット22Y〜22Kも支持しており、中間転写ユニット45は、中間転写ベルト24、転写ユニット60及び画像形成ユニット22Y〜22Kを含んで、画像形成装置本体11に対して着脱されるように構成されている。
【0037】
第1転写ロール26は、中間転写ベルト24を挟んで感光体32に対向している。第1転写ロール26と感光体32との間が、感光体32に形成されたトナー画像が中間転写ベルト24に転写される第1転写位置とされている。また、第1転写ロール26は、中間転写ベルト24に接触しており、循環移動する中間転写ベルト24に従動して回転するように構成されている。
【0038】
図1に示すように、第1転写ロール26は、第1転写ロール26を支持するロール支持機構62とを含んで、転写装置の一例としての転写ユニット60を構成している。なお、転写ユニット60の具体的な構成については、後述する。
【0039】
第2転写ロール28は、中間転写ベルト24を挟んで巻掛ロール42と対向している。第2転写ロール28と巻掛ロール42との間が、中間転写ベルト24に転写されたトナー画像が記録媒体Pに転写される第2転写位置とされている。
【0040】
搬送部16は、記録媒体収容部12に収容された記録媒体Pを送り出す送出ロール46と、送出ロール46に送り出された記録媒体Pが搬送される搬送路48と、搬送路48に沿って配置され送出ロール46によって送り出された記録媒体Pを第2転写位置へ搬送する複数の搬送ロール50と、が設けられている。
【0041】
定着装置30は、第2転写位置より搬送方向下流側に配置されており、第2転写位置で転写されたトナー画像を記録媒体Pへ定着させる。定着装置30よりも搬送方向下流側には、トナー画像が定着された記録媒体Pを記録媒体排出部18へ排出する排出ロール52が設けられている。
【0042】
次に、本実施形態に係る画像形成装置10における、記録媒体Pへ画像を形成する画像形成動作について説明する。
【0043】
本実施形態に係る画像形成装置10では、記録媒体収容部12から送出ロール46によって送り出された記録媒体Pが、複数の搬送ロール50によって第2転写位置へ送り込まれる。
【0044】
一方、画像形成ユニット22Y〜22Kでは、帯電ロール34によって帯電した感光体32が、露光装置36によって露光されて感光体32に静電潜像が形成される。その静電潜像が現像装置38によって現像されて感光体32にトナー画像が形成される。画像形成ユニット22Y〜22Kで形成された各色のトナー画像は、第1転写位置にて中間転写ベルト24に重ねられて、カラー画像が形成される。そして、中間転写ベルト24に形成されたカラー画像が、第2転写位置にて記録媒体Pへ転写される。
【0045】
トナー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置30へ搬送され、転写されたトナー画像が定着装置30により定着される。トナー画像が定着された記録媒体Pは、排出ロール52によって記録媒体排出部18に排出される。以上のように、一連の画像形成動作が行われる。
【0046】
(本実施形態に係る転写ユニット60の構成)
次に、本実施形態に係る転写ユニット60の構成について説明する。図3は、本実施形態に係る転写ユニット60の構成を示す概略斜視図である。
【0047】
本実施形態に係る転写ユニット60は、図3に示すように、被導通ロールの一例としての第1転写ロール26と、第1転写ロール26を支持するロール支持機構62と、ロール支持機構62が設けられたユニット本体64と、を備えている。
【0048】
第1転写ロール26は、図4に示すように、円柱状のロール本体26Aと、ロール本体26Aの軸方向両端部のそれぞれに一体に形成されロール本体26Aよりも小径である一対の軸部26Bと、を備えている。ロール本体26A及び一対の軸部26Bは、導電性を有する導電性材料、具体的には、金属で形成されている。
【0049】
第1転写ロール26は、外部から電圧が印加されることで帯電し、この帯電による静電力によって感光体32(図1参照)のトナーを中間転写ベルト24に転写させる。第1転写ロール26は、一端側(図4における右端側)が電圧が印加される電圧印加側とされ、他端側(図4における左端側)は、電圧の印加がなされない非電圧印加側とされている。
【0050】
ユニット本体64は、図3に示すように、全体として、中間転写ベルト24側(図3における上方)が開放された箱状に形成されている。具体的には、ユニット本体64は、第1転写ロール26を介して中間転写ベルト24に対向する対向壁(図3において下側に配置された底壁)64Aと、第1転写ロール26の軸方向に沿って対向壁64Aと一体に形成された一対の第1側壁64Bと、第1転写ロール26の軸方向両端側のそれぞれで対向壁64A及び第1側壁64Bと一体に形成された一対の第2側壁64Cと、を備えて構成されている。
【0051】
対向壁64A、第1側壁64B及び第2側壁64Cは、板状に形成されており、対向壁64A及び第1側壁64Bは、第1転写ロール26の軸方向に沿って長さを有している。
【0052】
一対の第1側壁64Bの長さ方向両端部には、それぞれ、後述の張出片69及び張出片72が嵌合される開口67が形成されている。また、対向壁64Aの長さ方向両端部には、図5及び図6に示すように、それぞれ、対向壁64Aから中間転写ベルト24(図5及び図6における上方)へ向かって突出する凸部65が形成されている。
【0053】
ロール支持機構62は、図4に示すように、第1転写ロール26の非電圧印加側(図4における左側)の軸部26Bを回転可能に支持する支持体66と、支持体66を介して第1転写ロール26を中間転写ベルト24へ押し付ける押付部材の一例としての圧縮コイルバネ68と、を備えている。
【0054】
非電圧印加側の支持体66は、絶縁性を有する絶縁性材料(例えば、絶縁性樹脂)で形成されている。支持体66における絶縁性とは、軸部26Bの径方向外側にある導電性を有する部材(例えば、感光体32の軸方向端部)へ軸部26Bからの短絡が生じない程度に絶縁される性質であり、具体的には、少なくとも、後述の導通部材70Bよりも体積抵抗率が高くされている。
【0055】
非電圧印加側の支持体66には、図3に示すように、各第1側壁64Bへ張り出す張出片69が形成されており、各第1側壁64Bに形成された開口67に張出片69が嵌合して、支持体66がユニット本体64に取り付けられている。開口67に嵌合した張出片69と各第1側壁64Bとの間には隙間が形成されており、開口67内を張出片69が移動する可動範囲において、支持体66が、第1転写ロール26の軸方向及び中間転写ベルト24に接離する方向に移動可能とされている。
【0056】
非電圧印加側の支持体66の第1転写ロール26側には、図5に示すように、第1転写ロール26の軸部26Bが差し込まれる凹状の差込部66Aが形成されている。第1転写ロール26は、差込部66Aに軸部26Bが差し込まれて、軸部26Bが差込部66A内を滑り動くことにより、回転するようになっている。すなわち、支持体66は、第1転写ロール26の軸方向一端部を回転可能に支持するすべり軸受とされている。
【0057】
非電圧印加側の支持体66の対向壁64A側には、圧縮コイルバネ68が収容される凹状の収容部66Bが形成されている。圧縮コイルバネ68は、軸方向一端側(図5における下端側)からその中空に対向壁64Aの凸部65が差し込まれると共に、軸方向他端側(図5における上端側)から支持体66の収容部66B内に収容されることにより、支持体66と対向壁64Aとの間に装着される。支持体66と対向壁64Aとの間に装着された圧縮コイルバネ68は、支持体66を中間転写ベルト24側(図5における上方)へ押すことにより、第1転写ロール26を中間転写ベルト24へ押し付けるようになっている。支持体66に形成された収容部66Bは、差込部66Aに対して、第1転写ロール26の軸方向外側(図5における左側)へずれて配置されている。これにより、圧縮コイルバネ68は、第1転写ロール26の軸方向外側へずれた位置で、支持体66を介して第1転写ロール26を中間転写ベルト24へ押し付けている。
【0058】
また、ロール支持機構62は、図4に示すように、第1転写ロール26の電圧印加側(図4における右側)の軸部26Bを回転可能に支持する支持体70と、支持体70を介して第1転写ロール26を中間転写ベルト24へ押し付ける圧縮コイルバネ74と、を備えている。
【0059】
電圧印加側の支持体70は、図6に示すように、絶縁性を有する絶縁性材料(例えば、絶縁性樹脂)で形成された絶縁部の一例としての絶縁部材70Aと、第1転写ロール26と導通する導通部の一例としての導通部材70Bと、の2部品で構成されている。導通部材70Bは、導電性を有する導電性材料(例えば、導電性樹脂)で形成されると共に、絶縁部材70Aの内部に配置されている。絶縁部材70Aとしては、例えば、POM(ポリアセタール樹脂)が用いられ、導通部材70Bとしては、例えば、導電性を有する導電性POM(ポリアセタール樹脂)が用いられる。
【0060】
絶縁部材70Aにおける絶縁性とは、軸部26Bの径方向外側にある導電性を有する部材(例えば、感光体32の軸方向端部)へ軸部26Bからの短絡が生じない程度に絶縁される性質であり、具体的には、少なくとも、導通部材70Bよりも体積抵抗率が高くされている。
【0061】
支持体70の絶縁部材70Aには、図3に示すように、各第1側壁64Bへ張り出す張出片72が形成されており、各第1側壁64Bに形成された開口67に張出片72が嵌合して、支持体70がユニット本体64に取り付けられている。開口67に嵌合した張出片72と各第1側壁64Bとの間には隙間が形成されており、開口67内を張出片72が移動する可動範囲において、支持体70が、第1転写ロール26の軸方向及び中間転写ベルト24に接離する方向に移動可能にとされている。
【0062】
支持体70の絶縁部材70Aの第1転写ロール26側には、図6に示すように、第1転写ロール26の軸部26Bが差し込まれる凹状の差込部71Aが形成されている。また、絶縁部材70Aの対向壁64A側には、圧縮コイルバネ74が収容される凹状の収容部71Bが形成されている。
【0063】
差込部71Aと収容部71Bとは、第1転写ロール26の軸方向に沿ってつながっており、導通部材70Bが第1転写ロール26の軸方向に沿って差込部71Aと収容部71Bとに跨って配置されている。
【0064】
導通部材70Bは、差込部71A及び収容部71Bに配置された状態において、一端部(図6における左端部)が、差込部71Aにおいて軸部26Bに対する対向壁64A側に位置すると共に、他端部(図6における右端部)が、収容部71Bにおいて圧縮コイルバネ74に対する中間転写ベルト24側に位置する。
【0065】
導通部材70Bが、軸部26Bの対向壁64A側(図6における下側)の外周の周方向一部に接触すると共に、絶縁部材70Aが、軸部26Bの中間転写ベルト24側(図6における上側)の外周の周方向他部(上記の外周一部以外の部分)に接触して、導通部材70B及び絶縁部材70Aとによって第1転写ロール26を回転可能に支持するようになっている。第1転写ロール26が、絶縁部材70A及び導通部材70Bに対して滑り動くことにより、回転するようになっている。すなわち、支持体70(導通部材70B及び絶縁部材70A)は、第1転写ロール26の軸方向一端部を回転可能に支持するすべり軸受とされている。
【0066】
導通部材70Bは、図7に示すように、軸部26Bに接触する接触部73が軸部26Bの軸方向に沿って複数(具体的には、3つ)形成されている。
【0067】
また、絶縁部材70A及び導通部材70Bによって構成される差込部71Aの孔形状は、図8に示すように、第1転写ロール26の回転軸方向に沿って見た場合に、概略的に、第1転写ロール26が中間転写ベルト24に対して接離する方向(図8における上下方向)に長さを有する長円(楕円形状)とされている(図8における二点鎖線参照)。具体的には、絶縁部材70A及び導通部材70Bによって構成される差込部71Aの孔形状は、絶縁部材70Aが第1転写ロール26と接触する接触部(図9におけるA部分)の間の寸法よりも、図9における頂部Cと底部Dとの間の寸法が長くされている。
【0068】
詳細には、第1転写ロール26の回転軸方向に沿って見た場合に、絶縁部材70Aは、第1転写ロール26に対する図8における上側に形成された曲面部73Aと、第1転写ロール26に対する図8における左右側のそれぞれに曲面部73Aに連続して図8における上下方向に沿って直線状に形成された一対の平面部73Bと、を有している。曲面部73Aは、接触部(図9におけるA部分)の一方から他方にかけて曲率が変化すると共に、少なくとも、第1転写ロール26の外周の曲率よりも大きい曲率を有している。具体的には、曲面部73Aは、平面部73B側(図8における下部側)から頂部Cに向けて徐々に曲率が大きくなるように変化している。なお、平面部73Bは、第1転写ロール26よりも曲率の小さい曲面部であってもよい。
【0069】
一対の平面部73Bと曲面部73Aとの境界部分の2箇所において、絶縁部材70Aは、第1転写ロール26と接触する接触部(図9におけるA部分)を構成している。その境界部分以外は、第1転写ロール26の外周に対して対向するものの、接触しない非接触部分となっている。
【0070】
また、第1転写ロール26の回転軸方向に沿って見た場合に、導通部材70Bは、第1転写ロール26の外周に沿って湾曲する曲面部75Aと、曲面部75Aに対する図8における左右側のそれぞれに曲面部75Aに連続して形成され図8における上側を向く一対の平面部75Bと、を有している。導通部材70Bにおいては、曲面部75Aが第1転写ロール26の外周面に沿って接触している。平面部75Bは、第1転写ロール26の外周に対して対向するものの、接触しない非接触部分となっている。
【0071】
なお、導通部材70Bは、平面部75Bがなく、導通部材70Bの全体が第1転写ロール26に接触していてもよい。また、平面部75Bは、第1転写ロール26接触しない曲面であってもよい。
【0072】
このように、図9に示すように、第1転写ロール26は、絶縁部材70Aに対する接触面積が、導通部材70Bに対する接触面積よりも小さくされている。具体的には、第1転写ロール26は、絶縁部材70Aに対して線接触(図9におけるA部分参照)とされ、導通部材70Bに対して面接触(図9におけるB部分参照)とされている。なお、第1転写ロール26の外周に対向すると共に第1転写ロール26の外周に対して非接触となる非接触面積は、絶縁部材70Aのほうが導通部材70Bより大きい。
【0073】
圧縮コイルバネ74は、導電性を有する導電性材料、具体的には、金属で形成されている。また、圧縮コイルバネ74は、図6に示すように、軸方向一端側(図6における下端側)からその中空に対向壁64Aの凸部65が差し込まれると共に、軸方向他端側(図6における上端側)から、絶縁部材70Aの収容部71B内に収容されることにより、絶縁部材70Aと対向壁64Aとの間に装着される。また、収容部71Bに収容された導通部材70Bの前記他端部(図6における右端部)は、絶縁部材70Aと圧縮コイルバネ74との間に配置される。
【0074】
これにより、圧縮コイルバネ74は、導通部材70B及び絶縁部材70Aを第1転写ロール26側(図6における上方)押すことにより、第1転写ロール26を中間転写ベルト24へ押し付けるようになっている。すなわち、圧縮コイルバネ74は、導通部材70Bを第1転写ロール26へ押し付ける押付部材の一例と機能すると共に、第1転写ロール26を中間転写ベルト24へ押し付ける部材としても機能する。
【0075】
絶縁部材70Aに形成された収容部71Bは、差込部71Aに対して、第1転写ロール26の軸方向外側(図6における左側)へずれて配置されている。これにより、圧縮コイルバネ74は、第1転写ロール26の軸方向外側へずれた位置で、導通部材70B及び絶縁部材70Aを介して第1転写ロール26を中間転写ベルト24へ押し付けている。
【0076】
また、圧縮コイルバネ74と対向壁64Aとの間には、圧縮コイルバネ74と導通する導通板80が設けられている。導通板80は、図示しない配線を介して、転写ユニット60の外部に配置された外部電源(図示省略)と電気的に接続されている。これにより、外部電源からの電力は、導通板80、圧縮コイルバネ74及び導通部材70Bを通じて、第1転写ロール26に供給されるようになっている。
【0077】
(本実施形態に係る作用)
次に、本実施形態に係る作用を説明する。
【0078】
本実施形態に係る転写ユニット60では、外部電源(図示省略)から、導通板80、圧縮コイルバネ74及び導通部材70Bを通じて、第1転写ロール26へ電圧が印加される。これにより、第1転写ロール26は帯電し、この帯電による静電力によって感光体32のトナーを中間転写ベルト24に転写させる。
【0079】
第1転写ロール26は、中間転写ベルト24に接触しており、中間転写ベルト24が循環移動することにより従動回転する。
【0080】
ここで、本実施形態では、支持体70の絶縁部材70Aが第1転写ロール26に接触する接触面積は、導通部材70Bが第1転写ロール26に接触する接触面積よりも小さくされている。このため、絶縁部材70Aの第1転写ロール26への接触面積が、導通部材70Bの第1転写ロール26への接触面積よりも大きい場合に比べ、導通部材70Bと第1転写ロール26との間における導通の信頼性を確保しつつ、第1転写ロール26の回転抵抗が低減される。
【0081】
また、本実施形態では、圧縮コイルバネ74によって導通部材70Bが第1転写ロール26へ押し付けられるので、導通部材70Bを第1転写ロール26へ押し付けない場合に比べ、導通部材70Bと第1転写ロール26との間における導通の信頼性を確保できる。
【0082】
また、本実施形態では、圧縮コイルバネ74が、第1転写ロール26と導通部材70Bとの接触位置よりも第1転写ロール26の回転軸方向外側で導通部材70Bを第1転写ロール26へ押し付けるので、第1転写ロール26と導通部材70Bとの接触位置で導通部材70Bを第1転写ロール26へ押し付ける場合に比べ、ロール支持機構62における、第1転写ロール26の半径方向に沿った長さが小さくなる。
【0083】
導通部材70Bを第1転写ロール26へ押し付ける圧縮コイルバネ68を利用して、第1転写ロール26を中間転写ベルト24へ押し付けるので、部品点数が増加しない。
【0084】
なお、本実施形態では、支持体70の絶縁部材70Aが第1転写ロール26に接触する接触面積が、導通部材70Bが第1転写ロール26に接触する接触面積よりも小さくされていればよいので、例えば、図10に示すように、絶縁部材70Aに形成され軸部26B側へ突出する複数の凸部82によって、第1転写ロール26の軸部26Bを支持する構成であってもよい。
【0085】
また、電圧印加側の支持体70は、絶縁部材70A及び導通部材70Bの2部品で構成されていたが、絶縁部材70A及び導通部材70Bが一体に形成されて一部品で構成されていてもよいし、3部品以上で構成されていてもよい。
【0086】
また、本実施形態に係る画像形成装置10においては、上記の転写ユニット60の構成を、帯電ロール34を含む帯電ユニットとして適用してもよい。この帯電ユニット160では、図11に示すように、被導通ロールの一例としての帯電ロール34と、帯電ロール34を支持するロール支持機構162と、ロール支持機構162が設けられたユニット本体164と、を備えている。帯電ロール34は、感光体32の外周面に接触配置されている。ロール支持機構162は、支持対象が第1転写ロール26であることを除いてロール支持機構62と同一構成とされ、ユニット本体164は、ユニット本体64と同一構成とされる。また、上記の転写ユニット60の構成を帯電ユニットとして適用する構成においては、画像形成装置10は、画像形成ユニット22Y〜22Kが画像形成装置本体11に対して着脱可能に設けられ、画像形成装置本体11に一体に着脱可能に組み立てられた組立体(プロセスカートリッジ)の一例をなすように構成してもよい。また、画像形成ユニット22Y〜22Kにおいては、露光装置36及び現像装置38が別体で構成されていてもよい。
【0087】
また、被導通ロールとしては、第1転写ロール26及び帯電ロール34に限られず、例えば、電力が供給される被供給ロール、具体的には、電力供給により生じる静電力によって被除去部材から異物を除去する除去ロール(清掃ロール)などであってもよく、この被供給ロール及び除去ロールに本実施形態に係るロール支持機構62を適用してもよい。
【0088】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0089】
10 画像形成装置
22Y 画像形成ユニット(組立体の一例)
24 中間転写ベルト(転写体の一例)
26 第1転写ロール
32 感光体ドラム(画像保持体の一例)
34 帯電ロール
36 露光装置
38 現像装置
45 中間転写ユニット(組立体の一例)
62 ロール支持機構
70A 絶縁部材(絶縁部の一例)
70B 導通部材(導通部の一例)
74 圧縮コイルバネ(押付部材の一例)
162 ロール支持機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被導通ロールの外周の周方向一部に接触して前記被導通ロールと導通する導通部と、
前記被導通ロールの外周の周方向他部に前記導通部よりも小さい面積で接触し絶縁材料で形成された絶縁部と、で前記被導通ロールを回転可能に支持するロール支持機構。
【請求項2】
前記導通部を前記被導通ロールへ押し付けると共に、前記導通部と導通する押付部材を備える請求項1に記載のロール支持機構。
【請求項3】
前記押付け部材は、前記被導通ロールと前記導通部との接触位置よりも前記被導通ロールの回転軸方向外側で前記導通部を前記被導通ロールへ押し付ける請求項2に記載のロール支持機構。
【請求項4】
前記導通部は、前記被導通ロールの外周に沿って接触する曲面部を有し、
前記絶縁部は、前記被導通ロールの外周に対してそれぞれが接触する一対の接触部と、前記被導通ロールの外周に沿って前記接触部の一方から他方へかけて曲率が変化するように形成され前記被導通ロールの外周が非接触とされた曲面部と、を有する請求項3に記載のロール支持機構。
【請求項5】
画像を保持する画像保持体と、
前記画像が転写される転写体と、
電圧が印加されることで前記画像保持体から前記転写体へ前記画像を転写する、前記被導通ロールとしての転写ロールと、
前記導通部と前記絶縁部とで前記転写ロールを回転可能に支持すると共に、前記導通部を通じて、前記転写ロールに電圧を印加する請求項1〜4のいずれか1項に記載のロール支持機構と、
を備える画像形成装置。
【請求項6】
電圧が印加されることで被帯電体を帯電させる、前記被導通ロールとしての帯電ロールと、
前記帯電ロールによって帯電した被帯電体を露光して潜像を形成する露光装置と、
前記露光装置によって形成された潜像を現像する現像装置と、
前記導通部と前記絶縁部とで前記転写ロールを回転可能に支持すると共に、前記導通部を通じて、前記転写ロールに電圧を印加する請求項1〜4のいずれか1項に記載のロール支持機構と、
を備える画像形成装置。
【請求項7】
画像を保持する画像保持体と、
前記画像が転写される転写体と、
電圧が印加されることで前記画像保持体から前記転写体へ前記画像を転写する、前記被導通ロールとしての転写ロールと、
前記導通部と前記絶縁部とで前記転写ロールを回転可能に支持すると共に、前記導通部を通じて、前記転写ロールに電圧を印加する請求項1〜4のいずれか1項に記載のロール支持機構と、
が装置本体に一体に着脱可能に組み立てられた組立体。
【請求項8】
電圧が印加されることで被帯電体を帯電させる、前記被導通ロールとしての帯電ロールと、
前記導通部と前記絶縁部とで前記転写ロールを回転可能に支持すると共に、前記導通部を通じて、前記転写ロールに電圧を印加する請求項1〜4のいずれか1項に記載のロール支持機構と、
が装置本体に一体に着脱可能に組み立てられた組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−180357(P2011−180357A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44197(P2010−44197)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】