説明

ワイヤレスネットワークにおけるセルをマージする際の自己共存機構

【課題】移動BSや、移動中継局をサポートするネットワークでは、セルが移動し、非常に接近して互いの局をカバーするおそれがある。同一チャンネル干渉を軽減するため、エア干渉レベルの自己共存のための機構を提供する。
【解決手段】(a)セルAがセルBと合併できるか判断する。(b)セルAのBSが合併リクエストメッセージをセルBのBSへ送る。(c)セルAと合併できる場合、セルBのBSはセル合併確認メッセージをセルAのBSへ送る。(d)セルAのBSがセル合併実行メッセージをセルBのネットワーク情報とあわせてセルの局すべてへ送信し、セルBのネットワーク情報をセルBのBSからセルAのBSへセル合併確認メッセージとともに送る。(e)セルAのすべての局がハンドオーバーを開始し、セルBのBSと関連する。(f)セルAのすべての局がハンドオーバーを終了して、セルAとセルBの合併が完了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワイヤレス通信に関し、特に、セルラーワイヤレスネットワークの同一チャンネル干渉を軽減するための機構に関する。
【背景技術】
【0002】
日本では最近、公共の安全性のため、整備中の公共ブロードバンドワイヤレスネットワークなどいくつかのワイヤレスセルラーネットワークにおいて、移動基地局はサポートされている。IEEE 802.16 GRIDMANなどのいくつかのワイヤレスリレーネットワークでは、移動基地局と移動中継局の両方がサポートされている。その結果、セルは「移動」でき、二つ以上のセルが非常に接近することもありうる。同じタイプの二つの以上のセルが非常に近づき、そのカバー範囲が重複することもありうる。セルが同じ周波数チャンネル上で操作される場合、同一チャンネル干渉が生じるおそれがある。ワイヤレスセルの適切な操作のためには、同一チャンネル干渉を軽減するため、エア干渉レベルの自己共存のための機構が必要となる。
【0003】
一般的な自己共存機構は、スペクトルルール、フレームシェアリング、オンデマンドフレームコンテンションを含む。スペクトルルールは、隣接ワイヤレスセルが同じ周波数チャンネルで操作されることを避けるための自己共存機構である。図1に示すように、4個のセルは異なる周波数チャンネルを使用し、優先性を持つバックアップ周波数チャンネルを持つ。同一チャンネル干渉が検出されると、(少なくとも)一つのセルがバックアップチャンネルに切り替わろうとする。第一バックアップ周波数チャンネル上に同一チャンネル干渉があれば、次のバックアップ周波数チャンネルを探すという具合である。二つのセルが同じ周波数チャンネルに切り替わる確率を小さくするために、隣接セルのバックアップ周波数チャンネルは適切に選択される。この機構の欠点は、周波数チャンネルが少ない場合、二つの隣接セルが同一周波数チャンネルで操作されるのを避けるのが難しい点である。
【0004】
フレームシェアリングとオンデマンドフレームコンテンションは、近接する二つ以上のセルが同一周波数チャンネル上で操作される自己共存機構である。図2に示すように、フレームシェアリングでは、スーパーフレームが指定され、異なるセルがスーパーフレームの一つ以上のフレームを排他的に使用する。この方法により、自己共存状態のセルは同じ周波数チャンネル上で送信するが、時間帯は異なる。一つのセルがフレームシェアリングでそれ以上のフレームを要求する場合、オンデマンドフレームコンテンションの機構により、その他のセルに割り当てられているフレームを獲得することができる。オンデマンドフレームコンテンションはフレームシェアリングに基づく。より多くのフレームを要求するセルが、別のセルに割り当てられたフレームを獲得することを可能にする機構である。これら二つの自己共存機構の欠点は、フレーム利用の点で融通が利かない点である。
【発明の概要】
【0005】
スペクトルルールは、カバー範囲が重複するセルを異なる周波数チャンネルへ切り替えることを可能にする。しかしながら、十分な数の周波数チャンネルがないためにうまくいかないこともある。フレームシェアリング機構を使えば、一つのセルのすべての局は、スーパーフレームの一つ以上のフレームを排他的に使用し、融通が利かない。本発明では、カバー範囲が重複する二つ以上のセル間の自己共存のため、セル合併方法を提案する。フレームシェアリングに比べ、帯域幅利用はより柔軟になる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、スペクトルルールの例である。
【図2】図2は、フレームシェアリングの自己共存機構のための一般的スーパーフレームである。
【図3】図3は、一つのセルに合併される同一チャンネル上で操作されるワイヤレスセルの自己共存方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書において、自己共存機構の発明を報告する。本発明の機構では、カバー範囲の重複する二つ以上のセルが一つのセルに合併され、操作周波数チャンネルは、一つのセルに含まれるもともとは二つのセルのすべての局により使用することができる。
【0008】
同じタイプの二つ(以上)のセルがカバー範囲で重複し、操作周波数チャンネル上で同一チャンネル干渉を発生する場合、セル合併の自己共存機構を適用することができる。
【0009】
セル合併の基本的プロシージャは、一つ(以上)のセルの局すべてをもとのBSから隣接セルのBSへハンドオーバーすることである。
【0010】
一般的なセルラーワイヤレスネットワークでは、すべての局は隣接セルのBSと直接通信できることが求められる。セルラーワイヤレスリレーネットワークでは、すべての局は、隣接セルのBSと直接、あるいは中間局を中継する(データ転送を含む)ことにより通信できることが求められる。あるセル(例えばセルA)が別のセル(例えばセルB)から同一チャンネル干渉を検出する場合、セルAは以上の状態をチェックし、もう一つのセルと合併できるか調べる必要がある(図3のステップS1)。
【0011】
ステップS2では、セルAが別のセルBと合併できない場合、セルBと合併することはあきらめる。合併することができる場合、(ステップS3において)セルAのBS(BS_A)がCell_Merge_Request(セル合併リクエスト)メッセージを別のセルBのBS(BS_B)へ送信する。これには、Cell_Merge_Requestメッセージを運ぶため、ワイヤレスリレーネットワークの中間局による中継あるいは転送が必要な場合がある。
【0012】
セルAからCell_Merge_Requestメッセージ受信後、ステップ4において、セルBのBS(BS_B)はその現在の状態を評価し、セルBをリクエストしてきたセル(すなわちセルA)と合併することができるか調べ、リクエストしたセルのBS(BS_A)に送り返す。
【0013】
ステップ5では、リクエストしたセルのBS(BS_A)はもう一つのセルBのBS(BS_B)からフィードバックを受信する。もう一つのセルBのBS(BS_B)が合併に合意する場合(ステップ6)、セルAのBS(BS−A)はCell_Merge_Execute(セル合併実行)メッセージをセルの局すべてへ送る。Cell_Merge_Executeメッセージと併せて、セルBのネットワーク情報もセルAのすべての局へ送る(ステップ7)。セルBのネットワーク情報に基づき、すべての局はセルBのBSに関連付けられ、ハンドオーバーを実施する(ステップ8)。
【0014】
セルAのすべての局がセルBへのハンドオーバーを終えると、セルAのBS(BS_A)はステップ9のモニタリングモードに入る。ここでセル合併は終了する。
【0015】
以上のモニタリングモードでは、セルAのもともとのBSがネットワーク状態をモニタし、セルAを適切な状態に回復する場合がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレスネットワークにおけるセル合併の自己共存の方法において、(セルAがセルBと合併する例の場合)、
a. (同一チャンネル干渉検出時)セルAのBS(BS_A)がその状態を評価し、セルAがセルBと合併できるか判断することと;
b. 合併できる場合、BS_AがCell_Merge Request(セル合併リクエスト)メッセージをセルBのBS(BS_B)へ送ることと;
c. BS_AからのCell_Merge Requestメッセージ受信時、BS_Bがその現在の状態を評価し、終了後、評価結果をBS_Aへ返信し、セルAと合併できる場合、BS_BはCell_Merge Confirm(セル合併確認)メッセージをBS_Aへ送り、合併できない場合はCell_Merge_Deny(セル合併拒否)メッセージをBS_Aへ送ることと;
d. BS_AがCell_Merge ConfirmメッセージをセルBのBSから受信する場合、Cell_Merge Execute(セル合併実行)メッセージをセルBのネットワーク情報とあわせてセルの局すべてへ送信し、セルBのネットワーク情報をBS_BからBS_AへCell_Merge Confirmメッセージとともに送ることと;
e. BS_AからのCell_Merge Executeメッセージ受信時、セルBのネットワーク情報に基づき、セルAのすべての局がハンドオーバーを開始し、セルBのBSと関連することと;
f. セルAのすべての局がハンドオーバーを終了するとき、セルAのBSがモニタリングモードに入ることとから成ることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−199898(P2012−199898A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−80487(P2011−80487)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】