説明

ワイパ制御装置

【課題】ワイパの駆動モードを設定できなくなっても、確実にワイパを駆動する。
【解決手段】ワイパ制御システム1は、フロントワイパ2の駆動モードを設定するための操作部11、設定された駆動モードに応じてフロントワイパモータ17の駆動を制御する駆動制御部16、および、車両に付着する水滴を検出する水滴検出部13を備えている。駆動制御部16は、操作部11により駆動モードを設定できないと判定した場合、水滴検出部13の検出結果に基づいて、フロントワイパモータ17の駆動を制御する。本発明は、例えば、車両のワイパの駆動を制御するシステムに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパ制御装置に関し、特に、車両のワイパの駆動を制御するワイパ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のワイパは、安全運転を行うために欠かせない部品である。従って、従来、何らかの障害が発生しても、できる限りワイパを駆動できるようなフェールセーフ機能が、各種提案または実施されている。
【0003】
例えば、従来、雨滴センサの検出結果に基づいてワイパの自動制御を行っている場合に、雨滴センサが故障したとき、故障前の動作を継続し、以降車速に応じてワイパの駆動速度や駆動間隔を制御することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、操作部(例えば、コンビネーションスイッチ等)とワイパのモータを駆動する駆動制御部(例えば、BCM(ボディコントロールモジュール)等)との間の通信不良や、操作部の異常等により、ワイパの駆動モードを設定できなくなった場合については、特に考慮されていない。
【0005】
ここで、ワイパの駆動モードとは、例えば、ワイパの動作/停止、連続駆動/間欠駆動、駆動間隔、駆動速度、自動制御の有無等を設定するためのものである(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平1−285443号公報
【特許文献2】特開平6−328997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ワイパの駆動モードを設定できなくなっても、ワイパの駆動が必要とされる状況に応じてワイパを駆動できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面のワイパ制御装置は、車両のワイパを少なくとも動作または停止させる駆動モードを設定するための操作部と、設定された駆動モードに応じて、ワイパを動かすためのモータの駆動を制御する駆動制御部と、車両に付着する水滴を検出する水滴検出部とを備え、駆動制御部は、操作部により駆動モードを設定できない場合、水滴検出部の検出結果に基づいて、モータの駆動を制御する。
【0009】
本発明の一側面のワイパ制御装置においては、設定された駆動モードに応じて、ワイパが駆動されるとともに、駆動モードを設定できない場合、水滴検出部の検出結果に基づいて、ワイパが駆動される。
【0010】
従って、ワイパの駆動モードを設定できなくなっても、ワイパの駆動が必要とされる状況に応じてワイパを駆動することができる。
【0011】
この操作部は、例えば、コンビネーションスイッチ、スイッチ、ボタン、キー等の操作手段により構成される。この駆動制御部は、例えば、BCM(ボディコントロールモジュール)、ECU(Electronic Control Unit)、CPU(Central Processing Unit)等の制御装置により構成される。水滴検出部は、例えば、雨滴センサにより構成される。
【0012】
このワイパ制御装置には、車両の速度を検出する車速検出部をさらに設け、この駆動制御部には、操作部により駆動モードを設定できないと判定した場合、水滴検出部の検出結果に加え、車速検出部の検出結果に基づいて、モータの駆動を制御させることができる。
【0013】
これにより、ワイパの駆動速度または駆動間隔を、水滴の量だけでなく車速に基づいて、適切に制御することができる。
【0014】
この車速検出部は、例えば、車速センサにより構成される。
【0015】
この駆動制御部には、操作部により駆動モードを設定できないと判定した場合、車両の速度が0であるとき、モータを駆動させないようにすることができる。
【0016】
これにより、ワイパの駆動モードを設定できなくなっても、車速が0の場合、ワイパが駆動しなくなる。
【0017】
このワイパ制御装置には、車両のシフトポジションを検出するシフトポジション検出部をさらに設け、この駆動制御部には、操作部により駆動モードを設定できないと判定した場合、車両が走行不能な位置にシフトポジションが設定されているとき、モータを駆動させないようにすることができる。
【0018】
これにより、ワイパの駆動モードを設定できなくなっても、車両が走行不能な位置にシフトポジションが設定されている場合、ワイパが駆動しなくなる。
【0019】
このワイパ制御装置には、車両のシフトポジションを検出するシフトポジション検出部をさらに設け、ワイパを、リアワイパとし、モータを、リアワイパを動かすためのモータとし、この駆動制御部には、操作部により駆動モードを設定できないと判定した場合、車両が後進する位置にシフトポジションが設定されているとき、水滴検出部の検出結果に基づいて、モータの駆動を制御させることができる。
【0020】
これにより、ワイパの駆動モードを設定できなくなっても、車両が後進する位置にシフトポジションを設定することにより、確実にリアワイパを駆動することができる。
【0021】
この駆動制御部には、操作部により駆動モードを設定できないと判定した場合、異常の発生を通知するために、モータを駆動し、ワイパを所定の回数動かすようにすることができる。
【0022】
これにより、ユーザにワイパの駆動モードを設定できないことを通知することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一側面によれば、ワイパの駆動モードを設定できなくなっても、ワイパの駆動が必要とされる状況に応じてワイパを駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を適用したワイパ制御システムの一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】フロントワイパ駆動制御処理の第1の実施の形態を説明するためのフローチャートである。
【図3】自動駆動制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図4】フロントワイパ駆動制御処理の第2の実施の形態を説明するためのフローチャートである。
【図5】フロントワイパ駆動制御処理の第3の実施の形態を説明するためのフローチャートである。
【図6】リアワイパ駆動制御処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
【0026】
<1.実施の形態>
[ワイパ制御システムの構成例]
図1は、本発明を適用したワイパ制御システムの一実施の形態を示すブロック図である。
【0027】
ワイパ制御システム1は、車両に設けられ、当該車両のフロントワイパ2およびリアワイパ3の動作を制御するシステムである。ワイパ制御システム1は、操作部11、水滴検出部13、車速検出部14、シフトポジション検出部15、駆動制御部16、フロントワイパモータ17、および、リアワイパモータ18を含むように構成される。
【0028】
操作部11は、ユーザがフロントワイパ2およびリアワイパ3の駆動モードを設定するために用いられる。操作部11は、例えば、コンビネーションスイッチにより構成され、スイッチ21a乃至21g、および、CPU(Central Processing Unit)22を含むように構成される。
【0029】
スイッチ21a乃至21gの一端は、それぞれCPU22に接続され、他の一端はグラウンドに接続されている。
【0030】
スイッチ21aは、フロントワイパ2の駆動モードをAUTOモードに設定するためのスイッチである。AUTOモードとは、水滴検出部13により検出される水滴量に応じて、フロントワイパ2を起動または停止したり、フロントワイパ2の駆動間隔や駆動速度を制御したりするモードである。
【0031】
スイッチ21bは、フロントワイパ2の駆動モードをMISTモードに設定するためのスイッチである。MISTモードとは、フロントワイパ2を所定の回数(例えば、1回)だけ間欠駆動するモードである。
【0032】
スイッチ21cは、フロントワイパ2の駆動モードをINT(フロント)モードに設定するためのスイッチである。INT(フロント)モードとは、フロントワイパ2を間欠駆動するモードである。
【0033】
スイッチ21dは、フロントワイパ2の駆動モードをLoモードに設定するためのスイッチである。Loモードとは、フロントワイパ2を低速で連続駆動するモードである。
【0034】
スイッチ21eは、フロントワイパ2の駆動モードをHiモードに設定するためのスイッチである。Hiモードとは、フロントワイパ2を高速で連続駆動するモードである。
【0035】
スイッチ21fは、リアワイパ3の駆動モードをINT(リア)モードに設定するためのスイッチである。INT(リア)モードとは、リアワイパ3を間欠駆動するモードである。
【0036】
スイッチ21gは、リアワイパ3の駆動モードをONモードに設定するためのスイッチである。ONモードとは、リアワイパ3を連続駆動するモードである。
【0037】
なお、スイッチ21a乃至21eは、いずれか1つのみオンできるようになっている。また、スイッチ21fおよびスイッチ21gは、いずれか1つのみオンできるようになっている。
【0038】
CPU22のLIN端子は、通信線12を介して、駆動制御部16に接続されており、CPU22と駆動制御部16は、通信線12を介して相互に通信を行う。例えば、CPU22は、スイッチ21a乃至21gの状態を検出し、検出した状態を通知するための信号(以下、スイッチ状態信号と称する)を、通信線12を介して、駆動制御部16に供給する。
【0039】
水滴検出部13は、例えば、雨滴センサにより構成され、車両のウインドシールドガラスに設置される。そして、水滴検出部13は、車両(のウインドシールドガラス)に付着する水滴の量を検出し、検出結果を駆動制御部16に供給する。
【0040】
車速検出部14は、例えば、車速センサにより構成され、車両の速度を検出し、検出結果を駆動制御部16に供給する。
【0041】
シフトポジション検出部15は、シフトレバー等により設定される車両のシフトポジションを検出し、検出結果を駆動制御部16に供給する。
【0042】
駆動制御部16は、操作部11を介して設定された駆動モード、水滴検出部13の検出結果、車速検出部14の検出結果、および、シフトポジション検出部15の検出結果に基づいて、フロントワイパモータ17およびリアワイパモータ18の駆動を制御する。
【0043】
また、駆動制御部16は、操作部11のCPU22から供給される信号の内容や通信線12の電圧等に基づいて、通信線12の断線等によるCPU22との間の通信不良や、操作部11(スイッチ21a乃至21gまたはCPU22)の異常を検出する。そして、駆動制御部16は、CPU22との間の通信不良および操作部11(スイッチ21a乃至21gもしくはCPU22)の異常の少なくとも一方を検出した場合、駆動モードによらずに、水滴検出部13の検出結果、車速検出部14の検出結果、および、シフトポジション検出部15の検出結果に基づいて、フロントワイパモータ17およびリアワイパモータ18の駆動を制御する。
【0044】
フロントワイパモータ17は、フロントワイパ2を動かすためのモータである。従って、フロントワイパ2は、フロントワイパモータ17を介して、駆動制御部16により駆動される。
【0045】
リアワイパモータ18は、リアワイパ3を動かすためのモータである。従って、リアワイパ3は、リアワイパモータ18を介して、駆動制御部16により駆動される。
【0046】
[ワイパ制御システム1の処理]
次に、図2乃至図6を参照して、ワイパ制御システム1の処理について説明する。
【0047】
(フロントワイパ駆動制御処理の第1の実施の形態)
まず、図2のフローチャートを参照して、ワイパ制御システム1により実行されるフロントワイパ駆動制御処理の第1の実施の形態について説明する。なお、この処理は、例えば、車両の電源(アクセサリ電源を含む)をオンしたとき開始され、オフしたとき終了する。
【0048】
ステップS1において、駆動制御部16は、操作部11により駆動モードを設定可能であるか否かを判定する。例えば、駆動制御部16は、操作部11のCPU22からの定常的な信号の供給の有無や、通信線12の電圧等に基づいて、CPU22との間の通信不良や、CPU22の異常の有無を検出する。また、例えば、駆動制御部16は、CPU22から供給される信号の内容等に基づいて、操作部11(スイッチ21a乃至21gまたはCPU22)の異常の有無を検出する。そして、駆動制御部16は、操作部11のCPU22との間の通信不良、および、操作部11の異常のいずれも検出しなかった場合、操作部11により駆動モードを設定可能であると判定し、処理はステップS2に進む。
【0049】
ステップS2において、駆動制御部16は、操作部11のCPU22から供給されるスイッチ状態信号に基づいて、MISTモードに設定されているか否かを判定する。MISTモードに設定されていると判定された場合、処理はステップS3に進む。
【0050】
ステップS3において、駆動制御部16は、間欠(MIST)駆動制御を行う。すなわち、駆動制御部16は、フロントワイパモータ17を介して、フロントワイパ2を所定の回数だけ間欠駆動する。
【0051】
その後、処理はステップS1に戻る。
【0052】
一方、ステップS2において、MISTモードに設定されていないと判定された場合、処理はステップS4に進む。
【0053】
ステップS4において、駆動制御部16は、操作部11のCPU22から供給されるスイッチ状態信号に基づいて、INT(フロント)モードに設定されているか否かを判定する。INT(フロント)モードに設定されていると判定された場合、処理はステップS5に進む。
【0054】
ステップS5において、駆動制御部16は、間欠(INT)駆動制御を行う。具体的には、駆動制御部16は、まだ間欠(INT)駆動制御を行っていない場合、フロントワイパモータ17を介して、フロントワイパ2の間欠駆動を開始する。一方、駆動制御部16は、間欠(INT)駆動制御をすでに行っている場合、そのまま間欠(INT)駆動制御を継続する。
【0055】
その後、処理はステップS1に戻る。
【0056】
一方、ステップS4において、INT(フロント)モードに設定されていないと判定された場合、処理はステップS6に進む。
【0057】
ステップS6において、駆動制御部16は、操作部11のCPU22から供給されるスイッチ状態信号に基づいて、Loモードに設定されているか否かを判定する。Loモードに設定されていると判定された場合、処理はステップS7に進む。
【0058】
ステップS7において、駆動制御部16は、連続(Lo)駆動制御を行う。具体的には、駆動制御部16は、まだ連続(Lo)駆動制御を行っていない場合、フロントワイパモータ17を介して、フロントワイパ2の低速の連続駆動を開始する。一方、駆動制御部16は、連続(Lo)駆動制御をすでに行っている場合、そのまま連続(Lo)駆動制御を継続する。
【0059】
その後、処理はステップS1に戻る。
【0060】
一方、ステップS6において、Loモードに設定されていないと判定された場合、処理はステップS8に進む。
【0061】
ステップS8において、駆動制御部16は、操作部11のCPU22から供給されるスイッチ状態信号に基づいて、Hiモードに設定されているか否かを判定する。Hiモードに設定されていると判定された場合、処理はステップS9に進む。
【0062】
ステップS9において、駆動制御部16は、連続(Hi)駆動制御を行う。具体的には、駆動制御部16は、まだ連続(Hi)駆動制御を行っていない場合、フロントワイパモータ17を介して、フロントワイパ2の高速の連続駆動を開始する。一方、駆動制御部16は、連続(Hi)駆動制御をすでに行っている場合、そのまま連続(Hi)駆動制御を継続する。
【0063】
その後、処理はステップS1に戻る。
【0064】
一方、ステップS8において、Hiモードに設定されていないと判定された場合、処理はステップS10に進む。
【0065】
ステップS10において、駆動制御部16は、操作部11のCPU22から供給されるスイッチ状態信号に基づいて、AUTOモードに設定されているか否かを判定する。AUTOモードに設定されていると判定された場合、処理はステップS11に進む。
【0066】
一方、ステップS1において、駆動制御部16は、操作部11のCPU22との間の通信不良、および、操作部11の異常のうちの少なくとも一方を検出した場合、操作部11により駆動モードを設定できないと判定し、処理はステップS11に進む。
【0067】
ステップS11において、ワイパ制御システム1は、自動駆動制御処理を実行し、処理はステップS1に戻る。
【0068】
ここで、図3のフローチャートを参照して、自動駆動制御処理の詳細について説明する。
【0069】
ステップS51において、水滴検出部13は、車両に付着している水滴の量を検出する。水滴検出部13は、検出結果を駆動制御部16に供給する。
【0070】
ステップS52において、駆動制御部16は、フロントワイパ2を駆動する必要があるか否かを判定する。具体的には、駆動制御部16は、検出された水滴の量が所定の第1の閾値以上である場合、フロントワイパ2を駆動する必要があると判定し、処理はステップS53に進む。
【0071】
ステップS53において、駆動制御部16は、駆動速度または駆動間隔を設定する。具体的には、駆動制御部16は、検出された水滴の量が、上述した第1の閾値より大きい所定の第2の閾値以上である場合、フロントワイパ2を連続駆動するよう決定し、第2の閾値未満である場合、フロントワイパ2を間欠駆動するよう決定する。
【0072】
また、駆動制御部16は、フロントワイパ2を連続駆動する場合、検出された水滴の量に基づいて、駆動速度を設定する。すなわち、駆動制御部16は、水滴の量が多いほど、駆動速度を速くし、水滴の量が少ないほど、駆動速度を遅くする。
【0073】
一方、駆動制御部16は、フロントワイパ2を間欠駆動する場合、検出された水滴の量に基づいて、駆動間隔を決定する。すなわち、駆動制御部16は、水滴の量が多いほど、駆動間隔を短くし、水滴の量が少ないほど、駆動間隔を長くする。
【0074】
なお、上記の条件を満たすように、駆動モードを自動的に切り換えるようにしてもよい。例えば、検出された水滴の量が多くなるに従い、INT(フロント)モード、Loモード、Hiモードに順に駆動モードを自動的に切り換えるようにしてもよい。
【0075】
ステップS54において、駆動制御部16は、フロントワイパモータ17を介して、設定した駆動速度または駆動間隔でフロントワイパ2を駆動する。
【0076】
その後、自動駆動制御処理は終了する。
【0077】
一方、ステップS52において、駆動制御部16は、検出された水滴の量が第1の閾値未満である場合、フロントワイパ2を駆動する必要がないと判定し、処理はステップS55に進む。
【0078】
ステップS55において、駆動制御部16は、フロントワイパ2を駆動中であるか否かを判定する。フロントワイパ2を駆動中であると判定された場合、処理はステップS56に進む。
【0079】
ステップS56において、駆動制御部16は、フロントワイパモータ17の駆動を停止することにより、フロントワイパ2の駆動を停止する。
【0080】
その後、自動駆動制御処理は終了する。
【0081】
一方、ステップS55において、フロントワイパ2を駆動中でないと判定された場合、自動駆動制御処理は終了する。
【0082】
図2に戻り、一方、ステップS10において、AUTOモードに設定されていないと判定された場合、すなわち、フロントワイパ2の駆動モードがいずれのモードにも設定されておらず、オフされている場合、処理はステップS12に進む。
【0083】
ステップS12において、駆動制御部16は、フロントワイパ2を駆動中であるか否かを判定する。フロントワイパ2を駆動中であると判定された場合、処理はステップS13に進む。
【0084】
ステップS13において、駆動制御部16は、フロントワイパモータ17の駆動を停止することにより、フロントワイパ2の駆動を停止する。
【0085】
その後、処理はステップS1に戻る。
【0086】
一方、ステップS12において、フロントワイパ2を駆動中でないと判定された場合、処理はステップS1に戻る。
【0087】
以上のように、操作部11のCPU22と駆動制御部16の間に通信不良が発生したり、操作部11に異常が発生したりして、操作部11により駆動モードを設定できなくなっても、雨天時に確実にフロントワイパ2を駆動することができる。また、フロントワイパ2の駆動速度または駆動間隔を、水滴の量に応じて適切に制御することができる。
【0088】
(フロントワイパ駆動制御処理の第2の実施の形態)
次に、図4のフローチャートを参照して、ワイパ制御システム1により実行されるフロントワイパ駆動制御処理の第2の実施の形態について説明する。なお、この処理は、例えば、車両の電源(アクセサリ電源を含む)をオンしたとき開始され、オフしたとき終了する。
【0089】
ステップS101乃至S110の処理は、上述した図2のステップS1乃至S10の処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。なお、ステップS101において、操作部11により駆動モードを設定できないと判定された場合、または、ステップS110において、AUTOモードに設定されていると判定された場合、処理はステップS111に進む。一方、ステップS110において、AUTOモードに設定されていないと判定された場合、処理はステップS113に進む。
【0090】
ステップS111において、駆動制御部16は、車速検出部14の検出結果に基づいて、車速が0であるか否かを判定する。車速が0でないと判定された場合、すなわち、車両が走行中である場合、処理はステップS112に進む。
【0091】
ステップS112において、図2のステップS11の処理と同様に、自動駆動制御処理が実行され、処理はステップS101に戻る。
【0092】
一方、ステップS111において、車速が0であると判定された場合、処理はステップS113に進む。
【0093】
ステップS113において、図2のステップS12の処理と同様に、フロントワイパ2を駆動中であるか否かが判定され、フロントワイパ2を駆動中であると判定された場合、処理はステップS114に進む。
【0094】
ステップS114において、図2のステップS13の処理と同様に、フロントワイパ2の駆動が停止され、処理はステップS101に戻る。
【0095】
一方、ステップS113において、フロントワイパ2を駆動中でないと判定された場合、処理はステップS101に戻る。
【0096】
これにより、操作部11により駆動モードを設定できなくなった場合、車両に付着した水滴の量だけでなく、車速に基づいて、フロントワイパ2を駆動することができる。すなわち、車速が0の場合、フロントワイパ2を駆動しないようにすることができる。
【0097】
なお、この場合、自動駆動制御処理において、車速に応じて、フロントワイパ2の駆動速度または駆動間隔を制御するようにしてもよい。例えば、車速が速くなるほど、フロントワイパ2の駆動速度を速く、あるいは、駆動間隔を短くし、車速が遅くなるほど、フロントワイパ2の駆動速度を遅く、あるいは、駆動間隔を長くするようにしてもよい。
【0098】
(フロントワイパ駆動制御処理の第3の実施の形態)
次に、図5のフローチャートを参照して、ワイパ制御システム1により実行されるフロントワイパ駆動制御処理の第3の実施の形態について説明する。なお、この処理は、例えば、車両の電源(アクセサリ電源を含む)をオンしたとき開始され、オフしたとき終了する。
【0099】
図5のフローチャートを図4のフローチャートと比較すると、ステップS211の処理のみが異なっており、他の処理は同様である。
【0100】
すなわち、ステップS211において、駆動制御部16は、シフトポジション検出部15の検出結果に基づいて、車両が走行不能な位置(例えば、パーキングまたはニュートラル)にシフトポジションが設定されているか否かを判定する。車両が走行不能な位置にシフトポジションが設定されていると判定された場合、処理はステップS212に進む。
【0101】
ステップS212において、図2のステップS11の処理と同様に、自動駆動制御処理が実行され、処理はステップS201に戻る。
【0102】
一方、ステップS211において、車両が走行可能な位置にシフトポジションが設定されていると判定された場合、処理はステップS213に進む。
【0103】
ステップS213において、図2のステップS12の処理と同様に、フロントワイパ2を駆動中であるか否かが判定され、フロントワイパ2を駆動中であると判定された場合、処理はステップS214に進む。
【0104】
ステップS214において、図2のステップS13の処理と同様に、フロントワイパ2を駆動が停止され、処理はステップS201に戻る。
【0105】
一方、ステップS213において、フロントワイパ2を駆動中でないと判定された場合、処理はステップS201に戻る。
【0106】
これにより、操作部11により駆動モードを設定できなくなった場合、車両に付着した水滴の量に加えて、シフトポジションの位置に基づいて、フロントワイパ2を駆動することができる。すなわち、車両が走行不能な位置にシフトポジションが設定されている場合、フロントワイパ2を駆動しないようにすることができる。
【0107】
なお、さらに、フロントワイパ駆動制御処理の第2の実施の形態と組み合わせて、車両に付着した水滴の量、車速、および、シフトポジションの位置に基づいて、フロントワイパ2を駆動するようにしてもよい。
【0108】
(リアワイパ駆動制御処理)
次に、図6のフローチャートを参照して、ワイパ制御システム1により実行されるリアワイパ駆動制御処理について説明する。なお、この処理は、例えば、車両の電源(アクセサリ電源を含む)をオンしたとき開始され、オフしたとき終了する。
【0109】
ステップS301において、図2のステップS1の処理と同様に、操作部11により駆動モードを設定可能であるか否かが判定される。操作部11により駆動モードを設定可能であると判定された場合、処理はステップS302に進む。
【0110】
ステップS302において、駆動制御部16は、操作部11のCPU22から供給されるスイッチ状態信号に基づいて、INT(リア)モードに設定されているか否かを判定する。INT(リア)モードに設定されていると判定された場合、処理はステップS303に進む。
【0111】
ステップS303において、駆動制御部16は、間欠(INT)駆動制御を行う。具体的には、駆動制御部16は、まだ間欠(INT)駆動制御を行っていない場合、リアワイパモータ18を介して、リアワイパ3の間欠駆動を開始する。一方、駆動制御部16は、間欠(INT)駆動制御をすでに行っている場合、そのまま間欠(INT)駆動制御を継続する。
【0112】
その後、処理はステップS301に戻る。
【0113】
一方、ステップS302において、INT(リア)モードに設定されていないと判定された場合、処理はステップS304に進む。
【0114】
ステップS304において、駆動制御部16は、操作部11のCPU22から供給されるスイッチ状態信号に基づいて、ONモードに設定されているか否かを判定する。ONモードに設定されていると判定された場合、処理はステップS305に進む。
【0115】
ステップS305において、駆動制御部16は、連続(ON)駆動制御を行う。具体的には、駆動制御部16は、まだ連続(ON)駆動制御を行っていない場合、リアワイパモータ18を介して、リアワイパ3の連続駆動を開始する。一方、駆動制御部16は、連続(ON)駆動制御をすでに行っている場合、そのまま連続(ON)駆動制御を継続する。
【0116】
その後、処理はステップS301に戻る。
【0117】
一方、ステップS304において、ONモードに設定されていないと判定された場合、すなわち、リアワイパ3の駆動モードがいずれのモードにも設定されておらず、オフされている場合、処理はステップS308に進む。
【0118】
また、ステップS301において、操作部11により駆動モードを設定できないと判定された場合、処理はステップS306に進む。
【0119】
ステップS306において、駆動制御部16は、シフトポジション検出部15の検出結果に基づいて、車両が後進する位置にシフトポジションが設定されているか否かを判定する。車両が後進する位置(例えば、バック)にシフトポジションが設定されていると判定された場合、処理はステップS307に進む。
【0120】
ステップS307において、図2のステップS11の処理と同様に、自動駆動制御処理が実行される。
【0121】
なお、図3の自動駆動制御処理のフローチャートでは、フロントワイパ2の自動駆動制御を行う場合の処理を示しているが、リアワイパ3についてもフロントワイパ2と同様の自動駆動制御が行われる。
【0122】
その後、処理は、ステップS301に戻る。
【0123】
一方、ステップS306において、車両が後進する位置にシフトポジションが設定されていないと判定された場合、処理はステップS308に進む。
【0124】
ステップS308において、駆動制御部16は、リアワイパ3を駆動中であるか否かを判定する。リアワイパ3を駆動中であると判定された場合、処理はステップS309に進む。
【0125】
ステップS309において、駆動制御部16は、リアワイパモータ18の駆動を停止することにより、リアワイパ3の駆動を停止する。
【0126】
その後、処理はステップS301に戻る。
【0127】
一方、ステップS308において、リアワイパ3を駆動中でないと判定された場合、処理はステップS301に戻る。
【0128】
このように、操作部11により駆動モードを設定できなくなっても、雨天時に車両が後進する位置にシフトポジションが設定された場合、確実にリアワイパ3を駆動することができる。また、リアワイパ3の駆動速度または駆動間隔を、水滴の量に基づいて適切に制御することができる。
【0129】
なお、ステップS306の判定処理を省略して、操作部11により駆動モードを設定できなくなった場合に、シフトポジションの設定位置に関わらず、リアワイパ3の自動駆動制御を行うようにすることも可能である。
【0130】
<2.変形例>
以下、本発明の実施の形態の変形例について説明する。
【0131】
以上の説明では、車両のフロントワイパおよびリアワイパの駆動制御を行う場合について説明したが、本発明は、他の位置のワイパを駆動制御する場合にも適用できる。
【0132】
また、例えば、操作部11により駆動モードを設定できなくなった場合に、フロントワイパ2を駆動する必要がないと判定されたときでも、例えば、フロントワイパ2を所定の回数(例えば、1回)駆動することにより、ユーザに異常の発生を通知するようにしてもよい。
【0133】
さらに、以上の説明では、操作部11をコンビネーションスイッチにより構成し、通信線12を介して駆動制御部16に接続する例を示したが、本発明は、例えば、スイッチを直接駆動制御部16に接続する場合にも適用できる。
【0134】
また、ワイパの駆動モードの種類は、任意に設定することが可能である。例えば、本発明は、少なくともワイパを動作または停止させるオンとオフの2つの駆動モードのみ設定可能な場合にも適用することができる。
【0135】
なお、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0136】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0137】
1 ワイパ制御システム
2 フロントワイパ
3 リアワイパ
11 操作部
12 通信線
13 水滴検出部
14 車速検出部
15 シフトポジション検出部
16 駆動制御部
17 フロントワイパモータ
18 リアワイパモータ
21a乃至21g スイッチ
22 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のワイパを少なくとも動作または停止させる駆動モードを設定するための操作部と、
設定された前記駆動モードに応じて、前記ワイパを動かすためのモータの駆動を制御する駆動制御部と、
前記車両に付着する水滴を検出する水滴検出部と
を備え、
前記駆動制御部は、前記操作部により前記駆動モードを設定できないと判定した場合、前記水滴検出部の検出結果に基づいて、前記モータの駆動を制御する
ことを特徴とするワイパ制御装置。
【請求項2】
前記車両の速度を検出する車速検出部を
さらに備え、
前記駆動制御部は、前記操作部により前記駆動モードを設定できないと判定した場合、前記水滴検出部の検出結果に加え、前記車速検出部の検出結果に基づいて、前記モータの駆動を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のワイパ制御装置。
【請求項3】
前記駆動制御部は、前記操作部により前記駆動モードを設定できないと判定した場合、前記車両の速度が0であるとき、前記モータを駆動しない
ことを特徴とする請求項2に記載のワイパ制御装置。
【請求項4】
前記車両のシフトポジションを検出するシフトポジション検出部を
さらに備え、
前記駆動制御部は、前記操作部により前記駆動モードを設定できないと判定した場合、前記車両が走行不能な位置に前記シフトポジションが設定されているとき、前記モータを駆動しない
ことを特徴とする請求項1に記載のワイパ制御装置。
【請求項5】
前記車両のシフトポジションを検出するシフトポジション検出部を
さらに備え、
前記ワイパは、リアワイパであり、
前記モータは、前記リアワイパを動かすためのモータであり、
前記駆動制御部は、前記操作部により前記駆動モードを設定できないと判定した場合、前記車両が後進する位置に前記シフトポジションが設定されているとき、前記水滴検出部の検出結果に基づいて、前記モータの駆動を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のワイパ制御装置。
【請求項6】
前記駆動制御部は、前記操作部により前記駆動モードを設定できないと判定した場合、異常の発生を通知するために、前記モータを駆動し、前記ワイパを所定の回数動かす
ことを特徴とする請求項1に記載のワイパ制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate