説明

ワイパ駆動装置

【課題】複数の車種に対する汎用性を高めることができるワイパ駆動装置を提供する。
【解決手段】ワイパ駆動装置1は、ワイパモータ4と揺動装置5とを有する。ワイパモータ4は、モータ部11にて発生した回転力を、モータ部11に組付けられたギヤハウジング21内に収容された減速機構にて減速しギヤハウジング21の外部に突出した出力軸25から出力する。揺動装置5は、出力軸25に連結され出力軸25の回転運動をワイパが固定されるピボット軸33の回動運動に変換するリンク機構32、及び該リンク機構32を収容するリンクケース31を備えている。リンクケース31は、挿通孔41nに出力軸25が挿通された状態でギヤハウジング21に固定されている。そして、ギヤハウジング21及びリンクケース31は、ギヤハウジング21に対するリンクケース31の固定角度を出力軸25の周方向に変更可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の払拭面を払拭するワイパを揺動運動させるためのワイパ駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のフロントガラスの表面等の払拭面を払拭するワイパを駆動するワイパ駆動装置には、回転力を発生するモータ部と、該モータ部の回転を減速して出力する減速機構と、減速機構にて減速された回転をワイパの揺動運動に変換するリンク機構とを備えたものがある。例えば、特許文献1に記載されたワイパ駆動装置では、減速機構とリンク機構とは、ギヤハウジング(第2のケーシング)内に収容されている。減速機構は、モータ部にて回転されるウォームと該ウォームに噛合するウォームホイールとから構成され、リンク機構は、このウォームホイールの回転をワイパの揺動運動に変換する。また、ギヤハウジング内には、ワイパの位置を検出するための電気信号を出力する信号出力手段が収容されている。この信号出力手段は、ウォームホイールの片側端面に固定されたカムプレートと、該カムプレートに接触する複数の接触子とから構成されている。そして、ワイパ駆動装置は、ギヤハウジングが螺子止めされることにより、車体に対して固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−197854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ワイパモータの構成を変更することなく、ワイパモータの出力軸の回転運動をピボット軸の回動運動に変換するための揺動装置の構成を変更可能とするワイパ駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、モータ部で発生した回転力を、前記モータ部に組付けられたギヤハウジング内に収容された減速機構にて減速し前記ギヤハウジングの外部に突出した出力軸から出力するワイパモータと、前記出力軸とワイパが固定されるピボット軸とを駆動連結して前記出力軸の回転運動を前記ピボット軸の回動運動に変換するリンク機構、及び該リンク機構が収容されるリンク収容凹部を有するケース本体部と該リンク収容凹部の開口部を閉塞するカバーとから構成されるリンクケースを備えた揺動装置と、を有し、前記リンクケースは、前記ピボット軸が挿通される筒状のピボット軸支持部と前記出力軸が挿通される挿通孔とを有し、前記挿通孔に前記出力軸が挿通された状態で前記ギヤハウジングに対して固定され、前記リンクケースには、ワイパ駆動装置を車体に固定するための複数の固定脚が一体に設けられているワイパ駆動装置とすることをその要旨としている。
【0006】
同構成によれば、ワイパモータの出力軸の回転運動をピボット軸の回動運動に変換するための揺動装置は、リンクケースがギヤハウジングに固定されることにより、ワイパモータに固定されている。従って、ワイパモータの構成を変更することなく揺動装置の構成を変更可能である。よって、ワイパモータの共通化を図ることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のワイパ駆動装置において、前記ケース本体部は、前記ギヤハウジングに固定され、該ケース本体部には前記複数の固定脚が一体に設けられたことをその要旨としている。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のワイパ駆動装置において、前記ケース本体部は、前記ギヤハウジングに固定され、前記カバーには前記複数の固定脚が一体に設けられたことをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、ワイパモータ及びケース本体部の構成を変更することなく、カバーに一体に設けられる固定脚の位置を変更するだけで、更に多くの車種に対応することができる。従って、ワイパ駆動装置の汎用性をより高めることができる。そして、ワイパモータ及びケース本体部を共通化することができるため、設計に要する費用を低減することができるとともに、生産性の向上を図ることができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載のワイパ駆動装置において、前記複数の固定脚は、前記リンクケースから外側に向けて突出し車体に設けられる固定用の孔に入れられてワイパ駆動装置を車体に固定支持するための固定脚を含むことをその要旨としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ワイパモータの構成を変更することなく、ワイパモータの出力軸の回転運動をピボット軸の回動運動に変換するための揺動装置の構成を変更可能とするワイパ駆動装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】車両用ワイパ装置の概略構成図。
【図2】ワイパ駆動装置の側面図。
【図3】ワイパモータの平面図。
【図4】ワイパ駆動装置の平面図。
【図5】ケース本体部の斜視図。
【図6】揺動装置の断面図(図2におけるA−A断面図)。
【図7】ケース本体部の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のワイパ装置を示す。2つのワイパ駆動装置1は、それぞれ車体Bに固定されるとともに、各ワイパ駆動装置1には、フロントガラス2のガラス面2a上の雨滴等を払拭するワイパ3がそれぞれ連結されている。各ワイパ3は、ワイパ駆動装置1に連結されるワイパアーム3aと、該ワイパアーム3aの先端部に回動可能に連結されたワイパブレード3bとから構成されている。そして、ワイパ駆動装置1によってワイパ3が揺動運動され、ワイパブレード3bにてガラス面2aが払拭される。
【0014】
図2に示すように、ワイパ駆動装置1は、ワイパモータ4と、該ワイパモータ4に対して組み付けられた揺動装置5とから構成されている。
図3に示すように、ワイパモータ4は、モータ部11と、該モータ部11に組付けられた減速部12とから構成されている。モータ部11を構成するヨークハウジング13は、有底筒状をなすとともに、その内周面にマグネット14が固着されている。尚、マグネット14は、N極とS極とが周方向に交互となるように着磁されている。また、マグネット14の内側に配置された電機子15は、その回転軸15aの基端部(図3において上端部)が、ヨークハウジング13の上底部に設けられた滑り軸受16によって軸支されている。また、回転軸15aの先端側の部位は、ヨークハウジング13の開口部から突出して前記減速部12内に配置されるとともに、回転軸15aにおける減速部12内に配置された部位には、外周面にウォーム15bが形成されている。
【0015】
減速部12を構成するギヤハウジング21は、アルミダイキャストにて形成されており、ヨークハウジング13の開口部に螺子(図示略)にて組付けられるとともに、ヨークハウジング13の開口部付近に、前記滑り軸受16とともに前記回転軸15aを軸支する転がり軸受22を保持している。また、ギヤハウジング21には、回転軸15aにおける先端側の部位を収容するウォーム収容凹部21aが凹設されるとともに、該ウォーム収容凹部21aの側方に該ウォーム収容凹部21aと連続するように円形状のホイール収容凹部21bが凹設されている。そして、ギヤハウジング21には、ウォーム収容凹部21a及びホイール収容凹部21bの開口部側(図3において紙面奥側)からハウジングカバー23が組付けられており、このハウジングカバー23によって、ウォーム収容凹部21a及びホイール収容凹部21bの開口部が閉塞されている。
【0016】
ホイール収容凹部21b内には、円板状をなし前記ウォーム15bと噛合するウォームホイール24がその周方向に回転可能に収容されている。ウォームホイール24の径方向の中央部には、該ウォームホイール24の軸方向に延びる出力軸25が一体回転可能に設けられるとともに、この出力軸25は、ホイール収容凹部21bの底部中央に設けられた円筒状の出力軸支持部21cを通ってからギヤハウジング21の外部に突出している。尚、出力軸支持部21c内の出力軸25の回転軸線L1と、出力軸支持部21cの中心軸線とは一致している。
【0017】
また、ギヤハウジング21において出力軸支持部21cの外周側には、周方向に等角度間隔(本実施形態では120°間隔)に3つのモータ側取付孔21dが形成されている。つまり、3つのモータ側取付孔21dは出力軸25の回転軸線L1を回転中心とする回転対称位置に形成されている。3つのモータ側取付孔21dは、出力軸25の軸方向から見ると、円形状をなすとともに、出力軸25の回転軸線L1を中心とする仮想円C1上にそれぞれの中心O1が位置するように形成されている。また、ギヤハウジング21の外側面において、各モータ側取付孔21dの周囲には、略円環状のモータ側取付面21eがそれぞれ形成されるとともに、3つのモータ側取付面21eは、出力軸25の回転軸線L1と直交する同一平面内にある。
【0018】
図4に示すように、前記揺動装置5は、リンクケース31と、該リンクケース31内に収容されたリンク機構32と、該リンク機構32に連結されたピボット軸33とから構成されている。
【0019】
リンクケース31は、ケース本体部41と、該ケース本体部41に対して組付けられるリンクカバー42とから構成されている。アルミダイキャスト製のケース本体部41は、略楕円形状の皿状をなしており、前記リンク機構32が収容されるリンク収容凹部41bが形成されている。また、リンク収容部41aの周縁部の複数個所(本実施形態では5箇所)には、外側に向かって突出するようにカバー固定部41pが形成されている。そして、鋼板をプレス加工して形成したリンクカバー42は、リンク収容凹部41bの開口部に応じた形状をなし、カバー固定部41pに対応する部位が螺子止めされることによりケース本体部41に対して固定されリンク収容凹部41bを閉塞する(図2参照)。
【0020】
また、図5に示すように、リンク収容部41aの外周の3箇所には、ワイパ駆動装置1を車体B(図1参照)に固定するための固定脚41c〜41eがリンク収容部41aと一体に形成されている。リンク収容部41aに対し、図中上側と右下に形成された固定脚41c,41dは、リンク収容部41aから外側に向けて突出した略三角形状の板状をなすとともに、厚さ方向に貫通する固定孔41f,41gがそれぞれ形成されている。また、各固定脚41c,41dには、各固定脚41c,41dの先端から固定孔41f,41gまで延びる切欠部41h,41kが形成されている。そして、図4に示すように、各固定脚41c,41dには、車体Bに対してワイパ駆動装置1をフローティング状態で固定支持するための取付ゴム43,44が設けられている。各取付ゴム43,44は、略円筒状をなすとともに、その中央部に貫通孔43a,44aがそれぞれ形成されている。また、各取付ゴム43,44の厚さ方向の中央部は括れている(図2参照)。そして、各取付ゴム43,44は、括れた部位を切欠部41h,41kから固定孔41f,41gまで挿入することにより、それぞれ対応する固定脚41c,41dに取り付けられている。また、図5に示すように、リンク収容部41aに対し、図中左下に形成された固定脚41eは、リンク収容部41aから外側に向けて突出した略円柱状をなすとともに、車体Bに対してワイパ駆動装置1をフローティング状態で固定支持するための取付ゴム45(図4参照)が装着されている。
【0021】
図4に示すように、リンク収容部41aの底部41mには、リンク収容部41aの長手方向の片側寄り(図4において右側寄り)の部位に、挿通孔41nが形成されるとともに、該挿通孔41nは、前記出力軸25の直径よりも大きく形成されている。また、リンク収容部41aの底部41mには、挿通孔41nの外周側に、周方向に等角度間隔(本実施形態では120°間隔)に前記モータ側取付孔21dと同数のリンク側取付孔41oが形成されている。3つのリンク側取付孔41oは、軸方向(後述のピボット軸支持部41sの軸方向)から見ると、円形状をなすとともに、挿通孔41nと同心となる仮想円C2上にそれぞれの中心O2が位置するように形成されている。尚、仮想円C2の直径は、前記仮想円C1の直径と等しい。
【0022】
また、図5に示すように、リンク収容部41aの底部41mには、リンク収容部41aの長手方向において挿通孔41nとは反対側の部位に、底部41mからリンク収容凹部41bとは反対の外側に突出するように円筒状のピボット軸支持部41sが一体に形成されている。図6に示すように、ピボット軸支持部41s内には、略円柱状のピボット軸33が挿入されている。ピボット軸33の先端部は、ピボット軸支持部41sの先端開口部から突出するとともに、同ピボット軸33の先端部には、前記ワイパアーム3a(図1参照)の基端部が一体回動可能に固定される。尚、ピボット軸支持部41s内に挿入されたピボット軸33においては、その中心軸線とピボット軸支持部41sの中心軸線L2とが一致している。
【0023】
更に、図5に示すように、リンク収容部41aの底部41mには、挿通孔41nの周縁部に外側に突出するように肉厚に形成された略円環状の補強部41tが形成されるとともに、この補強部41tは、3つのリンク側取付孔41oの外側開口部も囲うように形成されている。そして、補強部41tとピボット軸支持部41sとの間には、リンク収容部41aの底部41mの外側面41r上でピボット軸支持部41sの基端部における外周面から補強部41tに向かって延びる3つの補強リブ41uが形成されている。3つの補強リブ41uは、ピボット軸支持部41sの中心軸線L2方向から見ると、互いに平行に形成されている。
【0024】
また、補強部41tにおいて、各リンク側取付孔41oの外側開口部の周囲には、円環状のリンク側取付面41vがそれぞれ形成されている。図7に示すように、3つのリンク側取付面41vは、ピボット軸支持部41sの中心軸線L2と直交する同一平面内にある。
【0025】
そして、図2に示すように、ケース本体部41は、ケース本体部41の底部41mの外側面が、前記ギヤハウジング21の外側面に対向するように該ギヤハウジング21に対して配置されて固定されている。詳述すると、図3乃至図5に示すように、ケース本体部41は、出力軸25が挿通孔41nからリンク収容部41a内に挿入されるように、且つ、3つのモータ側取付孔21dと3つのリンク側取付孔41oとが出力軸25の軸方向にそれぞれ並ぶようにギヤハウジング21に対して配置されている。そして、ギヤハウジング21に対してケース本体部41が配置された状態においては、出力軸25は、その軸方向から見ると、挿通孔41nの中央部に配置されている。また、同状態においては、3つのモータ側取付面21eと3つのリンク側取付面41vとがそれぞれ当接され、これにより、出力軸25の回転軸線L1とピボット軸支持部41sの中心軸線L2とが平行とされている。そして、出力軸25の軸方向に並んだモータ側取付孔21d及びリンク側取付孔41oに対しリンク収容部41aの底部41m側から螺子46がそれぞれ螺合されており、これら螺子46によってケース本体部41はギヤハウジング21に対して固定されている。尚、図4には、3つの螺子46のうち2つのみを図示している。そして、本実施形態のリンクケース31は、3つの螺子46にてギヤハウジング21に固定されている。
【0026】
ここで、本実施形態の3つのモータ側取付孔21dは、ギヤハウジング21において出力軸25が挿通される出力軸支持部21cの周囲に周方向に等角度間隔に形成されている。また、3つのリンク側取付孔41oは、ケース本体部41において出力軸25が挿通される挿通孔41nの周囲に周方向に等角度間隔に形成されている。そして、3つのモータ側取付孔21dは、出力軸25の軸方向から見て、該出力軸25の回転軸線L1を中心とする仮想円C1上にその中心O1が位置するとともに、3つのリンク側取付孔41oは、ピボット軸支持部41sの中心軸方L2向から見て、仮想円C1と直径が等しく且つ挿通孔41nと同心となる仮想円C2上にその中心O2が位置している。つまり、3つのモータ側取付孔21dは出力軸25の回転軸線L1を回転中心とする回転対称位置に設定され、3つのリンク側取付孔41oは挿通孔41nの中心(又は仮想円C2の中心)を回転中心とする回転対称位置に設定されている。尚、ケース本体部41がギヤハウジング21に固定された状態においては、出力軸25の回転軸線L1とピボット軸支持部41sの中心軸線L2とは平行となるため、出力軸25の軸方向は、ピボット軸支持部41sの軸方向に同じである。従って、ギヤハウジング21とケース本体部41とを出力軸25を中心として同出力軸25の周方向に120°相対回転させるごとに3つのモータ側取付孔21dと3つのリンク側取付孔41oとの周方向位置が一致し(即ち、3つのモータ側取付孔21dと3つのリンク側取付孔41oとが出力軸25の軸方向に並び)、ギヤハウジング21とケース本体部41とを螺子止め可能となる。よって、ギヤハウジング21に対するケース本体部41の固定角度は、図4に示す状態と、ギヤハウジング21に対しケース本体部41を図4に示す状態から出力軸25を中心に時計方向に120°回転させた状態と、ギヤハウジング21に対しケース本体部41を図4に示す状態から出力軸25を中心に時計方向に240°回転させた状態との3つの固定角度から選択することができる。
【0027】
尚、図5に示すように、本実施形態のケース本体部41には、ピボット軸支持部41sの側方に、ピボット軸支持部41sと平行に延びる円柱状の従動軸支持部41wが、ピボット軸支持部41sと一体に設けられている。この従動軸支持部41wは、ワイパ駆動装置1にてパンタグラフ式のワイパ61(図5中二点鎖線で示す)を揺動作動させる場合に、ワイパ61の従動アーム63bが固定される従動軸62を挿入するためのものである。
【0028】
図4に示すように、挿通孔41nからケース本体部41内に挿入された出力軸25の先端部には、前記リンク機構32を構成するクランクアーム51の基端部が一体回転可能に固定されている。そして、クランクアーム51の先端部には、細長い板状をなす第1のリンク52の一端が互いに回動可能に固定されるとともに、第1のリンク52の他端は略楕円形状の板状をなす第2のリンク53の回動端に互いに回動可能に固定されている。また、第2のリンク53の作用端には、前記ピボット軸支持部41s内に挿入されたピボット軸33の基端部が一体回動可能に固定されている。そして、本実施形態のリンク機構32は、クランクアーム51、第1のリンク52及び第2のリンク53から構成されている。
【0029】
ここで、ワイパモータ4への揺動装置5の組み付け手順について説明すると、まず、ワイパモータ4のギヤハウジング21に対し、ケース本体部41が固定される。次いで、連結された状態のクランクアーム51、第1のリンク52及び第2のリンク53が、ケース本体部41に対して位置決めされた後に、クランクアーム51の基端部が出力軸25の先端部に固定される。この時、第2のリンク53の作用端にはピボット軸33の基端部が固定されており、ピボット軸33は、クランクアーム51、第1のリンク52及び第2のリンク53をケース本体部41に対して配置する際にピボット軸支持部41s内に挿入される。次いで、リンク収容凹部41bの開口部を閉塞するようにリンクカバー42がケース本体部41に対して固定されて、ワイパモータ4への揺動装置5の組み付けが完了する。
【0030】
上記のように構成されたワイパ駆動装置1は、固定脚41eが取付ゴム45とともに車体B(図1参照)に設けられた固定用の孔(図示略)に圧入されるとともに、固定脚41c,41dに取り付けられた取付ゴム43,44に螺子(図示略)が挿通されて締め付けられることにより、車体Bに対してフローティング状態で固定される。
【0031】
そして、このワイパ駆動装置1は、図示しない運転席の操作スイッチの操作に基づいて作動されるものであり、操作スイッチがオンにされると、モータ部11が駆動され、モータ部11において電機子15が回転される。電機子15の回転力は、回転軸15aと一体回転するウォーム15b及びウォームホイール24(即ち減速機構)にて減速されて出力軸25から出力される。出力軸25の回転運動は、リンク機構32にてピボット軸33の往復回動運動に変換され、ピボット軸33の先端部に固定されたワイパ3が揺動運動する。これにより、ワイパブレード3bにてガラス面2a上の雨滴等が払拭される。
【0032】
尚、本実施形態のワイパ駆動装置1は、操作スイッチがオフにされるとワイパ3をガラス面2aの下端に沿った停止位置で自動的に停止させる自動停止機能を備えている。詳述すると、ウォームホイール24の片側端面には、円環状のカムプレート(図示略)が固定されるとともに、ギヤハウジング21内においてカムプレートの近傍には、該カムプレートに接触される複数の接触子(図示略)が設けられている。そして、ワイパ駆動装置1においては、操作スイッチがオフにされると、各接触子とカムプレートとの接触状態に基づいて、ワイパ3が停止位置に到達するまでモータ部11への給電が維持される。従って、ワイパ3は停止位置に停止される。
【0033】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)ワイパモータ4の出力軸25の回転運動をピボット軸33の往復回動運動に変換するための揺動装置5は、リンクケース31のケース本体部41がギヤハウジング21に固定されることにより、ワイパモータ4に固定されている。更に、ギヤハウジング21とケース本体部41とは、ギヤハウジング21に対するリンクケース31の固定角度を出力軸25の周方向に変更可能に固定されている。従って、出力軸25の周方向にギヤハウジング21とリンクケース31(ケース本体部41)とを相対回転させて所望の固定角度を選択してリンクケース31をギヤハウジング21に固定することが可能であり、ワイパ駆動装置1におけるモータ部11の突出方向(言い換えれば、揺動装置5に対するワイパモータ4の姿勢)を変更することができる。よって、ギヤハウジング21に対するリンクケース31の固定角度を変更することにより、ワイパモータ4の構成を変更することなく複数の車種に対応することが可能である。従って、ワイパ駆動装置1の複数の車種に対する汎用性を高めることができる。また、揺動装置5はワイパモータ4に固定されるものであるため、ワイパモータ4の構成を変更することなく揺動装置5の構成を変更可能である。従って、ワイパモータ4の共通化を図ることができる。
【0034】
(2)モータ側取付面21eは、出力軸25の回転軸線L1と直交する一平面内に形成されるとともに、リンク側取付面41vは、ピボット軸33が挿通されるピボット軸支持部41sの中心軸線L2と直交する一平面内に形成されている。従って、モータ側取付面21eとリンク側取付面41vとを互いに当接させてケース本体部41をギヤハウジング21に固定することにより、出力軸25とピボット軸支持部41sとを容易に平行に配置することができる。つまり、出力軸25とピボット軸33とを駆動連結するリンク機構32を上記一平面に平行に駆動させることができるので、ワイパモータ4と揺動装置5の組付け時の捩れ等による駆動損失を抑えた駆動伝達が容易に構成できる。
【0035】
(3)補強リブ41uによって、ピボット軸支持部41sの挿通孔41n側への倒れ強度が向上するため、雪溜まり払拭時などピボット軸33を挿通孔41n側(出力軸24側)へ倒すような力が作用した場合でもピボット軸33をピボット軸支持部41sにて確りと支持できる。
【0036】
(4)リンクケース31を構成するケース本体部41には、パンタグラフ式のワイパ61の従動アーム63bが固定される従動軸62を挿入するための従動軸支持部41wが一体に設けられている。そのため、本実施形態のワイパ駆動装置1をパンタグラフ式のワイパ61を備えるワイパ装置にも使用することができる。従って、ワイパ駆動装置1の汎用性を更に高めることができる。
【0037】
(5)3つのモータ側取付孔21dは、ギヤハウジング21において出力軸25の周囲に周方向に等角度間隔に形成されている。また、リンク側取付孔41oは、ケース本体部41において、モータ側取付孔21dに対応するように、周方向に等角度間隔にモータ側取付孔21dと同数形成されている。従って、ギヤハウジング21とケース本体部41とは、周方向に隣り合うモータ側取付孔21d間の角度ずつ出力軸25を中心として同出力軸25の周方向に相対回転させると、モータ側取付孔21dとリンク側取付孔41oとの周方向位置が一致するため、容易に互いの固定角度を変更して固定することができる。また、ギヤハウジング21とケース本体部41とは螺子46により固定されるため、互いの固定を容易に行うことができる。
【0038】
(6)カムプレートや接触子等、ワイパ3の位置を検出してワイパ3の自動停止機能を実現させるための部品は、ギヤハウジング21内に収容されている。また、出力軸25の回転運動をワイパ3の揺動運動に変換するリンク機構32は、ギヤハウジング21に固定されるリンクケース31内に収容されており、ギヤハウジング21内に収容されるものではない。そして、ワイパ駆動装置1においては、ギヤハウジング21に対するリンクケース31の固定角度を変更することによりギヤハウジング21の形状を変更することなくモータ部11の突出方向(言い換えれば、揺動装置5に対するワイパモータ4の姿勢)を変更することができる。従って、ギヤハウジング21内の電気配線等を変更しなくてもよいため、製造コストの増大を抑制することができる。
【0039】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、モータ側取付孔21dは、ギヤハウジング21において出力軸25の周囲に周方向に等角度間隔に3つ形成されるとともに、リンク側取付孔41oは、ケース本体部41において、挿通孔41nの周囲に周方向に等角度間隔にモータ側取付孔21dと同数の3つ形成されている。しかしながら、ギヤハウジング21に形成されるモータ側取付孔21dの数、並びにケース本体部41に形成されるリンク側取付孔41oの数はこれに限らない。モータ側取付孔21dとリンク側取付孔41oとは、ギヤハウジング21に対するリンクケース31の固定角度が出力軸25の周方向に変更可能となるように形成されていればよい。従って、例えば、ギヤハウジング21に2つ若しくは4つ以上のモータ側取付孔21dを出力軸25の周囲に周方向に等角度間隔に形成するとともに、モータ側取付孔21dと同数のリンク側取付孔41oを、ケース本体部41における挿通孔41nの周囲に周方向に等角度間隔に形成してもよい。
【0040】
また、ギヤハウジング21に形成されるモータ側取付孔21dの数と、ケース本体部41に形成されるリンク側取付孔41oの数とは、異なっていてもよい。例えば、ギヤハウジング21において出力軸25の周囲に周方向に等角度間隔にモータ側取付孔21dを形成し、ケース本体部41において挿通孔41nの周囲に周方向に等角度間隔にモータ側取付孔21dの整数倍の数のリンク側取付孔41oを形成してもよい。このようにしても、ギヤハウジング21に対するリンクケース31の固定角度を出力軸25の周方向に変更可能である。更に、モータ側取付孔21dの数とリンク側取付孔41oの数とが異なる場合には、モータ側取付孔21d及びリンク側取付孔41oは、必ずしも出力軸25(挿通孔41n)の周方向に等角度間隔である必要はない。例えば、上記実施形態のような周方向に等角度間隔に3つのモータ側取付孔21dを有するギヤハウジング21に、各モータ側取付孔21dから出力軸25を中心として時計方向に所望の角度(30°等)だけずれた位置にそれぞれモータ側取付孔21dを形成し、ギヤハウジング21が備えるモータ側取付孔21dの数を6個としてもよい。このようなギヤハウジング21には、上記実施形態の3つのリンク側取付孔41oを有するケース本体部41を、6通りの固定角度で固定することができる。
【0041】
・上記実施形態では、ワイパ駆動装置1には、1本のワイパアーム3aを備えたワイパ3が連結されている。しかしながら、図5に二点鎖線にて示すように、ワイパ駆動装置1には、パンタグラフ式のワイパ61が連結されてもよい。ワイパ61のワイパアーム63は、基端部がピボット軸33に一体回転可能に固定される駆動アーム63aと、該駆動アーム63aと略平行に配置される従動アーム63bとから構成されている。そして、従動アーム63bの基端部は、ケース本体部41の従動軸支持部41w内に挿入される従動軸62の先端部に一体回転可能に固定される。また、駆動アーム63aの先端部及び従動アーム63bの先端部は、それぞれ連結部材64の両端部に回動可能に連結されるとともに、連結部材64の中央部には、ワイパブレード65が回転可能に連結されている。そして、ワイパモータ4が駆動されてピボット軸33が回動運動されると、ピボット軸33の回動運動に伴って駆動アーム63aが回動されるとともに、駆動アーム63aの回動運動に伴って、該駆動アーム63aと連結部材64にて連結された従動アーム63bが、従動軸62を中心に回動運動する。これにより、ワイパブレード65はワイパアーム63に対して姿勢を変化させつつ揺動され、該ワイパブレード65にてフロントガラスのガラス面が払拭される。このように、パンタグラフ式のワイパ61を駆動する場合であっても、形状を変更することなく上記実施形態のケース本体部41を利用することができる。尚、ケース本体部41は、従動軸支持部41wを備えない構成であってもよい。
【0042】
・上記実施形態では、リンク収容部41aの底部41mの外側面41r上に設けられた補強リブ41uは、3つであるが、1つ以上形成されていれば、リンク収容部41aの底部41mに対するピボット軸支持部41sの傾斜を抑制することができる。また、ケース本体部41は、補強リブ41uを備えない構成であってもよい。
【0043】
・モータ側取付面21eは、ギヤハウジング21の外側面においてケース本体部41と対向する部位に形成されるとともに、出力軸25の回転軸線L1と直交する一平面内に形成されていれば、その形状、個数及び形成位置は、上記実施形態のものに限らない。同様に、リンク側取付面41vは、ケース本体部41の外側面においてギヤハウジング21と対向する部位に形成されるとともに、ピボット軸支持部41sの中心軸線L2と直交する一平面内に形成されていれば、その形状、個数及び形成位置は、上記実施形態のものに限らない。
【0044】
・ピボット軸支持部41sは、円筒状に限らず、ピボット軸33を支持可能な筒状をなしていればよい。また、従動軸支持部41wも円筒状に限らず、従動軸62を支持可能な筒状をなしていればよい。更に、従動軸支持部41wは、ピボット軸支持部41sの周囲にケース本体部41と一体に形成されていればよく、ケース本体部41の底部41m上でピボット軸支持部41sと離間した位置に形成されてもよい。
【0045】
・上記実施形態では、ワイパ駆動装置1を車体Bに固定するための固定脚41c〜41eは、ギヤハウジング21に直接固定されるケース本体部41に一体に設けられている。しかしながら、固定脚41c〜41eは、リンクカバー42に一体に設けられてもよい。このようにすると、ワイパモータ4及びケース本体部41の構成を変更することなく、リンクカバー42に一体に設けられる固定脚の位置を変更するだけで、更に多くの車種に対応することができる。従って、ワイパ駆動装置1の汎用性をより高めることができる。そして、ワイパモータ4及びケース本体部41を共通化することができるため、設計に要する費用を低減することができるとともに、生産性の向上を図ることができる。尚、リンクカバー42をアルミダイキャストにて形成すると、固定脚の強度を確保し易い。
【0046】
・上記実施形態では、リンクケース31を構成するケース本体部41は、ギヤハウジング21に対して螺子46にて固定されている。しかしながら、ギヤハウジング21とケース本体部41とは、螺子止め以外に、かしめ、溶接等にて固定されてもよい。この場合、固定のためにかしめたり溶接したりする部位は、ギヤハウジング21に対するリンクケース31の固定角度を出力軸25の周方向に変更可能とすべく、例えば、ギヤハウジング21及びリンクケース31のそれぞれに、出力軸25の周囲に周方向に等角度間隔に同数ずつ設けられる。
【0047】
・上記実施形態のリンクケース31は、リンク機構32を収容するリンク収容部41aを備えギヤハウジング21に固定されるケース本体部41と、該ケース本体部41に組付けられるリンクカバー42とから構成されている。しかしながら、リンクケース31の構成はこれに限らず、リンク機構32を収容可能、且つ、ギヤハウジング21に対するリンクケース31の固定角度を出力軸25の周方向に変更して固定することができるように構成されていればよい。従って、例えば、平板状のリンクカバー42がギヤハウジング21に固定され、リンク機構32を収容するケース本体部41が当該リンクカバー42に固定されるような形状とされてもよい。また、ケース本体部41は、鋼板等により形成されてもよい。
【0048】
・上記実施形態では、ワイパ駆動装置1は、車両のフロントガラス2のガラス面2aを払拭するワイパ3を揺動運動させるために用いられているが、車両の後部に設けられたリヤガラスのガラス面を払拭するワイパを揺動運動させるために用いられてもよい。
【0049】
・ところで、ワイパ駆動装置を配置する場所の形状は車種によって異なるため、ワイパ駆動装置が車体に固定される際のモータ部の配置方向も異なってくる。そのため、特許文献1に記載のワイパ駆動装置を様々な車種に対応させる場合には、ワイパ駆動装置の固定方向に応じて複数種類のギヤハウジングを製造することになる。そして、ギヤハウジングの形状によっては、そのギヤハウジングの形状に応じて、減速機構及びリンク機構の配置位置や信号出力手段の配線等を変更せざるを得ない場合がある。従って、結果的にワイパ駆動装置の製造コストが増大されてしまうという問題があった。そのため、複数の車種に対する汎用性の高いワイパ駆動装置が望まれていた。
【0050】
以下の構成は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、複数の車種に対する汎用性を高めることができるワイパ駆動装置を提供することにある。
・モータ部で発生した回転力を、前記モータ部に組付けられたギヤハウジング内に収容された減速機構にて減速し前記ギヤハウジングの外部に突出した出力軸から出力するワイパモータと、
前記出力軸とワイパが固定されるピボット軸とを駆動連結して前記出力軸の回転運動を前記ピボット軸の回動運動に変換するリンク機構、及び該リンク機構が収容されるリンク収容凹部を有するケース本体部と該リンク収容凹部の開口部を閉塞するカバーとから構成されるリンクケースを備えた揺動装置と、を有し、
前記リンクケースは、前記ピボット軸が挿通される筒状のピボット軸支持部と前記出力軸が挿通される挿通孔とを有し、前記挿通孔に前記出力軸が挿通された状態で前記ギヤハウジングに対して配置されるとともに、前記ギヤハウジング及び前記リンクケースは、前記ギヤハウジングに対する前記リンクケースの固定角度を前記出力軸の周方向に変更可能に固定されていることを特徴とするワイパ駆動装置。
【0051】
同構成によれば、ワイパモータの出力軸の回転運動をピボット軸の回動運動に変換するための揺動装置は、リンクケースがギヤハウジングに固定されることにより、ワイパモータに固定されている。更に、ギヤハウジングとリンクケースとは、ギヤハウジングに対するリンクケースの固定角度を出力軸の周方向に変更可能に固定されている。従って、出力軸の周方向にギヤハウジングとリンクケースとを相対回転させて所望の固定角度を選択してリンクケースをギヤハウジングに固定することが可能であり、ワイパ駆動装置におけるモータ部の突出方向を変更することができる。よって、ギヤハウジングに対するリンクケースの固定角度を変更することにより、ワイパモータの構成を変更することなく複数の車種に対応することが可能である。従って、本発明のワイパ駆動装置の複数の車種に対する汎用性を高めることができる。また、揺動装置はワイパモータに固定されるものであるため、ワイパモータの構成を変更することなく揺動装置の構成を変更可能である。従って、ワイパモータの共通化を図ることができる。
【0052】
・前記ギヤハウジングの外側面には、前記出力軸の回転軸線と直交する一平面内に少なくとも1つのモータ側取付面が形成され、
前記リンクケースには、前記ピボット軸支持部が一体に設けられ、該リンクケースの外側面には、前記ピボット軸支持部の中心軸線と直交する一平面内に少なくとも1つのリンク側取付面が形成され、
前記リンクケースは、前記リンク側取付面を前記モータ側取付面に当接させて前記ギヤハウジングに固定されたことを特徴とする。
【0053】
同構成によれば、モータ側取付面は、出力軸の回転軸線と直交する一平面内に形成されるとともに、リンク側取付面は、ピボット軸が挿通されるピボット軸支持部の中心軸線と直交する一平面内に形成されている。従って、モータ側取付面とリンク側取付面とを互いに当接させてリンクケースをギヤハウジングに固定することにより、出力軸とピボット軸支持部とを容易に平行に配置することができる。
【0054】
・前記リンクケースは、前記リンク機構が収容されるリンク収容凹部が凹設されたリンク収容部及び該リンク収容部の底部に一体に設けられた前記ピボット軸支持部を有し前記ギヤハウジングに固定されたケース本体部と、前記リンク収容凹部の開口部を閉塞するカバーとから構成され、
前記ケース本体部の底部の外側面には、前記ピボット軸支持部の外周面から前記挿通孔に向かって延びる補強リブが設けられたことを特徴とする。
【0055】
同構成によれば、補強リブによって、ピボット軸支持部の挿通孔側への倒れ強度が向上するため、雪溜まり払拭時などピボット軸を挿通孔側(出力軸側)へ倒すような力が作用した場合でもピボット軸をピボット軸支持部にて確りと支持できる。
【0056】
・前記リンクケースには、前記ピボット軸支持部が一体に設けられるとともに、前記ピボット軸支持部の周囲に、パンタグラフ式の前記ワイパの従動アームが固定される従動軸を挿入するための筒状の従動軸支持部が一体に設けられたことを特徴とする。
【0057】
同構成によれば、リンクケースには、パンタグラフ式のワイパの従動アームが固定される従動軸を挿入するための従動軸支持部が一体に設けられているため、本発明のワイパ駆動装置をパンタグラフ式のワイパを備えるワイパ装置にも使用することができる。従って、ワイパ駆動装置の汎用性を更に高めることができる。
【0058】
・前記ギヤハウジングには、出力軸の周囲に周方向に等角度間隔に複数のモータ側取付孔が形成され、
前記リンクケースには、前記挿通孔の周囲に複数の前記モータ側取付孔に対応するように周方向に等角度間隔にリンク側取付孔が形成され、
前記ギヤハウジングと前記リンクケースとは、複数の前記モータ側取付孔と複数の前記リンク側取付孔とが前記出力軸の軸方向にそれぞれ並ぶように配置され、軸方向に並んだ前記モータ側取付孔及び前記リンク側取付孔にそれぞれ通された螺子にて互いに固定されていることを特徴とする。
【0059】
同構成によれば、複数のモータ側取付孔は、ギヤハウジングにおいて出力軸の周囲に周方向に等角度間隔に形成されている。また、リンク側取付孔は、リンクケースにおいて、モータ側取付孔に対応するように、周方向に等角度間隔に形成されている。従って、ギヤハウジングとリンクケースとは、周方向に隣り合うモータ側取付孔間の角度ずつ出力軸を中心として同出力軸の周方向に相対回転させると、モータ側取付孔とリンク側取付孔との周方向位置が一致するため、容易に互いの固定角度を変更して固定することができる。また、ギヤハウジングとリンクケースとは螺子により固定されるため、互いの固定を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0060】
1…ワイパ駆動装置、3,61…ワイパ、4…ワイパモータ、5…揺動装置、11…モータ部、15b…減速機構を構成するウォーム、21…ギヤハウジング、21d…モータ側取付孔、21e…モータ側取付面、24…減速機構を構成するウォームホイール、25…出力軸、31…リンクケース、32…リンク機構、33…ピボット軸、41…ケース本体部、41a…リンク収容部、41b…リンク収容凹部、41c〜41e…固定脚、41m…底部、41n…挿通孔、41o…リンク側取付孔、41r…外側面、41s…ピボット軸支持部、41u…補強リブ、41v…リンク側取付面、41w…従動軸支持部、42…カバーとしてのリンクカバー、46…螺子、62…従動軸、63b…従動アーム、B…車体、L1…回転軸線、L2…中心軸線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ部で発生した回転力を、前記モータ部に組付けられたギヤハウジング内に収容された減速機構にて減速し前記ギヤハウジングの外部に突出した出力軸から出力するワイパモータと、
前記出力軸とワイパが固定されるピボット軸とを駆動連結して前記出力軸の回転運動を前記ピボット軸の回動運動に変換するリンク機構、及び該リンク機構が収容されるリンク収容凹部を有するケース本体部と該リンク収容凹部の開口部を閉塞するカバーとから構成されるリンクケースを備えた揺動装置と、を有し、
前記リンクケースは、前記ピボット軸が挿通される筒状のピボット軸支持部と前記出力軸が挿通される挿通孔とを有し、前記挿通孔に前記出力軸が挿通された状態で前記ギヤハウジングに対して固定され、
前記リンクケースには、ワイパ駆動装置を車体に固定するための複数の固定脚が一体に設けられていることを特徴とするワイパ駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載のワイパ駆動装置において、
前記ケース本体部は、前記ギヤハウジングに固定され、該ケース本体部には前記複数の固定脚が一体に設けられたことを特徴とするワイパ駆動装置。
【請求項3】
請求項1に記載のワイパ駆動装置において、
前記ケース本体部は、前記ギヤハウジングに固定され、
前記カバーには前記複数の固定脚が一体に設けられたことを特徴とするワイパ駆動装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のワイパ駆動装置において、
前記複数の固定脚は、前記リンクケースから外側に向けて突出し車体に設けられる固定用の孔に入れられてワイパ駆動装置を車体に固定支持するための固定脚を含むことを特徴とするワイパ駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−245978(P2012−245978A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−205609(P2012−205609)
【出願日】平成24年9月19日(2012.9.19)
【分割の表示】特願2007−325057(P2007−325057)の分割
【原出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】