ワイパ制御装置
【課題】雨量に対しワイパの払拭モードを正確に制御することの可能なワイパ制御装置を提供する。
【解決手段】前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの間に信号出力部から出力された雨滴信号Sが雨滴検出限界閾値ref3以上となった場合(S1:YES)、算出手段は、雨滴検出限界閾値ref3となったときの雨滴信号とその雨滴信号の出力された時刻との関係から、払拭時刻の雨滴信号推定値Sbを算出する(S2)。払拭モード設定手段は、雨滴信号推定値Sbが第1閾値ref1より小さいとき払拭モードを長く設定し(S15)、雨滴信号推定値Sbが第2閾値ref2より大きいとき払拭モードを短く設定し(S6,S11)、雨滴信号推定値Sbが第1閾値ref1と第2閾値ref2との間のとき払拭モードを保持する(S8、S14)。
【解決手段】前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの間に信号出力部から出力された雨滴信号Sが雨滴検出限界閾値ref3以上となった場合(S1:YES)、算出手段は、雨滴検出限界閾値ref3となったときの雨滴信号とその雨滴信号の出力された時刻との関係から、払拭時刻の雨滴信号推定値Sbを算出する(S2)。払拭モード設定手段は、雨滴信号推定値Sbが第1閾値ref1より小さいとき払拭モードを長く設定し(S15)、雨滴信号推定値Sbが第2閾値ref2より大きいとき払拭モードを短く設定し(S6,S11)、雨滴信号推定値Sbが第1閾値ref1と第2閾値ref2との間のとき払拭モードを保持する(S8、S14)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイパの払拭動作の時間間隔(以下「払拭モード」という)を制御するワイパ制御装置が知られている。
特許文献1のワイパ制御装置は、2つの閾値を用いてワイパの払拭モードを制御している。第1閾値は第2閾値より小さい値に設定されている。ワイパ制御装置は、ワイパが払拭動作する時刻の雨滴信号が第1閾値より小さいとき払拭モードを長く設定し、その時刻の雨滴信号が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、その時刻の雨滴信号が第1閾値と第2閾値との間のとき払拭モードを保持する。したがって、検出面に付着する雨滴にばらつきが生じても、降雨状態が一定のときは払拭モードを一定に保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許2661171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、雨滴センサは、車両のフロントウィンドシールドの車室内側の面に取り付けられる。雨滴センサは、検出面となるフロントウィンドシールドに向けて発光素子から例えば赤外線などの光を照射する。そして、雨滴センサは、フロントウィンドシールドの外気側の面で反射した光を受光素子で受光し、その受光量に応じた信号を出力する。検出面に雨滴が付着していないとき、光は検出面で全反射する。一方、検出面に雨滴が付着すると、光は検出面を透過する。これにより、雨滴センサは、ワイパの払拭動作の間に検出面に付着してゆく雨滴の付着率に応じた信号を出力する。
しかしながら、検出面に多量の雨滴が付着する、または、検出面が油膜等で汚れていると、雨滴が薄い層となり発光素子の照射した光がその層の表面で反射することで、検出面への雨滴の付着率と出力信号とが対応しなくなることがある。
この場合、ワイパ制御装置は、雨量判定を正確に行うことが困難になる。ワイパ制御装置は、検出面に多量の雨滴が付着していることを「雨量の減少」と誤って判断し、払拭モードを長くするおそれがある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、雨量に対してワイパの払拭モードを正確に制御することの可能なワイパ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明によると、検出面に付着する雨滴の付着率に対応する雨滴信号を信号出力部は出力する。
検出面の雨滴の付着率と雨滴信号との対応関係の維持が限界となる雨滴検出限界閾値と、信号出力部から出力された雨滴信号とを比較手段が比較する。
前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの間に出力された雨滴信号が雨滴検出限界閾値以上となったことを比較手段が判定した場合、算出手段は、雨滴検出限界閾値となったときの雨滴信号または雨滴検出限界閾値となる以前の雨滴信号とその雨滴信号の出力された時刻との関係を基に、払拭時刻の雨滴信号推定値を算出する。
払拭モード設定手段は、雨滴信号推定値が第1閾値より小さいとき払拭モードを長く設定し、雨滴信号推定値が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、雨滴信号推定値が第1閾値と第2閾値との間のとき払拭モードを保持する。
これにより、現時点で設定されている払拭モードの払拭時刻において、検出面の雨滴の付着率と雨滴信号とが正規の対応関係にないとき、払拭モード設定手段は、算出手段の算出した雨滴信号推定値と第1、第2閾値とを用いて払拭モードを設定する。したがって、ワイパ制御装置は、信号出力部の検出面に多量の雨滴が付着する、または、検出面が油膜等で汚れている場合、雨量に対してワイパの払拭モードを正確に制御することができる。
【0006】
請求項2に係る発明によると、前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの間に出力された雨滴信号が雨滴検出限界閾値未満であることを比較手段が判定した場合、払拭モード設定手段は、払拭時刻の雨滴信号が第1閾値より小さいとき、払拭モードを長く設定し、払拭時刻の雨滴信号が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、払拭時刻の雨滴信号が第1閾値と第2閾値との間のとき払拭モードを保持する。
これにより、払拭モード設定手段は、現時点で設定されている払拭モードの払拭時刻に検出面の雨滴の付着率と雨滴信号とが対応しているとき、その払拭時刻の雨滴信号と第1、第2閾値とを用いて払拭モードを設定する。したがって、ワイパ制御装置は、雨量に対してワイパの払拭モードを正確に制御することができる。
【0007】
請求項3に係る発明によると、ワイパ制御装置は、雨滴検出限界閾値と第1閾値及び第2閾値とを比較する感度ボリューム領域判定手段を備える。
感度ボリューム領域判定手段により雨滴検出限界閾値が第1閾値より小さいと判定された場合、払拭モード設定手段は、雨滴信号推定値が第1閾値より小さいとき払拭モードを長く設定し、雨滴信号推定値が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、雨滴信号推定値が第1閾値と第2閾値との間のとき払拭モードを保持する。
感度ボリューム領域判定手段により雨滴検出限界閾値が第1閾値より大きく第2閾値より小さいと判定された場合、払拭モード設定手段は、雨滴信号推定値が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、雨滴信号推定値が第2閾値以下のとき払拭モードを保持する。
前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの間に出力された雨滴信号が雨滴検出限界閾値以上であり、かつ、雨滴検出限界閾値が第1閾値より大きい場合、雨滴信号推定値は第1閾値より大きい。この場合、払拭モード設定手段は、雨滴信号推定値が第1閾値より小さいか否かを判断しなくてもよい。したがって、ワイパ制御装置の制御負担を軽減することができる。
【0008】
前回のワイパの払拭時刻から雨滴信号が雨滴検出限界閾値となった時刻までの時間をTa、雨滴信号が雨滴検出限界閾値となった時刻の雨滴信号をSa、前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの時間をTb、現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻の雨滴信号推定値をSbとする。
請求項4に係る発明によると、算出手段は、Sb=Sa×Tb/Ta により雨滴信号推定値Sbを算出する。
雨滴信号が雨滴検出限界閾値となった時刻の雨滴信号Saを雨滴信号推定値Sbの算出に用いることで、雨滴検出限界閾値となる以前の雨滴信号を雨滴信号推定値Sbの算出に用いることに比べ、雨滴信号推定値Sbの信頼性が高まる。これにより、ワイパの払拭モードを正確に制御することができる。
【0009】
第1閾値をref1、第2閾値をref2、雨滴検出限界閾値をref3、払拭モードを短く設定するときのワイパを払拭する間隔時間をTc、払拭モードを長くするときのワイパを払拭する間隔時間をTdとする。
請求項5に係る発明によると、算出手段は、Tc=Ta×ref2/ref3 によりワイパを払拭する間隔時間Tcを算出する。
請求項6に係る発明によると、算出手段は、Td=Ta×ref1/ref3 によりワイパを払拭する間隔時間Tdを算出する。
これにより、設定すべきワイパ払拭の間隔時間Tc、Tdを正確に算出することができる。したがって、払拭モード設定手段は、払拭モードの設定を迅速かつ正確に行うことができる。
【0010】
請求項7に係る発明によると、検出面に付着する雨滴の付着率に対応する雨滴信号を信号出力部は出力する。
払拭モード設定手段は、第1閾値及びこの第1閾値より大きい第2閾値を用いて払拭モードの設定をする。
感度ボリューム領域判定手段は、検出面の雨滴の付着率と雨滴信号との対応関係の維持が限界となる雨滴検出限界閾値と第2閾値とを比較する。
算出手段は、雨滴検出限界閾値となったときの雨滴信号または雨滴検出限界閾値となる以前の雨滴信号と、その雨滴信号の出力された時刻との関係を基に、現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻の雨滴信号推定値を算出する。
感度ボリューム領域判定手段により雨滴検出限界閾値が第2閾値より大きいと判定された場合、払拭モード設定手段は、払拭時刻の雨滴信号が第1閾値より小さいとき払拭モードを長く設定し、払拭時刻の雨滴信号が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、払拭時刻の雨滴信号が第1閾値と第2閾値との間のとき払拭モードを保持する。
感度ボリューム領域判定手段により雨滴検出限界閾値が第2閾値より小さいと判定された場合、払拭モード設定手段は、雨滴信号推定値が第1閾値より小さいとき払拭モードを長く設定し、雨滴信号推定値が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、雨滴信号推定値が第1閾値と第2閾値との間のとき払拭モードを保持する。
これにより、ワイパ制御装置は、請求項1に記載の比較手段を備えること無しに、雨量に対してワイパの払拭モードを正確に制御することができる。
【0011】
請求項8に係る発明によると、前記信号出力部は、前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの間に複数回または連続して雨滴信号を出力する。これにより、比較手段は、雨滴信号が雨滴検出限界閾値以上となった時刻を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態によるワイパ制御装置の適用される車両の模式図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるワイパ制御装置の構成図である。
【図4】本発明の第1実施形態における検出面の雨滴付着率と受光低下率との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の第1実施形態によるワイパ制御装置の処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態によるワイパ制御装置の処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1実施形態によるワイパ制御装置に用いられる感度調整用ボリュームによる感度領域の範囲を示すグラフである。
【図8】本発明の第1実施形態によるワイパ制御装置の感度領域1における雨滴信号と時間との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の第1実施形態によるワイパ制御装置の感度領域2における雨滴信号と時間との関係を示すグラフである。
【図10】本発明の第1実施形態によるワイパ制御装置の感度領域3における雨滴信号と時間との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の第2実施形態によるワイパ制御装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるワイパ制御装置を図1〜図10に示す。本実施形態のワイパ制御装置1は、雨滴センサ2から出力された雨滴信号Sに基づいて、ワイパ3の払拭モードを制御する。
図1に示すように、雨滴センサ2は、車両4のフロントウィンドシールド5のワイパ3の払拭領域6の車室内側の面に取り付けられている。
【0014】
図2に示すように、雨滴センサ2は、光学式のセンサ方式を採用している。雨滴センサ2は、発光素子7からフロントウィンドシールド5に向けて所定の周期でまたは連続して赤外線を照射し、検出面8となるフロントウィンドシールド5の外気側の面、及び車室内側の面で反射した光を受光素子9により受光する。検出面8に雨滴Dが付着していないとき、実線の矢印Eに示すように、赤外線は検出面8で全反射する。一方、検出面8に雨滴Dが付着すると、破線の矢印Fに示すように、赤外線は検出面8を透過する。これにより、信号出力部としての雨滴センサ2は、ワイパ払拭の間に検出面8に増加する雨滴Dの付着率に対応して低下する受光素子9の受光低下率に応じた雨滴信号Sを出力する。
【0015】
図3に示すように、信号出力部としての雨滴センサ2から出力される雨滴信号Sは、マイクロコンピュータ10に入力される。マイクロコンピュータ10は、その雨滴信号S、第1閾値ref1、第2閾値ref2、および雨滴検出限界閾値ref3によりワイパ3の払拭モードを設定する。なお、雨滴信号Sは、ワイパ払拭の間に複数回、または連続して出力されるように設定される。雨滴信号Sの出力される回数は、例えばワイパ払拭の間に16回とする等、任意に設定することが可能である。
感度調整用ボリューム11は、第1閾値ref1および第2閾値ref2を調整するものである。
マイクロコンピュータ10から出力されるワイパ払拭の制御信号に基づき、モータ駆動回路12からワイパ駆動用モータ13に駆動電流が流れる。
【0016】
雨滴検出限界閾値ref3は、例えば図4に示すような実験結果に基づいて設定される。
図4のグラフは、検出面8に付着する雨滴Dが次第に増えてゆくとき、雨滴センサ2から出力される信号をプロットしたものである。
図4のグラフでは、検出面8の面積に対し、雨滴Dが付着する面積の比率を雨滴付着率として横軸に示している。また、受光素子9の受光低下率を縦軸に示している。
実線Aは、検出面8に油膜等が付着していない状態における雨滴付着率と受光低下率との関係を示している。
実線Bは、検出面8に油膜が付着している状態における雨滴付着率と受光低下率との関係を示している。
実線Cは、検出面8に親水性の油膜として食器用洗剤が付着している状態における雨滴付着率と受光低下率との関係を示している。
【0017】
実線Aでは、雨滴付着率0〜90%まで、雨滴付着率と受光低下率とが略比例関係にある。雨滴付着率が90%を超えると、雨滴付着率と受光低下率との対応関係が維持されなくなる。
実線Bでは、雨滴付着率0〜70%まで、雨滴付着率と受光低下率とが略比例関係にある。雨滴付着率が70%を超えると、雨滴付着率と受光低下率との対応関係が維持されなくなる。
実線Cでは、雨滴付着率約35%まで、雨滴付着率と受光低下率とが略比例関係にある。雨滴付着率が約35%を超えると、雨滴付着率と受光低下率との対応関係が維持されなくなる。
これは、雨滴付着率が一定の量を超えると、雨滴Dが薄い層となり、雨滴センサ2の適応可能なフロントウィンドシールド5の厚さの許容範囲内に入り、発光素子7から照射される赤外線がその層で反射することが原因であると考えられる。
本実施形態では、この実験結果に基づき、検出面8の雨滴の付着率と雨滴信号Sとの対応関係の維持が限界となる雨滴検出限界閾値ref3を、例えば受光低下率20%に対応して出力される雨滴信号Sの値に設定している。なお、雨滴検出限界閾値ref3は、この値に限らず、例えば検出面の面積等、種々の条件を考慮し、任意に設定することができる。
【0018】
次に、ワイパ制御装置1の処理を図5〜図10を参照して説明する。この処理は、マイクロコンピュータ10によって行われる。後述する比較手段、算出手段、払拭モード設定手段および感度ボリューム領域判定手段は、マイクロコンピュータ10に格納されているプログラムの機能を概念的に示すものである。
マイクロコンピュータ10は、運転者がワイパ3の払拭スイッチ(不図示)をオンしたときに処理を開始する。まず、比較手段が、前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの間に、雨滴センサ2からマイクロコンピュータ10に出力された雨滴信号Sが雨滴検出限界閾値ref3以上であるか否かを判定する(S1)。
【0019】
ワイパ払拭の間に雨滴センサ2から複数回または連続して出力された雨滴信号Sのうち少なくとも1つの雨滴信号Sが雨滴検出限界閾値ref3以上であるとき、算出手段は、現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻の雨滴信号推定値Sbを算出する(S2)。算出手段は、雨滴信号Sが雨滴検出限界閾値ref3となったときの雨滴信号Saと、その雨滴信号Saの出力された時刻との関係を基に、現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻の雨滴信号推定値Sbを算出する。なお、算出手段は、雨滴信号Sが雨滴検出限界閾値ref3を越えた直後の雨滴信号、或いは雨滴検出限界閾値ref3となる前の雨滴信号を雨滴信号推定値Sbの算出に使用してもよい。雨滴信号Sが雨滴検出限界閾値ref3を越えた直後の雨滴信号、或いは雨滴検出限界閾値ref3となる以前の雨滴信号は、検出面8の雨滴の付着率と対応関係が維持されているからである。
【0020】
本実施形態では、算出手段は、下記の計算式により、現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻の雨滴信号推定値Sbを算出する(図9及び図10参照)。
Sb=Sa×Tb/Ta
ここで、Taは、前回のワイパの払拭時刻から雨滴信号Sが雨滴検出限界閾値ref3となった時刻までの時間を示す。Saは、雨滴信号Sが雨滴検出限界閾値ref3となった時刻の雨滴信号を示す。Tbは、前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの時間を示す。
さらに、算出手段は、下記の計算式により、払拭モードを短くするときのワイパを払拭する間隔時間Tcを算出する(図9参照)。
Tc=Ta×ref2/ref3
【0021】
次に、感度ボリューム領域判定手段が、現在ワイパ制御装置1に設定されている感度ボリューム領域を判定する(S3)。図7に示すように、感度ボリューム領域判定手段は、雨滴検出限界閾値ref3が第1閾値ref1より小さいとき、感度領域3と判定する。雨滴検出限界閾値ref3が第1閾値ref1以上、第2閾値ref2以下のとき、感度領域2と判定する。
なお、図7において、左側の領域が比較的感度が高く、右側の領域が比較的感度が低い。つまり、降雨量が同じであれば、左側の領域に比べ、右側の領域のほうがワイパの払拭間隔時間が長い。運転者は、感度調整用ボリューム11を操作し、第1閾値ref1および第2閾値ref2を調整することが可能である。
【0022】
感度ボリューム領域判定手段が感度領域2と判定した場合、払拭モード設定手段は、現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻の雨滴信号推定値Sbと第2閾値ref2とを比較する(S4)。雨滴信号推定値Sbが第2閾値ref2以上のとき、現時点で設定されている払拭モードの払拭時刻に、検出面8の雨滴付着率が、第2閾値ref2に対応する雨滴付着率以上であることが想定される。したがって、図9に示すように、払拭モード設定手段は、算出手段で算出した払拭モードを短くするときのワイパ払拭の間隔時間Tcの経過後(S5:YES)、ワイパの払拭動作を開始すると共に、払拭モードを短く設定する(S6)。なお、この設定されたワイパ払拭の間隔時間Tcが、今後のワイパ払拭の間隔時間Tbとなる。
一方、雨滴信号推定値Sbが第2閾値ref2未満のとき、現時点で設定されている払拭モードが適切であると想定される。したがって、払拭モード設定手段は、現在の払拭モードにおけるワイパ払拭の間隔時間Tbの経過後(S7:YES)、ワイパの払拭動作を開始すると共に、現時点で設定されている払拭モードを保持する(S8)。
【0023】
感度ボリューム領域判定手段が感度領域3と判定した場合、払拭モード設定手段は、現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻の雨滴信号推定値Sbと第2閾値ref2とを比較する(S9)。雨滴信号推定値Sbが第2閾値ref2以上のとき、算出手段で算出した払拭モードを短くするときのワイパ払拭の間隔時間Tcの経過後(S10:YES)、ワイパの払拭動作を開始すると共に、払拭モードを短く設定する(S11)。
一方、雨滴信号推定値Sbが第2閾値ref2未満のとき、払拭モード設定手段は、雨滴信号推定値Sbと第1閾値ref1とを比較する(S12)。雨滴信号推定値Sbが第1閾値ref1以上のとき、図10(A)に示すように、現在の払拭モードにおけるワイパ払拭の間隔時間Tbの経過後(S13:YES)、ワイパの払拭動作を開始すると共に、現時点で設定されている払拭モードを保持する(S14)。
【0024】
雨滴信号推定値Sbが第1閾値ref1未満のとき、現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻に、第1閾値ref1に対応する付着率の雨滴Dが検出面8に未だ付着していないことが想定される。したがって、払拭モード設定手段は、現在の払拭モードを、ワイパの払拭間隔時間が1ランク長い払拭モードに変更する(S15)。そして、変更後の払拭モードにおけるワイパを払拭する間隔時間Tbの経過後(S13:YES)、ワイパの払拭動作を開始すると共に、その変更した払拭モードを保持する(S14)。
なお、図10(B)に示すように、払拭モード設定手段が現在の払拭モードを長い払拭モードに変更するとき、算出手段は、下記の計算式により、ワイパを払拭する間隔時間Tdを算出しても良い。
Td=Ta×ref1/ref3
払拭モード設定手段は、ステップ15において、払拭モードを間隔時間Tdに設定することが可能である。このとき、設定された間隔時間Tdが、今後のワイパ払拭の間隔時間Tbとなる。
【0025】
上述したステップS1で、ワイパ払拭の間に雨滴センサ2から複数回または連続して出力された雨滴信号Sの全てが雨滴検出限界閾値ref3未満であると比較手段が判定すると、処理はステップS16(図6参照)に進む。
このとき、払拭モード設定手段は、現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻の雨滴信号Scと第2閾値ref2とを比較する(S16)。雨滴信号Scが第2閾値ref2以上のとき、雨滴信号Sが第2閾値ref2となった時刻でワイパを払拭するように間隔時間Tcを設定し、その間隔時間Tcの経過後(S17:YES)、ワイパの払拭動作を開始する(S18)。
一方、払拭時刻の雨滴信号Scが第2閾値ref2未満のとき、払拭モード設定手段は、その雨滴信号Scと第1閾値ref1とを比較する(S19)。払拭時刻の雨滴信号Scが第1閾値ref1以上のとき、図8に示すように、現在の払拭モードにおけるワイパを払拭する間隔時間Tbの経過後(S20:YES)、ワイパの払拭動作を開始すると共に、現在の払拭モードを保持する(S21)。
払拭時刻の雨滴信号Scが第1閾値ref1未満のとき、現在の払拭モードを、ワイパの払拭間隔時間が1ランク長い払拭モードに変更する(S22)。そして、変更後の払拭モードにおけるワイパを払拭する間隔時間Tbの経過後(S20:YES)、ワイパの払拭動作を開始すると共に、その払拭モードを保持する(S21)。
【0026】
本実施形態では、以下の作用効果を奏する。
(1)ワイパ払拭の間に雨滴センサ2から出力された雨滴信号Sが雨滴検出限界閾値ref3以上である場合、現時点で設定されている払拭モードの払拭時刻の雨滴信号Sと検出面8の雨滴付着率とは対応していない。この場合、払拭モード設定手段は、雨滴信号推定値Sbと第1閾値ref1、第2閾値ref2とを用いて払拭モードを設定する。したがって、ワイパ制御装置1は、検出面8に多量の雨滴が付着する、または、検出面8が油膜等で汚れているとき、雨量に対してワイパの払拭モードを正確に制御することができる。
この結果、ワイパ制御装置1は、検出面8の面積を小さくした場合にも、多量の降雨に対し、ワイパの払拭モードを正確に制御することができる。したがって、雨滴センサ2の体格を小型化することができる。
【0027】
(2)ワイパ払拭の間に雨滴センサ2から出力された雨滴信号Sが雨滴検出限界閾値ref3以上であり、かつ、雨滴検出限界閾値ref3が第1閾値ref1より大きい場合、払拭時刻の雨滴信号推定値Sbは第1閾値ref1より大きい。したがってこの場合には、その雨滴信号推定値Sbが第1閾値ref1より小さいか否かを払拭モード設定手段は判断しない。この結果、ワイパ制御装置1の制御負担を軽減することができる。
【0028】
(3)雨滴信号推定値Sbは、Sb=Sa×Tb/Taにより算出される。雨滴検出限界閾値ref3となったときの雨滴信号Saを雨滴信号推定値Sbの算出に使用するので、雨滴検出限界閾値ref3となる以前の雨滴信号Sを雨滴信号推定値Sbの算出に用いることに比べ、雨滴信号推定値Sbの信頼性が高い。したがって、払拭モード設定手段は、ワイパの払拭モードを正確に制御することができる。
(4)払拭モードを短くするとき、ワイパ払拭の間隔時間Tcは、
Tc=Ta×ref2/ref3 により算出される。
また、払拭モードを長くするとき、ワイパ払拭の間隔時間Tdは、
Td=Ta×ref1/ref3 により算出される。
前回のワイパの払拭時刻から雨滴信号が雨滴検出限界閾値ref3となった時刻までの時間Taと雨滴検出限界閾値ref3とを、ワイパ払拭の間隔時間Tc、Tdの算出に使用するので、設定すべきワイパ払拭の間隔時間Tc、Tdを正確に算出することができる。したがって、払拭モード設定手段は、払拭モードの設定を迅速かつ正確に行うことができる。
【0029】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態によるワイパ制御装置の処理を図11に示す。第1実施形態と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、雨滴センサ2から出力された雨滴信号Sと、雨滴検出限界閾値ref3とを比較しない。その代わり、感度ボリューム領域判定手段が、ワイパ制御装置に設定されている感度ボリューム領域を判定する(S30)。感度ボリューム領域判定手段は、雨滴検出限界閾値ref3が第2閾値ref2以下の場合、感度領域2又は3と判定する。雨滴検出限界閾値ref3が第2閾値ref2より大きい場合、感度領域1と判定する。
感度領域1のとき、ワイパ制御装置は第1実施形態のステップS16〜S22と同様の処理を行う。
感度領域2又は3のとき、算出手段は、第1実施形態と同様の方法で、払拭時刻の雨滴信号推定値Sb、及び払拭モードを短くするときのワイパ払拭の間隔時間Tcを算出する(S2)。その後、ワイパ制御装置は、第1実施形態のステップS9〜S15と同様の処理を行う。
本実施形態では、ワイパ制御装置は、第1実施形態に記載した比較手段を備えること無しに、雨量に対してワイパの払拭モードを正確に制御することができる。
【0030】
(他の実施形態)
上述した実施形態では、比較手段が、ワイパ払拭の間に雨滴センサ2から出力された雨滴信号Sと雨滴検出限界閾値ref3とを比較した。これに対し、本発明は、ワイパ払拭の間に雨滴センサから出力された雨滴信号Sの積分値と、この積分値に対応して設定された雨滴検出限界閾値とを比較してもよい。
上述した第1実施形態では、感度ボリューム領域判定手段が、ワイパ制御装置に設定されている感度ボリューム領域を判定した(S3)。これに対し、本発明は、感度ボリューム領域判定手段を備えること無しに、雨滴信号Sが雨滴検出限界閾値ref3以上の場合、ステップS9〜ステップS15により雨量に対してワイパの払拭モードを制御してもよい。
上述した実施形態では、算出手段は、検出面の雨滴付着率と、受光量低下率との関係を比例関係として雨滴信号推定値Sbを算出した。これに対し、本発明は、検出面8の雨滴付着率と、受光量低下率との関係をマイクロコンピュータ10にマップとして記憶し、そのマップに基づいて雨滴信号推定値Sbを算出してもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 ・・・ワイパ制御装置
2 ・・・雨滴センサ(信号出力部)
8 ・・・検出面
S1 ・・・比較手段
S2 ・・・算出手段
S4〜S22・・・払拭モード設定手段
S3、S30・・・感度ボリューム領域判定手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイパの払拭動作の時間間隔(以下「払拭モード」という)を制御するワイパ制御装置が知られている。
特許文献1のワイパ制御装置は、2つの閾値を用いてワイパの払拭モードを制御している。第1閾値は第2閾値より小さい値に設定されている。ワイパ制御装置は、ワイパが払拭動作する時刻の雨滴信号が第1閾値より小さいとき払拭モードを長く設定し、その時刻の雨滴信号が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、その時刻の雨滴信号が第1閾値と第2閾値との間のとき払拭モードを保持する。したがって、検出面に付着する雨滴にばらつきが生じても、降雨状態が一定のときは払拭モードを一定に保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許2661171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、雨滴センサは、車両のフロントウィンドシールドの車室内側の面に取り付けられる。雨滴センサは、検出面となるフロントウィンドシールドに向けて発光素子から例えば赤外線などの光を照射する。そして、雨滴センサは、フロントウィンドシールドの外気側の面で反射した光を受光素子で受光し、その受光量に応じた信号を出力する。検出面に雨滴が付着していないとき、光は検出面で全反射する。一方、検出面に雨滴が付着すると、光は検出面を透過する。これにより、雨滴センサは、ワイパの払拭動作の間に検出面に付着してゆく雨滴の付着率に応じた信号を出力する。
しかしながら、検出面に多量の雨滴が付着する、または、検出面が油膜等で汚れていると、雨滴が薄い層となり発光素子の照射した光がその層の表面で反射することで、検出面への雨滴の付着率と出力信号とが対応しなくなることがある。
この場合、ワイパ制御装置は、雨量判定を正確に行うことが困難になる。ワイパ制御装置は、検出面に多量の雨滴が付着していることを「雨量の減少」と誤って判断し、払拭モードを長くするおそれがある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、雨量に対してワイパの払拭モードを正確に制御することの可能なワイパ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明によると、検出面に付着する雨滴の付着率に対応する雨滴信号を信号出力部は出力する。
検出面の雨滴の付着率と雨滴信号との対応関係の維持が限界となる雨滴検出限界閾値と、信号出力部から出力された雨滴信号とを比較手段が比較する。
前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの間に出力された雨滴信号が雨滴検出限界閾値以上となったことを比較手段が判定した場合、算出手段は、雨滴検出限界閾値となったときの雨滴信号または雨滴検出限界閾値となる以前の雨滴信号とその雨滴信号の出力された時刻との関係を基に、払拭時刻の雨滴信号推定値を算出する。
払拭モード設定手段は、雨滴信号推定値が第1閾値より小さいとき払拭モードを長く設定し、雨滴信号推定値が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、雨滴信号推定値が第1閾値と第2閾値との間のとき払拭モードを保持する。
これにより、現時点で設定されている払拭モードの払拭時刻において、検出面の雨滴の付着率と雨滴信号とが正規の対応関係にないとき、払拭モード設定手段は、算出手段の算出した雨滴信号推定値と第1、第2閾値とを用いて払拭モードを設定する。したがって、ワイパ制御装置は、信号出力部の検出面に多量の雨滴が付着する、または、検出面が油膜等で汚れている場合、雨量に対してワイパの払拭モードを正確に制御することができる。
【0006】
請求項2に係る発明によると、前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの間に出力された雨滴信号が雨滴検出限界閾値未満であることを比較手段が判定した場合、払拭モード設定手段は、払拭時刻の雨滴信号が第1閾値より小さいとき、払拭モードを長く設定し、払拭時刻の雨滴信号が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、払拭時刻の雨滴信号が第1閾値と第2閾値との間のとき払拭モードを保持する。
これにより、払拭モード設定手段は、現時点で設定されている払拭モードの払拭時刻に検出面の雨滴の付着率と雨滴信号とが対応しているとき、その払拭時刻の雨滴信号と第1、第2閾値とを用いて払拭モードを設定する。したがって、ワイパ制御装置は、雨量に対してワイパの払拭モードを正確に制御することができる。
【0007】
請求項3に係る発明によると、ワイパ制御装置は、雨滴検出限界閾値と第1閾値及び第2閾値とを比較する感度ボリューム領域判定手段を備える。
感度ボリューム領域判定手段により雨滴検出限界閾値が第1閾値より小さいと判定された場合、払拭モード設定手段は、雨滴信号推定値が第1閾値より小さいとき払拭モードを長く設定し、雨滴信号推定値が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、雨滴信号推定値が第1閾値と第2閾値との間のとき払拭モードを保持する。
感度ボリューム領域判定手段により雨滴検出限界閾値が第1閾値より大きく第2閾値より小さいと判定された場合、払拭モード設定手段は、雨滴信号推定値が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、雨滴信号推定値が第2閾値以下のとき払拭モードを保持する。
前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの間に出力された雨滴信号が雨滴検出限界閾値以上であり、かつ、雨滴検出限界閾値が第1閾値より大きい場合、雨滴信号推定値は第1閾値より大きい。この場合、払拭モード設定手段は、雨滴信号推定値が第1閾値より小さいか否かを判断しなくてもよい。したがって、ワイパ制御装置の制御負担を軽減することができる。
【0008】
前回のワイパの払拭時刻から雨滴信号が雨滴検出限界閾値となった時刻までの時間をTa、雨滴信号が雨滴検出限界閾値となった時刻の雨滴信号をSa、前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの時間をTb、現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻の雨滴信号推定値をSbとする。
請求項4に係る発明によると、算出手段は、Sb=Sa×Tb/Ta により雨滴信号推定値Sbを算出する。
雨滴信号が雨滴検出限界閾値となった時刻の雨滴信号Saを雨滴信号推定値Sbの算出に用いることで、雨滴検出限界閾値となる以前の雨滴信号を雨滴信号推定値Sbの算出に用いることに比べ、雨滴信号推定値Sbの信頼性が高まる。これにより、ワイパの払拭モードを正確に制御することができる。
【0009】
第1閾値をref1、第2閾値をref2、雨滴検出限界閾値をref3、払拭モードを短く設定するときのワイパを払拭する間隔時間をTc、払拭モードを長くするときのワイパを払拭する間隔時間をTdとする。
請求項5に係る発明によると、算出手段は、Tc=Ta×ref2/ref3 によりワイパを払拭する間隔時間Tcを算出する。
請求項6に係る発明によると、算出手段は、Td=Ta×ref1/ref3 によりワイパを払拭する間隔時間Tdを算出する。
これにより、設定すべきワイパ払拭の間隔時間Tc、Tdを正確に算出することができる。したがって、払拭モード設定手段は、払拭モードの設定を迅速かつ正確に行うことができる。
【0010】
請求項7に係る発明によると、検出面に付着する雨滴の付着率に対応する雨滴信号を信号出力部は出力する。
払拭モード設定手段は、第1閾値及びこの第1閾値より大きい第2閾値を用いて払拭モードの設定をする。
感度ボリューム領域判定手段は、検出面の雨滴の付着率と雨滴信号との対応関係の維持が限界となる雨滴検出限界閾値と第2閾値とを比較する。
算出手段は、雨滴検出限界閾値となったときの雨滴信号または雨滴検出限界閾値となる以前の雨滴信号と、その雨滴信号の出力された時刻との関係を基に、現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻の雨滴信号推定値を算出する。
感度ボリューム領域判定手段により雨滴検出限界閾値が第2閾値より大きいと判定された場合、払拭モード設定手段は、払拭時刻の雨滴信号が第1閾値より小さいとき払拭モードを長く設定し、払拭時刻の雨滴信号が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、払拭時刻の雨滴信号が第1閾値と第2閾値との間のとき払拭モードを保持する。
感度ボリューム領域判定手段により雨滴検出限界閾値が第2閾値より小さいと判定された場合、払拭モード設定手段は、雨滴信号推定値が第1閾値より小さいとき払拭モードを長く設定し、雨滴信号推定値が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、雨滴信号推定値が第1閾値と第2閾値との間のとき払拭モードを保持する。
これにより、ワイパ制御装置は、請求項1に記載の比較手段を備えること無しに、雨量に対してワイパの払拭モードを正確に制御することができる。
【0011】
請求項8に係る発明によると、前記信号出力部は、前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの間に複数回または連続して雨滴信号を出力する。これにより、比較手段は、雨滴信号が雨滴検出限界閾値以上となった時刻を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態によるワイパ制御装置の適用される車両の模式図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるワイパ制御装置の構成図である。
【図4】本発明の第1実施形態における検出面の雨滴付着率と受光低下率との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の第1実施形態によるワイパ制御装置の処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態によるワイパ制御装置の処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1実施形態によるワイパ制御装置に用いられる感度調整用ボリュームによる感度領域の範囲を示すグラフである。
【図8】本発明の第1実施形態によるワイパ制御装置の感度領域1における雨滴信号と時間との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の第1実施形態によるワイパ制御装置の感度領域2における雨滴信号と時間との関係を示すグラフである。
【図10】本発明の第1実施形態によるワイパ制御装置の感度領域3における雨滴信号と時間との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の第2実施形態によるワイパ制御装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるワイパ制御装置を図1〜図10に示す。本実施形態のワイパ制御装置1は、雨滴センサ2から出力された雨滴信号Sに基づいて、ワイパ3の払拭モードを制御する。
図1に示すように、雨滴センサ2は、車両4のフロントウィンドシールド5のワイパ3の払拭領域6の車室内側の面に取り付けられている。
【0014】
図2に示すように、雨滴センサ2は、光学式のセンサ方式を採用している。雨滴センサ2は、発光素子7からフロントウィンドシールド5に向けて所定の周期でまたは連続して赤外線を照射し、検出面8となるフロントウィンドシールド5の外気側の面、及び車室内側の面で反射した光を受光素子9により受光する。検出面8に雨滴Dが付着していないとき、実線の矢印Eに示すように、赤外線は検出面8で全反射する。一方、検出面8に雨滴Dが付着すると、破線の矢印Fに示すように、赤外線は検出面8を透過する。これにより、信号出力部としての雨滴センサ2は、ワイパ払拭の間に検出面8に増加する雨滴Dの付着率に対応して低下する受光素子9の受光低下率に応じた雨滴信号Sを出力する。
【0015】
図3に示すように、信号出力部としての雨滴センサ2から出力される雨滴信号Sは、マイクロコンピュータ10に入力される。マイクロコンピュータ10は、その雨滴信号S、第1閾値ref1、第2閾値ref2、および雨滴検出限界閾値ref3によりワイパ3の払拭モードを設定する。なお、雨滴信号Sは、ワイパ払拭の間に複数回、または連続して出力されるように設定される。雨滴信号Sの出力される回数は、例えばワイパ払拭の間に16回とする等、任意に設定することが可能である。
感度調整用ボリューム11は、第1閾値ref1および第2閾値ref2を調整するものである。
マイクロコンピュータ10から出力されるワイパ払拭の制御信号に基づき、モータ駆動回路12からワイパ駆動用モータ13に駆動電流が流れる。
【0016】
雨滴検出限界閾値ref3は、例えば図4に示すような実験結果に基づいて設定される。
図4のグラフは、検出面8に付着する雨滴Dが次第に増えてゆくとき、雨滴センサ2から出力される信号をプロットしたものである。
図4のグラフでは、検出面8の面積に対し、雨滴Dが付着する面積の比率を雨滴付着率として横軸に示している。また、受光素子9の受光低下率を縦軸に示している。
実線Aは、検出面8に油膜等が付着していない状態における雨滴付着率と受光低下率との関係を示している。
実線Bは、検出面8に油膜が付着している状態における雨滴付着率と受光低下率との関係を示している。
実線Cは、検出面8に親水性の油膜として食器用洗剤が付着している状態における雨滴付着率と受光低下率との関係を示している。
【0017】
実線Aでは、雨滴付着率0〜90%まで、雨滴付着率と受光低下率とが略比例関係にある。雨滴付着率が90%を超えると、雨滴付着率と受光低下率との対応関係が維持されなくなる。
実線Bでは、雨滴付着率0〜70%まで、雨滴付着率と受光低下率とが略比例関係にある。雨滴付着率が70%を超えると、雨滴付着率と受光低下率との対応関係が維持されなくなる。
実線Cでは、雨滴付着率約35%まで、雨滴付着率と受光低下率とが略比例関係にある。雨滴付着率が約35%を超えると、雨滴付着率と受光低下率との対応関係が維持されなくなる。
これは、雨滴付着率が一定の量を超えると、雨滴Dが薄い層となり、雨滴センサ2の適応可能なフロントウィンドシールド5の厚さの許容範囲内に入り、発光素子7から照射される赤外線がその層で反射することが原因であると考えられる。
本実施形態では、この実験結果に基づき、検出面8の雨滴の付着率と雨滴信号Sとの対応関係の維持が限界となる雨滴検出限界閾値ref3を、例えば受光低下率20%に対応して出力される雨滴信号Sの値に設定している。なお、雨滴検出限界閾値ref3は、この値に限らず、例えば検出面の面積等、種々の条件を考慮し、任意に設定することができる。
【0018】
次に、ワイパ制御装置1の処理を図5〜図10を参照して説明する。この処理は、マイクロコンピュータ10によって行われる。後述する比較手段、算出手段、払拭モード設定手段および感度ボリューム領域判定手段は、マイクロコンピュータ10に格納されているプログラムの機能を概念的に示すものである。
マイクロコンピュータ10は、運転者がワイパ3の払拭スイッチ(不図示)をオンしたときに処理を開始する。まず、比較手段が、前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの間に、雨滴センサ2からマイクロコンピュータ10に出力された雨滴信号Sが雨滴検出限界閾値ref3以上であるか否かを判定する(S1)。
【0019】
ワイパ払拭の間に雨滴センサ2から複数回または連続して出力された雨滴信号Sのうち少なくとも1つの雨滴信号Sが雨滴検出限界閾値ref3以上であるとき、算出手段は、現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻の雨滴信号推定値Sbを算出する(S2)。算出手段は、雨滴信号Sが雨滴検出限界閾値ref3となったときの雨滴信号Saと、その雨滴信号Saの出力された時刻との関係を基に、現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻の雨滴信号推定値Sbを算出する。なお、算出手段は、雨滴信号Sが雨滴検出限界閾値ref3を越えた直後の雨滴信号、或いは雨滴検出限界閾値ref3となる前の雨滴信号を雨滴信号推定値Sbの算出に使用してもよい。雨滴信号Sが雨滴検出限界閾値ref3を越えた直後の雨滴信号、或いは雨滴検出限界閾値ref3となる以前の雨滴信号は、検出面8の雨滴の付着率と対応関係が維持されているからである。
【0020】
本実施形態では、算出手段は、下記の計算式により、現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻の雨滴信号推定値Sbを算出する(図9及び図10参照)。
Sb=Sa×Tb/Ta
ここで、Taは、前回のワイパの払拭時刻から雨滴信号Sが雨滴検出限界閾値ref3となった時刻までの時間を示す。Saは、雨滴信号Sが雨滴検出限界閾値ref3となった時刻の雨滴信号を示す。Tbは、前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの時間を示す。
さらに、算出手段は、下記の計算式により、払拭モードを短くするときのワイパを払拭する間隔時間Tcを算出する(図9参照)。
Tc=Ta×ref2/ref3
【0021】
次に、感度ボリューム領域判定手段が、現在ワイパ制御装置1に設定されている感度ボリューム領域を判定する(S3)。図7に示すように、感度ボリューム領域判定手段は、雨滴検出限界閾値ref3が第1閾値ref1より小さいとき、感度領域3と判定する。雨滴検出限界閾値ref3が第1閾値ref1以上、第2閾値ref2以下のとき、感度領域2と判定する。
なお、図7において、左側の領域が比較的感度が高く、右側の領域が比較的感度が低い。つまり、降雨量が同じであれば、左側の領域に比べ、右側の領域のほうがワイパの払拭間隔時間が長い。運転者は、感度調整用ボリューム11を操作し、第1閾値ref1および第2閾値ref2を調整することが可能である。
【0022】
感度ボリューム領域判定手段が感度領域2と判定した場合、払拭モード設定手段は、現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻の雨滴信号推定値Sbと第2閾値ref2とを比較する(S4)。雨滴信号推定値Sbが第2閾値ref2以上のとき、現時点で設定されている払拭モードの払拭時刻に、検出面8の雨滴付着率が、第2閾値ref2に対応する雨滴付着率以上であることが想定される。したがって、図9に示すように、払拭モード設定手段は、算出手段で算出した払拭モードを短くするときのワイパ払拭の間隔時間Tcの経過後(S5:YES)、ワイパの払拭動作を開始すると共に、払拭モードを短く設定する(S6)。なお、この設定されたワイパ払拭の間隔時間Tcが、今後のワイパ払拭の間隔時間Tbとなる。
一方、雨滴信号推定値Sbが第2閾値ref2未満のとき、現時点で設定されている払拭モードが適切であると想定される。したがって、払拭モード設定手段は、現在の払拭モードにおけるワイパ払拭の間隔時間Tbの経過後(S7:YES)、ワイパの払拭動作を開始すると共に、現時点で設定されている払拭モードを保持する(S8)。
【0023】
感度ボリューム領域判定手段が感度領域3と判定した場合、払拭モード設定手段は、現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻の雨滴信号推定値Sbと第2閾値ref2とを比較する(S9)。雨滴信号推定値Sbが第2閾値ref2以上のとき、算出手段で算出した払拭モードを短くするときのワイパ払拭の間隔時間Tcの経過後(S10:YES)、ワイパの払拭動作を開始すると共に、払拭モードを短く設定する(S11)。
一方、雨滴信号推定値Sbが第2閾値ref2未満のとき、払拭モード設定手段は、雨滴信号推定値Sbと第1閾値ref1とを比較する(S12)。雨滴信号推定値Sbが第1閾値ref1以上のとき、図10(A)に示すように、現在の払拭モードにおけるワイパ払拭の間隔時間Tbの経過後(S13:YES)、ワイパの払拭動作を開始すると共に、現時点で設定されている払拭モードを保持する(S14)。
【0024】
雨滴信号推定値Sbが第1閾値ref1未満のとき、現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻に、第1閾値ref1に対応する付着率の雨滴Dが検出面8に未だ付着していないことが想定される。したがって、払拭モード設定手段は、現在の払拭モードを、ワイパの払拭間隔時間が1ランク長い払拭モードに変更する(S15)。そして、変更後の払拭モードにおけるワイパを払拭する間隔時間Tbの経過後(S13:YES)、ワイパの払拭動作を開始すると共に、その変更した払拭モードを保持する(S14)。
なお、図10(B)に示すように、払拭モード設定手段が現在の払拭モードを長い払拭モードに変更するとき、算出手段は、下記の計算式により、ワイパを払拭する間隔時間Tdを算出しても良い。
Td=Ta×ref1/ref3
払拭モード設定手段は、ステップ15において、払拭モードを間隔時間Tdに設定することが可能である。このとき、設定された間隔時間Tdが、今後のワイパ払拭の間隔時間Tbとなる。
【0025】
上述したステップS1で、ワイパ払拭の間に雨滴センサ2から複数回または連続して出力された雨滴信号Sの全てが雨滴検出限界閾値ref3未満であると比較手段が判定すると、処理はステップS16(図6参照)に進む。
このとき、払拭モード設定手段は、現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻の雨滴信号Scと第2閾値ref2とを比較する(S16)。雨滴信号Scが第2閾値ref2以上のとき、雨滴信号Sが第2閾値ref2となった時刻でワイパを払拭するように間隔時間Tcを設定し、その間隔時間Tcの経過後(S17:YES)、ワイパの払拭動作を開始する(S18)。
一方、払拭時刻の雨滴信号Scが第2閾値ref2未満のとき、払拭モード設定手段は、その雨滴信号Scと第1閾値ref1とを比較する(S19)。払拭時刻の雨滴信号Scが第1閾値ref1以上のとき、図8に示すように、現在の払拭モードにおけるワイパを払拭する間隔時間Tbの経過後(S20:YES)、ワイパの払拭動作を開始すると共に、現在の払拭モードを保持する(S21)。
払拭時刻の雨滴信号Scが第1閾値ref1未満のとき、現在の払拭モードを、ワイパの払拭間隔時間が1ランク長い払拭モードに変更する(S22)。そして、変更後の払拭モードにおけるワイパを払拭する間隔時間Tbの経過後(S20:YES)、ワイパの払拭動作を開始すると共に、その払拭モードを保持する(S21)。
【0026】
本実施形態では、以下の作用効果を奏する。
(1)ワイパ払拭の間に雨滴センサ2から出力された雨滴信号Sが雨滴検出限界閾値ref3以上である場合、現時点で設定されている払拭モードの払拭時刻の雨滴信号Sと検出面8の雨滴付着率とは対応していない。この場合、払拭モード設定手段は、雨滴信号推定値Sbと第1閾値ref1、第2閾値ref2とを用いて払拭モードを設定する。したがって、ワイパ制御装置1は、検出面8に多量の雨滴が付着する、または、検出面8が油膜等で汚れているとき、雨量に対してワイパの払拭モードを正確に制御することができる。
この結果、ワイパ制御装置1は、検出面8の面積を小さくした場合にも、多量の降雨に対し、ワイパの払拭モードを正確に制御することができる。したがって、雨滴センサ2の体格を小型化することができる。
【0027】
(2)ワイパ払拭の間に雨滴センサ2から出力された雨滴信号Sが雨滴検出限界閾値ref3以上であり、かつ、雨滴検出限界閾値ref3が第1閾値ref1より大きい場合、払拭時刻の雨滴信号推定値Sbは第1閾値ref1より大きい。したがってこの場合には、その雨滴信号推定値Sbが第1閾値ref1より小さいか否かを払拭モード設定手段は判断しない。この結果、ワイパ制御装置1の制御負担を軽減することができる。
【0028】
(3)雨滴信号推定値Sbは、Sb=Sa×Tb/Taにより算出される。雨滴検出限界閾値ref3となったときの雨滴信号Saを雨滴信号推定値Sbの算出に使用するので、雨滴検出限界閾値ref3となる以前の雨滴信号Sを雨滴信号推定値Sbの算出に用いることに比べ、雨滴信号推定値Sbの信頼性が高い。したがって、払拭モード設定手段は、ワイパの払拭モードを正確に制御することができる。
(4)払拭モードを短くするとき、ワイパ払拭の間隔時間Tcは、
Tc=Ta×ref2/ref3 により算出される。
また、払拭モードを長くするとき、ワイパ払拭の間隔時間Tdは、
Td=Ta×ref1/ref3 により算出される。
前回のワイパの払拭時刻から雨滴信号が雨滴検出限界閾値ref3となった時刻までの時間Taと雨滴検出限界閾値ref3とを、ワイパ払拭の間隔時間Tc、Tdの算出に使用するので、設定すべきワイパ払拭の間隔時間Tc、Tdを正確に算出することができる。したがって、払拭モード設定手段は、払拭モードの設定を迅速かつ正確に行うことができる。
【0029】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態によるワイパ制御装置の処理を図11に示す。第1実施形態と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、雨滴センサ2から出力された雨滴信号Sと、雨滴検出限界閾値ref3とを比較しない。その代わり、感度ボリューム領域判定手段が、ワイパ制御装置に設定されている感度ボリューム領域を判定する(S30)。感度ボリューム領域判定手段は、雨滴検出限界閾値ref3が第2閾値ref2以下の場合、感度領域2又は3と判定する。雨滴検出限界閾値ref3が第2閾値ref2より大きい場合、感度領域1と判定する。
感度領域1のとき、ワイパ制御装置は第1実施形態のステップS16〜S22と同様の処理を行う。
感度領域2又は3のとき、算出手段は、第1実施形態と同様の方法で、払拭時刻の雨滴信号推定値Sb、及び払拭モードを短くするときのワイパ払拭の間隔時間Tcを算出する(S2)。その後、ワイパ制御装置は、第1実施形態のステップS9〜S15と同様の処理を行う。
本実施形態では、ワイパ制御装置は、第1実施形態に記載した比較手段を備えること無しに、雨量に対してワイパの払拭モードを正確に制御することができる。
【0030】
(他の実施形態)
上述した実施形態では、比較手段が、ワイパ払拭の間に雨滴センサ2から出力された雨滴信号Sと雨滴検出限界閾値ref3とを比較した。これに対し、本発明は、ワイパ払拭の間に雨滴センサから出力された雨滴信号Sの積分値と、この積分値に対応して設定された雨滴検出限界閾値とを比較してもよい。
上述した第1実施形態では、感度ボリューム領域判定手段が、ワイパ制御装置に設定されている感度ボリューム領域を判定した(S3)。これに対し、本発明は、感度ボリューム領域判定手段を備えること無しに、雨滴信号Sが雨滴検出限界閾値ref3以上の場合、ステップS9〜ステップS15により雨量に対してワイパの払拭モードを制御してもよい。
上述した実施形態では、算出手段は、検出面の雨滴付着率と、受光量低下率との関係を比例関係として雨滴信号推定値Sbを算出した。これに対し、本発明は、検出面8の雨滴付着率と、受光量低下率との関係をマイクロコンピュータ10にマップとして記憶し、そのマップに基づいて雨滴信号推定値Sbを算出してもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 ・・・ワイパ制御装置
2 ・・・雨滴センサ(信号出力部)
8 ・・・検出面
S1 ・・・比較手段
S2 ・・・算出手段
S4〜S22・・・払拭モード設定手段
S3、S30・・・感度ボリューム領域判定手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出面に付着する雨滴の付着率に対応する雨滴信号を出力する信号出力部と、
前記検出面の雨滴の付着率と雨滴信号との対応関係の維持が限界となる雨滴検出限界閾値と前記信号出力部から出力された雨滴信号とを比較する比較手段と、
前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの間に前記信号出力部から出力された雨滴信号が雨滴検出限界閾値以上となったことを比較手段が判定した場合、雨滴検出限界閾値となったときの雨滴信号または雨滴検出限界閾値となる以前の雨滴信号とその雨滴信号の出力された時刻との関係を基に、前記払拭時刻の雨滴信号推定値を算出する算出手段と、
前記雨滴信号推定値が第1閾値より小さいとき払拭モードを長く設定し、前記雨滴信号推定値が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、前記雨滴信号推定値が第1閾値と第2閾値との間のとき払拭モードを保持する払拭モード設定手段と、を備えることを特徴とするワイパ制御装置。
【請求項2】
前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの間に出力された雨滴信号が雨滴検出限界閾値未満であることを前記比較手段が判定した場合、
前記払拭モード設定手段は、前記払拭時刻の雨滴信号が第1閾値より小さいとき払拭モードを長く設定し、前記払拭時刻の雨滴信号が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、前記払拭時刻の雨滴信号が第1閾値と第2閾値との間のとき払拭モードを保持することを特徴とする請求項1に記載のワイパ制御装置。
【請求項3】
雨滴検出限界閾値と第1閾値及び第2閾値とを比較する感度ボリューム領域判定手段を備え、
前記感度ボリューム領域判定手段により雨滴検出限界閾値が第1閾値より小さいと判定された場合、前記払拭モード設定手段は、前記雨滴信号推定値が第1閾値より小さいとき払拭モードを長く設定し、前記雨滴信号推定値が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、前記雨滴信号推定値が第1閾値と第2閾値との間のとき払拭モードを保持し、
前記感度ボリューム領域判定手段により雨滴検出限界閾値が第1閾値より大きく第2閾値より小さいと判定された場合、前記払拭モード設定手段は、前記雨滴信号推定値が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、前記雨滴信号推定値が第2閾値以下のとき払拭モードを保持することを特徴とする請求項1または2に記載のワイパ制御装置。
【請求項4】
前回のワイパの払拭時刻から雨滴信号が雨滴検出限界閾値となった時刻までの時間をTa、雨滴信号が雨滴検出限界閾値となった時刻の雨滴信号をSa、前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの時間をTb、前記雨滴信号推定値をSbとすると、
前記算出手段は、Sb=Sa×Tb/Ta により前記雨滴信号推定値Sbを算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のワイパ制御装置。
【請求項5】
第2閾値をref2、雨滴検出限界閾値をref3、払拭モードを短くするときのワイパを払拭する間隔時間をTcとすると、
前記算出手段は、Tc=Ta×ref2/ref3 により前記ワイパを払拭する間隔時間Tcを算出することを特徴とする請求項4に記載のワイパ制御装置。
【請求項6】
第1閾値をref1、雨滴検出限界閾値をref3、払拭モードを長くするときのワイパを払拭する間隔時間をTdとすると、
前記算出手段は、Td=Ta×ref1/ref3 により前記ワイパを払拭する間隔時間Tdを算出することを特徴とする請求項4に記載のワイパ制御装置。
【請求項7】
検出面に付着する雨滴の付着率に対応する雨滴信号を出力する信号出力部と、
第1閾値及びこの第1閾値より大きい第2閾値を用いて払拭モードの設定をする払拭モード設定手段と、
前記検出面の雨滴の付着率と雨滴信号との対応関係の維持が限界となる雨滴検出限界閾値と第2閾値とを比較する感度ボリューム領域判定手段と、
雨滴検出限界閾値となったときの雨滴信号または雨滴検出限界閾値となる以前の雨滴信号とその雨滴信号の出力された時刻との関係を基に、前記払拭時刻の雨滴信号推定値を算出する算出手段と、を備え、
前記感度ボリューム領域判定手段により雨滴検出限界閾値が第2閾値より大きいと判定された場合、前記払拭モード設定手段は、前記払拭時刻の雨滴信号が第1閾値より小さいとき払拭モードを長く設定し、前記払拭時刻の雨滴信号が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、前記払拭時刻の雨滴信号が第1閾値と第2閾値との間のとき払拭モードを保持し、
前記感度ボリューム領域判定手段により雨滴検出限界閾値が第2閾値より小さいと判定された場合、前記払拭モード設定手段は、前記雨滴信号推定値が第1閾値より小さいとき払拭モードを長く設定し、前記雨滴信号推定値が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、前記雨滴信号推定値が第1閾値と第2閾値との間のとき払拭モードを保持することを特徴とするワイパ制御装置。
【請求項8】
前記信号出力部は、前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの間に複数回または連続して雨滴信号を出力することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のワイパ制御装置。
【請求項1】
検出面に付着する雨滴の付着率に対応する雨滴信号を出力する信号出力部と、
前記検出面の雨滴の付着率と雨滴信号との対応関係の維持が限界となる雨滴検出限界閾値と前記信号出力部から出力された雨滴信号とを比較する比較手段と、
前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの間に前記信号出力部から出力された雨滴信号が雨滴検出限界閾値以上となったことを比較手段が判定した場合、雨滴検出限界閾値となったときの雨滴信号または雨滴検出限界閾値となる以前の雨滴信号とその雨滴信号の出力された時刻との関係を基に、前記払拭時刻の雨滴信号推定値を算出する算出手段と、
前記雨滴信号推定値が第1閾値より小さいとき払拭モードを長く設定し、前記雨滴信号推定値が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、前記雨滴信号推定値が第1閾値と第2閾値との間のとき払拭モードを保持する払拭モード設定手段と、を備えることを特徴とするワイパ制御装置。
【請求項2】
前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの間に出力された雨滴信号が雨滴検出限界閾値未満であることを前記比較手段が判定した場合、
前記払拭モード設定手段は、前記払拭時刻の雨滴信号が第1閾値より小さいとき払拭モードを長く設定し、前記払拭時刻の雨滴信号が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、前記払拭時刻の雨滴信号が第1閾値と第2閾値との間のとき払拭モードを保持することを特徴とする請求項1に記載のワイパ制御装置。
【請求項3】
雨滴検出限界閾値と第1閾値及び第2閾値とを比較する感度ボリューム領域判定手段を備え、
前記感度ボリューム領域判定手段により雨滴検出限界閾値が第1閾値より小さいと判定された場合、前記払拭モード設定手段は、前記雨滴信号推定値が第1閾値より小さいとき払拭モードを長く設定し、前記雨滴信号推定値が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、前記雨滴信号推定値が第1閾値と第2閾値との間のとき払拭モードを保持し、
前記感度ボリューム領域判定手段により雨滴検出限界閾値が第1閾値より大きく第2閾値より小さいと判定された場合、前記払拭モード設定手段は、前記雨滴信号推定値が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、前記雨滴信号推定値が第2閾値以下のとき払拭モードを保持することを特徴とする請求項1または2に記載のワイパ制御装置。
【請求項4】
前回のワイパの払拭時刻から雨滴信号が雨滴検出限界閾値となった時刻までの時間をTa、雨滴信号が雨滴検出限界閾値となった時刻の雨滴信号をSa、前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの時間をTb、前記雨滴信号推定値をSbとすると、
前記算出手段は、Sb=Sa×Tb/Ta により前記雨滴信号推定値Sbを算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のワイパ制御装置。
【請求項5】
第2閾値をref2、雨滴検出限界閾値をref3、払拭モードを短くするときのワイパを払拭する間隔時間をTcとすると、
前記算出手段は、Tc=Ta×ref2/ref3 により前記ワイパを払拭する間隔時間Tcを算出することを特徴とする請求項4に記載のワイパ制御装置。
【請求項6】
第1閾値をref1、雨滴検出限界閾値をref3、払拭モードを長くするときのワイパを払拭する間隔時間をTdとすると、
前記算出手段は、Td=Ta×ref1/ref3 により前記ワイパを払拭する間隔時間Tdを算出することを特徴とする請求項4に記載のワイパ制御装置。
【請求項7】
検出面に付着する雨滴の付着率に対応する雨滴信号を出力する信号出力部と、
第1閾値及びこの第1閾値より大きい第2閾値を用いて払拭モードの設定をする払拭モード設定手段と、
前記検出面の雨滴の付着率と雨滴信号との対応関係の維持が限界となる雨滴検出限界閾値と第2閾値とを比較する感度ボリューム領域判定手段と、
雨滴検出限界閾値となったときの雨滴信号または雨滴検出限界閾値となる以前の雨滴信号とその雨滴信号の出力された時刻との関係を基に、前記払拭時刻の雨滴信号推定値を算出する算出手段と、を備え、
前記感度ボリューム領域判定手段により雨滴検出限界閾値が第2閾値より大きいと判定された場合、前記払拭モード設定手段は、前記払拭時刻の雨滴信号が第1閾値より小さいとき払拭モードを長く設定し、前記払拭時刻の雨滴信号が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、前記払拭時刻の雨滴信号が第1閾値と第2閾値との間のとき払拭モードを保持し、
前記感度ボリューム領域判定手段により雨滴検出限界閾値が第2閾値より小さいと判定された場合、前記払拭モード設定手段は、前記雨滴信号推定値が第1閾値より小さいとき払拭モードを長く設定し、前記雨滴信号推定値が第2閾値より大きいとき払拭モードを短く設定し、前記雨滴信号推定値が第1閾値と第2閾値との間のとき払拭モードを保持することを特徴とするワイパ制御装置。
【請求項8】
前記信号出力部は、前回のワイパの払拭時刻から現時点で設定されている払拭モードにおける払拭時刻までの間に複数回または連続して雨滴信号を出力することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のワイパ制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−46138(P2012−46138A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192110(P2010−192110)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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