説明

ロール紙給紙装置及び画像形成装置

【課題】 ロール紙の残量を検出するための手段を設置する際のレイアウトの自由度を高め、多様な用紙に対応してより高精度な検出を行う。
【解決手段】 ロール紙10の引出点から搬送ローラ13への接触点までの用紙の長さを、基準表面(装置底面)の所定位置に設置した距離センサ20pによって検知した用紙上の検知点までの高さV1と、既知量である搬送ローラ13への接触点の高さV2、センサ検知点からロール紙の引出点までの水平距離H1及びセンサ検知点から搬送ローラ13の接触点までの水平距離H2に基づいて測定する。測定値は、ロール紙10の巻き径(用紙残量)と一定の関係にあり、測定値から残量を得ることができる。この方法によれば、センサ検知点のレイアウトの自由度が高く、用紙切れ間近の残量検出に有効であり、用紙不足による印刷の失敗といった不都合を回避できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙によって引き出された後にロール軸に残るロール紙の量を検出する手段を有したロール紙給紙装置に関し、より詳しくは、ロール軸から引き出された用紙の状態変化を検知し、この検知結果をもとにロール紙の残量を検出することで正確な検出ができる用紙残量検出手段を有したロール紙給紙装置及びこのロール紙給紙装置を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロール軸に装填されたロール紙を引き出して使用する各種の機器があり、その一つとして複写機、プリンタ、複合機等の画像形成装置が知られている。
画像形成装置では、ロール紙を用いることにより定型用紙のみを扱う機種ではできない長尺コピーが可能になる。ロール紙を用いて長尺コピーを行う際、ロール軸にあるロール紙の紙切れを管理するだけでは、途中で用紙が不足して正常な出力が得られない場合がある。これは、通常、定型用紙に対しては、ロール軸の用紙が無くなっても、正常に出力ができるような設計となっているからで、長尺コピーに対しては、その保証がないからである。
【0003】
この問題を解決するために、ロール紙の残量を管理して、長尺コピーにも対応できるようにしており、ロール紙の残量を得る方法として、新品に交換してからの使用量をロール軸の回転数や紙の使用量をカウントすることにより求め、求めた使用量から推定される大よその残量を得る方法が採用されている。
ただ、この方法によると、ロール軸に装填されるロール紙を途中で交換した場合、残量が分からなくなってしまう、という問題が生じる。
そこで、実際にロール軸に装填されたロール紙の状態から残量を検出する方法として、特許文献1に示される方法が提案された。
特許文献1に示される方法は、ロール紙の給紙に伴って表面位置が変化することを利用して、用紙表面に光を投光して、その反射光を受光部で測定することで受光した反射光の入射角度の変化に基づいて距離を測定し、測定した距離から用紙残量を検出する手法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の方法は、ロール紙の表面に光を投光してその反射光の変化で用紙残量を検知する方法であり、用紙の反射特性の影響を受け、多様な用紙に対して精度を維持することは困難である。また、ロール軸に装填されるロール紙の円筒状の表面上の限られた狭い場所に上記の光学的方法による測距センサを設置しなければならず、レイアウトの自由度を低下させる。
本発明は、実際にロール軸に装填されたロール紙の状態から残量を検出する方法における上記した従来技術の問題に鑑みてなされたもので、その目的は、ロール紙の状態を検知する手段を設置する際のレイアウトの自由度を高め、多様な用紙に対応してより高精度にロール紙の残量を検出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ロール紙が巻き付けられたロール軸を回転可能に支持するホルダ、該ホルダに支持されたロール軸に巻き付けられたロール紙を引き出し給紙する搬送ローラ、給紙によって引き出された後にロール軸に残るロール紙の量を検出する用紙残量検出手段を有するロール紙給紙装置であって、前記用紙残量検出手段は、ロール軸から引き出された用紙が搬送ローラに接するまでの用紙面に対向しかつロール軸と平行な面を基準平面として、該基準平面内の所定位置に設け、用紙までの高さV1を検知する用紙高さ検知手段と、前記用紙高さ検知手段によって検知された高さV1、基準平面から用紙の搬送ローラとの接触点までの高さV2、基準平面に直交しかつロール軸に巻き付いたロール紙の引出点を含む平面から前記用紙高さ検知手段を設けた所定位置までの距離H1及び基準平面に直交しかつ用紙の搬送ローラとの接触点を含む平面から前記用紙高さ検知手段を設けた所定位置までの距離H2に基づいて、ロール軸に支持されたロール紙の引出点の位置を表す量を測定するロール紙位置測定手段と、前記ロール紙位置測定手段によって測定されたロール紙の引出点の位置を表す量を用紙残量に変換する残量変換手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、ロール軸に装填されたロール紙の残量を検出するための用紙の状態検知手段(用紙高さ検知手段)を設置する際のレイアウトの自由度を高めることが可能になり、かつ多様な用紙に対応してより高精度にロール紙の残量を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施対象となるロール紙給紙装置の1構成例を示す概略図である。
【図2】ロール軸から搬送ローラを通して引き出されるロール紙の状態の遷移を説明する図である。
【図3】用紙高さの検知によってロール紙残量を検出する原理を説明するための図である。
【図4】用紙高さを検知する手段として超音波距離センサを用いたときの構成を示す概略図である。
【図5】用紙高さを検知する手段として用紙への接触端子を持つ接触型距離センサを用いたときの構成を示す概略図である。
【図6】ロール紙残量検出処理を行うロール紙給紙装置の制御システムの構成例を示す概略図である。
【図7】テーブルにデータが保持される検知された用紙高さとロール紙残量との関係を表すグラフである。
【図8】画像形成装置に適用されたロール紙給紙装置のロール紙残量検出処理の制御フロー(制御形態1)を示す図である。
【図9】画像形成装置に適用されたロール紙給紙装置のロール紙残量検出処理の制御フロー(制御形態2)を示す図である。
【図10】画像形成装置に適用されたロール紙給紙装置のロール紙残量検出処理の制御フロー(制御形態3)を示す図である。
【図11】画像形成装置に適用されたロール紙給紙装置のロール紙残量検出処理の制御フロー(制御形態4)を示す図である。
【図12】画像形成装置に適用されたロール紙給紙装置のロール紙残量検出処理の制御フロー(制御形態5)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係るロール紙給紙装置及びこのロール紙給紙装置を装備した画像形成装置の実施形態について、添付した図面を参照して説明する。
図1は、この実施形態に係るロール紙給紙装置の1構成例を示す概略図である。
図1に示すロール紙給紙装置は、複写機、プリンタ、複合機等の画像形成装置(以下、「機器」ともいう)において記録用紙(以下、単に「用紙」ともいう)の給紙装置として用いられるものである。ロール紙の状態でホルダに装填され、ホルダから引き出されて画像形成部へと給紙される。その際、引き出された用紙は、定型サイズに切断されて用いることができるが、出力条件の指示に従い定型外の長さ、特に長尺の出力に対応することも可能になる点で、定型用紙のみを扱う機器とは異なる。
【0009】
図1のロール紙給紙装置は、装置の筐体1内に、ロール紙10の芯となる紙管(以下、「ロール軸」ともいう)11の両端に取り付けたフランジャ11fを受け、ロール紙10を回転可能かつ水平に支持するペーパーホルダ12と、巻かれた状態でペーパーホルダ12に支持されたロール紙10をフランジャ11fに設けた軸(不図示)を介して給紙モータで回転駆動するロール紙回転手段(不図示)と、巻かれた状態でペーパーホルダ12に支持されたロール紙10から送り出される用紙を引き出し搬送する搬送ローラ13と、搬送ローラ13の駆動手段(不図示)を構成要素として有する。
このロール紙給紙装置において、ロール紙10を給紙する際には、ロール紙回転手段によりロール紙10を回転させて用紙を送り出し、引き出し方向に駆動される搬送ローラ13により用紙に送りを掛けることにより、画像形成部に向けて用紙の給紙が行われる。
【0010】
「ロール紙残量の検出原理」
上記したロール紙給紙装置(図1)は、給紙された後にロール軸に残るロール紙の量(残量)を検出する手段を有する。
ロール紙の残量検出は、残量が少なくなったときにユーザーの指示を受けて、印刷を実行した場合に、用紙が足りなくなって指示された印刷に失敗し、機器を無駄に動作させることになる不都合が生じることがあり、予め残量を把握しておけば、こうした事態を回避できるからである。
本実施形態では、ロール紙の残量検出手段として、実際に使用されているロール紙の物理的な状態を検知するセンサを内蔵し、使用とともに変化するセンサの検知結果をもとに、残量検出を正確に行えるようにする。このような方法によって残量を検出する場合、センサを設置する際のレイアウトは、上記[発明が解決しようとする課題]の項で述べたとおり、重要な要素の一つである。
この実施形態では、レイアウトの自由度を高め、多様な用紙に対応してより高精度にロール紙の残量を検出する、という課題を解決するための方法として、以下に示す原理に従った検出方法を採用する。
【0011】
残量によって変化するロール紙の物理的な状態とは、ロール軸11から引き出され、搬送される用紙の位置(経路)を指す。即ち、ロール紙が消費されるに連れて巻き径が小さくなると、ロール軸11から引き出され、搬送ローラ13によって搬送される用紙の位置(経路)も変化するので、この状態の変化に着目する。
図2は、ロール軸から搬送ローラを通して引き出されるロール紙の状態の遷移を説明する図である。同図において、(A),(B)いずれもロール軸(紙管)11に巻きつけられたロール紙10が搬送ローラ13を通して引き出される状態を示す図である。
ロール紙10の回転中心、即ちロール軸11の軸心と搬送ローラ13の回転中心の位置関係は常に一定であるが、ロール紙残量が少なくなってくると、ロール紙10の巻き径が(A)に比べ(B)が小さくなって、引き出し搬送される用紙の位置(経路)が変化する。
【0012】
即ち、ロール軸11に巻き付いたロール紙10が軸から引き出される点(以下「引出点」という)が変わり、また、この引出点から送られる用紙が搬送ローラ13に接触する点(以下「接触点」という)までに存在する用紙の状態が変化する。なお、上記引出点、接触点は、正しくはそれぞれ引出線、接触線であるが、図2のような、搬送方向に平行な断面を考えると点であり、ここでは、“点”と表現する。
また、上記用紙の状態変化は、ロール軸11から搬送ローラ13までの間の用紙を平面とみなせるので、面の傾きと捉えることもできる。
【0013】
上記のような用紙の状態変化の捉え方に従い、レイアウトの自由度を高め、多様な用紙に対応して検出精度を高めるための検知方法として、ここでは、ロール軸11から引き出された用紙が搬送ローラ13に接するまでの用紙面に対向しかつロール軸11と平行な面を基準平面(例えば、このロール紙給紙装置の筐体1の底面)として、この基準平面内の所定位置に用紙までの高さ(距離)を検知する手段を設ける。上記の設定を行った場合、基準平面に対するロール紙の軸心(ロール軸11の中心)、搬送ローラ13の軸心の位置関係は不変、即ち距離は一定であり、また基準平面内の所定位置に設けた高さ検知手段(距離センサ)との関係も不変で、いずれも既知量として扱える。
よって、以下に図3を参照して説明するように、高さ検知手段(距離センサ)によって検知される基準平面から用紙までの高さ(距離)と既知量として扱える上記の位置関係に基づいて用紙の状態変化を量的に表現できる。
【0014】
図3は、ロール軸11から引き出され搬送ローラ13に接するまでの間、所定位置で検知される用紙面の高さ(距離)に基づいてロール紙残量を検出する原理を説明するための図である。
図3に示す構成の設定条件は、基準平面をロール軸11と平行にとっている(ここでは、この基準平面をロール紙給紙装置の筐体1の底面としている)。また、ロール軸11と搬送ローラ13の軸とは本来平行である。図3は、上記の設定条件のもとに、距離センサの設置点(図中の点X4)における搬送方向に沿う断面を示している。
よって、図3において、ロール軸11の中心(ロール紙の中心)X1を含みかつ基準平面に直交する平面内に(図3においては基準平面への垂線上に)ロール紙の引出点X2が存在し、基準平面上の距離センサの設置点X4からこの平面(図3においては基準平面への垂線)までの距離は、距離H1となる。
また、距離センサの設置点X4から搬送ローラ13の中心X3を含みかつ基準平面に直交する平面(図3においては基準平面への垂線)までの距離は、距離H2となる。
【0015】
ロール紙の引出点X2から搬送ローラ13の中心X3までの直線(図3中の斜めの線)は、搬送用紙が存在する位置を示している。なお、ここでは、搬送ローラ13の中心と用紙の搬送ローラ13への接触点を一致させて示しているが、説明の便宜上の表現であり、実際は、用紙の搬送ローラ13への接触点である。
従って、既知量として搬送ローラ13の中心X3の距離が与えられる場合には、基準平面から用紙の搬送ローラ13への接触点までの高さ(距離)は、さらに搬送ローラの半径に相当する長さを得て、この分の補正をして接触点を求める必要があり、このようにして得られる搬送ローラ13への接触点までの高さ(距離)を図3中に高さV2として示している。
また、ロール紙の引出点X2から用紙の搬送ローラ13への接触点X3までに存在する搬送用紙の高さを検知するために基準平面上に設置される距離センサは、図3中の点X4に設置され、この距離センサによって検知される用紙上の点をセンサ検知点Aとし、距離センサの設置点X4から用紙上のセンサ検知点Aまでの高さ(距離)は、同図中、高さV1として示している。
【0016】
センサ検知点Aの距離センサの検知結果をもとに高さV1を測定すると、図3中に示す点Aと点X3を結ぶ線分は、直角を挟む2辺がH2、(V2−V1)である直角三角形(1)の斜辺であるから、これらの値に基づいてこの線分の長さを算出することができる。また、図3中に示す点Aと点X2を結ぶ線分は、直角三角形(2)の斜辺であり、直角三角形(2)と直角三角形(1)は相似関係となっているので、上記で得た直角三角形(1)の斜辺をH1/H2倍することにより、算出することができる。
このようにして、ロール紙の引出点X2から用紙の搬送ローラ13への接触点X3までの長さを直角三角形(2)と直角三角形(1)の斜辺の長さとして、距離センサの設置点X4から用紙上のセンサ検知点Aまでの高さ(距離)V1、基準平面から用紙の搬送ローラ13への接触点までの高さV2、距離センサの設置点X4から基準平面に直交しかつロール軸11に巻き付いたロール紙の引出点X2を含む平面までの距離H1及び距離センサの設置点X4から基準平面に直交しかつ搬送ローラ13への用紙の接触点X3を含む平面までの距離H2に基づいて測定することができる。
【0017】
このようにして測定した量(引出点X2から接触点X3までの長さ)は、ロール軸に支持されたロール紙の引出点の位置を表す量、即ちロール紙の巻き径の変化によって変わる量と捉えることができ、ロール紙を全部使い切ったときの長さが与えられれば、この長さとの差分が用紙残量(長さ)と一定の関係を有することになる。
よって、予め上記のロール紙の引出点の位置を表す測定量と用紙残量(長さ)の関係を実験的に確認して、変換(換算)式を立てておき、測定によって得られる引出点の位置を表す量をこの変換式を用いて処理することにより、用紙残量(長さ)を得ることができる。
上記の検出原理によると、用紙残量が少なくなる程、ロール紙の引出点の位置を表す量の変化が大きくなるので、用紙切れが迫ったときの給紙動作において有効であり、用紙不足による印刷の失敗といった不都合を回避することができる。
【0018】
なお、上記の検出方法では、ロール紙残量と一定の関係にあるロール紙の引出点の位置を表す量を、ロール紙の引出点X2から用紙の搬送ローラ13への接触点X3までの長さで表現する方法をとったが、他の方法として、ロール紙の引出点X2の基準平面からの高さで表す方法が採用できる。
この方法の算出過程は、図3を参照して説明した上記の方法におけると同様に、直角三角形(2)と直角三角形(1)との関係が相似であることを利用するもので、この相似の関係を利用して、直角三角形(2)の高さ方向の辺の長さを算出する。
ここに、直角三角形(2)の高さ方向の辺の長さは、
(直角三角形(2)の高さ方向の辺の長さ)=(距離センサの設置点X4から用紙上のセンサ検知点Aまでの高さV1)−(ロール紙の引出点X2の基準平面からの高さ)
であるから、この式に基づいて、ロール紙の引出点X2の基準平面からの高さを算出することができる。
算出したロール紙の引出点X2の基準平面からの高さは、ロール紙の巻き径、即ち用紙残量と一定の関係にあるという点で上記の方法(引出点X2から接触点X3までの長さで表す方法)と同様であり、この方法によっても残量を得ることができる。
【0019】
「距離(用紙高さ検知)センサ」
図3において述べたように、基準平面(ここではこのロール紙給紙装置の筐体1の底面)内の設置点X4から用紙上の点Aまでの高さV1を検知するために距離センサを用いる。この距離センサは、基準平面内の所定設置点X4の真上の用紙上の検知点Aを指向して、その点までの高さを検知するものであれば、適用することができる。
この種の距離センサの中でも安定して検知精度を維持できる距離センサとして、下記“超音波距離センサ”もしくは“接触型距離センサ”が適性を有する。
【0020】
“超音波距離センサ”
超音波距離センサは、用紙の検知点を指向して超音波を発し、用紙表面から帰ってくる反射波(この場合パルスである)の発射時からの時間差によって距離を検知する方式もしくはドップラーシフト方式のセンサを用いることができる。このセンサの特徴は、非接触に検知が行える点にある。
図4は、用紙の高さを検知する手段として超音波距離センサ20sを用いたときの構成を示す概略図である。同図は、ロール紙給紙装置(図1)に超音波距離センサ20sを設けたときのレイアウトを示し、図4(A)は正面から見た図を、又図4(B)は横から見た図を示す。図4において、超音波距離センサ20s以外は、図1に示した構成要素と変わらない(同一要素には、同一番号を付している)。
図4に示すように、ロール軸11に巻き付いたロール紙10が引き出され搬送ローラ13に接するまでの用紙面に対向しかつロール軸11と平行な基準平面(筐体1の底面)内の所定位置に超音波距離センサ20sは設置され、用紙までの高さ(距離)を検知する。なお、超音波距離センサ20sを設置する位置としては、図4(B)の断面でロール軸11に巻き付いたロール紙10が引き出され搬送ローラ13に接するまでの用紙を直線とみなすことができる位置を選ぶことが残量検出の精度を高める条件となる。
【0021】
“接触型距離センサ”
接触型距離センサは、用紙の検知点に検知端子を接触させ、用紙の高さに応じて検知端子を介して受ける変化を検知出力として得るものである。ここでは、用紙の高さによって検知端子を介して受ける圧力が変化し、この圧力の変化を例えば、圧電変換素子を用いることによって用紙の高さの検知出力として得るセンサを採用する。
図5は、ロール紙給紙装置(図1)に接触型距離センサ20pを設けたときのレイアウトを示し、図5(A)は正面から見た図を、又図5(B)は横から見た図を示す。図5において、接触型距離センサ20p以外は、図1に示した構成要素と変わらない(同一要素には、同一番号を付している)。同図は、検知時に接触型距離センサ20pの検知端子が用紙に接触した状態を示している。なお、基準平面(筐体1の底面)内における接触型距離センサ20pの設置位置については、上記した超音波距離センサと同様に実施することができる。
【0022】
接触型の場合、以下に示す特性を考慮した動作を行わせることが必要になる。例えば、接触型の特性の1つは、用紙との間に力が作用することであり、このために非接触型のセンサに比べ検知出力が不安定化になることが考えられる。そこで、検知条件を整えるための手段として、搬送ローラ13で用紙を挟んだ上でロール紙を巻き込む方向(引き出し方向とは逆方向)にロール軸11を駆動回転させて、検知点の用紙にテンションを与える手段を用意する。この手段を用いることで、正常な検知動作、即ち、用紙の高さの変化と検知端子を介して受ける圧力変化とが一定の関係になるような条件が得られる。なお、この用紙へのテンションを付与は、接触型の場合に特に必要になるが、検知条件を整え、検知精度を保証するためには、非接触型にも有効である。
また、接触型の距離センサでは、用紙に常時検知端子を接触させて検知動作を行える状態にしておくと、接触部分の用紙に凹みが生じ、この用紙を印刷に用いると、白抜けなどの不具合が発生する恐れがあるので、所定のタイミング、もしくは残量検出の指示を出した場合のみに検知動作を行うものとする。
【0023】
「ロール紙残量検出処理」
上記「ロール紙残量の検出原理」に従って、距離センサが検知する用紙高さを変量として、ロール軸に残るロール紙の量(残量)を検出し、起こり得る異常(例えば、用紙不足による印刷の失敗)の発生を防ぐために検出結果として得られる残量を報知する処理を行うシステムについて説明する。
この実施形態では、ロール紙給紙装置は、画像形成装置において記録用紙の給紙装置として用いられるものであるから、画像形成部(プリントエンジン)の動作に同期してロール紙給紙装置を制御し、用紙を給紙する動作及び給紙に関連するロール紙残量検出処理は、画像形成装置のメイン制御部の制御下で行われる。
【0024】
図6は、ロール紙残量検出処理を行うロール紙給紙装置の制御システムの構成例を示す概略ブロック図である。
図6の制御システムは、メモリ31を内蔵するメイン制御部(BCU)30、IO管理部(IOB)35、距離センサ20、コントローラ38及び操作部37を構成要素として有する。
メイン制御部30は、この実施形態では画像形成装置全体を制御する制御部であり、画像形成装置が搭載する各種の入出力デバイス等を直接もしくはサブコントローラ(インターフェース)を介して制御する。上記した用紙の高さを検知する距離センサ20は、IO管理部(IOB)35を介してメイン制御部30に接続されているので、メイン制御部30で距離センサ20の検知結果を利用して実施するロール紙残量の検出処理を行うことができる。
【0025】
操作部37は、機器(画像形成装置)を利用するユーザーに機器の状態(ステータス)を知らせるための情報を報知する液晶表示装置等の報知手段及びユーザーが機器に起動、停止、動作条件等の指示を与えるため、液晶表示装置と連動して働くタッチパネル、操作ボタン等の入力手段を備え、ユーザーインターフェースとしての機能を提供する。
メイン制御部30は、コントローラ38を介して操作部37を制御し、データの交換を行う。この実施形態では、ロール紙残量の検出結果をユーザーに報知するために操作部37が利用され、また、ロール紙残量の検出処理の実行開始を操作部の入力手段を通して行われるユーザーの操作に対応して定めている(後述の図8〜12の制御フロー、参照)。
なお、画像形成部(プリントエンジン)については、既存の技術であり、図6に示していないが、メイン制御部30は、ロール紙給紙装置によって供給される用紙を用いて長尺コピー(プリント)等の画像出力を行う出力デバイスとしてのプリントエンジンの動作を制御する。メイン制御部30によるプリントエンジンの制御には、ロール紙残量の検出に係る動作として、検出条件を整えるための後述する搬送ローラやロール軸の作動を含む。
【0026】
また、図6のメイン制御部30内蔵のメモリ31は、制御に必要なプログラム(ソフトウェア)、データ等を格納するROM(Read Only Memory)、実行中の処理に係るデータ等を記憶するRAM(Random Access Memory)よりなり、CPU(Central Processing Unit)の制御下でメイン制御部としての機能を実現するために用いられる。
メイン制御部30が行うロール紙残量の検出処理をソフトウェアで実現する場合は、上記のCPU、RAM及びROM等で構成するコンピュータを当該処理の実行手段として機能させるためのプログラム(後記する図8〜12の制御フロー)により実施することができる。CPUは、処理の実行時にROMに記録(記憶)しておいた制御・処理プログラム等をワークメモリとしてのRAMに読込み、このプログラムを駆動することによって、CPU(コンピュータ)をこの処理の実行手段として機能させることができる。なお、プログラム等を記録する媒体としては、ROMに限らず、HDD、CD(Compact Disk)−ROM、MO(Magnet Optical Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体を用いることができる。また、このロール紙給紙装置を装備した機器がインターネット等のネットワークに接続されている場合、プログラムをネットワーク経由でダウンロードさせることにより取得するようにしても良い。
【0027】
図6の制御システムでは、ロール紙残量の検出処理の際、唯一の変量である用紙高さを距離センサ20が検知するが、それ以外は既知量として扱う。
従って、既知量として扱う上記高さV2、距離H1及び距離H2(上記「ロール紙残量の検出原理」の説明、参照)は、例えば、設計仕様等をもとにデータ化され、メイン制御部30内蔵のメモリ31に保存される。
ロール紙残量検出処理は、次の処理過程に従って行う。即ち、メイン制御部30は、予め定められた実行開始条件が満たされたときに、先ず、IO管理部35を介して距離センサ20で検知された用紙高さを表す出力信号を取得する。
次いで、距離センサ20の検知量とメモリ31に保存された高さV2、距離H1及び距離H2に基づいて、ロール紙の引出点の位置を表す量、即ち、ロール紙の引出点X2から用紙の搬送ローラ13への接触点X3までの長さ、もしくはロール紙の引出点X2の基準平面からの高さのいずれかを上記した方法に従って演算し、測定量として得る。
また、得られた測定量はロール紙の引出点の位置を表す量であるから、この測定量を用紙残量(長さ)に変換(換算)する演算を予め実験的に確認した演算式を用いて処理することにより、用紙残量(長さ)を得る。
【0028】
上記したロール紙残量の検出処理は、ロール紙の引出点の位置を表す量を測定し、測定量からロール紙残量に変換する処理を演算処理によって行う方法を示した。ただ、この演算処理による方法は、CPUの処理負担が大きくなる。
そこで、CPUの処理負担が小さくて済み、処理の高速化が可能な処理方法として次に示す方法を用いることができる。
この方法は、ロール紙残量検出処理の実行時に上記した演算処理を行う代わりに、距離センサ20が検知する用紙高さに対するロール紙残量の関係を予め所定センサ検知量の間隔で求めておき、この量的関係を例えば、LUT(Look Up Table)でデータベース化することによって、データベースを参照する、という処理方法を採用し、処理を簡単に済ませるようにする。用紙高さに対するロール紙残量の量的関係の求め方は、所定間隔で用紙高さの検知量を変えながら上記演算処理による方法と同様の方法によって、ロール紙残量を演算して求めることができる。つまり、データベースを参照する方法は、テーブルを作成する段階における用紙高さに対するロール紙残量の検出処理に変わりはなく、想定される用紙高さの範囲のロール紙残量を事前に求めておき、用紙高さに関係付けてテーブルの形で予め用意しておく点が異なる。
【0029】
図7は、上記の方法によって求められ、データベース化される用紙高さに対するロール紙残量の量的関係を示すグラフである。同図に示すように、用紙高さに対するロール紙残量の関係は、リニアな関係になる。また、データベース化される用紙高さに対するロール紙残量の関係は、所定間隔に飛び飛びの値で表されるので、距離センサ20によって検知された用紙高さからロール紙残量を得る場合には、検知された量に最も近いテーブル値を代えて用いることによりロール紙残量を得るか、もしくは最も近い大と小の両テーブル値をもとに得たロール紙残量をもとに補間演算を行い、求める値を得る。
データベースを参照する上記方法を採用する場合のロール紙残量検出処理は、次の処理過程に従って行う。
即ち、予め定められた実行開始条件が満たされたときに、メイン制御部30は、先ず、IO管理部35を介して距離センサ20で検知された用紙高さを表す出力信号を取得する。次いで、取得した用紙高さの検知量によってメイン制御部30内蔵のメモリ31にデータベースとして構築した用紙高さに対するロール紙残量を関係付けたテーブルを参照して、用紙高さの検知量に対応する残量を取得して、求めるロール紙残量として検出する。なお、後記する図8〜12の制御フローは、データベースを参照する方法によっている。
【0030】
「ロール紙残量検出処理の制御形態」
次に、上記のロール紙残量検出処理を所定の実行開始条件に従って実行させるようにする制御形態について説明する。
上記「距離(用紙高さ検知)センサ」で言及したように、用紙高さを検知する距離センサ20が正常な検知動作を行うためには、検知点の用紙にテンションを与えることが望ましく、このための手段として、ロール軸を通常給紙時の回転方向とは逆に駆動する。こうした動作によって検知条件を整えてロール紙残量検出処理を実行するので、タイミングを選んでこの処理の実行を開始しないと、ジョブの効率的な処理の障害になる場合がある。
そこで、ここでは、ジョブの処理を妨げることなく、ロール紙残量検出処理が有効に機能するタイミングで処理の実行を開始する制御を行う。以下の〈制御形態1〉〜〈制御形態5〉には、前記した意図を持って定めた実行開始条件に従ってロール紙残量検出処理を行う制御形態の異なる例を示す。
【0031】
〈制御形態1〉
この制御形態は、機器の電源オン時にロール紙残量検出処理を起動し、プリント出力可能な待機状態で終端する形態の動作を示すものである。
図8は、この実施形態のロール紙残量検出処理の制御フローを示す図である。
図8の制御フローによると、機器に電源が投入されたときに、メイン制御部30は、ジョブの受付が可能な状態に機器を立ち上げる初期化を行うが、その処理の中でロール紙残量検出処理を行う。
ロール紙残量検出処理を起動すると、先ず、正常な検知動作を行うための検知条件を整えるために用紙にテンションを与える。動作の手順は、搬送ローラ13によって用紙を挟持し(ステップS101)、この状態を保って、ロール紙回転駆動手段によりロール紙を巻き込む方向(引き出し方向とは逆方向)にロール軸11を駆動回転させることにより、用紙にテンションを付与する(ステップS102)。
【0032】
次に、IO管理部(IOB)35を介してテンションを付与した状態にある用紙の高さを検知する距離センサ20の検知量を読み込み、得られる検知量をもとに測定する(ステップS103)。なお、このときに距離センサ20が超音波距離センサ20sのような非接触型であれば不要であるか、接触型距離センサ20pの場合には、待避させておいたセンサを移動させ、検知端子を接触させる動作が必要になる。
測定した用紙の高さは、ロール軸11に巻かれたロール紙の巻き径、即ち残量に応じて変化する量であるから、メモリ31に保存しておいた用紙高さに対するロール紙残量の関係付けたテーブルを用紙の高さの測定量により参照して、ロール紙残量を取得する(ステップS104)。
【0033】
この後、ロール紙残量の現況をユーザーに報知するために操作部37の液晶表示装置の画面に取得したロール紙残量をもとに現況の表示を行う(ステップS105)。残量表示の方法は、最低、正常な出力が可能ではない状況になった場合にその旨を知らせることが必要であり、正常な出力が可能である場合にも残量がどの程度あるかを示すことが望ましい。正常な出力が可能な状況では、例えば、初期表示画面の一部に表示するか、もしくは初期表示画面から呼び出す方法によって表示してもよい。また、正常な出力が可能ではない状況の表示は、警告表示であるから、初期表示画面においてマルチウィンドウで注意を喚起する、といった方法を用いる。
操作部37において残量表示を行った後、プリント出力が可能な待機状態でこの制御フローの終端とする。
【0034】
〈制御形態2〉
この制御形態は、画像形成装置のコピーやプリンタ機能が利用され、プリント出力を行う時に、この動作の周期で自動的にロール紙残量検出処理を起動する。本実施形態では給紙動作が終了した後に処理を開始し、コピーやプリント動作の終了で終端する形態の動作を示すものである。
図9は、この実施形態のロール紙残量検出処理の制御フローを示す図である。
図9の制御フローによると、コピーやプリンタ機能が利用され、プリント出力を行うために給紙動作を行い(ステップS201)、給紙動作が終了したことを確認して(ステップS202-YES)、ロール紙残量検出処理を開始する。
【0035】
ここで行うロール紙残量検出処理は、上記〈制御形態1〉に示した同処理の制御手順と変わらない。即ち、この制御フローにおけるステップS203〜S207は、上記〈制御形態1〉の制御フロー(図8)におけるステップS101〜S105と同じである。よって、上記〈制御形態1〉の該当する部分の説明を参照することとし、ここでは、記載を省略する。
本制御フローでは、ステップS207において操作部37において残量表示を行い、ロール紙残量検出処理が終わった後、未終了のままにしていたコピーやプリント動作の終了でこの制御フローの終端とする。
本実施形態によれば、ロール紙残量検出処理の実行開始のタイミングを給紙動作が終了した時点とし、コピーやプリンタ機能の動作が終了していない状態で開始しているから、ダウンタイムを極力少なくすることができる。また、プリント出力動作の周期でロール紙残量検出処理を行うことにより、電源オン時のみに行う上記〈制御形態1〉よりも残量の現況を正しく把握できる。ただ、本実施形態は、給紙動作終了後にロール紙残量検出処理を行うので、電源オフ時にロール紙の交換が行われた場合には、始めのプリント出力動作に適応できないので、必ず上記〈制御形態1〉のロール紙残量検出処理を行う必要がある。
【0036】
〈制御形態3〉
この制御形態は、ユーザーが必要に応じ、任意のタイミングでロール紙残量検出処理を起動できるようにする。本実施形態では、ユーザーが処理を要求するために操作部に用意されるメニューにロール紙残量検出処理の実行を指示する操作キー等の入力手段を設け、この入力手段を通して行われる操作によって処理を開始し、処理結果をユーザーに報知することで終端する形態の動作を示すものである。
図10は、この実施形態のロール紙残量検出処理の制御フローを示す図である。
図10の制御フローによると、操作部37からロール紙残量検出処理の実行を指示する操作が行われると、メイン制御部30は、この指示を受けてロール紙残量検出処理を起動する。
【0037】
ここで行うロール紙残量検出処理は、上記〈制御形態1〉に示した同処理の制御手順と基本的に変わらない。即ち、この制御フローにおけるステップS301〜S304は、上記〈制御形態1〉の制御フロー(図8)におけるステップS101〜S104と同じである。よって、上記〈制御形態1〉の該当する部分の説明を参照することとし、ここでは、記載を省略する。
本制御フローでは、ステップS304においてロール紙残量を取得した後、ロール紙残量の現況をユーザーに報知するために操作部37の液晶表示装置の画面に取得したロール紙残量の表示を行うことでこの制御フローの終端とする。なお、本実施形態の処理は、上記〈制御形態1〉の処理と併用する形で設けることができ、併用する場合、ユーザーの指示に従って行うロール紙残量の表示は、電源オン時に行ったロール紙残量の表示を更新する動作となる。なお、上記〈制御形態1〉に併用する形で設けた本実施形態の処理を、併用するか、単独で用いるかをユーザーの設定により決めるようにしてもよい。設定に従って動作させるようにすると、単独で用いる場合には、ユーザーがロール紙残量検出処理を指示したときのみロール紙残量の表示を行う動作となる。
【0038】
〈制御形態4〉
この制御形態は、上記各制御形態で行うロール紙残量検出処理において、ロール紙残量の検出結果から、用紙不足による印刷の失敗を事前に回避するための機能を付加した形態の動作を示すものである。この機能は、検出したロール紙残量の表示を行うだけではなく、検出した残量では不足すると判断される定型の印刷サイズを確認し、該当する定型サイズによる印刷の実行指示の入力が操作部37から行えないようにする機能である。
図11は、この実施形態のロール紙残量検出処理の制御フローを示す図である。
図11の制御フローによると、操作部37からロール紙残量検出処理の実行を指示する操作が行われると、メイン制御部30は、この指示を受けてロール紙残量検出処理を起動する。
【0039】
ここで行うロール紙残量検出処理は、上記〈制御形態1〉に示した同処理の制御手順と基本的に変わらない。即ち、この制御フローにおけるステップS401〜S404は、上記〈制御形態1〉の制御フロー(図8)におけるステップS101〜S104と同じである。よって、上記〈制御形態1〉の該当する部分の説明を参照することとし、ここでは、記載を省略する。
本制御フローでは、ステップS404においてロール紙残量を取得した後、ロール紙残量の現況をユーザーに報知するために操作部37の液晶表示装置の画面に取得したロール紙残量の表示を行う。ここで行うロール紙残量の表示は、電源オン時にロール紙残量検出処理が行われた場合、電源オン時に行ったロール紙残量の表示を更新する動作となる(ステップS405)。
【0040】
次いで、用紙不足を確認し、確認の結果、用紙不足となる定型サイズが存在すれば、該当する定型サイズによる印刷の実行を指示するための入力ができないように入力画面の表示を変更する(例えば、印刷サイズの選択操作入力を不可とする)ことでこの制御フローの終端とする。なお、上記の用紙不足の確認は、ステップS404で取得したロール紙残量と各定型用紙のサイズとを比較し、ロール紙残量が不足するか否かを判断し、不足したサイズの定型用紙を特定する。また、メイン制御部30は、入力画面で用紙不足が確認された特定サイズの定型用紙への操作入力を無効にし、印刷が実行されないようにするとともに、入力画面の表示上も入力が無効になることがユーザーに分かるように、表示を変更し、その旨を知らせる。
なお、図11に示した制御フローは、操作部37からロール紙残量検出処理の実行を指示する操作が行われた場合であるが、この実施形態の用紙不足を確認する機能は、ロール紙残量を検出したときには常に行うことが必要な処理であり、上記〈制御形態1〉及び〈制御形態2〉においても、ロール紙残量の検出結果の表示に伴って実施することが適当である。
【0041】
〈制御形態5〉
この制御形態は、操作部37から長尺プリント出力の指示が行われたことをロール紙残量検出処理の実行開始条件とし、ロール紙残量の検出結果から、用紙不足による長尺プリント出力の失敗を事前に回避するための処理を行う制御動作を示すものである。この機能は、検出したロール紙残量の表示を行うだけではなく、指示された長尺プリント出力を行うために検出した残量で足りるか否かを確認し、不足する場合にユーザーに確認結果を報知するとともに、印刷の実行を禁止する機能である。
図12は、この実施形態のロール紙残量検出処理の制御フローを示す図である。
図12の制御フローによると、操作部37から長尺プリント出力の指示が行われると、メイン制御部30は、この指示を受けてロール紙残量検出処理を起動する。なお、長尺プリント出力の指示には、出力に用いる用紙サイズ(長さXとする)が指定される。
【0042】
ここで行うロール紙残量検出処理は、上記〈制御形態1〉に示した同処理の制御手順と基本的に変わらない。即ち、この制御フローにおけるステップS501〜S504は、上記〈制御形態1〉の制御フロー(図8)におけるステップS101〜S104と同じである。よって、上記〈制御形態1〉の該当する部分の説明を参照することとし、ここでは、記載を省略する。
本制御フローでは、ステップS504においてロール紙残量(Yとする)を取得した後、ステップS504で取得したロール紙残量Yと操作部37から指示された長尺プリント出力において指定された用紙サイズXとを比較し(ステップS505)、長尺プリント出力の用紙サイズに対しロール紙残量で足りるか否か(X<Y)を確認する(ステップS506)。
【0043】
ロール紙残量が指示された長尺プリント出力の用紙サイズに足りる場合(ステップS506-YES)、長尺プリント出力の動作を開始することでこの制御フローの終端とする。
他方、ロール紙残量が指示された長尺プリント出力の用紙サイズに足りない場合(ステップS506-NO)、ユーザーが長尺プリント出力の指示をした操作部37の入力画面を通じて、ロール紙残量の不足によりプリント出力が実行できない旨(NG)をユーザーに報知する(ステップS507)。なお、この場合には、警告ランプを点灯させるか、もしくはアラームを鳴らす等の警告を発してもよい。
この後、ロール紙残量の現況をユーザーに報知するために操作部37の液晶表示装置の画面にステップS504で取得したロール紙残量の表示を行うとともに、ロール紙残量に収まるように長尺プリント出力の用紙サイズを変更する指示が再度行われることによって、正常な出力が可能になる場合もあるので、その操作入力を受付けるために、制御手順を起動時の状態に戻す。
【符号の説明】
【0044】
10・・ロール紙、11・・ロール軸(紙管)、11f・・フランジャ、12・・ペーパーホルダ、13・・搬送ローラ、20・・距離センサ、20s・・超音波距離センサ、20p・・接触型距離センサ、30・・メイン制御部(BCU)、31・・メモリ、
35・・IO管理部(IOB)、37・・操作部、38・・コントローラ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【特許文献1】特開平7−172622号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙が巻き付けられたロール軸を回転可能に支持するホルダ、該ホルダに支持されたロール軸に巻き付けられたロール紙を引き出し給紙する搬送ローラ、給紙によって引き出された後にロール軸に残るロール紙の量を検出する用紙残量検出手段を有するロール紙給紙装置であって、
前記用紙残量検出手段は、ロール軸から引き出された用紙が搬送ローラに接するまでの用紙面に対向しかつロール軸と平行な面を基準平面として、該基準平面内の所定位置に設け、用紙までの高さV1を検知する用紙高さ検知手段と、
前記用紙高さ検知手段によって検知された高さV1、基準平面から用紙の搬送ローラとの接触点までの高さV2、基準平面に直交しかつロール軸に巻き付いたロール紙の引出点を含む平面から前記用紙高さ検知手段を設けた所定位置までの距離H1及び基準平面に直交しかつ用紙の搬送ローラとの接触点を含む平面から前記用紙高さ検知手段を設けた所定位置までの距離H2に基づいて、ロール軸に支持されたロール紙の引出点の位置を表す量を測定するロール紙位置測定手段と、
前記ロール紙位置測定手段によって測定されたロール紙の引出点の位置を表す量を用紙残量に変換する残量変換手段を備えた
ことを特徴とするロール紙給紙装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたロール紙給紙装置において、
前記用紙高さ検知手段が超音波距離センサであることを特徴とするロール紙給紙装置。
【請求項3】
請求項1に記載されたロール紙給紙装置において、
前記用紙高さ検知手段が用紙に接触する端子が感知する圧力の変化から距離を検知するセンサであることを特徴とするロール紙給紙装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載されたロール紙給紙装置と、前記ロール紙給紙装置によって給紙される用紙に画像を形成する画像形成手段とを有する画像形成装置であって、
画像形成装置の電源オン時に前記用紙残量検出手段を作動させて用紙残量を検出させた後、前記画像形成手段によって画像が形成されるタイミングで前記用紙残量検出手段を作動させて用紙残量を検出させる制御手段を有したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載されたロール紙給紙装置と、前記ロール紙給紙装置によって給紙される用紙に画像を形成する画像形成手段と、動作を指示するマニュアル操作の入力を受付けるための操作部とを有する画像形成装置であって、
前記操作部から入力された指示に従って前記用紙残量検出手段を作動させて用紙残量を検出させる制御手段を有したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載された画像形成装置において、
画像形成装置内の動作状態をユーザーに知らせる報知手段と、
前記用紙残量検出手段によって検出された用紙残量が前記画像形成手段で形成可能な用紙サイズに足りるか否かを判定する残量不足判定手段と、
前記残量不足判定手段によって残量が不足すると判定されたときに、該当する用紙サイズによる画像形成の不可を前記報知手段により知らせる制御手段を有したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれかに記載されたロール紙給紙装置と、前記ロール紙給紙装置によって給紙される用紙に長尺サイズを含む所定サイズの画像を形成する画像形成手段と、動作を指示するマニュアル操作の入力を受付けるための操作部とを有する画像形成装置であって、
前記用紙残量検出手段によって検出された用紙残量が前記画像形成手段で形成可能な長尺サイズの画像に足りるか否かを判定する残量不足判定手段と、
前記操作部から長尺サイズの画像形成の指示が入力されたときに、この指示に従って前記用紙残量検出手段を作動させて用紙残量を検出させるとともに、前記残量不足判定手段を作動させる制御手段を有したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載された画像形成装置において、
画像形成装置内の動作状態をユーザーに知らせる報知手段と、
前記残量不足判定手段によって残量が不足すると判定されたときに、長尺サイズによる画像形成の不可を前記報知手段により知らせる制御手段を有したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−16622(P2011−16622A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162391(P2009−162391)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】