説明

ロール状ペーパーの製造方法

【課題】所定幅のロール状ペーパーを適切な姿勢で搬送させるロール状ペーパーの製造方法を提供する。
【解決手段】長尺のロール状ペーパー42を切断して所定幅のロール状ペーパー41とする切断工程46の後に、所定幅のロール状ペーパー41が予め定められた適切な姿勢にて搬送される場合には所定幅のロール状ペーパー41と接触せず、所定幅のロール状ペーパー41がそれ以外の不適切な姿勢にて搬送される場合には所定幅のロール状ペーパー41と接触するように、所定幅のロール状ペーパー41の搬送経路22の上方を横断する感知手段2を用いて、所定幅のロール状ペーパー41が適切な姿勢で搬送されるように所定幅のロール状ペーパー41の姿勢の修正を促し、所定幅のロール状ペーパー41を適切な姿勢にて次工程へと搬送する検知工程47を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状ペーパーの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日の生産工程は、製品を迅速かつ大量に生産することを可能にする機械化が高度に進んでいる。このような大量生産を可能にする機械化に寄与する技術としては、搬送コンベアに代表される搬送装置を用いて、その搬送経路で材料などを搬送させながら順次加工していく生産システムを挙げることができる。このような生産システムを採用するものとしては、トイレットロールなどのロール状ペーパーの製造工程がある(特許文献1参照)。
【0003】
上述の生産システムを用いる場合、ロール状ペーパーの搬送姿勢は、作業の効率化の点で非常に重要である。例えば、ロール状ペーパーを複数束ねて包装する工程を考えると、ロール状ペーパーが不適切な姿勢で搬送されると、ロール状ペーパーが搬送詰りを生じたり、あるいはロール状ペーパーが搬送経路から脱落するなど、不具合の原因となる。また、全てのロール状ペーパーの方向が揃った状態で包装装置にロール状ペーパーが搬送されれば効率良く包装を行えるのに対し、各ロール状ペーパーの方向が不一致の状態で包装装置にロール状ペーパーが搬送されると、包装に手間取るなどの不具合が生じる。
【0004】
ロール状ペーパーの搬送姿勢の検知について考えると、ロール状ペーパーを搬送する速度も高速化され、絶え間なく連続的に搬送されるロール状ペーパーの姿勢を作業者が目視で検知するには限界がある。
【0005】
上述の事情から、ロール状ペーパーの搬送姿勢を自動的に検知することが考えられる。例えば、搬送経路でのロール状ペーパーの搬送姿勢を検知するために従来から広く用いられている光電管センサーやカメラを使用してロール状ペーパーの搬送姿勢を検知することが考えられる。
【0006】
【特許文献1】特開2000−128332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の光電管センサーやカメラを用いてロール状ペーパーの搬送姿勢を検知するロール状ペーパーの製造方法にあっては、装置の設置に金銭的負担及びスペースを要する。また、ロール状ペーパーの搬送姿勢を認識する情報処理の手段を構築するためにコンピューターのプログラミングなどの高度な専門的スキルを要求される。このように、光電管センサーやカメラを用いてロール状ペーパーの搬送姿勢を検知するロール状ペーパーの製造方法では、物的コスト及び人的コストの負担がかかる。
【0008】
上記の問題に鑑みて、本発明の課題は、ロール状ペーパーの搬送姿勢を簡単かつ確実に検知してロール状ペーパーを適切な姿勢で搬送させることができるロール状ペーパーの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明によれば、以下のロール状ペーパーの製造方法が提供される。
【0010】
[1] 長尺のロール状ペーパーを切断して所定幅のロール状ペーパーとする切断工程の後に、前記所定幅のロール状ペーパーが予め定められた適切な姿勢にて搬送される場合には前記所定幅のロール状ペーパーと接触せず、前記所定幅のロール状ペーパーがそれ以外の不適切な姿勢にて搬送される場合には前記所定幅のロール状ペーパーと接触するように、前記所定幅のロール状ペーパーの搬送経路の上方を横断する感知手段を用いて、前記所定幅のロール状ペーパーの姿勢を検知するとともに、前記所定幅のロール状ペーパーが前記感知手段と接触する前記所定幅のロール状ペーパーの姿勢が不適切であるときには、前記所定幅のロール状ペーパーの搬送を停止して前記所定幅のロール状ペーパーが適切な姿勢で搬送されるように前記所定幅のロール状ペーパーの姿勢の修正を促し、前記所定幅のロール状ペーパーを適切な姿勢にて次工程へと搬送する検知工程を有するロール状ペーパーの製造方法。
【0011】
[2] 前記切断工程において、回転駆動されつつ前記長尺のロール状ペーパーの搬送経路上を円弧状に移動する回転刃を用いて、前記回転刃の移動軌跡に沿って配置された複数条の搬送経路上の前記長尺のロール状ペーパーを切断して前記所定幅のロール状ペーパーとし、前記検知工程において、前記複数条の搬送経路上の前記所定幅のロール状ペーペーとの間隔が略同一となるように、前記複数条の搬送経路全ての上方を弛んだ状態で横断する紐状の部材からなる前記感知手段を用いて、前記複数条の搬送経路での前記所定幅のロール状ペーパーの姿勢を検知する、前記[1]に記載のロール状ペーパーの製造方法。
【0012】
[3] 前記検知工程において、前記感知手段が前記ロール状ペーパーに接触した場合には、前記感知手段と連結した連結部の位置の変化を前記連結部に接続したリミットスイッチが認識することで、前記所定幅のロール状ペーパーの搬送を停止して適切な姿勢で前記所定幅のロール状ペーパーが搬送されるように前記所定幅のロール状ペーパーの搬送姿勢の修正を促す、前記[1]又は[2]に記載のロール状ペーパーの製造方法。
【0013】
[4] 前記検知工程において、前記所定幅のロール状ペーパーが前記感知手段に接触した場合には、前記接触及び/又は前記修正を促したことを記録する、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のロール状ペーパーの製造方法。
【0014】
[5] 前記検知工程において、前記所定幅のロール状ペーパーが前記感知手段に接触した場合には、警告信号を発することにより、前記所定幅のロール状ペーパーが適切な姿勢で搬送されるように前記所定幅のロール状ペーパーの搬送姿勢の修正を促す、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のロール状ペーパーの製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明のロール状ペーパーの製造方法は、ロール状ペーパーの製造工程において、ロール状ペーパーの搬送姿勢を簡単かつ確実に検知してロール状ペーパーを適切な姿勢で搬送させることができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
【0017】
A.ロール状ペーパーの製造方法:
本発明のロール状ペーパーの製造方法をその一具体例を示している図1〜4を参照しつつ説明をする。なお、以下の記述では、図面と対応させるため、用語の末尾に符号を付する場合があるが、用語の末尾に符号が付されていても、図面に示された態様に限定して本発明の技術的範囲を規定するものではない。
【0018】
A‐1.本発明のロール状ペーパーの製造方法の概要:
図1〜4を参照して概要を述べると、本発明のロール状ペーパーの製造方法は、長尺のロール状ペーパー42を切断して所定幅のロール状ペーパー41とする切断工程46の後に(図1及び2)、所定幅のロール状ペーパー41が予め定められた適切な姿勢にて搬送される場合にはその所定幅のロール状ペーパー41と接触せず(図3)、所定幅のロール状ペーパー41がそれ以外の不適切な姿勢にて搬送される場合にはその所定幅のロール状ペーパー41と接触するように(図4)、所定幅のロール状ペーパー41の搬送経路22(図1〜4では搬送経路22a〜22d)の上方を横断する感知手段2(図1〜4では紐状の部材15からなる)を用いて、所定幅のロール状ペーパー41の姿勢を検知するとともに、所定幅のロール状ペーパー41が感知手段2と接触する所定幅のロール状ペーパー41の姿勢が不適切であったとき(図4)には、所定幅のロール状ペーパー41の搬送を停止して適切な姿勢で所定幅のロール状ペーパー41が搬送されるように所定幅のロール状ペーパー41の姿勢の修正を促し、所定幅のロール状ペーパー41を適切な姿勢にて次工程(図1では包装工程48)へと搬送する検知工程47を有する。
【0019】
なお、本発明のロール状ペーパーの製造方法では、長尺のロール状ペーパー42を作るまでの工程は、トイレットロール、キッチンタオルなど所望の完成製品に対応して、従来公知の工程を採用することができる。
【0020】
ここでいう「ロール状ペーパー」とは、トイレットロールやキッチンタオルなどの巻取り紙製品全般を意味する。「長尺のロール状ペーパー」42とは、ログ42とも呼ばれ、この長尺のロール状ペーパー42が所定幅に切断されることで市販されるロール状ペーパー製品(トイレットロール、キッチンタオルなど)が作られる(図1中の切断工程46参照)。なお、本明細書では、切断工程によって長尺のロール状ペーパー42から切断して得られたものを「所定幅のロール状ペーパー」41ということにする。
【0021】
本発明のロール状ペーパーの製造方法の検知工程47は、上述の感知手段2と信号発信手段3及び処理手段4を備えたロール状ペーパーの検知装置1を設置することで実施可能となる(図1)。
【0022】
上述の信号発信手段3は、感知手段2と連結され、所定幅のロール状ペーパー41が感知手段2と接触することにより信号を発する(図1、3及び4)。
【0023】
上述の処理手段4は、信号発信手段3からの信号の受信により予め定められた処理、すなわち不適切な姿勢で搬送されたロール状ペーパーの姿勢を修正し、正常に復帰するための処理を行う。この処理手段4は、記録部32、警告部33及び/又は搬送制御部34から構成することができる。
【0024】
本発明のロール状ペーパーの製造方法では、予め定められた適切な姿勢以外の不適切な姿勢で所定幅のロール状ペーパー41が搬送された場合(図4)、これを即時に感知手段2によって検知・修正することで、所定幅のロール状ペーパー41の搬送詰りや所定幅のロール状ペーパー41の搬送経路22からの脱落を防止することができる。
【0025】
また、本発明のロール状ペーパーの製造方法では、所定幅のロール状ペーパー41が揃った適切な姿勢で検知工程47を通過させるため、次工程(例えば図1の包装工程48)での作業効率の向上を実現できる。
【0026】
本発明のロール状ペーパーの製造方法を簡略して述べると、長尺のロール状ペーパーを「切断工程」で切断した後、検知工程において、「感知手段」がロール状ペーパーとの接触の有無からロール状ペーパーの搬送姿勢を「検知」し、「検知後の処理」を経ることで、所定幅のロール状ペーパーが適切な姿勢で次工程に搬送される。
【0027】
以下、本発明のロール状ペーパーの製造方法に関連する事項(切断工程、搬送経路、感知手段、検知、検知後の処理)について詳しく説明する。
【0028】
A‐2.切断工程:
本発明のロール状ペーパーの製造方法では、長尺のロール状ペーパーを切断して所定幅のロール状ペーパーとする切断工程を有する。この切断工程の具体的な態様は特に限定されないが、一具体例としては、図1の切断工程46で示す搬送経路22(図1では搬送経路22a〜22d)を横切る回転刃を備えた切断装置44(ログソー44ともいう)によって長尺のロール状ペーパー42を切断し、所定幅のロール状ペーパー41にする態様を挙げることができる。
【0029】
切断装置44は、長手方向の中央部に回転軸44cが設けられたアーム44aと、アーム44aの長手方向両端部に設けられた回転刃44bとを有している(図2)。切断装置44は、回転軸44cを搬送経路22(搬送経路22a〜22d)の上方に配置する。切断装置44は、回転軸44cを回転中心としてアーム22aが回転し、この回転に伴ってアーム22aの両端部に設けられた回転刀44bは円弧状に移動する回転駆動をする。なお、回転刃44bも回転軸44dを回転中心して回転駆動を行う。
【0030】
本発明のロール状ペーパーの製造方法では、切断装置44と搬送経路22(搬送経路22a〜22d)は、搬送経路22(搬送経路22a〜22d)で搬送される長尺のロール状ペーパーの搬送軌跡と回転刀44bの円弧状の移動軌跡とが交差するように配置する(図2)。切断工程46において複数条の搬送経路22を用いる場合には、回転刃44bの移動軌跡A(図2に図示)に沿って複数条の搬送経路22を並設する(図2では搬送経路22a〜22d)。
【0031】
図2における切断の態様の具体例を述べると、長尺のロール状ペーパー42を搬送経路22a〜22dで「所定幅」単位で漸進させ、この漸進のピッチごとに切断装置44の駆動行う。このようにして、本発明のロール状ペーパーの製造方法の切断工程46では、切断装置44の駆動によって、搬送経路22で搬送される長尺のロール状ペーパー42は、所定幅のロール状ペーパー41となるように切断される。
【0032】
A‐3.搬送経路:
ここでは検知工程47での搬送経路22(図1〜4では搬送経路22a〜22d)を中心に説明する。もちろん、切断工程46での搬送経路22(図1では搬送経路22a〜22d)に関しても、以下に説明するものを採用できる。本発明のロール状ペーパーの製造方法の検知工程47では、搬送装置21(図1参照)によって所定幅のロール状ペーパー41が搬送され、その搬送経路22(図1では搬送経路22a〜22d)上での所定幅のロール状ペーパー41の搬送姿勢を検知する。搬送装置21は、長尺のロール状ペーパー42を搬送するとともに、当該長尺のロール状ペーパー42を切断装置44により切断した後にその所定幅のロール状ペーパー41をその下流に搬送する。(図1参照)。搬送装置21としては、例えば、ベルトコンベアやローラーコンベアなどを挙げることができる。なお、本明細書の説明では、長尺のロール状ペーパー41及び所定幅のロール状ペーパーの搬送は、共に巻取られた紙の幅方法(巻取りの軸方向)が搬送方向に一致している態様として説明する。本発明のロール状ペーパーの製造方法では、搬送経路22(図1〜4では搬送経路22a〜22d)上を長尺のロール状ペーパー41及び所定幅のロール状ペーパーが転がる態様でもよい。
【0033】
検知工程47における「搬送経路」とは、所定幅のロール状ペーパー41を搬送する路のことをいう。本発明のロール状ペーパーの製造方法では、搬送経路22は、複数条の搬送経路が並設されたものであってもよい(図1の搬送経路22a〜22dを参照)。また、搬送経路22の幅方向29において、搬送経路22の高さが異なってもよい(図3の搬送経路22aと22bとを比較)。
【0034】
例えば、検知工程47において、並設された複数条の搬送経路(図1の搬送経路22a〜22d参照)のそれぞれにて所定幅のロール状ペーパー41を搬送してもよい。
【0035】
また、検知工程47において、搬送経路22の条数及び配置は、切断工程での搬送経路22の延長として、切断工程46の搬送経路22と同じ構成とできる。この場合、複数条の搬送経路22が回転刃44bの移動軌跡A(図2に図示)に沿って並設された切断工程46での搬送経路22(図2に示す切断工程では搬送経路22a〜22d)を反映して、検知工程47においても、搬送経路22は、搬送経路22の幅方向29で両側部(図3の例では搬送経路22a及び22d)より中央部(図3の例では搬送経路22b及び22c)が低い状態で複数条の搬送経路が並設される態様とすることが好ましい。もちろん、本発明のロール状ペーパーの製造方法では、切断工程46と検知工程47での搬送経路22の構造が異なっていてもよい。
【0036】
本明細書では「搬送経路の幅方向」という用語を用いるが、図1〜4の符号29に示すように、水平面と平行で所定幅のロール状ペーパー41が搬送される方向と直交する方向という意味で用いることにする。
【0037】
A‐4.感知手段:
本発明のロール状ペーパーの製造方法に用いる感知手段2は、所定幅のロール状ペーパー41が予め定められた適切な姿勢にて搬送される場合には所定幅のロール状ペーパー41と接触せず(図3)、所定幅のロール状ペーパー41がそれ以外の不適切な姿勢にて搬送される場合には所定幅のロール状ペーパー41と接触する(図4)ように、搬送経路22(図3及び4では搬送経路22a〜22d)の上方を搬送方向に対して横断配置されている。
【0038】
A‐4‐1.予め定める「適切な姿勢」:
上述の「適切な姿勢」とは、例えば、所定幅のロール状ペーパー41の外周曲面24と搬送経路22(搬送経路22a〜22d)の路面とが接触した姿勢(以下、ロール状ペーパーが「寝かされた姿勢」)である。この所定幅のロール状ペーパー41の「寝かされた姿勢」としては、図3の搬送経路22a〜22d上及び図4の搬送経路22b上の所定幅のロール状ペーパー41を参照する。この場合において、「『適切な姿勢』以外の不適切な姿勢」としては、搬送経路で所定幅のロール状ペーパー41が立った姿勢(図4の搬送経路22a上)、あるいは所定幅のロール状ペーパー41に他のロール状ペーパー41が乗り上げた姿勢(図4の搬送経路22c及び22d上)を挙げることができる。
【0039】
A‐4‐2.感知手段の材質・形状など:
検知工程47で用いる感知手段2は、所定幅のロール状ペーパー41との接触によって、ロール状ペーパー41の搬送姿勢を検知し、この接触によってロール状ペーパー41の搬送姿勢が不適切であると認識されたときには、ロール状ペーパー41の搬送を停止するなどの応答を可能にする態様のものであれば特に限定されない。例えば、図1、3及び4に示すように、感知手段2に連結する信号発信手段3(後述)が、感知手段2と所定幅のロール状ペーパー41との接触を認識する態様としてもよい。この場合、感知手段2は、所定幅のロール状ペーパー41との接触をこれに連結する信号発信手段3が認識可能とする形状・材質などであればよい。
【0040】
図1、3及び4に示すように、感知手段2は、紐状の部材15から構成することも可能である。
【0041】
上述の感知手段2を構成する「紐状の部材」15には、糸、縄、綱、紐、ロープ及び鎖などが該当する。特に、所定幅のロール状ペーパー41は破れやすい薄葉紙などを巻取ったものが多く、このような所定幅のロール状ペーパー41の破損などを防止する観点から、紐状の部材15としては、柔軟性、屈曲性又は可撓性のある部材が好ましい。
【0042】
また、静電気などで紙が感知手段2に付着することを防止する観点から、静電気などを発生しない材質からなる感知手段2とすることが好ましい。
【0043】
A‐4‐3.感知手段の設置:
感知手段の設置について説明する。以下では、図3及び4を参照して、搬送経路22a〜22dにおいて、所定幅のロール状ペーパー41が寝かされた姿勢を「適切な姿勢」と定める場合を一具体例として説明する。また、図3及び4は、紐状の部材15からなる感知手段2を用いた例を示している。紐状の部材15は、各搬送経路22a〜22d上の所定幅のロール状ペーパー41との間隔が略同一となるように搬送経路22a〜22全ての上方を弛んだ状態で搬送方向に対して横断し、所定幅のロール状ペーパー41の搬送姿勢を簡単かつ確実に検知可能となっている。すなわち、図3及び4に示す感知手段2は、紐状の部材15により、搬送経路22a〜22d上のいずれの所定幅のロール状ペーパー41であっても、その搬送姿勢を簡単な構成で確実に一括して検知可能となっている。
【0044】
なお、ここでいう「紐状の部材15と各搬送経路22a〜22d上のロール状ペーパー41との間隔の『略同一』」は、紐状の部材15が、適切な姿勢で搬送される所定幅のロール状ペーパー41とは接触せず且つ不適切な姿勢で搬送される所定幅のロール状ペーパー41とは接触するように、紐状の部材15が搬送経路22a〜22のそれぞれの上方を横断することに起因する。
【0045】
具体的に述べると、上述の「間隔が『略同一』」とするために、紐状の部材15の高さは、搬送経路の幅方向29のすべての位置において、適切な姿勢で搬送される所定幅のロール状ペーパー41のその位置での高さを超えて設定される。且つ、紐状の部材15の高さは、各搬送経路22a〜22dの幅内のいずれかの位置において、不適切な姿勢で搬送される所定幅のロール状ペーパー41のその位置での高さ以下となるように設定される。例えば、紐状の部材15の位置が、搬送経路22aの幅内のいずれの位置においても、「不適切な姿勢」の所定幅のロール状ペーパー41のその位置での高さにより高い場合には、「所定幅のロール状ペーパー41と紐状の部材15との間隔が略同一」から逸脱した状態となる。このような「所定幅のロール状ペーパー41と紐状の部材15との間隔が略同一」から逸脱した状態では、搬送経路22aにおいて不適切な姿勢の所定幅のロール状ペーパー41と紐状の部材15(感知手段2)とが接触できず不十分な検知となる。
【0046】
図3は、搬送経路22a〜22dの全てで「適切な姿勢」と定められた「寝かされた姿勢」にて所定幅のロール状ペーパー41が搬送されている場合を表す。この姿勢では所定幅のロール状ペーパー41は、紐状の部材15と接触せずにその下方を通過可能である。
【0047】
一方、図4は、「『適切な姿勢』以外の不適切な姿勢」で搬送されるロール状ペーパー41の一具体例として、搬送経路22aで所定幅のロール状ペーパー41が立った状態並びに搬送経路22c及び22dで搬送される所定幅のロール状ペーパー41に他の所定幅のロール状ペーパー41が乗り上げた状態で搬送されている場合を示す。このような「『適切な姿勢』以外の不適切な姿勢」で搬送される所定幅のロール状ペーパー41は、紐状の部材15と接触する。
【0048】
そこで、作業者は、「適切な姿勢」の所定幅のロール状ペーパー41には接触せず、立った姿勢や他のロール状ペーパーに乗り上げた姿勢などの「『適切な姿勢』以外の不適切な姿勢」の所定幅のロール状ペーパー41には接触する紐状の部材15の設置とするために、「適切な姿勢」及び「『適切な姿勢』以外の不適切な姿勢」にてロール状ペーパー41を各搬送経路22a〜22dに実際に置いて、搬送経路22a〜22dの上方を横断する紐状の部材15の高さを調整するとよい(図3及び4参照)。
【0049】
また、本発明のロール状ペーパーの製造方法では、製造するロール状ペーパーの品目を特に限定しない。そのため、搬送経路22a〜22d上において、所定幅のロール状ペーパー41は、品目ごとに異なる高さの「適切な姿勢」及び「不適切な姿勢」を示しうる。そこで、本発明のロール状ペーパーの製造方法では、紐状の部材15を弛んだ状態で設置するに際し、「各搬送経路22a〜22d上の所定幅のロール状ペーパー41と紐状の部材15との間隔が『略同一』」の状態を容易に設定するため、紐状の部材15の屈曲性や可撓性をロール状ペーパー41の品目に合わせて適宜選択してもよい。
【0050】
このように、作業者は、専門的なスキルを要せずに、数回の予備試験によって容易に感知手段2の設定できる。
【0051】
また、本発明のロール状ペーパーの製造方法の検知工程では、図3及び4に示す態様で円弧状に並設された搬送経路22(搬送経路22a〜22d)の場合には、搬送経路22(搬送経路22a〜22d)の幅方向29において両側部(図3及び4では搬送経路22a及び22dの側)よりも中央部(図3及び4では搬送経路22b及び22cの側)が低く湾曲した状態の下端部を有して複数条の搬送経路22(図1などでは搬送経路22a〜22d)全ての上方に感知手段2を横断設置する。これにより、フラットに並設された複数条の搬送経路22でなくても(図1などでは搬送経路22a〜22d)、各搬送経路22(図1などでは搬送経路22a〜22d)で搬送される所定幅のロール状ペーパー41を一括して検知できる。なお、「感知手段の『下端部』」とは、搬送経路22の路面に近い位置にある感知手段の端部の集合のことをいう。
【0052】
例えば、感知手段2として紐状の部材15を用いた場合、図3及び4にて一具体例を示すように、円弧状に並設した搬送経路22(搬送経路22a〜22d)に対しては、その幅方向29において両側部(図3及び4では搬送経路22a及び22dの側)よりも中央部(図3及び4では搬送経路22b及び22cの側)が低く弛んだ状態で紐状の部材15を横断設置する。これにより、紐状の部材15と各搬送経路22a〜22d上の適切な姿勢での所定幅のロール状ペーパー41との間隔が略一定となるような弛んだ状態で紐状の部材15を横断設置することとなり、いずれの搬送経路22a〜22d上の所定幅のロール状ペーパー41であっても、その搬送姿勢を確実に検知可能となる。
【0053】
A‐5.検知:
本発明のロール状ペーパーの製造方法の検知工程では、搬送される所定幅のロール状ペーパーが感知手段と接触してロール状ペーパーの搬送姿勢が不適切であった場合に、これを検知して所定の処理をする。
【0054】
所定幅のロール状ペーパーと感知手段との接触を検知して所定の処理をするため、図1、3及び4に示すように、感知手段2に連結する信号発信手段3を配置し、この信号発信手段3が、感知手段2と所定幅のロール状ペーパー41との接触を認識する態様としてもよい。
【0055】
上述の信号発信手段3の具体例としては、感知手段2と連結した連結部31の位置の変化を連結部31に接続したリミットスイッチ35が認識する態様を挙げることができる。リミットスイッチは、作動片が押されることで接点が閉成して信号を発する構成を有する。ここで用いるリミットスイッチ35は、感知手段2と所定幅のロール状ペーパー41との接触に起因する連結部31の位置の変化によって作動片が押されて接点が閉成して信号を発するものである(図3及び4参照)。
【0056】
ここで用いるリミットスイッチ35としては、コイルスプリング形、プッシュブランジャ形、ペペルブランジャ形、ローラープランジャ形、ローラーレバー形、ローラ調整レバー形、ロッドレバー形、フォークローラーレバー形などを挙げることができる(参考文献:「リミットスイッチ」、「制御機器の基礎知識 選び方・使い方 スイッチ・表示灯編」(社団法人日本電気制御機器工業会発行、2001年)。中でも、三次元方向全てにおける連結部31の位置の変化を認識して信号を発生させることができる観点からは、コイルスプリング形のリミットスイッチ35を本発明のロール状ペーパーの製造方法の検知工程47に用いることが好適である。
【0057】
また、連結部31の位置及び数は、感知手段2と所定幅のロール状ペーパー41との接触をリミットスイッチ35に認識させることができれば特に限定されない。例えば、図3及び4に示されるように、紐状の部材15からなる感知手段2を用いる場合、両端の少なくともいずれか1つと連結する連結部31を備えたものとできる(紐状の部材15の両端それぞれに連結部31が連結した態様でも片側の端に連結部を連結させる態様でもよい)。本発明のロール状ペーパーの製造方法では、感知手段2の両端に連結部31を備えれば、感知手段2と所定幅のロール状ペーパー41との接触をリミットスイッチ35が認識する感度を高めることができるため好ましい。
【0058】
A‐6.検知後の処理:
A‐6‐1.搬送の停止:
本発明のロール状ペーパーの製造方法の検知工程では、搬送される所定幅のロール状ペーパーが感知手段と接触した場合(図4参照)に搬送を停止する。
【0059】
検知工程47において、感知手段2に連結する信号発信手段3が、感知手段2と所定幅のロール状ペーパー41との接触を認識すると信号を発信し、この信号を処理手段4が受信し、更にこの受信により処理手段4を構成する搬送制御部34が搬送を停止する態様とできる。なお、搬送制御部34が所定幅のロール状ペーパー41の搬送を停止する具体的な態様は、従来公知の搬送装置に用いられるものでよい。
【0060】
A‐6‐2.搬送姿勢の修正:
本発明のロール状ペーパーの製造方法の検知工程では、搬送される所定幅のロール状ペーパーが感知手段と接触した場合(図4参照)に、適切な姿勢でロール状ペーパーが搬送されるようにロール状ペーパーの修正を促す。
【0061】
検知工程47において、感知手段2と所定幅のロール状ペーパー41との接触を認識すると信号を発信し、この信号を処理手段4が受信し、更にこの受信により処理手段4を構成する警告部33が警告信号を発する態様とすることができる。
【0062】
上述の警告信号は、作業者の五感を刺激することができるものなら特に限定されないが、例えば、信号発信手段3からの信号の受信により発する警告音、ランプの点灯・点滅、モニター画面などへの表示などを挙げることができる。このような警告部33の機能により、作業者は、「『適切な姿勢』以外の不適切な姿勢」で搬送された所定幅のロール状ペーパー41の存在を即時に認識できる。
【0063】
警告信号を認識した作業者は、「『適切な姿勢』以外の不適切な姿勢」で搬送された所定幅のロール状ペーパー41を予め定めた「適切な姿勢」に修正し、停止していた所定幅のロール状ペーパー41の搬送を再開する。
【0064】
本発明のロール状ペーパーの製造方法の検知工程47では、これら一連の流れを経て、「適切な姿勢」の所定幅のロール状ペーパー41のみを次工程(例えば図1の包装工程48)へと搬送する。例えば、包装工程48に関して言及すると、本発明のロール状ペーパーの製造方法では、並走する所定幅のロール状ペーパー41の方向が揃った状態で包装装置に搬送されることになり、包装作業の効率を向上することができる。
【0065】
A‐6‐3.記録:
また、検知工程47において、感知手段2と所定幅のロール状ペーパー41との接触を認識すると信号を発信し、この信号を処理手段4が受信し、更にこの受信により処理手段4を構成する記録部32が、信号の受信や所定幅のロール状ペーパー41の姿勢などを記録する態様にもできる。記録の具体的な方法としては、紙などへの印刷、コンピューターへの電子情報の記録及び画像の撮影などにより、信号発信手段3からの信号の発信の事実あるいは所定幅のロール状ペーパー41が不適切な姿勢で搬送される様子を作業者が事後でも認識できる態様であればよい。
【0066】
これにより、所定幅のロール状ペーパー41が実際に「『適切な姿勢』以外の不適切な姿勢」で搬送された様子などを記録し、正常な作業に復帰した後も作業者が検証する、さらには感知手段2の設置の態様を改良することが可能となる。
【0067】
ロール状ペーパーの製造工程、特に姿勢が比較的安定している長尺のロール状ペーパー42を切断して姿勢が不安定な所定幅のロール状ペーパー41とする切断工程46以降において、所定幅のロール状ペーパー41は、切断装置44による切断でその搬送姿勢が変化、あるいは搬送中に搬送経路22のつなぎ目や搬送経路22がカーブする箇所などでの外力を受けて搬送姿勢が変化しやすい。このよう外力を受けて搬送経路22で立った状態、あるいは他のロール状ペーパー41に乗り上げた状態でロール状ペーパー41が搬送されると、ロール状ペーパー41が搬送詰りを生じたり、あるいはロール状ペーパー41が搬送経路から脱落するなど、不具合の原因となる。本発明のロール状ペーパーの製造方法では、切断工程46後の検知工程47において、「不適切な姿勢」の所定幅のロール状ペーパー41を「適切な姿勢」に修正することで、所定幅のロール状ペーパー41全てを「適切な姿勢」にて次工程(例えば包装工程48)に搬送するため、生産効率を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、ロール状ペーパーを適切な姿勢で搬送させるロール状ペーパーの製造方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】ロール状ペーパーの製造方法が適用された製造装置の概要を表した図である。
【図2】切断工程における切断装置とその駆動及び搬送経路上の長尺のロール状ペーパーが切断される状態を示した断面図である。
【図3】検知工程において所定幅のロール状ペーパーが適切な姿勢で搬送されている状態を示した断面図である。
【図4】検知工程において所定幅のロール状ペーパーが不適切な姿勢で搬送されている状態を示した断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1:ロール状ペーパーの検知装置、2:感知手段、3:信号発信手段、4:処理手段、11:感知手段の下端部、15:紐状の部材、21:搬送装置、22:搬送経路、22a:搬送経路、22b:搬送経路、22c:搬送経路、22d:搬送経路、24:ロール状ペーパーの外周曲面、25:ロール状ペーパーの外周平面、29:搬送経路の幅方向、31:連結部、32:記録部、33:警告部、34:搬送制御部、35:リミットスイッチ、41:所定幅のロール状ペーパー、42:長尺のロール状ペーパー(ログ)、43:ロール状ペーパーの製造装置、44:切断装置(ログソー)、44a:アーム、44b:回転刃、44c:回転軸、44d:回転軸、46:切断工程、47:検知工程、48:包装工程。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のロール状ペーパーを切断して所定幅のロール状ペーパーとする切断工程の後に、前記所定幅のロール状ペーパーが予め定められた適切な姿勢にて搬送される場合には前記所定幅のロール状ペーパーと接触せず、前記所定幅のロール状ペーパーがそれ以外の不適切な姿勢にて搬送される場合には前記所定幅のロール状ペーパーと接触するように、前記所定幅のロール状ペーパーの搬送経路の上方を横断する感知手段を用いて、前記所定幅のロール状ペーパーの姿勢を検知するとともに、前記所定幅のロール状ペーパーが前記感知手段と接触する前記所定幅のロール状ペーパーの姿勢が不適切であるときには、前記所定幅のロール状ペーパーの搬送を停止して前記所定幅のロール状ペーパーが適切な姿勢で搬送されるように前記所定幅のロール状ペーパーの姿勢の修正を促し、前記所定幅のロール状ペーパーを適切な姿勢にて次工程へと搬送する検知工程を有するロール状ペーパーの製造方法。
【請求項2】
前記切断工程において、回転駆動されつつ前記長尺のロール状ペーパーの搬送経路上を円弧状に移動する回転刃を用いて、前記回転刃の移動軌跡に沿って配置された複数条の搬送経路上の前記長尺のロール状ペーパーを切断して前記所定幅のロール状ペーパーとし、前記検知工程において、前記複数条の搬送経路上の前記所定幅のロール状ペーペーとの間隔が略同一となるように、前記複数条の搬送経路全ての上方を弛んだ状態で横断する紐状の部材からなる前記感知手段を用いて、前記複数条の搬送経路での前記所定幅のロール状ペーパーの姿勢を検知する、請求項1に記載のロール状ペーパーの製造方法。
【請求項3】
前記検知工程において、前記感知手段が前記ロール状ペーパーに接触した場合には、前記感知手段と連結した連結部の位置の変化を前記連結部に接続したリミットスイッチが認識することで、前記所定幅のロール状ペーパーの搬送を停止して適切な姿勢で前記所定幅のロール状ペーパーが搬送されるように前記所定幅のロール状ペーパーの搬送姿勢の修正を促す、請求項1又は2に記載のロール状ペーパーの製造方法。
【請求項4】
前記検知工程において、前記所定幅のロール状ペーパーが前記感知手段に接触した場合には、前記接触及び/又は前記修正を促したことを記録する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のロール状ペーパーの製造方法。
【請求項5】
前記検知工程において、前記所定幅のロール状ペーパーが前記感知手段に接触した場合には、警告信号を発することにより、前記所定幅のロール状ペーパーが適切な姿勢で搬送されるように前記所定幅のロール状ペーパーの搬送姿勢の修正を促す、請求項1〜4のいずれか一項に記載のロール状ペーパーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−37023(P2010−37023A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200261(P2008−200261)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】