説明

ワイヤボンディング装置

【課題】大型のパワーモジュールを対象とし、複数台のワイヤボンディング装置を同時に稼動させるワイヤボンディングシステムにおいて、設置するクリーンルームの空間的・時間的利用効率を向上し、ワークの供給・排出ラインを簡単な搬送機構とする。
【解決手段】ボンディング前のワーク2aを搬送するワーク供給ライン3とボンディング後のワーク2bを搬送するワーク排出ライン4とを前後に有するワイヤボンディングシステム1におけるワイヤボンディング装置5であって、ワーク2をボンディングするボンディングヘッド6を回転、上下動および平面移動させるボンダ機構部7を備え、該ボンダ機構部7が支持体8によって、ワーク供給ライン3からワーク排出ライン4へワークを搬送する搬送路6の上方に配置されたことを特徴とするワイヤボンディング装置5を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤボンディング装置に関し、特に大型の半導体デバイスを対象とするときに有用な、ワイヤボンディング装置を並列に複数台配置したワイヤボンディングシステムを構成するワイヤボンディング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程のうち、1つのデバイスに対する作業時間に長時間を要するワイヤボンディング工程においては、複数台のワイヤボンディング装置を並置して複数のデバイスを同時にボンディングするワイヤボンディングシステムが広く用いられている。
【0003】
一般に、これらワイヤボンディングシステムは、複数台のワイヤボンディング装置を直線状に配列し、ワイヤボンディング装置間をベルトコンベアなどの搬送手段で連結して製造ラインを構成するインライン・ワイヤボンディング・システムであって、これらは建設・維持コストのかかるクリーンルーム内において使用される。したがって、インライン・ワイヤボンディング・システム自体の面積を縮小し、かつシステムを効率良く稼動させるなど、限られた空間および時間を効率良く利用する必要がある。
【0004】
インライン・ワイヤボンディング・システムを縮小し、クリーンルームの空間的利用効率を図る技術として、リードフレームをマガジン単位で搬送するワイヤボンディング装置において、ローダとアンローダを兼用して空マガジンおよびアンローダ機構を省略して装置を縮小化したワイヤボンディング装置(特許文献1参照)や、ワイヤボンディング装置間に搬送方向の反転可能なマガジン搬送機構を設け、マガジンの供給ラインと排出ラインとを兼用させて、自動搬送車のアクセスエリアを1箇所にすることによって空間の利用効率を図るインライン・ワイヤボンディング・システム(特許文献2参照)がある。
【0005】
また、インライン・ワイヤボンディング・システムの稼動効率を高め、クリーンルームの時間的利用効率を図る技術として、直線状に配置されたワイヤボンディング装置間およびその前後に、ワークの取り込み、受け渡しを行う複数段の搬送口を有する搬送装置を配備し、生産効率の向上を図ったワイヤボンディング装置(特許文献3参照)や、ワイヤボンディング装置を並列に配置し、上下可動式の搬送ベルトと水平稼動式の搬送ベルトとを設け、ワーク供給用ベルトとワーク排出用ベルトとの2本の搬送ベルトを上下に配置して搬送および排出をそれぞれ別のベルトにより行うことにより稼動効率を高めた並列ワイヤボンディング装置(特許文献4参照)などがある。
【特許文献1】特開平4−245651号公報
【特許文献2】特開平6−163627号公報
【特許文献3】特開平7−45640号公報
【特許文献4】特開平5−259200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、例えば寸法が300mm×300mm程ある自動車などに用いられる大型のパワーモジュールなどを対象にする場合、ワーク1つ当たりの大きさ、重量が大きいため、複数台のワイヤボンディング装置を同時に稼動させるワイヤボンディングシステムにおいて、マガジンや複数段の搬送装置を用いるのは設備を大型化し、クリーンルームの空間的な利用効率が悪い。したがって、ワークをそれぞれ個別に取り扱い、如何に空間的・時間的な利用効率を向上させるかが課題となる。
【0007】
ここで、前記大きさのワークを対象とし、従来技術に基づいて構成されるインライン・ワイヤボンディング・システムとして、複数のワイヤボンディング装置を直線状に配列して、ワークをボンディングするときに載置するワーク台同士を搬送手段により直列に連結したインライン・ワイヤボンディング・システムを検討してみると、連結されるワーク台同士の間に設置されるワーク搬送手段は、対象ワークの寸法以上、すなわち少なくとも300mm*300mm以上の大きさが必要となる。そのため、如何にワイヤボンディング装置の幅を小さくしても、ワーク搬送手段の長さ分が余計に必要となって、インライン・ワイヤボンディング・システムの延長が長くなる。よって、クリーンルームの空間的利用効率が低い。また、1つの搬送路でワークの供給と排出を行うため、ワイヤボンディング装置の台数が多くなると、ワークを搬送しているときに装置を稼動できなくなる供給・排出時間が長くなったり、1台のワイヤボンディング装置が故障すると他のワイヤボンディング装置を稼動できなくなるなど、時間的利用効率も低い。
【0008】
また、隣接するワイヤボンディング装置のワーク台同士を直列に連結するのではなく、ワイヤボンディング装置を近接させて並置し、ワークを供給する搬送手段およびワークを排出する搬送手段の2つの搬送ラインをワイヤボンディング装置の正面に並設するワイヤボンディングシステムを検討してみると、ワイヤボンディング装置のワーク台の正面側に対象となるワークの寸法の2倍以上、すなわち少なくとも600mm幅の搬送ラインスペースが必要となる。そのため、監視員などからワーク台およびボンディングヘッドまでの距離が遠くなって、これらのメンテナンスなどが困難となる。
【0009】
一方、供給ラインの搬送手段と排出ラインの搬送手段とを上下に配設すると、ワーク台の正面に必要な搬送ラインスペースを半減することはできるが、ワークをそれぞれのラインに移送する新たな上下機構が必要となって搬送手段が複雑な構造となる。また、ワーク台やボンディングヘッドまでの距離は近くなるが、下方に配設された搬送手段は、上方に配設された搬送手段により空間的な制約を受け、構造が複雑になって故障の発生頻度が高くなると共に、搬送手段のメンテナンスも困難になる。
【0010】
そこで、大型のパワーモジュールを対象とし、複数台のワイヤボンディング装置を同時に稼動させるワイヤボンディングシステムにおいて、ワイヤボンディング装置のクリーンルームの空間的な利用効率を向上するためにワイヤボンディングシステムの面積を縮小し、クリーンルームの時間的な利用効率を高めるためにそれぞれのワイヤボンディング装置の稼動効率を高め、ワークの供給・排出ラインを簡単な搬送機構とすることによって、ワイヤボンディングシステムの故障の発生頻度を低減し、かつメンテナンスを容易に行い得るワイヤボンディングシステムを構成するワイヤボンディング装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、第1の手段として、本発明は、ボンディング前のワークを搬送するワーク供給ラインとボンディング後の前記ワークを搬送するワーク排出ラインとを前後に有するワイヤボンディングシステムにおけるワイヤボンディング装置であって、ワークをボンディングするボンディングヘッドを回転、上下動および平面移動させるボンダ機構部を備え、該ボンダ機構部が支持体によって、ワーク供給ラインからワーク排出ラインへワークを搬送する搬送路の上方に配置されたことを特徴とするワイヤボンディング装置を提供する。
【0012】
これによると、幅をできるだけ小さくした複数のワイヤボンディング装置を密接させて並置することにより、ワイヤボンディングシステムの延長を短縮して、クリーンルームの空間的な利用効率を向上することができる。また、ワーク供給ラインとワーク排出ラインとをそれぞれ独立した搬送手段とすることにより、ワークの供給時または排出時にワイヤボンディング装置が稼動できなくなる不都合を回避し、例えワイヤボンディング装置が故障しても、故障していない他のワイヤボンディング装置を稼動させることもできて、クリーンルームの時間的な利用効率を向上することができる。さらに、ワーク供給ラインとワーク排出ラインとをワイヤボンディング装置の前後に配置することにより、ワーク台の正面に幅広の搬送ラインスペースを必要とせず、搬送手段を簡単な機構とすることにより故障の発生頻度を低減する。
【0013】
また、第2の手段として、本発明は、前記第1の手段であるワイヤボンディング装置において、支持体が、ワーク供給ラインからワーク排出ラインへワークを搬送する搬送路の両側に脚部を有するワイヤボンディング装置を提供する。
【0014】
大型のパワーモジュールを対象としたときに、ワイヤボンディング装置の一方の側面に搬送路を、他方の側面に支持体を配置すると、支持体の剛性を維持するためにワイヤボンディング装置幅が大きくなるが、これによると、ワイヤボンディング装置の幅いっぱいを使用した両側端に支持体の脚部を配置し、脚部の間にワーク搬送路として装置後方へ通ずる開口を設けた所謂門型構造とすることにより、ワイヤボンディング装置幅の縮小化を図りつつ支持体の全体幅を大きくして剛性を高め、加えてボンダ機構部に組み込まれた制振装置によりボンディングヘッドの移動に伴って発生する振動を抑制する。したがって、隣接する装置への振動伝達の影響が低減されてワイヤボンディング装置同士の近接設置を可能とすると共に、ボンディングの位置精度を向上することができる。さらに、ワーク搬送路をワイヤボンディング装置幅の中央に配置できるためボンダ機構部を門型支持体の中央に配置することよりワイヤボンディング装置幅の縮小化、ワイヤボンディング装置の重量バランスの最適化にも資する。
【0015】
また、第3の手段として、本発明は、前記第1または第2の手段であるワイヤボンディング装置において、ワーク供給ラインの一部をなす搬送手段をさらに備えたワイヤボンディング装置を提供する。
【0016】
これによると、ワーク供給ラインの一部を構成する搬送手段をワイヤボンディング装置に予め設置することにより、複数のワイヤボンディング装置を並置した後に当該部分の搬送手段を設ける必要がなくなりワイヤボンディングシステムの設置が容易となる。また、並置するワイヤボンディング装置の台数によって延長を変化させる必要があるワーク搬送手段の長短を変更自在とし、その取り扱いが容易となる。
【0017】
また、第4の手段として、本発明は、前記第1〜第3のいずれかの手段であるワイヤボンディング装置において、ワーク排出ラインの一部をなす搬送手段をさらに備えたワイヤボンディング装置を提供する。
【0018】
これによると、第3の手段と同様に、ワーク排出用の搬送手段を新たに設ける必要がなくなりワイヤボンディングシステムの設置が容易であり、並置するワイヤボンディング装置の台数によって延長を変化させる必要があるワーク搬送手段の長短を変更自在とし、取り扱いが容易である。
【発明の効果】
【0019】
これらの手段を用いることにより、大型のパワーモジュールを対象としたワイヤボンディングシステムを構成するワイヤボンディング装置において、ワイヤボンディング装置幅の縮小化を図りつつ支持体の剛性を高め、複数のワイヤボンディング装置を近接設置することにより、ワイヤボンディングシステムの延長を短縮して、クリーンルームの空間的な利用効率を向上することができる。また、供給ラインおよび排出ラインの2本の搬送ラインを設けて簡単な機構とすることにより、ワイヤボンディング装置の稼動効率を高め、かつ搬送ラインの故障の発生頻度を低減して時間的利用効率を高めると共に、搬送ラインやボンディングヘッドなどのメンテナンスを容易にする。また、ワイヤボンディングシステムの設置やワイヤボンディング装置の台数の変更などを容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本発明によるワイヤボンディング装置を用いて構成したワイヤボンディングシステムを示す正面図である。また、図2は、本発明によるワイヤボンディング装置を用いて構成したワイヤボンディングシステムを示す側面図であり、図3は、図2中のIII矢視を示す平面図である。図4は、本発明によるワイヤボンディング装置を用いて構成したワイヤボンディングシステムを一部破断して示す斜視図である。
【0022】
ボンディング前のワーク2aを搬送するワーク供給ライン3とボンディング後のワーク2bを搬送するワーク排出ライン4とを前後に有するワイヤボンディングシステム1におけるワイヤボンディング装置5は、ワーク2をボンディングするボンディングヘッド6を回転、上下動および平面移動させるボンダ機構部7を備えている。ボンダ機構部7は、支持体8によって、ワーク供給ライン3からワーク排出ライン4へワーク2を搬送する搬送路9の上方に配置されている。
【0023】
支持体8は、ワーク供給ライン3からワーク排出ライン4へワーク2を搬送する搬送路9の両側に脚部8aを有する、所謂門型構造をなしている。ワイヤボンディング装置5はそれぞれ、ワーク供給ライン3の一部をなす搬送手段であるワーク供給ベルト10と、ワーク排出ライン4の一部をなす搬送手段であるワーク排出ベルト11とを備えている。
【0024】
図3において、ワイヤボンディング装置5の背面側に設置されたワーク供給ベルト10の長さはワイヤボンディング装置5の幅寸法aと略同じであって、3台のワイヤボンディング装置5を近接させて並置することにより、3つのワーク供給ベルト10が連続するワーク供給ライン3を形成する。ワイヤボンディング装置5の正面側に配置されたワーク排出ベルト11も同様にワイヤボンディング装置5の幅寸法aと略同じであって、連続してワーク排出ライン4を形成する。また、ワイヤボンディング装置5を互いに近接させて並置することにより、ワイヤボンディングシステム1の延長の短縮が図られている。
【0025】
例えばワイヤボンディング装置5bは、ワーク供給ライン3の後方のワイヤボンディング装置5cから、ワーク供給の要求をされると、ワーク供給ライン3の前方の装置、すなわちワイヤボンディング装置5a(ワイヤボンディング装置5aにあってはワーク供給部51(図6参照))にワーク供給を要求し、条件が整ったところで、ワーク供給ベルト10を使って前方の装置からワーク2aを受け取り、さらに後方のワイヤボンディング装置5cに引き渡す機能も有する。
【0026】
また、ワイヤボンディング装置5bは、ワーク排出ラインの前方のワイヤボンディング装置5aから、ワーク排出の準備要求をされると、ワーク排出ライン後方の装置、すなわちワイヤボンディング装置5c(ワイヤボンディング装置5cにあってはワーク排出部52(図6参照))に、ワーク排出の準備を要求し、条件が整ったところで、ワーク排出ベルト11を使って前方のワイヤボンディング装置5aからワーク2bを受け取り、後方の装置に引き渡す機能も有する。
【0027】
以上、ワーク供給ラインあるいはワーク排出ラインの一部をなす搬送手段について、方法としての一例を示したが、このようにワイヤボンディング装置のワーク供給ベルト10は、自らがボンディングするワークを搬送する機能と、他のボンディング装置がボンディングするワークを搬送する機能とを有し、ワーク排出ベルト11も、自らがボンディングしたワークを搬送する機能と、他のボンディング装置がボンディングしたワークを搬送する機能とを有する。
【0028】
ワーク供給ベルト10から、ワーク2をボンディングする際にワークを載置するワーク台13までのワーク搬出搬送路9aには、ボンディング前のワーク2aを搬送するワーク搬出ベルト12が設置されている。ワーク供給ライン3を搬送されてきたボンディング前のワーク2aは、図示しない移動手段によりワーク供給ベルト10からワーク搬出ベルト12へ移動され、ワーク搬出ベルト12によってワーク台13の手前に搬送される。その後、移動手段によりワーク台13に載置されてワイヤボンディングされる。ボンディング後のワーク2bは、移動手段によりワーク台13からワーク排出ベルト11へ移動され、ワーク排出ライン4を搬送されていく。
【0029】
図2において、ワーク供給ベルト10、ワーク搬出ベルト12、ワーク台13、およびワーク排出ベルト11の上面は略同一の高さに設定されており、ワーク2は水平方向への移動のみをもって供給から排出までの一連の工程を完了される。したがって、ワーク2を上下に移動する複雑な上下機構を必要とせず、簡単な機構のみから構成することができる。
【0030】
ワイヤボンディング装置の幅寸法aを小さくすることによりワイヤボンディングシステム1の延長を短縮することができるが、ワークの寸法が大きいパワーモジュールを対象にする場合、ボンディンヘッド6を水平方向に移動させる範囲も大きくなものが必要となるため、ボンダ機構部7自体の寸法が大きくなる。さらに、ボンダ機構部7の平面駆動手段にボイスコイルモータなどを用いると、ストロークの大きなモータが必要となってボンダ機構部7を大型化させる。ボンダ機構部7の縮小化はワイヤボンディングシステム1の縮小化に直結するので、その水平方向の寸法をできるだけ縮小化したボンダ機構部については後に詳述することとする。
【0031】
ワイヤボンディング装置の幅寸法aと同様に、ワイヤボンディング装置の奥行き寸法bを小さくすることは、ワイヤボンディングシステム1の空間的利用効率を向上させる。そのため、図2に示すように、ワーク排出ベルト11はワーク台13に隣接してワイヤボンディング装置5に抱囲されるように配置されており、ワーク供給ライン3を構成するワーク供給ベルト10およびワーク排出ライン4を構成するワーク排出ベルト11を含むワイヤボンディング装置5の奥行き寸法bの縮小化が図られている。
【0032】
図5は、本発明によるワイヤボンディング装置を一部破断して示す斜視図である。ボンディングヘッド6の平面移動範囲が大きく、寸法をできるだけ縮小化したボンダ機構部7の平面移動手段であるXY台21の一実施例を示している。ワーク台13の上方に支持体8により支持されるボンダ機構部7のXY台21は、移動テーブル30と、X軸移動装置31と、Y軸移動装置41と、X軸制振装置32と、Y軸制振装置とから構成されている。X軸移動装置31の駆動による反力を打ち消すX軸制振装置32と、Y軸移動装置41による反力を打ち消すY軸制振装置とを備えることにより、能動的に振動の発生を抑制してボンディンヘッドの移動速度の高速化、位置決め精度の向上を図ると共に、隣接する装置への振動伝達を防止することにより、ワイヤボンディング装置同士の近接設置を可能とする。加えて、装置の振動によるワーク搬送異常を防止して装置間のワーク搬送を滑らかに行うことができる。
【0033】
X軸移動装置31は、X軸ベース板33と、X軸移動テーブル34とからなり、X軸移動テーブル34は、リニアモータコイル35aを両端に備え、X軸ベース板33の開口部を挟んでX軸方向に延在する2つのリニアモータプレート35bに沿ってX軸方向に移動可能に設置されている。
【0034】
X軸移動装置31の下に配設されるY軸移動装置41もX軸移動装置31と同様の構造を含んでおり、両端にリニアモータを備えたY軸移動テーブルが、Y軸方向に移動可能に設置されている。
【0035】
移動テーブル30は、Y軸移動テーブル上面に備えられたX軸方向に延在する移動テーブル用ガイドを滑合してX軸方向に移動可動に設置されており、Y軸移動テーブルの移動と共にY軸方向に移動する。移動テーブル30は、上面にX軸駆動用ガイドベアリングブロック36を備え、X軸移動テーブル34の下面に備えられたY軸方向に延在するX軸ガイドバー37に嵌合して、X軸移動テーブル34の移動と共にX軸方向へ移動する。
【0036】
移動テーブル30、X軸移動テーブル34、Y軸移動テーブルはそれぞれ開口部を有しており、図示していないが、移動テーブル30に搭載され、これら開口部を貫入するように垂直方向に延在する機構部には、ボンディングヘッド6を回転、上下動させる手段が備えられている。ボンディンヘッド6は、X軸移動テーブル34およびY軸移動テーブルの駆動により平面移動され、前記回転手段、上下動手段により回転、上下動されてワークにボンディングを行う。
【0037】
X軸移動装置31の両端に配設される2つのX軸制振装置32は、それぞれX軸制振用錘と、X軸制振駆動モータとを有している。X軸制振用錘は、X軸方向に移動可能に設置されており、X軸制振駆動モータの駆動によりX軸移動テーブル34と反対方向に移動して、X軸移動テーブル34の移動による反力を打ち消して振動の発生を抑制する。
【0038】
図示されていないが、Y軸移動装置41の一端には1つのY軸制振装置が配置されている。Y軸制振装置は、Y軸制振用錘と、Y軸制振駆動モータとを有しており、Y軸制振用錘は、Y軸方向に移動可能に設置されている。Y軸移動テーブルと反対方向に移動して、Y軸移動テーブルの移動による振動の発生を抑制する。
【0039】
図6は、本発明によるワイヤボンディング装置を用いて構成したワイヤボンディングシステムの一実施形態の概略を示す平面図である。ワイヤボンディングシステム1は、ボンディング前のワークを搬送する搬送手段からなるワーク供給ライン3と、ボンディング後のワークを搬送する搬送手段からなるワーク排出ライン4と、ワーク供給ライン3とワーク排出ライン4との間に配列された複数のワイヤボンディング装置5とから構成されている。ワイヤボンディング装置5は、ボンディングするワークを載置するワーク台13と、ボンディング前のワークをワーク供給ライン3からワーク台13へ搬送するワーク搬出搬送路9aと、ボンディング後のワークをワーク台13からワーク排出ライン4へ搬送するワーク搬入搬送路9bとを備えている。
【0040】
ボンディング前のワークは、ワーク供給部51から図面右方向に向かうワーク供給ライン3、および各ワイヤボンディング装置5のワーク搬出搬送路9aを経て、ワーク台13に載置されてワイヤボンディングされる。ボンディングを終えたワークは、ワーク台13から各ワイヤボンディング装置5のワーク搬入搬送路9b、および図面右方向に向かうワーク排出ライン4を経て、ワーク排出部52に搬送される。直線状のワイヤボンディングシステム1の両端にワーク供給部51とワーク排出部52とが配置されている。
【0041】
図7は、本発明によるワイヤボンディング装置を用いて構成したワイヤボンディングシステムの他の実施形態の概略を示す平面図である。構成要素は図6に示した実施形態と同じであるので、その説明は省略する。ワーク供給ライン3は、図6と同様に図面右方向に向かっているが、ワーク排出ライン4は、図6と異なり図面左方向に向かっている。ワーク排出部52はワーク供給部51と同じ側の端に配置されている。
【0042】
ワーク供給部51とワーク排出部52とが近接していることにより、ボンディング前のワークをワーク供給部51に搬送する搬送車のアクセスエリアおよびアクセスルートと、ボンディング後のワークをワーク排出部52から搬送する搬送車のアクセスエリアおよびアクセルスルートとを重複させることができるため、並列ワイヤボンディング装置を稼動に必要なクリーンルーム内の占有面積をより小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明によるワイヤボンディング装置を用いて構成したワイヤボンディングシステムを示す正面図である。
【図2】本発明によるワイヤボンディング装置を用いて構成したワイヤボンディングシステムを示す側面図である。
【図3】図2中のIII矢視を示す平面図である。
【図4】本発明によるワイヤボンディング装置を用いて構成したワイヤボンディングシステムを一部破断して示す斜視図である。
【図5】本発明によるワイヤボンディング装置を一部破断して示す斜視図である。
【図6】本発明によるワイヤボンディング装置を用いて構成したワイヤボンディングシステムの一実施形態の概略を示す平面図である。
【図7】本発明によるワイヤボンディング装置を用いて構成したワイヤボンディングシステムの他の実施形態の概略を示す平面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 ワイヤボンディングシステム
2 ワーク
2a ボンディング前のワーク
2b ボンディング後のワーク
3 ワーク供給ライン
4 ワーク排出ライン
5 ワイヤボンディング装置
6 ボンディングヘッド
7 ボンダ機構部
8 支持体
8a 脚部
9 搬送路
9a ワーク搬出搬送路
9b ワーク搬入搬送路
10 ワーク供給ベルト
11 ワーク排出ベルト
12 ワーク搬出ベルト
13 ワーク台
21 XY台
30 移動テーブル
31 X軸移動装置
32 X軸制振装置
33 X軸ベース板
34 X軸移動テーブル
35a リニアモータコイル
35b リニアモータプレート
36 X軸駆動用ガイドベアリングブロック
37 X軸ガイドバー
41 Y軸移動装置
51 ワーク供給部
52 ワーク排出部
a ワイヤボンディング装置の幅寸法
b ワイヤボンディング装置の奥行き寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンディング前のワークを搬送するワーク供給ラインとボンディング後の前記ワークを搬送するワーク排出ラインとを前後に有するワイヤボンディングシステムにおけるワイヤボンディング装置であって、前記ワークをボンディングするボンディングヘッドを回転、上下動および平面移動させるボンダ機構部を備え、該ボンダ機構部が支持体によって、前記ワーク供給ラインから前記ワーク排出ラインへ前記ワークを搬送する搬送路の上方に配置されたことを特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項2】
前記支持体が、前記ワーク供給ラインから前記ワーク排出ラインへ前記ワークを搬送する搬送路の両側に脚部を有することを特徴とする請求項1に記載のワイヤボンディング装置。
【請求項3】
前記ワーク供給ラインの一部をなす搬送手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワイヤボンディング装置。
【請求項4】
前記ワーク排出ラインの一部をなす搬送手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のワイヤボンディング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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