説明

ワイヤハーネス及びワイヤハーネスの製造方法

【課題】安価且つ作業性が良好で、さらには経路保持に係り汎用性のあるワイヤハーネス及びこの製造方法を提供する。
【解決手段】ワイヤハーネス9は、導電路を含む導電路集合体15と、この導電路集合体15の外装部材となる柔軟性を有する管体16とを備えている。管体16には、水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材21が設けられており、この水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材21を硬化させると、形状保持部22が形成されるようになっている。水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材21は、筒状且つ少なくとも径方向に伸縮性を有する部材に形成されている。ワイヤハーネス9は、管体16の形状保持部22により所望の形状に保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路保持の機能を有するワイヤハーネスと、このワイヤハーネスの製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示されたワイヤハーネスは、三本の高圧電線と、この三本の高圧電線を一本ずつ収容して保護するための三本の金属保護パイプとを備えて構成されている。高圧電線は、車両の前側に搭載されるモータと、車両の中間又は後側に搭載されるインバータとを接続するものとして備えられている。
【0003】
ワイヤハーネスは、車体フレームの外側となる車体床下を通って配索されるようになっている。このため、金属保護パイプは石跳ねや水跳ねから高圧電線を保護することができるように形成されている。金属保護パイプは、石跳ねや水跳ねから高圧電線を保護し且つ高圧電線の撓みを防止する剛性を有するとともに、金属製であることから電磁シールド機能も有している。
【0004】
ワイヤハーネスは、真っ直ぐな状態の金属保護パイプに高圧電線を挿通し、これを三本分行った後に、車体床下におけるワイヤハーネスの配索経路に沿って金属保護パイプに曲げを施すことにより製造されている。ワイヤハーネスは、ハーネスメーカーの工場で上記の如く製造された後に、自動車メーカーの組み立て工場へと搬送されて車両の所定位置に組み付けられ、これにより配索が完了するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−224156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術にあっては、金属保護パイプがワイヤハーネスの経路保持部材としても機能している。ところで、経路保持部材として金属保護パイプ以外に好適な部材は、樹脂製のプロテクタが一例として挙げられる。
【0007】
プロテクタに関しては、金型を用いて成形される成形品であることから、材料を安価に入手することができるという反面、金型費用が嵩んだ場合には、プロテクタが高価なものになってしまうという問題点を有している。また、少量生産をする場合には、金型の償却費によってもプロテクタが高価なものになってしまうという問題点を有している。プロテクタが高価になれば、これに伴ってワイヤハーネス全体のコストが増大してしまうという問題点を有している。
【0008】
プロテクタは、金型起工のリードタイムが長く、このため金型図面作成を短期間で行わなければならず、結果、煩雑な設計変更が生じ易くなり、設計工数が掛かってしまうという問題点を有している。また、設計変更をする場合は、費用及び時間が掛かってしまうという問題点を有している。さらに、プロテクタは、配索対象となる車両毎に専用の部材となってしまうことから、汎用性が低いという問題点を有している。汎用性が低いのであれば、コスト増大の要因となってしまうという問題点を有している。
【0009】
この他、プロテクタは、経路保持に配慮しつつ取り付け作業をしなければならないことから、作業性が良好でないという問題点を有している。
【0010】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、安価且つ作業性が良好で、さらには経路保持に係り汎用性のあるワイヤハーネス及びこの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明のワイヤハーネスは、一又は複数本の導電路の経路保持をする部分として、若しくは、前記導電路の外側に設けられた外装部材の経路保持をする部分として、水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材を硬化させてなる経路保持部を設け、該経路保持部における前記水硬化性固定部材又は前記光硬化性固定部材を筒状且つ少なくとも径方向に伸縮性を有する部材に形成することを特徴とする。
【0012】
このような特徴を有する本発明によれば、プロテクタではなく水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材を設け、この水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材を硬化させて経路保持部とすることにより所望の経路保持を実現する。水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材は、筒状且つ少なくとも径方向に伸縮性を有する部材であり、これを所定部分に設けるにあたっては、径方向に拡径させつつ挿通すればよい。
【0013】
請求項2記載の本発明のワイヤハーネスは、請求項1に記載のワイヤハーネスにおいて、前記導電路と前記経路保持部との間にシールド部材を配設する、若しくは、前記外装部材と前記経路保持部との間にシールド部材を配設することを特徴とする。
【0014】
このような特徴を有する本発明によれば、経路保持をすることのみならず、シールド機能を付加することも可能になる。
【0015】
請求項3記載の本発明のワイヤハーネスは、請求項2に記載のワイヤハーネスにおいて、前記シールド部材に前記経路保持部から露出する電気的接続部を設けることを特徴とする。
【0016】
このような特徴を有する本発明によれば、シールド機能を発揮させるにあたり電気的な接続部分を有する。
【0017】
また、上記課題を解決するためになされた請求項4記載の本発明のワイヤハーネスの製造方法は、一又は複数本の導電路に対し、若しくは、該導電路の外装部材に対し、この一又は複数箇所の所定部分に筒状且つ少なくとも径方向に伸縮性を有する水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材を設ける第一工程と、少なくとも前記所定部分を所望の形状にした状態に前記水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材を硬化させる第二工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
このような特徴を有する本発明によれば、水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材の硬化により所望の経路保持をすることが可能なワイヤハーネスを製造するにあたり、第一工程及び第二工程を経る。
【0019】
請求項5記載の本発明のワイヤハーネスの製造方法は、請求項4に記載のワイヤハーネスの製造方法において、前記水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材を径方向に拡径させつつ前記所定部分まで挿通した後、前記水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材をこの縮径により前記所定部分に密着させることを特徴とする。
【0020】
このような特徴を有する本発明によれば、筒状且つ伸縮性を有する水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材であることから、第一工程として、水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材を径方向に拡径させつつ所定部分へ挿通する作業をすればよい。挿通後は伸縮性により所定部分に密着する。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載された本発明によれば、経路保持部を設けることにより、所望の経路保持をすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、プロテクタを不要にして汎用性を高めることができるとともに、コスト低減を図ることもできるという効果を奏する。さらに、本発明によれば、経路保持に係り、筒状且つ少なくとも径方向に伸縮性を有する水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材を用いることから、作業性を高めることができるという効果を奏する。従って、本発明によれば、安価且つ作業性が良好で、さらには経路保持に係り汎用性のあるワイヤハーネスを提供することができるという効果を奏する。
【0022】
この他、本発明によれば、水や光で硬化する部材を用いることから、熱を発生させたり熱処理をしたりする必要がなく、省エネであるのは勿論のこと、ワイヤハーネスの製造において問題なく使用することができ、結果、より良いワイヤハーネスを提供することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、伸縮性を有する水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材を用いることから、自ら収縮して密着する状態になり、巻き付け等の作業をする場合と比べると、作業性の向上及び工数の削減を図ることができるとともに寸法精度を出し易くすることもでき、さらには作業者間の作業のバラツキをなくすこともできるという効果をする。さらに、本発明によれば、水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材を設けるにあたり、所定部分まで挿通すればよいことから、製造において自動化を図ることが可能な構造にすることができるという効果を奏する。
【0023】
請求項2に記載された本発明によれば、シールド機能を付加することができるという効果を奏する。
【0024】
請求項3に記載された本発明によれば、シールド機能を付加するにあたり、好適な形態を提供することができるという効果を奏する。
【0025】
請求項4に記載された本発明によれば、本発明に係るワイヤハーネスをより良く製造するための方法を提供することができるという効果を奏する。
【0026】
請求項5に記載された本発明によれば、作業性の良好な製造法を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のワイヤハーネスに係る図であり、(a)はワイヤハーネスの配索状態を示す概略図、(b)はワイヤハーネスの構成及び経路保持部を示す斜視図、(c)は水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材の形状及び伸縮性に係る説明図である(実施例1)。
【図2】本発明のワイヤハーネスの製造方法に係る図であり、(a)、(b)は外装部材に対し水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材を設けるまでの工程説明図、(c)は搬送に係る工程説明図、(d)は経路保持部の形成に係る工程説明図、(e)組み付けに係る工程説明図である。
【図3】本発明のワイヤハーネスの他の例に係る図であり、(a)はワイヤハーネスの配索状態を示す概略図、(b)はワイヤハーネスの構成及び経路保持部を示す斜視図、(c)は水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材の形状及び伸縮性に係る説明図である(実施例2)。
【図4】外装部材に対し水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材を設けるまでの工程説明図であり、(a)〜(c)は第一の例となるシールド部材を設けた場合の図、(d)〜(e)は第二の例となるシールド部材を設けた場合の図である。
【図5】本発明のワイヤハーネスの更に他の例に係る図であり、(a)〜(c)はそれぞれ異なるワイヤハーネスの構成及び経路保持部を示す斜視図である(実施例3)。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ワイヤハーネスは、水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材を硬化させて経路保持部を形成する。水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材は、筒状且つ少なくとも径方向に伸縮性を有する部材に形成する。経路保持部は、ワイヤハーネスを所望の経路に保持する。
【実施例1】
【0029】
以下、図面を参照しながら実施例1を説明する。図1は本発明のワイヤハーネスに係る図である。また、図2は本発明のワイヤハーネスの製造方法に係る図である。本実施例においては、ハイブリッド自動車(電気自動車であってもよいものとする)に本発明のワイヤハーネスを採用する例を挙げて説明するものとする。
【0030】
図1において、引用符号1はハイブリッド自動車を示している。ハイブリッド自動車1は、エンジン2及びモータユニット3の二つの動力をミックスして駆動する車両であって、モータユニット3にはインバータユニット4を介してバッテリー5(電池パック)からの電力が供給されるようになっている。エンジン2、モータユニット3、及びインバータユニット4は、本実施例において前輪等がある位置のエンジンルーム6に搭載されている。また、バッテリー5は、後輪等がある自動車後部7に搭載されている(エンジンルーム6の後方に存在する自動車室内に搭載してもよいものとする)。
【0031】
モータユニット3とインバータユニット4は、公知の高圧ワイヤハーネス8により接続されている。また、バッテリー5とインバータユニット4は、本発明のワイヤハーネス9により接続されている。ワイヤハーネス9は、高圧用のものとして構成されている。ワイヤハーネス9は、この中間部10が車体床下11の地面側に配索されている。車体床下11は、公知のボディであるとともに所謂パネル部材であって、所定位置には貫通孔(符号省略)が貫通形成されている。
【0032】
ワイヤハーネス9とバッテリー5は、このバッテリー5に設けられるジャンクションブロック12を介して接続されている。ジャンクションブロック12には、ワイヤハーネス9の後端13がコネクタ接続されている。ワイヤハーネス9の後端13側は、自動車室内側となる床上に配索されている。床上には、ワイヤハーネス9の前端14側も配索されている。ワイヤハーネス9の前端14側は、インバータユニット4にコネクタ接続されている。
【0033】
ここで本実施例での補足説明をすると、モータユニット3はモータ及びジェネレータを構成に含んでいるものとする。また、インバータユニット4は、インバータ及びコンバータを構成に含んでいるものとする。モータユニット3は、シールドケースを含むモータアッセンブリとして形成されるものとする。また、インバータユニット4もシールドケースを含むインバータアッセンブリとして形成されるものとする。バッテリー5は、Ni−MH系やLi−ion系のものであって、モジュール化してなるものとする。尚、例えばキャパシタのような蓄電装置を使用することも可能であるものとする。バッテリー5は、ハイブリッド自動車1や電気自動車に使用可能であれば特に限定されないものとする。
【0034】
ワイヤハーネス9は、この中間部10が車体床下11に沿って略平行に配索されている。すなわち、ワイヤハーネス9は、この中間部10が地面からの距離を稼ぐことができるように配索されている。ワイヤハーネス9は、地面からの距離を稼ぐためとして低背化となる構造にて製造されている(低背化に有効な構造は後述する)。
【0035】
ワイヤハーネス9は、導電路集合体15と、この導電路集合体15に対する外装部材16とを備えて構成されている。
【0036】
導電路集合体15は、二本の高圧電線17及び低圧電線18と、この二本の高圧電線17及び低圧電線18を一括してシールドする電磁シールド部材19とを備えて構成されている。高圧電線17は、導体及び絶縁体(被覆)を含む導電路であって、電気的な接続に必要な長さを有するように形成されている。導体は、銅や銅合金やアルミニウムやアルミニウム合金により製造されている。導体に関しては、素線を撚り合わせてなる導体構造のものや、断面矩形又は丸形となる棒状の導体構造(例えば平角単心や丸単心となる導体構造であり、この場合、電線自体も棒状となる)のもののいずれであってもよいものとする。高圧電線17は、非シールド電線となる構成を有している。高圧電線17の端末には、コネクタ20(図2参照)が設けられている(低圧電線18側のコネクタの図示は省略する)。
【0037】
尚、本実施例においては高圧電線17を用いているが、この限りでないものとする。すなわち、公知のバスバーに絶縁体を設けたもの等を用いてもよいものとする。
【0038】
低圧電線18は、公知のものであって、本実施例においては導電路集合体15の構成に含まれているが、この限りでないものとする。すなわち、低圧電線18を備えるか否かは任意であるものとする。
【0039】
電磁シールド部材19は、二本の高圧電線17を覆う電磁シールド用の部材(電磁波対策用の部材)であって、導電性の金属箔を含むシールド部材、或いは金属箔単体などにて筒状に形成されている。電磁シールド部材19は、二本の高圧電線17の全長とほぼ同じ長さに形成されている。電磁シールド部材19は、上記コネクタ20を介して、又は直接インバータユニット4のシールドケース等に接続されている。
【0040】
尚、電磁シールド部材19は、本実施例において金属箔を含んでいるが、この限りでないものとする。すなわち、電磁波対策をすることが可能であれば、例えば極細の素線を多数有する編組を用いてもよいものとする。編組は、導電性を有して筒状に形成されるものとする。
【0041】
電磁シールド部材19は、高圧電線17が上記の如く非シールド電線となる構成であることから備えられている。高圧電線17が公知のシールド電線である場合にはこの限りでないものとする。
【0042】
外装部材16は、柔軟性を有する管状部材であって、外周面に凹凸を有する樹脂製のコルゲートチューブ(蛇腹管)、外周面に凹凸なしの樹脂製やゴム製等のチューブ、外周面に凹凸を有する金属性のチューブ(蛇腹管)など各種が挙げられるものとする。また、外装部材16は、断面円形状に限らず、断面横長形状や、断面四角形状などの形状のものも挙げられるものとする。本実施例においては、断面横長形状で樹脂製のコルゲートチューブ(平型のコルゲートチューブ)を外装部材16として用いるものとする。
【0043】
外装部材16において、断面横長形状で樹脂製のコルゲートチューブは、軽量化に有効な構造になるのは勿論のこと、上記低背化となる構造、すなわち地面からの距離を稼げる有効な構造にもなっている。従って、上記のコルゲートチューブが本実施例に採用される理由となっている(これに限定されるものではないものとする)。コルゲートチューブは、スリットなしのものであって、外周面が水密に形成されるものが好ましいものとする。
【0044】
外装部材16の外周面には、光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)が複数設けられている。光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)は、外装部材16の複数の所定部分に設けられている。光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)は、図1(a)中の矢印AやBで示す所定部分、すなわち柔軟性を有する外装部材16であることからワイヤハーネス9の屈曲部分や組み付け固定部分などの例えば経路保持の必要な部分等に設けられている。
【0045】
光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)は、筒状且つ少なくとも径方向に伸縮性を有する部材に形成されている(図1(c)参照。長手方向への伸縮性も有する部材に形成してもよいものとする)。また、光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)は、これを硬化させると外装部材16に対し経路保持部22を形成することができる部材にて構成されている。具体的には、光や水分により硬化する部分と、この部分が一体化する基材とを含んで構成されている。
【0046】
光硬化性固定部材21の場合には、光照射面を有する硬化部と、基材とを含んで構成されている。光硬化性固定部材21は、可視光23や専用の照明等で硬化する部材になっている。上記硬化部は、光硬化性樹脂組成物からなり、これが上記基材に対し含浸等で保持されるようになっている。光硬化性固定部材21は、この硬化時間が即時硬化、ゆっくり硬化などの調整可能な部材になることが好ましいものとする。光硬化性固定部材21は、水分を嫌う作業環境下の場合等に有効であるものとする(使用環境下での水分は問題ないものとする)。
【0047】
水硬化性固定部材の場合には、吸水面を有する硬化部と、基材とを含んで構成されている。水硬化性固定部材は、水分24の噴射・滴下等や、水中への浸漬等で硬化する部材になっている。上記硬化部は、水硬化性樹脂組成物からなり、これが上記基材に対し含浸等で保持されるようになっている。基材としては、ガラスウール、ガラスクロス、ポリエステルクロス、不織布などが挙げられるものとする(水硬化性固定部材に限らず光硬化性固定部材21も同様であるものとする。尚、ガラスクロス、ポリエステルクロスはニット織りが含浸に適しており、ムラなく均一に含浸させることが可能になるという利点を有する)。また、硬化部としては、水硬化性ウレタン樹脂などが挙げられるものとする。水硬化性固定部材は、光硬化性固定部材21と同様に硬化時間を調整することが可能になることが好ましいものとする。基材に対し水硬化性樹脂組成物を含浸により保持させると、樹脂組成物の使用量を抑えることが可能になるという利点を有している。
【0048】
以上のような光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)は、経路保持部22の形成範囲に合わせて全長が設定されるものとする。又は、一定の長さに形成したものを、隣り合う端部同士が重なり合うように設け、これを経路保持部22の形成範囲に合うまで連結することも可能であるものとする。
【0049】
光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)は、予め所望の厚みに形成されるものとする。予め所望の厚みに形成されることで、経路保持部22の形成後における強度を確保することができるようになっている。また、強度確保により経路保持状態の維持もできるようになっている。さらに、強度確保により例えば石跳ね等に強い部分にすることもできるようになっている。
【0050】
光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)を硬化させて経路保持部22を形成するための可視光23や専用の照明等や水分24(図1(b)参照)を供給する供給手段25は、経路保持部22の形成範囲に合わせて製造現場に設置されるものとする。
【0051】
上記製造現場において、経路保持部22を所望の形状に硬化させるにあたり、治具や金型を用いると作業性が良好になるのは勿論である。図1(b)では曲げた形状にて保持された状態を示しているが、捻りを加えた形状に保持してもよいものとする。また、平面視略S字状やクランク形状に曲げてこの形状を保持してもよいものとする。
【0052】
光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)は、これを硬化させると、外装部材16の外周面における凹部に入り込み、また、凸部にも引っ掛かることから、経路保持部22の形成及び配置が安定するようになっている。
【0053】
尚、光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)の密着相手が仮に接着力の弱くなる例えばオレフィン系樹脂からなる場合、上記凹凸はズレ防止に有効であるという利点を有している。
【0054】
図2(a)及び(b)において、全長が所望の長さとなる外装部材16を準備し、外装部材16の外周面における所定部分に予め光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)を挿通により設け、そして、この後に全長が所望の長さとなる導電路集合体15を外装部材16に挿通するとともに、導電路集合体15を構成する例えば高圧電線17の端末にコネクタ20を設けると、搬送前のワイヤハーネス9の製造が完了する。
【0055】
又は、全長が所望の長さとなる外装部材16及び導電路集合体15を準備し、この後に導電路集合体15を外装部材16に挿通し、そして、外装部材16の外周面の所定位置に光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)を挿通により設け、さらに、導電路集合体15を構成する例えば高圧電線17の端末にコネクタ20を設けると、搬送前のワイヤハーネス9の製造が完了する。
【0056】
光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)の挿通作業は、光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)を仮想線で示す状態から径方向に拡径させ、この状態で外周面の所定部分まで挿通する作業になる。光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)は、これ自身が縮径すると外装部材16の外周面に対し密着する。
【0057】
図2(c)において、上記の如く製造されたワイヤハーネス9を例えば図示のように丸めて搬送し易い状態にし、図示しない通箱等に収納して例えば自動車メーカーの組み立て工場へと搬送する。
【0058】
図2(d)において、上記組み立て工場へ搬送された後は、図示しない通箱から取り出し、製造現場で取り回しし易い状態にする。そして、光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)を設けた部分を所望の形状にした上で可視光23や専用の照明等や水分24(図1(b)参照)を供給する。
【0059】
図2(e)において、光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)を硬化させて経路保持部22を形成すると、ワイヤハーネス9の製造が完了する。そして、ワイヤハーネス9は、車体床下11(図1(a)参照)などに組み付けられて固定されると、また、電気的な接続等がなされると、配索が完了する。
【0060】
以上、図1及び図2を参照しながら説明してきたように、ワイヤハーネス9は経路保持部22により所望の経路保持をすることができるという効果を奏する。また、ワイヤハーネス9は、プロテクタを不要にして汎用性を高めることができるとともに、コスト低減を図ることもできるという効果を奏する。さらに、ワイヤハーネス9は、経路保持に係り、筒状且つ少なくとも径方向に伸縮性を有する光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)を用いることから、作業性を高めることができるという効果を奏する。従って、ワイヤハーネス9は、安価且つ作業性が良好で、さらには経路保持に係り汎用性があるという効果を奏する。
【0061】
この他、水や光で硬化する光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)を用いることから、熱を発生させたり熱処理をしたりする必要がなく、省エネであるのは勿論のこと、ワイヤハーネス9の製造において問題なく使用することができ、結果、より良いワイヤハーネス9を提供することができる。また、伸縮性を有する光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)を用いることから、自ら収縮して外周面に密着する状態になり、例えば巻き付け等の作業をする場合と比べると、作業性の向上及び工数の削減を図ることができるとともに寸法精度を出し易くすることもでき、さらには作業者間の作業のバラツキをなくすこともできる。さらに、光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)を外装部材16に対し設けるにあたり、所定部分まで挿通すればよいことから、製造において自動化を図ることが可能な構造にすることができる。
【実施例2】
【0062】
以下、図面を参照しながら実施例2を説明する。図3は本発明のワイヤハーネスの他の例に係る図である。また、図4は外装部材に対しシールド部材を設けるとともに水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材を設けるまでの工程説明図である。尚、上記実施例1と同様の構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0063】
図3において、実施例2は上記実施例1に対しシールド機能を発揮させるための電磁シールド部材19の配置が外装部材16の外側になった点、また、光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)を電磁シールド部材19の保持及び保護にも用いる点で相違している。以下、具体的に説明をする。
【0064】
ワイヤハーネス31は、導電路集合体32と、この導電路集合体32に対する外装部材16とを備えて構成されている。導電路集合体32は、二本の高圧電線17及び低圧電線18を備えて構成されている。
【0065】
外装部材16は、柔軟性を有しており(平型のコルゲートチューブ)、この外周面には、実施例1と同様に、光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)が複数設けられている。光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)は、筒状且つ少なくとも径方向に伸縮性を有する部材に形成されている(図3(c)参照)。また、光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)は、これを硬化させると外装部材16に経路保持部22を形成することができる部材にて構成されている。
【0066】
光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)は、上記の如く外装部材16の複数の所定部分に設けられている。光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)は、図3(a)中の矢印AやBで示す所定部分、すなわち柔軟性を有する外装部材16であることからワイヤハーネス31の屈曲部分や組み付け固定部分などの例えば経路保持の必要な部分等に設けられている。
【0067】
外装部材16の外周面と光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)との間には、電磁シールド部材19が筒状の状態で配設されている。電磁シールド部材19は、外装部材16を一括して覆った状態で光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)により保持及び保護されるようになている。このような電磁シールド部材19の端末部分には、光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)から露出する電気的接続部33(図4参照)が配設されている。電気的接続部33は、コネクタ20(図2参照)を介して、又は直接インバータユニット4のシールドケース等に接続されている。尚、電気的な接続に関してはドレン線34(図4参照)を用いるようにしてもよいものとする。
【0068】
電磁シールド部材19は、外装部材16における任意の箇所に配設されて磁気的なシールド部材として用いるのもよいものとする。
【0069】
ここで、外装部材16、光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)、及び電磁シールド部材19の組み付けについて図4を参照しながら概略説明をする。
【0070】
図4(a)〜(c)において、先ず全長が所望の長さとなる外装部材16を準備し、この外装部材16の外周面に対し電磁シールド部材19を巻き付け又は挿通により設ける。次に、径方向に拡径させた光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)を外装部材16の所定部分まで挿通し、そして拡径状態を解除すると、光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)はこれ自身の縮径により、間に電磁シールド部材19を介在させた状態で外周面に対し密着する。
【0071】
この他、図4(d)〜(e)に示す如くドレン線34を用いた場合も同様の組み付けになる。すなわち、外装部材16の外周面に対し電磁シールド部材19をドレン線34と共に設け、この後に径方向に拡径させた光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)を外装部材16の所定部分まで挿通する。そして拡径状態を解除すると、光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)はこれ自身の縮径により、間に電磁シールド部材19を介在させた状態で外周面に対し密着する。
【0072】
尚、光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)を硬化させ、経路保持部22を形成することに関しては実施例1と同様であり、ここでの説明は省略するものとする。
【0073】
上記構成、構造、及び組み付け等から分かるように、実施例2は実施例1と同様の効果を奏するのは言うまでもない。
【実施例3】
【0074】
以下、図面を参照しながら実施例3を説明する。図5は本発明のワイヤハーネスの更に他の例に係る図である。尚、上記実施例1、2と同様の構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0075】
図5において、実施例3は上記実施例1、2と異なり、外装部材がない部分での経路保持、若しくは外装部材が不要な場合での経路保持に係る例であり、図中には三種類の形態となるワイヤハーネス41、51、61が示されている。先ずワイヤハーネス41について説明をする。
【0076】
図5(a)において、ワイヤハーネス41を構成する導電路42は、高圧となる一対の絶縁線心43、43と、この一対の絶縁線心43、43を並べた状態で一括して設けられるシールド部材44と、シールド部材44の外側に押し出し成形されるシース45とを備えて構成されている。絶縁線心43は、導体46と、この導体46の外側に設けられる絶縁体47とを備えて構成されている。導電路42は、外装部材レスの電線として形成されている。また、導電路42は、導通、電磁シールド、形状保持、電線保護のような各種機能の統合がなされた電線として形成されている。
【0077】
導体46としては、アルミニウム又はアルミニウム合金製の丸棒線(丸単心となる導体構造)が用いられている。尚、角棒線(四角形の単心となる導体構造)やバスバー形状となる導体構造、若しくは撚り線導体となる構造であってもよいものとする。この他、材質に関しては、特に限定されないものとする。すなわち、銅や銅合金製であってもよいものとする。本実施例においては、安価且つ軽量であるというメリットを有するアルミニウム製のものが用いられている。
【0078】
絶縁体47は、導体46に対する被覆であって、公知の樹脂材料を押し出し成形することにより形成されている。
【0079】
シールド部材44は、一対の絶縁線心43、43を覆う電磁シールド用の部材(電磁波対策用の部材)であって、導電性の金属箔を含んで筒状に形成されている。或いは、金属箔単体などにて筒状に形成されている。シールド部材44は、一対の絶縁線心43、43の全長とほぼ同じ長さに形成されている。
【0080】
尚、シールド部材44は、本実施例において金属箔を含んでいるが、この限りでないものとする。すなわち、電磁波対策をすることが可能であれば、例えば極細の素線を多数有する編組が用いられてもよいものとする。編組は、導電性を有して筒状に形成されるものが用いられるものとする(金属箔は、編組と比べて格段に軽量化を図れることがメリットである)。
【0081】
シース45は、耐熱性、耐摩耗性、耐候性、耐衝撃性、押し出し成形性等の各種特性が良好な樹脂材料が選定され、その上で押し出し成形することにより形成されている。シース45は、この表面が導電路42の外面に相当するようなものに形成されている。シース45は、石跳ねや水跳ねから導電路42を保護することができるように形成されている。シース45は、導電路42において外装部材レスを可能とするように形成されている。
【0082】
このような導電路42には、実施例1、2と同様に、光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)が複数設けられている。光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)は、筒状且つ少なくとも径方向に伸縮性を有する部材に形成されている。ワイヤハーネス41は、光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)を硬化させて導電路42に経路保持部22を形成し、これにより所望の経路に保持されるようになっている。
【0083】
図5(b)において、ワイヤハーネス51を構成する導電路52は、これが一対となるように備えられている。一対の導電路52、52は、導体53と、この導体53の外側に押し出し成形される絶縁体54と、絶縁体54の外側に巻き付けられるシールド部材55と、シールド部材55の外側に押し出し成形される第一シース56及び第二シース57とを備えて構成されている。導電路52は、公知のシールド電線と同様の構成を有している。
【0084】
導体53は、上記導体46と同じものが用いられている。また、絶縁体54も上記絶縁体47と同じものが用いられている。シールド部材55は、絶縁体54と第一シース56との間に介在する電磁シールド用の部材(電磁波対策用の部材)であって、導電性の金属箔単体などにて筒状に形成されている(編組であってもよいものとする)。
【0085】
導電路52は、特に限定するものでないが、シースが二層構造となっている。すなわち、第一シース56及び第二シース57にて構成されている。外側となる第二シース57は、上記シース45と同じ機能を発揮することができるように形成されている。尚、第一シース56及び第二シース57は、二層構造にすることでプロテクト機能を高めるという効果を奏するが、これに限らず上記シース45と同様に一層構造にしてもよいものとする。
【0086】
このような一対の導電路52には、実施例1、2と同様に、光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)が複数設けられている。光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)は、筒状且つ少なくとも径方向に伸縮性を有する部材に形成されている。ワイヤハーネス51は、光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)を硬化させて一対の導電路52、52に経路保持部22を形成し、これにより所望の経路に保持されるようになっている。
【0087】
図5(c)において、ワイヤハーネス61を構成する導電路62は、プラス極導体63と、このプラス極導体63の外側に押し出し成形される絶縁体64と、絶縁体64の外側に設けられるマイナス極導体65と、このマイナス極導体65の外側に押し出し成形される絶縁体66と、絶縁体66の外側に巻き付けられるシールド部材67と、シールド部材67の外側に押し出し成形される第一シース68及び第二シース69とを備えて構成されている。
【0088】
プラス極導体63は、上記導体46、53と同じものが用いられている。また、絶縁体64、66も上記絶縁体47、54と同じものが用いられている。さらに、第一シース68及び第二シース69も上記第一シース56及び第二シース57と同じものが用いられている。さらにまた、シールド部材67も上記シールド部材55と同じものが用いられている。
【0089】
マイナス極導体65は、絶縁体64を介在させた状態でプラス極導体63と同心円でこれを囲む筒状の形状に形成されている。マイナス極導体65は、プラス極導体63のサイズに対して同じか大きくなるように形成されている。すなわち、例えばプラス極導体63のサイズが15sqの場合、マイナス極導体65はこのサイズが15sq以上となるように形成されている。理由としては、マイナス極導体65のサイズを大きくすることにより、グランド接続をすることができるとともに、電気的安定度を向上させることもできるというメリットを有するからである。
【0090】
導電路62は、プラス極導体63、マイナス極導体65、及びシールド部材67の配置から、導電性の部分が同軸三層構造を構成するようなものになっている。
【0091】
導電路62に関し、この導電路62は図5(b)の一対の導電路52、52を一本にすることができるので、配索の省スペース化を実現することができるとともに、軽量化を図ることもできるという効果を奏する。また、ワイヤハーネス組み立てに係る工程において、二本から一本になるため、工数を低減することができるという効果を奏する。さらに、導体や絶縁体の使用量を減らせることができるので、材料費削減を図ることもできるという効果を奏する。
【0092】
この他、マイナス極導体65がプラス極導体63を囲むことから、また、マイナス極導体65とプラス極導体63のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることから、大きなシールド効果を期待することができるとともに、外部へのノイズ漏れをなくすことができるので、例えば誤作動のリスクを低減することもできるという効果を奏する。
【0093】
このような導電路62には、実施例1、2と同様に、光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)が複数設けられている。光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)は、筒状且つ少なくとも径方向に伸縮性を有する部材に形成されている。ワイヤハーネス61は、光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)を硬化させて導電路62に経路保持部22を形成し、これにより所望の経路に保持されるようになっている。
【0094】
尚、上記導電路42、52、62に限らず、細物電線を束ねてなる公知の電線束を導電路とし、そしてこれに光硬化性固定部材21(又は水硬化性固定部材)を設けて経路保持部22を形成するようにしてもよいものとする。
【0095】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0096】
1…ハイブリッド自動車
2…エンジン
3…モータユニット
4…インバータユニット
5…バッテリー
6…エンジンルーム
7…自動車後部
8…高圧ワイヤハーネス
9…ワイヤハーネス
10…中間部
11…車体床下
12…ジャンクションブロック
13…後端
14…前端
15…導電路集合体
16…外装部材
17…高圧電線(導電路)
18…低圧電線(導電路)
19…電磁シールド部材(シールド部材)
20…コネクタ
21…光硬化性固定部材
22…経路保持部
23…可視光
24…水分
25…供給手段
31…ワイヤハーネス
32…導電路集合体
33…電気的接続部
34…ドレン線
41、51、61…ワイヤハーネス
42、52、62…導電路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数本の導電路の経路保持をする部分として、若しくは、前記導電路の外側に設けられた外装部材の経路保持をする部分として、水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材を硬化させてなる経路保持部を設け、
該経路保持部における前記水硬化性固定部材又は前記光硬化性固定部材を筒状且つ少なくとも径方向に伸縮性を有する部材に形成する
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤハーネスにおいて、
前記導電路と前記経路保持部との間にシールド部材を配設する、若しくは、前記外装部材と前記経路保持部との間にシールド部材を配設する
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項3】
請求項2に記載のワイヤハーネスにおいて、
前記シールド部材に前記経路保持部から露出する電気的接続部を設ける
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項4】
一又は複数本の導電路に対し、若しくは、該導電路の外装部材に対し、この一又は複数箇所の所定部分に筒状且つ少なくとも径方向に伸縮性を有する水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材を設ける第一工程と、
少なくとも前記所定部分を所望の形状にした状態に前記水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材を硬化させる第二工程と、
を含む
ことを特徴とするワイヤハーネスの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載のワイヤハーネスの製造方法において、
前記水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材を径方向に拡径させつつ前記所定部分まで挿通した後、前記水硬化性固定部材又は光硬化性固定部材をこの縮径により前記所定部分に密着させる
ことを特徴とするワイヤハーネスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−142091(P2012−142091A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292018(P2010−292018)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】